927 名前:タマラン :04/06/30 06:37 ID:???
[自衛隊がエルフの森を襲撃占領しまつ]
「へへへ、美人のメスエルフを捕まえてきたら、団長が褒美をくれるそうだぜ。」
「俺はメスでも小学生くらいのやつがいい。今からよだれがトマラネェ。」
「こんなのって、朝鮮の時以来じゃねえか?北方領土奪取戦の時はタタキ(略奪)も
ツッコミ(強姦)も一切ダメだったし。殺しちゃダメなのは偉いヤツだけだろ。」
「総員傾注!今から手順を説明するぞ。まず1個小隊の人数で先発隊を作る。これは
志願者だけでやるそうだ。先発隊がエルフと接触、又はエルフの巣を発見したら
残った隊も突入だ。イギリスでエルフと戦った経験者は前へ出て来い。全員だ!」
「よしお前、エルフってのはどんな連中なのか皆に話してやれ。簡潔にだ。」
「ええと、エルフってのは金色だったり、黒かったりして、強かったです。」
ボコっ!「小学生かお前は!どんな戦い方をするのかとか話せ!具体的にな!」
「うっ、ぐすっ、…銃は使わないで、弓矢とか剣とかしか使ってきませんでした。
人間は見つけたらすぐ殺すくらいの気合でした。へんな術とかもしてきました。」
26 名前:タマラン :04/07/01 07:12 ID:???
イギリスに帝国陸上自衛隊が上陸を果たし、英国陸軍を一方的に撃破していた。
自衛隊員の損耗率も35%と高かったが、その内訳の20%あまりは、森林地帯
においてゲリラ戦を展開したエルフたちによるものであった。100人のエルフに
千人の隊員が殺傷される程の戦闘も珍しくなかったのだ。〜大英帝国の落日〜より。
先発隊が三鷹の森に突入して30分が経過した。主に対エルフ戦闘の経験者が集め
られた50名の部隊は訓練通りのV字型隊形で広く散開して前進する。…しかし、
この森はおかしい。演習場のそれとも、今までのどの戦場の森とも違う。
「…この忌々しい匂い、何が匂っているんだ…、鼻にハッカを詰めてるみたいだ。」
「目もしょぼしょぼしてたまらないよ。瞬きが止められない。どんどんひどくなる。」
「それよりも耳だ、中の石がシャラシャラこすれ合って気がおかしくなる。虫の鳴き声も
風の音も地面を踏む音も…心底むしゃくしゃしてきたぜ。帰りたいぞ。…」
これらの何よりもひどかったこと、それは「嫌な予感」がどんどん強くなっていく
ことだった。実戦で悲惨な目に何度か会ってる兵士なら大体が感じられる。
それを先発隊の全員が感じていたのだ。…背中がぐっしょりと汗をかくほどに。
28 名前:タマラン :04/07/01 08:27 ID:???
うるせえな、馬鹿野郎。 どこのどいつだ! どこから言ってくるんだ!
[帝国陸上自衛隊の方々は森違いなので、よその森でやって下さい]
前進する隊員たちに向かって何者かが呼びかけて来る。一人ではない、複数の
声が森の中をこだまするかのように響き渡った。隊員は周囲と樹木の枝並みを
何度も見渡すものの、人影ひとつ見つからない。…ちくしょう!馬鹿にしやがって!
「私たちは日本政府を代表してやって参りました。貴方がたの指導者たられる
方にお取次ぎを願いたい!姿を私たちに見せてください!危害は決して加えません!」
先発隊長が拡声器の音量を最大にしてがなり立てた。その声は怒声とも罵声とも
受け取られかねない具合で、言ってる内容に説得力がまるで感じられなかった。隊員さえも。
…先発隊の全員がこの不愉快な森に辟易してきたその時、吸うと気持ちが良くなる煙草に
火を付けた兵士が、自分達を見下ろす人影を発見した。「居たぞー!エルフだぁー!!」
その叫び声を聴いて、だらけていた隊員の全員が目を獣のそれに変えた。即座に戦闘態勢へ
移行した兵たちは指示されるまでもなく扇状に散開し、小山の上に現れた人型に銃を向けた。
「誰か!貴様はエルフか?我々に反抗的な行動を取ると射殺する!!」 ドカッ!
教範どおりのセリフを吐き捨てた若い兵卒を殴り倒し、先発隊長こと椰子曹長が最前へ踊り
出た。「失礼致しました!我々はあなた方と友好と交流を結びたく政府より派遣されて
参った者です!我々を貴方たちのリーダーにお目通りさせて頂けませんか?素敵な贈り物も
沢山もってやって参りました!私たちを貴方がたの村へ案内して下さい!」
274 名前:タマラン :04/07/05 03:03 ID:???
この時代の日本において、エルフは2級市民であるとを認識されていた。
女優(俳優)から売春婦(男娼)まで、と言われるように、芸能や風俗と
いった貶められた扱いを受ける仕事以外に、まともな職はエルフには無かった。
ただし、これは地球上のどこの国でも大差ないことであったが…
どことなく古代日本をイメージさせる衣装をまとうたエルフは長弓を携えている。
それを包囲した隊員たちであるが、目の前に現れたのが一人だけというのがかえって
不安を増大させる。敵は目の前にいるヤツだけとは限れないのだ。目の前にいない
ヤツこそが恐ろしい。最後列の隊員たちが包囲の外周を警戒していても、プレッシャー
を意識せずにはいられない。先発隊長はがなり続けるばかりだ、くそったれ。
「オツパイゲットー!!」…お調子者で知られた陸士長が緊迫感をぶち壊した。
小山をはいずり登ってエルフの背後の背後に周りこみ、あまつさえ乳房をもみし
だいて抱きついた。隊長とエルフを含む、その場の全員が呆気にとられて何も
できなくなった。「柔らかーイ!うぇっごふっ!」気を取り戻したエルフが背後
の馬鹿を合気道みたいな技で地面に叩きつけて黙らし、髪と服装を整えて口を開いた。
「あたたがたは森違いですので、よその森でやって下さい。」それに先発隊長が拡声器
で応える。
状況はまた振り出しに戻った。 続く。
282 名前:タマラン :04/07/05 23:47 ID:???
[自衛隊がエルフの森を占領しまつ] 第4射
…皆がダレていた。ダレ切っていた。先発隊長以外の隊員は全員が地べたに座りこみ、
携行食糧をつまんだり音楽を聴いたりして時間が過ぎるのを待っていた。それと隊長の
体力が尽きるのも。「エルフ女ってのは綺麗だなぁ。彼女になってくれねぇかなぁ。」
「日本にはいつ頃からエルフがいて、なぜ卑しい仕事にしかありつけねぇのか説明しろ。」
「たしか小学校6年生くらいの時に習ったと思うのですが…」訳尻士長は班の皆に話始める。
…現代までの地球上の歴史において、3回に渡る未知のエネルギーの出現が世界規模で
発生したと考えられています。「発生?って、なにがエネルギーだったんだ?」
…それが具体的になんなのか、は特定されていません。地底から噴出したのか、宇宙から
降り注いだのか、様々な説が今も議論されています。人類の起源となった生物が出現して
程無い間に一回目の発生があったらしいのです。この結果、人類は様々な人種へと枝別れ
を起こし、現在の「人類」とされる我々になったということです。
「ふーん、で、エルフは?」…紀元前のいつ頃かに2回目の発生が起こり、エルフを始め
とするオウガ、ドワーフ、ノーム、ジャイアント、フェアリー等の「亜人」とされる生物
群が人類より派生したそうです。とりわけエルフは人類をしのぐ能力と文明の発達を実現
し、ヨーロッパ大陸では一時期人類を支配したことから、今でも人類はエルフを嫌ったり
恐れたりしてます。人間社会で不利な扱いを受けるのも昔からなんですねえ。 続く
450 名前:タマラン :04/07/09 04:28 ID:???
[自衛隊がエルフの森を占領しまつ]D 開
「大変だ、椰子一曹が倒れた。」
エルフ娘を見つけてから、休むことなく怒声を張り上げ続けた先発隊長こと、
椰子一曹(54歳男性)は過呼吸を起こしてその場に倒れこんだ。
「顔色が悪い。まずいよこりゃ。」 呼吸が落ち着いても椰子一曹は青白いまま
で、白眼をむきかけている。…この時点で、先発隊の指揮者は珈琲一曹に替わった。
まわりの目が珈琲を注視し、無言で決断を仰ぐ。
「仕方あるまい、後送しよう。4人組みで担架かついで、本部に戻れ。そうだな、
今ここにいる人間で行け。衛生、担架作って、一人付いて行け。戻った後はその場
の指示に従った行動だ。」
衛生担当の陸士は携帯担架を素早く組み立て上げ、
4人がかりで椰子一曹を担架に乗せた。
451 名前:タマラン :04/07/09 05:00 ID:???
[自衛隊がエルフの森を占領しまつ]D 途中A
『あー、よういしょおぅ!』の掛け声を合図に4人の陸士が担架を担ぎあげて、
帰り道の方向に担架を中心に転回したその時、背後からピンと澄んだ声が上がった。
「待たれよっ!」…エルフ女がたたずむ小山を隊員たちが振り返った!しかし誰も
いなかった!「おわっ!ここっ!ここぉ!」 訳尻士長が驚いて指差した所…それは
珈琲一曹と担架から5mも離れていない所に、エルフ女がいた。みんなが肝を抜かれ
たように驚き、血の気が引くのを感じていく。さっきまでこの女がいた小山の頂から、
珈琲一曹と担架まで50メートル以上はある。なのにコイツはいつの間にそこまで
動いたんだ? (待たれよっ!)と、聞こえた時にはもういなかった。で、ここにいる!
ざわ… ざわ… ざわ…
「きっ」完全に虚を突かれた珈琲一曹は、「き さ ま 何 を す る か !!」ジャコッ!
腰の拳銃を抜き出してガサガサ歩き、エルフ女のアゴ先に突きつけて恫喝する。
エルフ女は正中線を隠す半身の構えで一歩も引かずに、眼に血ばしる珈琲一曹をにらみ返す。
452 名前:タマラン :04/07/09 05:36 ID:???
