224 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/09(木) 23:09:04 [ XitU55gg ]
・・・オガサワラ諸島・イオウ島沖200Km・・・
青い海に広がる青い空!青い空!・・・青い空。海軍歩兵師団を乗せた輸送船団は延々と続く大海原を渡っていた。輸送船団の周囲を護衛のフリゲートや駆逐艦が守り、その更に外側に海上自衛隊の護衛艦が睨みを利かせている。
それらしい海上戦力が無いのに、何故ここまで警戒を厳にしなければならないのか?それは・・・
「巡洋艦ハタカゼより発光信号!・・・・・・深度100付近を正体不明の物体が接近中!進路上約10Km!速力は10〜15ノット!!」
「来たな・・・『クラーケン』が!ハタカゼに返信!近付かれる前に潰せ、とな!」
クラーケンは、シーサーペントに代表される海竜と並んで、巨大かつ危険な生き物である。
この惑星の大航海時代、帆船の主な沈没原因がこの二種類の海洋生物の襲撃によるものである。鉄製船の登場後はそういった被害は減少したが、外洋航海がこの世界では盛んでなくなってしまった。
「海峡まで入り込んだ日にゃ、沿岸砲台を引っ張り出しての大騒ぎになんな。とりあえず進路変更だ!護衛が何とかしてくれるだろう。」
この世界での海洋に潜む生物の退治方法は、ひたすら砲撃して追い払う事だ。爆雷というものは発明されていない。
もう一つは海面に姿を現したところを攻撃することだが、その時にはかなり接近されているので確実に仕留める必要がある。
「ハタカゼより続報!全長約50メートル!かなり巨大です!!」
「暖流でここまで来たか・・・!釜を焚け!全速で逃げるぞ!念のため砲戦準備!」
「アイアイサーー!!」
225 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/09(木) 23:10:55 [ XitU55gg ]
クラーケンも海竜も世界中の海に生息しているが、赤道付近で生息するタイプのものが最も大きくなる。
南大陸西岸を北上する赤道暖流・日本式に言うなら黒潮は、北大陸西部の中間付近・東北沖で極地方の寒流と合流する。この辺りまではその手の巨大生物がやって来る可能性を持っているのだ。
「ジエイタイ艦艇が迎撃に向かいます!」
「海軍の駆逐艦はジエイタイに追従!その他の艦艇は我々の護送を続けます!」
「旗艦ハタカゼに信号送れ!『クラーケンのタコヤキをご馳走してくれるのを期待する』だ!」
「アイサー!」
・・・。
「発光信号返ってきました!『アカシヤキになりそうだ』です!」
「よく分からんが大丈夫ということだろう!最後に合流地点を伝えておけ!!」
「アイアイサーー!!」
226 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/09(木) 23:14:07 [ XitU55gg ]
・・・駆逐艦・ムーンフラワー・・・
「全速前進!もっと速くならないのか!?」
「艦長!現在22ノット!これ以上機関に負担をかけたらいつ壊れてもおかしくありません!」
「機関室より連絡!『限界に近い!速度落とせ!』です!」
「クッ・・・。18ノットまで落とせ。」
「ヨーソロー」
この駆逐艦はやや旧式ながら瞬間的に20ノットを超えて航行できる。緊急時の短時間に限られるが。
「あっ!ジエイタイロケット発射!」
一隻あたり2発のロケット、アスロックを発射する。
「落下傘を開きました!降下中!!」
クラーケンは体色素を変化させてかなり巧妙な迷彩を施す。監視方法が目視だけの時代にはかなり接近されるまでは気付かれなかったが、レーダーやソナーがある船に対しては・・・
「海面に着水!」
駆逐艦からかなり離れた場所に着水する。
・・・。
「・・・?変化ないではないか?」
・・・。
「何か浮かんできました・・・クラーケンのようです」
227 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/09(木) 23:16:07 [ XitU55gg ]
「今日のメシはなんだろな〜〜」
「そろそろ船上最後の飯だ!」
「明日は地上の楽園イオージマ!!」
「なんだか食欲が湧いてきた!」
海の上の楽しみは食べることにある。
「はいはいみなさん。きょうは取れたて料理ですよ!」
海軍歩兵の前に出されたのは、焼いた小麦の玉だった。
「なんじゃこりゃーー!!?」
「ニホンの伝統料理を真似したんです。どうぞどうぞ!」
「そういうことなら」
パク・・・モグモグモグ・・・モグモグ・・・モグ・・・
「しょっぱ!!」
「まず・・・」
245 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/14(火) 20:54:05 [ XitU55gg ]
『情報局 イオウ島における海軍歩兵師団合同訓練 中間報告書 (非公開指定)』
イオウ島での訓練は非常に良い成果を残している。しかし、魔法兵を中心とした兵士を中心に精神的に疲弊した者が多く見られる。
以下の記録は、海軍歩兵師団隷下の第19自動化魔道中隊所属の女性士官が書いた日記である。
ニホン側に提示された資料によるものが原因なのかは現時点では不明。
8月5日
長旅も終わってやっとイオウ島に到着。クラーケンの不味いごはんで意気消沈していたおかげで、火山島だけど南のリゾート地に見える。
今日は荷物の搬入だけで終わってしまった。明日からの訓練に備えて早く寝よう。
8月6日
昨日の夜は、戦竜と飛竜の夜鳴きでなかなか寝れなかった。普段はあまり泣かないのに。飼育担当も理由がさっぱりわからなくて、首をひねってた。
昨日は忙しくて気付かなかったけど、なにか得体の知れない雰囲気をあちこちに感じる。
魔法中隊は機材整備で訓練には参加できなかった。魔法回路の出力が安定しない。その調整のおかげで、一般兵の訓練を眺めていた。
「そびえ立つクソ」「アカの手先」・・・日記だけど書くのはやめとこう。ひどい言葉遣いのヒトがいる。
246 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/14(火) 20:55:12 [ XitU55gg ]
8月7日
明け方、声が聞こえた。誰も居なかったからまた寝た。空耳みたい。
昼間は上陸作戦に参加。まともに動かない魔法兵器を、例のヒトが「粗大ゴミ」と罵った。ひどい・・
夕方には魔法兵器はどうにか安定したけど、時折不安定になる。なんなんだろう?
