302 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/09 10:28 ID:???
ぐは・・今知り合いが帰ったよ。続き提出いたします。
30分後
先ほどから話は一行に進まず閣僚が提案。防衛省長官が否定。というのを何度も繰り返していた。
「・・・ではどうだろうか?」
「それも考えましたが先ほどの事情と同じで恐らく難しいかと存じます。はっきり申し上げますと我々が取りえる解決方法は次の5つです。
1、一時オーランと休戦し国内およびエルフィール軍の充実を待ち再び開戦。
2、エルフィール軍に突き出して、処分は任せる。
3、ジュネーブ条約を破り自ら捕虜全ての射殺。または奴隷として周辺国に売りさばく。
4、敵都市に対し戦略爆撃をかけて敵経済力及び予備兵力および士気を完全に削ぐ。
5、あらゆる戦闘を中止して東部方面軍を九州まで引き上げる。
この中で我々が人道主義を貫く場合1の方法しかないと思われます。
一応5の方法も出来ない事はありませんが事体は全く進行しない上に隊員達が命がけで確保した領土を取り返されてしまいます。よろしいですか?」
「ふむ。続けてくれ」
宮井大臣がのほほんとした顔を引き締まった顔にして促した。
「次に人道を無視し軍事的にオーランに勝利することだけを目的とするのなら2,3そして4の選択肢を選択するべきと考えます。
しかし先ほども申しました通りこのような行為を行なった場合、もし国民にばれた場合、勝つにしろ負けるにしろ我々は現在の椅子を追われることになるでしょう。
もし皆さん方が後の世から批判される事も厭わないというのならいっそ4の方法を選択したいと思います。
この攻撃には前線に大規模な空港を作ることが必要条件ですが作戦の概要を説明させていただきます。
まず国内の国連軍と協力しオーラン上空の制空権を完全または一時的に確保します。
303 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/09 10:32 ID:???
同時に各空軍が保有するC-130輸送機などから米軍が保有しているBLU-82・・現在国内に24発有ります。を投下致します。
この爆弾は燃料気化爆弾に分類されておりますが正しくは粉塵気化爆弾と言ったほうが良いでしょう。
正常に爆発した場合 投下地点から4海里内の生命体は完全を抹殺できます。
もし頑丈な要塞または防御魔法で回避したとしてもこの爆弾は辺りの空気を瞬間的に燃焼し尽くすので最終的には窒息死いたします。
またそれを補完する為に前線の敵部隊や小都市に対してもF-15EなどでCBU-72を投下し可能な限り殲滅いたします。
同時に地上部隊からもMLRSなどで砲撃し残された残敵を掃討。これによりオーランという国をこの惑星の上から完全に消滅させる事が出来ます。
仮に生き残っていたとしてもその後も組織的に抵抗しようとはしないはずです。
此処までするのにはもちろん訳があります。もしエルフィールが我が国を元の世界に帰還させるのを渋った場合の恫喝になります。
エルフィールも我が国の存在を恐れできるだけ早く元の世界に押し返そうとするでしょう。」
その恐ろしい提案に会議場が静まり返る。柘植がつづけた。
「まあこれは万が一の際の選択肢の一つとして皆さんの記憶の片隅において置いてください。
とりあえず今まで道理の人道主義を貫く限り選択肢は1しかないと考えます。しかしながらこの選択をした場合最低2,3年は必要ですが」
ふたたび静まり返るがしばらくすると宮井首相が最初に口を開いた。
「・・出来るだけ早く元の世界に国民を戻してやりたかったが無理なようですな。」
「はい。」
「では出来るだけ有利な状態で休戦条約を結ぶ為のプランを次の閣議までにいくつか提出してください。」
宮井は自身もその交渉にむけて頭の中で計画を練りながら柘植に告げた。
「は。了解しました。」
柘植が宮井に対し敬礼をしながらそう返答した。
・・・・・・・・・・・・・・
中途半端ですが番外編一応終了です。
このまま続けると永遠に終わりそうもないので・・
なお矛盾があるかもしれませんが政治について知識のある人が補完してくれたら幸いです。
338 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/10 18:38 ID:???
本編の続き生きます。
「このまま進んでたら時間がかかりすぎる!!狙撃班!!俺について来い!!」
「了解!!地獄までお供します!!」
障害物や救助に来て貰えたのを喜ぶ市民や逃げ惑う市民にその気は無くても邪魔になって
人波で先頭がなかなか進まないのにイラだった相沢三曹が分隊長に許可を取って部隊と別行動を開始した。
自分が部下の五人を率いて近くの三階建てのこじんまりとした屋敷に64小銃のほかに大きなライフルを担いで向かって行った。
玄関のところにはその家の使用人だろうか 給仕服をきた女性達が顔を覗かせていたので相沢が彼女達に敬礼し訊ねる。
「この家の関係者ですね?」
「は?・・はい!!このお屋敷で雇って頂いています。・・それが何か?」
突然妙な長い鉄の塊を担いだ男に話し掛けられて彼女達は驚いたが
「緊急事態です。残念ながらこの屋敷は我々が接取させてもらいます。その旨、主人に伝えておいてください。 よし続け!!」
といって彼女達の間をかき分け部下達と屋敷の中に土足のまま上がり上の階を目指して階段を探した。
咄嗟の事に彼女達も一時反応できなかったが最後の隊員が入り込んだところで慌てて一人が階段に足をかけようとした相沢三曹の前に立ちふさがり抗議する。
「こっ、困ります!!勝手に誰かをお屋敷の中に入れたりしたら私たち首になっちゃいます。」
「後で責任は取ります!!それに味方が我々の支援を待っているんです!!通してもらいます!!失礼!!」
そう言って彼女の肩を掴み階段の端に避けようとする。が彼女は頑張ってその場を譲らない。
「駄目です!!騙そうったってそうはいきません。ドサクサにまぎれて何か盗みに来たんでしょ!!」
「仲間の命が掛かっているんですよ!!早く其処を開けてください!!」
そう言って力を込める。がその細い体の何処にそんな力が有るのか顔を苦しそうに歪めながらも道を譲らない。
「そんな嘘ぐらい見抜けます!!大体戦場はかなり先です!!あなた方は魔法使いでも無いのにこんな遠い所から支援できる訳ないでしょう!?」
多少魔術の心得がある事が彼女を奮い立たせたのか勇敢な事に彼女は隊員達つまり兵士を相手に一歩も引かなかった。
339 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/10 18:38 ID:???
「相沢!!何をしている!!とっととこの女を排除して屋上に上らんか!!なんなら私が排除してやる!!」
頭の上に載っていた64小銃の精霊、軍曹が何処から取り出したのかシャーペンサイズの日本刀を引き抜きながら相沢に叫ぶ。
「ふん!!出来るものならやってみなさい このチビ助!!返り討ちにしてあげるわ!!」
「言ったな小娘!!望み道理この村雨の錆に・・」「あーもう!!・・失礼!!」
相沢が飛び掛ろうとした軍曹を空中で鷲掴みにして後ろに居た隊員に投げ渡すと
両手を突っ張ってとうせんぼしていた女性を正面から片手で担ぎ上げそのまま階段を登りだした。
「きゃあ!!やっぱりそのつもりだったのね!!この変態!!スケベ!!泥棒!!」
「だ〜か〜ら!!違うって言ってるでしょうが!!」
彼女に頭をポカポカ叩かれながらも急いで最上階まで登っていく。
屋根裏部屋まで続いていた階段を登りきったところで埃まみれになったベットに彼女を放り出す。
「あいた! 何すんのよ!!こんな所で私をどうにかしようったってそうはいかないんだからっ!!・・ってちょっと!!聞いてるの!!」
彼女を無視して相沢は開き窓を開けると対ゴーレム用に補給科を脅迫して持ってこさせたM82バレットライフルの準備を進めながら部下に指示を出し
1人が同じようにバレットライフルをもう一人がM2重機関銃にスコープをつけたもので狙撃の準備を進めさした。
残りの二人が望遠鏡で距離をはかり始める。
文句を言い続けていた女性に背を向けたままの相沢の頭の上によじ登って同じく背を向けたまま望遠鏡を覗いていていた軍曹が叫ぶ。
「ええい!!黙ってみておけ小娘!!脳みそのたりないお前の頭でも直に分かる!!相沢!!距離321m風なし!!撃て!!」
「了解!!」
「ちょっと!!だれが・・・」
彼女が文句を言おうとした時相沢が放った12,7mm弾の発砲音が彼女の声を掻き消した。
340 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/10 18:39 ID:???
「この先は無理だ!!別の道を探せ!!」
73トラックで先行して道を探してきた隊員が74式戦車に乗っている戦車長に告げた。
「畜生!!また行き止まりだと!!」
2分前に何とか対戦車濠が掘られていない道路を見つけやっと支援にいけると思っていたら今度は人ごみが邪魔で進めないらしい。
とりあえず
「松山さん。どうします?」
装填手の隊員が彼の足を叩いて尋ねる。
「・・よし!!其処の屋敷の壁をぶち破って庭を進むぞ!!前車我に続き11時の方向に進め!!」
戦車の中に頭をを引っ込めて運転手に命じる。運転手の隊員が確認するように振り返った。
「良いんですか?そんなことs・・」
「とっとと進まんかあ!!」
「了解しました!!」
松山の怒鳴り声に慌てて運転手の隊員が全速力でレンガの壁に突っ込んでいく。その近くにいた隊員や民間人が慌てて道を開ける。
ドコン!!
豪快にレンガで出来た壁をぶち破るとそのまま花壇を踏み潰しながら前進する。
ドコ!!ガラガラガラ!!
