298  名前:  てさりすと  03/01/13  14:59  ID:???  

シークプレスト  
「・・・はい  確かに。どうぞお通りください。」  
門番の兵士から書類を渡された騎士が書類を確認し屋上に居た兵士達に門を開けろと合図する。  
城壁に登っていた兵士が弓をさげ後ろに合図を送る。  
「では  この書類はお返しします。ようこそシークプレストへ  
書類に書いてある駐屯地を設営していいというところはここから今きた道をさらに馬で10分ぐらい進んだ所です。  
一応  念のため代表の方々は市長の方にも一応この書類を持っていって確認を取ってください。  
市の役所は門を入ってから城壁沿いに進んでくれればすぐに分かると思います。  
何かあったらあの橋の向こうの赤い屋根が市軍の本部ですので  あちらのほうによろしく頼みます。」  
「わかった。ありがとう。」  
気のいい騎士に挨拶し市内にボブと最上が乗った高機動車が2台中型トラックが1台進んでいった。  
残りの部隊は先ほどの兵士の先導に付いてゆっくりと駐屯地設営場所にむかった。  
町の中に入ると一定の距離ごとに街灯があり魔術師のような格好をした人が手をかざすごとに明かりがついていく。  
すでに辺りは暗くなり始めているが人の流れはまだ多い。すれ違う帰宅途中の人が悲鳴をあげたり  
すさまじいエンジン音等を聞きつけてやってきた警官や兵士に何度も説明するはめになった。  
「ねーママー  みてー鉄の車が動いてるよ〜」「見ちゃ駄目!!こっちに来なさい!!」  
子供が興味深そうにこちらを振り返りながら母親に強く引っ張られていく。  
住民は皆すこし興味深そうに集まってくるが隊員と目が会うと逃げ出したり視線をそらしたりしていた。  
そのうち何度も質問されるのを気の毒に思ったのか警官達が馬で道案内をしだした。  
しばらく進むと派手な建物が見えてくる。確かに一目で分かるぐらい派手だった。  
ボブと最上が警官に軽く手で礼をして2人の護衛の隊員と共にやけに派手な市役所に入っていく。  
こざっぱりとした服をきた役人に用件を伝えると応接間に通され役人が「しばらくお待ちください」と言って部屋から退出していく。  
付近をぐるりと見渡し最上がボブに語りかける。  



299  名前:  てさりすと  03/01/13  15:00  ID:???  

「それにしても凄い内装ですな。エルフィールの町の役所より凄いです。」  
いちど王都で入った役所を思い出す。  
「確かに派手すぎますな。役所にこんな派手なものは要らんと思うが・・」  
そう言って花を飾ってあった小さな壷を調べる。裏側に名前が刻んである。  
「やはり名工ギースの作品か。これ一つで傭兵が500人ほど雇えますよ。」  
そう言って最上にも見せようとする。軽く手をふって最上が断る。  
「そんなもの  怖くて持てませんよ。もし落としたら弁償できませんし」  
苦笑いしながら最上が断る。  
「ははは  この部屋にあるものこの部屋にあるものだいたい全部同じぐらいしますよ」  
と笑いながら花瓶を棚に戻す。  
後ろで収納箱に軽く腰かけていた隊員も急に立ち上がって傷をつけなかったかびびりながら念入りに調べている  
そこに召使だろうか。紅茶のセット積んだ銀板を持ってやってくる。  
「どうぞ  お口に会うとよろしいのですが。」  
そう言ってポットから入れたばかりの紅茶と砂糖箱を取り出す。この砂糖箱も大層値段が張りそうだ  
「ありがとう。それと悪いんだが(ですが)後ろの彼ら(部下)にも何か飲み物も入れてやってくれないかな」  
ボブと最上が声を合わせて同時に言う。お互い顔を見合わせて笑った。  
「従者の方にもですか?・・分かりました。どうぞ」  
めずらしそうにしながら後ろに居た二人の隊員にも紅茶を渡していく。  
隊員達がありがとうと答えて紅茶のカップを受け取っていく。  
そこにノックの音の後先ほどの役人がドアを開けて横に退く  
「どうもお待たせしました。仕事が立て込んでたもので」  
そう言ってでっぷりとして油の乗った着飾った大きな豚・・失礼。市長が入ってくる  
歩く音もどこか重たそうな感じがしていた。  
「やあ。私は王立調査隊のボブ・ザックだ。こちらは異世界から来た日本国の陸上自衛隊の副指令官の最上陸将補殿だ。」  


300  名前:  てさりすと  03/01/13  15:07  ID:???  

「どうもボブ卿  素晴らしい功績の数々私の耳にも届いております。  
それと最上副将軍どの兵士達のすさまじいご活躍のおかげで城が守られたそうで」  
「どうも市長殿  急で悪いんですがこの書類を見て下さい。」  
そう言って書類を渡す。市長は字が読めない為先ほどの役員を呼んで説明させる。  
「なるほど  わかりました。どうぞあの場所はご自由にお使いください。  
ただ  浮浪者がよくうろついて居りますので気をつけてください。」  
そう笑いながら返答してくる。ボブ船長が言いにくそうに言う  
「それと  ここに来るまでの道の途中  反乱者ギアの娘を捕まえた。  
王都に連絡を入れておいたが迎えがくるまで彼女の身柄を確保しておいてくれ。」  
「わかりました。任せておいてください」そうもみ手で答える。  
「それでは部下が待っていますのでこれで失礼します。」  
「そうですか。ではお見送りしましょう。」  
そう言って先に玄関のところに向かう。  
「お嬢さん。先ほどの紅茶美味しかったよ。ありがとう。」  
「ご馳走様でした」最上達が次々と礼を言って席を立っていく。  
まさか大臣クラスの人間や軍の副将軍がいちいちメイドに礼をすると思っていなかった召使は  
礼を言われるたびにあわてて頭を深く下げて礼を返した。  
「それでは市長。お元気で。」  
そう言ってボブ船長と最上が高機動車に乗り込む。  
後ろに位置した中型トラックでは隊員に手を貸されてギア大臣の娘や侍女たちが下車していた。  
そこに市長の命で集まってきた兵士達が集まってくる。  
「市長の命で反逆者の娘達の受け取りに参りました。」  
丁寧な挨拶をして隊員に話しかける。トラックから彼女達を降ろしていた隊員が振り返って返事をする。  
「分かりました。彼女達がそうです。」  
「了解!!後は任せておいてください。丁重に預かります。」  
隊員達が敬礼をしてからトラックに乗り込む。  


301  名前:  てさりすと  03/01/13  15:08  ID:???  

先頭の高機動車が動き出した。それに続いてトラックもだんだんと動き出す。  
「班長!!連中が捕虜を!!」後ろのほうに乗っていた隊員が叫ぶ  
兵士達がギア大臣の娘達を乱暴に引きずっていく。  
先ほどあんなに丁寧に挨拶してきた兵士達が怪我で歩くのがおくれた兵士を蹴っ飛ばしたりもしていた。  
「くそ!!何処が丁重にあつかうだ!!あれじゃあ捕虜虐待じゃねえか!!」  
「なにやってんだあいつら!!ジュネーブ条約違反だ!!しかも相手は女性と怪我人だぞ!?なんて事をするんだ!!」  
トラックの奥に居た班長がいそいで後ろまでやってくるがそのときにはもう彼女達の姿は見えなくなっていた。  

すでに真っ暗になった平野を3台の光が駆け抜けていく。  
500mほどまで道が整備されていたが今通っている道はすでに砂に埋もれていたがかろうじて道の体裁を繕っていた。  
先ほど小林たちの道案内をしていた兵士とすれ違い3分ほど進んだ所で王立調査隊の兵士達が  
強化アクリル製の楯と槍を持って警戒していた。  
小林たちに気づき敬礼をしてくる。それに敬礼を返してついでに場所を尋ねる。  
「そこの町です」「そうか。ありがとう。」  
高機動車が正門らしき所を通って市街地に入っていく。  
町の中には何にも無かった。そこらかしこに古いゴミが積みあがっている以外は。  
隊員達が付近の建物を調査しているようだ。幾つ物建物の中でライトの光が動いていた。  
最上は車から降りて近くで指示をおこなっていた小林にちかよっていく。  
「小林君。いったい今何をしているのかね?」  
「なに?!あ  失礼しました。陸将補殿。付近の調査です。  
さきほど変な人影を見たという報告が山のようにありましてな。付近を捜索しているのです。」  
「町の住民も居ないようだが・・」ボブ船長が首を捻る。  
「おや?ボブ船長はご存知でない?先ほどここまで案内してくれた兵士によりますと数ヶ月前に疫病が流行り  
住民の半分が死亡。それに追い討ちを欠けるようにコブリンやオークの盗賊団に襲われてとどめをさされたようです。  
運良く生き残った住民は先ほどの町に移り住んだようです」  
「そんな事があったのか・・」呟くようボブ船長が言う。  


302  名前:  てさりすと  03/01/13  15:19  ID:???  

「そんな事があったのか・・」呟くようボブ船長が言う。  
「とりあえず駐屯地の設置は終わりました。比較的状態のよかった貴族の屋敷に本部を設置。  
教会の屋上に通信機材を運び込んで何とか通信回線も確保。警備ために1個分隊をむかわせました。  
あとは北と西の門のところに1個小隊づつ警戒のためにむかわせました。  
それ以外の隊員は付近を調査しております。  
それと残りの門はボブ船長の部下のソードと言う人が部下に命令して警戒に当たっています。」  
最上はそうかと頷くと  
「明日偵察に向かう部隊によく休むように伝えておいてくれ。あとは頼んだぞ」  
「了解しました」そう言って最上達がすぐそこの本部にむかって歩き出す。  
ふと振り返ると隊員と調査隊の兵士達が何も無かったと小林に報告していた。  
そのとき西門のほうから爆発音と小銃の連射音が響き渡った。  


/////////////////////////  
全然自衛隊活躍シーンがない・・・  
逝ってきます・・・  
関係の無い話の部分も多いし・・  
次からまた戦闘になるので許してください  
・・・・・・・・・・・・・  
関係ないけど自衛隊がでてくるSF小説狂化学ハンターって本のなかに  
海自がSFの船と戦闘するシーンがあるんですが  
一秒辺り6000発の劣化ウラン弾を発射する20ミリ多銃身CIWS(ファランクス砲)てなによw  
しかも装備してるのは海上自衛隊の(むらさめ)  
何故日本に劣化ウラン弾がとか野暮な事は聞かない(気になるが)  
それよりも一秒辺り6000発のファランクスってなんだよw  
           ・・・・・・・  
瞬時に弾切れ確実しかもなぜか主砲を使わないしw  
面白い本でしたw色々とw  





356  名前:  てさりすと  03/01/16  00:42  ID:???  