8月8日
ひどい夢を見た。
この島の洞窟に閉じこもって、向かってくる敵を撃ち続ける。敵に突撃して蜂の巣になるところで目が醒める、という夢。
朝のミーティングでは、似通った夢を見た同僚も何人か居ると聞いた。所詮夢と笑われたけど
撃たれる時の現実感は、思い出すだけで冷や汗が出てくる。今日は静かに寝れますように。
8月9日
ちゃんと寝れたけど、訓練で海岸沿いの塹壕に篭って魔法を発射している時に幻聴を聴いた。
話している内容はわからないけど、たくさんの人間の怒号や悲鳴に感じた。
何人かと連れ立って師団長に異常を直訴したけど、相手にしてくれない。
247 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/14(火) 20:55:42 [ XitU55gg ]
8月10日の日記は記載されていない。中隊の日誌にはこの日以降、体調不良で休養したことになっている。
11日以降は記述がかなり変化している。
8月11日
また足音。彼らが来る。眠りたくない。寝ればあの夢を見る。この島から出たい。
8月12日
二日以上寝てない。 声が近付いて
8月13日
入り口にひと 呼ぶこえ
248 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/14(火) 20:57:20 [ XitU55gg ]
彼女は翌日本土から来た連絡船に、同様の症状を訴える兵士と乗せて一足早く帰国させた。体調の優れない飛竜・戦竜も本土に返す。
度合いは違えど、同じような症状を訴えた兵士も多数いたため、今回の合同訓練を最後にイオウ島での演習は一切行わないとの取り決めをニホン政府とする。
幻聴、現実感を伴う夢は、理論魔法学で予知される『残留思念』が人間に与えうる影響の一つとされる。
魔力の強い人間や竜のような高等魔法生物が、かつての戦場の記憶の残滓を意識に反映してるのではないか。
これは理論の域を出ていないが、帰国後に回復した兵士達の証言を聞く限り無視できないことである。
情報局は魔法専門家と協力して、イオウ島の経過観測を行う。
258 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/16(木) 23:52:09 [ XitU55gg ]
対連合帝国戦の検討委員会には情報局や政府関係者以外に、南大陸連合軍に参加する国の派遣軍責任者、外交官、更にオブザーバーとして日本政府・自衛隊関係者も出席していた。
「今日皆さんに来ていただいたのは他でもありません。我が国の準備は残り一ヶ月程度で終了し、後は確認を兼ねた演習と兵員の移動を残すだけです。」
参加者は一同に押し黙っている。各国の思惑は少しずつ異なれど、10月から11月には戦端が開かれるのだ。
「陸戦及び空戦の主戦場は、エルビヌメイン防衛線になるでしょう。防衛線の構築は大方終了しています。」
「資料にある通り、街道沿いに構築した塹壕と高台にある重砲で連合帝国軍を迎え撃ちます。」
「配備するのは第二歩兵師団、第三歩兵師団、第五歩兵師団、予備戦力の第四・第六歩兵師団、それに砲兵、騎兵、魔法兵、戦竜、補給支援部隊を含めて約85000名です。1.5会戦分戦えます。」
「備蓄が少ないのでは?帝国軍は数波にわたる攻撃を仕掛けてくる可能性があるのではないでしょうか?」
自衛隊関係者が発言すると、ナイトロス関係者は一応に厳しい顔になった。
259 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/16(木) 23:52:58 [ XitU55gg ]
「どこかの国が一億人以上の食料品や資源をいきなり要求してきて、我が国や各国は無理してそれを輸出しているものでして・・・」
「おまけにその国は、戦争に参加する気があるのか無いのかはっきりしないんでね。」
「・・・・・。」
自衛隊はそこそこの人数がナイトロスにいるが、政府は参戦するかどうかは明言を避けている。
「いつまでも小手先のパフォーマンスは通じませんよ。」
「ニホンが最初から参戦の意志をきっちり示していただければ、延々と塹壕を掘らずに済んだんです。」
「金品では得られない物も存在することを、ニホン政府首脳はお忘れでは?」
「総理はきちんと考えを持っていますので、近いうちに発表を行うと思いますが・・・」
「期待しています。南大陸は一億人の穀潰しをいつまでも無償で養えるほど豊かではないですから。」
260 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/16(木) 23:53:37 [ XitU55gg ]
「続いて各国の派遣軍司令官の方々にお伝えすることですが」
多くの国が大小様々な兵力を派遣してきている。
「唯一大規模な陸上戦力を派遣してきたアスターは、出来るだけ早い時期に前線に出てもらいます。」
「良いでしょう。貴国の戦竜部隊も、どうにか形になってきましたから。残りは我々が指導しなくともやっていけるでしょう。」
「コバルタは海軍を出すかもしれないと外交省から連絡がありましたが、結論は出そうですか?」
「派閥間の争いが激しく、派遣艦隊の指揮官が誰になるのか決まっていません。艦隊自体を出すことは決まっています・・・」
「あまり遅くなると共同作戦を取れなくなるかもしれませんよ!」
「本当に申し訳ない。」
「竜騎兵は空軍の一括管轄としているので、空軍からの指示に従ってください。」
「「了解」」
261 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/16(木) 23:54:13 [ XitU55gg ]
「最後に、首都鎮守府を含めた北大陸の王国領には、間もなく国王陛下が直々に戒厳令を発表して避難希望者の疎開を始めます。」
「夜間外出禁止令も同時に発布されるので、各国の兵士は不用意に夜の街に繰り出さないように警告してください。憲兵や警察に捕縛されても責任を負いかねます。」
「工場や鉱山も場合によっては操業停止するかもしれません。遠方の国は仕方ありませんが、近隣の国は必要物資を自己調達してください。」
「ちょっと待ってください!輸出が減るということですか?!それは困ります!」
日本はほとんど道端の石同然の存在になっていた。再び日本代表に注目が集まる。
「そんなこと言われましても・・・。敵が前線を突破したら市民を疎開させるに決まっているでしょう。そもそも、市民が避難を始めた時点で効率は低下するに決まってるではないですか。」
「そうなる前に、戦闘機や戦車で連合帝国軍を駆逐してくださればいいんです。」
「出来るだけ善処はしますから、ニホンはニホンの問題を早く解決してください。」
「次の会議は一週間後に開きます。それまでに話をある程度まとめておいてください。」
279 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/19(日) 00:06:06 [ XitU55gg ]
生活・経済関連:経済はほぼ麻痺状態
京浜、京葉工業地帯以外の工場はほとんど操業停止
原子力発電所のおかげで完全な停電にはなっていないが、夜間は送電を停止し、昼間は地域ごとに停電させる時間を決めている
石炭の輸入は軌道に乗ったので、首都圏の石炭発電所は運転再開の準備中
自家用車は基本的に使用禁止(守られていない)。商船や農耕機械、漁船と一部の公共交通機関は動いている
石油備蓄の放出と南大陸からの輸入で、石油危機は小康状態(坂を転げ落ちるように悪化→じわじわと悪化)
各種取引所は閉鎖。財務省、経済産業省が超法規的処置で価格を統制