[自衛隊がエルフの森を占領しまつ]D 閉
…エルフ女と珈琲一曹は互いをにらみ付けたまま、ピクリとも動かない。
二人を取り囲んだ隊員たちが小銃の狙いをエルフ女に合わせて片ひざを着く。
360度囲んで包囲しちゃった時は姿勢を低くしろと教わったとおりだ。
(お前達が森に立ち入った所まで案内させよう…) エルフ女のつぶやきを聞いた
珈琲は(ハッと)我に返ると、急に自分の狼狽ぶりを気恥ずかしく思った。
「全員、銃を引け」 左手を挙げて(散れ)のサインを出し、自身もゆっくりと後ろ
に下がった。 無論、銃をエルフ女に向けたままで。「案内だと?あんたがか?」
「端卑女に送らせよう」 エルフ女が言うも間も無く、ズバヴァンッ!落ち葉の敷き詰まった
地面が勢い強く盛り上がりっては何者かが現われた。 エルフ女より少々小柄で、服は
貧相なものをまとっている。「ここに」 顔を見せないかぶりものを着けたそいつは、
子供の声でそれだけ言うと担架に駆け寄り、手招きして少し前を行った。 呆けた表情でその場
に立ち尽くした4人の陸士と1人の衛生。行けと珈琲に命じられ慌てて歩きだす。
「安心なさい。あの者がいれば必ず帰りつけよう。」 「…え?」エルフ女の
セリフが遅れて珈琲の心に引っかかった時、担架と案内人は見えなくなる距離まで
行ってしまった。 続く
872 名前: タマラン 04/11/24 23:02:06 ID:???
【幻想の海岸】
ゴロゴロゴロ… 濃い緑色に塗装されている、一台の古ぼけたジープが海岸前の砂利を踏みつけた。
プススススン… 砂浜には入らず、手前の未舗装路の上で停車する。
ギィッ…ガジャ 軋みながらドアが開き、二人の自衛官がジープから降り立った。
二人の自衛官は周囲を、ゆっくりと見渡す。空は乾いた曇天で薄暗く、風がバタバタと
戦闘服のすそや袖を叩いた。砂浜には人影も無く、波間が短い間隔でうち寄っている。
そして、海の向こうの水平線上には、無数の船影が大小伴ってこちらに向かってきていた。
「寺井士長?あれが何なのかが、わかるかね?」
整った顔立ちの、長身痩躯の自衛官が、海の向こうを見ながら問いかけた。
「さあ?わかりません。 尾奈2曹は知ってるんですか?」
尾奈2曹と呼んだ男の横で、便所座りの姿勢を取り、タバコをスハスハと吹かす、
ニキビ顔の小太った男は、興味なさそうに聞き返している。
873 名前: タマラン 04/11/24 23:12:34 ID:???
船影が、段々と大きく見えてきた。
「ところで寺井クン?先週の週末にさ、朱印曹長や、青間一佐ら、優秀なヴェテランが
大勢退職していったろ?」
「ふーん、知りませんでした。俺、見送りいけませんでしたから。(警衛下番して、アニメ見てたなぁ)」
「朱印曹長も青間1佐も、連隊に無くてはならない人だった。あの人たちに匹敵する
人間は、もう一人もいないんだ。」
「別に関係ないっすよ。オレは話したこともないし。」
寺井士長はうんざりしていた。急に告げられたこの演習の為に、大好きなアニメの生放送を
見ることが出来なくなったから。
874 名前: タマラン 04/11/24 23:25:27 ID:???
船影は大きい物のあとに、無数の小船が続いて、一斉に海岸を目指してくる。
「優秀といえば、去年の暮に任期満了で退職した、沢利士長もそうだったな。
彼の後には、一人の新兵もウチの連隊には配属されていない。」
「おかげで、オレに面倒のシワ寄せが全部きてるんすよぉ。なんとかしてくださいよぉ。」
尾奈2曹は寺井士長の愚痴を無視して、無線機を使って、何がしかの連絡を入れた。
車の中から身を戻し、唐突に声量を張り上げてたたきつけた。
「単純にっ!連隊の人数は3分の2に減ってしまった!それにあわせて弾薬や物資の
備蓄量まで目減りさせられた!…これでっ…これでっ…?!」
「そんな、いきなり怒られても、俺ワケがわかんないすから…」
尾奈2曹はジープのボンネットに、ガンガンと握り拳を振り下ろした。叩くのを
やめて、今度は歯の隙間から、ぐっくっくっくっ、と喉切り声で笑いだす。
875 名前: タマラン 04/11/24 23:45:21 ID:???
船影、もとい艦そのものが、海岸にずいずいと迫りつつある。
「くははははぁっざぁ!…財務省は予備自衛官召集と追加の物資調達のための
費用を出さないと言い切ったそうだよ!テライクン…!!!」
「すっげえ!ホバークラフトだ!アメリカ軍と演習できるなんてスゲエ!」
ホバークラフト、の仕組みで航行する揚陸艦が、二人のいる海岸に乗り上げた。
尾奈2曹はぺたりと力なく、地に尻を降ろした。地面に向けてぽつぽつと呟き始めた。
「自衛隊から資金を引き上げ…浮いた金でミサイル防衛関連のネタを使い、財務省は
自らの組織保護と発言力の強化に邁進した…それと入れ替えるように、中国へのODAは
2倍の金額へと引き上げられた…急成長する中国経済の規模に合わせるべく、だそうだ…」
…技術力の優位は完全に無くなり…アメリカは沖縄を除いて完全に撤退した今…
日本領海を我が物で暴れまわる潜水艦の大群に守られてやってくる60万の中国軍(と韓国軍)
を、20万に満たない我々自衛隊に「撃退しろ」と政治家たちはわめき散らしている…
876 名前: タマラン 04/11/24 23:53:33 ID:???
海岸に乗り上げた揚陸艦艇、漁船から、武装した兵士がこぼれおちる小豆粒のように、
ざあざあとなだれ出てきた。
「ううっ、くうっ、ぐじゅ…こんな、この国のアホ共が主張した現実の結果こそが…!!
いや、ファンタジーと言ったほうが合ってるな、うん。」
呆れ帰った寺井士長は尾奈2曹の傍へしゃがみ寄り、肩を叩いて正気を確かめる。
「尾奈2曹、あんた大丈夫ですか?中国が攻めてくるとか、なんとか、頭おかしいっすよ。」
「我々は、自衛隊はファンタジー世界に召喚さ れ た…そうとは、考えられんかね?…アハッ!」
立ち尽くす二人の自衛官を、100丁の銃口と中国軍兵士が取り囲んだ。
幻想の海岸・完
104 名前: タマラン 04/11/29 02:43:23 ID:???
>>88 GJ!あぶみの発明は騎兵の歴史にとって革命的な出来事ですよね。
>>103 流石の一言。自衛隊や兵器のことについて、ここまで詳しく調べる
なんて面倒くさくてできない。
『自衛官とケルベロス』
ファンタジー世界に召喚された二人の陸上自衛官は今、危機に直面している。
寺井士長と尾奈2曹の二人が持つ武器は自動小銃と一振りの銃剣だけ。その
二人が進む街道の先から、恐ろしい怪物が迫り突き進んでやってくる。口からは
熱く生臭い蒸気を吐き漏らしながら、緑色の人間を食い殺そうとお腹を空かせて
やってきた。
尾奈2曹「その場に、伏せ撃ちの姿勢を取れ!」
上官の号令聞いて、寺井士長はのそのそと地面に左手をつけ、だらしなくうつぶせ
に寝そべると肘を立てて銃を構え、すれた売春婦のようにやるせなく股を開いた。
105 名前: タマラン 04/11/29 02:53:41 ID:???
尾奈2曹は寝撃ち姿勢と取った寺井士長の傍にしゃがみ、寺井の両肩に手を
置く。寺井の呼吸と鼓動、そして体温が、軍手を通しても伝わってくる。
尾奈2曹「落ち着いて、心臓を狙って単発で撃て!敵は一人だ。」
寺井士長「一匹でしょ…犬の心臓ってどこですかね?」
耳のすぐ傍で、尾奈2曹がハァハァと息をするものだから、寺井士長は気持ち悪くて
仕方がなかった。自分はアニオタWACで男には相手にされないが、こんなキモイ
自衛官に迫られても嬉しくもなんともない、むしろ殺したいと思うだろう。
尾奈2曹「来るぞぉおお!安全装置解除!射撃用意!」
寺井士長「安全装置よし」
2人の前に今、道の起伏を乗り越えて、頭が3つある犬の怪物が全身を晒した。
106 名前: タマラン 04/11/29 02:58:34 ID:???
怪物犬「ヴォウワウヴォウワウヴォウワウ!!!」
来た来たー!思ったより足が速い!
尾奈2曹「ファイエル!(俺、カッコいい!)」
寺井士長「銀英なんて古いんだよっ!」
ズギューォン… 寺井士長の放った銃弾は怪物犬の胸を真っ直ぐ撃ち抜いた。
「キャイーン!」
「キャイーーン!」
「キャイーーーン!」
胸に銃弾を受けた怪物犬は足並を崩して倒れ転がり、3つの頭がそれぞれ悲鳴を上げた。
107 名前: タマラン 04/11/29 03:09:05 ID:???
尾奈2曹「もう一発撃てー!」
ズギューォン… 寺井士長の放った銃弾が怪物犬の腹に飛び込んだ。
「ギャン!」
「グフッ!」
「ヴィグロッ!」
3つの頭は涙やよだれを垂らし、緑色の人間に目で赦しを求める。
尾奈2曹「しぶとい目標だ!着刀しろ、突撃の姿勢を取れ!突撃〜!!」
二人の自衛官、尾奈2曹と寺井士長は怪物に対し銃剣突撃を敢行し、3つの頭の
うち2つを叩きつぶした。
「キャインキャインキャイン!」
寺井士長「死にな。」ドシュ!…グリグリスバジャッ…
寺井士長は怪物犬の、生き残った頭のつながる首に銃剣を突き刺し、上下にグリグリ
とえぐって血管や神経を千切る手応えを感じると、滑るように引き抜いた。
108 名前: タマラン 04/11/29 03:19:48 ID:???
ぷしゃ〜… 怪物犬の首から、血液がシャワーされる水のように勢いよく噴出した。
細かい飛滴や血煙が、寺井の眼鏡のレンズに赤い斑点になって付着し、濃緑色の戦闘
服を赤黒く染め上げる。10秒くらいの間、寺井はそのままでいた。
寺井士長「ふぃーっ…」
寺井は戦闘服のズボンポケットから、チャック付きビニール袋に入れたハンドタオルを
取り出した。血で汚れた眼鏡を外し、タオルでレンズを丁寧にキュシキュシと磨いた。
尾奈2曹「寺井、お前…眼鏡を外すと美人なんだな。」
にやけた尾奈2曹をきっと睨みつける。そばかすの上の細まなこが、力なく半目になった。
寺井士長「尾奈2曹、あんたも少しは働いてくださいよ。」
ぐずぐずしていると、血の臭いを嗅ぎつけて別の怪物がやってくる。先を急がねばならない。
現実のファンタジー世界では、隣のお城へ行くのさえ命がけだ。
それは、自衛官といえども例外では無い…『自衛官とケルベロス』完
176 名前: クマラン(^^) 05/01/03 12:05:22 ID:???