二号車が一号車があけた穴を通ろうとするがさらに壁に大きな穴をあけた。
その衝撃についに耐え切れなくなったのかレンガの壁の一角が大きな土煙を上げながら崩壊した。
すこし向きを変えるのに手間取った三号車がつぶれたレンガを均すようにその上を通り一号車が踏み潰し切れなかった花壇を完全に踏み潰しながら一号車に続いた。
すでにその頃には一号車は逆側の壁に大穴を空けて次の壁をめざし突き進んでいた。
その姿を唖然としながら見守っていた隊員達も傍で止まっていた装甲車両や73トラックに乗り込んでその後を追った。
464 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:10 ID:???
久しぶりの更新行きます。面白くないかも知れんけど・・
西暦2005年7月15日02:30
日本との貿易の為エルフィールの王がエルフィール港に日本の企業を招いて作らせた貿易品倉庫街に忍び込む人影が三体あった。
「よし 今だ。やるぞ。」「分かりました。師匠」
警備員達が談笑しながら通り抜けていったのを確認した先頭の男が後ろについてきていた男女に小声で話し掛ける。
一人を見張りに立てて師匠と呼んだ男と呼ばれた男が音を立てないように注意しながら
明日輸出される木箱の中から魔力の込められた陶磁器風の壷をいくつか取り出して
5日後に輸出される商品群の影に包装ごとそれを隠して念のためにと近くにあった埃避けの布をその上にさりげなく被せていく。
その後彼らは辺りを伺いながら木箱の中に入り中から蓋を閉めると師匠と呼ばれた男が内側から魔術を使ってかちゃりと鍵を掛ける
「お師匠さま・・魔術で鍵の開け閉めなんかしたら魔力探知で見つかるんじゃ・・」
真っ暗になった箱の中で先ほど見張りに立っていたアテネが師匠に話し掛ける。
「なに、俺が魔術探知の魔術を作ったんだぞ?それに対抗して魔力探知を無効化する手段を考えてない訳が無いだろう?」
闇の中ではっきりとは見えないがアテネの目には師匠がにやりと笑ったように見えた。
「それより良いんですか?見つかったら船員に簀巻きにされて海に放り込まれますよ?」
男のほうの弟子ロキが木箱の下にあった布に包まりながら師匠に尋ねる。
「そんな事か、安心しろ。見つからなければ何の問題もない」
そう言いながらいつもの癖で師匠と呼ばれた男が胸のポケットから葉巻を取り出して口にくわえる。
が 吸えば煙と臭いが外に漏れることに気づいた為、取り出した葉巻をコートのポケットにねじ込んだ。
「チッ!!それよりおしゃべりはここで終わりだ。警備員に気づかれたらお終いだからな。船が動き出すまで静かにしてろ。」
「了ー解。」「分かりました。」
465 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:11 ID:???
西暦2005年7月15日07:00
ハーフエルフの里から陸上自衛隊第二駐屯地に向かう街道にて
「はいはい此処で止まってや〜パスポート拝見させてもらいます〜」
ハーフエルフの里からやってきた十数台に登るのトヨタ製のトラックと三台の高級車がグレズリー族の武山君が番をする検問所で停止した。
検問所の向こうには護衛としてやってきていた3台の高機動車から隊員達が降りてきて歓待式のように8人ずつ並んで彼らを迎える準備をしていた。
先頭に居たトラックから提出されたパスポート(2週間前に出来た)を質問などいくつかの手順をすっとばし簡単に確かめた後ポンと判を押して返すと
重そうな丸太で出来た障害物を片手でどけて道を開けてから高級車から顔を出した20代にしか見えない80を超えた青年にかるく敬礼しながら話し掛けた。
「どうも中山はん。日本まで親善訪問の護衛あんど留学生の護衛でっか。」
中山が武山君にパスポートと和紙のようのものでできた書類を手渡した。
「やあ武山君。2週間ぶりだね。そんなたいした任務じゃないさ。自分の妻の護衛なんでね。」
そういって隣に座っていた女性の肩を抱く。肩に手を置かれた女性に中山は手の甲を手袋越しに軽くだがつねられて慌てて手を離した。
「あなた?人前で余り恥ずかしい真似をしないでいただけるかしら?」
そう奥に居た女性が凛とした声で中山に告げる。それを見た武山君がぼそりと呟いてパスポートに出国許可の所に何事か書き込んで判を押す。
「まあ中のええことで・・じゃあ10時25分出国っと。どうぞ通ってや〜」
そう言って武山君が中山にパスポートを手渡した。
「ありがとう。・・じゃあ出発してくれるかね少尉?」「はい。」
中山の合図をうけて同じく二十代にしか見えない79歳の少尉がぎこちなくミッションを操作して車を出発させる。
それを見送った武山君が次の最後の車から提出されたパスポートに適当に判を押しまくってドンドンと出国させていった。
466 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:13 ID:???
彼らが見えなくなるまで見送ったあと、お気に入りの自衛隊の隊員から買い取ったプラスチック製のバインダーにはさんだ書類に出国者を書き込んでいった。
「それと中山はんと奥はんを代表に・・おっと間違えた。そのまま書いてもた。」
そう言ってその大きな熊の手で消しゴムを器用につまむと丁寧にその部分を消して書き直した。
「えーと大統領護衛の第一旅団緑中隊隊長中山仁大尉に・・・中山ミリィ大統領閣下っと」
7月15日07:30・・シークプレスト東部方面隊第二駐屯地兼航空基地にて
「お?いたいた。おーい!川口!!時間だぞ!!とっとと準備しろよ!!」
やっと見つけたという様な顔で遠くから整備の隊員の一人が告げるとWAFと一緒にいたパイロットスーツに身を包んだ隊員が振り返って返答してくる
「了ー解!すぐ行く!・・じゃあクレア。また後でね。」
「はい!がんばって来てください川口さん。後で何時もの所で待ってますので。」
WAFの制服に身を包んだクレアに川口が敬礼して格納庫に向かった。
「・・なんなのよ川口の奴。ほんの少し前まで私に言い寄ってきてたくせに、クレアが来たら何時も二人でいちゃいちゃいちゃいちゃと・・・・
あ。言っておくけどクレアに怒ってるんじゃないんだからね。あの子は誰が見ても真面目で可愛いし・・私が怒ってるのは川口になんだから・・・」
整備を終わらした陸がF-15Eの後部座席に座って本を読みながら川口が来るのを待っていた昔からの友人の水城にぼやいていた。
「ということは陸ちゃん。川口君に気があるんだね。」
と呼んでいたドイツ語の本を閉じコクピットに乗り出してきていた夏に話し掛ける。
「な!何をいってるの?あんな奴なんか・・・・大体『ちゃん』はやめてっていってるでしょ?子供じゃないんだから・・」
真っ赤になりながら陸が話を変えようとする。だがその苦労は報われなかった。
「だって興味なかったら無視しとけば良いじゃない。無視してないってことは少なくとも気にはしてるんでしょ?」
そう言いながら本を計器の上に一度置いてからヘルメットを被りなおした後バイザーを上げたり降ろしたりを繰り返しながら続ける。
467 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:15 ID:???
「だから違うと何度言ったら・・」
コクピットの外からヘルメットを操作していた水城のシートベルトや酸素マスクをセッティングしながら水城の考えを否定する。
「はいはい。ほら。お待ちかねの彼がきたよ陸ちゃん。あっそうだ。ついでにこの本も預かっといてくれるかな?」
セットを終わらせて手をパンパンと叩いていた陸に先ほどコクピットの上にのせておいた本を水城が手渡す。
受け取った陸が唯一日本語で書かれていた手作りと思われる帯の部分に目を通す。
「え〜何々・・・ドイツが生み出した伍長から国のトップまで上り詰めた天才的指導者の大作!その名も我が・・・・・・あんた、またこんな本読んで・・・」
途中まで読んだ所で呆れたように帯を見つめながら陸が呟く。それに対し水城が瞳を輝かせ語り始める。
「面白そうでしょ?原文探すのに苦労したんだから。読んでもいいけど栞はそのままにしといてね。特に52ページの四行目の言葉が・・」
「私、ドイツ語読めないんですが・・・」
「ちわーす!みなさん!お元気ですかー?」
遅れてやってきた川口が仕事を終わらせて談笑していた隊員達に声をかける。
「馬鹿。お前が最後だ川口。とっととのりやがれい。」
急に背後から現れた整備班長が川口の頭を引っぱたき二人が待っているF-15Eのほうに突き飛ばす。
「了ー解。」
そう呟いてから整備班長に押されるままにコクピットに向かいコクピットに登る梯子から下りてきた陸に話し掛ける。
「あ、陸さん。前に借りてた漫画、後で返しに行きますね」
「ん。わかった。前のブリーフィングで聞いてるから大丈夫だと思うけど念のためにもう一度言っておくわ。
装備は今回のCAP任務にあわせてAIM120とAIM-9Lつけといたから。以上報告終了。じゃあね。」
そっけなく陸は返答とともに事務的な事を知らせると川口を避けるようにして格納庫の端の方に行ってしまった。
「どうもご機嫌斜めだね。なんかあったのかな?」
その場に立ち止まって川口が陸のほうを見つめながら呟いていると整備班長がニヤニヤと笑いながら再び頭をすっぱ叩いて彼に話し掛ける。
468 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:16 ID:???
