6 名前:970 投稿日: 2004/03/16(火) 12:15 [ 7JAqPP/Y ]
書き込み一番乗り。
2chはアク禁で書き込めねえから、こっちでがんばろっと。
「馬鹿野郎!!さっさと降りろ!!!」
「す、すいません!!!なんかドラゴンがグズッて・・・」
「てめえがヘタレだから舐められんじゃねえか!!シャキッとしろ!!ルーキー!!!」
「ひっ!!すいません!!!・・・頼むよ〜・・・降りてくれよ〜・・・」
『あんな狭い浮島に降りたくなどない・・・谷に帰る・・・』
「あ!おい!!!」
「あ!・・・あの馬鹿・・・ドラゴンの尻にしかれやがって・・・」
とまあ、こっから連想した設定でこれから書いてきます。
よろしく。
10 名前:大海原の侍(仮 投稿日: 2004/04/06(火) 21:39 [ Ml.V3AQQ ]
大日本帝国が連合国との講和に成功した別次元の地球の1949年。
ソ連が北海道を占領する事件が発生。日本軍が奪還に乗り出し、輸送艦2隻を含む
1個機動艦隊を送り出したが、突然行方不明になってしまった。
「おい、起きろ。」
「う、うーん・・・。」
古田が起きあがると、中村が横に立っていた。
「何が起きたんだ?」
中村は解らないといった素振りを見せた。
旗艦赤城のCICも混乱していた。
「艦長、大本営どころかどの周波数の電波も受信できません!」
「なんだと、そんな馬鹿な!?」
艦長の水無月の顔は深刻な顔つきにになった。
「さっきの突然の気絶といい一体どうなっているのだ?」
数十分後
「艦長、電探が未確認飛行物体を探知!」
と、こんな感じで投下しようかと思います。
文を書く能力はあまりないけど温かい目でみてください(藁
823 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:05:30 [ wVmj8Mm2 ]
平成22年4月2日 0650時 パンゲア大陸 日本国北方森林地帯
<ヌエ01よりバクへ、開始>
沈黙を保っていた無線機から、突然指令が下される。
動くもののいない森林地帯、そこに動きが生まれた。
背の高い下草たちが、風も無いのに揺れ、そして移動を開始する。
地面をすべるように、そして全ての地形を無視するように、それらは前進を続ける。
それらが目指す先には、一つの小屋があった。
煙突からは、朝食を作っている事を示す煙が上がっている。
「動きはありません」
草の塊が小声を出す。
「警報装置無し、無線の発信も確認できません」
別の草が動き、そして答える。
「配置につきました」
新たな草が声を発する。
「始めろ」
沈黙を続けていた草が、重苦しい声で命令する。
次の瞬間、小屋を囲んでいた草から金属製の棒が飛び出し、火を噴いた。
824 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:06:03 [ wVmj8Mm2 ]
火薬の爆ぜる音が静かな森林地帯に響き渡り、その音は次第に数を増やしつつも、途絶えることなく続いた。
木製の扉が砕かれ、窓が破壊され、外壁に無数の穴が開く。
小屋の中からは物が破壊される音、人間の悲鳴、そして何かが倒れる湿った音が聞こえてくる。
「撃ち方止め、周辺警戒、内部を確認しろ」
草たちが素早く動き、小屋の内部へ侵入を始める。
内部は控えめに言っても地獄だった。
食事を作っていたらしいエルフ、人のよさそうな顔立ちの日本人たち、そして無数の電子機器や書類。
その全てが銃弾によって破壊され、火花や血液を流している。
草たちは一つ一つを丁寧に確認し、完全に破壊されている事、完璧に死亡している事を確認して回る。
「こいつ、まだ生きています」
草たちが集まる。
そこには、肩と足から血を流した一人の日本人女性がいた。
「なんだって、いうのよ」
苦しそうにそう言い放った彼女に、草は答えた。
「ゴミ掃除さ」
PAMPAM!
早朝の森林に二発の銃声が響き渡り、そしてそれっきり物音は消えた。
825 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:06:22 [ wVmj8Mm2 ]
平成22年4月2日 1030時 パンゲア大陸 日本国北方森林地帯 陸上自衛隊第一師団第501情報収集大隊本部
「朝早くからスマンね」
全ての人間が忙しそうに歩き回る大隊本部の一角で、太った男性がコーヒーを片手にそう言った。
この大陸に間借り(侵略とも言う)して以来入手が容易になったコーヒー豆をふんだんに使ったそれは、擬装を落とした相手の男性にとって非常に魅力的な液体だった。
「まあ飲め。楽にしていい。そこの椅子を使え」
ありがたそうにコーヒーを受け取り、相手は着席した。
「今回の一件だが、公安さんがありがとうとの事だ」
太った男は鼻を鳴らしつつそう言った。
言外に、礼を言うくらいならば最初からそちらで対処しろと言わんばかりの態度である。
「まったく、お礼をわざわざ言ってくるぐらいならば水際でもう少し頑張ってもらいたいですな。
それで、今回の連中はなんだったんですか?
武装こそ密造拳銃ぐらいでしたが、書類の方はヤバイですよ」
彼は回収してきた書類を机の上へと広げる。
『鉄の歴史』『現代科学文明のルーツ』『中世の戦術と兵器』
どれも大きめの図書館や本屋に行けば見れるような、内容こそ特殊ではあるが普通の本のコピーである。
「なんだったかな、たしか日本開放同盟だかそんな名前の市民団体だ。
最近多い、かわいそうな大陸人たちに文明を、とか、そういった手合いだな」
「連中正気なんですかね?こういった技術資料が敵国に渡れば、それだけこっちの生活が辛くなるというのに」
「正気のつもりなんだろうよ、まったく真面目な馬鹿は実に面倒だ」
太った男性は忌々しそうに言いつつ、自分のコーヒーを手に取った。
散乱している書類から、一枚の紙を取り出す。
「君の小隊は三日間の休養の後、次の任務に行ってもらう。
安心しろ、今度はゴミ掃除じゃないぞ。
ここの大陸に派遣されてくる外務省のお偉いさんの護衛だ」
「拝見します」
書類を見る。
名前の欄には荒川とだけ書かれており、備考欄には情報本部よりの出向。その他は全て機密のスタンプが押されている。
「誰ですこれ?」
「一応は同業者になるらしい。
何でもステキな任務を持っているそうで、詳しくは本人から聞けとさ。
そういうわけだ。飲み終わったら行ってよし」
「はっ、それでは失礼いたします」
男は敬礼し、部屋を出た。
826 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:07:14 [ wVmj8Mm2 ]
日本が“召喚”されてから、かなりの時間が経った。
突然の世界からの孤立、そして見た事も無い異人種との遭遇。
見知らぬ世界の聞いたこともない国からの宣戦布告。
虐殺という表現しか出来ない戦争、そして大陸進出。
弱腰で知られた日本政府は、国民を暴力と嘘でまとめてこの国難に対処した。
その結果が一個旅団の護衛を受けたこの『植民地』である。
農地が作れ、木材資源があり、石油まで出る。
気候は温暖で、一部の食料に至っては二毛作が可能。
結果として、日本は大量の餓死者と失業者を出しつつも、その生存に成功していた。
だが、戦争の拡大は防げなかった。
いくつもの小国家の連合体『同盟』、緒戦での敗走からなんとか立ち直った『帝國』、そして取り返しが付かないほどに対立した『エルフ』『魔族』
日本の敵はいくらでもいた。
困った事に、国内にも。
これは、それら全てと最前線で戦う事を余儀なくされた、自衛隊のある部隊の話である。
827 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:28:34 [ wVmj8Mm2 ]
平成22年4月5日 1000時 パンゲア大陸 日本国北方森林地帯 陸上自衛隊第一師団第501情報収集大隊本部
「失礼します」
先日の男が入室する。
室内には紫煙とコーヒーの香りが満遍なく漂っている。
確かに燃料と食料に関しては必要最小限の量が確保出来ているが、今の本土では一般階級には望む事すら許されない贅沢である。
「ごくろう、まあ一本吸え」
相変わらず着席したままで、彼の上官はタバコの箱を投げてきた。
「彼ですか?」