歴史は繰り返す。
銃火器の出現と発達に伴い、重装甲を脱ぎ捨て機動性を得ることで、
陸上軍は布製の軍服を纏いマスケット銃を担う近代軍へと進化した。
情報技術とロボットの発達は21世紀に於いて陸上歩兵にさらなる進化
をもたらす為の重要な鍵となった。
闇夜も濃霧も遠く見透す視覚はエルフを凌ぎ、アクチュエータと人工筋
が生み出す怪力はドワーフやオウガにひけをとらぬものであり、暗号化
された情報は電波を初めとした複数の手段によって味方同士の緊密な連
携を約束するだろう。これにレーザーだのレールガンだのリニアだのが
加われば完璧である。ダッチワイフの技術発展は、全ての喪男隊員たち
を風俗施設から解放するであろう。サイバネティクスと電脳技術が順調
に進歩すれば、仮想空間を利用した準実戦演習による非常に効率的で経済的
な練度の維持向上が可能となるのである。恋愛ゲームとエロゲーの感動
も、現在のそれを大きく上まるものが期待できるであろう。
2005年度 自衛隊前線部隊における次世代の姿への考察 了
504 名前: クマラン(^^) 05/01/18 19:06:22 ID:???
次号の新連載! 「濃緑色の彷徨う旅団」
演習中にファンタジー世界へ召喚されちゃった陸上自衛官8人が元の世界に
帰るために、2つの世界をつなぐ赤い魔方陣を目指す旅の途中で怪物やら
怪しい組織の送り込む刺客やらとガチンコ戦闘を繰り広げる!
魔法と科学が危険なバランスで共存するマジカルスチームパンク世界で、
8人の自衛官は力を合わせて必死こきます。
登場人物
一打王 元 (いちだおう げん)2等陸尉
※中卒一般隊員の身から32歳で幹部まで成り上がった実力者。ファンタジー
世界に召喚されちゃっても正気で職務を遂行する骨太な人。床姦3曹と同期。
床姦 鬱雄 (しょうかん うつお)3等陸曹
※少年工科学校を出ておきながら33歳にして未だ3等陸曹でいる。理屈っぽく、
頑固で協調性にやや欠けるため、部隊内でもスポイルされかけている。対空兵器担当。
熊覧 柄顔 (くまらん えがお) 3等陸曹
おべっかと付け届けの達人。要領よく試験や演習をこなすことしか頭に無い、利己主義
の隊員から3曹に成り上がった。床姦3曹と同室のため、日頃からこき使われている。
通信機を背負い、魔方陣から発せられるノイズを拾って魔法人の位置を特定する。
691 名前: クマラン(^^) 05/02/05 22:51:55 ID:???
SS投下開始
僕は陸上自衛官という仕事をしていて、ついこの間に、幻想的な異世界に
無理やり召喚されてしまった。僕と一緒にまとめて召喚された、7人の陸上
自衛官らと力を合わせて、元いた世界に戻るための旅をしてる。僕を入れて
8人になるこの分隊は、結構適当な物の考え方をする人間が集まっていた。
偉い順番から紹介すると、指揮官の『妥桜 肇』(だおう はじめ)二等陸
尉に始まって、軽機関銃を任された半(なかば)三曹に至っては現役自衛官
でありながらニューハーフをしているという有様だった。僕と同期の枝末
(えすえ)君は妥桜二尉に惚れている始末で、半三曹と枝末士長は妥桜二尉
の愛を巡ってしょっちゅう喧嘩をした。でも二人の戦闘の腕前は分隊の主力
となる重要なものだったので、妥桜二尉は二人に均等なふるまいで接して、
どちらか一方の機嫌を損ねぬよう、いつも気を使っているのが気の毒に思え
た。僕の名前は久間(ひさま)というのだけど、名前の蘭とくっつけて(ク
マラン)と呼ばれていた。僕に用事があれば「クマラン」と呼べばいいわけだ。
今回は、ある山道を越える道中に起こった出来事をみんなに話そうと思う。
それは新興宗教団体からの依頼で、山向こうの街まで護衛同行することに
なった女性魔法使いのとんでもない行動のせいで、僕は頭を思い切り殴られる
はめになったのだ。ある意味、僕の素人童貞喪失の悲劇とも言えるだろうね。
692 名前: クマラン(^^) 05/02/05 23:11:21 ID:???
SS投下中
山向こうの街に続く山道の途中で日が暮れてしまい、僕等の分隊は偶然にも
発見できた浅い洞穴の中を野営の場所に選び、一晩を過ごそうということに
なった。妥桜二尉の指示の下に、寝床を整える者、食事の支度をする者、見張
りにつく者らに分かれてそれぞれが仕事に取り掛かっていた。僕はというと工
業都市タラントンで自作した手回し発電機を、つまりダイナモを使って、自分
が普段背負っている通信装置や、これから使うであろう暗視装置のバッテリー
を充電する作業に取り組んでいた。洞穴の冷たい地面にあぐらをかいて座り、
他のみんなが粛々と動き回るのを尻目に黙々とダイナモのハンドルを回し、
バッテリーに電力を満たしてゆく。その僕の姿を、護衛の対象者がずっと見て
いる。といっても面白そうとかいう雰囲気ではなくて、他に見物するようなこ
とがないから、しょうがなく見ているといった感じ。僕もその女魔法使いの視
線を感じて、こっそりと女の顔を見るのだけど、女はすぐに僕の目に気づいて
目を逸らした。そばかすが濃くて、固そうな赤毛を二本の三つ編みにして下げ
ている、野暮ったい容姿の女だった。洞穴の壁に背を預けて体育座りをして
なにかするでもなく、ただ僕の手もとをじっと見ていた。それは別に気になら
なかったのだけど、その時の僕は、女魔法使いが杖や本といった魔法を使うの
に必要とする(この異世界では)ポピュラーな道具を一つも持っていないこと
を、少し不安に感じていた。この世界で主流ではない魔法を使う連中は、例外
無くロクでもない行為を魔法の発現に必要とすると、僕は小耳に挟んでいた。
693 名前: クマラン(^^) 05/02/05 23:28:47 ID:???
SS投下中
最初に自分の通信装置の充電を済ませ、それから4つある暗視装置のうちの
2つまでを充電したところで、僕は自分が空腹を感じていることに気が付い
た。(早く飯にならないかな)飯の時間が近くなるとそわそわしてしまうの
は、自衛官のサガともいえるだろうね。補給業務を受け持つ尾奈二尉と衛生
担当の織田(階級は陸士長、腐女子WACだ)ちゃんがクジラの脂身入りの
シチューを煮ていて、その食欲を誘う香りが僕のいるところまで届くいたも
のだから、女魔法使いもなんだかそわそわしだしたのが可笑しかった。
顔にも声にも出さずに笑いをこらえていると、洞穴の入り口の方から足音を
控えて駆け足をする音が聞こえてきた。僕はダイナモを回しながら妥桜二尉
の方を見ると、ボルトアクションのライフルを持った駒市(こまし)士長が
なにかを妥桜二尉に耳打ちしている。それだけ見て取って、僕はダイナモを
回す手を早めた。女魔法使いが『何事?』とでも問いたそうにこっちを見て
いる。僕が視線を妥桜二尉に戻した時、駒市が入り口に戻っていくのと同時
に、妥桜二尉は口を開いた。「戦闘配置に付け、山賊に包囲された」
694 名前: クマラン(^^) 05/02/05 23:46:07 ID:???
SS投下中
妥桜二尉が一言、そう命令すると同時に、その場にいた尾奈二尉と織田士長
と塩岡三曹はバネが外れたように動きを機敏にした。尾奈二尉はシチューの煮
えていた鍋をかけていた火に、石綿の布をかけて消してしまった。地面に脚を
立てて置いた64式自動小銃を織田士長が拾いあげ、安全装置を解除する。塩
岡三曹も自分の携帯式ミサイル発射機を肩にかけて、入り口に向かって走って
行った。僕も自分用のボルトアクションライフルを手に取り、充電済みの暗視
装置2個を持って立ち上がったけど、そこへ妥桜二尉が駆け寄って来て暗視装
置を鷲掴みにし、僕から取り上げて命令した。「久間は残りのこれを(暗視装
置)を充電して、できたら入り口のとこまで持ってきてくれ。頼むぞ」それだ
け言って妥桜二尉も入り口の方へ行ってしまい、後には僕と女魔法使いだけが
残されてしまった。僕はおいていきぼりにされたような焦りを催した。
695 名前: クマラン(^^) 05/02/06 00:06:08 ID:???
SS投下中
洞穴の入り口に陣取った自衛官たちは、気配を感じさせながらも姿を少しも
見せない山賊たちに苛立ちの混じった危機感を抱いた。洞穴の入り口前は背の
低い植物が生い茂っていて見通しが悪く、見張りに立っていた枝末士長が山賊
の存在に気がついた時点にはもう、30名以上の山賊が洞穴の入り口付近に忍
び寄って来ていた。見張り班の指揮を執っていた半三曹がマスケット銃が垂れ
流す火薬の燃焼臭を察知して、すぐに洞穴の中へ退避するように指示を出して
いなかったら、3人の見張りは山賊側から一斉射撃を受けて一人も生きてはい
られなかっただろう。そうだ、半三曹は正常に役目を果たした。全ての責めは
敵の尾行と奇襲を許した自分に、妥桜にある。俺はこの状況を打開できるのだ
ろうか?いや打開しなけりゃ、幹部を務める資格な無いさ。よく考えろよ、肇。
洞穴の入り口は、土から剥き出した岩肌が丁度良く遮蔽物となって、自衛官たち
の体を隠した。山賊たちも植生を巧に利用して姿を隠し、暗視装置を使ってもそ
の姿を捉えることはできなかった。自衛官と山賊、お互いに姿を目に見ることは
出来ないでいても、存在を気配と肌で察知しているという状況。その膠着状態を、
塩岡三曹のとんでもなく大きな放屁音が破った。楽器の音に例えればトランペッ
トの一番低い音を、最大限の音量で鳴らしたような放屁の音が、山賊たちの緊張
に張り詰めた紐を切ってしまった。マスケット銃の銃声が山間にこだまし始めた。
696 名前: クマラン(^^) 05/02/06 00:43:45 ID:???