続き  
門の上に89式小銃の二脚をたてて隊員が射撃している。  
先ほど門の前に立っていた隊員に背後から切りかかろうとしたオークはすでに射殺していた。  
「まて!様子が変だぞ?」  
小隊長の水島2尉が宮本陸士長の発砲を止めさせる。  
隊員達が発砲していないにも関らず発砲音らしきものが響いている  
『本部。こちら西門。隊員に襲い掛かろうとした化け物を射殺。  
しかしながらここから数百mの地点から何処かの部隊の銃撃音らしきものが聞こえる。』  
サーチライトが逃げるオークを照らす。その瞬間オークの頭がトマトのようにつぶれる。  
「隊長!あそこを見てください!ノズルファイアが!!」  
暗視ゴーグルをつけていた杉野三曹が数百M先の茂みを指差す。水島もそちらに目を向けた。  
遠くてよく分からないが確かに誰かが銃のようなものを持ってオークを狙っている。  
『本部より西門  状況を知らせ。』本部から反応があった。  
『負傷者一名。宮沢三曹が弓で撃たれた。現在後送中!ほかに被害なし!!』  
『西門?どこの馬鹿が乗り込んだ!!』  
無線に誰かが割り込む。おそらく何処かの馬鹿が何か勘違いしているんだろう。そう考えて水島が返答する。  
『豚の化けもんだ!!門の上から攻撃した!!今のところ後続はない!!』  
『馬鹿やろう!!勝手な事をするな!!誰が町の中から撃てといった!!少尉をだせ!!』  
『どっちが馬鹿だ!!間抜けやろう!!外に出たら弓で撃たれるだろうが!!』  
水島が怒鳴り返す。だいたいこいつ何をばかげた事を!米軍はともかく自衛隊に少尉などという階級は無い  
切れながら返答する。  
『何処の部隊だ!!外壁に上ってるのは?!だいたい俺達は町の中に入ってないぞ!!』  
またしても変な会話が割り込んでくる。すでに銃声は少なくなり辺りは静かになりつつあった。  
本部が割り込む。  
『何をいってる  あっ!・・・・・・何処の馬鹿だ!!所属と官制名をいえ!!』  
隊員から無線を分捕り小林が怒鳴りつける。  
『本部を名乗った上に本部に向かって何処の馬鹿だと!!いい根性だ!!貴様後で営倉にぶち込んでやる!!  
いいかその腐った脳みそに叩き込め!!俺は共和国軍第一旅団緑中隊指揮官の中山大尉だ!!貴様こそ官制名をいえ!!』  



357  名前:  てさりすと  03/01/16  00:42  ID:???  

水島小隊が全員無線機を背負っている隊員をいや無線に怒鳴っている水島の方を向く。  
何処かの馬鹿が発狂したのか?皆がそんな顔をして水島を見つめた。水島も訳が分からず沈黙する。  
そんな中  本部が続ける。  
『・・お前何処に居るんだ?・・付近の隊員に告ぐ。すぐにそいつを取り押さえて場所を報告せよ。衛生班をむかわせる。」  
どうやら本部も水島達とおんなじ考えに達したらしい。ほかに理由が思いつくだろうか。  
『ふざけるな!!とっとと官制名を答えろ!!』  
無線の向こうで中山大尉とやらが怒鳴っている。  
『・・・陸上自衛隊第四師団司令部の小林一佐だ。・・君はこの騒動でつかれているんだ。一度ゆっくりと休め。』  
『・・・お前こそ本当に大丈夫か?衛生兵が迎えに行くから落ち着いて場所を報告しろ』  
どちらも同じような事を言っている。そのとき水島達と先ほどの門の外にいた銃のようなものを持っていた兵士の目線があった。  
互いにあることに気づいた。即座に両方がしゃがみこむ  
『『本部!!あれは味方じゃない!!装備が違うぞ』』  
互いにある事を思い込んでいた。『無線と火器を使えるのは自分達だけだと』  
自衛隊のほうもこの世界で無線機や銃を使う文明があるとは思っていなかった。  
向こうも全く思っていなかったらしい。  
そして再び同時に無線が飛び込んでくる。  
『『全部隊に次ぐ!!無線は使うな!!』』  


358  名前:  てさりすと  03/01/16  00:45  ID:???  


にらみ合って数時間すでに空が明るくなりかけていた。  
外に出ていた全部隊を町の中に収容。その数分後日本共和国を名乗る軍にすべての門を囲まれてから数時間。  
昨日から部隊は臨戦態勢。すでに小林も城壁に辿り着いていた。  
最上とボブ船長も外壁の近くまできていたが念のために城壁には上っていない。  
霧の中を白旗を揚げた兵士達が歩いてくる。おそらくは軍使だろう。  
「そこでとまれ!!」小林が城壁の上から叫ぶ。隣では水島達が二脚を立てていつでも撃てる状態で待ち構えていた。  
歩いてきていた兵士達が立ち止まる  
「何をしにきた!!」再び大声で尋ねる。  
疎の時きりが晴れその軍使の姿がはっきりと見えた。小林たちは息を呑んだ。  
長い緑色の髪を後ろにまとめている美女が白旗を掲げているのがはっきりと見えた。  
「陸上自衛隊に質問がある!!」  
後ろにいた赤髪の耳の長いエルフらしき人間が告げてくる。  
「なんだ!!」  
「諸君らはこの世界にもともといたのか?それとも諸君らは最近この世界に召還されたのか?返答を求める!!」  
伝令に案内されて最上とボブ船長もやってくる。  
「あらためて質問する!!諸君らは「賢者の石」によって召還されてきた人間か?!」  
小林が最上に振り返る。最上は「答えてやれ」と小林に告げた。  
「そうだ!!約2週間にこの国に召還された!!」  
軍使達が顔を見合わせている  
「こちらからも質問がある!!諸君らは何者だ!!」今度は小林のほうから訊ねる。  
「我々は「賢者の石」によって召還された人間たちの子孫だ!!」  
とんでもない返答が帰ってきてしまった。  


359  名前:  てさりすと  03/01/16  00:57  ID:???  

へんな続きですね・・すみません。  
前にも書いた通り召還されたのは自分達だけではないということでやってみました。  
一応自分の設定では  

50年前にエルフィールが賢者の石使用  
                 ↓  
               旧軍召還  
                 ↓  
エルフィール  ハーフエルフの里に攻め込む  
                 ↓  
里で残虐な行動をするエルフィール見限ってハーフエルフの側に付く  
                 ↓  
それからエルフィールで賢者の石は危険と封印される。  
                 ↓  
旧軍  ハーフエルフの村に住み着いて国を作る。  
                 ↓  
モンロー主義を貫くような形で危害を加えるもの以外無視で今まで生きてきた。  
技術を外に出さなかった。  

て感じです(トンでも過ぎますね。はい  
こんなのもありかな?と思うのですがいかがか?  




388  名前:  てさりすと  03/01/17  23:28  ID:???  

う、すみませぬ前スレ158  殿・・  
ネタを盗っちゃったみたいですね・・  

とりあえずみんなの期待に添えるよう頑張ります。  

それから30分後・・  
すでに町を取り囲んでいた兵士達は包囲をとき中隊長を先頭に小隊ごとに整列し  
自衛隊とボブたちも警備の隊員を除き全員が彼らの前に整列していた。  
すでに辺りも明るくなり双方の顔がはっきりと見えた。  
遠目には全くの接点が無い。唯一つ同じ旗をかかげているのを覗けば・・  

「おい。後ろの馬に乗ってる連中を見てみろよ。装備が統一されて無いぞ。」  
整列せずに門の上から望遠鏡で眺めていた水島2尉が宮本三曹に伝える。  
「・・確かに手前の旧日本軍みたいなのはともかく一番端の鎧を着た連中関ヶ原のような格好です」  
「一応・・持ってる武器は小銃みたいだが・・かなり短いな。腰につけてるのは陣太刀か?馬鹿みたいにでかいが・・」  
「本当だ。あんなの使えるかなあ・・・あ  トンプソン持ってるの奴もいる」そういいながら望遠鏡を動かしていく。  
「お・始まるみたいだぞ。」「あ。本当ですね」  

先頭にいた指揮官らしき人物が部下をひきつれしっかりとした足取りで歩み寄ってくる。  
年のころは2、30といったところか。部下のほうは70歳ぐらいに見える。  
「元帝国陸軍独立歩兵第309大隊少尉、現日本共和国軍第一旅団緑中隊隊長  中山仁大尉であります。」  
ピシッと敬礼をしてから一気に喋る。  
「日本国陸上自衛隊第四師団副指令  最上兵悟陸将補です。・・失礼ではありますが本当に日本陸軍におられたのですか?  
どうも余りにも若くて信じられないのですが・・」  
ぴしっと敬礼を返しながら自分より若い大東亜(太平洋)戦争に参加したという大尉をまじまじと見つめる。  
当然といえば当然の疑問である。  


389  名前:  てさりすと  03/01/17  23:29  ID:???  


「は。自分でも不思議ですが、この外見はハイエルフとの契約によって若さが保たれているらしいです。  
私が帝国陸軍少尉だった証拠は自分が大東亜戦争のときに使っていたこの軍刀をご覧下さい。」  
そう言って軍刀を差し出してくる。使い込まれているがキチンと手入れがされていた。  
「ああ  それよりも部下の田中少尉を見ていただいたほうが分かりやすいですな。・・それより・・・」  
笑いながら話していたが  急に真剣な顔になり尋ねてくる。  
「しつれいながら日本国は分かりますが陸上自衛隊とは?・・いやそれよりもあの戦争の勝敗はどうなりました?」  
少し興奮しながら最上に問い掛ける。言い難そうに最上が答えようとすると手で制し続ける。  
「いえ  もちろん分かっています。あの状況で我々が米国に勝てるわけが無いのは・・  
しかし  あれから50年経っても日本が存在しているということは・・あの後すぐに講和条約に扱ぎつけたのですね?」  
最上が首をふって答える。  
「いえ・・残念ながら・・日本は1945年8月15日に連合国に無条件降伏します。」  
「そ、そうですか・・それでは自分達がいた摺鉢山の・・硫黄島にいた他の仲間はどうなりましたか?」  
頭では理解していた。しかしそれでも誰かにはっきりと言われるまではその答えを認めるわけには行かなかった。  
「残念ながら・・はっきりとは覚えていませんが・・たしか1945年3月25日  
栗林兵団長、市丸海軍司令官が白いたすきをつけて先頭に立ち生き残った約400名の兵士と共に最後の総攻撃をおこない玉砕したはずです。」  
「そうですか・・」震える声で中山が答える。  
後ろにいた田中が肩を震わせ涙をながしている。中山も肩を震わせていた。  
しばらくの沈黙の後  誰にとも無く中山は尋ねた。  
「なぜ自分は仲間と一緒に死ねなかったんだ・・・」ついに堪えられなくなったのか中山も声を上げて泣き出した。  
彼の脳裏に真水も塩も無くガスや硫黄や重金属が混ざった水を飲んで下痢を起しながら  
さらにすさまじい砲撃と爆弾の雨を絶えて  
上陸してきたアメリカ軍と戦って武器を奪いそして山まで退却しながら  
それでも  から元気とはいえ笑っていた戦友たちの顔が鮮明に思い出されていた。  
最上達が何かしたと思った共和国軍兵士達が武器に手をかける。  
それを手で制しながら最上達に告げる。  


390  名前:  てさりすと  03/01/17  23:34  ID:???  