どうやったのかは知らないが、糊の利いたシャツと皺一つ無いスーツを着込んだ男が尋ねる。
顔を見ると、どうやらこの男が荒川という例の護衛対象らしい。
「頂きます」
ひとまずは放置し、タバコを吸う。
もちろん残りは戦闘服のポケットにしまい込む。
「ああそうだ。荒川さん紹介しよう、君の護衛を勤める早出三尉だ。
三尉、こちら外務省の荒川さんだ。タバコを返したら着席したまえ」
「これは失礼しました。よろしくお願いします荒川さん」
タバコを返しつつ着席する。
「それで、今回の任務は?」
「簡単な話ですよ三尉。私を全ての障害から護衛するのです。全て、からね」
妙に含みのある表現を使う荒川。
早出はその表現が気になったが、あえて何も言わずに沈黙を守る。
荒川はそれには何も言わず、その先を続ける。
「私に与えられた任務は大きく分けて二つ。友好関係の樹立と、棍棒外交の支援です」
彼はさらに続けた。
要約すると、先の大戦で敵は疲弊しきっているらしい。
その中でも、元は複数の国家だった『同盟』は、既に分裂の危機に瀕しているらしい。
そこで日本外務省の出番となったらしい。
今回の外交の相手は二つ。
正面切って自衛隊と戦い、もはや継戦能力どころか国家の維持も難しくなっているらしい『王国』
そこと共に自衛隊と戦闘はしたが、本来は『王国』と戦争状態にあったらしい『共和国』
王国とは仲良くして同盟関係を、共和国とはこちらの軍事力を背景にした主従関係を結ぶのが最終目標らしい。
「・・・と、言うわけなのです」
ちなみに、“らしい”ばかりなのは、全ての情報は彼の語った話だけを判断材料とするわけにはいかないからである。
早出は確かに現場で汗を流す『下』ではあるが、部下の命を預かる将校である以上は、胡散臭い話に全力投球するわけにはいかない。
ましてや彼は、実戦を主任務としてはいるが、情報に関係する部署に属しているのだ。
828 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:54:07 [ wVmj8Mm2 ]
「お話はわかりました」
全てを聞き終えた彼は、そうとだけ答えた。
ここでお任せくださいといえば、出撃は確定してしまう。
そして、断ると言ってしまえば、今度は処罰が待っている。
「わかりました、とは?」
彼の回答を聞いた荒川は、不思議そうに尋ねた。
だが、その口調とは裏腹に、表情は嫌な感じにニヤけている。
「言葉の通りです荒川さん。貴方に与えられた任務は了解しました。
それで、私たちは貴方の護衛として、何と、どう戦えばいいのですか?」
荒川は上官の方に視線を向けた。
太った自衛隊高級幹部は、不敵な笑みを浮かべつつも黙っている。
「ですから、全てですよ三尉。
こちらの戦力を理解できない悪党、技術力の違いを認めない敵国人、そして」「邪魔をする非国民、ですね?」
予想が付いた最後の一つを付け加える早出。
要するにそういう事らしい。
先日彼が始末してきた非国民たち。
それはボランティアや労働者の仮面を被り、この植民地で日々働いている。
国内で手一杯の公安や警務隊、そして情報本部の紳士諸君は、この危険分子に関して手が打てないのが実情である。
そこで、外交を行うついでに敵国の中に既にこちらの裏切り者が入っていないか?そして、いるとしたらそれは誰なのか?どこにいるのか?どんな風にやっているのか?
実際に調べる必要がある。
ここで荒川が派遣されてきた理由が見えてくる。
彼の仕事は、敵を探し出し、殲滅する事なのだ。
なるほど、確かにこれは自分が出る必要があるな。
829 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/20(日) 00:54:28 [ wVmj8Mm2 ]
「了解しました荒川さん。
それで、今回の任務ではどこまで装備を使ってよろしいのでしょうか?」
「オールウェポンズフリーですよ三尉。貴方の小隊が持てるだけの装備を用意してください。
委細はお任せします。出発は明日。それまでに全員の用意をお願いします。それでは私はそろそろ宿舎へ戻らせていただきます。
外務省から来ている人もいるので、そちらとの顔合わせもしませんと」
そう言うと荒川は退室した。
後には、座ったままの二人の自衛官が残された。
「それで三佐殿、自分はどこまでの権限が?」
「やばくなるまでは奴の好きにさせろ。今回は敵地での行動がメインとなる。
一応停戦合意にはなっているから、砲煙弾雨の中を駆け巡る必要はないが、風向きが変わりそうになったら一目散に逃げ帰れ。
ウチの部隊で迎えにいけるのは停戦ラインが限界だからな」
「了解しました。それでは自分もこれで」
「気をつけろ。あの様子じゃまだ裏があるぞ」
「わかっております。では」
早出は敬礼し、部屋を出た。
賑やかな駐屯地が視界に広がる。
思わず、小声で呟く。
「やれやれ、面倒な仕事になりそうだ」
835 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/23(水) 00:43:27 [ wVmj8Mm2 ]
平成22年4月6日 1300時 パンゲア大陸 日本国北方森林地帯 陸上自衛隊第一師団第501情報収集大隊本部
「小隊長の早出である。
今回の任務は諸君も知ってのとおり、外務省の方を、任務完了までお守りする事である。
停戦合意になっているとはいえ、いつそれが破られないとも限らない。
各自十分留意し、任務に励むように。
それでは所定の計画通りに行動を開始する」
手早く訓示を終わらせ、ぞろぞろと歩き出した部下たちを見送りつつ早出は荒川の元へと駆け寄った。
荒川は、昨日と同じ眼鏡、同じ服装に加えて、黒い手提げかばんとロングコートを身につけている。
春先ではあるが、北方森林地帯と名前がつくだけあって、このあたりではまだまだコートは現役である。
傍らにはなぜか同じくスーツ姿の女性が立っている。
「それでは荒川さん、私の後ろをついてきて下さい、そちらの女性は?」
「外務省パンゲア大陸局局長補佐の吉田と言います。外交関連に関しては私と荒川さんで取り仕切りますので、あしからず」
素早く視線で「どういうことだ?」と荒川に尋ねる。
だが、彼は巧みに目線を動かしてそれを無視した。
836 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/23(水) 00:43:46 [ wVmj8Mm2 ]
「今回の件に関しては、あなた方はあくまで護衛と聞いています。ご存じないかもしれませんが、外交は人間一人で出来るほど簡単ではないのですよ」
まだこんな『文民様』が出世できる余裕が本土にはあるんだな。
早出は感心した。
いやいや待てよ、と考え直す。
パンゲア大陸局、そもそも、この大陸にある国家でまともに我が国と国交を結んでいるような国は数えるほどしかない。
つまり、外務省から見ると、決して将来有望な地域ではない。
もちろんこの戦争が終わり、植民地がもっと手に入ればわからないが。
つまりは。
早出は目の前の女性官僚を見た。
頭の回転が良さそうな顔つき。20代後半であろうか、体つきもスーツ越しに見ても良さそうだ。
だが、このご時勢に、ましてや戦場で自衛官との関係を悪化させるような言動を取るという事は、バカなのだろう。
「なるほど、わかりやすいお答え感謝します。なお、戦闘中は指揮官である私の命令を必ず聞いてもらいます。よろしいか?」
「あなた、シビリアンコントロールっていう言葉ご存知ですか?」
「ええ、とってもよくね。まあいいでしょう、それでは出発します。荒川さんについてきて下さい」
返事も聞かずに歩き出し、早出は心の中で哀れんだ。
可哀想に、恐らくは権力闘争に負けたか、情勢の変化についていけなくなって排除されたのだろう。
荒川と一緒についてきたのは、うまくいけば外務省もそれに参加したという事実を作るため、うまくいかなければ・・・
俺たちと一緒に、どこかで野垂れ死ぬ。外務省はいらない人材を気兼ねなく排除できる。
やれやれ、これは面倒そうだ。
837 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/23(水) 00:44:00 [ wVmj8Mm2 ]
「小隊長殿」
万事につけて手抜かりのない小宮陸曹長が俺の脇に駆け寄る。