第一次産業以外は、企業の倒産や休業で失業者が急増。再就職のあてもあるはずがない。マイホームパパの仕事は食料探しになる
食べ物を求めて都市部の住民が農村地域に大量流入し始めている。凶悪犯罪もうなぎのぼりに上昇
衛生状態の悪化でコレラや赤痢が広がる。この惑星独自のウィルスによる破滅的な伝染病は幸い起きていない
行政・政治関連:麻痺状態。部分的に復旧
転移後の首相の強権(治安維持目的の自衛隊出動、帝国への『空爆』、海外への自衛隊派遣etc)に反発する野党→内閣不信任決議
→却下→野党への懲罰動議→却下の無限連鎖が続く。資源・食料が欠乏し、輸入品と共に南大陸からのメッセージが届くようになると、この動きは少し減る
食料・資源を自衛隊の軍事力で引き出すということ自体は賛否両論ありつつも、転移後しばらくして行われた総選挙で与党が勝利したことから、一応支持を受ける
一部野党は自衛隊派遣に対して強硬に反対。彼らの抗議によって国会が度々空転する。今でも自衛隊派遣の審議は紛糾する。要するに牛歩状態
北海道、大阪、広島、鳥取、長崎、沖縄を中心に大規模な暴動。警察の手には負えない為、自衛隊(沖縄では米軍も)が鎮圧にあたる
北海道、九州、四国、沖縄では一時期日本国離脱の動きもあったが、中央政府の恫喝であっという間に頓挫
297 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:28:31 [ XitU55gg ]
「と言う訳、でだ。夜は基地の外に不用意に出るな。正当な理由無くうろつくと、職務質問の対象になるぞ!」
「「りょーかい」」
全員やる気ねぇ・・・。
「首都防空の要たるジーク隊の精鋭が、夜遊び出来ないくらいで何へこんでいる!」
「副隊長は部下に奢らずに済みますもんねぇ。本当は懐が暖かくなって嬉しいんじゃぁないですか?」
ギクリ
「ば、馬鹿野郎!そ、そんなわけないだろう!」
「ふーーん」
「へーー」
「ほほう」
勘弁してくれ。俺だって金銭の保身に走ることもある。
298 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:29:55 [ XitU55gg ]
「みんな揃ってアレックスを責めるんじゃない。金欠の上官にモノをねだるのは、物乞いのやることだ。ほら、副隊長。続きだ」
「あ、はい」
隊長がいなかったら、俺はやっていけてないな。
「夜、出歩きたい時は隊長へ事前に連絡して許可証を貰えよ。下らん理由では書いてもらえないぞ。」
「隊長はカタブツだし・・・」
「無理・・・」
「んで、実際出かけるときには守衛に許可証を見せれば外出できる。職務質問されたら許可証を提示するように求められるから、許可証は何時でも出せる場所に入れておけ。」
「「了解」」
「娯楽目的で申請して隊長を困らすなよ!」
「以上だ。」
299 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:31:19 [ XitU55gg ]
・・・・・。
「むぅぅ」
目の前にあるのは書類!書類!銀(しろがね)の城と言わんばかりの量だ。
「隊長ー助けてーー!このままじゃ出征前に過労で死んでしまいます!」
「私も死にそうなんだ!ほら!」
隊長の前にはそれこそ戦艦の艦橋の如き書類の山が・・・隊長すいません。
「いよいよ戦争ですね。」
「あぁ戦争だ。アレックス、びびっているのか?」
そりゃぁびびってますよ?何しろ「はじめてのじっせん☆」だし。
「隊長はどうですか?」
300 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:32:34 [ XitU55gg ]
「私か・・・。十年以上前に南方で実戦を経験したよ。」
初耳だ。
「その時の出来事を教えてはくれませんか。」
俺がジーク隊に配属されたのはおよそ五年前。その時には隊長は副隊長だった。それ以前の隊長はあんまり知らない。一介の竜騎兵からのし上がった実力者だって話だ。
「そうか。気持ち良くない話をするのだが。それでも聞くか?」
ペンを置いて俺に言ってきた。少し影の入った顔だ。珍しい。
「ナイトロス空軍で実戦を経験した人間はそうはいませんよ!是非とも聞きたいです!」
「私にとっては一生消えそうもない記憶だ。分かった。話そう。」
不意に隊長の顔が真剣そのものになった。それこそ訓練の時にも見せないくらいに。
301 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:34:02 [ XitU55gg ]
「中央アルエスは知っているな。」
「はい。名前だけなら。」
南方の国だ。それだけ。コーヒー豆が美味いってことぐらいか。
「今でこそ安定しているが、アスター連邦内戦終結後もあの国は泥沼の内戦が続いていたんだぞ。」
隊長詳しいな。でも何でそんなに・・・
「詳しいですね。」
「あの頃、ナイトロスは新配備されたある飛竜の性能評価をするべく、中央アルエスにその飛竜とテスト竜騎兵を派遣したんだ。」
「飛竜?一体何の・・・」
「それは機密だ。この派遣だって、正規に派遣したことにはなっていない。義勇軍扱いだ。」
「隊長はそれに参加したんですか。」
「そんなところだ。」
302 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:36:18 [ XitU55gg ]
「着いたところは地獄だったよ。アスターやその周辺国から駆逐された共産党強硬派の残党の竜人がこの国のあちこちに逃げ込んで、辺境地域はそれは酷かった。」
「・・・。」
「地面に転がっているのは獣人だったモノ。悪魔の仕業としか思えない殺され方だった。」
「えぇと、その」
隊長の一人語りモードだ。止めようにも話が重すぎて、止める言葉が無い。
「最初は吐いていたが、数日経つと串刺しや内臓を引きずり出された死体を見てもなんとも思わなくなった。まぁ、帰国した後しばらくは肉を口にする気にはならなかったがね。」
「怯えきった表情をした猫人族の子供達の顔は、それはそれは痛ましかった。」
「・・・。」
「済まない。愚痴みたいなことを言ってしまったな。空戦のほうだが、爽快感なんて一回も無かったよ。」
「爽快感が無い?」
「ブレスが当たる度に火達磨になって地上に落ちる、飛竜の竜騎兵を見届けるのを爽快感だと感じるなら話は別だ。」
303 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/20(月) 00:38:23 [ XitU55gg ]
実戦話はもういい。空気が重過ぎる。話の話題を変えるタイミングを逸してしまった。来たれ救世主!!
トントン
『失礼します!隊長はいらっしゃいますか?』
おぉリサ!救いの女神だ!!
「・・・!リサ一飛兵か。私はいるぞ。」
「では失礼します。あ、大尉もいたんですか。」
「何か用かな?許可証か?遊ぶためなら発行しないぞ。」
「隊長は察しがいいですね。でも遊びじゃないですよ。お金を預かっている人達の中に前線へ行った人達がいるんですが」
「うん?」
「『もし自分が死んだら○○に資金を渡せるようにしてくれ』って言われたんです。」
あ゛ーーー駄目だーー!女神どころか邪神が来たーーーー
「昼間は軍務が忙しいですし、夜なら銀行の夜間窓口でどうにか出来ます。それに今やっておかないと、もう出来ないかもしれないので・・・。」
すごく意味深長な発言。張り倒すぞ貴様!
「それなら出そう。やれることはやれるうちにやっておけ。数ヵ月後には生死が隣り合う刹那の世界にいるのだから。」
隊長の例えようの無い顔!リサの妙に真面目な顔!仕事をほっぽりだして逃げたい空気だ!