「・・すみませんが副指令殿・・3時間ほど時間を下さい・・」  
「・・分かりました。・・では3時間後に・・」  
そう敬礼を返しゆっくりと部隊のところまで下がった。  
膝をついて泣き出した田中に肩を貸しながら中山も自分を待つ部下の下に帰っていった。  

//////////////////////  
以上です。  
生き残ってしまった悲哀を書く能力は自分にはありませんが  
その気持ちの100万分の一でも書けたらと思い書きました。  
F世界との交渉は次から本格的に書いていくつもりです。  




404  名前:  てさりすと  03/01/18  14:07  ID:???  

なるほど・・薬莢を作るのがそんなに難しいとは・・  
何とか矛盾しないようにやってみます。  
とりあえず続き  

「先ほどは失礼しました。つい取り乱してしまいまして・・」  
少し赤い目だが落ち着いた声で話し掛けてくる。  
「それで・・あなた方はどれぐらいの兵力でこちらの世界に来たのですか?見た限り2〜3個中隊ほどですし  
住む場所が無いのなら我々の基地でもある程度の人数なら受け入れられると思いますが」  
「いえここにいるのはほんの一部です。  
兵力でいうなら陸は第4第8の2個師団と西部方面部隊ですが・・・九州そのものがこっちに召還されたもので・・」  
最上が答える。  
「・・九州丸ごと・・?それはまた・・・」  
驚いて言葉の続きが出てこないようだ。  
「はい。エルフィールを救う為にと  この世界に賢者の石の力で呼び出されました。」  
それを聞いた中山が少し嫌そうな顔をする。  
「エルフィールにですか?我々も初めはそうでした。しかしながら、あの国のやり方には我々はついて行けなかった。  
彼らがこのハーフエルフの里を襲ったときの余りの残虐さに我々はハーフエルフの側に寝返りましたが」  
そう言ってボブ船長を軽く睨む。  
「中山殿・・もちろん我が国も30余年前のあの事は恥じています。  
しかし、そのことで我々とあなた方の間でこれからもずっと争い続けるのは不毛な事です。  
すでに国民にすら嫌われていた前の王は退き今の賢君と変わりました。  
この際  我々の間も元どうりに戻したほうが双方の利益になると思うのですが」  
ボブが当り障りの無いように言葉を選んで話しかける。  
「・・私の独断ではそんな事は決められない。我が国の存亡にかかわる。」  
しばらく付近が静まる。そんな中  田中が沈黙を破る。  


405  名前:  てさりすと  03/01/18  14:08  ID:???  

「そういえば最上閣下は何故ここに来られたのですか?何の用も無しにこんな辺境まで来られますまい。」  
「む?ああそれは九州がそのままこちらに呼ばれたのでな。資源が足りないんだ。    
それでこの付近に石油が出ると聞いたので調査のためにやってきたんだ。」  
「石油ですか?確かに我々の土地にも出るところは存在しますが・・せいぜい一日に千リットルぐらいしかでませんので  
自分達が使う分で精一杯でおそらく輸出できないと思いますが・・・」  
田中が頭の中で原油が湧き出ている所を探し出した。  
「ああ  そういえば・・昔  我々の送った調査隊によりますと  
オーランという国の砂漠とメガリス島に原油らしきものが大量に出てくるらしいのでそちらの方を当たられた方がよろしいのでは?」  
「オーランにですか?しかし我が国は以前偶発的にとはいえ戦火を交えていますし、  
物資の輸出などとてもじゃ無いがしてもらえるとは思えませんし・・」  
「そうだ!とりあえず我が国の代表と会ってください。自分に考えがあります。」  
中山がひらめいたという風に一気に語る。  
「その考えとは?」最上の後ろに控えていた小林が尋ねかける。  
「仲介貿易です。大佐殿。我々の共和国ともオーランとも友好関係にあるノーム達を通しての。  
今現在オーランでは慢性的に食料が不足しています。  
だから彼らにとって只の黒い水が食料や金になると分かればよろこんでこの物資の交換に応じると思います。」  
「なるほど。」皆が頷く。  
「しかしながらこれは自分が立った今思いついたことでして・・本国の許可を取ってもらわねばなりません。  
もしよろしければ我が国の代表とも会ってもらえませんか?」  
「わかりました。こちらからもお願いします。石油の確保は急務ですので」  
笑顔で最上が返答する。とりあえず石油の確保について光明が見えたからだった。  



409  名前:  てさりすと  03/01/18  23:48  ID:???  

道の両脇に赤いススキのような植物が生えている。  
馬に乗った部隊が先頭に部隊が進んでいく。それに3台の高機動車と指揮通信車さらにその後に歩兵が続いた。  
「あの検問を越えればすぐです。」  
馬に乗っている中山大尉が最上に告げる。すでに最上からも検問所らしきものは見えていた。  
「はあ・・・念のため一応確認しますがあそこにいる熊の着ぐるみを着た兵士じゃないですよね?」  
身の丈三mはぐらいの軍服を着た熊を見つめながら尋ねる  
「ははは。あれは着ぐるみじゃありませんよ。グレズリー族出身の憲兵の武山君です。」  
「グレズリー・・武山君・・・」最上がうめくように呟いて黙ってしまう。  
先頭の部隊が検問所を越えて進んでいく。すぐに最上達も検問所にたどりついた。  
「やあ  武山君。今日の調子はどうだい?」  
部隊を止めて中山大尉が親しげに話しかける。  
「ん〜  ぼちぼちでんな。それよりこの鉄の馬車はなんでっか?」  
大砲のような銃剣つきの火縄銃を抱えて熊さんが返事をする。  
「熊が関西弁を喋ってるよ・・・」運転席に座っていた隊員が呆れたように呟く。  
「すこし我が国に用があるんで私が案内してるんだよ。」  
「そうでっか。一応決まりでは余所もんはここで追いかえさなあかんのやけど・・  
まあ中山はんが案内するような人ならまあ大丈夫でしょ。」  
そう言って最上にむきを変えて敬礼をしながら言った。  
「ども  お客さん。わては憲兵の武山と申します」  
「やっやあ  私は陸上自衛隊の最上といいます。よろしく」  
自分に話し掛けてくると思っていなかった最上は驚いてとりあえず返事をかえした。  
「・・なんや皆さんわてのことめずらしそうにじろじろ見て・・わいはそういう趣味はないで?」  
急に窓からグイっと顔をいれて最上の後ろに乗っていた隊員達にむかって言った。  
言われた隊員達がおどろいて我先にずさっと逆側の壁際まで後ずさりする。  
「武山君。この人たちが君の事をじろじろ見てるのは自分と一緒の別の世界から来たから  
君達がしゃべるというのが信じられないんだよ。」  


410  名前:  てさりすと  03/01/18  23:50  ID:???  

「ああ  そういや中山はんらも初めてわてを見たとき驚いてましたからなあ・・」  
グレズリーの武山君がうんうんと頷く。  
「ということはわてが  あんさんらの世界に行ったら人気もんになれるでしょうなあ〜」  
「・・そりゃあテレビ局から引っ張りだこでしょうよ・・」  
運転席に座っていた隊員がぼさっと呟く。武山君もそれが聞こえていたらしく  
「そうか〜『てれび』っちゅうんは何の事か分からへんけど、人気もんにはなれそうやなあ・・」  
またしても一人でうんうんと納得したように頷いている。  
「おっと  すんまへん。えらい足止めしてもうたな」  
「いやいや  こちらこそ・・」  
なにがこちらこそか分からないが最上が咄嗟にそう返す。  
「じゃあ武山君。お仕事頑張って。」そういって敬礼し再び出発する。。    
2分ぐらい進んだ所で最上が中山に話しかける。  
「・・この世界じゃあ動物もしゃべるんですか?」  
「いえ?普通の動物は喋れませんよ?比較的大型の生き物が喋る事は多いみたいですけど・・」  
「そうですか・・」なにやらまだ信じられないと言った顔で最上が返事する。  
「まあ  この世界にいればすぐになれますよ閣下。」  
そう言って中山が隊列に戻っていく。  
「・・熊が喋るなんて・・」  
「陸将補殿・・あまり考えないほうがよろしいのでは?」  
「そうです。頭が変になっちゃいますよ」  
考え込む最上に後ろに乗っていた隊員や奈菜瀬三曹がアドバイスするなか  
一応順調に一行はハーフエルフの集落に進んで行った。  



475  名前:  てさりすと  03/01/23  01:19  ID:???  

2日後  第二駐屯地(仮)  
「報告!  エルフィールの仮設飛行場が完成しました。こちらの飛行場も予定どうり進んでいます  
それとエルフの村にむかった部隊からも特に異常なしとの定時連絡がありました」  
定時報告を伝えに来た隊員が小林に告げる。  
最上達がハーフエルフの里にむかってから2日  
残された彼らは計画どうり町の外に補給用(名目)の滑走路の建設の為  付近の木や石を撤去していた。  
陸からトラックで運んでも良いが輸送路に山賊や盗賊果てはモンスターまで出るため  
はぐれドラゴンがたまに飛んでいる事を除けば比較的安全な空から物資を搬入する事になっていた。  
「わかった。ありがとう」小林に軽く敬礼をかえし無線機の元に戻っていく  
すでに数箇所で大きな石が爆破され細切れになった石は転がっていた小さな石もろとも撤去され  
比較的少なかった木もすでに切り倒されていた。  
現在一個中隊がスコップや銃剣、町の中に放棄されていた鉈や鎌を片手に半袖姿で付近の草刈にいそしんでいた。  
『白鳥中隊より本部。ポイントAで作業中古い戦車と小銃の立てられた墓を四個発見。オクレ』    
小説片手に無線の前に座っていた通信員が身を乗り出して応答する。  
「1佐殿!白鳥中隊が古い戦車を見つけたそうです」隊員が大声で隣の部屋にいる小林に伝える  
「ほう。」小林も書類を書く手を止め無線室にむかった。  
『本部了解。この前の旧陸軍の物か?』  
『いえ  どうもM4シャーマンのようです。・・・あ?なに?・・』  
無線は繋がったままだが音声がかなり遠ざかる。  
『あ〜本部  部下が内部を確認した所、中でかなり衰弱した小学生ぐらいの女の子を見つけました。  
人型ですが背中に小さな翼・・SF映画で見たドラゴンの羽根を小さくしたようなのが生えてます。』  
小林が通信員から無線を受け取って応答する  
『小林だ。とりあえず後で確認にむかうので戦車のほうは放置しておいてくれ。』『了解』  



476  名前:  てさりすと  03/01/23  01:20  ID:???  