「とっとと載れ!勘の鈍い色男!羨ましいぞ。」
(羨ましい?なんのこっちゃ?)そう考えながら川口が梯子を上り椅子に深く座り込んでから酸素マスクに手を伸ばし何とか掴むとヘルメット右の固定具に固定する。
その後素早くシートベルトを締めた後 すぐ下で整備の隊員達に指示を出していた整備班長に親指を立てて合図を送る。
数秒後それを確認した整備班長が大きく頷くと付近にいた整備員達を急いで退避させる。
「それでは水城さん。今日もサポートよろしく。」
川口が片っ端から必要な計器を操作しながら後ろで同じく計器を操作していた水城に挨拶する。
「こちらこそ今日もよろしくおねがいします 川口さん。」
そう互いに何時も通りの挨拶が終わった時エンジンも始動し始める。
『シークプレスト管制塔。こちらメビウス1。誘導を求む。』
『管制塔了解。メビウス1。第2滑走路に入れ。すでに寺井機のほうは待機しているぞ。』
『了解。第2滑走路に入る。』
その通信から数秒後 F-15Eがゆっくりと僚機の待つ滑走路に向けて自走を始めた。
469 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:17 ID:???
・・・・・荷物運びのサイクロプスに乱暴にLOLO船に運び込まれてから何時間たったのだろうか?
彼らは運び込まれた木箱の中からゆっくりと顔だけ出して付近に人がいないのを確認すると木箱から出て辺りにあった物を一つ一つ調べ始めた。
「師匠〜すごいっすねえ・・本当に師匠が言ったように鉄で出来た船が浮いてますねえ・・」
ロキが驚いたようにそう呟くがアテネのほうは驚きすぎたのか声も出さずに荷物の山をぐるりと見渡していた。
「いやそっちはどうでも良いんだ。それよりこの明かりだ。」
そういって彼は天井の蛍光灯を指差す。
「魔力も火も使わずにこれだけの光を出している。全くもってすばらしい。
おそらく光の精霊でもガラス管の中に閉じ込めて・・いや違うな。そんな気配は感じない。
サイド国のライミー博士が開発したようなガス灯みたいに燃焼性ガスをガラス管の中で燃やして・・
いやちがうな。それなら独特の臭いもするし空気口がひつようだ。いったいどんな仕組みで・・」
自分達の事をわすれ一人ぶつぶつと蛍光灯を見つめたままどのような仕組みで動いているのかをぶつぶつ呟やいていた師匠を
二人はしばらく彼を見つめていたがこのままほうって置くといつまでたってもここにいる羽目になるのでおずおずと
「お師匠さま。この船のほかの部分も見てみたいんですが・・・」と師匠に告げた。
「む?おお確かにな。よし、じゃあとりあえず上にでもあがるか。」
そう言ってから辺りを興味深そうに眺めながら階段に向かって歩き出す。それに二人も続く
470 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:17 ID:???
階段を上がった次の階には黒や白のTシャツで迷彩ズボンという格好の隊員達が通路の続く限りずらっとならんでいた。
実はこのLOLO船、復員船としての役割も持っていた。そのため多くの兵士達が九州に向かうためにこの船に乗り込んでいたのだった。
階段に腰をおろしてマルボロを吸っていた隊員達が誰もいないはずの貨物室から突然現れた三人を見つめ呆然となった。
隊員達がたぼこを投げ捨ててそばに立て掛けてあった会った誰かの小銃を拾い一斉に彼らにその銃口を向けて詰問した。
中には自分の銃を誰かに取られてしまい素手でおろおろする隊員もいた。
ちなみにどの銃の弾倉にも実弾は入っていないがパニクっている隊員達はそんな事を気づいていなかった
「だ・・誰か!!所属官制名を言え!!」
「俺か?エルフィールから留学生として派遣されたクラース・フォン・ミラーだ。。後ろの二人は俺の使用人だ。」
クラースが両手を挙げながらそのまま階段を昇りきりいけしゃあしゃあとエルフィールから日本に留学にむかう裕福な貴族の息子を演じる。
後ろにいた二人も心得ているのかすぐにそれに習い隊員達に深々と一礼する。
「おや?連絡がついていないのか?俺はエルフィールから日本に留学に向かうために特別にこの船に乗せてもらったのだが・・・」
隊員達が顔を見合わせる。一番前でそれを聞いた二尉がクラースに銃を向けたまま後ろにいた三尉に尋ねる。
「そういや山本 エルフィールの人間が何人か一緒にこの船に乗り込むとか大隊長殿がいってたよな」
「え?あ、はい。たしか留学生が十数名・・」
山本と呼ばれた三尉が慌てて思い出し名がら二尉の問いになんとか答える。
471 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:18 ID:???
それを聞いた二尉が慌てて小銃を抱えなおし敬礼する。それを見ていた隊員達も一瞬戸惑ったが続けて彼に敬礼した。
「失礼しました。留学生の方々とは知らず・・」
「いや なに許してもらうのはこっちのほうだ。勝手に船内を見学していた自分達のほうが悪かったんだから。・・・もう行っていいよな?」
「はっ!どうぞお通り下さい!」
「そうか。ありがとう。ところで・・・この船の動力を見てみたいんだがどっちに行けばいいのかな?」
「はあ・・動力ですか?・・おい。誰かこの船の機関室の場所わかる奴いるか?」
言葉の途中で二尉が振り返って部下達に尋ねる。山本三尉がそれに答えた。
「自分さっき一番下の階うろついてた時に見ました。」
「そうか。じゃあ山本三尉 案内してさしあげろ。」
「分かりました。クラースさん。自分について来て下さい。」
「そうか。じゃあよろしく頼む。」
山本が64小銃を壁に立て掛けて彼らを案内しようとする。三人は彼に続きその場を後にした。
「これがこの船の心臓部のディーゼルエンジンです!出力は・・・」
そう言って物凄い音を立てているエンジンの前で三人と山本にむけて大声で機関手が説明する。
クラースが機関手たちに何度も大声で質問し機関手たちがそれに答える。
「このタービンとやらはどうやってまわしてるんだ!?」
「このエンジンの中で中で石油からできる灯油という油を中で空気と混ぜて燃やします!!」
「油に密閉した空間で火をつけたら爆発しないのか?!」
「その通り中で爆発を起こしてエンジンを動かしています!!」
遠くのほうでは機関手達がわざわざエンジンを見たいと言ってきた異世界の留学生をめずらしそうに眺めていた
472 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:19 ID:???
「坂本機関士殿!大変勉強になった!!感謝する!!」
「なに!!わからない事があったら何時でも声を掛けてくだせえ!!」
「ありがとう!!そのときはよろしく頼む!!」
機関士たちに彼らは手を振って機関室から出てきた。
「では次は何処に行きます?自分にわかる範囲なら案内しますが・・」
「おや?山本三尉こんな所で何をしているのだ?それに後ろの三人は誰かね?」
本物の留学生達の案内をしていた大隊長が妙な三人を引き連れていた部下に声をかける。
「は!大隊長殿!!自分は上官の命令で留学生のクラースさんの案内をしております!」
山本が慌てて敬礼しながら上官の問いに答える。
「留学生の案内?それなら私が今しているが・・だれか彼をご存知の方はいるかね?」
そう言って大隊長が振り返って自分が案内してきた本物の留学生達に尋ねる。留学生が答えた。
「クラース?・・そんな名前の奴はいませんが」
後ろにいた猫耳(男)がその問いに答える。大隊長がクラースに向き直って渡航許可証の提示を求める。
「すみませんがクラースさん。日本政府の発行した渡航許可証を見せてください。」
「もちろん持ってますよ。」
そう言ってクラースがポケットに手を突っ込んで探すような振りをする。
(やばいっすよ。師匠!!そんなもん持ってないじゃないですか!!)
ロキがエルフ特有の能力、テレパシーでクラースに話し掛ける。
473 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:20 ID:???
(ロキ・・俺の合図に合わせて一目散に甲板を目指すんだ。いいな?)
「あれ?おかしいな・・」
クラースが白々しく胸ポケットやズボンのポケットまで探す振りをする。
その間にも彼らはテレパシーによる会話を続けていた。
(いいか。アテネにもお前が伝えておくんだぞ。)
(了解です。師匠)
「おいロキ。お前に渡さなかったか?」
「いえ。そのような物はお預かりしておりませんが?」
(よし。準備はいいか?)
(OKです師匠。)
「よし!!行け!!」
彼の合図と同時にアテネとロキが目の前にいた留学生達と大隊長を魔力と格闘技の混合業でまとめて吹っ飛ばす。
「じゃあ山本君!!世話になった!!元気でな!!」
そう言ってほうぜんとしていた山本に声をかけると三人は彼に案内されたとおりの道を通って一目散に甲板を目指して駆け出した。
彼らが逃亡を開始してから4分後 緊急の船内放送が赤いランプとサイレンを鳴らしながら行なわれる。
474 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/22 20:24 ID:???
『緊急警報 緊急警報!!この船に大隊長の命を狙った賊が乗り込んでいる!!各部隊指揮官は身近にいる兵を大至急至急まとめ賊をひっ捕らえろ!!
賊は非武装なれど魔術を使う可能性大!!現在賊は3A通路から甲板を目指している!!各員充分に注意しつつ賊を捕らえよ!!』
その放送の直後3A通路でだべっていた体勢のままでいた水島小隊の視界にその三人が飛び込んでくる。
「あいつらだ!!逃がすな!!」
「魔術に気をつけろ!!呪文を詠唱させるな!!」
水島が自ら先頭になって小隊全員で走ってきた三人を取り押さえに掛かった。
「止まれ!!ここは通さんぞ!!」
「どけ!!おし通る!!」
そう叫んでアテネとロキが加速しながら突入してくる。
「「破ッ!!」」
馬鹿げた破壊力の体当たりをまともに食らい水島を追い抜いた5,6人がまとめて吹っ飛ばされ小隊のメンバーの足を止める。
体当たりの直前自分自身に強化と体重増加の瞬間魔術をかけたのだった。
まともに食らった隊員達はボブザップが全力疾走で体当たりしてきたのと同じぐらいの衝撃をまともに受け肋骨などを折り気を失っていた。
二人が起き上がった直後に白兵戦が発生する。
殆どの隊員達が組み易しと判断したのか一斉に女のアテネを取り押さえに掛かる。だが狭い通路で彼女は起用に立ち回り隊員達を翻弄する。
水島二尉、宮本三尉それに杉野一士ほか2名が呪文の詠唱に入ろうとしたロキとクラースに攻撃を仕掛ける。
宮本、杉野がロキに対し銃剣のついていない89小銃で突きかかる。がロキが呪文を唱え終わるほうが速かった。
「万物の根源たる大地の精霊よ!!かの者達にその力を見せ付けたまえ!!」
力ある言葉が隊員達が振り回していた小銃やヘルメットなどの金属で出来た物にかかる重力を数倍に高める。
隊員達が急に重くなった小銃を取り落とす。小銃を振り上げていた隊員に至ってはそのまま小銃の重さに引かれて後ろに引きずり倒されてしまっていた。
運悪く弾倉や銃剣をベルトにぶら下げたままいた隊員達はその重みに押しつぶされて立つ事さえ叶わなかった。
512 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/28 08:40 ID:???