「どうした?」
「停戦ラインを超えます。全員に警戒態勢を取らせますか?」
「頼む、装填して、安全装置を掛けさせろ」
「了解しました」
彼は敬礼し、部下たちの方へと駆けて行った。
ふと視線を向けると、吉田は明らかに緊張した表情を浮かべている。
対する荒川は余裕の表情だ。
何人かは殺してるな、このオッサン。
自身の年齢についてはあえて棚に上げて、彼はそう思った。
しかし、歴戦の下士官というものは実に頼もしい。
実際のところ、わざわざ彼のところに小宮陸士長が来る必要は無かった。
彼の部隊は小声すらも許されないような状況での任務を得意としており、そのような場合にはいちいち戦闘体制がどうのだの、言っている暇はないのである。
だが、今回は便乗者が二名もいる。
おまけに、そのうちの一人は明らかに戦闘経験が無い。
いちいち緊張すべき場所とそうでない場所の違いを教えてやらないと、現地まで体力が持たないのだ。
838 名前:物語は唐突に 投稿日: 2005/11/23(水) 00:44:15 [ wVmj8Mm2 ]
「王都まではどれくらいですかね?」
唐突に荒川が尋ねてくる。
「そうですね、小休止を二回挟んで4時間後という所でしょうか。
現地の宿舎の手当ては、事前の書類の通りで間違いないのですね?」
「当たり前でしょう。書類に書いてあるのだから、そうに決まってるじゃないですか」
会話に吉田が割り込んでくる。
通常、小隊長に対して会話に割り込んだ挙句にこのような言動を取ったものは、真剣にそれを後悔する様な罰が与えられる。
全力での顔面殴打や、到着までの最前列+小休止中の歩哨などである。
しかし、幸運な事に彼女は女性であり、そして自衛官ではなかった。
「だといいのですがね、戦場では何もかもが混乱します。あるいは外国でもね。私は個人的な海外旅行でもPKO任務でも、それを思い知らされました」
「バカにしないでください!私だって海外ぐらい行ってます!アメリカ、フランス、イギリスにえーっとああオーストラリア!」
思わず早出は苦笑を漏らしそうになった。
説明不足ではあったが、彼の言う海外旅行というものは、怪しげなバッタチケットで回る、格安だがトラブル満点の海外旅行である。
ビジネスクラスで回る、その旅行会社で最上級のコースなどではない。
だが、このあまりに子供っぽい反論を見ると、あえてその点を訂正するのは止めておこうと彼は考えた。
出発からまだ1時間と少し、早くも周囲から殺気が漂ってきているのだ。
11 名前:魔術師1 (zbg2XOTI) 投稿日: 2004/04/22(木) 18:44 [ .x0B7VLM ]
最近仕事とかであまり時間も無いので少しづつ投下。
世界観や状況設定などは元1だおー氏他のコテ諸氏本スレで議論された内容をかなり参考にしています。
話を作る上でかなり調度よかったので。
大陸の東部を支配する『帝国』が枯渇する魔力資源問題を解決するために、魔力の消費されていない異世界から環状列島を実験的に召喚したのは今から20年前。
召喚が行なわれた直後、召喚された列島を領有していた国家、『日本』は元の世界、諸外国との連絡や資源・食料輸入を絶たれ経済危機に瀕したこの状況を打開するため、大陸に進出し資源や食料を求める方針にでた。
当初は『帝国』との交渉による平和的解決が叫ばれたが、『帝国』側が強硬的態度に出たため交渉は決裂。
最初の接触の時点での、不幸な軍事的衝突の経緯も加わり、両国は全面戦争に突入する事になる。
日本側は、『帝国』の異質な魔法技術や原始的白兵戦に苦しめられたものの、高度な科学技術と近代兵器の火力により、わずか数ヶ月で『帝国』領土の3分の2を制圧。
『帝国』内部の分裂・反乱も加わり開戦より1年経たずして『帝国』は崩壊した。
その後、大陸奥に逃れた帝国残党の抵抗は続いたが、日本は大陸東部の広大な肥沃な領土を手に入れ、これにより資源と食糧の問題は一応の解決を見る。
日本は占領した領土をいくつかの殖民領と、土着の異世界生物種の自治領に区分し、日本国領土として統治下に入れた。
だが、この戦争により自衛隊員に数千人の殉職者が、そして一時的な資源と食糧不足による民間人に数万人の餓死、凍死者がでたことも明記しておく。
12 名前:魔術師1 (zbg2XOTI) 投稿日: 2004/04/28(水) 23:53 [ WRJfIr7s ]
植民地領や自治領においての異世界種族の扱いは、日本国民となった以上は一応形式上の人権は保障された。
しかし、日本人や、元『帝国領民』の人間種に比べれば明らかに差別を受けている現実があった。
資源と食料を求め、それを搾取するために進出してきた日本人からは、「異世界の、人間とは異なる異種知性体」としての恐れと嫌悪、元『帝国領民』からは、帝国支配時代から続く人間種選民思想ゆえの蔑視。
しかしそれでも、日本本土に移住した異世界種族に比べれば随分と豊かで穏やかな生活水準といえた。
『帝国』との戦争が中期ごろ、日本に亡命を求めてきた異世界種族の家族数世帯がいた。
『帝国』に迫害され、奴隷扱いされている獣人族の、人狼族と呼ばれる氏族だった。
彼らは、自衛隊が占領した『帝国』領地の領民・奴隷を解放し人権を保障しているのを聞きつけ、難民として保護を求めに来た。
当初日本政府はこれを受け入れ、その後これをきっかけに獣人を始めとした『帝国』に迫害を受けている異世界種族が次々と流入する事になる。
最初は表面上穏やかにこれを受け入れてきた政府だったが、亡命希望者が増えるに連れ、人間とは異質の文化と、人間より優れた身体能力や特殊能力を持つ異世界種族に危機感を覚え始めた。
流入してきた彼らが、もし日本国内で犯罪でも起こそうものなら手が付けられなくなる…
人類が始めて接触した、知性を持つ異種族。 しかも、人間以上の能力を持っている。
政府は、そして国民は彼らに恐れと疑いを抱いた。 すぐに、彼らが国内で犯罪や破壊活動などを行なわないよう、対策が考えられた。
検疫の強化。 入国審査の条件の厳格化。 入国する異種族に対する、能力の封印措置。 そして、一般市民との隔離。
交戦中の『帝国』の破壊工作員の潜入を防ぐ対策と同時進行で、それは行なわれた。
結局、日本国に亡命・移住を希望する異世界種族はその危険度の分類に応じて占領地での入国審査、そして国内での隔離区域での審査を通った後、
彼らの能力を抑制する魔力拘束具をつけた上で入国が許可される事になった。
13 名前:魔術師1 (zbg2XOTI) 投稿日: 2004/04/29(木) 00:10 [ WRJfIr7s ]
異世界種族が国内で姿を見られる事が多くなってから間もなく、それは起こった。
原因は、異種族、未知のモノに対する怖れ、そして、政府の対応の仕方とメディアがそれを煽った事、そしてさらにインターネット上での様々な情報や憶測が飛び交い、イメージだけが先行した事による物だった。
現在でこそ異種族といえども、種族に差はあれどその思考形態や文化に人間と大きな差が開いているというわけでもなく、理解の範疇を超えているというような事は無いと知られているが、当時はそうでもなかった。
異種族=異質な力を持つ危険生物としての認識が普通だったのである。
故に、異種族に対する潜在的、あるいは顕在的恐怖とともに、蔑視の風潮が世論を占めていた。
折りしも、資源と食料を求めるために異世界に進出して土地を占領せねば、数千万人の人間が餓死するという状況下ゆえに、異世界種族<<<(越えられない壁)<<日本人という図式、あるいは異世界種族は敵という認識と世論が広まりつつある時期でもあった。
そして、インターネット上の某巨大掲示板のとある板にて、このようなスレが立てられることになる。
『危険生物駆除スレ』
悲劇は、その「オフ会」と呼ばれた一連の計画、それが実際に実行されたことから始まる。
序章部分の1、此処まで。
22 名前:魔術師1 (zbg2XOTI) 投稿日: 2004/04/30(金) 03:24 [ y9vFrXOA ]
孫子兵法、曰く、敵を追い詰めて死兵を作ってはならない。 死兵を相手にすれば損害ばかり大きいので相手にすべきではない。
また、敵は極力少なくし、味方は多く作るべし。 兵を用いずして戦いに勝つことを最上とする。
F世界の占領地での将来的な反乱の可能性への対処をどうお考えか?