『それと子供のほうは・・(少し思考中)とりあえず救護所の医官か衛生科の隊員の所に連れて行ってくれ』  
『了解。戦車付近の現状を維持同時に子供を搬送しつつ作業を再開します』  
そのあと一言二言のやり取りの後無線が途切れる。  
「さて・・私もその戦車とやらを見てくる。何か急な連絡が入ったら呼んでくれ」  
そう言って小林はそのM4シャーマンを見るためにポイントAに向かった。  

「うむ・・たしかにシャーマンだな・・」  
片方のキャタピラが剥がれ半分草木にうずもれた状態のシャーマンの装甲をたたきながら呟く  
かつて日本軍を脅かしたであろう砲もうなだれるように下を向いたまま沈黙している  
「一佐殿。どうも手榴弾でも投げ込まれたみたいです。」  
中に入って調査していた隊員がハッチから顔を出して報告する。  
「それと  使い切ったのかそれとも後から抜かれたのかは分かりませんが  
砲内に一発HE・・榴弾が残っている以外砲弾が一発も残っていません。  
それと車載機銃とその弾薬それにガソリンも抜いて誰かが持っていってるみたいです。あと・・」  
一度車内に戻った後小さな写真入れを持ってくる  
「なんかの破片・・おそらく手榴弾のでしょうが・・とにかく破片が刺さって見難いですが  
乗組員達とおもわれる写真も見つけました。どぞ」  
そういって小林に手渡す。  
「ふむ・・」小林がその写真をしげしげと眺める。  
戦車長らしき人物の顔は破れているうえに変色してよく見えないが服装は確かに米軍の物だった。  
「とりあえず九州の米軍にでも持っていくか?・・まあいい。ありがとう。戻しておいてくれ。」  
隊員が元の場所に戻した後  ちいさなペンダントをもって別のハッチから出てくる。  
「このペンダントはどうしますか?汚れ具合や形からしてさっきの子供だと思いますが・・」  
73式の運転手の隣にすでに座っている小林に尋ねる。  
「ここまで来たついでだ。自分があの子供のところにまで持って行こう。」  
小林が隊員からペンダントを受け取って敬礼をする。  
隊員も敬礼をして救護所に向かった小林を見送った。  






486  名前:  てさりすと  03/01/23  23:21  ID:???  


隊員が持ってきたペンキで赤十字のマークが描かれた小奇麗な建物の前で小林が小型トラックから降りる。  
さきほど預かったペンダントをポケットの中にしまうと64式小銃をもって警備に立っていた隊員に敬礼をしてドアを開ける。  
カランコラン〜  
喫茶店の入り口によくついているようなベルの音が響き奥の方にいた隊員が尋ねてくる。  
「なんや?どっか怪我でもしたか?」隊員が点滴の用意をしながら振り返らずに尋ねる。  
その向かい側にいた隊員も下を向いて何か作業していて小林に気づいていなかった。  
「先ほどここに運び込まれた子供に会いたいのだが・・・」  
向かい側で作業をしていた隊員が小林に気づいて急に立ち上がって敬礼する。  
「ああ  それやったら二階の一番右の部屋・・・ん?どした?」  
点滴を用意していた隊員が不思議そうに机の向こう側で立ち上がった同僚を見上げる。  
その後不思議そうに首を傾げゆっくりと振り返る。そして小林の姿を確認した後また作業に戻る。  
数秒後あることに気づき隊員の腕と表情が凍りついた。無理もない。佐官に為口を聞いてしまっていたのだから  
「失礼しました!!!どこかお怪我でもなさいましたか?一佐殿?」  
即座に椅子を蹴飛ばしながら立ち上がって直立不動で敬礼する。小林もそれに敬礼を返しつつ答える。  
「いや  私は何処も負傷していない。先ほど此処に担ぎ込まれた女の子に会いたいのだが・・」  
「は!!自分が案内いたします!」  
そう言って隊員が点滴パックと近くにあった帽子かけを担いで2階へと上がっていく。  
小林がそれについて上がっていくのを見届けたのち奥にいた隊員が「は〜びびった〜」と呟いて椅子に座り込んでしまった。  



487  名前:  てさりすと  03/01/23  23:23  ID:???  


「どうぞ  こちらです。」「ん。」  
小林が部屋に入った後  帽子掛けを担いだ隊員が器用に足でドアを閉めてベットで熟睡していた女の子の横に帽子掛けを置く。  
「眠っているのかね?」子供の表情を伺いながら小林が隊員に尋ねる。  
「ついさっきこの部屋に運び込んだときはおきてたんですけどね。まあ安心して疲れがどっと出たんだと思いますよ」  
帽子かけに点滴パックをぶら下げて手際よく順番に点滴の準備をしながら隊員が答える。  
「・・この子の背中に生えてた翼。あれは本物みたいですね。さっき見たときはかなりびびりましたが・・」  
女の子の腕をアルコールを湿らせた綿で消毒しながら続ける。  
「あと・・見ての通りですが背中に羽根が生えてる以外  外見は人間とおんなじです。  
さっき聴診器を使ったときちゃんと心臓の音もしてました。」  
「そうか・・すまんが君、名前はなんと言う?」  
「自分ですか?自分は杉谷祐一二曹です。」ふりかえって杉谷が答える。  
「すまんがこの子にこれを渡しておいてくれ。多分この子のものだと思う」  
そう言ってポケットからペンダントを取り出し、杉谷に手渡す。  
「わかりました。渡しておきます。」  
小林が帽子を被りなおし部屋を後にする。それを見送った後布団を直してあげてから  
杉谷も一階に下りていった。  

////////////////  
以上っす。  続きは早かったら1時ぐらいに  



531  名前:  てさりすと  03/01/26  12:45  ID:???  

>>487の続き〜  

ざっざっざっざ  
少し暇をもらった隊員達が新東京(ハーフエルフの里)の町並みのなかを偵察がてらに歩いていく。  
まるで明治初期のような町並みだった。和風建築が立ち並び洋風の建物もちらほらと見える。が  
その明治初期のような町の中をうろついている住民は確実に当時の日本にはいなかった。  
屋台を経営するウサギ、郵便配達の狸、和服を着たハーフエルフ、ライシアンが神主のお稲荷さん。  
当初この風景を見た最上が頭痛をおこし一騒動あったが、現在はもう慣れたのか頭痛は治まったようだ。  
すでにこの国との話し合いも終わり現在最上達は中山大尉の家で昼食をご馳走になっている頃だろう。  
「隊長〜腹減りました〜」宮本三曹が情けない声を出す。  
「じゃあ戻って缶飯でも食うか?」水島2尉が振り返らずに答える。  
「そういわずに・・あそこの蕎麦屋とか天ぷらの屋台とかで・・」  
「あほかお前は?・・金はどうするつもりだ?ああ?」  
水島が立ち止まって付近の屋台を見渡しながら訪ねる。うまそうな焼き鳥や饅頭のようなものもならんでいた。  
もちろん財布は持っているが此処で通用するお金なんて持っていなかった。  
「はあ・・やっぱ缶めしか・・」宮本がわざとらしく呟く。  
そのやり取りを見ていた人間の老人が近寄ってくる。  
「もし。そこの兵隊さん。最近召還されたきたとか言う日本の兵隊さんかい?」  
「ん?一応そうですが・・失礼ですがどなたでしょうか?」水島が老人に尋ねる。  
老人が軽く敬礼して返答する  
「おっと失礼。自分は元帝国陸軍の松本二等兵といいます。  
皆さんがアメさん見たいな格好をしていたから少し気になったものでして。アメさんの兵隊もこっちに召還されたのかと・・」  
「いえ自分達は日本からきたんですよ。まるごと九州ごと」  
水島もすこし老人に対する警戒を緩めつつ返答する。  
「ほう・・九州ごと・・」そう呟いて何か考え込む。  
「では・・向こうにいる家族に手紙を届けて欲しいんだが・・」  
「いいですよ。補給部隊に頼んで郵便局に届けておきます。」  
「そうか  引き受けてくれるか。じゃあすまんが私の自宅まで手紙を取りにきてもらえんかね」  


532  名前:  てさりすと  03/01/26  12:46  ID:???  

「そうか  引き受けてくれるか。じゃあすまんが私の自宅まで手紙を取りにきてもらえんかね」  
「いいですよ。」水島が快く返事する。  
「ありがとう。私の家はこっちだ」  
そう言って老人は水島達を自宅まで案内していった。  


「ここっすか?」宮本が老人に尋ねる。  
目の前には大きな工場のような洋風の建物がでんっと居座っていた。  
「ここじゃよ。」そう言って老人が門の中に入っていく。  
その老人に続き作業着を着たドワーフやホビットが火縄銃や刀を作っている中を水島達は進んでいった。  
「すまんがここで待っていてくれんか?」  
そう言って老人が二階へと上がっていった。  
仕方なく水島達がそこで待っていると  
「兄ちゃんら!!邪魔やで!!ちょっとどいてや!」  
「あっすみません。・・オイ道を開けろ」  
水島の命令で端に寄った隊員たちのすぐ横を大きな袋と2発の砲弾を担いで華奢なハーフエルフが歩いていく。  
「あの〜・・重く無いんすか?どう見ても100キロ近くありそうなんですが・・・」  
多少びびりながら近くの机に座り込んで作業にかかった女性に杉野が話しかける。  
「?・・これぐらい普通だろ?浮遊魔術かければほとんど重さは感じないぞ?」  
女性が不思議そうに振り返って答えたあとすぐに作業に戻った。  
NATO弾とは企画の違う薬莢と弾頭を袋から出して順番に並べていく。  
その過程でもう使えないと判断された薬莢だけは別の袋にほりこまれていく  
「何をなさっているのですか?」水島が尋ねる  
中身が半分しか残っていない砲弾の火薬をスプーンのようなもので取り出して魔法で乾燥させ薬莢に詰めていく  
「見て分からないのかい?弾薬を作ってるんだよ」  
火薬を詰めきった薬莢に端から順番に弾頭をつけていく。  



533  名前:  てさりすと  03/01/26  12:47  ID:???  