SS投下中
山賊側が38丁のマスケット銃を一度に一斉射して、撃ち出された鉛玉が
洞穴入り口の岩肌にぶつかり、岩を少し削って砕け散った。散った石片が飛
び、壁や天井に跳ね返って、地に伏せた自衛官たちの背中を強く叩く。それ
を耐えた自衛官たちに、指揮官の妥桜二尉が長く明瞭に号令を下した。
「射撃用ー意!」岩と岩の隙間から次々と銃口を突き出し、自衛官たちは白
煙の昇っていたような気のする適当な場所に目星を付け、照準を定める。
妥桜二尉は腹の底から怒声を絞りだして命令を下し叫んだ。
「撃てぇーっ!」号令を皮切りにして、一発一発を全く聞き分けられない程
の発射速度から生まれる雷の音に近い銃声が山賊たちの前列を一瞬で薙ぎ払
い、撃ち砕いてしまった。1丁の軽機関銃が40発の銃弾を吐き突け、2丁
の自動小銃が3発刻みの連続射撃を行い、2丁の自動拳銃と2丁の小銃とが
申し訳程度に3、4発の銃火を光らせた。しかしそれだけで銃撃戦は収まら
ず、後から続々とやって来る山賊側の兵隊が銃列の欠けた部分に加わって撃
ち出すものだから、自衛官側も応じずにはいられなくなってしまった。
僕はやっと出来上がったという思いで、二つの暗視装置をぶつけないよう
に腹に抱えて洞穴の入り口近くまでやって来た。敵が撃ったらしい銃弾が空
気を切っ裂く音がいくつも聞こえた。ああ、僕等はやばいのだなと察して、
片ヒザを地面に着きながら妥桜二尉のところまで僕は這い進んだ。妥桜二尉
は僕の顔を見て、遅いぞといわんばかりの勢いで暗視装置を僕からひった
くった。妥桜二尉がそれを持って、最前列へと腰をかがめて向かう後に続き、
僕も小銃を構えた。さあ撃つぞ、とボルトをスライドさせたけれど、妥桜二尉
の新たな命令が僕の左肩を強く叩いて、射撃を制止したのだった。
「久間、お前はちょっとお嬢さんのとこへ行ってくれ」
697 名前: クマラン(^^) 05/02/06 01:00:36 ID:???
SS投下中
妥桜二尉の命令に、僕は「何故ですかーっ?」と言い出しそうな顔を見せたと
思う。これは上官に対してはやってはいけないことだ。妥桜二尉は僕の頭に手
を乗せて、思いっきり岩肌に押さえ着けて、命令の内容を切り出す。
「頭下げろ、死ぬぞ。それでな、あのお嬢さん魔法使いだから、危なくなった
ら頼ってもいいって話になってるんだ。だからお前行って、魔法で助けて下さ
いとお願いしてこい。なんでもいいから魔法使わせろ。わかったな?よし行け」
妥桜二尉が僕の被る戦闘用ヘルメットを軽く叩いた。僕は迷いなく腰をかがめ
て姿勢を低くし、銃弾が飛んでこない所まで走っていく。女魔法使いのいると
ころまで戻り、深呼吸してから僕は事の次第と用件を説明した。女魔法使いは
目を何度も瞬きさせて、自分のひざこぞうを手でさすり続け、ほぅほぅと口で
息をしている。自分の置かれた事態と状況に驚いているのか、戸惑っている様
子だけど、僕の言ったことは理解してくれたようだった。寒いのか、歯をカチ
カチと鳴らしながら女魔法使いが僕に答えた。
「わかりました、わかりました、今やりますから、あっち行っててください」
僕はそれを聞いて、なるべく早くお願いしますよとだけ言ってから、洞穴の
入り口で戦う妥桜二尉たちの所まで戻ろうと、走りだしていく。女魔法使い
の方を振り向いたとき、彼女が葉巻のような物をくわえて、マッチでそれに
火を着けているのが見えた。あれは魔法に関係あるのだろうかと、また少し
不安を覚えはしたけど、すぐに忘れてみんなの所へ向かった。
870 名前: クマラン 2005/04/07(木) 08:30:39 ID:???
『中国軍もファンタジー世界に召喚されました!』
高く切立った崖の上に伏せ、小官と僕(陸上自衛官、久間士長!)は
崖下を進む中国軍の軍列を見下ろした。
その規模、組織としてのボリュームに、僕はおろか小官殿も気圧されし
てしまった。垂直に立つ岩壁に挟まれた、細くは無い道一杯に中国軍の兵
員、兵器、物資が充満して、それが地平線から反対側の地平線まで、ずっ
と絶え間なく続いている。中国は、本気でこのファンタジー世界を手に入
れるつもりなのだと、僕は確信した。
小官殿が、隊列の中央を進む貨車を見るように僕に促す。中国製の大雑把
な大型トラックの荷台には様々な物資が、載せられるだけ載せられているを
通り越した量が積まれていた。そのほとんどがこの世界で徴発もとい、略奪
した品々であることが、積荷の内容を確認することで自然とわかった。
先頭の方の貨車から、「脱穀前の穀物」「家畜」「現地民の使用した武器」
「土地の食物を収めたらしき壷や樽」……そして、手枷をはめた人間。
「見てみろ、中国の連中、値打ちのある物は片端から持ち去るつもりだぞ」
略奪された物者の中でも、特に目を引いたのが宗教美術や宝物だ。その土地の
住民が崇めている神々の象徴たる品物を、中国軍は全て邪教とみなし、持ち去
って行った。極めつけは、宗教関係者の中の重鎮や最高権威にあたる人物を強
制的に連行していくことにある。一度中国軍の手に落ちた人物は、中国がこの
世界に築いた橋頭堡まで連れて行かれ、幽閉されてしまうのだ。
872 名前: クマラン 2005/04/07(木) 08:48:25 ID:???
「・・・あれはっ、北部のエルフ全てを治めておられたタウンジ氏族の長老様だ!」
僕と小官殿の背後に控えていた、若いエルフの男性が苦渋の沁みた声を漏らした。
トラックの荷台の上に、拘束されたエルフらしき人物が何人か見えた。荷台に同乗
する中国兵が小銃を向けて制圧していて、逃げ出せそうな雰囲気ではなかった。
「エルフもドワーフも、人間よりずっと長命だ。一度抑えてしまえば随分と長い
間、楽に君らを支配できるってワケだな。あん?君のお仲間が救出するって話は?」
小官はこう言うと、ニヤニヤと皮肉笑いを浮かべてエルフの彼を見た。
エルフの彼は小官に突かれ出して、みるみると表情をこわばらせてゆく。
プライドの高いエルフが、黄色い人間から徴発にも等しい指摘を受けて、
平静をたちまち失う過程を僕は見ていた。彼の仲間たちは昨晩に奇襲作戦
を決行し、みごとに返り討ちにあって全滅していたのだ。中国軍兵士の装備
をなめていた、それ以上に、召喚された人間たちの力を侮った結果なのだろう。
「くっ」喉から噛み締めるように口惜しさをこぼして、大きな目に涙の膜を
たたえたエルフの顔は、なんだかアニメのキャラクターみたいに見えて可笑しかった。
「コイズミ王はまだ動いては下さらないのか?!このまま奴等をのさばらせ
ては、ニホン国がおさえている地域までも侵されるのは目に見えているというのに!」
「そうは言ってものう!」
小官殿が僕を見て、同意を催促する。
「僕らに言われても、ですよねえ?!」
どっちみち、日本には中国を抑える戦力など無い。
まあ、君ら剣と魔法の世界に住む人たちは、さっさと中国共産党の支配下に
組み入れられなさいというしかなかった。それが嫌なら、アメリカ資本主義勢
力の下でせっせと被搾取に励まなければならない。
しばらくするとF世界の住人たちはこぞって、日本が治める租界地に入ろうと
押しかけてきた。その情景を眺めて僕は再認識する。何かって?
「ああ!日本っていい国だなあ!」ということをだよ。 完
53 名前: クマラン 2005/04/10(日) 05:20:57 ID:???
『ファンタジー世界に召喚された自衛官が買春をする話』
これはファンタジー世界に召喚された自衛官らが、元いた世界への帰り道
を探して旅する道中での出来事だ。
僕を含めた8名の自衛官の内7人が男だから、長い旅の最中でも性欲処理
の問題がつきまとった。何しろ仲間の一人は女性自衛官なので、彼女のこと
をついつい性的な目線で見てしまう。誰か一人が彼女と肉体関係を結べば、
堰を切ったように他の隊員たちが彼女の体に群がる……なんていう心配は、
全く必要が無かった。なぜなら、7人の中の2人がゲイであって、2人が不
能、指揮官を務める駄桜二尉に至ってはプロのオナニストだからである。
女性を相手に満足な性交が出来るのは、僕と同期の駒市士長と小官殿だけ
しかいない。駒市はバイセクシャルで、僕らが街に宿をとるたびにナンパを
しては、美形の男女を部屋に連れ込んで一晩中セックスに耽っていた。
小官殿は主にレイプ派で、戦闘で制圧した捕虜の中に女がいれば必ずと言
っていいほど手篭めにする。特に好きなのは親子丼のようで、以前に僕らが
小規模な隊商を襲ったときに捕まえたホビットの母娘は徹底的に嬲られた。
自衛官らは茂みの中に身を潜めて、隊商を待ち伏せた。僕らの放った銃弾
が隊商の男たちを一人残らず撃ち倒す。2台の荷馬車が僕らの物となった。
小官が率先して荷馬車の制圧に向かう。加工食品の樽の間に、小官を見て
脅えるホビットの母娘を見つけて、小官はニンマリと俗悪な笑みをこぼした。
脂の照かる唇を薄く開き、粘っこい唾液で舌なめずりする。荷馬車の外に向
けて大きな呼び声を上げた。「クマラーン!縄を持って来い、ウサギちゃん
の親子が手に入ったぞ!」その声を聞いて僕は、「またか」と呟き、溜息を
落とす。のそのそと自分達の馬車へと歩いて、ロープを一束取り出した。
小官殿の命令で僕はホビットの母娘を縛り上げ、適当に見繕った低木に二
人をくくり付けた。許しを懇願してくる母娘の目を見ないようにして、僕は
ナイフで母娘の服を丹念に切り裂いた。小官殿がその様子を見つめている。
54 名前: クマラン >>53の続き 2005/04/10(日) 05:56:21 ID:???