占領に成功しても住民感情が最悪な状況ならば、必ず反乱は起こる。 アフガンとイラクの例を見ればお分かりだろう。
これを押さえるには、反乱が起こるたびに武力で鎮圧するのは下の下策。
極力反乱がおきないよう、住民感情をなだめる配慮が必要である。
占領と植民地化がいたしかたないとしても、占領地民を何時までも抑圧して置けるはずも無い。
抑圧すれば抑圧しただけ反乱の芽は増える。
かと言って、反乱を起こされたくないからといって、住民を皆殺しにするのはさらに愚の骨頂。
民族浄化の殲滅戦となれば、なおさら死兵を生む。
皆殺しにして無人の土地に国民を進出させ開拓・開発・入植するのは就職難を解決する良い案かもしれないが、そこに至るまでの道は最低の策だ。
実質皆殺しになど出来ないのだから、住民は生かしておかなければならない。
また現地における住民の独自勢力の強い場所は植民地化せずある程度の自治権を与えざるを得ない場所も出てこよう。
なぜならば、敵に回して損害を大きくするよりも味方にした方がまだ得だからだ。
どうあっても敵にしかならない存在と、条件次第で味方になりうる、あるいは敵にはならない・中立的立場をとることを約束してくれる存在を同列に扱いどちらも敵視するのは愚か者のすることだ。
敵を自分から増やすべきではないし、敵でも味方でもないものをわざわざ敵にする特などない。
そして、味方にするならばある程度相手のご機嫌取りをせねばならない。
また、いくら国同志が同盟を結んでも、国民がそれに同意せず同盟相手に敵意を抱き続ければ意味は無い。
自国民が相手国の人間を襲撃したことで必要の無い戦争が始まった例はいくつかあったはずだが?
ゆえに、自国民に必要以上に相手への敵愾心を植え付けないように考慮しなければならない。
あなた方の主張は敵を少なくし、将来的な反乱や衝突を出来るだけ防ぐ、という配慮に欠けている。
そういうことをSSで示したかったのだが、めんどくさくなったのでもういいや。
922 名前:元先。 ◆futureRZuE 投稿日: 2006/09/21(木) 00:09:52 [ BebcjN7Q ]
プロローグ
嘗て日本という国が在った。しかし−今はない。
なぜなら異世界に移転してしまったからである。
物語は移転から10年後の日本から始まる。
六菱商社本社ビル 5F
新人研修所と書かれた一室
「この世界では金貨・銀貨が主流だ対してわが国は信用通貨制度だ。ここからくる問題点とは―山本?」
眠たそうにしている男を指す。
「金貨・銀貨との兌換ですね。飯田部長」
ぬけぬけとまるで何もなかったように答える。
「そうだ。彼らは紙幣を信用しない−だから他国との取引には金・銀塊が使われる」
異世界―エルニア大陸の人間は貨幣制度が紙幣登場以前のため紙幣はただの紙としか扱われていない、
もっとも証文を除いては。
「しかし、わが国の保有量では・・」
ちなみに日本の日銀の金保有量は700トン前後である。ちなみにアメリカはドルの保障という事もあり
8000トン近く持っている。
「ふむう。だからわが国は良質の鉄鋼なども取引の補助に使っている」
「良質の武器になる鉄鋼をバーター取引や輸出し外貨となる金貨・銀貨を獲得すると」
エルニア大陸の文明度合いは中世といってもいいぐらいで高精製な鉄を大量に作る技術は
無い為、日本の鉄は各国が先を争うように買い求めてくる。
「しかし−何れにせよ他国は金・銀本位制で成り立っており、貨幣などは含有率の問題もある」
ちなみに景気が悪くなるとマネーサプライズ(貨幣の供給量)を増やすため含まれる割合が2/1や2/1に
なったりする。そのため各国間の貨幣の交換比率が変わりったりもする。
「特に銀は対魔物の武器として広く使われており価格変動の要因になりやすいと?」
エルニア大陸でも銀は退魔以外にも魔法武器や魔法の触媒にされたりして大量消費されたりする。
ちなみに一番大量に使うのは大規模魔方陣を使った儀式で使用されるサークルストーンで
一個40kgの聖杯を模した物で1儀式につき6個も消費される。
「有事の金ということでも価格変動が起こる。これ等のリスクのヘッジをしなければならない」
戦争が始まると軍事費が必要になる・・ということはお金がたくさん必要になる事態に陥る。
これをどうにかするために増税して市中から金銀を回収し金銀の割合を減らして2−3番の資金にする
事が常套手段としてとられてきた。となると1枚あたりの価値が減ることにより急激なインフレによって資産が減少する出てくるリスクが 発生する。わかりやすく言うと1枚の銀貨で1週間分の食費に当てれたのに急に2−3日分の食費になってしまうという自体に陥るのだ。と いっても自給自足の国では他国との交易が少ないためにそこまでひどくはならないが・・・
「わが国と他国との取引をするための市場が大陸に出来たのが去年ですね。」
エランシア大陸沿岸部に各国の貨幣同士との為替やの金銀槐との交換のための取引所が開設された。
取り引き所では1時間ごとに手振りによる取引が行われ値段が決まっりその値段で直に売買されたりする。
もう一つはその決まった値段で決められた日にちに売買する契約の取引も行われている。(先物取引)
「国内ではハーローが各国の貨幣の為替の取引を行い、東京では商品としての金の取引を大阪では銀の取引を行っていると」
ハーロー・・・かつて日本が地球にあったころはドルやユーロの為替に使用されたい市場である。
潰すには惜しくエランシア大陸の貨幣の為替市場として機能している。
商品としてというのは1kgあたり何円といった具合の値段を決める取引を行っている。
日本からエランシア大陸へ輸入しようとするなら日本国円を金・銀と換えてエランシア大陸の
取引所で通貨として交換するのが一般的である。
貨幣の場合は含有率の問題で専門の問題や通貨の流通の絶対量的な問題もあって少数の商社に限られていた。
「為替と商品としての金銀のつながりは非常に重要だ。貨幣の含有率X金銀の価格となるからだ」
商社である六菱にとっては死活問題であるか新人研修の際にはしつこく教えられる。
「だからこそ、ヘッジの場として先物市場が重要なんですね」
ヘッジというのは将来的に起こる危険を回避すると言う意味で使われており、
将来的に値段があがって損することを回避することもヘッジすると言われる。
923 名前:元先。 ◆futureRZuE 投稿日: 2006/09/21(木) 00:10:37 [ BebcjN7Q ]
六菱商社本社ビル 7F
市場部と書かれた一室で出来事
「君島〜レイバント銀 35000枚11月限月 買いでよろしく」
「部長了解です。」
レイバントという国から産出される銀を11月めどに1枚すなわちインゴット1本4kgを買う契約の注文を出したところである。
140トンの銀を買うことになるが、金換算で700kg相当である。
「部長、東京金、近月 2316円で全落ちしました。21億6千万利喰えました〜」
東京市場で取引されいる契約が近い金の取引を売りなら買いで買いなら売りで売買を全部終了させた。
「大島よくやった!今日は帰っていいぞ。」