「見て分からないのかい?弾薬を作ってるんだよ」  
火薬を詰めきった薬莢に端から順番に弾頭をつけていく。  
「あんた達が肩に担いでるような連発式(89式小銃)の弾を作ってるんだ。  
ドワーフの魔砲と一緒で38式小銃は一分間に30発ぐらい撃てるのはいいんだけど  
火縄とかと違って火薬が特殊だからね。昔の戦争のときの砲弾とかからから盗ってきて使ってるんだ。」  
完成した弾薬を一つづつ紙の箱に順番につめては積み上げていく。  
ふと気づいたかのように振り返って尋ねてくる。  
「そうだ!あんた達そんな小銃もってるんなら、この特殊な火薬もってるんだろ?譲ってもらえないかい?」  
「はあ」  
「金なら幾らでもだすさ!いや〜よかった。もう砲弾のストックが尽き掛けてたんだ。もう指で数えるほどしか残っていなくてね。」  
「いや、自分達にそんな権限は・・」水島が言いかけるのを手で封じ  
「なに。そこらのモンスターとかに使ったとか言ってさ。2,3個ちょろまかしてきてよ。金塊一個でどうだい?」  
「金塊?!」水島達が素っ頓狂な声を上げる。  
水島を中心に円陣が組まれる  
「まじっすかね。今の話」宮本が切り出す  
「あいつ金の相場を知らないのかな?大きな金塊なら一つで砲弾が50発以上買えるぞ。」  
「いや、俺達の国とおんなじ純度や価値があるとは限らないぞ。」  
「いやそれでも金塊なら・・・一発ちょろまかしますか?」  
「あほ!そんなことできるか!!」水島が宮本の頭をはたく  
宮本がヘルメットごと頭を抑えながら  
「じょ、冗談すよ。冗談・・」「いやおまえの目はマジだったぞ・・・」  
そこに古そうな手紙を持った老人が帰ってくる。  
「いやすまんすまん。大昔にかたずけたままでな。どこにかたずけたのか忘れていたよ。  
・・・ん?  何をしているのかね?」円陣を組んでいた水島達を不思議そうに見つめる。  
「いっいえ  何でもありません。そのお手紙ですか?」  
水島がはぐらかしてから手紙を受け取りに行く。  
「うむ。・・もし受取人がいなかったら海にでも捨ててくだされ。」  



534  名前:  てさりすと  03/01/26  12:49  ID:???  

水島がはぐらかしてから手紙を受け取りに行く。  
「うむ。・・もし受取人がいなかったら海にでも捨ててくだされ。」  
「分かりました。それでは失礼します。」  
水島が敬礼をして宮本の襟をもって引きずりながら工場からでていく。  
「なあ!!火薬、売ってくれって!額が足りないならもっと出すからさあ!!」  
玄関から先ほどの女性が飛び出してきて水島達を呼ぶ。  
「走るぞ!!」「・・了解っす」  
宮本が名残惜しそうに女性を振りかえりつつ水島の後を追ってきていた  
女性も追ってくるが日ごろから鍛えられている水島達にかなう訳もなく無事水島達は逃亡することに成功した。  

///////////////  
つぎからオーランとの戦闘に入りまーす。  
ドラゴソももう次期でてきまふ。  
さ〜てドンパチの続きかいてきま〜す  



560  名前:  てさりすと  03/01/27  22:30  ID:???  

>>534の続き〜  

「ほなな〜またおいでや〜」  
検問所で帽子をふる武山君(熊)に最後尾の高機動車の隊員たちが手をふっている。  
「なかなかいいところでしたね。料理も温泉もよかったです。」  
先頭の高機動車の中で奈菜瀬三曹が最上に話しかける。隊員たちも思い思いに料理の話をしている。  
昨日、高機動車の傍で缶飯を食べようとしていた隊員たちは元陸軍の人からの差し入れの弁当や重箱を貰い  
その料理に舌鼓をうっていた。  
(ちなみに水島達が飯を食いに帰ったときには残念ながらもうほとんど残っていなかった。  
食い損ねた水島以外の、宮本を始めとする隊員たちの嘆きの絶叫は数百メートル先でも観測されたらしい)  
「・・任務で行ったんであって観光に行ったんじゃないんだが・・」  
最上が小さな声で呟く。そのとき高機動車に無線が入った。  
『モナ〜1聞こえるか?こちら小林  陸将補に繋いでくれ。』「了解」  
無線機の傍にいた隊員が受話器を最上に差し出す。  
「こちら最上。どうした?」  
最上が受話器を受け取って答える。  
「陸将補。大変です。エルフィールで我々を狙ったと思われる魔法によるテロが発生しました。  
近衛兵団団長が死亡。傍にいた安部陸将が重傷。隊員にも大量に死傷者がでています。  
幸いすぐに近衛兵団の魔術師と普通科の隊員によってテロリストは取り押さえられ、現在城に拘留され当局から尋問を受けています」  
無線機から少し焦ったような小林の声が飛び込んでくる。  
無線を聞いていた隊員たちも一瞬で馬鹿騒ぎを辞めて静まる。それどころか顔が青くなっている  
「先日陸将がオーランに順次送った即時停戦要求、即時停戦勧告も無視されております。  
先ほど本国からの司令で安部陸将がエルフィールを通じ即時停戦警告を出されましたがおそらくこれも・・」  
「・・それで正確な被害は?」最上が真剣な顔で尋ねる。  
「付近の警備に当たっていた三名が死亡。××2士が即死、及び○○二曹も15分後に死亡、  
あと△△陸士長も死んだものと思われます。重軽傷者は42名に登ります。」小林が被害を読み上げていく。  
「・・わかった。だが死んだものと思われるとは?」  
「犯人の取り押さえに向かい魔法で攻撃され爆死し腕と割れたヘルメットしか残りませんでした。  



562  名前:  てさりすと  03/01/27  22:33  ID:???  

状況が混乱しており彼が誰か確認が取れておりません。近くにいた同じ班の隊員たちも重傷で確認が取れません。  
現在同じ部隊に所属していて回復術が使える魔術師のところや救護テントに送られた隊員たちに確認中」  
そこで一区切りする。  
「陸将補には安部陸将からすぐにエルフィールに戻ってこいとのことです。  
現在本部からUHと護衛のAHがこちらに向かっております。  
はぐれドラゴンの方は現在山に戻っているのがレーダーで確認されている為出来るだけ早いうちに戻ってきてください。」  
「分かった。」  
最上が運転手の肩を叩き急ぐように指示する。が所詮舗装されていない泥道。それ程スピードは出せなかった。  

数時間後。第二駐屯地の手前のまだ完全に完成していない架設飛行場に止まっていたヘリ達の数十メートル前に  
急ブレーキをかけて高機動車が次々と止まる。  
「小林君!!何か進展は!?」  
ヘリのエンジンがうるさい為大声でこちらに走ってきた小林に話しかける。  
「5分前に△△陸士長の死亡が確認されました!!近衛兵団の死者は8名に登る模様!!」  
「そうか!!もう出発できるのか!?」  
「いつでもいけます!!魔術に備える為ボブ船長の部下も乗り込ませます!!」  
クレアとソニアが自衛隊の真似し敬礼をする。ボブがいないのに気づいた最上が小林に尋ねる。  
「ボブ殿は!?」  
「シークプレストに部下を連れて警戒する用に指示するため先ほど部隊の小型トラックで向かいました!!」  
「わかった!!後は任せたぞ!!」最上がそう言って敬礼する。  
「はっ!!了解しました!!」小林と警備の隊員たちが一斉に敬礼する。  
最上と奈菜瀬がヘリに乗り込む。それに続いて入ってきたソニアとクレアに向かって敬礼する。  
「我々には魔術のことはよく分からん!!よろしくたのむ!!」  
「はい!!全力をつくします!!」ソニアが返答する。  
「よろしい!!出発してくれ!!」満足そうに頷きパイロット声と親指を立てて指示を出す。  
ヘリがゆっくりと浮き上がりゆっくりとエルフィールに向かって機首をむけ  
後部を少し持ち上げ出来る限りのスピードを出しながら進んでいった。  
/////////////////////////////  
とりあえずこんだけ。AHって200キロぐらい飛べたよね?間違ってたらすまそ  


577  名前:  てさりすと  03/01/29  01:00  ID:???  

>>562の続き〜  

「おい。来たぞ!!恐らくあれが作戦目標の鉄の箱だ!!はずすなよ?」  
先ほどから付近の上空を警戒していた冒険者のような格好をした男が仲間に注意を促す。  
「ああ分かっている。一匹オーラル金貨100枚の賞金首が2匹だ。見逃す訳が無いだろう?」  
そう言って魔術師風の格好をした男が先ほどから地面に描いていた魔方陣に力を込める。  
常人には何がおこっているのか分からないが魔力がかすかにでもあれば  
付近に急速に実体化しつつある光の弾が見えているだろう。  
それはやがて魔力の全く無い相棒の男にも見えるぐらいに実体化する。  
そしてまだかなりの距離があるヘリに向かい魔術師がほえるように叫んだ。  
「かなり高い所を飛んでるが大丈夫か?」  
男が魔術師に心配げに話しかける。  
「誰に物を言っている!!俺様はドラゴンハンターのフックだ!!さあいつでもこい!!」  
前半は男に、そして後半は飛んでくるヘリに向かって魔術師はさけんだ。  

ヘリの座席で目を閉じて精神統一していたクレアが魔力の気配に気づき最上に伝える。  
「あの最上閣下。このヘリの進行方向で魔力をためている人間がいます。」  
目を閉じたままクレアが続ける。  
「魔術師は一人・・・です。魔法の種類は・・・!!シューティングスターです!!」  
少し取り乱したクレアに最上がかなり緊張した声で訊ねる。  
「いったいどんな魔法なんだ?」  
それに対しソニアが説明する。  
「もともとはドラゴンを打ち落とす為に開発された魔法で、光弾で空に浮かんでいるものを撃墜するものです。  
自衛隊の持っている『ミサイル』みたいに誘導性は持っていませんが前のエルフィール市街の戦闘の時に使われていた  
『キカンジュウ』みたいに次々に光弾を発射する魔法のことです。」  
「ということは射線からでれば当たらないんですね!!」  
奈菜瀬3曹のあたりまえの発言に真剣に二人が頷いた。  


578  名前:  てさりすと  03/01/29  01:04  ID:???  