小官殿の目が、剥き出しの欲望をギラギラとぶつけてくる。僕はその目が
心底恐い。以前に似たようなことに出くわした時、僕が服を裂くのをしぶっ
たら、小官殿は無表情で僕の襟首を掴み、ぐいと持ち上げて殴り飛ばした。
服裂きを終えて僕は小官殿に正対して報告する。「終わりました。コーデ
ィネートはこれでよろしいでしょうか?」小官殿が母娘に歩み寄って、僕の
仕事を確かめる。「ごらん下さい小官殿、母親の方は上の下着とブラウスを
残して、後は全て取っ払いました。……それと娘の方ですが、母親とは逆に
パンツとニーソックスだけを残して、上の下着を適当に切り裂いてあります」
小官殿は母娘の体を無遠慮に嘗め回すような視姦で辱めた。僕の方を見て
ニヤリと笑う。「クマラン、お前も中々使えるようになってきたなあ!」
そして、小官殿は躊躇も間も無く陵辱を開始する。母親とおぼしきホビット
女性の白い肌に四肢を絡みつかせて、全身を丹念にまさぐった。僕が差し出す
ワセリンの小瓶からクリームを指に取って、母親の股間に塗りたくった。
その後の詳しい光景は、僕は見ていない。耳を両手で塞ぎ、まぶたを下ろし
て眼前にある現実から自分の意識を遮断する。他の皆はもう慣れっこになって
いて、わざと小官の方を視界に入れないようにしながら、他の作業をしていた。
小官はホビットの母親の口を手で強引に封じ込め、機関車のような律動で腰
を振り続けた。小官のごつごつした手の平の下で、母親が泣き叫び続けている。
「うおっと!一発めぇーっ!くぅっ」小官がうなり声を上げて腰を止めた。肩
を小さく震わせて深呼吸をする。快感の余韻まで貪り尽くした歓喜を吐き終え
て、母親の体から肉体を抜き離れる。「それじゃ2杯目と行きますかっての!」
1分も休まずに、小官は娘の腰を掴んで持ち上げ、陵辱準備開始の位置についた。
娘が悲鳴を上げる。小官から逃れようとして必死に拘束を外そうともがいて、
自分が縛り付けられた低木をガサガサと揺らした。丈夫なロープと根の深く張っ
た低木は無情にも彼女を放すことは無く、ホビットの少女に小官の肉体が突き刺
さる。絶叫が響き渡る。それもすぐに立ち消えて、少女の純潔が露と消えた。
55 名前: クマラン >54の続き 2005/04/10(日) 06:36:54 ID:???
ホビットの母娘を交互に陵辱すること1時間、小官がやっと満足した時に
はもう、母親とその娘は地面に力無く倒れ伏して、ぐったりしたままになっ
ていた。その頃には出発の準備も終わりかけていて、全裸の小官も服を身に
つけ始めた。僕はというと、捕虜に『尋問』を行う小官の護衛という名目で
戦利品の整理作業から外されていたので、小銃を持ったまま石の上に座り、
ただ時が過ぎるのを待っていた。
身支度を整えた小官が僕の前に立ち、スコップを僕に放ってよこす。
「ご苦労だったな。後の始末は任すぞ」小官がそう言ったのは、出発の5分
前という頃だった。いつのまにか、ホビット親子のすぐ横に穴まで掘ってあ
った。近くまでいって底を見下ろすと、小型種族なら二人くらいは楽に納ま
りそうな穴だった。
その後の詳しい事は、やっぱり言いたくない。僕が何をしたかがばれたな
ら、僕は小官殿に殺されてもおかしくないから。
僕ら8人の自衛官は、馬車を囲んで街道を進んでいく。何事も無い、無害
な異国人の風体を装いながら。馬車の後ろを尾いていく僕は、誰にも顔を見
られないように気をつけながら、泣いた。ホビットの親子を自分の手で殺し
たことについて泣いたのでは無くて、ただ自分の精神的なひ弱さを目の当た
りにしたショックが、じんわりと目の裏に溜まって、涙になった。小官殿に
頭が上がらず、彼の暴力に屈服していたことは、日本にいた時も同じだ。そ
のことを、僕はこのファンタジー世界に召喚されたことで解消されたような、
無意識の錯覚に陥っていたことに気づく。弱者はどこに行っても弱者だ。そ
れは存在する世界を違えても、やはり変わりは無かったんだ。
季節が巡れば、僕がホビットの親子を埋めた場所に移した小さな木が花を
付けるだろう。あの木に、母娘が下げていた首飾りをかけておいた。一緒に
小官殿の認識票も添えて。僕からは、酒代にとっておいた銀貨2枚を母親と
娘の手に一枚ずつ握らせて渡している。罪滅ぼしや、自己満足の為にやった
のではない。その時の僕は、その銀貨以外に彼女達に渡せる物を持っていな
かったから。小官の背中が夕日の陽射しにゆっくり覆われていく。(完)
307 名前: クマラン? 2005/04/18(月) 15:06:56 ID:???
*愛と別れる時*
さびついて、切っ先は刃こぼれだらけの剣が2本ずつ、小官の腹と背中に
突きつけられた。一日の訓練が終わり、夕食の時間を待つばかりとなってい
た小官は驚嘆の眼で教え子たちの顔を見やる。つい先ほどまで、共に訓練の
尊い汗を流したオークたち・・・ブー3士、フー3士、ウー3士、それに部
下であるはずの魔術師までもが、小官に向かって刃を向いているのだった。
「何をするつもりだ!小官、腐っても部下に金を貸すような真似はせんぞ!」
あわてふためいても、小官は尊大な態度を崩さない。そんな小官を滑稽に思っ
て、オーク達はせせら笑いをこぼす。
「ショーカン殿、鍵、出してください。ブキコ……武器庫の鍵を……クッ!」
低く濁りがかった声で、ブーと小官に呼ばれていたオークが要求を唱えた。
小官は抵抗をあきらめ、「わかった」と言って武器庫へと向かう。剣を向け
たままで、オークたちもその後に続いた。小官は懐から鈍く黒金色に輝く鍵を
取り出し、肉厚のある錠前にそれを挿し込んでひねる。錠前が外され、重いメ
タルドアーがゆっくりと横にスライドして、武器庫が開放された。ドアに設置
されていたブザーが鳴り響くが、魔術師がすぐにそれのボタンを押して音を止
める。小官は(かなわんな)と表情を落として、小銃の棚に通してある金属棒
を外すための鍵を武器庫の中に放り投げた。
ブーたちオークの3人の表情がガラリと色めき立つ。こぞって武器庫の中へ
と飛び込み、銃を物色し始めた。小官は武器庫の前で魔術師に剣を向けられた
ままでいたが、彼は反撃の機会をつぶさに、それとなく探り続けていた。
小官は顔だけをゆっくりと魔術師に向け、魔術師と目を合わせる。そして顎
を魔術師の足元を差してしゃくった。魔術師の目線が落ちる木の実のように、
自分の足元へと導かれたその時、哀れな魔術師のこめかみに小官の蹴り出すつ
ま先が突き刺さった。
308 名前: クマラン? 2005/04/18(月) 15:25:45 ID:???
小官の体重がのせられ、腰のよく入った蹴りが魔術師のこめかみを捉えて、
彼の頭蓋骨が砕ける音を小官は聞き取った。小官の振り出した質量に押し出
されて魔術師は武器庫の内壁に叩きつけられた。
銃をいじくっていたオークたちは事態の理解を試みたが、自分達の企みが
頓挫したと見当のついた時には既に遅く、武器庫の扉がガラガラと重たく車
輪の回る音を立てて、完全に閉じられた。小官が大きな錠前をはめる音が、
ドアを伝って聞こえていた。オークたちは閉じ込められたという事実を悟っ
てショックを受け、銃を力なく手放しておんおんと泣き崩れる。
武器庫のドアの前で、小官は哀愁をこめて溜息を一つついた。
「所詮は、豚畜生であったか。やれやれ……」
小官はニヤリと笑う。今回の事態が起こりえる可能性は、小官自身が背負
う責務に含まれていたという事実にふと気がついたのが、当の事態を目の当
たりにしてからだったという、小官自身の無様を笑い飛ばした。
小官は手を腰の後ろに組み、廊下の荒い石床を眺めながら、食堂へと向か
って行った。後に残るのは、オークたちの憐れみ溢れる泣声と、小官殿の半
長靴が立てる足音のみ。コツコツ、コツコツ、コツコツコツ…… (完)
75 名前: クマラン(^^) 2005/05/08(日) 06:13:47 ID:???
SS開始
【桜印を戴く兵士たちの落とし児】@
日本列島がこの異世界に召喚されてから、丸8年が経過した。
日本政府は占領地の各所に自衛隊の駐屯地を設置し、武力を背景とした
支配を行い、時間の経過によってなし崩し的な領有化を進める政策で内
外から批判を集めている。僕ことクマラン陸士長は、富士山の裾野で行
われた演習中にこの異世界へと一足早く召喚されていた。直属の先輩で
ある小官殿を含めて数人の仲間たちとこの世界を旅して、僕らが集めた
情報や習得していた言語は日本に多くの利益をもたらした。そのご褒美
として、僕は2等陸曹に昇任できたし、小官殿は3等陸佐へと大出世を
果たしたのだ。そしてこの物語は、小官3佐が長を務めるここ「スリト
リク分屯地」を舞台にして繰り広げられた物であることをご承知願う。
この世界へ最初に召喚された僕らの、長い旅の道程で小官殿は大勢の
女を強姦した。それも年齢や種族や身分など、全く区別なく無差別に犯
しまくった。
「男なら、生で膣出しこそが本領よ!グワハハハハ!」とか言いながら
小官殿が節操無く種をばらまいた結果、孕ませた子供の数は30人以上
に上ったのだった。以下にその内訳を記しておこう。
人間(この異世界では容姿、性質共に我々と最も類似している)
男児2人 女児5人 両性具有1人
エルフ(小官に強姦された結果生まれた子供は、ハーフエルフとなる)
男児2人 女児1人 *クォーターエルフ 男児1人
76 名前: クマラン(^^) 2005/05/08(日) 06:34:17 ID:???
*小官殿は種族的に容姿の美しいエルフを性別問わず、好んでレイプした。
*多くのエルフは魔法や武器でもって抵抗するのだが、小官殿の魔法を全く
*受け付けないという特異体質と人間離れした格闘能力によってことごとく
*抵抗は排除されていた。小官はエルフの長い耳を執拗に甘噛みするプレイ
*を特に好む。強姦された最年少のエルフは10歳の少女だった。彼女は高
*貴なる古の君と呼ばれた、エルフの女王よりの依頼により人間の街へと僕
*らが送り届ける最中で小官が手を出したのだ。エルフの女性が出産する平
*均年齢は200歳前後だというのに、彼女はその20倍早く子供を生む羽
*目になってしまった。しかもその子は小官殿にうり二つの顔をしている!