とりあえず更新します。以前の更新分のことは忘れてください。
日本、エルフィールとオーランの休戦条約から数ヶ月、一部の都市国家を除き大陸では大規模な戦争は発生せず大陸は平穏そのものに見えた。
だがそれは見せ掛けの上だけのことであった。だがその平和の裏では直接武力を行使しない外交戦、諜報戦が発生していた。
まずオーラン側はと言うと
一つ目は宗教および元が同じ血族の人間だということと魔法技術の遅れた貴国に魔法技術を教えると丸め込み互いの娘を
相手の長男に嫁がせるという方法で大陸第二位軍事力を持つランド皇国と手を結び側面の憂いを無くした事だった
これによりこの時点で大陸の三分の二の領土と大陸に存在する兵力およそ150万のうち(自衛隊および日本共和国軍含む)をオーラン側が約70万人を確保した事になった。
さらに徴兵制および国家総動員体制を確立した事と日本から工作員が入手してきた第一次産業関連書物から学んだ技術で
さらに40万の予備兵力と今までの2倍以上の収穫収入を得ていた。
二つ目に対日本政府工作として国内に入ってきたマスコミ、及び研究者、旅行者(冒険家)に対し自分達がいかなる理由で戦ったか(プロパガンダ)、
本当は自衛隊とは戦いたくなかったということ(本音)、そして戦争の原因を作ったエルフィール『軍』の非人道性を強調した。(事実を誇張しているがある意味で事実)
戦争時の事を知らない殆どの研究者及び冒険者にはオーラン国内および関連諸国国内ででただで護衛として美女、 及び美少女兵をつけただけでなく(もちろん監視の意味もある)
行く先々での歓迎の嵐で洗脳、いや懐柔され 彼らは国内に帰ってくるとオーランの素晴らしさ、エルフィール『軍』の非道性を強く国内に広めた。
その結果ウダイの作戦通り一部の国民および政府関係者はエルフィールに対し不信感を抱きオーランのほうに正当性があると考え出した。
三つ目は九州を元の世界に返すための研究及びその諜報、そして召還に使われたと思われる賢者の石の捜索を開始した事だった。
その方法が分かればそれを教える事を理由に自衛隊を味方に引き込んだり エルフィールとオーランの戦争に介入させない事も可能だった。
513 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/28 08:43 ID:???
最悪日本政府が全てを拒否しこの世界に居着くことが決まったとしても九州を元の世界に送り返すことが出来ればエルフィール進攻を阻止する物はいなくなる。
また多少エルフィールにいる自衛隊の兵力が残ったとしても補給が続かずすぐに無力化できる(この時点でオーラン王は本州島の開発が進み大規模な外人部隊が作られている事は知らない)と考えていた。
そして日本側はというと・・
一つ目は所属が宙に浮いていた国連軍及び在日米軍及びその家族に一時的に(元の世界に帰れるまで)日本国籍を渡し軍事体は自衛隊の中に編入した。
これにより在日米軍にだけしか協力してもらっていなかった自衛隊の戦力は一気に跳ね上がり
艦船は約60 航空機は約400を数え、さらに地上兵力は25万弱を数えていた。
二つめは以前発見された本州島及び周辺の島の開発及び現地の治安および現地敵対勢力への意思強要の為に
フランスを見習い現地で作られた『レジョン・ドノブール』つまり外人部隊を設立した事だった。
日本政府が打ち出した一大宣言『本州島において日本国国民が開発した土地は開墾者のものとする』という墾田永年私財法を彷彿とさせるこのお触書は
仕事を無くした日本人及び外国人及び利益を追求する資本家を揺り動かし現地の開発は日本政府の予算が殆ど使われる事なく急ピッチで進められていた。
されに現地で編成された外人部隊は給料事体はスズメの涙だが衣食住と三拍子がそろった上にさらに文字数学はては異世界式錬金術とよばれる物理化学まで教えてもらえるとあって
現地人のあらゆる部族や何処で聞きつけたのか大陸からも志願者が集まり二個中隊の募集に対し競争率が20倍という人数が集まり担当者が何とかなだめすかして不採用者にお帰りいただく始末であった。
三つ目は脆弱なエルフィール軍を鍛えなおす為に国連軍および自衛隊の中から軍事顧問団を編成それを派遣し兵制の改革及び訓練に当った。
残念ながら休戦後3ヶ月目に開催された第一回臨時国会でエルフィールに対する武器輸出が禁止された為エルフィールに銃火器は輸出配備されなかった。
さらに防衛庁は武装中立のはずのハーフエルフの里(日本共和国)やオーランに脅威を感じている国の大統領(国王)および軍幹部とも非公式にだが軍事同盟について話し合いオーランと戦う際の同盟国を探し続けていた。
514 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/28 08:49 ID:???
そして日本・オーラン双方ともにある同じ計画を進行していた。
その作戦は大陸海上交通の要所であるのと同時に大陸最強の海軍をもつシクヴァル国の国王が急死した事を
きっかけに発生した政権争いに乗じ自分達が扱いやすい人物達に政権をとらせようとしたこと
さらに大陸交通の要所カルネー国と太陽から魔力を吸収してクリスタルに込め魔力が使えない人間でも炎系魔術を使えるようにする施設の確保だった。
三ヶ月に及ぶシクヴァル国の政争は直接的に莫大な資金援助を受けた国王の弟(オーラン国王フセインの叔父)が権力を握りオーランと軍事同盟を結ぶに至った。
日本政府から支援を受けていた王妃は処刑されその息子達は国を追われ命からがら日本に亡命してきていた。
カルネーの内乱では日本政府の支援を受けた革命軍は一時政権を奪うかに見えたがオーランから軍事顧問として
派遣されてきていたハニバル将軍に指揮された政府軍にまさかのアルペス山脈越えを成功され準備が整いきらずにカルネーの戦いに完敗し勢力を失っていた。
何とかスコアフィールド高地まで逃げ込んだ革命軍は遅ればせながら遣ってきた非公式の軍事顧問小林一佐の手によって
第二次世界大戦時のイタリアでドイツ軍が作ったグスタフ線以上の防衛線『タンゴ線』を構築した。
それによってカルネーの戦い以後押されまくっていた革命軍は体勢を立て直し何とかスコアフィールド高原以後の重要都市の確保に成功していた。
これ以外にもあらゆる介入劇で敗北または引き分けに持ち込まれていた日本政府が唯一完全に勝利したのは太陽光魔術集積施設の戦闘だけだった。
今までの敗北に業を煮やした防衛庁は独断で義勇軍の名のもとに本州島で二ヶ月前に作られたばかりの外人部隊魔術降下部隊を派遣。
ボーイング767改の荷物室から飛び出した彼らは或る者は浮遊魔術 或る者は変身魔術で変化飛行、或る者は慣れないパラシュートで降下し付近の交通の要所を占領。
その後協力派の国王軍を支援し2日間の激戦でオーランが資金援助していた革命側を完全撃滅していた
ジェット機が戦闘に参加した事で生き残った革命側及び日本国内の市民団体から猛烈な抗議が殺到したが柘植防衛等長官は
515 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/03/28 08:50 ID:???
「ボーイングは日本航空から自衛隊が入手。それを自衛隊から購入した現地政府がどう使おうと日本政府および防衛庁の知ったことでは無い」と声名。
また義勇兵として参加した外人部隊についても「日本自衛外人部隊は出来てから2ヶ月、いまだ一度も出撃していない。また2ヶ月程度の訓練では訓練不足で出撃させたかったとしても出撃させれない。」と声明した
その他の都市国家はどちらにも付かず武装中立を保つが三分の一、おーらん側に着くが3分の一、日本エルフィール側に付く、または付くが情勢を見て。というものが残りを占めた。
そして休戦条約から1年半後見せ掛けだけの平和に翳りが見え再び世界は動き出そうとしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上です。これからは書いていて混乱しないように頑張ってみます。
552 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 17:57 ID:???