「部長っ!為替部から連絡です。"レイバント銀貨爆上げで大損だ!"だそうです。」
ちなみにレイバントの銀の年間産出は1400トンであるからその10/1を買おうというのだから高騰するのもあたりまえである。
「田中、為替部に"知らんがな!糞して寝ろ 南無"と返しておけ」
市場の動きに対処できなったのが悪いといわんばかりの返答だ。
そんな商社の一人の商社マンの話である。
925 名前:元先。 ◆futureRZuE 投稿日: 2006/09/21(木) 00:20:44 [ BebcjN7Q ]
差し替えですorz
プロローグ
嘗て日本という国が在った。しかし−今はない。
なぜなら異世界に移転してしまったからである。
物語は移転から10年後の日本から始まる。
六菱商社本社ビル 5F
新人研修所と書かれた一室
「この世界では金貨・銀貨が主流だ対してわが国は信用通貨制度だ。ここからくる問題点とは―山本?」
眠たそうにしている男を指す。
「金貨・銀貨との兌換ですね。飯田部長」
ぬけぬけとまるで何もなかったように答える。
「そうだ。彼らは紙幣を信用しない−だから他国との取引には金・銀塊が使われる」
異世界―エルニア大陸の人間は貨幣制度が紙幣登場以前のため紙幣はただの紙としか扱われていない、
もっとも証文を除いては。
「しかし、わが国の保有量では・・」
ちなみに日本の日銀の金保有量は700トン前後である。ちなみにアメリカはドルの保障という事もあり
8000トン近く持っている。
「ふむう。だからわが国は良質の鉄鋼なども取引の補助に使っている」
「良質の武器になる鉄鋼をバーター取引や輸出し外貨となる金貨・銀貨を獲得すると」
エルニア大陸の文明度合いは中世といってもいいぐらいで高精製な鉄を大量に作る技術は
無い為、日本の鉄は各国が先を争うように買い求めてくる。
「しかし−何れにせよ他国は金・銀本位制で成り立っており、貨幣などは含有率の問題もある」
ちなみに景気が悪くなるとマネーサプライズ(貨幣の供給量)を増やすため含まれる割合が2/1や3/1に
なったりする。そのため各国間の貨幣の交換比率が変わりったりもする。
「特に銀は対魔物の武器として広く使われており価格変動の要因になりやすいと?」
エルニア大陸でも銀は退魔以外にも魔法武器や魔法の触媒にされたりして大量消費されたりする。
ちなみに一番大量に使うのは大規模魔方陣を使った儀式で使用されるサークルストーンで
一個40kgの聖杯を模した物で1儀式につき6個も消費される。
「有事の金ということでも価格変動が起こる。これ等のリスクのヘッジをしなければならない」
戦争が始まると軍事費が必要になる・・ということはお金がたくさん必要になる事態に陥る。
これをどうにかするために増税して市中から金銀を回収し金銀の割合を減らして2−3倍の資金にする
事が常套手段としてとられてきた。
となると1枚あたりの価値が減ることにより急激なインフレによって資産が減少する出てくるリスクが発生する。
わかりやすく言うと1枚の銀貨で1週間分の食費に当てれたのに急に2−3日分の食費になってしまうという自体に陥るのだ。
といっても自給自足の国では他国との交易が少ないためにそこまでひどくはならないが・・・
「わが国と他国との取引をするための市場が大陸に出来たのが去年ですね。」
エランシア大陸沿岸部に各国の貨幣同士との為替やの金銀槐との交換のための取引所が開設された。
取り引き所では1時間ごとに手振りによる取引が行われ値段が決まりその値段で直に売買されたりする。
もう一つはその決まった値段で決められた日にちに売買する契約の取引も行われている。(先物取引)
「国内ではハーローが各国の貨幣の為替の取引を行い、東京では商品としての金の取引を大阪では銀の取引を行っていると」
ハーロー・・・かつて日本が地球にあったころはドルやユーロの為替に使用されたい市場である。
潰すには惜しくエランシア大陸の貨幣の為替市場として機能している。
商品としてというのは1kgあたり何円といった具合の値段を決める取引を行っていて
日本からエランシア大陸へ輸入しようとするなら日本国円を金・銀と換えてエランシア大陸の
取引所で通貨として交換するのが一般的である。
貨幣の場合は含有率の問題や通貨の流通の絶対量的な問題もあって少数の商社に限られていた。
「為替と商品としての金銀のつながりは非常に重要だ。貨幣の含有率X金銀の価格となるからだ」
商社である六菱にとっては死活問題であるため新人研修の際にはしつこく教えられる。
「だからこそ、ヘッジの場として先物市場が重要なんですね」
ヘッジというのは将来的に起こる危険を回避すると言う意味で使われており、
将来的に値段があがって損することを回避することもヘッジすると言われる。
647 名前:長崎県人 投稿日: 2006/04/20(木) 19:59:49 [ KRpK8t7E ]
皇軍スレからレーヴァテイル学校を断片的にときたま投下していきたいと思います。携帯なので投下時間が長いのは勘弁してくださいm(__)m
それでは投下します
648 名前:長崎県人 投稿日: 2006/04/20(木) 20:00:53 [ WERj3NJg ]
晴れた空、海沿いのそこは私たちにとっても暑い。
ターニャ水測士、つまり私は砲艦嵯峨の退役が決まり、次の任官が決まるまで私は学校に戻る事となった。
いろいろな事が思い出される
あの時私はどうも、帝國が転移して来た海域のすぐそばに居たらしい、一人が好きだった私は躊躇う事なくその海域に飛び込んだ。おそらくレーヴァテイルの中で一番早く
何日かかけて、手近で見つからなそうな内陸地(ニンゲンに見つからないように意表を突いて川を上ることもある)へと進むうち、潮の流れが溜まる場所へ出た
ニンゲンの言葉ではそこを泊地と呼ぶそうだ、そして私は聞いたのだ、未だ聞いたことの無い、水を切り私の心の奥底を震わせるような歌を
その正体が知りたくて、知らずのうちに水面に出たとき、自分の目を疑った・・・島が動いている、そう思った。また潜って近づくとゴぉーと同じ音が繰り返しテンポを取っていた、胸の鼓動のように・・・私は直感した、これは生きている、何て素晴らしい生き物なのだろう、こんな歌が歌えるなんて
『キュ・・・今思えば恥ずかしい話だな』
あの鋼鉄の島は帝國の戦艦だったのだから
なつかしき学び舎の門を潜る
650 名前:長崎県人 投稿日: 2006/04/20(木) 20:37:32 [ gPuSt/kQ ]
教室の方を見る・・・余鈴がなった。どうやら時間割が変わったらしい、今始まる所だろう、見た顔が教室に入ろうとしている
『キュ〜♪みんな〜おは』
ぼふっ(黒板消し直撃)
『よぉ〜っし、撃沈確認!』
『キュっキュキュ〜♪』『ユーリナーイス!』
『ひ、ひどいよみんな〜』
『『『ごめんなさぁ〜い』』』
まったく・・・私が居たときもどっちが教師だったかわからん状態だったな
教室に近づいて覗き込み息を吸う
『何をしておるか貴様ら!!!』
声色を真似た怒声に生徒達がビクっと動きを停止する、どうやらあの男も健在らしい・・・というか先生も右往左往しない!