ドワーフ
男児0人 女児1人
*ドワーフは女性の個体数が極めて少なく、その存在はドワーフの血族が
有する本拠地において厳重に守られている。小官はそういった希少な対象
との性交を熱望するあまり、あるドワーフ部族の本拠地を襲撃、最も人間
に近い容姿を持ったドワーフ女性を拉致したのちに強姦、5年後に出産さ
せるに至った。現在でも小官の行為は全ドワーフ達の間で憎しむべき存在
とされ、小官の命を狙うドワーフの戦士が大地を徘徊しているのだ!
オーク
男児0人 女児3人
*オークはそのへんに沢山生息していて、人間のように服を着たり武装
を着けて追いはぎをやっている奴が多かった。そういった輩の中に女性
がいると、小官は返り討ちにした後で必ずレイプした。僕らが保護して
いないだけで、孕ませた子供の実数はもっと多いだろう。
77 名前: クマラン(^^) 2005/05/08(日) 06:35:20 ID:???
ホビット
男児2人 女児1人
*この異世界では、人間とホビットの間では子供は作れないと学者たちによって
科学的に解明されていた。実際に、人間やエルフ以上に大きい種族とホビットを
はじめとする小型種族の間にできた子供の存在を、日本政府は確認できていない。
にもかかわらず、小官がレイプしたホビット女性の何人かは妊娠して1〜2年後
には子供を出産した!現在では、小官は学術的興味の対象として学者たちに注目
されているほど、この事実は画期的なことなのである。
この他にも、小官殿は天使やら悪魔やら、時にはモンスターさえも強姦していた。
アンデッドとして甦った女性をレイプした時には、流石に僕も引いた。
こうして生まれてきた子供たちは、その多くをスリトリク分屯地の保育所に収容し
たために、保護児童数の実に4分の3に上る子達が小官の子供だという異常な事態
が出来上がっている。そして僕はこの子らの保育監督陸曹として抜擢された。
これは僕ことクマラン二等陸曹が、小官殿の子供たちに振り回されてテンテコ舞
いする様子を描いた物語なのである。(次号に続く)(可能性も有る)
259 名前: クマラン 2005/05/13(金) 22:28:58 ID:???
【自衛官が異世界で魔法を学ぶ話】
F世界に召喚された自衛官たちは暇を持て余した。
折角だからと剣や槍の修練を積み出したり、魔法を学ぼうと魔術師の元を
訪ねる隊員は多く、自衛官らは積極的に能力の向上を図った。
部隊内では生真面目で通っているオロカ士長は考えた末に、占術を専門に
扱う魔術師に弟子入りを願い出た。こぢんまりとした宅を訪ねると、魔術
師は温和な態度でオロカ士長を迎え入れ、彼の願いに耳を開く。
「占術とは、数ある魔術系統の中でも知識や情報の収集に長けた分野です。
初歩的なものでは天候を予測したり、身近な人物の気持ちを読み取った
りできますね。高位な術になると、対象とした生物が持つあらゆる力を
正確に読み取ることも可能とするのですよ」
「あ、あらゆる力というと、膂力とか、他にはその、特技みたいなことと
かも知れるのでしょうか?」
魔術師は真顔から微笑んでうなづく。街で情報を売るギルドに金を払い、
占術の高位を極めたというこの魔術師の家を教えてもらった。
わずかばかりの手土産だけを持って、約束も無く突然に弟子入りをせがんだ
自分を笑って迎えてくれた老魔術師はやさしい。そのやさしさにオロカ士長
はつけこんだ。純朴な青年を装い、熱心に占術へのあこがれと利便性、そし
て自分はそれを使いこなし、仲間と世の中のために貢献すると説き続けた。
「私は恐ろしい仕掛け罠や悪霊の災いから、皆を守る目が欲しいのです」
「透視術ですか。少々望みが高いと申し上げたいが、貴方の熱意に負けました」
260 名前: クマラン 2005/05/13(金) 22:42:17 ID:???
【自衛官が異世界で魔法を学ぶ話】
老魔術師はオロカ士長を連れ、狭い家の一角に仕切りを立てて設けた
瞑想部屋の床に座した。優しげな顔はめくったように真摯な真顔へと変
わって、目はオロカ士長の顔を真っ直ぐに見つめている。
「修行は長く辛い、逃げ出すようであれば再び我が戸を開くことは叶いませぬよ」
「岸壁のふちに立つ覚悟で耐え忍びまする、師父よ、教の鞭打をお与え下さい」
老魔術師の指導は7日に渡り、その間にまとまった睡眠を二人が取ることは一度
も無かった。オロカ士長が疲労に倒れると老魔術師は座して目覚めを待ち、オロカ
士長が再び立ち上がるとまた厳しい修練を次々と彼に課した。オロカ士長は執念で
肉体と精神の消耗に耐え、ついに8日目の朝には透視の魔術を習得した。
老魔術師は笑顔に戻り、オロカ士長の達成を祝ってくれた。
「おめでとう、貴方は占術の基礎と応用を見事に極めなさった」
「ううっ、師父の賜った御恩は、死んでも忘れはしません」
オロカ士長は涙を流して老魔術師の手を取った。しかし同時に、オロカ士長
の男根はじんわりと固みをおびていた。
昼食を済ませてから、オロカ士長は自衛隊の野営地へと戻るべく旅立った。
老魔術師はオロカの姿が見えなくなるまで、彼の背中を見送り続けられた。
262 名前: クマラン 2005/05/13(金) 23:05:01 ID:???
【自衛官が異世界で魔法を学ぶ話】
オロカが透視術を極めて野営地に帰りついてから、数日が経過した。その間
の彼は野営地での仕事の最中でも、暇を見つけては街へと出かけてゆき、時間
が許す限りに、広場や道で遊ぶ子供たちを眺め続けていた。彼は子供の親が警
戒心を抱かない距離に腰を下ろすと、ボソボソと小声でスペルを呟き続ける。
スペルをきっかけとして生命力を燃焼し、彼の目は生命力の燃えた煙を糧とし
て、微弱な透過光線を発し始める。この微妙な出力の加減は衣服のみを透過し
た視覚をオロカにもたらした。結果としてオロカは、戯れ、飛び跳ねる幼女達
の裸体をたっぷりとなめまわすように味わえた。
そして今日もまた、オロカ士長は幼女裸体を観賞すべく街へ向かうために出
かける仕度に取り掛かった。同じ天幕の中で薬草をすりつぶしていたクマラン
士長がそれに気づいて、オロカに同行を申しでた。
「なあオロカ士長よ、今日も街でボンヤリしているんだろ?俺も連れて行って
くれないか?」
「かまわないさ、でも俺は何かを手伝ったりはしないぜ」
クマラン士長は貝殻の小山を風呂敷に包みながら嬉々として、それでいいんだ
とオロカに返事をした。道中でオロカはクマランが持つ荷の中身を尋ねた。
「合わせ薬さ。俺は薬師に色々な薬の配合を教わってきたんだ。先に俺が
知っている薬の作り方を教えたからなんだけどね」
街につくと、オロカはいつも子供たちが集まっている広場へと早歩きして
急いだ。小さな水飲み場を中心に据えた広場では3人の幼女がパタケーキ
と呼ばれる遊びに夢中になっている。オロカは鼻息を鳴らして満足し、腰
を降ろした。クマランもその横で風呂敷を広げ、薬の入った貝殻を並べて
客を待ちながらも、持って来た小鉢とすり棒でまた薬を作り出している。
263 名前: クマラン 2005/05/13(金) 23:32:48 ID:???
【自衛官が異世界で魔法を学ぶ話】
昼頃になると広場にやって来る人の数も増えだし、クマランの売る薬も少し
ずつ買われだしていく。オロカ士長は時たまに自分の前を横切る大人をうとま
しく思いながらも、眼前で回り戯れている3人の妖精が織り成した輪舞にうっ
とりと陶酔していた。
一瞬だが、何が起こったのかわからないでいた。オロカ士長は自分の意識が
瞬間的に5度もブチブチと途切れ、それが収まると折角の透視術が解除されて
いることに気づき、大いにじたんだを踏み出す。もう一度、透視のスペルを呟
いてみた。するとまたしても意識がブチブチと何度も途切れて、スペルを最後
まで唱えることができない事実を認めなければならなかった。
オロカ士長は反射的に、自分の顔に手をあててみた。頬の肉は痩せて削げ落
ち、肌は固く荒れ放題で老人のようだ。心なしか、屹立している男根さえも固
さを失いつつある。オロカは焦りを抱いた。このままでは幼女の裸体を二度と
拝めなくなる。強行に出ればまだ可能だが、性犯罪者に堕ちるのも彼は嫌だっ
た。喉の渇きを潤そうと、水飲み場へとふらついた足取りで向かった。
すするようにオロカが水を摂る背後からクマランの声が聞こえた。
「これは切り傷に効く薬、こっちは精力増強、こっちは媚薬だね。奥さんのス
−プにひとつまみ落とせば、その場で旦那の棍棒にすがりつくよ」
禿げ上がった頭と突き出た腹をゆらす、街の住人らしき男は指して尋ねた。
「そこの青いビンは何なのさ、随分と立派な入れ物だけど、毛生え薬じゃない
のかい?そうなのなら、分けておくれよ」
「ああ、これは……魔力の増進に使う液薬ですよ。旦那が金細工の仕事に魔法
でも使うんなら、お役に立つと思いますけど」
264 名前: クマラン 2005/05/13(金) 23:49:01 ID:???