最上が席を立ってパイロットに今の話を伝える。パイロットが了解したとばかりに親指を立てた。  
『《夏風》前方に敵が潜伏しているらしい。排除してくれ!!』  
『ラジャー。《夏風》はこれより《春》の前に出る。』  
斜め後方にいたAH-1s《夏風》が数百メートル前に出て付近を警戒する。  

「落ちろ!!」「きます!!」  
ヘリを狙う魔術師とヘリに乗っていたクレアが同時に叫ぶ。  

『うおっ!!』『うわっ!!』《夏風》と《春》のパイロットが悲鳴を上げながら左右に散開する。  
「てめえ!!いい根性してるじゃねえか!!」  
《夏風》が回避しながらM197  20mmガトリング砲の照準を火点にあわせる  
『発砲許可を!!』  
照準を合わせたまま最上に発砲許可をとる。もちろん最初から万が一の際には発砲することは認められているが  
日頃の訓練の賜物で咄嗟に発砲許可を求めていた。即座に最上が許可を出す。  
『よし!!許可はでた!!撃ちまくれ!!』  
《春》のパイロットが許可がでるなり叫ぶ。  
それを聞いた《夏風》のガンナーが安全レバーをはずし引き金を握り締める。  
『ラジャー。・・発砲ーーーーーーーーー!!』  

/////////////////////////////////////  
本日は以上です。  
実際の戦闘ヘリのパイロットが射撃するときはなんて叫ぶんだろう・・  
前にTVで自衛隊のヘリシュミレーターでこんな風に叫んでたような記憶が・・・  




587  名前:  てさりすと  03/01/30  00:16  ID:???  

割り込んだらごめんね。  
>>578の続き  

「おらおらおらーーーー!!」  
最初の一撃を間一髪で回避した手前の細い方に向かって照準を合わし続ける。しかし《夏風》は蝶のように付近を動きまくって回避していた。  
「もっと手前をねらえ!!」  
手を強く握り締め男がフックにアドバイスする。  
「分かっている!!あいつの動きが速すぎるんだ!!」  
フックが予想進路に弾幕を貼る。しかし前もって気づいていたかのごとくすぐに向きを変えた。  
「くそ!!何なんだよ!!」  
そのとき今まで避けてばかりいた鉄の箱が猛烈に撃ちかえしてくる。  
弾着が数十メートル前から伸びてきてフックの数メートル横の木が一瞬にしてズタズタにされる。  
「なんだ!?魔力は感じなかったのに!!」  
とっさにフックが正面に魔力による障壁、イージスの楯を発動する。  
円形で半透明の直径2m位の楯がすぐに現れる。だがこれでは弓を防げても強力な魔法は防げない。  
そう思ったフックはシューティングスターにまわしていた魔力のほとんどを結界にまわした。  
半透明の楯が透き通ったうすい桃色に変化する。そこに照準を直した20mm弾の弾着が再び伸びてくる。  
「うおおおおおおおおおお!!」  
両手を楯の後ろに突き出す。結界部分に弾着が始まった。  
最初の数発は完全に防いだ。だがそれで終わりではない、降り注ぐ砲弾が透明なイージスの楯を確実に削り取っていた。  
あたかもガラスに石を投げつけるかのごとく正面に亀裂が走っていく。  
「やられる!!」フックと男がそう思った時、不思議なことに攻撃がとまった。  

「やったか!?」ガンナーが土煙で見えなくなった火点をみつめ誰にとも無く訊ねる。  
先ほどまで飛んできていた光弾が収まった事で目標を撃破したと認識したからだ。  


588  名前:  てさりすと  03/01/30  00:17  ID:???  

「油断するな。この世界は魔法があるんだからな。」  
すでにUHは高度をギリギリまで上げてエルフィールに向かっている。  
もし他にも待ち構えていたとしても魔力を認識できるクレアとか言う可愛い子が乗っているのだから、  
安全に危険なポイントを回避できるはずだ。そう彼は考えていた。  
土煙が止んでゆっくりとひび割れて真っ白になったガラスのようなものが見えてきていた。  
急速に修復しつつあるガラスのような物の後ろには弾着が見えない。  
「まじかよ・・あんなに打ち込んだのに・・」  
そのときフックが残しておいた数個の光弾が防弾ガラスに直撃しひび割れを起こす。  
「くそったれ!!TOWだ!TOWをつかえ!!」  
パイロットが再び回避運動に入る。ガンナーも計器を操作してTOWの照準をあわせようとする。  
「とっととくたばれ!!」そう叫ぶと同時に彼は引き金を引いた。  
4発の対戦車ミサイルが見た目にはゆっくりと目標に向かって飛んでいった。  

「うわ!!また来たぞ!!」  
フックの後ろに隠れながら男が叫ぶ。  
フックは返答もせずに《イージスの楯》の修理に全魔力を注ぎ込んでいた。  
さきほど残しておいた光弾もたいしたダメージにはなっていない。  
かくなる上は次の土煙に紛れ逃げ出すしかない。  
ひび割れが端から順番に恐ろしいまでのスピードで治っていく。だがTOWの方が早く間に合わない  
「ちくしょう!!」  
それがフックの最後の言葉だった。  
最初の一発が治りつつあった楯をズタズタにし2発目が貫通フックを直撃した。  
その空いた隙間に残りの二発が滑り込み爆発した。  
フックが死んだ事でイージスの楯に集まっていた魔力も続けて爆発を起こした。土煙が止んだあとガンナーが確認すると  
彼が立っていたところにはまるで千ポンド爆弾が直撃したような大穴が空いており後には何も残っていなかった。  



675  名前:  てさりすと  03/02/03  10:31  ID:SV7RpQbY  

風邪でダウンしてる間に凄く進んでる。しかもみんな続きが気になるし  
負けないように頑張らなければ・・・とりあえず続き・・  

『《夏風》より《春》へ、敵火点は沈黙!繰り返す敵火点は沈黙!これより護衛任務に戻る。』  
『了解。続けて警戒を厳にせよ』  
夏風のパイロットが無線で連絡してくる。数分後に正面風防の下半分に数個のひびをつけたAHが5時の方向10メートルで速度を落とす。  
「もう・・敵はいませんよね?」  
下を向いて集中していたクレアに向かって奈菜瀬が尋ねる。  
「ん〜と・・目に入る部分にはいないと思います。少し遠くには結構、魔力が集まってますけど」  
クレアが自衛隊から受け取った航空写真を引き伸ばしてつなげただけの地図の端の方を指差す。  
「この辺で12〜3人の人が魔術を唱えてますけど、攻撃魔法じゃありませんし大丈夫です。」  
次にハーフエルフの里を指差し  
「ここは70〜80人ぐらい魔術を使ってますけど、この魔力の集まり方なら多分料理か何かの点火程度だと思います。」  
そしてまた別の所を指差し奈菜瀬に解説していた。  
「まるで対魔術のAWACS状態だな・・・」最上が操縦士に話しかける。  
「たしかに・・。」片方の操縦士が微笑を浮かべながら振り返って答える。  
「何ですから自衛隊で雇って本物のAWACSに乗ってもらって働いてもらいますか?」  
もう片方の操縦士が冗談で隣に座っていた操縦士を失笑させる。  
だが最上は真剣な顔で頷き操縦士の肩を軽く叩く。  
「ふむ。なかなか良いアイデアだ。後で上層部に提案してみよう。」  
操縦士が操縦中にもかかわらず振り返って訊ねる。  
「マジっすか?」  


676  名前:  てさりすと  03/02/03  10:33  ID:???  


彼は冗談で言ったつもりで最上が本気にするとは思っていなかった。  
「もちろん本気だ。・・・それより前をみて操縦してくれ」  
「ああ  失礼しました。」そう言って視線を正面に向ける。だが意識は最上の方を向いたままだった。  
「我々は対魔術のセンサーなんて持っていない。だからあれだけ広範囲の魔術を確認できる人材がいるのなら活用すべきだろう」  
そこまで言ってから最上は自分の航空写真を引き伸ばした地図を確認する。  
先ほどクレアが指差した所は200キロは離れている。  
「きみには良いプランを貰った。後で一升瓶でも届けさせよう。他の連中には内緒だぞ。」  
「え?マジっすか?」操縦士達が喜んで振り返るが最上の後ろに立っていた人物をみてすぐに視線を前方に戻した  
「コホン!陸将補殿!?」  
何時の間にか最上の後ろに戻ってきていた奈菜瀬が最上の真後ろでわざとらしく咳をする。  
「おっと、もうすぐ着陸だな。準備は出来ているかね?」  
最上が話をずらしパイロットに話しかけた。ちょうど仮設空港の仮設管制塔からの連絡も入る。  
すでに視界には土が剥き出しのままの滑走路に止まって荷物を降ろしている数台のC-130の姿もはっきりと見えていた。  
「はい。いつでも着陸できます」  
操縦士もわざとらしく大きな声で返答すると管制塔の指示に従って  
最初に《春》がその後《夏風が》着陸していった。  




691  名前:  てさりすと  03/02/04  00:29  ID:???  

エルフィール、リヴェデス劇場(エルフィール派遣部隊本部)  
「・・・というわけだ。我々だけでなく国内・・・福岡や宮崎においても魔法によると見られるテロが確認されている。」  
片腕に包帯を巻いたまま安部陸将が国内からもってきたホワイトボードに書かれた被害状況をレーザーポインターで強調する  
「それ以外にも某国の潜入工作員や過激派及び宗教団体によると思われる爆弾テロや立てこもり事件も多発している。」  
そう言って転送されてきた新聞記事を到着したばかりの最上に見せる。  
一面に大きく爆弾テロの事がのことが大げさに書きたてられていた。  
「目立った事件だけでも外国人による銀行強盗に暴動まがいの集団強盗。魔術師によると見られる学校急襲に機動隊の包囲網の突破。  
機動隊ならびに自衛隊、さらに残念なことに一般市民にも多数の被害が出ている。  
現在国内のほうは警察や各部隊の働きにより沈静化しつつあるが、いつまた何が起きるかわからない。  
我が国からオーランに向けて送った停戦勧告も無視され続けている。  
ここに至り臨時政府はオーランに対し宣戦布告を決定した。これが正式な命令書だ。」  
本部つきの佐官が頑丈そうなトランクを開けて最上に命令書を手渡す。  
「・・たしかに確認しました。それで作戦の方はどうなっていますか?」  
最上が命令書を封筒に収めながら安部に尋ねる。  
「その件についてはこれをみてくれ。・・・きみ。頼む。」  
安部の合図に従いホワイトボードが素早く音を立てながら回転させられる。  
そこには現在の自衛隊、エルフィールの戦力、オーランの推定戦力が事細かに書き込まれていた。  
「見ての通りだが我々自衛隊の総兵力は訳5万6000人、駐留している国連軍や在日米軍を含めると訳8万人だ。  
そのうち九州を防衛するための兵力を弾くと自由に扱える大体5万ぐらいか。  
緊急事態のため一部の国を除き国連軍も我々の指揮下に入る事を了承している。」  
そう言って国連軍に参加していた国と兵力が書かれたリストを取り出す。  
「エルフィール国軍の総兵力は訳24万、傭兵団や私設軍を入れると推定約30万、  
だがまともな戦闘能力を維持しているのはペガサス団や近衛兵団を始めとする一部の部隊だけだ。」  
安部陸将がレーザーポイントの照射点をオーランの方に向ける  


692  名前:  てさりすと  03/02/04  00:29  ID:???  