311 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/23(木) 22:43:15 [ XitU55gg ]
「団長!魔術師ギルドより派遣された人員が到着いたしました!面会を求めておりますが・・・」
「分かったわ。通しなさい。」
やっと来たわ。予定よりだいぶ遅れていたし、お年寄の魔法使いが旅の疲労でポックリと
「連れて参りました。」
「・・・あ、え、近衛天馬騎士団へよく来た。楽にしなさい。」
変な事は考えないほうがいいわね。
ゾロゾロ
「これはこれはエーテルガルド騎士団長殿。本日は貴女様のような麗しき女性の下で働けることを」
「長々しい美辞麗句はいらない。ギルドから何か言付されていないか。あれば聞いておく。」
契約に関する色々な制約とかはちゃんと聞いておかないと、後で難癖付けられてぼったくられる原因にもなる。
「そうでございますか・・・。元々の契約書には書かれていないのでご注意ください。それでは・・・」
312 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/23(木) 22:44:13 [ XitU55gg ]
「まず、『参加している人間の半分以上を生還させること』、発狂・再起不能の場合も生存者として数えません。」
無茶はするなってこと?爺さんに無茶させられないわ。
「続いて、『基本的に拠点防衛へ投入する』、今回の派遣メンバーでは敵地への攻勢に耐えられる保証はありません。命令されれば行きますが。」
私達は空中騎士団だし、直接敵陣に殴り込むわけじゃない。飛竜やペガサスが着地できるような場所を確保させるのに投入するつもりでいるから。
「そして、『食料などは全て近衛騎士団が持つ』、衣食住はお願いします。」
足元を見られてる。軍内での発言力が弱いからって・・・!!!
「さらに、『他ギルド、魔法学校の魔術師との共同作戦は避ける』、ギルド間には様々な確執があるものでして・・・」
あなた達は私の配下の竜騎士団、天馬騎士団全てで、まとめて要求しているから大丈夫。
「最後に、『違約金は直ちに支払うこと。滞納時には物納となる』、場合によってはペガサスの差し押さえや、女性騎士の方は・・・まぁ、そういうことになります。」
最後の文面は脅し?栄光ある近衛天馬騎士団が、団員の身売りなどと言う不名誉なことをっっ!!
313 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/23(木) 22:45:45 [ XitU55gg ]
「するわけない!!!」
「!!?」
「団長?!」
「・・・すまない。何でもない。では、ギルドは他に何も言って来ていないな?」
「はい。言付は以上でございます。」
はぁ。ギルド幹部への接待も何もできないと、こんなに五月蝿いのね。前回以上だわ。
「私からの質問だが、君達は本当に『できる』のか?見た目では引退間近か魔法学校卒業したての新米にしか見えないが。」
紹介してもらった時からの疑問。ギルドの斡旋係は、結局言葉を濁しただけだし。
「はははっ。ここにいる者達は、老年ならばかつての英雄!若年ならば将来の英雄であります!」
「英雄の頃からどれほど魔力が衰え、また魔法学校での卒業成績がどのくらいなのか知りたいのだが」
314 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/23(木) 22:46:51 [ XitU55gg ]
「エーテルガルド殿。申し訳ありませんがもう一度仰ってくださりませぬか?耄碌したのか聞き逃してしまいました故に・・・」
「・・・・・・・・・・・・もういい。下がってよい。」
「そうでございますか。それでは我々は退席させて頂きます。若者達がこの街を見て回りたいと聞かないものでして。」
「そうか。ここは南方方面軍の街だ。見るべきものがあるとも思えないが。副団長、非番か待機の騎士を何人か彼らの警備に回しておいてくれ。」
「御意。」
・・・。
「副団長。期待を裏切らなかったわね・・・悪い方の」
「まったくです。貴族の領地ピクニックと同じとしか考えてません。」
能力が平均以上だったら万歳ね。役立たずだったら泣くしかないわ。
329 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/28(火) 22:18:09 [ XitU55gg ]
「リサや・・・・・起きなさい!リサや・・・・・」
どこからか私を呼ぶ声。なんなの?
「!」
「ハァハァハァ・・・」
目の前にはステレオタイプのオヤジが。その前にここはどこ?
「あんた・・・誰?」
「私はあなたの飛竜。ジークの精です。」
「馬鹿言わないで。私の飛竜は人間で言ったら成人したてだし、そもそも雌よ?」
いつの間にか持っていた拳銃を「自称」ジークの精に向ける。
「ああっ そんな突っ込みしないでっ っていうか銃をおろしてっ」
330 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/28(火) 22:19:09 [ XitU55gg ]
「ここはどこ?あなたの用件は?」
「応援しにきたのに、このオパーイ守銭奴ときたら・・・」
パン! パン!
「言いたいことはそれだけ?」
チッ外れた。勝手に登場しておいて私を馬鹿にするなんて。
「ぼっ 暴力反対!!今すぐ銃をおろしなさい!!」
「じゃぁ何?」
「ガンバルリサを応援しに参りました。さァ、精霊様に何でも言ってみなさい。」
331 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/28(火) 22:20:02 [ XitU55gg ]
「変態オヤジに言いたいことは無い!私を帰しなさい!」
どこの馬の骨か分からない変人のいうことなんて
「・・・・・・そんな控えめにいると、いまに大尉を他の女に」
ズキューン! ズキューン! ズキューーン!
「黙れーーーーーーー!!!」
拳銃を乱射する!!こんなオヤジにそんなこと言われるなんて、くやしいっ
「まっ待ちなさいリサッ。今の無しっ!嘘!ノーカン!ノーカン!」
パーーーーン・・・
「しとやかな女性がヒステリーなんて起すモンじゃないDEATH。そんなことよりリサ。よくお聞き。寝ている場合じゃないのだよ。今、君にはゴイスーなデンジャーが迫っているのだよ」
332 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/28(火) 22:20:48 [ XitU55gg ]
「戦争は早くても10月以降よ。今はまだ8月!デンジャーはそんなに迫ってないでしょ。」
歴史では迫っていても、個人には少し遠い!
「ギクッ。・・・さ、早く起きなさい。大尉も待っていますよ。」
「あっ!説明責任を果たしなさい!!」
「・・・ウフフフ。そろそろお別れの時間のようですぞ。ガンバルのですよリサや。さらばだ・・・」
「待ちなさい!ちょっと待ってよ!」
「ギャーッ!この私の首がもげ中から石筍が!!」
「意味わかんない!勝手にいなくなるな!!」
「ナガタが辞表を!?」
「は?」
「フリー記者からよくできたメールをもらいなさい!」
「え?」
「スリジャヤワルダナプラコッテ」
・・・・・ガバッ
「はぁはぁ・・・夢?」
333 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/02/28(火) 22:21:39 [ XitU55gg ]
・・・。
「リサーーッ 今までになく操縦が悪いぞ?集中力が無くて空飛ぶカトンボ同然だった。」
「すいません。」
今までに無く空戦成績が酷い。あの夢の直後で飛竜と心を合わせようって言われても・・・。
「飛竜の操縦は乗り手と飛竜が連携をとってこそ、その真価が発揮できる。飛竜と何かあったのか?」
「そんなことないですよー。今日は調子が悪いみたいで・・・」
言えない!私の飛竜の精(自称)が夢に出てきたなんてっ
「おいおい。戦争前までには万全に戻せよ。それにしても集中できないって・・・まさか!」
まさかって・・・もしかして大尉
「金勘定もほどほどにな。体を壊して金を使ったら元も子もないだろ。俺の配当はちゃんとくれよなー」
・・・・・・・・・あう。
「私は横領なんてしません!大尉も目の下の隈がゴイスー・・・ぁあ!?」
「ゴイスー? ニホン人のクセが移ったか?ハハハハ!」
「そうみたいです。アハハハハ・・・」
疲れてるのかしら私・・・。
360 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/03(金) 23:06:47 [ XitU55gg ]
「わが息子たち、娘よ。各自の仕事を中断させて、帝都に集めたこと詫びさせてくれぬか」
父上は皇帝だし、詫びを断れるわけ無いでしょう?・・・そんなことは口が裂けても声に出さない。
「帝室の一員として、当然の行いで御座います、陛下。」
このくらい言っとかなくちゃね!