そこまで拾い聞きして、オロカは猛然とクマランに駆け寄った。クマランの
膝元に置かれた青いビンを掴みとっては栓を噛み締めて、渾身の力でもって栓
を抜き取り、それを吐いて捨てた。クマラン士長はあわててオロカを止めた。
「馬鹿をするなっ、その薬は!」
「離せ、金ならくれてやるっ」
正気を失して興奮に身をまかせ、オロカ士長はクマラン士長を突き飛ばす。
石壁に背中を打ちつけたクマランは、うっと呻きを漏らして地面に伏せてし
まった。オロカはそこへ貨幣の詰まった小袋を投げ打ち、青いビンの中身を
一気にあおる。ビンの口と喉を垂直に立てて、魔力増進の薬液を間髪入れず
に飲み干した。原液のままで、まったく希釈していない生の薬を。
オロカは体中に力のみなぎりを覚える。指先に、男根の芯棒に、そして眼
球の裏側に脈々と熱い血潮が集まり、それに乗って全身の細胞から魔力が溢
れ出た。薬液の確かな薬効に我が意を得たりと、オロカ士長は透視術のスペ
ルを大声で怒鳴りあげる。子供たちは縄を掴んで回るのをやめ、ネコと鼠は
追いかけっこを中断した。オロカは正常な思考力を失っていたためもあった
が、致命的な魔術上の失敗を犯してしまう。すなわち、魔力のオーバーフロ
ーだった。魔力増進の薬液を原液で飲んだ上にスペルを大声で唱え、過大な
量の魔力を眼球付近に集めた挙句に……
「あ……!あ……!Ah……!見えない、視れない……あ!」
顔面の、大きく窪んだ2つの穴を両手で覆う。眼球を失った悲傷が一つ、永遠
に記憶の中のみとなった裸体の輪舞に手を伸ばそうとして、千切れた視神経に
空気の触れる激痛が一つ、オロカ士長の頭の中にポッカリと浮かんでいた。
266 名前: クマラン 2005/05/14(土) 00:03:48 ID:???
顔を覆って、時折何かを掴み取ろうと手を伸ばしてはもんどり打つ男の背中
が小さくなってゆく。目玉のはじけた自衛官が、段々と冷静さを取り戻して考
えたことは穴に入ること。ああ、一体どうして、自分の目が破裂するに至った
理由を同僚や上司らに話せようか!憐れみや嘲笑こそ買えども、勇気ある負傷
や献身の末に戦死した仲間たちの前で、俺はどう申し開きをできるというのだ!
広場に夕日が差していた。石畳の床を朱色に照らし、家々の壁に赤銅の切粉
まぶし、目を覆って去ってゆくオロカ士長を、それを見送っているクマラン士
長と子供らを真赤に血よりも血らしく染め上げるは、沈みきる夕日が放つ最後
の陽だ。
そして、この異世界にまた一つの歌が生まれた。
夕暮れ時の広場に集まり、可愛い女子らで綱引いて回れば、目の無い兵隊さん
何故なぜ泣くの?草色立派な服着た兵隊さん、目の無いお顔でどこゆくの?
そーれを見送る薬屋さん、お目めのお薬くださいな…… (完)
267 名前: クマラン 2005/05/14(土) 00:14:51 ID:???
異世界に転移してみたものの見渡す限りの貧民街で、(地表の99%がスラム街で占められている)
転移してきた元々の土地しかろくに産業が育たない。
百年ぐらい後、だいぶ衰退した経済圏に不思議な声明が届いた。
そうここは「ニート種族だけが住まう世界」だったのだ。
何でこんなに反応が鈍かったかというと、単純に自分から働いたら負けだと思う価値観が
あるから。30年程の若年期を永遠のように感じる彼らは、転移当初から数十年の眠りに
ついていたのだ。そして彼らの感覚で大仕事で送ったメッセージは百年の時間をおいて
二年3ヶ月ほど続いた。
あまりにも労働量が少ない上、反応が返ってくるまで時間がかかりすぎるため、
技能の向上が始まる前に会社倒産しないかが最近の人類の悩み。
319 名前: クマラン 2005/05/22(日) 21:31:44 ID:???
【異世界に召喚された自衛隊が家畜人を買う話】
現代日本から異世界へと召喚された自衛官たち一行は、食料その他を調達
するためにバザールへと足を運んだ。人間以外にも多様な種族が店を出して
いて、その店先に並べられた品物は広範な地域から持ち込まれたのであろう、
剣、鎧、雑多の野菜類、薬品や魔道書から、果ては奴隷さえもがバザールの
一角で売りさばかれている。自衛官たちはそれを見て、明日はわが身かとの
憂慮を抱くのだ。
一人の若い自衛官が、遠目にある光景を見つけて声をあげた。
「あっ、裸だ……」
裸という単語に反応して、前後を行く自衛官らもその光景に目を向ける。女
だった、人間の女が裸身を晒されながら、なんだか背の低い動物のような商
人によって売りに出されている。いくら奴隷であっても、布一枚も被せずに
売りに出すような商人を見たことが無い自衛官たちは、目配せしあってから
歩く方向を変えた。8人の自衛官たちは怪訝な思いで、裸の人間を売る商人
の元へやって来た。
奴隷商人とおぼしき生物が人語を使って、自分の方から自衛官たちに奴隷
を売り込んできたことは彼等を少しばかり驚かせる。最初にこの奴隷売りを
見つけた若い自衛官、久間と呼ばれる男が、この世界で使われる言語を片言
ながら駆使して奴隷売りに説明を求めたのだが、その答えは自衛官たちを更
に驚かせる、全く想像だにしなかた内容だったのだ!
321 名前: クマラン 2005/05/22(日) 21:55:40 ID:???
【異世界に召喚された自衛隊が家畜人を買う話】
奴隷売りを間近に見た久間士長は、(アリクイか、バクのようだ)という
印象を奴隷売りに感じた。奴隷売りは短い足と太くくひょろ長い腕を生やす
丸い胴体に頭がついていて、自衛官たちがこの世界に召喚されてから見てき
た様々な種族のどれとも違う姿をしている。久間が貧しい語彙を駆使して種
族を尋ねると奴隷売りは目をしばたかせて「モロカンスさ!見てわかるだろ
?」そう言うと、奴隷売りはその場で水平にクルリと回ってみせた。
「家畜……人?家畜人だって?!」
久間士長は奴隷売りの説明を日本語訳して、仲間に話した。久間士長の顔を
見る自衛官たちはそれぞれが(意味がわからない)という表情を以って久間
に疑問符を投げかけてくる。久間士長は奴隷売りに何度も確かめた。家畜人
トハ、奴隷ト同義デアルノカ? と、初めて触れるこの単語変形は、奴隷売
り達が独自に使う造語の類だろうと見当をつけていた。しかし違っていた。
「これは家畜人さ。あんたら(人間)とよく似ているけど、全く別物の動物
だよ。知らんのかい?あんたらどっから来たのだね?それよりもどうだい?」
奴隷売りは久間の度重なる問いに答えるのをやめて、家畜の売り込みを始める。
久間士長と家畜売りのモロカンスは地面と小石を使った筆談を交えて交渉を
行った。家畜人をなんとしてでも売りたいモロカンスと、家畜人という観念、
(現実には観念では無く、家畜人という生き物なのだが)それと種族差別とを
混同していた久間士長との会話は一向に進展せず、仕舞いにはモロカンスの男
が地面につっぷして泣き出してしまう。遠巻きにそれを見守る自衛官達に向き
直って久間士長は結論を述べる。
「つまり、この女の子らは、人間じゃなくて、その、人間とは別の生き物だと
この人は言ってます……それで、僕らにこの家畜を買ってくれと言ってます」
322 名前: クマラン 2005/05/22(日) 22:19:19 ID:???
【異世界に召喚された自衛隊が家畜人を買う話】
久間がそう言うと、自衛官たちの間に訪れる沈黙と陰鬱、二つが相まって
彼等の気分を悪くした。首輪と綱でつながれた3人の少女らは裸ではあるが、
髪の毛や歯はよく手入れされているのか清潔な状態であるし、近くに寄って
みても別段ひどい体臭などは感じられないのだ。
自衛官らは次第に、そろそろと彼女らに歩み寄ってみる。最初のうちこそ、
目の前につながれているのは奴隷に身を落とされた哀れな3人の少女たちと
捉えて、憐れみや裸体を直視することの気恥ずかしさを抱く。けれども、何
かが違うと違和感を抱いたのも遅くは無かった。
8人の自衛官の内、女性は一人しかいない。他の7人が家畜人とされてい
る少女らを、男の欲望を湛える目で見た。一般的な10代半ばの少女たちで
あれば、その視線は矢にも劣らない凶器であろう。ところが自衛官たちが眺
める少女らは、裸であることを恥ずかしがったり、乳房や局部を隠す様子を
全く見せない。「あぁー、うぁー」と言葉にならない声で呻いたり、地べた
にごろりと寝そべってあられもない肢体を青空に広げている。
自衛官達の一行の中に、小官と呼ばれている男がいる。鍛えぬかれた全身
から傲慢さを醸し出す男が進みでて、3匹のメス家畜人の中で最も乳房が大
きく発達した1匹のアゴをつまみあげ、その容姿をつぶさに品定めしたのだ。
「ほう、なかなか整った顔立ちだな。それに可愛い」
そう言いながら、小官はもう片方の手で無遠慮に家畜人の胸を揉みしだいた。
546 名前: クマラン 2005/06/06(月) 00:44:43 ID:???
某日本国の某自衛隊に小官と呼ばれる幹部がいる。ある日のことだ、小官
は当直幹部として隊舎の当直室に部下の陸曹、久間三曹と共に詰めていた。
ベッドと事務机が二つづつ備えられているものの、狭い当直室には仕切りな
ど一切無く、二人の当直要員はお互いの一挙手一投足が筒抜けになるのだ。
その日は日曜日の夜ということもあって、夜の9時も過ぎると外出から帰
って来た営内者(自衛隊敷地内の宿舎で生活する隊員)が続々と当直室を訪
れては、ラミネート加工によって照明光を照り返す外出証を当直陸曹に返納
していく。久間3曹は外出にまつわる処理をさばきつつ、電話対応をこなし
ているので忙しいのだが、小官は手伝うそぶりを全く見せずにベッドに寝転
がり、ヌードグラビアをぼんやりと眺め回す有様だった。
門限の午後11時を過ぎた頃になり、ようやく人の出入りが途絶えてから
小官は起き上がっておもむろに、久間3曹に外出者の状況を尋ねた。
「帰ってきてない奴は何人いるんだ?」
丁度よく外出者の一覧を確認し終えて、久間3曹は結果を読み上げた。
「帰隊遅延者は無し、翌朝始業時までの申請を出してる糊部3曹のみです」
「のりべ、か……あの雄大な尻肉がたまらんよ、小官、うむ」
小官はグラビアから目を離し、宙を眺めて糊部3曹のあられもない姿態を
空想する。屈強な体にだらしのない顔を乗せた小官を見て、久間3曹は幾千
回とついてきた溜息をまた一つ漏らした。席から立ち上がると、小官に断り
を入れて部屋を後にする。トイレに向かったのだった。小官の目が光る。
「今だっ」
小官の肉体が反り返って勢いよくベッドに横たえられた。目に止まらぬ速度
で両手を使い股間のボタンを外すと自らのペニスを取り出し、電動歯ブラシ
にも劣らないペースで上下にそれをしごきあげる。久間三曹が帰ってくるま
でに射精から処理までを終えなければならない緊張感が、小官の性感を加速
させていた。
「う〜っ! 弾薬装填〜っ!」
絶頂に達する、小官がそう確信した瞬間を狙ったかのように亜空間の裂け目
が当直室の天井に出現した。状況に気づかない小官はしごきを続けながら浮
かび上がり、天井に広がるどどめ色の亜空間へと吸い込まれていった。
(続く)
908 名前: クマラン ◆2pK5F8rKUI 2005/07/02(土) 05:57:38 ID:???