安部陸将がレーザーポイントの照射点をオーランの方に向ける  
「オーラン軍の戦力は今までの戦闘状況や情報による計算をすると・・  
およそ50万、もちろんこれにはエルフィールを裏切った兵団の戦力も足してある。  
魔術師団にゴーレムによる機甲師団が複数、このまえ撃破したグリフォン団とは別に竜騎士団も存在するようだ。」  
またポインターの照射点を移動させる。今度はその他と書かれている  
「ちなみに諸外国の兵力だが・・・これはかなり情報がいいかげんな為余り当てには出来ない。  
がエルフィールおよびオーラン両国と国境を面しているランド皇国が戦闘準備をしているそうだ。」  
ホワイトボードに書かれた略図の周りをポインターでグルグルと何度も強調する。  
「それで戦力の方は?」最上が尋ねる  
「うむ。国土の大体の面積や地形、農業水準から想像するとおおよそ20〜40万ぐらいの戦力が存在するだろう。」  
「分かりました。それとエルフィールの南の方は?」  
「あそこは無法地帯でな。国の存在どころか大体の人口すら分かっていないのだ。  
エルフィールからの情報によると毎年新種のドラゴンや化け物が発見されるような危険地帯だ。  
だから南からの組織だった進攻は無いから安心してくれ。たまにやってくるはぐれドラゴンを除けば」  
それから数分間に渡って現在の状況が説明されていく。  
「それで作戦の方だが・・・・」  
それから数時間九州の防衛庁本部とも連絡を取りながら作戦会議は進められた。  


693  名前:  てさりすと  03/02/04  00:44  ID:???  

勝手に1だお〜氏の話とリンクさせてしまいました。  
ご迷惑なら書き直します。  
それとこの世界の農業生産能力はかなり強めに設定しました。  
魔力が中心なので機械は発達していませんが、  
代わりに掘削魔法による灌漑や土木工事。MADEINドワーフの農業道具が相当発達しています  
この設定は同じ数ならほぼ勝てる訳の無いオーランにもある程度の戦闘能力をもたせる為に決めました。  
エルフィールより環境に恵まれないオーランの方が戦力が多いのは  
エルフやノームとの交流による技術開発に魔術開発に成功したのと  
オーランの戦闘能力に驚いてエルフィールを裏切った戦力がかなり存在するからです。  
(もちろん国を裏切った軍になんかまともな武器が届く訳はありませんが・・)  
もちろんすぐに寝返るような連中はまたすぐに寝返りますしオーランも使い捨て程度にしか考えていません。  
資源の点ではオーランの方が圧倒的なぐらい地下資源を産出しています。(金、鉄、石油など  
調子がよければ2時ぐらいに続きをうPします。  




743  名前:  てさりすと  03/02/07  17:51  ID:???  

いや  あぷろだ  が無いものでどうしたらいいのか迷ってまして・・・  
どこか良いあぷろだ知りませんか?  
/////////////////////////////////////////////////  
とりあえず自分の続きいきます。>>712  


「ふん!!開戦から三ヶ月で首都まで攻められた国がよく言うわ!!」  
エルフィールからの書状を受け取ったオーラン国王サダム3世がわなわなと手を震わせながら大臣に八つ当たりした。  
そのエルフィール国王直筆の手紙には要約すると次のように書いてあった。  

『調子に乗るな。この間抜けやろう。これから手前の国に殴りこむから首を洗ってまってやがれ!!  
へへん!!俺様には強い味方が付いたんだぞ。お前らに勝ち目は無いんだからな。覚悟してろよ』  

「領土の割譲と引き換えに講和でも結びに来たのかと思えば、今ごろ宣戦布告だと!?  
直ぐにケニバル将軍に攻撃命令を出せ!!一人の捕虜も要らん!!敵首都を塵一つ残さず焼き尽くせとな!!」  
それを聞いた一人の近衛兵が敬礼をして命令を伝えにいく。  
「いえ、国王。エルフィール自体はたいしたことはありませんが、奴等の味方の日本という大国は見逃せません。」  
「ふん。いくら強かろうとも、ただが50人の工作部隊に混乱させられるような連中など敵ではないわ。」  
それを聞きながらサダム三世はその手紙を放り出して宝石や金で装飾された椅子に座り込んだ。  
それを聞いた大臣が日本から届けられたオーランではとても作れないぐらい上質の白い書状を取り出す。    
「前線から逃げ帰ってきた兵士や将官からの話では奴等は金属製の魔道兵器をあやつり  
しかもその魔道兵器が放つ魔術は一撃で数十人を殺傷したと言っています。そんな連中が今日攻め込んで来るといっているんですぞ?!」  
「逃げてきた兵士の言う事など当てには出来んよ。」「しかし!!現に・・」  
「確かに奴等には鉄の箱が飛ばせるようだ。だがそれが如何した?我々には竜騎士がどれだけいるのだ?」  
「約2300騎です。」  


744  名前:  てさりすと  03/02/07  18:18  ID:???  

「そうだろう?2300騎ものドラゴンを打ち破れる力は、あの悪魔の遺跡の巨砲でも使わなければむりだ。  
しかも巨砲が使えなくなってから二十数年がたち、おまけにやつらから見れば巨砲は我々のはるか後方だ。  
君はジエイタイとやらがどうやったらここまで攻めてこれるのか教えてくれんかね?」  
大臣が沈黙する。無理も無い。砂漠の凶悪なまで環境に加え竜騎士による制空権は圧倒的なものだったからだ  
そこに一人の騎士がものすごいスピードで飛び込んできた。  
「たったっ大変です!!やつら本当に攻めて来ました!!」  
「ほう。いい根性をしておるな。それで被害は?」  
「はっ!!現在確認されているだけで最前線の8個の砦が壊滅およびそれに類する状況!!奴等は続けて次の目標に向かっております!!」  
「なんだと!?」驚いた王が急に立ち上がろうとして尻餅を付いた。  


『おっと来た来た!!レイピア1,レイピア2、3時方向20マイルにお客さんだ。  
高度約2300フィート数は6機。反応の薄さからみるとこいつはグリフォンだな。』  
『了解エアキング。悪いがグリーンエンジェルに聞いてくれ。魔術士は含まれているのか?』  
『・・・グリーンエンジェルの返答ではNOだ。安心して叩き落せ!!』『了解』  
E-767を守っていた米軍の2機のF-16が速度を上げて突入していく。普通ならここで増槽を切り捨てる所だが  
相手がミサイルを持っていない=追尾魔法を使えない(準備していないと使えない。準備していたら分かる)  
ほとんど的当て状態だった。ほとんどの場合値段の張るミサイルを使わず機銃で落とされていった。  
もちろん彼らも反撃に出ようとするが運が悪いと狙われた事すら知らずに地上の肥やしになり  
運がよくても弓や単発魔法が命中する訳も無くいつかは撃墜される運命だ。  
そこら彼処で撃墜宣言が起きている。  
『トロー3、スプラッシュ!!』『フロンティア5が一機落としたぞ!!』  
だがたまには調子に乗って近寄りすぎて痛い目を見ることもあった。一機のF-4EJが敵を撃ちもらしてしまった際  
すれ違いざまに魔法を叩き込まれパイロットが一人やられていた。  


745  名前:  てさりすと  03/02/07  18:21  ID:???  

そのとき彼らの前方に立ちふさがる者達がいた。緊急出撃してきた制空部隊だった。  
「隊長!!前方で味方と思われる魔力の反応が次々と消えていってます!!」  
「分かっている。直ぐにドラゴンに加速魔法をかけろ。ついでにレッドタイガーも用意して置けよ?」  
「了解!!」そう言って隊員たちが一斉に自分と竜を魔力で強化した後レッドタイガーを出せるだけ用意していった。  
だが、隊長騎だけは重防御魔法とシューティングスターを何度も重ねがけしていった。  
「畜生。いつもの貧弱なペガサスたちじゃないぞ。白と赤も反応が消えた」  
一番右端の竜騎士が同じ竜騎士が撃墜されるのを感覚で捕らえていた。  
「てめえら!!生きて帰ったら酒でもおごってやる。・・・死ぬなよ」  
「了解!!任せておいてください。財布が空になるまで飲んでやりますよ!!」  

『ワルキューレ12時方向13マイル6000フィートにいるドラグーン5機を叩き落せ。  
遠距離からミサイルで叩き落して、ルデールとクイーンズ攻撃部隊の道を開け。  
奴等は強力な迎撃魔法を準備している。他のドラグーン達とは竜も技術も違うぞ!!気をつけていけよ!!』  
『了解』『メビウスはルデールに続け』『了解』  
これが最初の自衛隊機とドラグーン最精鋭部隊「黄色」の初の接触だった。  
////////////////////////////////////////////  
ごらんの通りです。はい  
元ネタは言うまでもないと思います。  
もうじきエイワックスに対抗する手段も出すつもりです。  



773  名前:  てさりすと  03/02/08  22:30  ID:???  