「そうかそうかエーテルガルドや。女でありながら最前線に赴くお前のことが本当に心配じゃ。」
「心配してくださり誠に光栄です。帝国の先鋒としての任を果たさせていただきます。」
父上は、私が帝国・国教会連合軍第一陣に参加したのは自薦していると未だに思っているらしいけど、有力貴族や兄達の横槍の結果なんだから!いい加減気付いてくれないかしら。
「我らは陛下の補佐として、帝国軍本陣に参加いたします。陛下は何もなさることはありません。」
一番上の兄さんが兄達を代表して言った。正直、残敵掃討しか仕事が無いと思っているでしょ!
「エーテルガルド、何か言いたそうだな?」
「気のせいではないでしょうか」
三男。間抜けそうな顔をしていて、意外と人の表情を読み取る能力に長けてる。やる事は全然だけど。
361 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/03(金) 23:07:22 [ XitU55gg ]
「おまえ達を激励するというのも呼び集めた理由の一つだが、もう一つは国教会のことじゃ。」
父上の目が鋭くなった。真剣に物事を考える時の目。普段の政務もこういう眼差しでいて欲しいわ。・・・これも声に出せない。
「陛下、昨今の国教会の跳梁は看過できないものになっております。帝国の力と威信を、此度の戦で見せつける必要があると思われます。」
「国教会軍主力の一部は、既に南方方面軍管轄地域に達しております。我が帝国を出し抜こうてしているのは明白です!」
「・・・主らも私と同じことを思っておったか。ワシは・・・」
「ならば・・・」
「・・・。」
父上と兄達は国教会の話題で盛り上がっているけど、そういう帝位にからまない権力闘争は私はパス!変に首を入れると、本当に首が飛んじゃうかもしれない(異端裁判や魔女裁判とか)。
「・・・で宜しいでしょう。」
「ウム!良き提案じゃ!・・・エーテルガルド!!」
「はい!?」
362 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/03(金) 23:08:06 [ XitU55gg ]
話がまとまったみたい。考え事してたからあんまり聞いてなかったわ。
「何でございましょう陛下?」
「お主が皇帝の名代として、第一陣に参加する国教会を押さえ込むのじゃ!」
え、ええぇぇぇぇ!!?
「唐突に言われましても・・・」
「『連合帝国の国是を思い出せ』といえば良い。『皇帝の許可無く進撃すれば逆賊である』でも構わない。」
国教会に限らず血気盛んな竜騎士団の連中は、既に何度も出撃しようとして私が諌めている。
「陛下の名代ですか・・・」
今までは近衛天馬騎士団長の立場として暴走を止めていたけれど、皇帝の名代として止めろってことは
「くれぐれも皇帝陛下の名に傷を付けるなよ、エーテルガルド??」
はめられた!少しでもしくじったら、深窓の姫君になっちゃうじゃない!この歳でそんなの無理!!
363 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/03(金) 23:08:55 [ XitU55gg ]
・・・。
空に星が見えてきている。夕食を兼ねた晩餐会には多忙を理由に参加せず、ペガサスに乗って帝国南部に帰ることにした。
(道標・・・道標・・・)
護衛の天馬騎士を何騎か引き連れて帰還するうちに、だいぶ暗くなってしまった。夏になると、どういう訳か夜の訪れが遅くなるけど、流石に出立するのが遅すぎたかしら。
(氷星・・・・あった。)
氷星(*第三惑星・この世界での名称)は、夜間飛行の時に目印として本当に役に立つ・・・?
(あっ・・・)
白かった光が血の色に濁り始めてる(*第四惑星による第三惑星の『食』・第三惑星は白色で第四惑星は赤色)!こんな時期になんて不吉な・・・
(とにかく今は戻ることだけ考えましょう)
386 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/06(月) 20:29:29 [ XitU55gg ]
「第一飛竜機動艦隊をニホンに出すと!?それはまたなんで急に・・・」
副官の言葉に海軍司令長官はうろたえた。かの艦隊は来るべき作戦に備えて、フランシア軍港に投錨している。
「先程、国軍大臣から連絡があったばかりでして。とにかく王宮へすぐに来いと・・・」
(王宮?普通なら作戦司令部なり国軍省に呼ばれるはずなのだが。)
「既に艦隊はニホン訪問をしている。なぜ?」
「分かりません。早く王宮に向かいましょう。」
「う、うむ。」
承服しかねる、という面持ちで礼装に着替え始めた。
387 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/06(月) 20:30:53 [ XitU55gg ]
ナイトロス王家の王宮は、首都フランシア中心部からやや外れた場所にある。王宮とは思えないくらいこぢんまりしていて、それを王家も自覚しているのか、催し事は王宮以外で開かれることが多い。
「国王陛下。国軍大臣、海軍司令長官、陸軍参謀総長、空軍司令長官、第一飛竜機動艦隊司令官が到着しました。」
「こんなオンボロ王宮によく来てくれた!まぁ楽にしてくれ給え」
「「ハッ」」
首相と上院・下院議長を従えて国王が現れた。現ナイトロス国王。時折毒のある発言をすることのある50代の人間である。2人の男子をもうけているが、退位当分先とされている。
「単刀直入に言おう。私はニホンに行くぞ。」
「以上だ。首相である私はナイトロスに残る。国王陛下は王族外交をなさるのだ。」
388 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/06(月) 20:32:30 [ XitU55gg ]
・・・・・。
気まずい雰囲気が流れる。『このクソ忙しい時に何言ってるんだ』と。
「ストレート過ぎたかな。意味無くニホンに行くわけではない。ニホン政府の尻を叩きに行くだけだ。」
「海上移動で、護衛に第一飛竜機動艦隊を出すのですありますか・・・?」
機動艦隊の司令官が恐る恐る言う。
「上出来だ。その通り。」
「非常時が近付いている今、艦隊を無闇に動かすのは」
今度は海軍司令長官だ。だが
「海軍が提案した作戦、あれは危険すぎる。普通なら認めることは出来ない。」
ナイトロス国防軍は、国軍が兵員・装備を国王から下賜されているという建前がある。国王自体の指揮権が無くとも、その建前の体裁を国軍は気にしなければならない。
389 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/06(月) 20:33:31 [ XitU55gg ]
「国王陛下。非常に失礼な言い振りになってしまいますが、海軍と取引しようとしているとしか・・・」
「司令長官、いい勘だな。君達の提出する作戦を黙認する代わりに、私をニホンまで運んでほしい。ニホンの輸送手段はどうしても信用ならん。」
ニホンの航空機や船舶にゲリラが紛れ込んでいるとも限らない。その前例もある。
「補給と日程が揃えば・・・」
「よし。補給は・・・国軍大臣!お前が回すよう手配しろ。日程は・・・往復8日、滞在2〜3日、帰港後の船舶検査一週間で見積もってほしい。出発は三日以降一週間以内だ。」
「分かりました。」
国軍大臣は歪んだ顔で応えた。激しい腹痛が彼を襲う。
「三軍の長は大臣を責めないで欲しい。」
三人は引きつった笑顔を返した。
(普段は外遊しないのに、こんな時にでしゃばりやがって)
「不満があるなら辞表を出せ。」
413 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/10(金) 23:54:21 [ XitU55gg ]
「そんな急にー?」
「何故ですかー?」
今日の朝のミーティングは、隊長の言葉でみんな目が点になった。俺もだ。
「隊長!私もそのような予定聞いていませんでしたよ!初耳ですよ!?」
たいていの事は、隊長と副隊長である俺には最初に耳に通すはずなんだが。
「先ほど、基地司令に口頭で言われたのだ。国王陛下が飛竜艦隊を引き連れてどこかに行くらしい。」
この時期に?陛下は何を考えてるんだ?