俺こと、大日本帝国陸上自衛隊、陸士長、久間(ひさま)蘭一(らんいち)
と小官殿を含めた8名の陸上自衛官がこの異世界に召喚されてから早数年。
長い、長い旅路の間に一人、また一人と仲間が抜けて行き、最後に残ったの
は俺と小官殿の二人だけになった。それでも旅を続ける道程で、この世界の
建造物にしては異様に背の高い建物を見つけ、小官殿はその鉛筆みたいな城
を制圧した。詳しく話せばとんでもなく長い話になるので、詳細は省く。
早い話が、小官殿はその制圧した城に住んでいた、強大な力を持つ魔法使
いから全ての力を奪い取ってしまったのだった。
全能にも近い魔導の力を手中にして、小官は秘めていた野望を世に轟かさ
んと行動を開始する。
「小官、男と生まれたからには、一度くらいは国盗りというやつをしてみた
かったのだよ!」
小官は魔法を駆使して、オークやらコボルドやらといった使役生物を大量
に生み出した。俺は、クマランはそいつらを使って武器の生産や、軍隊の整
備といった大掛かりな仕事の進行をやらされる破目になった。
諸国を侵攻するための準備に大わらわな所へ、またしても自衛隊が召喚さ
れて、この異世界にやって来た。それも、今度は方面隊規模でだ。
「俺達はどうしていいのか、全く以ってわからないんだ。どうか、小官の元
で使って欲しい」
自衛官たちは小官に対し、挑戦するでも無く、庇護を求めた。小官は舞い
込んで来た幸運に舌なめずりし、俺は彼等を、自衛官らを使って軍隊の増強
に務めた。そうして、この世界を平らげるに相応しいと言える軍をこしらえ
るにいたれたのだった。
邪悪の魔導にすっかり染まってしまった小官が、全世界に向けて侵略の魔
手を伸ばし始める。俺はその手先として、全力で戦うしかなかった。それ以
外の生きる道を、俺は見つけることができなかった。
19 名前: クマラン ◆kisQEacXLo 2005/07/10(日) 05:19:03 ID:???
異世界に召喚された小官は、はるか高空まで高くそびえる塔、ガイロンの塔
を征服した。塔の中腹に隠居していた邪悪な魔法使いサロウンから魔力を奪い
取ると、小官は数多くの人造生命体を作り出す。人造生命たちは用途別に体の
構造を調整されていて、ある種は兵士に、またある種は労働者や運搬力として
使用された。小官の意のままに働く人造生命体は力尽きるまで小官の為に働い
て、その亡骸をクマランは火山の火口へと無造作に捨てていった。無数に、際
限も無く。
7年と7ヶ月に7週の月日を費やし、小官はついに異世界全土を征服するに
至る。平原の騎馬民族を打ち破り、中原に永らえた王国を併せ呑み、大陸中央
に君臨する最大最強国家を自らの軍門の下に平伏させたのだ。そしてこの世界
は、小官の適当な治世によって新たな門出をむかえる。
小官がこの異世界を平定するための戦争をやってる間に、一つの大きな事件
が起きている。小官とクマランが元いた世界の日本の国から、日本国の軍隊と
も言える自衛隊が召喚されて来た。部隊でまとまった数が召喚されることもあ
り、個人や少数のグループで召喚されるなどの例があった。いずれにしても、
彼等自衛官はほとんどが小官の庇護下に加えられている。戦闘員として戦争に
参加したり、各分野の専門技術を駆使して小官の勢力を増強させるのに自衛官
たちは役立った。小官とクマランはこの異世界に先駆けて召喚されていたとい
うのを理由に、小官は召喚されて来た自衛隊高官に尊大な態度でもって、戦中
にあれこれと指図を下している。星の数より飯の数、を地で行く小官ならでは
のやり方を、クマランは腹の中で面白可笑しく見ていた。
54 名前: クマラン ◆kisQEacXLo 2005/07/12(火) 06:09:07 ID:???
小官2尉とクマラン士長は日本国に寄生する自衛官だ。
ある時期に、二人が所属する部隊は北方機動演習に参加
することなった。荷物をまとめて、二人の部隊は北海道
の原野へと向かう。現地に到着するや否や、天幕の中で
麻雀卓を囲みながらゲームを始めた。麻雀に飽きると寝
たり穴を掘ったりし、夜になればススキノの街に繰り出
してホステスと飲んだり、風俗嬢と遊んだりもする。
こんな日々もアリかな、とクマランは酔いつぶれた同
僚をおぶって歩きながら呟く。小官2尉とクマラン士長
が野営地に帰りついたその時、部隊の展開していた平野
の上空に突如としてワームホールが開き、展開地にいる
自衛官たちと諸々の品物を吸い込んだのだ。
詳しい話は省くが、小官やクマラン、その他の自衛官
達はファンタジー世界に召喚されたのだった。クマラン
士長は3週間の駅前留学経験を生かして、この世界の現
地民と自衛隊側の意思疎通を取り持つ通訳を行っている。
クマラン
「こちらの方は小官名前です」
現地民エルフ
「彼はなぜ、私を見て笑っているの?」
クマラン
「彼は興奮しています。貴方を見て性的に」
現地民エルフ
「私はもっと、別の偉い方と交渉をしたいのです」
クマラン
「それは許されません。小官はとても貴方と会話したくています」
52 名前: クマラン(^^) 2005/11/12(土) 19:57:12 ID:???
空気を読まずに校正してみるテスト
ある日、F世界の貴族娘が小官隷下の部隊駐屯地にきた。
見た目麗しい金髪碧眼の娘だった。
むさい男に囲まれた生活にいい加減飽きていた小官は、
なにやらニヤニヤと笑いつつ娘と一対一で会うことを決めた。
「異世界の戦士様、私の領地を守ってください。
もう、あなた方しか頼れる人はいないんです」
そういって娘は小官の膝の前で跪いて、白い指で頬にかかっていた
長い髪をかき上げた。
小官は言った。
「しかしだね。きみの領地で一揆が起こったのは必然だよ。自業自得とも言うね。
聞くところによると、君の治める領地では奴隷の存在が黙認されているようじゃないか。
税率も無駄に高いし、そのために餓死者も出しているのだろう?
そんな領地を手助けすれば、民衆と戦うことになる。同士達も納得しまい」
無駄に説明臭い口調だ。
「私、何でもする。そう、なんでも……」
少女が小管の膝の間に頭を埋めようとした。
「本当になんでもするのか? その覚悟があるのか?」
「ええ、貴方が望むことなら……」
娘が目をうるうるとさせて小管を仰ぎ見た。小管は娘の頭の上に手を置き、
その金色色を弄びながら
「じゃあ、とりあえず奴隷性を廃止しなさい」
「むむむ」
「なにが、むむむだ」
388 名前: クマラン(^^) 2005/11/19(土) 01:23:28 ID:???
魔術師の肉体が砕け散った瞬間に、その感覚が空間を飛び越えて彼の娘に
届いた。自分の体が瞬きする間も無く四散した、痛みすら感じられない、暴
風に打ち砕かれるようなイメージが発し、消えた。父は死んだようだ。
娘は立ち止まって空を仰ぎ見ると、父から託された言葉を想いだそうと試
みて失敗する。自分の頭の中で、ふと生まれた感情が記憶の再現を拒んだ。
その感情は、忌避なのだとすぐにわかった。
「考えうる最善の方法で『真理』に辿り着け」父の遺した言葉、私に託され
た使命。その遂行を望む人間はもう、この世には一人もいないのだと気付く。
「街に行こう」
私は踵を返して庵に向かう。庵に帰り着いたらすぐに、少しも怠けずに引っ
越しの用意を整えなくては。反対する父はもう、いないのだから。
足取りが軽い、体全体が暖かくなって、顔まで少し紅くなっているみたい。
街での暮らしを想像するだけで、頬の肉が唇の端を吊り上げる。笑っている。
「あははははははは!!」大笑いしながらステップを踏みつつ、家路を往く。
魔術師の娘は山を降りた。父が遺した研究と意志だけを、父と暮らした庵に
置いていった。
彼の志は潰えて、一人の女が幸せへの道を歩み出す。
女が街への道を行く途中で、自衛隊の車列とすれ違う。戦闘は終わり、化物達
は去った。(終わり)
226 名前: クマラン(^^) 2006/03/19(日) 20:09:52 ID:???
〜瓶詰めされた妖精さん☆の巻〜
F世界と日本国の接触が始まって早数年、F世界の各所には
大小様々の日本人居留地が築かれていた。民間がF世界に進出
する勢いにいくらか遅れながら、自衛隊も居留地と邦人の保護
を名目として、部隊をF世界に派遣する規模を拡大した。
イギリスとアメリカの歴史から範を取って、日本政府は現地
の邦人や企業に銃火器を用いた自衛を禁じた。いずれ居留地が
発展し、入植者と日本本土の間で対立が起こりえるという予測
が政財界の内側では主流となっていたからだ。そのシワ寄せと
いう形となって、現地の先住民や攻撃的な生物との戦闘はほと
んどが自衛隊員たちの負担となってのしかかる。
ある地域の防衛にあたる分屯地に目を移そう、その拠点
は小官と呼ばれる狂人的な幹部によって支配されていた。
小官は5個中隊規模の混成部隊を掌握下に収め、防衛範囲
内にある日本人居留地や先住民の村落、小都市から私的に
税金を徴収していた。小官の手元に集まった物資と財貨は、
日本本土から渡って来た密輸業者の手に移り、日本円と金
地金に換えられた。分屯地に所属する自衛隊員らの間では、
もっぱら小官が私兵を整えて政府に叛乱を起こすとか、もっ
と奥地に宮殿を建ててハーレムを囲うつもりだとかいう噂
がまことしやかに囁かれた。
しかしこの物語には小官もF世界の怪物も、一切関係が
無い。出てくるのは隊員歴7年目に入る若手自衛官と、
本土で職にあぶれて入隊した新人隊員だけだ。そして、瓶
詰めにされて玩ばれる薄幸の妖精ちゃんだけである。