さてさて交信します。ちょっと身内にパソコン6時に変われと言われておるんで2階に別けて提出します。
オーランと国境を面するとある小さな国にて
「定時報告にまいりました。いつも通り全く異常ありません」
「ん。確認した。引き続き警戒に当ってくれ」
「は!」
そう言って一人の猫耳兵士がぱたぱたと走って丘の天辺にある木で出来た国境の監視塔に戻っていく。
木陰でそれを見送った老指揮官がエルフィールを通じて手に入れた(密輸)クラウゼビッツの戦争論に視線を戻して続きを読み始める。
しばらくの間 彼がページをめくる音と彼に木陰を提供している一本松が風にゆられて鳴らす音があたりを支配していた。
(ふむ。異世界からやってきた兵士どもは火縄銃の連射できる物ばかり使用して力任せに攻めてくると聞いていたがこの本の内容なら我が軍の魔法部隊・・いや全軍で使えるな。)
そう考えた彼はこの戦争論を購入してきたハーフエルフの密輸人がおまけとして書店でもらったというかなりデフォルメされたドラゴンとエルフらしき魔術士の姿がかかれた栞を4分の3ほどはさんで本を閉じると
「日本との貿易も一部ではじまったことだしこの本を大量に輸入して上層部に異世界の戦略、戦術理論を研究させるべき」と軍の上層部まで上り詰めた貴族の友人に手紙を書くと従卒の兵士の一人にそれを渡しすぐ近くの街にある軍事郵便局に向かって走らせた。
突如先ほど定時報告に着たばかりの猫耳兵士が後方を指差しながら入れ替わるように慌てて書け戻ってきて彼に向かって叫ぶように報告してくる。
「隊長〜!!大変です!!オーラン軍のドラグーンとグリフォン騎士団が!!」
「何!!」
老指揮官が勢いよく立ち上がると再び読み出しかけていた本を勢いよく閉じてそれを片手に持ったまま部下が指差す東の空を見上げた。
そこには日本の都市部でよく見かける鴉の群れのような二つの黒い塊が確認できた。
「第一級戦闘配備!!防空部隊は魔術の準備を急がせろ!!命令あるまで撃たせるなよ?!」
副隊長のアステアが部下に指示を回していく。
「通信兵は何処だ!!」
553 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 17:59 ID:???
老指揮官が辺りを見渡す。掩蔽壕のすぐ前に立っていた隊員が掩蔽壕の中でまどろんでいた通信兵を叩き起こして「ノイマン隊長が呼んでいる」と伝える。
あわてて塹壕の中から通信文のメモ用の分厚いノートを抱えたエルフが駆けつけてくる。
「すみません!!通信文どうぞ!!」
老指揮官の目の前でノートを開いて通信兵のエルフが通信文の伝達を待つ。
「我第35番国境警備陣地第一中隊は11:30にオーラン航空一個軍団規模の奇襲確認!!我らは敵部隊が国境線を越え次第反撃を開始する!!至急増援を!!以上だ!!」
通信兵が指揮官のいった言葉を通信内容を間違わないように速記文字でノートに書き込む。それが書き終わるとそれを見ながら精神を集中し首都にいる通信兵にテレパシーで何度も通信を送った。
(こちら第35番国境警備陣地第一中隊。緊急事態が発生しました!!本部聞こえますか?)
本国の通信室にいた通信担当官たちの耳に最前線の国境警備部隊からのテレパシーによる通信が送られる。
(ノイマン隊長からの通信内容を伝達します!!よろしいでしょうか?)
通信担当官たちからの返答は無いが通信兵のエルフは続ける。
(我第35番国境警備陣地第一中隊は11:30にオーラン航空一個軍団規模の奇襲確認。我らは敵部隊が国境線を越え次第反撃を開始します。至急増援を!!)
彼女が一方的な通信を送るとやっと通信担当官たちからテレパシーで返答が来る。
《悪いがそれ所ではない!!すでにランド皇国軍により首都及び城も陥落寸前だ!!国王陛下は近衛兵とともにコールに脱出された!お前達はすぐに兵をまとめコール国へ向かえ!!》
「な!!・・首都が陥落しかけているですって!!?」
あまりの事に通信兵がつい声に出してしまう。それが原因でテレパシーの通信回線がきれ連絡不通になってしまう。
彼女の突然の叫びに驚いた老指揮官が慌てて彼女の肩を揺すりながら詰問する。
「今なんと言った!?首都が陥落しかけているだと!?」
「あわわわ!!隊長!酔う!!酔う!!」
彼女が慌てて身を捻って老指揮官から離れると伝えられた通信文を伝えた。
「なんということだ・・・」
そう言って老指揮官が天を仰ぐ。そのはるか上空で対空砲火を難なく交わし首都に向かうドラグーン達が彼らを馬鹿にしているように見えた。
554 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 17:59 ID:???
西暦2006年8月14日13:00
輸送船 日本丸艦橋にて
「船長。オーランが同盟国と共に都市国家軍とドンパチを始めました。」
本国からの緊急無線連絡を受けた通信官があわてて艦長に報告する
「そうか。案外速かったな。・・で、本国はなんと言ってきておる?」
船員達が騒然とする中、艦長が少し驚いただけで余り慌てずに通信員に続きを促す
「はい、ええと・・通信によりますと都市国家連合軍が各戦線で劣勢で恐らく攻勢に移ることなくこのまま退却を進めると思われるので目的地のコーツ港には入らず帰還されたし。なお万が一敵艦船と接触した場合は相手の警告を無視し機関全速で脱出せよ!とのことです」
すでにコーツ港は日本丸乗組員達の視界には入っていた。まだ港周辺は安全なのかそれとも戦争が起きている事すら知らないのか前に来た時と同じように木造船が出入りしていた。
いつものように案内のコルベット(帆船)が日本丸に近寄ってきて赤と白の手旗信号で『我に続け』と連絡してきた。
「船長、どう返答したらいいのかと通信員が尋ねておりますが」
別の通信員が考え込んでいた艦長に尋ねる。
「確かオーランとの国境から港まで300キロはあったな副長?」
船長が航海長の横に立って眼鏡を拭いていた副長に尋ねる。眼鏡を掛け直し副長が返答する。
「たしかそのぐらいあった筈です。」
その答えを聞いた船長が頭の中に周辺地図を開き考え込む。10秒後に
「どう考えてもここまで来るには一週間はかかるな・・よし、佐藤通信官!案内のグレートコーツに『了解。案内を感謝す』と送れ。その後本国に『今回の積荷は我が国にとって必要不可欠な戦略物資であるがゆえに退避勧告には従えず』とな。
それと警備部隊から半数をコーツ港にいる日本人の所へ伝令に向かわせろ。出来る限りつれて帰るからな。」
「了解しました。」
そう返事すると船長を除く全員が入港作業にもどった。それを見守りながら彼は胸の前で十字を切りながら呟いた。
(願わくは、一切の問題なく全ての作業が終了する事を・・・)
555 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 18:00 ID:???
西暦2006年8月15日07:31
カルネー革命政府軍タンゴ線第一司令部
防空部隊から打ち上げられる対空砲火を巧妙に回避しドラグーン爆撃隊は高度4000から急降下して目標に火炎ダルを叩き込んだ。
数時間前まで彼らはもっと高い位置から火ダルや黒色火薬の詰まったタルを落としていたのだが限りなく命中率が悪くやむを得ず命中率は飛躍的に上昇するが同時に危険度も跳ね上がるこの攻撃方法を選択したのだった。
瞬時に魔法陣が描かれた対空陣地が燃え上がり対空砲火を行なっていた魔術士が悲鳴を上げるまもなく火達磨になって倒れた。
その戦果によろこんで時の声を上げた瞬間 其処から700m離れた別の対空陣地から発射された2対の35mm対空機関砲弾が彼らを上から順番になぎ払い一人残らず叩き落していた。
敵の撃破を確認したスカイシューター(87Aw)が退却していくドラゴンたちをその名のとおり次々と撃墜していく。
たまに地上に降りた降下部隊が近づいてくると護衛の隊員達が降下部隊を撃つ前に35mmの機関砲が彼らを血煙と肉片に替えた。
もちろんこんな大口径の武器で人間を撃つのは国際法違反だろう。だがこちらの世界にジュネーブ条約など存在しない。
このそろそろ弾切れを起こしそうなスカイシューターの真下の20メートルの地点にペトンで強化された第一司令部が存在していた。
「敵はこの空爆後ブルーのラインに沿って攻撃してくると思われる。万が一この陣地が突破された場合、第一防衛ラインが崩壊する恐れがある。総予備の第三十二大隊を回すように伝えておいてくれ。」
作戦指揮官らしき男が二m四方の正方形の机の上に広げられたタンゴ線周辺地図の上にある青い戦車の模型や青い歩兵の人形と赤い歩兵部隊やドラゴンとワイバーンの人形を交互に指差しながら部下に命令していた。
「了解しました!」「失礼します!」
556 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 20:09 ID:???
名前直すの忘れてた・・
命令を受けた佐官が自分の部隊を纏める為に出て行くのと同時に少尉が司令部に入ってくる。
「大佐殿。今の空爆に紛れ密林に展開中の敵地上部隊が全部隊一斉に5q下がりました。」
カルネー政府軍の少尉が上官と軍事顧問の小林一佐に報告にする。
「何?どういう事だ」
大佐が困惑したように通信文を持ってきた大尉に尋ねる。だが大尉が答える前に一佐が答えた。
「恐らく今より攻撃力の高い魔術でも撃ちこんで来るのだろう。ヤーマ魔術士官。敵の陣地に魔力の終結は見えるか?」
全員の視線が腰に小刀を腰に下げた魔術士官に集まる。
その場合なら後方で待機している特科大隊の155mmなどで集中砲撃し儀式の最中であるため動けない魔術師または魔術師達を殺傷する事が出来れば魔術をその場で誘爆させる事もできた。
現に30分ほど前に凄まじく詠唱に時間がかかる遠距離魔術を使用しようとした部隊(規模はわからず)が魔術が発動する直前まで溜めたところを見計らって
付近に展開する120mm、81mm、155mm、105mm、120mmつまり其処を射程に収められた全ての部隊から一斉射撃を食らい全滅し付近に20mに及ぶクレーターを形成していた
「いえ。それほど威力がある魔法なら此処からでも簡単に感知できるはずですが感知できません。」
魔術士官が首を横に振る。大佐が理解できないというような顔で首を捻った。
「むう?どういうことだ?大陸西部への速やかな進攻の為にも航空自衛隊が殆ど支援に回ってこないこの防衛線を突破せんといかん筈だが・・?」
しばらく指揮官達が首を捻って考え続けたが結局答えは出なかった。其処でとりあえず一佐が提案した。
「とりあえずわざわざ敵がくれた時間です。今のうちに各戦線を立て直しましょう。」
557 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 20:10 ID:???