「そういう訳で、艦隊出港当日は上空警戒をやる。その日の予定は全部キャンセルだ。」
いつ帝国の飛竜が来てもおかしくないように、隊員のほとんどはここ最近、休みをとってない。そのせいか以前に比べると不満の声が少ない。
「予定よりかなり早く飛竜母艦がフランシアからいなくなる。現在艦載飛竜と共同で行っている首都防空は、これにより終了になる。」
海軍の竜騎兵と会うことはあんまり無い。共同と言いつつ担当空域がちょっと違う。地上に降りている時には街中で遭遇したりするけど。お別れの言葉を言っておきたかったな。
414 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/10(金) 23:55:52 [ XitU55gg ]
「よって防空網に穴が生じる可能性がある。海峡ならまだしも、自国の首都上空まで他国の飛竜に任せるなどできない。」
まぁその通りだ。首都の空をフランシア市内に多数いる各国の派遣飛竜に任せたら、ナイトロス空軍は何してるんだって話になる。
「空軍兵学校、空軍士官学校、国防大学から訓練教官の一部と、それぞれの学校の竜騎兵専攻最上級生を引き抜いて首都防空任務に充てる。」
「編隊飛行がどうにか維持できるぐらいの技量では、他国の竜騎兵に笑われてしまいますよ!」
学校にいる時じゃぁ、実戦に必要な最低限度のことしか出来ない。技術をしっかり磨くのは練習飛行隊に配備されてからだ。
「アレックス、お前がこの隊に来た時の自分のことを思い出してから、同じ事を言ってみるんだ。」
「・・・。」
古参の連中から嫌な感じの笑いが漏れる。最初の頃はあまりの技量の差に、本当に後悔したもんだ。
「『なんでジーク隊に志願してしまったのか。もといた部隊に戻りたい』、それが口癖だったろう?忘れてはいないぞアレックス副隊長!」
「ハイハイ隊長。あの頃は自分の技術を過信していましたよ!さぁ話の続きを早く!」
痛い昔話は本当に勘弁。
415 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/10(金) 23:58:46 [ XitU55gg ]
「脱線してしまったな。彼らが来るからという話だ。この基地のジーク、オスカー首都防空隊以外の部隊は大部分が北方に転出しているから大丈夫だろう。」
日に日に、この基地から飛竜がいなくなっていった。結局ニホンがやって来る頃と同じ数に戻っている。・・・あれ?
「しかし各国の派遣軍の飛竜は、この基地と北フランシア基地に大量にいるではないですか?」
「彼らは今まで通りだよ。大尉はもう少しアスターとケビシニア友好のため頑張ってくれ。」
「どうって事ないですよ!」
宿舎の部屋は狭くて不便だが、三人同じ部屋の生活にも馴染んでしまった。それにあの二人と話してると楽しいし。
「転出した兵士が引き払った部屋に、教官と訓練生達がやってくるぞ。暖かく出迎えてほしい。」
「「了解!」」
「私の話は以上だ。アレックス、彼らを受け入れる準備のための書類を書いてもらうぞ。」
「・・・・・りょうかい・・・」
416 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/11(土) 00:00:33 [ XitU55gg ]
・・・。
「ぬおー!前が見えないぞ!リサ、前は大丈夫か!」
「大丈夫ですよ!大尉、階段なんですから慎重に!」
隊長からは、受け入れる訓練生、教官たちの搭乗する数種の飛竜の詳細な資料を渡された。前が見えないくらいに。
「なんで俺が飼育係に渡す飼育マニュアルを書かなくちゃならないんだ!?飼育係たちがやればいいだろ!!なぁリサ!?」
「言ってることはごもっともですけど。あ、階段はあと五段です。」
「畜生ーー。重いぜ!」
「大尉、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「その書類って一応機密書類ですよね?」
「そうかな。旧式飛竜といえども、飛竜の詳細は秘密だったはず。」
「でも大尉?大尉の部屋にはこの国の人じゃない軍人がいますよ?良くないんじゃないですか?」
417 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/11(土) 00:03:10 [ XitU55gg ]
「あ。・・・って、わわわぁぁぁーーー!!!」
階段の最後の一段に躓いた。こ、転ぶ・・・
「大尉危ない!!」
バサバサバサ! ドタ!ダン!ポフ。
「痛ってぇ・・・くない?」
躓いた拍子に目をつぶってしまった。その後に来るはずの衝撃もたいしてなかった。「ポフ」という音はなんだろう?とりあえず目を開けよう・・・
「同志大尉!?なにをやってるんでありますか!?」
「お盛んですね大尉・・・。」
声のした方に目を開ける。あの二人だ。顔が妙にひきつって見える。
「どうした?」
「同志、下を」
「見てください」
418 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/11(土) 00:06:07 [ XitU55gg ]
「んん?そういえばなんだか柔らかいな。・・・・!!!」
俺の下にはリサがいた。それも至近距離で。
「た、大尉・・・」
すっ転んだ時にリサも一緒に巻きこんじまったのか。二人から見たら俺がリサを押し倒してるようにしか見えないだろう。・・・マズイ!
「二人ともこれは違うぞ!!これはな・・・」
「大尉ダメです・・・こ、こんな場所で急に・・・ま、まだ心の準備ができて・・・」
赤ら顔で言うのは止めてくれ。本当に妙な考えが浮かんでくる。
「ドアホ!俺を不名誉除隊させたいのか!!?」
「冗談ですよ大尉!とりあえず私の上からどいてください。・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと本気でしたけど」
「何か言ったか?」
「・・・。」
「二人とも!俺達は転んだだけだ!部屋に戻れ!散らばっている書類は機密資料なんだぞ!」
何ともいえない表情で部屋に引き返す二人の背を見ながら、そこら中に散らばった資料をリサと掻き集めていく。マニュアルはどこで書こうかなぁ。
・・・その日の夜には今の顛末があちこちに広まっていた。リサは女子兵相手に妙に嬉しがっていたが。あのネコとトカゲ野郎・・・ぶち殺してやる!