>>745の続き〜  
『おお  いやがった。各機我に続け。編隊を崩すなよ。』『了解』  
『ワルキューレ1  エンゲージ(交戦開始』『『エンゲージ』』  
寺井機を先頭に4機のF-15jがダイヤモンド編隊のまま目標に機首を変えていく。  
「やっぱ寺井のおっさん達、うまいな・・」  
一人取り残されたメビウス(川口)は寺井たちの編隊を見つめながら呟いた。  
自分も一緒に飛びたかったが残念なことに彼の乗っていた機体はF-15E  
もちろん性能の面での問題ではない。制空能力なら同等もしくはそれ以上の能力を持っていただろう  
ただ単に大量の爆弾が搭載できたことから其方を優先させられただけだった。  
だから爆撃がすめば彼もワルキューレに復帰しあの編隊に加わるのだ。  
『ゲルヒルデ  フォックス1!!』  
『ヘルムウィーゲ  フォックス1!!』  
米軍のF-15部隊に合流する為旋回に入った川口のコクピットからは見えないが戦闘が始まったようだ。  
『えーとワルキューレさん達。敵がミサイル(魔術)を放ちました。回避してください。』  
敏感に敵が魔術を使ったのを感知したクレアが、少々場違いな喋り方で寺井たちに指示を出していく。  
まるで戦場の無線ではなく、国内で戦闘系のラジオ番組でも聞いてるような気分になってしまう。  
「ん?どこかで聞いた事があるような・・・」  
川口がそう呟く。そうあれはどこだったか・・・・。  
『了解。グリーンエンジェル』  
彼が思考をめぐらしている間に寺井機とエアキング(E-767)に乗っているグリーンエンジェルが交信をしている。  
たまたまそれを聞いていた川口が「あっ」と思い出す。エルフィール出身の緑髪の彼女を  
『なんでクレアちゃんがこんな所に?』  
『え?あ、川口さん!!お久しぶりです!!』  
「なに?お知り合いですか?」後ろに乗っていた水城三尉が川口に尋ねる。  
「ああ、ちょっとわけありのね」無線を切らずにそのまま川口が答えた。  
ただ撃墜されたのを助けてもらったと言うのが恥ずかしくて含んだ言い方で返した  
『そんな、、恥ずかしいじゃないですか』何処と無く嬉しそうな声でクレアが呟く。  


774  名前:  てさりすと  03/02/08  22:31  ID:???  

『おまえら・・・隊の回線で何をしている・・・』寺井の苦笑交じりの苦情に彼らは我に帰った。  
『『すみません!』』川口とクレアが声をあわせて謝る。  
『まあいいじゃないっすか隊長、川口君、帰ったらみんなで話は聞かせてもらうよ。ふふふ』  
この前WAFにふられたばかりのニ尉が恐ろしいほど明るい声で仲裁に入る。その声を聞いた川口の背筋に寒気が走った。  
寺井以外の隊員たちからも似たような交信が次々と入ってくる。  
『馬鹿な事やってないで、来るぞ!!ブレイク!!』  
寺井の叫び声に合わせて戦闘中にも係わらずおしゃべりに呆けていた隊員たちがまるで合図を待っていたかのように二手に分かれる。  
赤い固まりが寺井たちが急上昇しながらばら撒いたフレアに突っ込んで行って命中爆発した。  
『ミサイルすべて回避されました。編隊を立て直して前進してきます。』  

「おー怖かったー。なんだ今の?」  
ファイアーボールをばら撒いて回避していた僚機が帰ってくると  
隊長騎の竜騎士があまり怖そうには聞こえないような声で感想をもらした。  
「あの〜怖かったようには聞こえないんですが?」  
となりにいた女性の魔竜騎士が冷や汗をかきながら答えた。  
さきほどシューティングスターで自分に向かって飛んできたミサイルを撃墜したのは彼だ。  
もちろん攻撃用に用意しておいた分を全て使ってだが・・だがこんな神業が出来るのは黄色でも彼一人だった。  
攻撃魔術は生産されたミサイルのような機械と違い  弓を撃つ、槍を投げるといった戦闘技術の一つだった。  
だから同じ魔術でも魔力や集中力がある人間(亜人間)が使えば、威力や命中率が全く違うという事もよくあった。  
「この変な槍のおかげだな」そう言って手にもった槍をこんこんと叩いた  
しかも彼はエルフ達から受け取った特殊な槍を装備していた。        グーンニグルの槍。  
魔力を増幅させるだけでなく  魔術を吸収して穂先から増幅された魔術を放つ事が出来た。しかしそれだけではない。  
風の精霊シルフィードによってかなり遠くの空の状態まで知ることが出来た。  
「隊長!!サイが翼を負傷しました!!戦闘には問題ありません!!」  
「そーか。なら突っ込むぞ。準備しろ。」「了解!!」  



834  名前:  てさりすと  03/02/11  18:36  ID:???  

>>774の続き〜  

『ワルキューレさん、敵ドラゴン5機高度10000まで上昇。真っ直ぐに突入してきます。』  
クレアが少したどたどしく説明がかかれた紙と計器を見比べながら報告してくる。  
『おーおー、敵さんドッグファイトのつもりだな。面白い。買ってやりましょう。』  
2尉が少し緊張した声で寺井に告げてくる。  
『メビウス1!!とっとと爆弾落として戻って来いよ!!』『了解』  
別の二尉がすでに目標地点上空に到達しかけていたメビウスに指示を出す。  
『ワルキューレ。敵援軍確認。十二時方向。50機。距離30マイル高度5000で増速中  後約15分で到達するはずだ。それまでに片付けろ。  
ルーデル小隊とメビウスは予定どうり目標に爆弾を投下せよ』  
『『了解』』  
地球上のあらゆる空で、どんな天候でも、どんな相手でも、どんな状況下でも、敵を空から追い出すことを目的として作られた4機の鷲と  
さらに破壊するために進化した4機の鷲が各々の目標に向かい加速していった。  



835  名前:  てさりすと  03/02/11  18:37  ID:???  


「来たぞ〜〜〜!!弾幕をはれ〜!!」  
増槽を投下しながら5機のドラゴンに突っ込んでいく4機のF-15Jを見た指揮官が要塞の屋上で魔術師や射手に射撃命令を出した。  
まるで第二次大戦中の艦船から放たれた対空砲火の如く弾幕が要塞の周りに張られたがかすりもしなかった。  
「畜生!!当たりません!!」  
「くそ!!諦めずに次に照準を合わせろ!!時間さえ稼げば黄色が何とかしてくれる!!」  
そう、諦める訳にはいかない。すでにこの要塞から前の陣地はほとんどやられてしまっている。  
ここを抜かれてしまえば、この付近の前線がほとんど機能しなくなってしまう。そう思った指揮官は絶望的な絶対死守命令を出していた。  
そこにはるか上空から4機のF-15Eが2機ずつ前後に距離を置いて突入してきた。  
「副将軍!!敵が何か落としやがりました!!」  
兵士の一人が怒鳴ってくる。普段なら縛り首だがそんな事をしている余裕はなかった。  
それを聞いた兵士達と指揮官達が立ち止まって空を見上げた。2機のイーグルから落とされた地獄からの使者・・・CBU-87CEM  
40発のクラスター爆弾が風切音を立てながら落ちてくる。  
そして数百メートル上空で小さな花火の如く爆発して8080発の子弾を付近一帯にばら撒いた。  
「おお!?」「なんだ?!花火か?!」  
要塞の周囲や防空にあたっていたものでそれが何であったかを生きたまま理解したものはほとんどいなかった。  


837  名前:  てさりすと  03/02/11  21:20  ID:???  

投下、投下、投下!!』  
前を飛ぶ2機のF‐15Eが持ってきたクラスター爆弾を爆弾を全弾投下した後軽くなった反動で少し浮き上がっていく。  
彼らが飛んだのと同じコースを2機のF‐15Eが通っていく。  
かなり前からWSOの水城三尉がAN/APG-70を操作して目標付近の精密な地図を表示させていた。  
要塞の外をうろついている軽騎兵や馬車の姿もはっきりと見えている。  
それどころかその足跡や轍までもかすかにだが映し出されていた。  
ちょうどそのとき先ほど投下されたCBUが爆発し空中に子爆弾が付近一帯にばら撒かれた。  
最初はかすかにきらめく程度だったが次々と辺り一面で爆発がおき、まるで幾つもの爆竹が次々と爆発しているように見えた。  
だがその爆発の下で多くの人間や亜人間が死んでいっている。  
その光は一時付近一帯が明るく照らし出し最後の一発が爆発した時には全てが終わっていた。  
建物の奥深くにいた人間と高密度な防御魔法で守られた場所以外に立っている生物は見当たらない。  
中心から少し離れていたのと高密度な防御魔法のおかげでなんとか守られた塔も今にも崩れそうだった。  
後ろにいた二機はそれを確認すると照準を要塞の主要部分に合わせた。  
『行くぞメビウス1!!次は俺達の番だ!!』『了解』  
小隊長のルーデルが無線で呼びかけてくる。川口はそれに答え爆撃体制に入った。  
「悪い!!これは戦争なんだ!!」  
そう叫びながらすでに動くもののいなくなった要塞の中心にBLU-109の照準を合わせていく。  
先にばら撒いたクラスター爆弾は予定通り対空陣地を沈黙させた。もはや彼らを止める物は無い。  
先に照準をあわせたルーデルが急速に高度を下げつつMK84爆弾2発を壊れかけた塔に、あまった2発を別の目標に向かって投下した。  
メビウスもそれに続き爆弾を投下してルーデルと共に上昇した。  
表面で大きな爆発が手前から順に4発起きる。その爆発は塔どころか付近の建物を完全に倒潰させる。  
もう一つの目標も粉砕し城壁も吹き飛ばしていた。  


838  名前:  てさりすと  03/02/11  21:28  ID:???  

それから数秒後に要塞の中心で見た目には小さな爆発が幾つも起きた。だがそれは見た目だけだった。  
要塞内部に突入したトリニトル製の爆弾は生き残っていた兵士を、ただそこに存在した物全てを焼き尽くした。  
神は不平等かも知れないが少なくとも死神は全てに平等だった。  
爆風は地下の貯蔵庫に隠れていた使用人や牢屋に放り込まれていた奴隷達をも完全に焼き尽くした。  
もし仮に運良く生きていたとしても救助されない限り倒潰した建物から出られずにいつかは窒息死か餓死する運命だった。  
その風景を上空から見つめながらパイロット達は自分達の神に彼らの冥福を祈った。  

たった今壊滅した要塞から3キロの地点上空
『ゲルヒルテ。チェックシックス。・・っ!!ミサイル!ミサイル!回避しろ!!』  
別のドラゴンを追尾していたゲルヒルテが間一髪フレアーをばら撒いて旋回し背後から放たれたレッドタイガーを回避する。  
寺井がその魔術を放ったドラゴンに照準を合わせる。  
『ワルキューレ1  フォックス3!!』  
弾丸がドラゴンに載っていたパイロットを捕らえたかに見えた。だが結界に防がれパイロットに当たらずドラゴンに命中した。  
しかし寺井が引き金を引いていた三秒間の間に放たれた180発の弾丸は伊達ではなく  
恐ろしいまでに硬いはずのホーリードラゴンの鱗を引き裂いて多大なダメージを与えた。  
『よし!!とどめだ!!』  
急速に高度を落としていくドラゴンに対し追撃をかけようとした寺井機だったが  
敵隊長機と見られる一番美しいホーリードラゴンの妨害をうけ追撃を諦めざるを得なかった。