西暦2006年8月15日07:40
砂漠の中にストーンヘッジと呼ばれる半径2kmに及ぶ円形の古代遺跡が存在していた。
その円形の遺跡の中には外周に沿うように120cmの砲が空を見上げたまま聳え立っておりその中心には司令部と
そのオリハルコン製の柱が毎秒五度ずつ一斉に西南西の方向に回転し空を向いていた砲塔をゆっくりと約38度まで降ろして運動を停止した。
管制室では大量の通信担当官たちと1ヶ月前に呼び出されたばかりの9体のストーンヘッジの精霊達が管制室の中心の大型水晶の真上に映し出された恐ろしく精密な立体大陸地図を身ながら発射準備を進めていた。
「一番砲塔発射準備完了!!」「二番砲塔発射準備完了!!」「三番・・・」
各主砲に宿っている精霊達、自分自身が宿っていた砲の操作を終えて指揮に当っている精霊に報告した。
ストーンヘッジの中心部にあるアース・ヤーマと古代文字で記されていたスパコンに宿っていたこの精霊は他の精霊達がヘッドホン形の通信機のようなものをつけているのとは違い一人高級将校のような服をまとい両肩に大きな星を2つ付け胸にも略章を大量に縫い付けていた。
この遺跡を修復しにきた錬金術師達が真っ先に呼び出した精霊で彼女の度重なる指示のお陰でストーンヘッジは無事三ヶ月前に修理を終え戦闘態勢に入ったのだった。
この九人の精霊たちは元々宿っていた物が大量の魔力を持っていたため、その大きさは戦車に宿っている精霊が全長30cmなのに比べ人間サイズであり、なおかつ自分自身で魔法を使う事も可能であった
「よろしい。射撃方法は第1斉射だけは私の指示を待て。第二斉射からは発射準備が整い次第発射せよ。」
『『了解!!第1斉射はアース中佐の指示あるまで待機!!。第二斉射からは発射準備が整い次第発射』』
精霊達が命令を復唱していく。それを聞いた精霊が満足げに頷いた。
その精霊・・アースは本来指揮官たる自分が座るべき席に座っているオーランの将軍クサイとその横にたたずむハニバル将軍に向き直り睨むように話し掛けた。
「クサイ殿。本当に大陸を占領したら起爆装置とミストラスを我々に返していただけるのでしょうな?」
中央の立体地図を興味深そうに眺めていたクサイ将軍が振り返りアースに返答する。
「もちろんだともアース。私の父フセインと神の名において約束する。」
558 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 20:12 ID:???
その返答を聞いたアースは訝しげながらもこのストーンヘッジからそれが離れられず真実かどうか確かめる手段は無い為、一応信じる事にした。
彼女ら(主砲の精霊を含む)がオーラン政府の命令に従うのには訳が有る。アースが言ったとおりストーンヘッジの地下に埋まっている自爆用のパルスと呼ばれる核並の破壊力を持った魔法石の起爆装置を奪われたからであった。
そしてミストラスというのはアース・ヤーマや各砲塔のスパコンの擬似人格がその意識を移植して自らを修理したりその為の物資の確保加工をする為に行動する際の人型のロボットの事である。
「・・それではクサイ殿。発射許可を。」
無表情に戻ったアースが正面の立体地図に視線を戻し指揮官に許可を求めた。
「うむ。発射せよ。」
どうでもいいといった風に気楽にクサイがアースに許可を出した。それを聞いたアースが振り返り二度にわたり大声で発射命令を下した。
「一番から四番・・・テェー!!」
4人の精霊たちが安全ピンを引き抜き戦闘機の操縦桿のような自身の引き金を引いた。砲塔内の装薬に高圧電流が流し込まれ薬莢の中に入っていた2トンの炸薬が爆発し35トンの砲弾が砲身の中を加速しながら進み始める。砲身を30m進んだ所で今度は電磁の力が加わった。
直径4キロに及ぶ大きな魔方陣が大陸中のありとあらゆる物から魔力を少しずつ奪いその魔力を全て電力に変換する。
その大量の電力が磁力に変わり、砲弾に信じ難いほどの推進力を与える。こうして火薬だけでは理論上不可能な運動エネルギーを得た砲弾は砲口を離れ、1000km離れた場所めがけて飛翔した
DADADADADANN!!!!!
その爆音と振動がかすかにだが管制室まで響いてくる。その振動が収まってから、最初の発射から25秒後1番から4番が砲弾を装填する中でアースは再び発砲許可を出した。
「五番から八番用意・・・テェェーーー!!」
再び四個の砲身から120cm35tの砲弾が目標めがけて砲身を飛び出していった。4つ砲身の閉鎖機から空になった薬莢が排出され130m下に落下していった。
560 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 22:18 ID:???
西暦2006年8月15日07:50
落下してくる砲弾に真っ先に気づいたのはタンゴ線防衛陣地に展開していた航空自衛隊所属の移動式レーダー部隊だった。
トラックの荷台の上に細長い円筒形のレーダーは凄まじい速度で落下してくる砲弾を見逃さずその電子の目で捕らえていた。
「班長!!アンノン確認!!マッハ14.5で突入してきます!!」
レーダーを見張っていた隊員が隣で小説を眺めていた班長に慌てて大声で告げる。
「何だと!!?」
班長が本を背後に放り出し慌ててレーダーに目を向ける。先ほどレーダーの一番端にあった目標群はすでに中心のやや上を目指してレーダーの有効半径の半分を突破していた。
それを確認した班長が慌てて無線機を手にとって怒鳴りつけた。
「『タンゴの目』より各部隊!!東北東よりアンノン高速接近中!!警戒されたし!!繰り返す!!東北東よりアンノン高速接近中!!警戒されたし!!」
班長の叫び声が聞こえたのか付近を警戒していた隊員達が何事かと振り返ってきた。だがその間にも目標は弾道弾並の速さでどんどん進みもう一〇数キロの所まで到達していた。
「司令部より『タンゴの目』。どうした何があった!!」
無線からも直に返答があったがレーダー部隊が返答する前に『ソレ』はやって来た。
「班長!!来ました!!』
本部に返答する事すら忘れ東北東の上空を監視していた隊員がはるか彼方を指差す。
部隊の全員が其方に目を向けると白熱する四個の何かが衝撃波と飛行機雲を引きながら、いや大気の壁を引き裂きながら彼らの上空を通り過ぎ13キロ先の防衛陣地がある目標の山を中心に約2,0キロ四方の中に着弾した。
瞬間的に山の表面で爆発が発生し衝撃波を発生させた。
「来るぞーーーー!!伏せろーーーーーーー!!!」
班長の叫び声に隊員達が慌てて目を閉じて耳を塞ぎ口を開きながら伏せた。
561 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 22:18 ID:???
まず空中から凄まじい爆風が表現の仕様の無い風切音と共に彼らを襲った。
そのが爆風が収まりきらない間に続けて先ほど落下した砲弾の落下の爆音が聞こえてきた。
BGOGGGGGGGGGGGGGGGGOOOOOON!!!
さすがに13キロも離れている為衝撃波が彼らを襲うという事は無かったが凄まじい爆音が彼らを襲った。
音が止んだのを確認した隊員達が恐る恐る地面に擦り付けていた頭を上げて着弾点を伺おうとゆっくりと顔を上げた。
だが着弾点は凄まじい土煙で何も見えず今も土煙が上がり続けキノコ雲のような土煙を形成していた。
「す、すげえ・・・」
隊員の一人がそう呟きながら立ち上がってもっとよく見ようと立ち上がった瞬間だった。
「あ、あ、あ、あ、あ、・・・」
砲弾が飛んできたほうに目を向けた隊員が空中を指差したまま何事か言おうとして凍りつく。
それを見た班長が嫌な予感を起こしながら素早く東北東の空を見上げた。
其処には先ほどと全く同じような軌道を描いて飛び込んできた四個の砲弾が先ほどの砲弾が残した蒸気の痕跡を衝撃波で瞬間的に消滅させこちらに向かって飛んできていた。
「ち、畜生・・・伏せろーーーーーー!!」
班長がそう叫んで伏せようとすると同時に誘導性を持った四個の砲弾が土煙の塔に大きな穴をあけ、先ほどの山を中心に同じような集弾率で付近を吹き飛ばした。
その後の着弾は段々と彼らに近づき続け彼らが再び頭を上げたのは彼らの手前5キロの地点に着弾した第20斉射目から五分後のことだった。
562 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 22:19 ID:???
何故ストーンヘッジが第20斉射目で砲撃を終了したのかというとさすがに魔力で強化冷却されているとはいえやはり凄まじい熱を持ってまうのと
落下した120cm砲の薬莢の回収、および新しい砲弾の装填の為でもあった。
まあそう言った理由で砲撃は終了したもののその砲撃を食らった都市国家同盟軍と120人の軍事顧問団の被害はすさまじい物だった。
まず着弾点付近で最初の着弾時にトーチカ外にいた隊員達と魔術師たちは塹壕に逃げ込んだり防御魔法を展開するまもなく
爆風とダングステン製の徹甲榴弾と榴弾の破片雨に瞬間的に引き裂かれるまたは吹き飛ばされて即死した。
塹壕に最初からいた運のいい奴や運良く重傷で生き残った兵士や隊員達も動けないまま度重なる砲撃で持ち上がり落下してきた土砂に埋め尽くされその多くが圧死するか窒息死した。
さすがに分厚いトーチカに篭っていた隊員達や士官達は比較的生存率が高かったが、
運悪くダングステン製の徹甲榴弾が直撃したトーチカは完全に破壊され微かに周囲に転がるペトン製の残骸が其処にトーチカがあった事を物語っていた。
その後 上層部は必死になって陣地と士気を何とか戦闘可能レベルにまで建て直しその後地上部隊の進攻を8時間耐え抜いたが
8時間に再び行なわれた20斉射によって戦線と士気は完全に崩壊し都市国家同盟軍はエルフィール領土まで壊走した。
563 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 22:21 ID:???