『て、ターニャちゃん!?』
『はい、ニーギ先生、相変わらずのようですね』
『う・・・みちゃった?』
『見ました。』
微笑を返す
『あの怒声が効くあたり諫早さんもお元気そうで。授業の邪魔でしょうしまたあとでお話しましょう』
『うん、またね』
玄関を経由して職員室に向かう。後ろではニーギ先生が質問責めにあっているようだ
『諫早特務中尉か』
あの人はすごかった、私たちの扱う水測機器の先生で・・・始めて挨拶に来たときこう言ったのだ
『先に貴様達に行っておく、おれはホモだぁぁぁっ!!!!』
651 名前:長崎県人 投稿日: 2006/04/20(木) 21:10:52 [ wXB4VivE ]
どーんというような効果音が聞こえた(幻聴)
『キュ・・・キュキュ・・・(私は・・・私はいったいどこにいるだ・・・)』
『というのは冗談である、妻子持ちだ、安心しろ、このクラスの者は人語を多少は解せる者を集めたと聞いている、何があったかは聞かん、それが全てでは無かろうがな。
これから先、貴様らがレーヴァテイルを集め、人語を教えたりする事の他に、おれたちの海軍(シマ)でも働いてもらわにゃならん、迷惑かけねぇよう、キッチリしごいてやるからな!!がっはっはっはっは!!(cv郷◯大輔風味)』
思い出したら頭が痛くなって来た・・・微妙に会いたくないが、職員室に着いてしまったし・・・えぇぃままよ!
がらららっ
『あら・・・臨時職員ってあなただったの?』
居るのは一人だけだった
『ガーベラ先生お久しぶりです!』
ガーベラ先生・・・私たちの服装や立ち振る舞いを教えるダークエルフの女性だ
最初は帝國の服装でやるか?となったのだが、活動するのは大陸だし、ということで結局こちらの世界の物の方がよかろうと決まったらしい・・・五島大尉が汗水たらして仮想巡洋艦用とか言う洋服を入手して来て楽しみにしてたが、泣き崩れてたな・・・何を期待していたのか
652 名前:長崎県人 投稿日: 2006/04/20(木) 22:02:30 [ KRpK8t7E ]
『ずいぶん様になったわねぇ』
思考の途中で私を見ながらガーベラ先生が呟いた
『ご指導が厳しかったですから』
『そう?』
『そうですよ』
何も知らない私らに服だけ与えて、どうすればいいのかわからない私たちを眺めては嘲笑しつつ手直ししていくというやり方だった、精神的には諫早よりこっちがキツかったかも・・・しかし、居ないは居ないで気になるわね
『諫早先生は?』
『練習機器の整備、そのうち来るw』
『おおぉっ!?ターニャか!どぉした!なにかやらかして返品でもされたか!』
噂をすれば、整備の油にまみれて耳にタバコを挟み現れた
『それはありえません』
『冗談だよ冗談、なにせ俺が教えたんだしな!まぁゆっくり話したい所だがちょっと水を浴びてくらぁ』
『先生、タバコ。』
以前いろいろあったのだ
『わかっとるわかっとる!』
タバコを灰皿に落とすといってしまった
『キュウ。あいかわらず嵐みたいね』
『ターニャはあの人が変わると思ってた?』
『全然』
ニヤリと笑う、今日からここが職場になるのだ、変わってないことに悪い気はしなかった。
鐘がなる、授業が終わったらしい
『さ、ニーギ先生に紹介して来てもらいなさいなターニャ、先生♪』
253 名前:長崎県人(とある夫婦喧嘩) 投稿日: 2006/10/11(水) 23:39:59 [ ApfSecOw ]
『よかったわね〜リサちゃん』
桂がどっからか持って来た本を読んでいる
『またいつものか?』
しつこくせがまれるので志摩もなんだかんだで途中から見ていた(見せられていた)
『誰かさんがああしてくれちゃったおかげで、こういうシチュエーションって憧れちゃうのよねぇ』
『ああしたって、あれhげぶはぁっ!!』
ごすっごすっと脇腹の肝臓があるあたりに拳が
『スレ違うんだからそれは無し!』
『なんだよ、スレ違いって・・・まぁ出血は辛いからな、軍務に復帰できてよかったな』
そう、結局志摩も見ている、エーテルガルドの所は特に
『不満そうね?』
『たとえば、お前が軍務についたら、あらゆる権力、暴力を使ってでも引きずり降ろす。大尉はどうするつもりだ?』
『男だけで戦争が出来るなんて男の傲慢よ、物語の中でぐらい、一緒に戦って生き残ろうでいいじゃない。』
『いや、それは譲れんね。お前とは相変わらずこの点では噛みあわんな。これから子供をつくらにゃならん、産み広げるべき人間が人を殺しちゃならんよ、やはりな。』
『これまでの空戦でもう血濡れでしょ?』
『これからだ、考えなきゃならんのは』
しばしの睨みあい
『で、続きは?』
『ごめん、次巻』
389 名前:長崎県人 投稿日: 2006/10/21(土) 00:08:38 [ kXkOHBG6 ]
ナイトロス第二王子
連合帝国再生帝、エーテルガルドの唯一の記録された夫
先の大戦で崩壊した連合帝国に帰還したエーテルガルドに附き、入国して政策の補佐を取る。ナイトロス国内のコネクション等を利用して、早急な復興を目指す
しかし、若輩であることと、コネクションを使ったことにより、ナイトロスの意向を大幅に取らねばならぬ立場になり、連合帝国各位の諸侯と対立。
一方、〜年来の旧臣といった彼等を無視することも出来ないため、彼等の応対をするエーテルガルド帝は突き上げをうけつづけ、立場上からこちらも激しく対立、互いが有能であるが為、意見が噛み合わず、次第に不仲になっていったと見られる
さらに、ここに来て先帝が戦傷が悪化したのか、急逝。第二王子派の暗殺とも言われるが定かでない
これが発火点となり、内乱が発生、夫婦相打つ形となる。(実態は家中分裂の代理戦争)
軍事的才能には恵まれぬ第二王子は敗退、王子は将机に向かって立ったまま、無抵抗で妻であるエーテルガルドの槍に貫かれたとされる
この戦乱で連合帝国は安定し復興が促進された
ちなみにエーテルガルドの後継子息は養子であり、後夫を持たなかったエーテルガルド帝を処女帝とする説もある
417 名前:長崎県人(とある夫婦の夫の悲鳴で終わるお話) 投稿日: 2006/10/23(月) 19:31:19 [ 50Ied/7E ]
『エーテたんも災難ねぇ〜男の陰湿さってのは時たま救えない物があるから、でもまぁ・・・ふふんっ♪』
桂は人物史の所にあった女性の社会進出にご満悦のようです
『陰湿さなんて性別で変わる訳ないだろ。誰がやってたって権力や権威、現状や伝統を変えられたくないに決まってるじゃないか』
『あ、あんたはどうしていっつも人が悦に入ってるところで』
志摩の言にぴきっとこめかみに血管が
『女性の地位向上だとか平等を目指すからとかで無理に権力や伝統に反抗するあたりで、女なんて底が知れてる・・・なんて言う輩も出てくる、違うか?』