435 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/15(水) 21:44:52 [ XitU55gg ]
『ジーク02発離陸準備完了!』
『フランシア管制塔、了解!』
『ジーク02発進する!』
上昇する途中に見る青空は、いつの間にか夏から秋に変わり始めていた。もう九月だもんなぁ。
『ジーク01よりジーク隊各騎へ。編隊を組みフランシア軍港に向かう!』
『『了解!!』』
『各自ミーティング通りジーク01、ジーク02、ジーク03を編隊長騎とせよ!』
五騎編隊×3というやや変則的な構成、俺と隊長は三騎編隊×5もしくはロッテ×7+隊長の編隊を主張したんだが、基地司令の
「編隊は大きいほうが見栄えがいいだろう」
の一言で、戦闘には向かない・・・見てくれだけの編隊を組んでいくこととなった。納得いかねぇ!出世したいから文句は言わない。
436 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/15(水) 21:46:05 [ XitU55gg ]
『ジーク01より各騎へ!間もなくフランシア軍港上空に到着する!艦隊直掩の艦載飛竜と合流する!』
『了解!』
港の上空には何騎か飛竜が飛んでいるようだ。種類は何だろう?
『こちら飛竜母艦クラウドドラゴン所属サム06!ジーク隊の到着を歓迎する!』
サム隊か。数ヶ月前にはタコ殴りにしていたのに、今では立派に任務をこなしてやがる。嬉しいやら悲しいやら。
『ジーク01より編隊長騎へ!ジーク01編隊とジーク02編隊はこのまま艦隊上空を旋回!ジーク03編隊は10キロ西進して進路上の安全を確認せよ!』
『ジーク02了解!』
『ジーク03了解!』
眼下の艦隊は港から出港中のようだ。長時間居座るためにも速度を落としておこう。
『ジーク02より編隊各騎へ。速度を150から180ノットに固定。上昇気流を上手く使え!』
『『了解!』』
437 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/15(水) 21:47:08 [ XitU55gg ]
第一飛竜機動艦隊旗艦・ブルードラゴンの艦橋
「国王陛下。補給艦及び補助艦の出港も間もなく終わります。全艦が出港次第、港外で艦隊を組んでニホンに向かいます。」
「良くやった司令。私は客人故に艦隊の指揮を執るつもりはない。航海中は君に全て任せる。」
「は、ありがとうございます。」
艦船の多くが港外で陣形を整え始めている。海峡という性質上海流が激しいので、低速艦は隊形を組むのにかなり時間がかかる。
『司令、前衛部隊が進路上の目視・魔探警戒を始めました。』
『沿岸警備隊の哨戒艇、民間船舶の誘導始めました。』
『ジエイタイのP3C哨戒機を確認しました。どうしますか?』
「どうしたものか・・・。追い払うわけにもいくまい。」
「司令。ニホンは私ごと艦隊を吹き飛ばすほど野蛮ではないはずだ。」
「そうですか。では放置しておきましょう。」
「潰す気ならば、ジェット戦闘攻撃機(F−2)の誘導ロケット攻撃か、潜水艦の雷撃を受けているはずだろう?」
「それもそうですな。」
(そんな情報、陛下に伝えたという話は聞いていないが。・・・流石に国王陛下、侮りがたし!)
453 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:09:50 [ XitU55gg ]
「まーーったく!国王陛下の気まぐれは困ったもんだぜ!!」
そう言ってソーダ水を飲み干す。酒は戦争終結までお預けだしな。
「国家元首が直接乗り出すのは良いことなのでしょうか同志大尉?」
「中尉!政治の世界はよくわからねーよ!俺達は目の前の戦争に立ち向かうのみだ!竜人族なのに細かいことを気にし過ぎだぞ?」
「同志・・・竜人族に対する侮辱に聞こえるのであります。同志との仲ですから咎めはしませんが、竜(ヒト)によっては、今頃大尉の頭はミートソースになっておりますよ。」
「悪かったよ。ハラ減ったなぁ・・・サマリムの連中の夕食はまだかー!?」
サマリム兵(エルフ族かドワーフ族)の連中の料理、味は一級品だが作るのに時間がかかる。
「もうそろ来そうです。いい匂いがしてきました!」
「少尉は猫人族なのに鼻が利くのか?犬人族の特権かと思ってた。」
「顔を引っ掻きますよ?」
「すまん。ジエイタイ兵士からせびった缶詰を後でやるよ」
「そう来なくては!大尉はお人好しですよ!本当に!」
誉め言葉と受け取っておくよ。
454 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:10:28 [ XitU55gg ]
そうこうしているうちに夕食が運ばれたきた。
「うまそうだ。サマリム料理は最高だ・・・!」
一口くらいつまんでも・・・
「同志大尉!ジエイタイの方々がお見えになる前に食べるのは、よくありません。我慢しましょう。」
伸ばした右手を中尉に掴まれる。柔らかくなったとはいえ、まだまだカタブツだぜ。
「ジエイタイは遅いなぁ。というか時間ぴったしにしか来ねぇ頭の固い連中だ。」
時折ある交流イベントでも、ジエイタイは時間厳守だ。早く始められそうでも、時間通りに始める。
「マニュアル通りじゃ、マニュアル以外の事態に遭遇した時にロクな行動が取れないと」
「アレックス大尉。仰々しい演説をまだまだ続けるか?」
「隊長!!いえ!切り上げたいと思います!!」
ジエイタイ兵士を迎えに行っていた隊長が帰ってきた。後ろにはゾロゾロとジエイタイの面々、時間通りの登場だ。
「ジエイタイの皆様もいらっしゃったことですし・・・(中略)・・・ジエイタイの皆様は適当な席でゆっくり食事を取って下さい。」
455 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:11:09 [ XitU55gg ]
・・・。
「ほーキュウシュウ島とシコク島では飛行機は飛ばしてないのか。」
「飛ばしてないのではなく飛ばせないのです。そうでなければ、戦闘機パイロットである我々がここまで研修しにくるはず無いでしょう。第一、日本は石油が無いから・・・」
俺(と同室の中尉・少尉)のテーブルに座ったジエイタイ兵士は、戦闘機パイロットのようだ。さっきからずっと不平不満ばかり垂らしてくる。
「同情はするけどな。ナイトロスから飛竜を買わないか?空戦性能、航続距離が自慢だぜ!」
「ケビシニアの飛竜は安さが自慢ですよ。是非いかがですか?」
「アスターの飛竜は頑丈さと搭載量の多さが自慢であります。飛竜は石油ではなく餌で動きますよ?」
「超音速で飛べないでしょう飛竜は。私は超音速戦闘機に乗るのが子供の頃からの憧れで、それを何の因果か旧時代程度の代物に・・・」
こりゃぁ重症だな。「乗れない」禁断症状が出てるかも分からん。ここは常套手段を使うか。
「悩める航空ジエイタイの兵士よ!戦闘機に乗れるようになったら何をしたいんだ?」
話題逸らしは会話の基本だよな。
456 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:12:53 [ XitU55gg ]
「それは・・・仲間内でもこの話で持ちきりだったんですが、巨大な古竜を倒して『ドラゴンスレイヤー』になってみたいですね。」
「なーーッ」
「えっっ」
「ば、ば、ば」
「馬鹿かあんたは!」「死に急ぐものではありません同志!」「死にたいでんすか?」
夢物語にもほどがあるぞッ!!