西暦2006年8月17日11:00
コーツ港日本丸停泊地
日本丸は最後の荷物の積み込みが遅れ未だに出港できずにいた。
積荷の大量の食糧を下ろす予定だった倉庫が火事で崩壊しており止む無く2km先の倉庫に運び込まなければならなかった為なかなか作業は進まなかったのだ。
その運び込んだ倉庫からは運び込んでいる最中だというにもかかわらず各砦、陣地から食糧を調達しにきた部隊が持ち去りついには直接船の所までとりに来る部隊も存在した
今やっとこの国で大量に取れる希少金属の積み込みが終了し最後の荷物(日本政府からいっそ港に入ったなら次の船の荷物も出来る限りもって帰って来いと指示があった)のワイン製造所に
置いてあるような大ダルの積み込みを開始した所だった。
このコーツという国は大陸第二位の鉱物資源産出国でミスリル銀やアダマンダイトにオリハルコンなどの魔法石、さらに大量の金も産出していた。
だがそんな希少金属の輸入はおまけのような物で本当の日本政府の目的は、この国で鉄を掘るかのごとく大量に産出されるダグステンだった。
ボーキサイトを買うような値段で同じ量のダグステンが買えるとあって輸入物資全体の中で30パーセントがコーツとの取引でさらに7パーセントがダグステンだった。
この船、日本丸の積載物の50パーセントはダグステンが占めていて残りの50パーセントが現在積み込み中の原油の詰まった大量の大ダルとその他の希少金属であった。
本来なら日本丸のような輸送船よりも鉱物輸送専門の船、例えば勇敢にも日本丸入港の6時間後に入港してきて日本丸から500メートル離れた地点で
大急ぎで鉄鉱石を積み込んでいるあけぼの丸のような船がよかったのだが、何しろこちらの世界に来てから船が足らず、使える船は何でも使えという状況になっていた。
「船長、なんとか12時までには出港できそうです。」
副長が書類をめくりながら報告してきた。
「うむ。積み込みを急がせてくれ。敵がすぐ傍までやって来てるからな。」
「は。了解しました。」
副長がそう返答した瞬間だった。
564 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/02 22:22 ID:???
カンカンカンカン
突然防空警報の鐘の音が遠くの方から響き渡って来る。だがこの音は直接この港が襲われたのではなくもっと深刻な事体、つまり首都が攻撃されているという事だった。
慌てて副長と船長が船の最高部に登り首都の方角に望遠鏡を向ける。
天気が快晴という好条件であったためオーラン軍のドラグーンとコーツ軍のドラグーンが空中で一進一退の激しく戦闘が確認できた。地上部隊は確認できないが激しい対空砲火を行なっているようだ。
船長は湾岸戦争の対空射撃の映像を見ているかのような光景にしばらく言葉を失っていたが港上空を守っていたペガサス騎兵達が首都に向かって出撃していったのを確認すると隣にいた副長に慌てて命令した。
「副長!!すぐに荷物の搬入を中止して出港の準備を急がせろ!!乗員の確認も忘れるなよ!!」
「はっ、了解しました!!」
副長がすぐにその指示に従い艦橋の上から降りて通信室に飛び込む。船長がその後もしばらく首都付近の攻防戦を眺め何とかオーラン軍のドラグーン達をコーツ軍が押し返し一時撤退したのを確認すると直に副長を追って船内に戻った。
「船員の数を確かめろ!!」
船員の叫びが行き交う。物資の搬入も大急ぎで進められ残す所後一タルだけだったので急いで積み込み船員達が船内に飛び込んでくる。
「三人がまだ戻ってきていないぞ!!」
船員の誰かが人数を確かめ慌てて数えなおしに行く。
館内に避難してきた人々を船員が船の空いている所へ所かまわず詰め込んでいく。
「三人が戻ってきました!!」 急に呼び戻された船員達が慌てて船に繋がる階段を上がってくる。
「船長全員そろいました。何時でも出港できます。」
副長が報告に来る。それを聞いた船長が答える。
「分かった。 後一つあけぼの丸にいつ出港できるか尋ねろ。」
「了解しました!!」
副長が通信官に命じあけぼの丸と交信する。直に応答があった。
『こちらあけぼの丸より日本丸へ。出港準備まで後10分はかかる予定だ。我にかまわず出港せよ』
『了解。』船長、お聞きの通りです。」
通信官が振り返りながら船長に報告する。船長が彼に向かって一度頷くと出港命令を出した。
640 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:47 ID:???
1946年
太平洋ビギニ湾で米軍による核実験、『クロスロード作戦』が実行に移された。
空中で3発の核爆弾を爆発させたA実験で日本海軍所属の2等巡洋艦『酒匂』と駆逐艦4が沈没。
しかし実験の際 不発に終わったのか1発の爆発は確認できずに終わった。
そして水中で核実験を行なうB実験によってアメリカ海軍戦艦『アンカーソー』とA実験によって大破していた空母『サラトガ』を含む7隻の軍艦が沈没した。
だが上甲板の少々の損傷と軽い浸水だけで二つの実験に耐えた『長門』がB実験から5日後深夜に突如凄まじい光を発し消滅したのだった。
米軍の実験担当者達は凄まじい光を発して姿を消した長門を、弾薬庫に到達した火災によって搭載したままの砲弾が誘爆、沈没したのだろう。と結論を出して後に目標艦の損傷を確認する為沈没艦の捜索を行なった。
だが 沈没したはずの長門の姿は付近を徹底的に捜索しても何処にも見つからなかった。
それどころかその捜索の際に新たな事実が判明した。『長門』以外にも沈没したと思われていた数隻の艦が見つから無かったのだ。
米海軍はひたすらこの事実を隠した。偽装工作のため実験に耐えた艦の中から行方不明になった艦によく似た艦船を沈め民間に屑鉄として売り渡したとして大統領に報告した。
かくして『ビキニ軍艦失踪事件』は、駆逐艦が姿を消した『フィラディルフィア計画』と共に米海軍の最高機密として封印された。
そして書き換えられた報告書にはこう書き残された。
『空中で2発の核爆弾を爆発させたA実験で日本海軍所属の2等巡洋艦『酒匂』と駆逐艦4が沈没。
そして水中で核実験を行なうB実験によってアメリカ海軍戦艦『アンカーソー』とA実験によって大破していた空母『サラトガ』を含む7隻の軍艦が沈没した。
そして日本海軍の旗艦をつとめた戦艦『長門』は2回の実験で中破浸水し5日後深夜 誰にも見られることなく沈没した。』と・・・
641 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:48 ID:???
そして同年同日 エルフィールに置いても凄まじい事件が発生していた。
ハーフエルフ達との戦争の際にエルフィールに愛想をつかした異世界の戦士達がエルフィールを去り事もあろうにハーフエルフ達に味方したため戦力の不足に悩まされたエルフィール上層部は
再び自国の所有する『賢者の石』とハーフエルフの里とから奪い取った『賢者の石』シクヴァルから盗み出した『賢者の石』の
合計3つの賢者の石を使用し異世界の戦士や武器を連続して呼び寄せようとたくらみ複数の召還の儀式を行なった。
だが同時に2つの召還を行なったため、一つ目の召還術は失敗した。
この世界への召還そのものは成功したのだが、彼らの目の前には現れず大陸の逆側、シクヴァル国の港の目と鼻の先に現れたのだった。
もちろんエルフィールにそれを確認するすべは無く召還は失敗に終わったと判断された。
そしてその直後に2つ目の召還が成功した。
本来なら異世界の物の召還に成功したとなれば多いに喜ぶべき事なのだが、この場合召還が成功したことが悲劇であった。
彼らは正確にある一つの物体を召還し、それは召還術を行なった地点の真上、上空千数百メートルの地点に現れた。
重さ4t、長さ3m、直径約0,7mの鉄の塊で出来た爆弾は当たり前のように重力に引かれスピードを上げながら落下した。
そして数秒後召還術士達が見上げる中 高度250付近でそれは爆発した。
人類が作り出した史上最強の爆弾は自らを召還した者、そしてそれを見守っていた者、そして召還地点のすぐ傍に作られた駐屯地を一瞬にして蒸発させ付近一帯を破壊し燃やし尽くした。
その爆発の際巻き上がったキノコ雲は遠く離れた首都からも確認され直ぐに調査隊が派遣された。
召還地点の調査に向かった将兵は愕然とした。森の中に作られた召還施設は付近一帯の森ごと消滅し 焼け野原になり召還術が行なわれた駐屯地付近では地面が溶解しガラス状になっていた。
さらに調査に入った将兵達が放射能とその惨状に肉体と精神をやられ次々と体調を崩し倒れ、その多くが直ぐに帰らぬものとなった。
642 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:49 ID:???