ちょっと殺気を感じたがすぐ萎む
『じゃあどうやれば社会に埋もれずに訴えろって言うのよ・・・やり方は、あたしも間違ってるとは思う。でも何かを定期的にしなきゃ、忘れられちゃう』
『例えばな。再生帝には、女性主体の天馬騎士団があったな、特に補佐に回った六星がそうだ。この身内を補佐に入れるにも権力の空白が必要だ。次回以降の話だろうが、その為に旧守勢力の排s』
『待って』
『ん?』
『志摩、この本買って来てと言ったけど、あたしが最初に読むから絶っ対に見ないでって言ったわよね?なんで内容知ってるのよ!?』
『し、しまっt』
555 名前:長崎県人 投稿日: 2006/11/06(月) 15:13:34 [ ibELFYCQ ]
領主A『こんな偽文書とも見紛おうような文書でエーテルガルド皇女に付いても易は少ない、どうせ復興等で締め付けてくるに違いないわい』
領主B『かと言って第一皇子とムッター将軍では・・・』
領主C『なら、頭越しでナイトロスや諸候の側に領地を返上して臣下となりますればいかがか?』
領主A・B『おまい天才じゃね?』
エーテたん『直轄領以外右ならえで領地を差し出して保身に走るなんて・・・なんてこと!』
第二王子『これからその直轄領は燃えちゃうわけだけどね』
副長『参戦している各国から戦費代替の領地分割案と国内利権の委譲の案が・・・』
領民A『復興のためにとかで締め付けはキツくなる一方じゃ!』
商人A『資金を投入されるのはナイトロスの商人ばっかりじゃ!』
兵卒A『取り巻きは帝の仲間だけじゃ!第一、第二王子からして・・・』
領民B『再生帝じゃねぇ!最低帝だ!もう我慢できねえだ!』
民衆『おう!一揆じゃ、一揆じゃ〜!!!』
各国首脳『国内を纏まらせ切れないのならば、統治能力無しと判断し、連合帝国じたい無しの方向で分割しちゃいましょう、復興の端緒がついた時点で』
エーテたん一同『ちょ・・・おま・・・!』
556 名前:長崎県人(とまぁいつもの夫妻の話でした)m(__)m 投稿日: 2006/11/06(月) 15:34:31 [ JaGeE3cU ]
志摩『抵抗がないってことはこんな事が往々にしてあるって事だろうが、果たしてどうしたもんか・・・』
桂『あんたね・・・毎回毎回人が楽しんでるときに、どうして水挿してくるのよ!』
志摩『いや、その好きでな、そういうの』
桂『だいたい、いつからたん付けしてんのよ!前まで普通に皇女だったでしょうが!あ!そういえば、おまけふろくのしっと団応募手紙が時たま無くなってるのって・・・まさか!』
志摩『な、何の事かな?私はさっぱり』
桂『あんたは私だけ見てりゃいいのよ!罰が、必要なようね・・・』
志『いや、ちょっと待て!それは!それはもう無理だって!』
桂『天!上!天!下!唯!我!独!そーん♪』
そらに鳳凰が舞い、桂の快感げな笑顔がカットインされる
無論、志摩の方は綺麗に空を飛びキリ揉みしたあと床を転げて半死状態になったのは言うまでもない(片腕ないし受け身は無理だしね)
777 :長崎県人(いつもの、投下乙です):2006/12/07(木) 19:13:16 ID:7Vp0wi8U
『いよいよ、か・・・』
『浮かない顔ね』
桂に借りた本を読み終えたので返す
『居なければ良いが、王位を纂奪するとなれば第一王子の一族を根だやしにするしかない。王子はともかく、その妻や子供をエーテが槍のほさきに抱え上げる。例えお話であっても、女の人にはして欲しくないね』
『そりゃまた・・・仕方ないんじゃないの?どうしたってエーテに継位の順は覆せないし』
少し考えて志摩は切り出した
『あとだしになるが、エーテルガルドと第一王子の双方を立てて第一王子の子あたりを元皇帝の父に預ける。一方の権限を強化させず。時期を待つ、先のばしは手でもある。状況を把握するなり、あらゆる手が使えたはずだ。わざわざ国を弱体化させる譲位をしたエーテルガルドの父親が一番悪い、戦役が始まっても何の動きも無い、長子に情は無いのか、と・・・仮にも第一子だぞ!』
『・・・』
桂がドン引きしている
『あ、すまん。子供を持つつもりの人間としてちょっとな』
『・・・ま、わからなくもないけど、あたし達みたいな庶民じゃないし』
『それにギルド関係のも完全に権力を譲り渡したのと同じだ、ナイトロス系統のと衝突必須だし・・・ブツブツ』
『・・・貸すの、控えようかしら』
824 :長崎県人(いつもの):2006/12/17(日) 01:45:30 ID:kXkOHBG6
『はぁ〜こっちに帰って来たはいいけど人質状態だからこういうすか〜っとする弾のバラ撒きはカ・イ・カ・ン♪』
『そう、ですね』
『あら?ミスミさんは気に入らないの?志摩の御用達よ?』
ミスミが首を横にふる
『いえ、貴族の子弟達は母親なり、よき妻なりを守ろうと扉側に集結して銃弾を浴びたわけですから、旦那様なら彼等をボンボンといって捨てるエーテルガルドに眉をひそめる所かと』
『あーわかるわかる、んでもって・・・そうねぇ西洋の城なら入って来た時点で天井が落ちて来て皆ごろしとか出来るだろうがと愚痴ってるかもね〜』
『ふふっ、ありそうですね』
『・・・近頃は、本を読む暇もないってのは可哀相ね』
『お身体を壊さなければよろしいのですが・・・』
『へぇっくし!!!あ、いや、失礼!(だれだある事ある事言いやがってるのは)』
846 :長崎県人:2006/12/24(日) 16:37:34 ID:gY4wlmWo
投下乙〜
遅きに失してしまいましたが釣り天井を黙って作って改易されたのが家康の息子に居たかと、あと石橋で抜いたら崩れる石を考えてたりもあるんで無くはないよと、補足。
三階ということは床が落ちるとかよかったかも。ネオアトラン!とかガミラスに下品な(ryで思いついたわけでは無いのれす
いつもの
『自分で殺した、かな・・・?生麦事件だかの時に50人の切腹を命じておいて、見分の途中で吐いて本国に逃げ帰った奴も居たしな。まぁさすがにそういう事はないか』
『あ、あなたね・・・(汗)』
『あとは周辺領主が他の国に鞍替えする機会がこれで調ったわけだ。逃げるよ、大量にね』
『他の国も望むところかしら?』
『ああ。それから慰めは仕方ない。第二王子に任せた、エーテが望むよう身が痛む事をしてやればいい・・・だが、月並なセリフだが、戦いは始めるより終わらせるのが難しい。しかし赤子を殺して精神的に落ち着いて居られない状況でそれは出来ん・・・そのためにもな』
『・・・ゴメン』
『いや、そうなるのは当然さ。桂の場合自分の・・・それに荒療治だったとはいえ一週間』
『うん・・・』
我々のような目に会う事無く、エーテルガルドに幸あらん事を