「古竜と言っても、炎を吐く鱗の堅い空飛ぶトカゲ・・・」
「おいおい。人間の手に負えるは幼生体か子供の古竜までだぜ。向こうは俺達に敵意を持ってないのに、何をトチ狂って敵しちまうんだ!!?」
「でも皆さんは古竜を追い払ったことがあるんでしょう?」
「追い払うだけなら飛竜で進路を塞ぐだけでできる。知能は人間以上らしいからな、領空の概念はあっちにも通じるんだろ。進路を変えてくれるだけだ。」
子供の古竜なら首都防空隊+αで撃墜できるだろうが、こっちも全滅だな。消し炭すら残らないだろう・・・。
457 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:13:43 [ XitU55gg ]
「同志!アスターもとい竜人族では、古竜は神の御使いであります。神話やおとぎ話ではそういう記述も多いのですから、そういう考えは起こさない方が良いと」
「神話が怖くて科学技術立国ニッポンの国民をやっていられますか!」
「創世の後、神は古竜を世界の守護者として創造なされた。」
中尉が本気モードに入り始めてるな。語りを始めた。
「おい中尉!共産主義は神を信じてないだろ。」
「これは『民間伝承』ですよ同志大尉。・・・そしてある時、世界の理を全て記した書物を邪悪な悪魔が手に入れた。」
「南大陸南部では、その手の伝説は結構ありますね。ケビシニアにもありますよ。」
「同志少尉は話がわかる。・・・その悪魔は世界を我がものとせんがため、その書物にあらゆる邪悪な生物たちを創造させた。」
「邪悪なる悪魔の尖兵たちは海に空に陸に満ち、世界を滅ぼさんと動き始めた。」
「その尖兵はタコ型水の旧支配者だったり、悪魔王の側近蝿だったりするんですか?」
「ニホンのことは理解しかねます。・・・古竜達はそれらを防ぐ為に立ち上がり、大地の形が変わるほどの戦いを果てしなく続け、遂に彼らを滅ぼした。」
458 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/17(金) 21:14:56 [ XitU55gg ]
「悪魔と尖兵は滅ぼされ、理の書物は古竜達によって破壊された。その一方で古竜も数を大きく減らし、この大陸から去っていった。」
「それで?」
ジエイタイの奴、信じちゃいねぇ。
「大陸から去る際、古竜は彼らの知識を我々の祖先に託した。」
「・・・その知識で国を作り上げたってか。ナイトロスは北大陸伝来の宗教が主流だからなぁ。そんな伝説はあんまりないな。」
「この話のミソは、古竜は『奢れる者を撃ち滅ぼさん』と言い残したことですよ。人の道を外れて真理を追究する者や、古竜に立ち向かう愚か者を戒めているのですよ、この伝説は!」
「それは伝説でしょう?」
時には、伝説が真実の断片を伝えてることもあんだが。
「ニホン人はわかっちゃねぇな。それは伝説だとしても、能力はモノホンだぜ。」
「歳を経た古竜の鱗は、戦艦の主砲だって受け付けないと聞きます。猫人族は嘘つかない!」
「ブレスだって、最大威力なら都市一個を吹き飛ばすらしいですよ。」
「結局、伝聞だけで真実とは限りません!私は空対空ミサイルを直接当てるまでは信じませんよ!」
世の中には触れないほうがいいこともある。いわゆる『天罰』が下らなきゃいいが。
466 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/20(月) 20:55:42 [ OTJyFFp6 ]
投下!各種族について
>>460
トンデモ仮説は信じるものじゃない
>>461-464
ここはひとつ、攻撃力60防御力80の火属性・竜族
クリ−チャーの容姿で手を打ちませう。まぁゴ○ラは飛ばない
放射能ブレスで空を飛ぶのはナシ!
古竜はスゴイよ!↓くらい!
エネルギー比較
銃弾(AK47 5.45mm弾):1500ジュール
魔法(連射式光弾一発):2000ジュール
車(高速自動車道走行中):30万ジュール
ダイナマイト(1キログラム):300万ジュール
TNT火薬(1キログラム):400万ジュール
ブレス(軍用飛竜・火球平均値):3000万ジュール
ガソリン(1キログラム):4800万ジュール
高射魔導砲(魔法・最大出力):8000万ジュール
砲弾(大和級戦艦46cm砲):2億5000万ジュール
メガンテ(DQ・攻撃魔法):10億ジュール
雷:15億ジュール
ブレス(一般古竜・通常出力):40億ジュール
フレア(FF・攻撃魔法):800億ジュール
ブレス(長老級古竜・最大出力):2兆ジュール
原子爆弾(広島・ウラニウム核分裂反応弾):10〜20兆ジュール
熱・電気・運動、更に魔法エネルギーがごちゃまぜなんで、破壊力には直結してません
飛竜のブレスの威力が、ダイナマイト10キロ分というわけじゃないです
467 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/20(月) 20:59:20 [ OTJyFFp6 ]
@人間族
攻撃力:低い
防御力:低い
魔力:低い
俊敏さ:普通
繁殖力:普通
この世界の主役。日本も含めると2億人もいる。素の能力は大したことない。
身体の非力さを武器でカバーする。
Aエルフ族
攻撃力:低い
防御力:低い
魔力:非常に高い
俊敏さ:高い
繁殖力:低い
『森の民』。3500万人いる。繁殖力は人間と同じだが、寿命が長いので世代交代が遅い。
身体の非力さを魔力と素早さで補う。
468 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/20(月) 21:00:51 [ OTJyFFp6 ]
Bドワーフ族
攻撃力:普通
防御力:高い
魔力:非常に低い
俊敏さ:普通
繁殖力:普通
『工芸の民』。3000万人いる。工業、鉱業などの分野で活躍。
小柄ながら、体は頑丈に出来ている。
C鳥人族(平均値)
攻撃力:低い
防御力:低い
魔力:普通
俊敏さ:普通
繁殖力:非常に高い
『飛べない鳥の民』。1500万人いる。肉食型・草食型など亜種ごとの差が大きい。
卵生なので、家計を無視すれば子供をたくさん産める(法律規制はある)亜種が多い。
469 名前:171 ◆XksB4AwhxU 投稿日: 2006/03/20(月) 21:02:47 [ OTJyFFp6 ]
D竜人族
攻撃力:非常に高い
防御力:非常に高い
魔力:高い
俊敏さ:低い
繁殖力:非常に低い
『竜の民』。1000万人いる。素の戦闘力は非常に高い。どの種族をも圧倒している。
一回で一個の卵しか産まず繁殖能力自体も低いので、増え方は相当遅い。
E犬・猫人族
攻撃力:高い
防御力:低い
魔力:低い
俊敏さ:非常に高い
繁殖力:高い
『南方の民』。猫人族が200万、犬人族が100万人。メイドや給仕として出稼ぎに出る者が多い。
先祖に倣って子沢山。爪や犬歯が強力な武器になる。