その惨状を見た将兵は『魔王だ!!魔王の呪いだ!!』『度重なる召還術が神の怒りに触れた!』と口々に叫び調査を諦め逃げ出した。
事体を重く見たエルフィール国王は事件から5日後この召還術の使用禁止と賢者の石の封印を決意。
早速別の地点で召還術を続けていた召還を中止させた。
そのため最後の召還術も失敗に終わり召還された長門は傷ついたまま人魚半漁人達の住処として海を彷徨っていた所をシクヴァル海軍に拾われシクヴァル海軍の編入された。
シクヴァル海軍は無人のまま手に入れた軍艦を整備し調査して海軍を徹底的に整備しつづけ戦力を高めた。
だが有り余る力は戦争を呼ぶとして国王の手によって軍艦たちは封印された。国王は万が一他国と戦争になった際だけの使用を認めた。
一部の艦は解体されて鉄の資源の確保のために潰され金属製日用具や良質の鉄として王立軍の武装強化に使用された。
そして2004年12月に国王が死んだ事でその封印は解かれシクヴァル海軍連合艦隊は封印を解かれ再び編成しなおされる。
2004年の政争の際 海軍は自分達への予算増加を条件に国王の弟を支援し王妃を支援する一部部隊を海上からの砲撃で撃破しさらに海軍陸戦隊で殲滅し国王の弟の政権奪取の大いなる力となった。
今までも年に数ヶ月間だけ『万が一の際に直ぐに運用できるように』と国王に許可を貰い訓練を行なっていた海軍将兵たちは1年間を猛訓練に費やしその戦闘力を高めていた。
そして2006年8月1日国王直々の命令を受け彼らは出撃した。
643 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:49 ID:???
西暦2006年8月17日12:00
白い帽子、セーラー服、そして半ズボンというシクヴァル海軍水兵共通の格好をした水兵がこれまた白い制服に身を包み腰にダガーをぶら下げていた髭面の士官に脇を締めて敬礼をしながら何事か報告する。
その報告を受けた士官は其れに敬礼を返し水兵が作業に戻ったのを確認すると自らも踵を返し少し離れた甲板上に立っていた高級士官に報告する。
さらにその高級士官が艦長のすぐ隣に控えている金髪の着物姿の精霊を一瞥した後、煙草をふかしていた艦長に報告した。
「艦長。ご存知かと存じますが砲撃戦の準備が整いました。何時でも作戦を開始できます。」
「おう。わかっているぞ。ちょっと待て。」
そう言ってから艦長が吸っていたキセルの煙を思いっきり吸い込みそしてゆっくりと煙を吐き出すと満足したようにくすぶる煙草の火を消してかた従卒の水兵にキセルを手渡し振り返って尋ねてくる。
「他の艦の方はどうだ?」
「は。空母ジルフォン搭載の航空部隊三個中隊、赤、青、緑さらに我が海軍陸戦隊、オーラン軍の上陸部隊も準備が完了しました。」
尋ねられた高級士官が返答する。
「なるほど、予定通りってやつだな。」
艦長が水平線の彼方に薄っすらと見えるコーツ港から出てきた2隻の金属船舶と木造船を眺めながら続ける。
「・・・この戦船には悪いができりゃあ前の王の時みたいに鎖国続けてりゃあ戦争なんぞせんでよかったんだがなあ」
「やむを得ませんな。今はオーラン ランドと結んだ条約がありますからな。それに今度の国王もオーラン国王フセイン殿と血縁関係があられるようですし。」
「それにストーンヘッジもある。この船に搭載してる主砲の口径の3倍、120cmの化物砲の射程内に国土の全部が納まってちゃ逆らえる訳も無いしな・・」
彼らを横目に作業を終わらせた船員達が必要最低限の人員を残し船内に入っていく。作戦開始時間まであと数分を切っていたからだ。
644 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:50 ID:???
「艦長!!旗艦ジルフォンから攻撃開始の旗琉信号!!」
見張りに立っていた船員が隣の艦からの連絡用の旗が上がったのを報告に来る。それを聞いた艦長が帽子を被りなおして命令する。
もちろん通信でも命令が送られるがシクヴァル海軍には通信システムや通信を担当するエルフの水兵が少なく主力艦と一部の快速船しか通信機能を保持していなかった。
他にも手旗信号、発光信号、もしくは各船に一騎ずつ乗っている通信用のグリフォンで直接連絡を取る等の通信手段が会ったが
今回は手早く遠距離からも確認しやすい連絡旗にて全部隊に連絡をとったのである。
「あれこれいっている時ではないな。旗琉半揚だ。」「旗琉半揚!!急げ!!」
「了解!!旗琉半揚!!」
艦長の命を高級士官がさらに下の者に大声で伝える。それに従い係の船員達が大急ぎで決められた旗を指示通り半分上げる。
無線機を積んでいないこれらの船同士の意思疎通はあらかじめ決められていた旗で行なっていた。
「3番艦ジーク応答 半揚!!」
「4番艦シースター応答 半揚!!」
まず旗艦であるジルフォンが決められた旗を上げる。それに従い2番艦3番艦・・・と旗を順番に上げて行く。
「24番艦ファルコン応答 全揚!!」
そして最後の船がそれを確認すると今度は逆に半揚を全揚にと逆にに伝えていく。
「三番艦ジーク応答 全揚!!」
「よし。応答しろ。」「了解。旗琉全揚!!」
「了解!!旗琉全揚!!」
これで制海、上陸支援艦隊全艦に指示が行き渡った事になる。
645 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:51 ID:???
畝傍が旗流を全揚したから十数秒後 旗による作戦の伝達が行き渡ったのを確認した旗艦のジルフォンがタイミングを見計らい一気に旗を引き降ろす。
「発動!!」
それを確認した各艦の旗が一斉に引き降ろされる。
その瞬間ガレー船12隻、ガリオン6隻、そして異世界から召還された駆逐艦1巡洋艦2、戦艦2、空母1で構成された艦隊が攻撃を開始した。
まず空母ジルフォン・・・かつてサラトガとよばれた空母から制空部隊の『赤』が最初に飛び立ち続けて『青』石炭から作れる爆薬 ピクリン酸の詰まった筒かアルコールの詰まった樽を抱えて飛び出していく。
足の速い快速帆船達が一斉に風の精霊に後押しされ急激に速力を上げながら突入を開始する。
後方からは長距離魔法が放たれコーツ海軍停泊地めがけて白い塊が音もなく連続するように飛び出していった。
それに対しコーツ海軍警戒部隊が魔術によって阻止せんと攻撃を開始する。
双方が攻撃を仕掛けるたびに色鮮やかに空中を魔術が行き交い、まるでオーロラを見ているような気分にさせる。
だがオーロラの光も人体に害を持っているのと同じ用に上空を飛び交う光もまた強力な破壊の力を帯びていた。
双方の魔術が双方の船の直ぐ近くに落ちて爆発、または大きな水柱を上げた。直撃するかに見えた魔術も互いの防御呪文『イージスの楯』によって防がれてしまう。
船の正面や側面に丸い円形の淡いピンク色の楯が複数生まれ飛んできた魔術をその表面で弾き続けた。
魔力の楯にもそしてその数にも限界がある。コーツの軍艦が放った質量系魔術が放物線を描き魔術の楯の隙間を通りガレー船の上部構造物を吹き飛ばしそのまま船内をぶち抜いて後方に抜け海面に落下した。
第三分隊所属の船員が慌ててダメコン用の板を担ぎ上げ水面下に空いた直径二十センチほどの大穴を防ごうと水圧と戦い数人係で無理やり穴を板で塞ぎ残りの船員達がその板に木を添えて固定する。
だが板と壁の隙間から流れ込んでくる水は止まらない。さらに別の水兵達が足首まで溜まった水を小さな容器でバケツに貯めてそのバケツをリレーして船外に運び出してゆく。
646 名前: てさりすと ◆ZnBI2EKkq. 03/04/25 22:52 ID:???
「道を開けろ!!穴を塞ぎにきた魔術班だ!!」
動きにくそうな黒服を着た水兵がダメコンをしていた水兵を押しのけ魔術の詠唱を始める。
その間にも船内に侵入してくる海水は増え続け最早バケツリレーでどうにかなるレベルを越え始めていた。
「・・氷の精霊シヴァよ。今こそ汝の力を持って我が業を成さん。アイス!!」
魔術師が何の前触れも無く手の中に生まれた氷の塊を水が噴出する所に軽く放り投げる。投げつけられた氷の塊が噴出する水と接触した直後一気に付近を凍りつかせ浸水が収まる。
「よし!ここは塞いだ。次は何処だ!!」
魔術師が噴出していた水が振り返って魔術の瞬間を見守っていた伝令兵に尋ねる。伝令兵が慌てて答えた。
「は!次は左舷倉庫正面です!!」
「わかった!!お前は他に損傷が無いか尋ねてまわって来い!!」
「分かりました!!」
水兵達が水をバケツリレーで排出する中 伝令兵とダメコン魔術師は互いの任務を遂行する為に走り出す。
同時刻 魔術の雨の中をくぐり抜け最先頭を突き進むガレー船は風を受けただけでは飽きたらず訓練に訓練を重ねた船員達が6メートルに及ぶ長いオールを一糸乱れぬ動きで前後させさらに加速させた。
今度はお返しとばかり先ほど魔術を受けたガレー船から放たれた炎系魔術が魔術の楯の隙間を縫ってコーツの木造戦闘艦に直撃した。
先ほどの質量系魔術とは違い構造物の表面に命中した直後その場で爆発発火し付近を燃え上がらせた。爆発自体は対した破壊力は無かったが
近くにいた船員の上半身に燃え移りその船員は辺りの制止を振り切り海に飛び込んだきり浮かんでこなかった。
近くにいた魔術師が慌てて魔術の楯を解き 水の精霊の力を借りて船に引火した火を消そうと呪文を唱え始めた。だがそうは問屋がおろさない。
彼が魔術の楯を解除した為に発生した隙間に次々と質量系魔術が命中し塞ぎ様の無い損傷を受け船が沈み始めた。
退艦命令が出され沈み逝く艦から魔術師達が真っ先に空に退避し始めた為 敵の魔術に対する防衛手段を失った艦に次々と魔術が命中し木造船に強力な質量系魔法が次々と命中した為
一瞬にして船体を真っ二つに引き裂かれ 1分と立たない間に沈んでしまった。