847 :長崎県人:2006/12/24(日) 17:05:49 ID:X8fclSxo
あとこんなの考えた
『同志エーテルガルド、処分は我々に任せてくれないか?』
コジェトフは言った
『・・・いえ、私が』
ぐふっ
鎧の間に副長の手甲が
『ふ、副長、何・・・をっ』
『陛下ばかり、汚れ役にならずともいいじゃないですか・・・任せてください』
倒れたエーテを副長がかつぐ
『そちらがウォーセレモニーとして首切りをしたいと言っておりましたな。連れて行く貴族達に紛れ込ませるのが確実でしょう』
『承知した』
『どういう事だ貴様ら!?』
『統治にはイメージというものが大事なのですよ、元第一皇子。喚かないでいただきたい、余人に見られては陛下の言ったよう御家族ごと消さねばならなくなる』
第一皇子にそう告げると彼は押し黙った
『家族は助かるのだな?』
『命だけはな、我が国の大地のどこかでの垂れ死んでも私は関知しないが』
『・・・まて、ここに流れる筈の血はどうする』
『身代わりを用意する』
『私ので十分だ、女だけなら野原に放り出さずとも他の生き方も出来よう』
『あなた!』
『私の子を頼むよ、王としては何もしてやれなかったが、父親として一つくらいはな』
『血が足りん、肝臓を貫く。苦しんで死ぬぞ』
『是非も無い、感射する』
127 名前:旅人C 投稿日: 2006/10/08(日) 17:47:21 [ iv6a05dQ ]
”転移”それが平成日本を巻き込んだ災厄だった。
唐突に、何の前触れも無く日本という国はもといた世界からはずれ、剣と魔法の支配する”ふぁんたじー”な世界へときてしまったのであ
る。
当然のように原因は不明。
星のめぐりだの世界同士の干渉だの、果ては神様の暇つぶしだと喧々諤々と言い合っても問題は解決することが無かった。
当初はエネルギー問題から、食糧問題などが山積みであったもののそれは異界の国々からの買い入れ、休耕地の復活などによって何とか解
決した。
”転移”から五年もたった現在では第一次産業従事者は、10パーセントと転移前と比べて格段に農業人口も増えている。
128 名前:旅人C 投稿日: 2006/10/08(日) 17:48:21 [ iv6a05dQ ]
こうして、日本は着々と異世界になじみつつあった。
しかし、ここでネックとなったのが周辺諸国―といっても、日本から一番近くの国まで、日本⇔ハワイ間ほどの広さがあるのだが―との技術格差だった。
一般にこの世界において使用されているのは魔術であり、これもまたご想像のとおりに使い手を選ぶ技術である。
たった一人の大魔術師が王国一つを滅ぼした、ということも古代ではあったらしい。無論今ではそこまでの使い手はいないのだが。
話を戻そう、ともかくこの異世界においては科学なんて必要が無かったせいかまったく発達していないのである。
医術?―司祭に頼んで、大地母神に祈ってもらえばいい……かなり効く。
空を飛ぶには?―ワイバーンやグリフォンに乗ればいい……知恵が高く、温厚な彼らは飯でもおごれば結構気軽に乗せてくれる。
製鉄技術は?―そのみちウン百年のドワーフたちがいる……彼らの精錬する”魔法金属”は物理学に喧嘩を売るようなものばかりだ。
他にもいろいろあるが、だいたいのことは村に一人はいる呪い師にでも頼めば解決するのである。
実際教会に行けば神様の声が聞こえるのはよくあることだし、夜になれば幽霊が墓場で騒ぎを起こす。
繰り返すが”ふぁんたじー”な世界だ。
129 名前:旅人C 投稿日: 2006/10/08(日) 17:49:14 [ iv6a05dQ ]
それだから、国内でいくらDVDプレイヤーを作ろうと海外には輸出できないし、車だってメンテナンスができない。
コンピューターなんていわずもがな。
こうして技術オタク大国日本はもっとも磨きをかけたいわゆる最先端分野でお金をもうけることができなかったのだ。
その代わりに好評を博したのが布、とりわけ、絹や化繊であった。
絹も化繊もその肌触りのよさを買われて大輸出、エルフやドワーフがユニク○のブランドの服を着てF世界の城下町を闊歩する光景はさして珍しいものでなくなってしまったのである。
こうして、人件費の安い中国になかされていた織物産業は異世界において完全復活を遂げたのだ!!
……あれ?話がずれてる?話を戻そう。
130 名前:旅人C 投稿日: 2006/10/08(日) 17:49:48 [ iv6a05dQ ]
何はともあれだ。日本は異世界においてそれなりにやっていっているのである。
先にも言ったが一番近くの陸地からは日本⇔ハワイほども離れている。
これだけ離れていると侵略を吹っかけられることも無い、石油だってクリーンエネルギーへの転換も研究されていたわけだし、そもそもこの世界では石油にたいした価値は無い。
だから、がんがんと結構な安値で買えている。
こうして、日本が満たされると次は外の世界がどうなっているのか知りたいと思うのが人の性。
事ここにいたり、日本国政府は通商条約を結んだ国家に対しての民間人の渡航を許可することとなった―とうぜんそれが自己責任の名において行われることは言うまでも無い。
平成××年 異世界へときて五年目の春のことだった。
131 名前:旅人C 投稿日: 2006/10/08(日) 17:50:23 [ iv6a05dQ ]
「へー、ここが異世界の国か?」
アールド王国の港町サガ・シュンに一隻の大型船が入港した。
その船から運び出されるのは日本から輸出された絹や化繊、そして人だ。
いま、一人の青年が船から降り、感慨深い声を上げた。
日本のどこにでもいるような普通の青年である。
「……帆船とモーターボートが一緒に係留してあるというのは相当なミスマッチだな」
おなじく、船から降りてきた人間がそう評した。
こちらは女性だ。長い髪を背中でくくり、凛とした強さと美しさがある。
その美貌は異世界でも健在だ。現に港の男達は視線を彼女に釘付けにされている。
あっ、デート中のカップルの男が見惚れてカノジョに平手を食らった。
「早く降りてくれないか?後がつかえている」
野太い声でそういってくるのは最後の一人。
声に似合ってその体は2メートル近く、体毛は濃い。
短く刈られた髪の毛とびっしりと生えた濃いひげがもみ上げを経由してドッキングしている。
しかし、童顔なその顔にはどこか愛嬌があった。
見事なまでにばらばらな三人だが、彼らはそろいもそろって同じ高校に通っていた同級生である。
しかし、その起源は古く幼い頃からつるんでいた幼馴染である。
この春に高校を卒業し、暇になったので春休みに異世界を見てこようと日本を出発してきた若者達だ。
こうして、彼等の異世界旅行は始まった。